JP2007292917A - 偏光板 - Google Patents

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【課題】本発明の目的は、バックライト長時間照射条件においても、周辺光漏れやコントラストむらが起こらない耐久性に優れた偏光板を提供することにある。
【解決手段】偏光板保護フィルムA、光吸収型偏光素子、偏光板保護フィルムBの積層によって構成される偏光板において、該偏光板保護フィルムAが棒状粒子及びセルロースエステル系樹脂を含有し、かつ該偏光板保護フィルムBの膜厚が30μm〜60μmの範囲であることを特徴とする偏光板。
【選択図】なし

Description

本発明は偏光板に関し、より詳しくはバックライト長時間照射条件においても、周辺光漏れやコントラストむらが起こらない耐久性に優れた偏光板に関する。
従来、光学フィルムは、予めベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリチル酸系化合物等の紫外線吸収剤を混入させて製造され、紫外線をカットし、液晶、偏光板の劣化を防止していた。
昨今、液晶テレビの分野では大画面化、高画質化が急速に進み、直下型バックライトの蛍光管の数が増したり、より高輝度の光源を用いたりすることで、偏光板に対する紫外線耐性の要求レベルも高まってきている。特に従来のベンゾトリアゾール系のような熱変換型紫外線吸収剤を使用している場合、バックライト照射が長時間に及ぶ際に偏光板の温度上昇あるいは偏光板の位置違いで温度のむらが生じ、所謂コーナーむらや額縁むら、コントラストむらといった問題が生じてきている。
このような問題に対し、今までのフィルムの位相差制御による光漏れ、コントラストむら対応技術、例えば特許文献1あるいは特許文献2開示技術では、バックライト照射が比較的短時間(連続照射の時間あるい断続照射の累積時間)でその有効性は確認できるものの、連続長時間照射や累積長時間照射条件ではむらが生じてしまうという問題がある。
特開2006−45422号公報 特開2002−131538号公報
従って本発明の目的は、バックライト長時間照射条件においても、周辺光漏れやコントラストむらが起こらない耐久性に優れた偏光板を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.偏光板保護フィルムA、光吸収型偏光素子、偏光板保護フィルムBの積層によって構成される偏光板において、該偏光板保護フィルムAが棒状粒子及びセルロースエステル系樹脂を含有し、かつ該偏光板保護フィルムBの膜厚が30μm〜60μmの範囲であることを特徴とする偏光板。
2.偏光板保護フィルムAに用いられる前記セルロースエステル系樹脂が混合脂肪酸エステルであることを特徴とする前記1に記載の偏光板。
3.偏光板保護フィルムAが、下記一般式(2)で表される紫外線吸収モノマーから合成される紫外線吸収性共重合ポリマーを含有していることを特徴とする前記1または2に記載の偏光板。
Figure 2007292917
〔式中、nは0〜3の整数を表し、R1〜R5は水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を表し、Xは−COO−、−CONR7−、−OCO−、−NR7CO−、を表し、R6、R7は水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。但し、R6で表される基は重合性基を部分構造として有する。〕
4.前記偏光板保護フィルムBが位相差板機能を兼ねていることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
5.垂直配向モードの液晶表示装置に用いられることを特徴とする前記4に記載の偏光板。
6.前記偏光板保護フィルムBが、セルロースエステルと、分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと分子内に芳香環を有さず親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上30000以下のポリマーXと、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下のポリマーYとを含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
7.前記偏光板保護フィルムBのリターデーション値Ro、Rthが0nm≦Ro≦2nm、かつ−15nm≦Rth≦15nmの範囲にあることを特徴とする前記6に記載の偏光板。
式(i) Ro=(nx−ny)×d
式(ii) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(ここで、セルロースエステルフィルムの面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸に直交する方向の屈折率をny、フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。)
8.横電界スイッチングモード型の液晶表示装置に用いられることを特徴とする前記6または7に記載の偏光板。
本発明により、バックライト長時間照射条件においても、周辺光漏れやコントラストむらが起こらない耐久性に優れた偏光板を提供することが出来る。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の偏光板は、偏光板保護フィルムA、光吸収型偏光素子、偏光板保護フィルムBの積層によって構成される偏光板において、該偏光板保護フィルムAが棒状粒子及びセルロースエステル系樹脂を含有し、かつ該偏光板保護フィルムBの膜厚が30μm〜60μmの範囲であることを特徴としており、上記構成によりバックライト長時間照射条件においても、周辺光漏れやコントラストむらが起こらない耐久性に優れた偏光板を得ることが出来る。
更に、本発明者は、偏光板保護フィルムAに用いられるセルロースエステル系樹脂が混合脂肪酸エステルであること、前記一般式(2)で表される紫外線吸収モノマーから合成される紫外線吸収性共重合ポリマーを含有していること、偏光板保護フィルムBが位相差板機能を兼ねていることが好ましく、この構成による偏光板は垂直配向モードの液晶表示装置に好適に用いられることを見出したものである。
また、偏光板保護フィルムBが、セルロースエステルと分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと分子内に芳香環を有さず親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上30000以下のポリマーXと、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下のポリマーYとを含有し、特に偏光板保護フィルムBのリターデーション値Ro、Rthが0nm≦Ro≦2nm、かつ−15nm≦Rth≦15nmの範囲にある時に、該構成の偏光板は横電界スイッチングモード型の液晶表示装置に好適に用いられることも併せて見出したものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
(棒状粒子)
最初に、本発明に係る偏光板保護フィルムAに含有される棒状粒子について説明する。
本発明でいう棒状粒子とは、下記式で表されるアスペクト比が2以上の粒子と定義する。
式 アスペクト比=絶対最大長/対角幅
(ここにおいて、対角幅とは絶対最大長に平行な2本の直線で投影された粒子の像を挟んだときの2直線間の最短距離である。)
本発明に係る棒状粒子は、前記式で定義されるアスペクト比が2以上の粒子であり、該アスペクト比は、3〜100の範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜50の範囲であり、特に好ましくは10〜30の範囲である。
アスペクト比が2未満の粒子では、紫外線に対する吸収能あるいは散乱能が不十分であり、本発明の効果を得ることができない。これはおそらく粒子の体積に対する表面積の割合で決まってくる特性と思われる。理論的には、数10ナノ程度の直径を有する球状微粒子を高密度に含有させることで、同様の効果を得ることができるはずであるが、実際には個々の粒子を均一に分散させた状態で膜中に含有させることは難しく、従って現実的手段ではない。
フィルム中の棒状粒子の絶対最大長/対角幅は、電子顕微鏡によって観察した画像データを用いて求めることが出来る。
例えば、作製したフィルムを透過型電子顕微鏡で2万倍で撮影しその画像をキャノン(株)製のスキャナCanoScan FB 636Uを用い300dpi モノクロ256階調で読み込み、読み込んだ画像はエプソンダイレクト(株)製のパソコンであるEndeavor Pro720L(CPU;Athlon−1GHz、メモリ;512MB)にインストールした画像処理ソフトWinROOF ver3.60(三谷商事(株)製)に取り込む。取り込んだ画像について棒状粒子の画像抽出を行い、棒状粒子の画像抽出後の画面で300個以上の粒子があることを確認し、もし抽出が十分でない場合は検出レベルの手動調整を行い、300個以上の粒子が検出、抽出されるよう調整を行う。このようにして抽出処理した画像データの各々の棒状粒子について、絶対最大長/対角幅の測定を行い、各々300個以上の粒子に対する平均絶対最大長/平均対角幅を求め、平均アスペクト比を算出することが出来る。
棒状粒子は、無機粒子または有機系化合物からなる粒子のどちらを用いることが出来る。
無機粒子としては、TiO2(ルチル型)、珪酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、ガラスファイバーなどが挙げられる。
有機系化合物からなる粒子としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂よりなるポリマー粒子を挙げることが出来る。特にシリコーン樹脂が好ましく、三次元の網状構造を有するもの等が好ましい。
棒状粒子の粒径は、特に制限はないが、絶対最大長は0.1〜100μm程度、対角幅は0.01〜1.0μm程度の範囲であることが好ましい。
棒状粒子の屈折率は、1.3〜3.0の範囲内にあるものが好ましい。
偏光板保護フィルムA中には該棒状粒子は0.1体積%以上含有されていることが好ましく、含有率の好ましい態様は粒子種や粒径により各々のケースで異なるが、屈折率が2.0以上の粒子の場合、5体積%以下にすることが好ましく、屈折率が1.3〜2.0未満の粒子の場合、20体積%以下にすることが好ましい。また、2種以上の異なる種類(組成)の粒子を併用しても構わない。
本発明に用いる棒状粒子は、セルロースエステル系樹脂との親和性を向上させる目的で種々の表面処理を施しておくことが好ましい。
十分に乾燥させた粒子に対し、脂肪酸系、油脂系、界面活性剤系、ワックス系、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、カルボン酸系カップリング剤、リン酸系カップリング剤、高分子系等各種改質剤を利用できる。
処理方法も、脂肪酸や金属塩、界面活性剤等で表面を被覆させるコーティング法や、粒子表面にカップリング剤を結合させるトポケミカル法、更には、粒子粉砕工程で有機処理剤を添加していくメカノケミカル法や、モノマーを粒子表面上で重合あるいはグラフト重合で粒子表面をポリマーでまぶすカプセル法など様々な方法がある。
どのような改質剤を使ってどのような方法で粒子表面を処理するかは、粒子種とセルロースエステル系樹脂の組合せによって若干異なるが、脂肪酸系改質剤を使ったコーティング処理法あるいは各種シランカップリング剤によるトポケミカル処理法が好ましい。
上記表面処理した粒子をセルロースエステル系樹脂中に分散させる方法としては大きく分けて、分散機を使用する方法と混練機を使用する方法の2つがある。
前者は更にメディア分散とメディアレス分散に分けられる。メディア分散としては、ボールミル、サンドミル、ダイノミル等の分散機によるものが挙げられ、メディアレス分散としては、超音波型、遠心型、高圧型等が挙げられるが本発明では、高圧型分散装置での分散あるいは、混練機を使用した分散が好ましい。混練方法としては、ロータが1本あるいは2本の押出機を用い、ホッパから樹脂を投入し、ある程度粘度が低下したところで、サイドから粒子を投入する方法をとることで、粒子の破損を最小限に抑えかつ混練性を高めることができる。混練法を用いる場合、樹脂はセルロースアセテートプロピオネートであることが好ましい。
粒子の配向を製膜時のせん断応力のかかり方やその後の延伸条件、更には磁場環境下におくなどして制御することで、バックライトの偏光板透過率を上げる効果(所謂輝度向上効果)もある。
(セルロースエステル系樹脂)
本発明の偏光板に用いられる偏光板保護フィルムA、偏光板保護フィルムBは、セルロースエステル系樹脂(以下、セルロースエステルともいう)を主成分とするセルロースエステルフィルムであることが好ましい。(以下、偏光板保護フィルムA、Bをセルロースエステルフィルムという場合もある。)
本発明に用いられるセルロースエステルには特に限定はないが、セルロースエステルの置換度や組成は重要である。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している。
本発明に用いられるセルロースエステルとしては炭素数2〜22程度のカルボン酸エステルであり、芳香族カルボン酸のエステルでもよく、特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味している。水酸基に結合するアシル基は、直鎖であっても分岐してもよく、また環を形成してもよい。更に別の置換基が置換してもよい。同じ置換度である場合、前記炭素数が多いと複屈折性が低下するため、炭素数としては炭素数2〜6のアシル基の中で選択することが好ましい。前記セルロースエステルとしての炭素数が2乃至4であることが好ましく、炭素数が2乃至3であることがより好ましい。
例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等や、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが好ましい。上記の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは単独或いは混合して用いることが出来る。
特に、前記偏光板保護フィルムA、偏光板保護フィルムBに用いられる好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルである。
(I)2.1≦X+Y≦2.6
(II)1.0≦X≦2.6
(但し、Xはアセチル基の置換度、Yは炭素数2〜4の脂肪酸エステル基の置換度である。)
中でも1.0≦X≦2.0、0.5≦Y≦1.3のセルロースアセテートプロピオネートが好ましい。これらは公知の方法で合成することが出来る。
尚、アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することが出来る。
本発明のセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることが出来る。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。これらのセルロースエステルは、アシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いてセルロース原料と反応させて得ることが出来る。
アシル化剤が酸クロライド(CH3COCl、C25COCl、C37COCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には、特開平10−45804号に記載の方法等を参考にして合成することが出来る。
セルロースエステルの分子量が大きいと、熱による弾性率の変化率が小さくなるが、分子量を上げすぎると、セルロースエステルの溶解液の粘度が高くなりすぎ、生産性が低下する。セルロースエステルの分子量は、数平均分子量(Mn)で30000〜200000のものが好ましく、40000〜170000のものが更に好ましい。
セルロースエステルは、20mlの純水(電気伝導度0.1μS/cm以下、pH6.8)に1g投入し、25℃、1hr、窒素雰囲気下にて攪拌した時のpHが6〜7、電気伝導度が1〜100μS/cmであることが好ましい。
(可塑剤)
本発明の偏光板保護フィルムAまたは偏光板保護フィルムBは可塑剤を含有することが好ましく、該可塑剤が下記一般式(1)で表される芳香族末端エステル系可塑剤であることが好ましい。
一般式(1) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(1)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
本発明に係る芳香族末端エステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することが出来る。
本発明に用いられる芳香族末端エステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
また、芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用出来る。
また、芳香族末端エステルの炭素数6〜12のアリールグリコール成分としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用出来る。
芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリールジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
芳香族末端エステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは300〜2000、より好ましくは500〜1500の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものが好適である。
(芳香族末端エステルの酸価、水酸基価)
酸価とは、試料1g中に含まれる酸(分子末端に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価及び水酸基価はJIS K0070(1992)に準拠して測定したものである。
以下、本発明に用いられる芳香族末端エステル系可塑剤の合成例を示す。
〈サンプルNo.1(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸820部(5モル)、1,2−プロピレングリコール608部(8モル)、安息香酸610部(5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.30部を一括して仕込み窒素気流中で攪拌下、還流凝縮器を付して過剰の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで130〜250℃で加熱を続け生成する水を連続的に除去した。次いで200〜230℃で6.65×103Pa〜最終的に4×102Pa以下の減圧下、留出分を除去し、この後濾過して次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);19815
酸価 ;0.4
〈サンプルNo.2(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、アジピン酸500部(3.5モル)、安息香酸305部(2.5モル)、ジエチレングリコール583部(5.5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.45部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);90
酸価 ;0.05
〈サンプルNo.3(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器にフタル酸410部(2.5モル)、安息香酸610部(5モル)、ジプロピレングリコール737部(5.5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.40部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステル系可塑剤を得た。
粘度(25℃、mPa・s);43400
酸価 ;0.2
以下に、本発明に用いられる芳香族末端エステル系可塑剤の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2007292917
Figure 2007292917
本発明に用いられる芳香族末端エステル系可塑剤の含有量は、セルロースエステルフィルム中に1〜20質量%含有することが好ましく、特に3〜11質量%含有することが好ましい
本発明の偏光板保護フィルムは、更に以下に挙げる可塑剤を用いることも出来る。
リン酸エステル系の可塑剤:具体的には、トリアセチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸アルキルエステル、トリシクロベンチルホスフェート、シクロヘキシルホスフェート等のリン酸シクロアルキルエステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリナフチルホスフェート、トリキシリルオスフェート、トリスオルト−ビフェニルホスフェート等のリン酸アリールエステルが挙げられる。これらの置換基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていても良い。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでも良く、また置換基同志が共有結合で結合していても良い。
またエチレンビス(ジメチルホスフェート)、ブチレンビス(ジエチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアルキルホスフェート)、エチレンビス(ジフェニルホスフェート)、プロピレンビス(ジナフチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアリールホスフェート)、フェニレンビス(ジブチルホスフェート)、ビフェニレンビス(ジオクチルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアルキルホスフェート)、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ナフチレンビス(ジトルイルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアリールホスフェート)等のリン酸エステルが挙げられる。これらの置換基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていても良い。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでも良く、また置換基同志が共有結合で結合していても良い。
更にリン酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていても良く、また酸化防止剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。上記化合物の中では、リン酸アリールエステル、アリーレンビス(ジアリールホスフェート)が好ましく、具体的にはトリフェニルホスフェート、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。
エチレングリコールエステル系の可塑剤:具体的には、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート等のエチレングリコールアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジシクロプロピルカルボキシレート、エチレングリコールジシクロヘキルカルボキシレート等のエチレングリコールシクロアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジベンゾエート、エチレングリコールジ4−メチルベンゾエート等のエチレングリコールアリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていても良い。またアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基のミックスでも良く、またこれら置換基同志が共有結合で結合していても良い。更にエチレングリコール部も置換されていても良く、エチレングリコールエステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていても良く、また酸化防止剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
グリセリンエステル系の可塑剤:具体的にはトリアセチン、トリブチリン、グリセリンジアセテートカプリレート、グリセリンオレートプロピオネート等のグリセリンアルキルエステル、グリセリントリシクロプロピルカルボキシレート、グリセリントリシクロヘキシルカルボキシレート等のグリセリンシクロアルキルエステル、グリセリントリベンゾエート、グリセリン4−メチルベンゾエート等のグリセリンアリールエステル、ジグリセリンテトラアセチレート、ジグリセリンテトラプロピオネート、ジグリセリンアセテートトリカプリレート、ジグリセリンテトララウレート、等のジグリセリンアルキルエステル、ジグリセリンテトラシクロブチルカルボキシレート、ジグリセリンテトラシクロペンチルカルボキシレート等のジグリセリンシクロアルキルエステル、ジグリセリンテトラベンゾエート、ジグリセリン3−メチルベンゾエート等のジグリセリンアリールエステル等が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていても良い。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでも良く、またこれら置換基同志が共有結合で結合していても良い。更にグリセリン、ジグリセリン部も置換されていても良く、グリセリンエステル、ジグリセリンエステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていても良く、また酸化防止剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
多価アルコールエステル系の可塑剤:具体的には、特開2003−12823号公報の段落30〜33記載の多価アルコールエステル系可塑剤が挙げられる。
これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていても良い。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでも良く、またこれら置換基同志が共有結合で結合していても良い。更に多価アルコール部も置換されていても良く、多価アルコールの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていても良く、また酸化防止剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
ジカルボン酸エステル系の可塑剤:具体的には、ジドデシルマロネート(C1)、ジオクチルアジペート(C4)、ジブチルセバケート(C8)等のアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロペンチルサクシネート、ジシクロヘキシルアジーペート等のアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルサクシネート、ジ4−メチルフェニルグルタレート等のアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロヘキシル−1,2−シクロブタンジカルボキシレート、ジシクロプロピル−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニル−1,1−シクロプロピルジカルボキシレート、ジ2−ナフチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロプロピルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルフタレート、ジ4−メチルフェニルフタレート等のアリールジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また一置換でも良く、これらの置換基は更に置換されていても良い。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでも良く、またこれら置換基同志が共有結合で結合していても良い。更にフタル酸の芳香環も置換されていて良く、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でも良い。またフタル酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていても良く、酸化防止剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
多価カルボン酸エステル系の可塑剤:具体的には、トリドデシルトリカルバレート、トリブチル−meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロヘキシルトリカルバレート、トリシクロプロピル−2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート、テトラ3−メチルフェニルテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、テトラヘキシル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、テトラブチル−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、テトラシクロプロピル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、トリシクロヘキシル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート、ヘキサ4−メチルフェニル−1,2,3,4,5,6−シクロヘキシルヘキサカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、トリドデシルベンゼン−1,2,4−トリカルボキシレート、テトラオクチルベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロペンチルベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、テトラシクロヘキシルベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤トリフェニルベンゼン−1,3,5−テトラカルトキシレート、ヘキサ4−メチルフェニルベンゼン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また一置換でも良く、これらの置換基は更に置換されていても良い。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでも良く、またこれら置換基同志が共有結合で結合していても良い。更にフタル酸の芳香環も置換されていて良く、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でも良い。またフタル酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていても良く、酸化防止剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
(紫外線吸収剤)
液晶表示装置に用いる偏光板保護フィルムや他のフィルムには、紫外線吸収剤が含有されており、紫外線吸収剤は屋外で使用する際に液晶や偏光膜の劣化防止の役割をする。本発明の偏光板保護フィルムA、偏光板保護フィルムBにおいても紫外線吸収剤が好ましく用いられる。特に、偏光板保護フィルムAは紫外線吸収剤を含有することが好ましく、後述する高分子紫外線吸収剤を含有することが、本発明の効果を高める上でより好ましい。
紫外線吸収剤は波長370nm以下の紫外線を吸収する性能に優れ、かつ波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少なく、透過率が50%以上であることが好ましい。特に、波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、更に好ましくは5%以下である。本発明において、使用し得る紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることが出来るが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。光に対する安定性を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のTINUVIN109、TINUVIN171、TINUVIN326、TINUVIN327、TINUVIN328等を好ましく用いることが出来るが、低分子の紫外線吸収剤は使用量によっては可塑剤同様に製膜中にウェブに析出したり、揮発する場合があるので、その添加量は1〜10質量%である。
本発明においては、上記低分子の紫外線吸収剤より析出等が起こりにくい高分子紫外線吸収剤を、セルロースエステルフィルムに含有させることがより好ましく、寸法安定性、保留性、透湿性等を損なうことなく、またフィルム中で相分離することもなく安定した状態で紫外線を十分にカットすることが出来る。本発明に有用な高分子紫外線吸収剤としては、特開平6−148430号公報に記載されている高分子紫外線吸収剤や、紫外線吸収剤モノマーを含むポリマーは制限なく使用出来る。
特に、本発明では前記一般式(2)で表される紫外線吸収性モノマーから合成される紫外線吸収性共重合ポリマー(高分子紫外線吸収剤、またはポリマーUV剤ということがある)を含有していることが好ましい。
前記一般式(2)において、nは0〜3の整数を表し、nが2以上の時、複数のR5同士は同じであっても異なっていても良く、また互いに連結して5〜7員の環を形成していても良い。
1〜R5は、各々水素原子、ハロゲン原子又は置換基を表す。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、好ましくはフッ素原子、塩素原子である。また、置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基など)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基など)、ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基など)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アシル基(例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基など)、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基など)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基など)、アニリノ基(例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基など)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基など)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基など)、スルファモイルアミノ基(例えば、ジメチルスルファモイルアミノ基など)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、フェニルスルホニル基など)、スルファモイル基(例えば、エチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基など)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基など)、ウレイド基(例えば、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基など)、イミド基(例えば、フタルイミド基など)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ブチルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基など)等が挙げられるが、好ましくは、アルキル基、アリール基である。
一般式(2)において、R1〜R5で表される各基が、更に置換可能な基である場合、更に置換基を有していてもよく、また、隣接するR1〜R4が互いに連結して5〜7員の環を形成していてもよい。
6は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表すが、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基などが挙げられる。また、上記アルキル基は更にハロゲン原子、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、置換基としては、例えば、アシル基(例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基など)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基など)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基など)、ヒドロキシル基、シアノ基、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基など)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和環式炭化水素を挙げることが出来、これらは無置換でも、置換されていても良い。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−メチル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、オレイル基などが挙
げられるが、好ましくはビニル基、1−メチル−2−プロペニル基である。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、ブタジイル基、プロパルギル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−ブチニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニル基などが挙げられるが、好ましくは、エチニル基、プロパルギル基である。
一般式(2)において、Xは−COO−、−CONR7−、−OCO−又は−NR7CO−を表す。
7は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基を表すが、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基などが挙げられる。かかるアルキル基は、更にハロゲン原子、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、置換基としては、例えば、アシル基(例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基など)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基など)、アニリノ基(例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基など)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基など)、ヒドロキシル基、シアノ基、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基など)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和環式炭化水素を挙げることが出来、これらは無置換でも、置換されていても良い。
本発明でいう重合性基とは、不飽和エチレン系重合性基又は二官能系重縮合性基を意味するが、好ましくは不飽和エチレン系重合性基である。不飽和エチレン系重合性基の具体例としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、シアン化ビニル基、2−シアノアクリルオキシ基、1,2−エポキシ基、ビニルエーテル基などが挙げられるが、好ましくは、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基アクリルアミド基、メタクリルアミド基である。また、重合性基を部分構造として有するとは、上記重合性基が直接、若しくは2価以上の連結基によって結合していることを意味し、2価以上の連結基とは、例えば、アルキレン基(例えば、メチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、シクロヘキサン−1,4−ジイルなど)、アルケニレン基(例えば、エテン−1,2−ジイル、ブタジエン−1,4−ジイルなど)、アルキニレン基(例えば、エチン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイン−1,4−ジイルなど)、ヘテロ原子連結基(酸素、硫黄、窒素、ケイ素、リン原子など)が挙げられるが、好ましくは、アルキレン基、及び、ヘテロ原子で連結する基である。これらの連結基は更に組み合わせて複合基を形成してもよい。紫外線吸収性モノマーから誘導されるポリマーの重量平均分子量が2000以上30000以下であることが好ましく、より好ましくは5000以上20000以下である。
本発明に用いられる紫外線吸収性共重合ポリマーの重量平均分子量は、公知の分子量調節方法で調整することが出来る。そのような分子量調節方法としては、例えば四塩化炭素、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル等の連鎖移動剤を添加する方法等が挙げられる。重合温度は通常室温から130℃、好ましくは50℃から100℃で行われる。
本発明に用いられる紫外線吸収性共重合ポリマーは、紫外線吸収性モノマーのみの単重合体であっても、他の重合性モノマーとの共重合体であってもよいが、共重合可能な他の重合性モノマーとしては、例えば、スチレン誘導体(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレンなど)、アクリル酸エステル誘導体(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシルなど)、メタクリル酸エステル誘導体(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸シクロヘキシル等)、アルキルビニルエーテル(例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなど)、アルキルビニルエステル(例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなど)、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和化合物が挙げられる。好ましくは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニルである。
紫外線吸収性モノマーから誘導されるポリマー中の紫外線吸収性モノマー以外の共重合成分が、親水性のエチレン性不飽和モノマーを少なくとも1種含有することも好ましい。
親水性のエチレン性不飽和モノマーとしては、親水性で分子中に重合可能な不飽和二重結合を有するもので有れば特に制限されず、例えば、アクリル酸或いはメタクリル酸等の不飽和カルボン酸、若しくはヒドロキシル基又はエーテル結合を有する、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロピルメタクリレート、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸ジエチレングリコールエトキシレート、アクリル酸3−メトキシブチルなど)、アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン等が挙げられる。
親水性のエチレン性不飽和モノマーとしては、水酸基若しくはカルボキシル基を分子内に有する(メタ)アクリレートが好ましく、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルが特に好ましい。
これらの重合性モノマーは、1種、または2種以上併用して紫外線吸収性モノマーと共重合させることが出来る。
本発明に用いられる紫外線吸収性共重合ポリマーの重合方法は、特に問わないが、従来公知の方法を広く採用することが出来、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などが挙げられる。ラジカル重合法の開始剤としては、例えば、アゾ化合物、過酸化物等が挙げられ、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソブチル酸ジエステル誘導体、過酸化ベンゾイル、過酸化水素などが挙げられる。重合溶媒は特に問わないが、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、メタノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、水溶媒等が挙げられる。溶媒の選択により、均一系で重合する溶液重合、生成したポリマーが沈澱する沈澱重合、ミセル状態で重合する乳化重合、懸濁状態で重合する懸濁重合を行うことも出来る。但し、乳化重合によって得られる紫外線吸収性ラテックスは光学フィルム用途として適していない。
上記紫外線吸収性モノマー、これと共重合可能な重合性モノマー及び親水性のエチレン性不飽和モノマーの使用割合は、得られる紫外線吸収性共重合ポリマーと他の透明ポリマーとの相溶性、光学フィルムの透明性や機械的強度に対する影響を考慮して適宜選択される。
紫外線吸収性モノマーから誘導されるポリマー中の紫外線吸収性モノマーの含有量が1〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは、5〜60質量%である。紫外線吸収性ポリマーにおける紫外線モノマーの含有量が1質量%未満の場合、所望の紫外線吸収性能を満たそうとした場合に多量の紫外線吸収性ポリマーを使用しなければならず、ヘイズの上昇或いは析出などにより透明性が低下し、フィルム強度を低下させる要因となる。一方、紫外線吸収性ポリマーにおける紫外線モノマーの含有量が70質量%を超えた場合、他のポリマーとの相溶性が低下するため、透明な光学フィルムを得ることが出来ない。また、溶媒に対する溶解度が低くなり、フィルム作製の際の作業性、生産性が劣る。
親水性エチレン性不飽和モノマーは、上記紫外線吸収性共重合体中に、0.1〜50質量%含まれることが好ましい。0.1質量%以下では、親水性エチレン性不飽和モノマーによる相溶性の改良効果が現れず、50質量%より多いと共重合体の単離精製が困難となる。親水性エチレン性不飽和モノマーの更に好ましい含量は0.5〜20質量%である。紫外線吸収性モノマー自身に親水性基が置換している場合、親水性の紫外線吸収性モノマーと、親水性エチレン性不飽和モノマーの合計の含量が上記範囲内であることが好ましい。
紫外線吸収性モノマー及び親水性モノマーの好ましい含有量を満たすために、両者に加え、更に分子中に親水性基を有さないエチレン性不飽和モノマーを共重合させることが好ましい。
紫外線吸収性モノマー及び(非)親水性エチレン性不飽和モノマーは、各々2種以上混合して共重合させても良い。
以下、本発明に好ましく用いられる紫外線吸収性モノマーの代表例を例示するが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007292917
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本発明に用いられる紫外線吸収剤、紫外線吸収性モノマー及びその中間体は公知の文献を参照して合成することが出来る。例えば、米国特許第3,072,585号、同3,159,646号、同3,399,173号、同3,761,272号、同4,028,331号、同5,683,861号、ヨーロッパ特許第86,300,416号、特開昭63−227575号、同63−185969号、Polymer Bulletin.V.20(2)、169−176及びChemical Abstracts V.109、No.191389などを参照して合成することが出来る。
本発明に用いられる紫外線吸収剤及び紫外線吸収性ポリマーは、他の透明ポリマーに混合する際に、必要に応じて低分子化合物若しくは高分子化合物、無機化合物などを一緒に用いることも出来る。例えば、本発明に用いられる紫外線吸収剤と他の低分子紫外線吸収剤とを同時に他の透明ポリマーに混合したり、本発明に用いられる紫外線吸収性ポリマーと他の低分子紫外線吸収剤とを、同時に他の透明ポリマーに混合することも好ましい態様の一つである。同様に、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤などの添加剤を同時に混合することも好ましい態様の一つである。
セルロースエステルフィルムへの本発明に用いられる紫外線吸収剤及び紫外線吸収性ポリマーの添加方法は、セルロースエステルフィルム中に含有させてもよいし、セルロースエステルフィルム上に塗布してもよい。セルロースエステルフィルム中に含有させる場合、直接添加してもインライン添加してもいずれでも構わない。インライン添加は、予め有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、メチレンクロライドなど)に溶解させた後、インラインミキサー等でドープ組成中に添加する方法である。
本発明に用いられる紫外線吸収剤及び紫外線吸収性ポリマーの使用量は、化合物の種類、使用条件などにより一様ではないが、紫外線吸収剤である場合には、セルロースエステルフィルム1m2当たり0.2〜3.0gが好ましく、0.4〜2.0が更に好ましく、0.5〜1.5が特に好ましい。また、紫外線吸収ポリマーである場合には、セルロースエステルフィルム1m2当たり0.6〜9.0gが好ましく、1.2〜6.0が更に好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。
更に、液晶劣化防止の観点から、波長380nm以下の紫外線吸収性能に優れ、かつ、良好な液晶表示性の観点から、400nm以上の可視光吸収が少ないものが好ましい。本発明においては、特に、波長380nmでの透過率が8%以下であることが好ましく、4%以下が更に好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
本発明に用いることの出来る市販品としての紫外線吸収剤モノマーとして、UVM−1の1−(2−ベンゾトリアゾール)−2−ヒドロキシ−5−(2−ビニルオキシカルボニルエチル)ベンゼン、大塚化学社製の反応型紫外線吸収剤RUVA−93の1−(2−ベンゾトリアゾール)−2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)ベンゼンまたはこの類似化合物がある。これらを単独又は共重合したポリマーまたはコポリマーも好ましく用いられるが、これらに限定されない。例えば、市販品の高分子紫外線吸収剤として、大塚化学(株)製のPUVA−30Mも好ましく用いられる。紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソラン、酢酸メチルなどの有機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してから添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
また、本発明のセルロースエステルフィルムには、酸化防止剤を含有していてもよい。例えば特開平5−197073号公報に記載されているような、過酸化物分解剤、ラジカル連鎖禁止剤、金属不活性剤または酸捕捉剤を含有していてもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
また本発明において、セルロースエステルフィルム中に、微粒子のマット剤を含有するのが好ましく、微粒子のマット剤としては、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を含有させることが好ましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さく出来るので好ましい。微粒子の2次粒子の平均粒径は0.01〜1.0μmの範囲で、その含有量はセルロースエステルに対して0.005〜0.3質量%が好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子には有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下出来るため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類(特にメチル基を有するアルコキシシラン類)、シラザン、シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均粒径が大きい方がマット効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50nmで、より好ましくは7〜16nmである。これらの微粒子はセルロースエステルフィルム中では、通常、凝集体として存在しセルロースエステルフィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させることが好ましい。二酸化ケイ素の微粒子としてはアエロジル(株)製のAEROSIL 200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812,OX50、TT600等を挙げることが出来、好ましくはAEROSIL 200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらのマット剤は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することが出来る。この場合、平均粒径や材質の異なるマット剤、例えばAEROSIL 200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9〜0.1の範囲で使用出来る。
次に、本発明の偏光板保護フィルムA及び、位相差板機能を有する場合の偏光板保護フィルムBの製造方法について述べる。
本発明におけるセルロースエステルドープの調製方法について述べる。セルロースエステルに対する良溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中でフレーク状のセルロースエステルを攪拌しながら溶解し、ドープを形成する。溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号、同9−95557号または同9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法がある。溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送る。ドープ中のセルロースエステルの濃度は10〜35質量%程度である。更に好ましくは、15〜25質量%である。本発明に有用な前記ポリマーをセルロースエステルドープ中に含有させるには、予め有機溶媒に該ポリマーを溶解してから添加、セルロースエステルドープに直接添加等、添加方法については、制限なく行うことが出来る。この場合、ポリマーがドープ中で白濁したり、相分離したりしないように添加する。添加量については、前記の通りである。
セルロースエステルに対する良溶媒としての有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、アセトン、シクロヘキサノン、アセト酢酸メチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、塩化メチレン、ブロモプロパン等を挙げることが出来、酢酸メチル、アセトン、塩化メチレンを好ましく用いられる。しかし最近の環境問題から非塩素系の有機溶媒の方が好ましい傾向にある。また、これらの有機溶媒に、メタノール、エタノール、ブタノール等の低級アルコールを併用すると、セルロースエステルの有機溶媒への溶解性が向上したりドープ粘度を低減出来るので好ましい。特に沸点が低く、毒性の少ないエタノールが好ましい。本発明に係るドープに使用する有機溶媒は、セルロースエステルの良溶媒と貧溶媒を混合して使用することが、生産効率の点で好ましく、良溶媒と貧溶媒の混合比率の好ましい範囲は、良溶媒が70〜98質量%であり、貧溶媒が2〜30質量%である。本発明に用いられる良溶媒、貧溶媒とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶媒、単独では溶解しないものを貧溶媒と定義している。本発明に係るドープに使用する貧溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、アセトン、シクロヘキサノン等を好ましく使用し得る。本発明にに係るポリマーに対しても、有機溶媒の選定は、セルロースエステルの良溶媒を用いるのが好ましい。前記のように、低分子可塑剤を使用する場合には、通常の添加方法で行うことが出来、ドープ中に直接添加しても、予め有機溶媒に溶解してからドープ中に注ぎ入れてもよい。
本発明において、前記のような種々の添加剤をセルロースエステルドープに添加する際、セルロースエステルドープと各種添加剤を少量のセルロースエステルとを溶解させた溶液にしてインライン添加し混合を行うことも出来好ましい。例えば、スタチックミキサーSWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)(東レエンジニアリング製)のようなインラインミキサーを使用するのが好ましい。インラインミキサーを用いる場合、セルロースエステルを高圧下で濃縮溶解したドープに適用するのが好ましく、加圧容器の種類は特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることが出来、加圧下で加熱、攪拌が出来ればよい。
本発明において、セルロースエステルドープは濾過することによって異物、特に液晶表示装置において、画像と認識しまごう異物は除去しなければならい。偏光板保護フィルムの品質は、この濾過によって決まるといってよい。濾過に使用する濾材は絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生しやすく、濾材の交換を頻繁に行わなければならず、生産性を低下させるという問題点ある。このため、本発明のセルロースエステルドープの濾材は、絶対濾過精度0.008mm以下のものが好ましく、0.001〜0.008mmの範囲がより好ましく、0.003〜0.006mmの範囲の濾材が更に好ましい。濾材の材質には特に制限はなく、通常の濾材を使用することが出来るが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック繊維製の濾材やステンレス繊維等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。本発明のセルロースエステルドープの濾過は通常の方法で行うことが出来るが、溶媒の常圧での沸点以上でかつ溶媒が沸騰しない範囲の温度で加圧下加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の差圧(以下、濾圧とすることがある)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度範囲は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃の範囲であることが更に好ましい。濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6×106Pa以下であることが好ましく、1.2×106Pa以下であることがより好ましく、1.0×106Pa以下であることが更に好ましい。原料のセルロースにアシル基の未置換若しくは低酢化度のセルロースエステルが含まれていると異物故障(以下輝点とすることがある)が発生することがある。輝点は直交状態(クロスニコル)の2枚の偏光板の間にセルロースエステルフィルムを置き、光を片側から照射して、その反対側から光学顕微鏡(50倍)で観察すると、正常なセルロースエステルフィルムであれば、光が遮断されていて、黒く何も見えないが、異物があるとそこから光が漏れて、スポット状に光って見える現象である。輝点の直径が大きいほど液晶画像表示装置とした場合実害が大きく、50μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましく、更に8μm以下が好ましい。尚、輝点の直径とは、輝点を真円に近似して測定する直径を意味する。輝点は上記の直径のものが400個/cm2以下であれば実用上問題ないが、300個/cm2以下が好ましく、200個/cm2以下がより好ましい。このような輝点の発生数及び大きさを減少させるために、細かい異物を十分濾過する必要がある。また、特開2000−137115号公報に記載のような、一度製膜したセルロースエステルフィルムの粉砕品をドープにある割合再添加して、セルロースエステル及びその添加剤の原料とする方法は輝点を低減することが出来るため好ましく用いることが出来る。
次に、セルロースエステルドープを金属支持体上に流延する工程、金属支持体上での乾燥工程及びウェブを金属支持体から剥離する剥離工程について述べる。金属支持体は無限に移行する無端の金属ベルト或いは回転する金属ドラムであり、その表面は鏡面となっている。流延工程は、上記の如きドープを加圧型定量ギヤポンプを通して加圧ダイに送液し、流延位置において、金属支持体上に加圧ダイからドープを流延する工程である。その他の流延する方法は流延されたドープ膜をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、或いは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット形状を調整出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、金属支持体の速度等をコントロールするのがよい。
金属支持体上での乾燥工程は、ウェブ(金属支持体上に流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)を支持体上で加熱し溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側及び支持体裏側から加熱風を吹かせる方法、支持体の裏面から加熱液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等がある。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。また、ウェブの膜厚が薄ければ乾燥が早い。金属支持体の温度は全体が同じでも、位置によって異なっていてもよい。
本発明に適した金属支持体上での乾燥方法は、例えば、金属支持体温度を0〜40℃、好ましくは5〜30℃として流延するのが好ましい。ウェブに当てる乾燥風は30〜45℃程度が好ましいが、これに限定されない。
剥離工程は、金属支持体上で有機溶媒を蒸発させて、金属支持体が一周する前にウェブを剥離する工程で、その後ウェブは乾燥工程に送られる。金属支持体からウェブを剥離する位置のことを剥離点といい、また剥離を助けるロールを剥離ロールという。ウェブの厚さにもよるが、剥離点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりすることがある。通常、残留溶媒量が20〜180質量%でウェブの剥離が行われる。本発明において好ましい剥離残留溶媒量は20〜40質量%または60〜150質量%で、特に好ましくは80〜140質量%である。製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが出来る)として、残留溶媒量が多くとも剥離出来るゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。その方法としては、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。また、ドープ中に金属塩を加える方法もある。支持体上でゲル化させ膜を強くすることによって、剥離を早め製膜速度を上げることが出来る。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易く、経済速度と品質との兼ね合いで残留溶媒量を決められる。
本発明で用いる残留溶媒量は下記の式で表せる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、支持体より剥離したフィルムを更に乾燥し、残留溶媒量を2.0質量%以下にすることが好ましい、より好ましくは1.0質量%、更に好ましくは、0.5質量%以下である。
ウェブ乾燥工程ではロールを千鳥状に配置したロール乾燥装置、ウェブの両端をクリップで把持しながら、幅保持或いは若干幅方向に延伸するテンター乾燥装置でウェブを搬送しながら乾燥する方式が採られる。本発明においては、テンター乾燥装置支持体より剥離した後任意の過程で、また任意の残留溶媒量の多いところで、幅保持または延伸することによって光学性能の湿度安定性を良好ならしめるため特に好ましい。ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点で熱風で行うのが好ましい。乾燥温度は40〜180℃の範囲で段階的に高くしていくことが好ましく、50〜160℃の範囲で行うことが更に好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムは、平面性確保のため、MD(フィルム搬送方向)/TD(搬送方向に垂直方向)共に1%以上延伸することが好ましい。面内に位相差を持たないフィルムを作製する場合にはMD延伸率とTD延伸率は近いことが好ましい。
尚、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することが好ましい。また、二軸延伸を行う場合にも同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
本発明に係る偏光板保護フィルムBは、垂直配向モードの液晶表示装置に用いられる偏光板に適用される場合は、位相差板機能を有していることが好ましい。
液晶ディスプレイは、異方性を持つ液晶材料や偏光板を使用するために正面から見た場合に良好な表示が得られても、斜めから見ると表示性能が低下するという視野角の問題があり、性能向上のためにも視野角補償板が必要である。平均的な屈折率分布はセルの厚み方向で大きく、面内方向でより小さいものとなっている。その為位相差板としては、この異方性を相殺できるもので、膜厚方向の屈折率が面内方向より小さな屈折率を持つ、いわゆる負の一軸性構造を持つものが有効である。
本発明に係る偏光板保護フィルムBは、下記式で定義されるリターデーション値Roが23℃、55%RHの条件下で20〜300nm、Rthが23℃、55%RHの条件下で70〜400nmである位相差板機能を有するフィルム(位相差フィルムともいう)であることが好ましい。
更に、リターデーション値Roは30〜100nm、Rthは80〜250nmの範囲であることが好ましい。
式(i) Ro=(nx−ny)×d
式(ii) Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
(ここで、セルロースエステルフィルムの面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸に直交する方向の屈折率をny、フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。)
尚、リターデーション値Ro、Rthは自動複屈折率計を用いて測定することが出来る。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることが出来る。
本発明に係る位相差フィルムを作製する為の延伸工程(テンター工程ともいう)の一例を、図2を用いて説明する。
図2において、工程Aでは、図示されていないフィルム搬送工程D0から搬送されてきたフィルムを把持する工程であり、次の工程Bにおいて、図1に示すような延伸角度でフィルムが幅手方向(フィルムの進行方向と直交する方向)に延伸され、工程Cにおいては、延伸が終了し、フィルムが把持したまま搬送される工程である。
フィルム剥離後から工程B開始前及び/または工程Cの直後に、フィルム幅方向の端部を切り落とすスリッターを設けることが好ましい。特に、A工程開始直前にフィルム端部を切り落とすスリッターを設けることが好ましい。幅手方向に同一の延伸を行った際、特に工程B開始前にフィルム端部を切除した場合とフィルム端部を切除しない条件とを比較すると、前者がより配向角分布を改良する効果が得られる。
これは、残留溶媒量の比較的多い剥離から幅手延伸工程Bまでの間での長手方向の意図しない延伸を抑制した効果であると考えられる。
テンター工程において、配向角分布を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設ける事も好ましい。
尚、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することが好ましい。また、二軸延伸を行う場合にも同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。即ち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
・幅手方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
また、同時2軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。同時2軸延伸の好ましい延伸倍率は幅方向に×1.05〜×1.5倍で長手方向(流延方向)に×0.8〜×1.3倍であり、特に幅方向に×1.1〜×1.5倍、長手方向に×0.8〜×0.99倍とすることが好ましい。特に好ましくは幅方向に×1.1〜×1.4倍、長手方向に×0.9〜×0.99倍である。
また、本発明における「延伸方向」とは、延伸操作を行う場合の直接的に延伸応力を加える方向という意味で使用する場合が通常であるが、多段階に二軸延伸される場合に、最終的に延伸倍率の大きくなった方(即ち、通常遅相軸となる方向)の意味で使用されることもある。特に、寸法変化率に関する記載の場合の単に「延伸方向」という表現の場合には主として後者の意味で使用される。残留溶媒量は前記式により表される。
フィルムを幅手方向に延伸する場合には、フィルムの幅手方向で光学遅相軸の分布(以下、配向角分布)が悪くなることはよく知られている。RthとRoの値を一定比率とし、かつ、配向角分布を良好な状態で幅手延伸を行うため、工程A、B、Cで好ましいフィルム温度の相対関係が存在する。工程A、B、C終点でのフィルム温度をそれぞれTa℃、Tb℃、Tc℃とすると、Ta≦Tb−10であることが好ましい。また、Tc≦Tbであることが好ましい。Ta≦Tb−10かつ、Tc≦Tbであることが更に好ましい。
工程Bでのフィルム昇温速度は、配向角分布を良好にするために、0.5〜10℃/sの範囲が好ましい。
工程Bでの延伸時間は、短時間である方が好ましいが、フィルムの均一性の観点から、最低限必要な延伸時間の範囲が規定される。具体的には1〜10秒の範囲であることが好ましく、4〜10秒がより好ましい。また、工程Bの温度は40〜180℃、好ましくは120〜160℃である。
上記テンター工程において、熱伝達係数は一定でもよいし、変化させてもよい。熱伝達係数としては、41.9〜419×103J/m2hrの範囲の熱伝達係数を持つことが好ましい。更に好ましくは、41.9〜209.5×103J/m2hrの範囲であり、41.9〜126×103J/m2hrの範囲が最も好ましい。
上記工程Bでの幅手方向への延伸速度は、一定で行ってもよいし、変化させてもよい。延伸速度としては、50〜500%/minが好ましく、更に好ましくは100〜400%/min、200〜300%/minが最も好ましい。
テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ない事が、フィルムの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。上記温度分布を少なくすることにより、フィルムの幅手での温度分布も小さくなることが期待出来る。
工程Cに於いては、幅方向に緩和する事が好ましい。具体的には、前工程のフィルム幅に対して95〜99.5%の範囲になるようにフィルム幅を調整する事が好ましい。
テンター工程で処理した後、更に後乾燥工程(以下、工程D1)を設けるのが好ましい。50〜140℃で行うのが好ましい。更に好ましくは、80〜140℃の範囲であり、最も好ましくは110〜130℃の範囲である。
工程D1で、フィルムの幅方向の雰囲気温度分布が少ない事は、フィルムの均一性を高める観点から好ましい。±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
工程D1でのフィルム搬送張力は、ドープの物性、剥離時及び工程D0での残留溶媒量、工程D1での温度などに影響を受けるが、80〜200N/mが好ましく、90〜180N/mが更に好ましい。100〜150N/mが最も好ましい。
工程D1での搬送方向へフィルムの伸びを防止する目的で、テンションカットロールを設けることが好ましい。乾燥終了後、巻き取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。
セルロースエステルフィルムの膜厚は薄い方が出来上がった偏光板が薄くなり、液晶ディスプレイの薄膜化が容易になるため好ましいが、薄過ぎると、透湿度や、引き裂き強度などが劣化する。
本発明に係る偏光板保護フィルムAの膜厚は、特に制限されるものではないが、好ましくは乾燥、延伸等の処理が終わった後の膜厚で10〜500μmが好ましく、20〜120μmがより好ましく、30〜80μmが特に好ましい。
偏光板保護フィルムBの膜厚は本発明の効果を得る為に30〜60μmの範囲であることが必要である。30〜60μmの範囲内である場合に、バックライト長時間照射条件においても、周辺光漏れやコントラストむらが起こらない耐久性に優れた偏光板が得られる。この理由は定かではないが、偏光板保護フィルムAは棒状粒子を含有するため、フィルム膜の寸法変化率の温度依存性が、偏光板保護フィルムBのような棒状粒子なしのものに対し小さくなっていると思われる。一方、バックライト長時間照射条件での偏光板保護フィルムBの温度は膜厚によって異なるため、寸法変化率も膜厚によって異なると思われる。従って、偏光板保護フィルムAとBの寸法変化率のバランスで偏光板に反りが発生しないような偏光板保護フィルムBの膜厚の適正範囲があるものと考えられる。本発明者らの検討によれば、本発明の場合、実際に偏光板保護フィルムBの膜厚が30μm未満あるいは60μmより大きい場合に、バックライト長時間照射条件で偏光板に反りが生じ、光漏れ、コントラストむらが生じた。
本発明の構成により、平面性にも優れた偏光板保護フィルムが得られるため、広幅のセルロースエステルフィルムで著しい効果が認められる。特に幅1.4〜4mのものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.4〜2mである。
(偏光板)
本発明の偏光板について述べる。
偏光板は一般的な方法で作製することが出来る。本発明の偏光板保護フィルムAの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した偏光板保護フィルムAを、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には偏光板保護フィルムBを同様に裏面側をアルカリ鹸化処理して偏光膜に貼合する。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す光吸収性素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。
また、エチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールも好ましく用いられる。中でも熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。
このエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムを用いた偏光膜は、偏光性能および耐久性能に優れているうえに、色斑が少なく、大型液晶表示装置に特に好ましく用いられる。
偏光膜は一軸方向(通常は長手方向)に延伸されているため、偏光板を高温高湿の環境下に置くと延伸方向(通常は長手方向)は縮み、延伸と垂直方向(通常は幅方向)には伸びる。偏光板保護用フィルムの膜厚が薄くなるほど偏光板の伸縮率は大きくなり、特に偏光膜の延伸方向の収縮量が大きい。通常、偏光膜の延伸方向は偏光板保護用フィルムの流延方向(MD方向)と貼り合わせるため、偏光板保護用フィルムを薄膜化する場合は、特に流延方向の伸縮率を抑える事が重要である。本発明に係る偏光板保護フィルムは極めて寸法安定に優れる為、偏光板用途として好適に使用される。
即ち60℃、90%RHの条件での耐久性試験によっても波打ち状のむらが増加することはなく、耐久性試験後に視野角特性が変動することない良好な視認性を提供することが出来る。
(液晶表示装置)
本発明の偏光板を液晶表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の液晶表示装置を作製することが出来る。本発明の偏光板保護フィルムは反射型、透過型、半透過型LCD或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(垂直配向モード:PVA型、MVA型)等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。特にVA型に用いられることが好ましく、VA型の30型以上の大画面の液晶表示装置で、コントラストが高く、色むらや波打ちむらが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
液晶表示装置に本発明の偏光板保護フィルムを設置する場合、駆動用液晶セルの両側に位置する一対の基板の上下に配置された上側偏光素子と下側偏光素子が通常構成されるが、偏光板保護フィルムAは下側偏光素子のバックライト側に設置されることが好ましい。本発明の偏光板保護フィルムBは、駆動用液晶セルと下側偏光素子の間に設置されることが好ましい。
(横電界スイッチングモード型液晶表示装置)
本発明に係る偏光板保護フィルムBは、横電界スイッチングモード型(IPSモード型ともいう)液晶表示装置に用いられる偏光板保護フィルム用としても適しており、その場合、偏光板保護フィルムBのリターデーション値Ro、Rthが0nm≦Ro≦2nm、かつ−15nm≦Rth≦15nmの範囲にあることが好ましい。更に好ましくは0nm≦Ro≦0.5nm、かつ−15nm≦Rth≦5nmである。
本発明の偏光板保護フィルムBは、セルロースエステルと、分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと分子内に芳香環を有せず、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上30000以下のポリマーXと、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下のポリマーYとを含有することが好ましい。
〈ポリマーX、ポリマーY〉
一般にモノマー中、特に主鎖に芳香環を有する物質はセルロースエステルの複屈折性と同様に正の複屈折性を持つことが知られており、セルロースエステルフィルムのリターデーション値Rthを打ち消さないため、負の複屈折性を持つ材料をフィルム中に添加することが好ましい。
本発明に用いられるポリマーXは分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと分子内に芳香環を有せず、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上30000以下のポリマーであり、下記一般式(3)で表されるポリマーであることが好ましい。更に30℃下にて固体であるか、もしくはガラス転移温度が35℃以上であることが好ましい。
一般式(3)
−[CH2−C(−R1)(−OCOR2)]m−[CH2(−CR3)(−OCOR4−OH)−]n
(式中、R1、R3は、HまたはCH3、R2、R4はCH2またはC24またはC36を表し、m、nは繰り返し単位を表す)
本発明に用いられるポリマーXを構成するモノマー単位としてのモノマーを下記に挙げるがこれに限定されない。
分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることが出来る。中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル(i−、n−)であることが好ましい。
分子内に芳香環を有せず、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbは、水酸基を有するモノマー単位として、アクリル酸またはメタクリル酸エステルが好ましく、例えば、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、またはこれらアクリル酸をメタクリル酸に置き換えたものを挙げることが出来、好ましくは、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)及びメタクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)である。
本発明では、上記疎水性モノマーXaと親水性モノマーXbを用いて共重合によりポリマーXを合成する。
疎水性モノマーXaと親水性モノマーXbの合成時の使用比率は99:1〜65:35の範囲が好ましく、更に好ましくは95:5〜75:25の範囲である。疎水性モノマーXaの使用比率が多いとセルロースエステルとの相溶性が良化するがフィルム厚み方向のリターデーション値Rthが大きくなる。親水性モノマーXbの使用比率が多いと上記相溶性が悪くなるが、リターデーション値Rthを低減させる効果が高い。また、親水性モノマーXbの使用比率が上記範囲を超えると製膜時にヘイズが出る為好ましくない。
このようなポリマーを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量をあまり大きくしない方法で出来るだけ分子量を揃えることの出来る方法を用いることが望ましい。かかる重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、更に特開2000−128911号または同2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることが出来、何れも本発明において好ましく用いられる。
ポリマーXの水酸基価は30〜150[mgKOH/g]であることが好ましい。
ポリマーXの分子量は重量平均分子量が2000以上30000以下であり、更に好ましくは4000以上25000以下である。
分子量が大きいことにより、偏光板保護フィルムの、高温高湿下における寸法変化が少ない、カールが少ない等の利点があり好ましい。重量平均分子量が30000以下であると、セルロースエステルとの相溶性が良く、高温高湿下においてのブリードアウト、さらには製膜直後でのヘイズが良好である。ポリマーXが室温(23℃)で固体であると、特に偏光板の寸法安定性が改善されるため好ましい。
本発明に用いられるポリマーXの重量平均分子量は、公知の分子量調節方法で調整することが出来る。そのような分子量調節方法としては、例えば四塩化炭素、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル等の連鎖移動剤を添加する方法等が挙げられる。また、重合温度は通常室温から130℃、好ましくは50℃から100℃で行われるが、この温度または重合反応時間を調整することで可能である。
重量平均分子量の測定方法は下記方法によることが出来る。
(分子量測定方法)
重量平均分子量の測定は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定する。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
また、本発明に用いられるポリマーYは芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下のポリマーであり、下記一般式(4)で表されるポリマーであることが好ましく、ガラス転移温度が35℃以下、さらには23℃下において液状であることが好ましい。重量平均分子量500未満のポリマーは残存モノマーが多くなってしまい作製が困難であり、3000以下であるポリマー、低ガラス転移温度物質、液状物質では、リターデーションRth低下性能が高く好ましい。
また、本発明に用いられるポリマーYは芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下のポリマーであり、下記一般式(4)で表されるポリマーであることが好ましい。重量平均分子量500未満のポリマーは残存モノマーが多くなってしまい作製が困難であり、3000より大きなポリマーでは、リターデーションRth低下性能が不足するため、いずれも好ましくない。
一般式(4)
Ry−[CH2−C(−R5)(−OCOR6)]k−OH
(式中、Ryは、OHまたはHまたは炭素数3以内のアルキル、R5は、HまたはCH3、R6はCH2またはC24またはC36を表し、kは繰り返し単位を表す)
芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマーYを構成するエチレン性不飽和モノマーYaは:ビニルエステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル等;アクリル酸エステルとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、メタクリル酸エステルとして、上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたもの;不飽和酸として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等を挙げることが出来る。上記モノマーで構成されるポリマーはコポリマーでもホモポリマーでもよく、ビニルエステルのホモポリマー、ビニルエステルのコポリマー、ビニルエステルとアクリル酸またはメタクリル酸エステルとのコポリマーが好ましい。
芳香環を有さないアクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることが出来る。
アクリル系ポリマーは上記モノマーのホモポリマーまたはコポリマーであるが、アクリル酸メチルエステルモノマー単位が30質量%以上を有していることが好ましく、また、メタクリル酸メチルエステルモノマー単位が40質量%以上有することが好ましい。特にアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルのホモポリマーが好ましい。
上述のエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、アクリル系ポリマー、は何れもセルロースエステルとの相溶性に優れ、蒸発や揮発もなく生産性に優れ、偏光板用保護フィルムとしての保留性がよく、透湿度が小さく、寸法安定性に優れている。
ポリマーXとポリマーYのセルロースエステルフィルム中での含有量は、下記式(1)、式(2)を満足する範囲であることが好ましい。ポリマーXの含有量をXg(質量%)、ポリマーYの含有量をYg(質量%)とすると、
式(1) 5≦Xg+Yg≦35(質量%)
式(2) 0.05≦Yg/(Xg+Yg)≦0.4
式(1)の好ましい範囲は、10〜25質量%である。
ポリマーXとポリマーYは総量として5質量%以上でないと、リターデーション値Rthの低減が十分でない。また、総量として35質量%以下でないと、偏光素子PVAとの接着性が損なわれる。
ポリマーXを多くするとリターデーション値Rthが増加する傾向になる為、上記式(ii)を満足する範囲が、本発明の効果を得る上で好ましい。
ポリマーXとポリマーYは前記したドープ液を構成する素材として直接添加、溶解するか、もしくはセルロースエステルを溶解する有機溶媒に予め溶解した後ドープ液に添加することが出来る。
〈横電界スイッチングモード型液晶表示装置〉
上記本発明に係る偏光板保護フィルムBを市販のIPS(In Plane Switching)モード型液晶表示装置に組み込むことによって、視認性に優れ、視野角が拡大された本発明の液晶表示装置を作製することが出来る。
本発明の横電界スイッチングモードとは、フリンジ電場スイッチング(FFS:Fringe−Field Switching)モードも本発明に含み、IPSモードと同様に本発明の偏光板を組み込むことができ、同様の効果をもつ本発明の液晶表示装置を作製することが出来る。
液晶表示装置に本発明の偏光板保護フィルムを設置する場合、駆動用液晶セルの両側に位置する一対の基板の上下に配置された上側偏光素子と下側偏光素子が通常構成されるが、このとき該基板と上側若しくは下側偏光素子のどちらか一方の間、または該基板と上側及び下側偏光素子のそれぞれ間に本発明のセルロースエステルフィルムが少なくとも1枚設置される。本発明の偏光板保護フィルムBは、駆動用液晶セルと下側偏光素子の間に設置されることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《偏光板保護フィルムAの作製》
用いる可塑剤、紫外線吸収剤、粒子について表1に示す。
Figure 2007292917
下記ドープ液100質量部を、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、残留溶媒量が110%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体から剥離した。剥離の際に張力をかけて縦(MD)延伸倍率が1.1倍となるように延伸し、次いで、テンターでウェブ両端部を把持し、幅手(TD)方向の延伸倍率が1.1倍となるように延伸した。延伸開始時の残留溶媒は30%であった。延伸後、その幅を維持したまま数秒間保持し、幅方向の張力を緩和させた後幅保持を解放し、更に125℃に設定された第3乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行い、幅1.5m、かつ端部に幅1cm、高さ8μmのナーリングを有する膜厚40μm、巻き長3000mの偏光板保護フィルムAである偏光板保護フィルム101を作製した。
〈ドープ101の組成〉
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート;アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.7、総アシル基置換度2.6) 100質量部
可塑剤(A) 5.5質量部
可塑剤(C) 5.5質量部
紫外線吸収剤(A) 1.2質量部
紫外線吸収剤(B) 0.8質量部
粒子(A) 2質量部
ドープ(可塑剤、紫外線吸収剤、粒子の種類)を表2に記載のように変更した以外は、偏光板保護フィルム101と同様にして、偏光板保護フィルム102〜109を作製した。
尚、偏光板保護フィルム107のみ、セルロースアセテートプロピオネートの代わりにセルロースアセテートブチレート(アセチル基置換度1.8、ブチリル基置換度0.7)を100質量部使用した。
また、粒子のアスペクト比は以下の測定法により行った。
〈粒子のアスペクト比の測定〉
エタノール等の溶媒に分散した粒子を透過型電子顕微鏡で2万倍で撮影しその画像をキャノン(株)製のスキャナCanoScan FB 636Uを用い300dpi モノクロ256階調で読み込み、読み込んだ画像はエプソンダイレクト(株)製のパソコンであるEndeavor Pro720L(CPU;Athlon−1GHz、メモリ;512MB)にインストールした画像処理ソフトWinROOF ver3.60(三谷商事(株)製)に取り込んだ。取り込んだ画像について粒子の画像抽出を行い、粒子の画像抽出後の画面で300個以上の粒子があることを確認し、もし抽出が十分でない場合は検出レベルの手動調整を行い、300個以上の粒子が検出、抽出されるよう調整を行った。このようにして抽出処理した画像データの各々の粒子について、絶対最大長/対角幅の測定を行い、各々300個以上の粒子に対する平均絶対最大長/平均対角幅を求め、平均アスペクト比を算出した。
アスペクト比=絶対最大長/対角幅
対角幅とは、絶対最大長に平行な2本の直線で投影された粒子の像をはさんだときの2直線間の最短距離をいう。
Figure 2007292917
また、粒子を添加して作製した偏光板保護フィルムAの水準において、フィルム面を走査型電子顕微鏡で観察し、個々の粒子が均一に分散されていることを確認した。
《偏光板保護フィルムBの作製》
(偏光板保護フィルム201〜205の作製)
〈微粒子分散液〉
微粒子(アエロジルR972V(日本アエロジル株式会社製)) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクにセルロースエステルAを添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。濾過後のセルロースエステル溶液を充分に攪拌しながら、ここに上記微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート;アセチル基置換度1.6、プロピオニル基置換度0.8、総アシル基置換度2.4) 4質量部
微粒子分散液 11質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、更に可塑剤及び紫外線吸収剤を添加、溶解させた。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
主ドープ液100質量部と微粒子添加液5質量部となるように加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、残留溶媒量が110%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体から剥離した。剥離の際に張力をかけて縦(MD)延伸倍率が1.1倍となるように延伸し、次いで、テンターでウェブ両端部を把持し、幅手(TD)方向の延伸倍率が1.3倍となるように延伸した。延伸後、その幅を維持したまま数秒間保持し、幅方向の張力を緩和させた後幅保持を解放し、更に125℃に設定された第3乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行い、幅1.5m、かつ端部に幅1cm、高さ8μmのナーリングを有する膜厚40μm、巻き長3000mの偏光板保護フィルム201を作製した。
〈ドープ201の組成〉
メチレンクロライド 390質量部
エタノール 80質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート;アセチル基置換度1.6、プロピオニル基置換度0.8、総アシル基置換度2.4) 100質量部
可塑剤(A) 5.5質量部
可塑剤(C) 5.5質量部
紫外線吸収剤(A) 1.2質量部
紫外線吸収剤(B) 0.8質量部
膜厚を表3に記載のように変更した以外は同様にして偏光板保護フィルム202〜205を作製した。尚、膜厚は変化させたが紫外線吸収剤の付き量は一定とした。
(偏光板保護フィルム206〜210の作製)
〈ポリマーXの合成〉
攪拌機、2個の滴下ロート、ガス導入管および温度計の付いたガラスフラスコに、表4記載の種類及び比率のモノマーXa、Xb混合液40g、連鎖移動剤のメルカプトプロピオン酸2gおよびトルエン30gを仕込み、90℃に昇温した。その後、一方の滴下ロートから、表4記載の種類及び比率のモノマーXa、Xb混合液60gを3時間かけて滴下すると共に、同時にもう一方のロートからトルエン14gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.4gを3時間かけて滴下した。その後さらに、トルエン56gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.6gを2時間かけて滴下した後、さらに2時間反応を継続させ、ポリマーXを得た。得られたポリマーXは常温で固体であった。ポリマーXの重量平均分子量は下記測定法により表4に示した。
尚、表4記載の、MMA、HEAはそれぞれ以下の化合物の略称である。
MMA:メタクリル酸メチル
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
(分子量測定)
重量平均分子量の測定は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
〈ポリマーYの合成〉
特開2000−128911号公報に記載の重合方法により塊状重合を行った。すなわち、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、投入口及び環流冷却管を備えたフラスコにモノマーYaとして、下記メチルアクリレート(MA)を投入し、窒素ガスを導入してフラスコ内を窒素ガスで置換した下記チオグリセロールを攪拌下添加した。チオグリセロール添加後、内容物の温度を適宜変化させ4時間重合を行い、内容物を室温に戻し、それにベンゾキノン5質量%テトラヒドロフラン溶液を20質量部添加し、重合を停止させた。内容物をエバポレーターに移し、80℃で減圧下、テトラヒドロフラン、残存モノマー及び残存チオグリセロールを除去し、表4に記載のポリマーYを得た。得られたポリマーYは常温で液体であった。該ポリマーYの重量平均分子量は上記測定法により表4に示した。
メチルアクリレート 100質量部
チオグリセロール 5質量部
〈ドープ206の組成〉
(二酸化珪素分散液1)
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 12質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 88質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。分散後の液濁度は200ppmであった。二酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、二酸化珪素分散希釈液1を作製した。
(ドープ添加液1)
メチレンクロライド 50質量部
ポリマーX 表4記載量
ポリマーY 表4記載量
二酸化珪素分散液1 10質量部
紫外線吸収剤(A) 1.2質量部
紫外線吸収剤(B) 0.8質量部
以上について、メチレンクロライドとポリマーXとポリマーYを攪拌しながら完全溶解させた後、二酸化珪素分散液1を添加させて攪拌混合させてドープ添加液1を調製した。
(ドープ206の調製)
セルロースエステル(リンター綿から合成されたセルローストリアセテート、アセチル基置換度2.92) 100質量部
メチレンクロライド 380質量部
エタノール 30質量部
ドープ添加液1 前記作製質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ206を調製した。
日本精線(株)製のファインメットNFで上記ドープ液を濾過し、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が105%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルのウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に1.1倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は10%であった。テンターで延伸後130℃で幅手張力を緩和して幅保持を開放した後、120℃、130℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ7μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径6インチコアに巻き取り、表3記載の偏光板保護フィルム206を得た。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.1倍であった。表3記載の偏光板保護フィルムの残留溶剤量は各々0.1%であり、膜厚は40μm、巻長は3000mであった。
フィルムの膜厚を変更した以外は同様にして偏光板保護フィルム207〜210を作製した。尚、膜厚は変化させたが紫外線吸収剤の付き量は一定とした。
作製した偏光板保護フィルムAである偏光板保護フィルム101〜109、偏光板保護フィルムBである偏光板保護フィルム201〜210について下記測定法によりリターデーション値を測定した。
(リターデーション値)
自動複屈折率計(王子計測機器(株)製、KOBRA−21ADH)を用いて各フィルムを23℃、55%RHの環境下で、590nmの波長において10カ所測定し3次元屈折率測定を行い、屈折率nx、ny、nzを求めた。式(1)に従って面内方向のリターデーションRoを、また、式(2)に従って厚み方向のリターデーションRtを算出した。それぞれ幅方向に10カ所測定しその平均値で示し表2、3に記載した。
式(i) Ro=(nx−ny)×d
式(ii) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(ここで、フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸に直交する方向の屈折率をny、フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。)
Figure 2007292917
Figure 2007292917
《偏光板の作製》
上記作製した偏光板保護フィルム101〜109、201〜210を用いて、表5記載の偏光板301〜322を作製した。
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、沃素1kg、ホウ酸4kgを含む水溶液100kgに浸漬し50℃で6倍に延伸して偏光膜を作った。この偏光膜の両面にアルカリケン化処理を行った上記偏光板保護フィルム101〜109、201〜210を、表5の組み合わせで完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として各々貼り合わせた。
〈アルカリケン化処理〉
ケン化工程 2N−NaOH 50℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中を工程 10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
上記条件でフィルム試料をケン化、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥を行った。
《VA型液晶表示装置の作製》
VA型液晶表示装置であるシャープ製32型テレビAQ−32AD5の予め貼合されていたバックライト側の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板301〜311をそれぞれ液晶セル(VA型)のガラス面に貼合し、液晶表示装置301〜311を作製した。
その際、偏光板保護フィルムBである偏光板保護フィルム201〜205が液晶セル側で、かつ偏光板の貼合の向きは予め貼合されていた偏光板と同一方向に吸収軸が向くように行った。
《IPSモード型液晶表示装置》
IPSモード型液晶表示装置である23型(株)東芝製液晶テレビFACE 23LC100を用いて、予め貼合されていたバックライト側の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板312〜322をそれぞれ液晶セル(VA型)のガラス面に貼合し、液晶表示装置312〜322を作製した。
その際、偏光板保護フィルムBである偏光板保護フィルム206〜210が液晶セル側で、かつ偏光板の貼合の向きは予め貼合されていた偏光板と同一方向に吸収軸が向くように行った。
以上作製した液晶表示装置301〜322を用いて、以下の長時間バックライト照射後の光漏れ、コントラストムラについて評価した。
《評価》
(光漏れ)
作製した各液晶表示装置を1000時間点灯した後、黒表示での画面周辺の光漏れ(コーナームラ)の有無を目視で確認した。
○:周辺の光漏れは全く認められない
△:周辺の光漏れが認められる
×:周辺の光漏れが著しい
(コントラストムラ)
作製した各液晶表示装置を1000時間点灯した後、液晶表示装置の視野角特性の評価を、ELDIM社製EZ−contrastを用い黒表示及び白表示時の透過光量を測定して行った。視野角の評価はコントラスト=(白表示時の透過光量)/(黒表示時の透過光量)を算出し下記基準にて評価を行った。
コントラスト10の視野角を示す角度を指標にコントラストムラがあるかどうかの評価を行った。
◎:コントラストムラの発生がない
○:コントラストムラが弱く発生したが、使用には問題ない
△:コントラストムラがやや強く発生し、使用にやや問題がある
×:コントラストムラが強く発生し、実用上不可
結果を下記表5に示した。
Figure 2007292917
表5の結果から、本発明の偏光板保護フィルムA、偏光板保護フィルムBの組み合わせである偏光板を用いた、VA型液晶表示装置301〜307、IPS型液晶表示装置312〜318は、長時間バックライト連続照射後の光漏れ、コントラストムラが比較例に対し、顕著に改善されていることが分かる。
実施例2
実施例1の本発明の偏光板301〜307、312〜318で用いた偏光素子の替わりに下記エチレン変性PVAフィルムを偏光素子として用いた以外は同様にして偏光板を作製し、実施例1と同様な評価を実施したところ、光漏れ、コントラストムラ改善の効果を再現し、かつ長時間バックライト連続照射後でも偏光板のカール発生がなく、極めて安定性の高い偏光板を作製出来ることが分かった。
〈偏光素子:エチレン変性PVAフィルムの作製〉
エチレン単位の含有量2.5モル%、けん化度99.95モル%、重合度2400のエチレン変性PVA100質量部に、グリセリン10質量部および水170質量部を含浸させたものを溶融混練し、脱泡後、Tダイから金属ロールに溶融押出し、製膜した。乾燥および熱処理後に得られたエチレン変性PVAフィルムは厚みが40μmであり、フィルムの熱水切断温度の平均値は70℃であった。
このようにして得られたエチレン変性PVAフィルムを予備膨潤、染色、一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順番で連続的に処理して偏光フィルムを作製した。すなわち、前記エチレン変性PVAフィルムを30℃の水中に60秒間浸して予備膨潤し、ホウ酸濃度40g/リットル、ヨウ素濃度0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度60g/リットルの35℃の水溶液中に2分間浸した。続いて、ホウ酸濃度4%の55℃の水溶液中で6倍に一軸延伸を行い、ヨウ化カリウム濃度60g/リットル、ホウ酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リットルの30℃の水溶液中に5分間浸漬して固定処理を行った。この後、エチレン変性PVAフィルムを取り出し、定長下、40℃で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行い膜厚15μmの偏光膜を得た。
得られた偏光フィルムの透過率は44.34%、偏光度は99.46%であり、計算により求めた二色性比は49.13であった。得られた偏光フィルムを延伸軸方向(0度)に対して平行状態に配置した2枚の偏光板の間に10度の角度で置いたところ、偏光フィルムの幅方向に対して中央部と端部の輝度の差が小さく、色斑も小さく良好であった。
実施例3
実施例1で使用したIPSモード型液晶表示装置である(株)東芝製液晶テレビFACE 23LC100の替わりに、FFSモード型日立製液晶テレビWooo W32−L7000を使用した以外は実施例3と同様な液晶表示装置を作製し、視野角特性を評価したところ、実施例1と同様に本発明に係る液晶表示装置は優れた視野角特性を示した。
延伸工程での延伸角度を説明する図である。 本発明に用いられるテンター工程の1例を示す概略図である。

Claims (8)

  1. 偏光板保護フィルムA、光吸収型偏光素子、偏光板保護フィルムBの積層によって構成される偏光板において、該偏光板保護フィルムAが棒状粒子及びセルロースエステル系樹脂を含有し、かつ該偏光板保護フィルムBの膜厚が30μm〜60μmの範囲であることを特徴とする偏光板。
  2. 偏光板保護フィルムAに用いられる前記セルロースエステル系樹脂が混合脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
  3. 偏光板保護フィルムAが、下記一般式(2)で表される紫外線吸収モノマーから合成される紫外線吸収性共重合ポリマーを含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板。
    Figure 2007292917
    〔式中、nは0〜3の整数を表し、R1〜R5は水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を表し、Xは−COO−、−CONR7−、−OCO−、−NR7CO−、を表し、R6、R7は水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。但し、R6で表される基は重合性基を部分構造として有する。〕
  4. 前記偏光板保護フィルムBが位相差板機能を兼ねていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
  5. 垂直配向モードの液晶表示装置に用いられることを特徴とする請求項4に記載の偏光板。
  6. 前記偏光板保護フィルムBが、セルロースエステルと、分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと分子内に芳香環を有さず親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上30000以下のポリマーXと、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下のポリマーYとを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
  7. 前記偏光板保護フィルムBのリターデーション値Ro、Rthが0nm≦Ro≦2nm、かつ−15nm≦Rth≦15nmの範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の偏光板。
    式(i) Ro=(nx−ny)×d
    式(ii) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
    (ここで、セルロースエステルフィルムの面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸に直交する方向の屈折率をny、フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。)
  8. 横電界スイッチングモード型の液晶表示装置に用いられることを特徴とする請求項6または7に記載の偏光板。
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