JP2007290007A - 高Al鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Al含有量が0.1%以上であるような高Al鋼を連続鋳造によって製造する場合でも、凹みや鋳片の割れの発生を防止して、表面品質に優れた鋳片を製造できる連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】所定の化学成分を有する高Al溶鋼を、モールドパウダーを用いて連続鋳造するに際して、モールドパウダーとして、T−CaO:35〜55%、SiO2:10〜30%、Al23:4.0%以下(0%を含まない)、MgO:0.2〜1.0%、Li2O:7〜13%、F:7〜13%、C:10.5〜14%、および不可避不純物からなり、式(4):1.6≦[T−CaO]/[SiO2]≦5、および式(5):0.2≦[Li2O]/[SiO2]≦1.1を満たすものと用いると共に、鋳型内の湯面レベル変動速度、鋳型幅方向への溶鋼の吐出角度、振幅のストローク、および所定の関係式で定められるネガティブストリップ時間tN等の条件を制御しつつ操業する。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶存Al量が0.1質量%以上である溶鋼から連続鋳造法によって高Al鋼を製造する方法に関するものであり、特に表面品質が良好な鋳片を製造するための連続鋳造方法に関するものである。
鋼の連続鋳造では、モールドパウダーが、鋳型内の溶鋼表面上に添加される。これは、溶鋼からの熱で滓化溶融し、溶融スラグ層を形成し、順次鋳型と凝固シェルとの隙間に流入して、消費される。モールドパウダーは、主にCaOとSiO2とからなり、さらに溶融スラグの粘度や凝固温度を調整するためにAl23、MgO、Na2O、FやLi2Oなど、またスラグの溶融速度を調整するためにCなどが加えられている。このモールドパウダーの主な役割としては、(ア)鋳型および凝固シェル間の潤滑性を確保すること、および(イ)凝固シェルから鋳型への抜熱速度を抑えて緩冷却させることなどが挙げられる。
まず上記(ア)で挙げた鋳型および凝固シェル間の潤滑性を確保するためには、鋳型および凝固シェルの隙間にモールドパウダーから得られる溶融スラグが適正量流入するように、その粘度を適正に設定することが重要である。一般的に高速鋳造となるほど、溶融スラグの流入量を確保するため、低粘度のものが使用される。
また上記(イ)の緩冷却は、得られる鋳片の表面品質に直結するため重要である。緩冷却のためには、モールドパウダーから得られるスラグフィルム中、特にその鋳型側表面に結晶を晶出させることが有効である。スラグフィルムの鋳型側表面に結晶が晶出すると、フィルムと鋳型との間に凹凸が形成され、この凹凸に含まれる空気層が断熱層として作用するからである。この結晶として、カスピダイン(3CaO・2SiO2・CaF2)が、一般的に利用されている。
しかし溶存Al量が0.1%以上であるような溶鋼から連続鋳造法によって鋳片を製造する際には、(ア)の潤滑性の確保、および(イ)の緩冷却が困難となる。なぜなら、このような高Al鋼の連続鋳造では、下記の反応式(7):
4Al+3SiO2 → 2Al23+3Si … (7)
で表される化学反応により、SiO2が消費されるからである。そのため溶融スラグ中における塩基度[CaO]/[SiO2]が上昇して、凝固温度が著しく上昇する。そして鋳型壁面にスラグベアと呼ばれる硬い焼結物ができ、溶融スラグの流入が阻害される。その結果、潤滑性が損なわれて、凝固シェルと鋳型とが焼き付き、ブレークアウトが発生してしまう。
また上記式(7)の反応により、溶融スラグが組成変動を受けるため、カスピダインを安定して生成させることが困難になる。このように高Al鋼の連続鋳造では、上記式(7)の反応による組成変動が生ずるために、表面品質に優れた鋳片を、安定して製造することが難しい。
そこで特許文献1は、高Al鋼の連続鋳造でも表面品質に優れた鋳片を製造するため、殊にスラグベアの生成を抑制するため、低塩基度で、且つ高粘度で結晶が晶出しにくい組成および物性を有するモールドパウダーを提案している(特許請求の範囲、段落[0004]および[0007])。
また特許文献2は、カスピダインとは異なる複合結晶を生じさせて緩冷却を達成するため、周期律表IA族に属する元素の酸化物を2種類以上含有するモールドパウダーを開示している(特許請求の範囲および段落[0013])。尚、特許文献2の発明では、想定する複合結晶として、LiCa2FSiO4やNaCa2FSiO4などを開示しているが、実施例で用いられている周期律表IA族に属する元素の酸化物の中では、Na2O量が最も多いことから、メインの複合結晶としてNaCa2FSiO4を想定していると考えられる(段落[0020]および[0030])。また特許文献2の発明は、モールドパウダーの軟化温度を低減させることが目的であるため、周期律表IA族に属する元素の酸化物を2種類以上含有することを特徴としている(段落[0024])。
特許文献3は、高アルミニウム鋼の連続鋳造において、AlとSiO2との反応[上記式(7)]によりAl23含有率が増加する際に、凝固温度および粘度が増加して、ブレークアウトの発生および鋳片の表面品質の悪化を防止するために、CaO、SiO2 、Li2O、F、Na2O、K2OおよびAl23含有率が所定の式を満たし、溶融層が凝固したフィルム中に、カスピダインの結晶が晶出するような組成を有するモールドパウダーを提案している(特許請求の範囲、段落[0011]および[0017])。
しかしながら、高Al鋼でも特に包晶反応あるいはδ/γ変態量が多いような組成域の鋼では、上記のようなモールドパウダーを用いても、得られる鋳片の表面に変態収縮に伴うディプレッション(凹凸)や割れが発生しやすいという問題がある。こうした鋼種は亜包晶鋼と呼ばれており、一般的にはFe−CあるいはFe−Fe23二元系平衡状態図に基づき、C含有量[C]によってその化学成分組成範囲が決定される。その範囲は概ねC:0.09〜0.18%であるとされている。
ところが、合金鋼の場合には、添加元素の影響により状態図そのものが変化し、δ相の最大固溶C濃度、包晶点ともに移動するので、C含有量のみで亜包晶鋼の組成範囲を一律に規定できないという事情がある。こうしたことから、高Al鋼でも特に包晶反応あるいはδ/γ変態量が多いような組成については、Si,Mn,Al,Ni,CrおよびMo等の合金元素の影響を考慮し、平衡熱力学計算に基づいて下記式(1)〜(3)のように規定することが知られている(非特許文献1)。尚、これらの式の対象となる亜包晶鋼は、Si,Mn,Al,Ni,CrおよびMoの基本成分の含有量は、夫々4.0%以下(0%を含まない)であることを想定したものであり、Alの含有量は0.1〜3.0%である。
f1−0.10≦[C]≦f2+0.05 …(1)
f1=0.0828[Si]−0.0195[Mn]+0.07398[Al]−0.04614[Ni]+0.02447[Cr]+0.01851[Mo]+0.090
…(2)
f2=0.2187[Si]−0.03291[Mn]+0.2017[Al]−0.06715[Ni]+0.04776[Cr]+0.04601[Mo]+0.173
…(3)
〔式中、[Si],[Mn],[Al],[Ni],[Cr]および[Mo]は、夫々Si,Mn,Ni,CrおよびMoの含有量(質量%)を示す。〕
特開2003−53496号公報(特許請求の範囲、段落[0004]および[0007]) 特開平10−216907号公報(特許請求の範囲、段落[0013]、[0020]、[0024]および[0030]) 特開2002−346708号公報(特許請求の範囲、段落[0011]および[0017]) 「凝固」−373(1985) 日本学術振興会 製鋼第19委員会第3分科会 凝固現象協議会 10670
上記式(1)〜(3)で規定される亜包晶鋼のように、鋳片表面割れの発生しやすい鋼種では、割れを抑制するために、抜熱速度を低下させて、緩冷却することが重要である。そのため従来では、一般的に、モールドパウダーから得られるスラグフィルム中にカスピダイン(3CaO・2SiO2・CaF2)を晶出させて、その鋳型表面に凹凸(空気による断熱層)を形成させることにより、緩冷却を達成していた。しかし高Al鋼の場合は、組成変動のために、カスピダインを安定して生成させることが困難である。
また、上記のような鋼種を表面品質を良好に維持しつつ製造するには、適切なモールドパウダーを用いることも重要であるが、連続鋳造における条件も適切に制御する必要がある。しかしながら、Al含有量が0.1%以上である高Al鋼を連続鋳造する場合における最適な鋳造条件について、確立されているとはいえないのが実情である。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、Al含有量が0.1%以上であるような高Al鋼を連続鋳造によって製造する場合でも、凹みや鋳片の割れの発生を防止して、表面品質に優れた鋳片を製造できる連続鋳造方法を提供することにある。
上記目的を達することのできた本発明の連続鋳造方法とは、Al含有量が0.1〜3.0%(質量%の意味、以下同じ)であると共に、Si,Mn,Ni,CrおよびMoを夫々4.0%以下(0%を含まない)含み、且つC含有量[C]が下記式(1)〜(3)式の関係を満たす溶鋼を、モールドパウダーを用いて連続鋳造するに際して、
f1−0.10≦[C]≦f2+0.05 …(1)
f1=0.0828[Si]−0.0195[Mn]+0.07398[Al]−0.04614[Ni]+0.02447[Cr]+0.01851[Mo]+0.090
…(2)
f2=0.2187[Si]−0.03291[Mn]+0.2017[Al]−0.06715[Ni]+0.04776[Cr]+0.04601[Mo]+0.173
…(3)
〔式中、[Si],[Mn],[Al],[Ni],[Cr]および[Mo]は、夫々Si,Mn,Ni,CrおよびMoの含有量(質量%)を示す。〕
前記モールドパウダーとして、T−CaO:35〜55%、SiO2:10〜30%、Al23:4.0%以下(0%を含まない)、MgO:0.2〜1.0%、Li2O:7〜13%、F:7〜13%、C:10.5〜14%、および不可避不純物からなり、下記式(4)および(5)を満たすと共に、
1.6≦[T−CaO]/[SiO2]≦5 …(4)
0.2≦[Li2O]/[SiO2]≦1.1 …(5)
〔式中、[T−CaO]、[SiO2]および[Li2O]は、夫々T−CaO、SiO2およびLi2Oのモールドパウダー中の含有量(質量%)を表す。〕
鋳型内の湯面レベル変動速度を14mm/秒以下とし、鋳型幅方向に溶鋼を吐出させると共に、その吐出角度が水平に対して下向き0°以上、55°以下の浸漬ノズルを用い、更に振幅のストロークを2mm超、8mm以下とし、且つ下記式(6)で定められるネガティブストリップ時間tNが0.28秒以下となるような鋳型振動を付与しつつ操業する点に要旨を有するものである。
tN=(1/π・f)cos-1(Vc/π・f・s) …(6)
〔ここで、f:鋳型振動数(Hz)、s:鋳型振動時の鋳型の上止点と下止点間の距離(mm)、Vc:鋳片引き抜き速度(mm/秒)を夫々示す〕
上記本発明方法においては、300〜1200ガウスの磁束密度で鋳型内電磁攪拌を行いつつ操業することが好ましい。
本発明によれば、モールドパウダーの組成を適切にすると共に、連続鋳造条件を適切に制御することによって、鋳片表面の凹みや割れが防止されて表面品質に優れた高Al鋼を製造することができた。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、モールドパウダーの組成を適切にすると共に、連続鋳造条件を適切に制御することによって、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。まず、本発明で用いるモールドパウダーについて説明する。
従来提案されているモールドパウダーでは、高Al鋼に適用したときには、組成変動のために、カスピダインを安定して生成させることが困難である。そこで本発明者らは、スラグフィルム中に、カスピダインに代わる結晶を晶出させることを検討した。
しかし緩冷却のために、ダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)、メイエナイト(12CaO・7Al23)およびゲーレナイト(3CaO・2SiO2・Al23)のような結晶を晶出させると、鋳型銅板温度変動が大きくなる問題がある上に、鋳片の凹みや割れの防止には有効ではない。これらは、粗大な結晶として、スラグフィルム中で不均一に晶出するため、鋳型側の表面に不均一な凹凸(空気層)を形成し、その結果、抜熱速度にバラツキが生ずる。そうすると凝固シェルの厚みが不均一になるため、変態収縮で、鋳片表面に凹みや割れが発生すると考えられる。
そこで鋭意検討した結果、カスピダインの代わりに、LiAlO2をスラグフィルム中に晶出させることで、鋳片の凹凸や割れを、有効に防止できることを見出した。LiAlO2を晶出させることにより、鋳片の凹凸や割れを防止できる正確なメカニズムは不明であるが、次のように推定できる。
LiAlO2は、スラグフィルムの鋳型表面に、微細な結晶として均一に晶出するため、均一な空気層が形成される。その結果、均一な抜熱が達成され、鋳型銅板温度の変動が小さく、また緩冷却により、割れが防止されることに加えて、均一な厚みの凝固シェルが形成されることにより、変態収縮による鋳片の凹みや割れも抑制されると考えられる。但し、本発明はこのような推定メカニズムに限定されない。
本発明で用いるモールドパウダーでは、モールドパウダーからのSiO2と溶鋼からのAlとが反応して形成されるAl23に、モールドパウダーからのLi2Oを反応させて、LiAlO2を晶出させることを意図している。即ち、このモールドパウダーは、高Al鋼の連続鋳造で、組成変動の原因となる上記式(7)のSiO2とAlとの反応を利用して、LiAlO2を晶出させるものである。そしてこの、モールドパウダーは、LiAlO2を晶出させるために、各成分量、殊にT−CaO、SiO2およびLi2O量、並びにこれらの質量比[Li2O]/[SiO2]および塩基度[T−CaO]/[SiO2]が、適正範囲に調整されている必要がある。
また、溶融スラグ(モールドパウダー)の凝固温度を適正範囲に調整して、潤滑性を確保するという観点から、各成分組成が適正範囲に調整されていることも、本発明で用いるモールドパウダーの特徴である。以下、本発明のモールドパウダー中の各成分量、塩基度[T−CaO]/[SiO2]および質量比[Li2O]/[SiO2]を、それぞれ説明する。
[T−CaO:35〜55%]
本発明で用いるモールドパウダーにおいて、「T−CaO」とは、モールドパウダー中に含まれる全てのCaを、CaOに換算した際のCaO量(質量%)を表す。モールドパウダー中のT−CaO量は、35%以上、好ましくは38%以上、より好ましくは40%以上であり、55%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは48%以下である。T−CaO量が35%未満であると、相対的にSiO2およびが増加し、その結果、式(7)の反応によりAl23量が増加し、LiAlO2が晶出しやすい組成範囲から外れて、LiAlO2が晶出しにくくなる。またゲーレナイト(3CaO・2SiO2・Al23)も生成しやすくなる。逆にT−CaO量が55%を超えても、相対的にLi2OおよびSiO2量が低下し、その結果、式(7)の反応によりAl23量が低下して、充分な量のLiAlO2が確保できなくなる。また溶融スラグの凝固温度が高くなりすぎる。
[SiO2:10〜30%]
SiO2量は、10%以上、好ましくは15%以上であり、30%以下、好ましくは28%以下、より好ましくは25%以下である。ガラス形成元素であるSiO2量が10%未満であると、結晶が発達しやすいため、粗大な結晶が形成されて、スラグフィルムの鋳型表面側に不均一な凹凸が形成される。また凝固温度も上昇し、潤滑性が損なわれて、スラグベアが生成しやすくなる。逆にSiO2量が30%を超えると、LiAlO2よりも、ゲーレナイト(3CaO・2SiO2・Al23)やダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)が多く晶出する。
[Al23:4.0%以下(0%を含まない)]
溶融スラグの凝固温度および粘度の上昇を防止するため、Al23量は、4.0%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下である。但しAl23は、モールドパウダー製造において不可避不純物として混入されるため、この量を0%にすることは工業的に困難である。
[MgO:0.2〜1.0%]
MgO量は、0.2%以上、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.4%以上であり、1.0%以下、好ましくは0.9%以下、より好ましくは0.8%以下である。MgOは、スラグフィルム中で結晶が晶出するための核として作用する。そのためMgO量が1.0%を超えると、核が多くなりすぎて、結晶の晶出を適切に制御できなくなり、殊にモールドパウダー組成によっては、ダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)やメイエナイト(12CaO・7Al23)が優先的に晶出する場合がある。一方、MgO量が0.2%未満であると、結晶の核が少なすぎるため、低温の平衡温度に達するまでは結晶が充分に晶出せず、殊に溶鋼が高温である鋳型メニスカス直下では、緩冷却が行いにくい。また平衡温度に達すると、粗大な結晶が一度に晶出するため、抜熱速度にバラツキが生じる。
[Li2O:7〜13%]
Li2O量は、7%以上、好ましくは7.5%以上、より好ましくは8.0%以上であり、13%以下、好ましくは12%以下、より好ましくは11%以下である。Li2O量が7%未満であると、充分な量のLiAlO2を晶出させることが難しく、また溶融スラグの凝固温度および粘度が上昇して、潤滑性が確保できない場合がある。逆にLi2O量が13%を超えても、LiAlO2が晶出する最適範囲から外れて、その晶出量が低下し、緩冷却が達成されない場合がある。さらに溶融パウダーの粘度が大きく低下して、溶融スラグが局所的に過剰流入したり、脈動が生じて、連続鋳造の安定操業に悪影響を及ぼすことがある。
[F:7〜13%]
F量は、7%以上、好ましくは7.5%以上、より好ましくは8.0%以上であり、13%以下、好ましくは12%以下、より好ましくは11%以下である。F量が7%未満であると、溶融スラグの粘度が上昇し、潤滑性を確保できなくなる場合がある。一方、Fは、LiAlO2の晶出を抑制する作用を有し、殊にF量が13%を超えると、LiAlO2の晶出量が急激に低減する。
[C:10.5〜14%]
このC量は、モールドパウダー中に含まれる全てのC量を表す。即ち、このC量は、モールドパウダーの原料として添加されるような、単体の炭素量(遊離C量)と、例えばLi2O原料として添加されるLi2CO3等の化合物中の炭素量との合計を表す。モールドパウダー中のC量は、10.5%以上、好ましくは11.0%以上、より好ましくは11.5%以上であり、14%以下、好ましくは13.5%以下、より好ましくは13%以下である。C量が10.5%未満であると、モールドパウダーの溶融速度が大きくなりすぎて、流入過多となり、不均一流入が生ずる。その結果、鋳片の縦割れが発生しやすくなる。逆にC量が14%を超えると、溶融速度が小さくなりすぎて、充分なスラグフィルムの厚みが確保できなくなる。その結果、工業生産上で不可避的に発生する鋳型内の湯面変動の際に、スラグフィルムの膜切れを起こし、焼付きや、溶鋼が直接鋳型に接することによる急冷のために、鋳片の表面品質が劣化する。
本発明で用いるモールドパウダーは、上記成分および不可避不純物からなる。尚、一般的なモールドパウダーには、粘度、凝固温度を低減させるために、Na2OやK2Oが添加されているが、本発明のモールドパウダーは、これらを含有しないことも特徴とする。なぜなら本発明が予定する高アルミニウム鋼の連続鋳造では、下記の反応式(8)および(9):
2Al+3Na2O → Al23+6Na … (8)
2Al+3K2O → 2Al23+6K … (9)
で示される化学反応が起こるため、Na2OやK2Oが消費されて、これらの作用が充分に発揮されず、想定する以上のAl23が生成して、溶融スラグの凝固温度などに悪影響を及ぼすからである。またNa2Oが存在すると、Na−Al−O結晶が不均一に晶出して、スラグフィルムの凹凸(空気層)にバラツキが生ずることがある。
[1.6≦[T−CaO]/[SiO2]≦5]
塩基度[T−CaO]/[SiO2]は、1.6以上、好ましくは1.8以上、より好ましくは2.0以上であり、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。塩基度が1.6未満であると、相対的にSiO2量が増加し、LiAlO2が晶出しやすい組成範囲から外れて、LiAlO2が晶出しにくくなる。またゲーレナイト(3CaO・2SiO2・Al23)も生成しやすくなる。逆に塩基度が5を超えても、相対的にSiO2量が減少し、それに伴いAl23量およびLiAlO2量が減少する。またにガラス形成成分であるSiO2量が減少することで、メイエナイト(12CaO・7Al23)が過度に発達してしまう。さらに凝固温度が高くなって潤滑性に悪影響を及ぼし得る。
[0.2≦[Li2O]/[SiO2]≦1.1]
質量比[Li2O]/[SiO2]は、0.2以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上であり、1.1以下、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.9以下である。[Li2O]/[SiO2]が0.2未満であると、Li2O量が不充分となるため、LiAlO2が充分に生成されなくなる。逆に[Li2O]/[SiO2]が1.1を超えても、LiAlO2晶出のための最適範囲から外れるために、LiAlO2が晶出しにくくなる。
本発明のモールドパウダー(溶融スラグ)の凝固温度は、好ましくは950〜1200℃、より好ましくは1000〜1150℃である。凝固温度が950℃未満であると、結晶が晶出しにくくなり、緩冷却の効果を充分に発揮させることができないおそれがある。一方、凝固温度が1200℃を超えると、スラグベアが生成し、スラグベアによる不均一流入のために、ブレークアウトや鋳片表面の割れが生ずる場合がある。
連続鋳造する鋼のAl含有量(溶鋼中のAl含有量)は、上記モールドパウダーの効果を充分に発揮させるために、0.1%以上、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.5%以上であり、2.5%以下、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.7%以下である。ここで鋼の溶存Al量とは、連続鋳造に用いる溶鋼中に溶けているAlの量を表し、この量には、Al23などとして析出している(即ち溶存していない)Al量は含まれない。
また、本発明方法で対象とする亜包晶鋼では、Si,Mn,Al,Ni,CrおよびMoの基本成分の含有量は、夫々4.0%以下(0%を含まない)であることを想定したものであり、上記式(1)〜(3)を満足するものである。上記成分の他は、実質的に鉄からなるものであるが、S,P,Cu等の不可避不純物も含有し得る他、少量の許容成分(例えば、0.2%以下のTi,Nb等)も含み得る。
本発明において、上記目的を達成するためには、連続鋳造条件も適切に制御する必要があるが、次にこれらの条件について説明する。
[鋳型内の湯面レベル変動速度:14mm/秒以下]
鋳型内の湯面レベル変動速度は、モールドパウダー溶融プールの安定を維持するために適切な範囲に制御する必要がある。この変動速度が14mm/秒を超えると、モールドパウダー溶融プールが切れて溶鋼が鋳型銅板に直接接触し、鋳型抜熱速度が不均一となる。その結果、鋳型熱電対温度変動が大きくなってディプレッションや割れ等が発生しやすくなる。尚、この変動速度は、好ましくは10mm/秒以下とするのが良い。また、鋳型内の湯面レベル変動速度を上記の範囲に制御するには、鋳造条件に応じて、ノズル詰まり防止用Arガス流量を最適化し、浸漬ノズルの吐出孔形状を最適化すれば良い。
[鋳型幅方向に溶鋼を吐出させると共に、その吐出角度が水平に対して下向き0°以上、55°以下の浸漬ノズルを用いる]
鋳型内で使用する浸漬ノズルは、その溶鋼吐出方向が鋳型の幅方向である必要がある。溶鋼吐出方向が厚み方向であると、鋳型広面側凝固シェルの特定部位に溶鋼吐出流が当り、該当部位の抜熱状況が他の部位と異なり、変態収縮の大きい該鋼種ではディプレッションや割れの起点となり易い。このときの浸漬ノズルの吐出角度(吐出方向角度)は水平方向に対して下向き0°以上、55°以下とするのが良い。浸漬ノズルの吐出角度が0°未満(即ち、上向き)となると、吐出溶鋼が溶融モールドパウダーと溶鋼浴面の界面に直接向かうため、界面が高温かつ攪拌される状態となり、溶鋼中の溶存Alとモールドパウダー中のSiO2との間で起こる前記式(7)の反応が激しく進行し、適切なモールドパウダー組成に制御できない。また、浸漬ノズルの吐出角度が水平方向下向き55°以上になると、高温の溶鋼吐出流が鋳型下方に向かう流れが中心となり、鋳型内溶鋼浴面温度が低下し過ぎることなる。こうした場合には、比較的凝固温度の高い本モールドパウダーにおいてはスラグベアが発生し、モールドパウダーの流入不均一を起こし、縦割れを発生させることがある。
[振幅のストローク:2mm超、8mm以下、下記式(6)で定められるネガティブストリップ時間tN:0.28秒以下]
連続鋳造を行う場合には、鋳型を振動しながら鋳片を下方に引き抜くのが一般的であるが、この鋳型振動条件としては、鋳型の上死点と下死点間の距離で定められる振幅のストロークを2mm超、8mm以下の範囲に制御した上で、下記式(6)で定められるネガティブストリップ時間tNが0.28秒以下となるような鋳型振動を付与しつつする必要がある。
tN=(1/π・f)cos-1(Vc/π・f・s) …(6)
〔ここで、f:鋳型振動数(Hz)、s:鋳型振動時の鋳型の上止点と下止点間の距離(mm)、Vc:鋳片引き抜き速度(mm/秒)を夫々示す〕
上記ストロークが2mm以下になると、モールドパウダーの流入量が極端に減少し、鋳型−鋳片間の焼き付き頻度が増加し、ブレイクアウトの危険性が増加するため安定鋳造が実現し難くなる。また、ストロークが8mmを超えると、オッシレーションマークの間隔が広くなり、鋳造初期の収縮応力が分散されず、オッシレーションマーク部に集中し、ディプレッションを引き起こすことになる。
上記式(6)で定められるネガティブストリップ時間tNは、振幅も考慮に入れたオッシレーションマーク深さを示す指標として知られているものであり(例えば、「第3版 鉄鋼便覧 II 製鉄・製鋼」(日本鉄鋼協会編)、p638)、この値が小さいほどオッシレーションマーク深さは小さくなるとされているものである(例えば、「鉄と鋼」,67(1981),p1190)。また、通常の鋼材を連続鋳造するときには、上記ネガティブストリップ時間tNは0.35秒程度以下に設定されることになる。本発明者らが検討したとことによれば、本発明で対象とする高Al鋼を連続鋳造するには、上記式(6)で定められるネガティブストリップ時間tNを0.28秒以下に制御する必要がある。即ち、このネガティブストリップ時間tNが0.28秒よりも大きな値となると、鋳型の下向きの運動エネルギーがパウダーにより伝達され、メニスカスのパウダーに圧力が発することに起因してオッシレーションマークの深さが大きくなり、オッシレーションマークの谷間部に凝固、変態に伴う変形応力が集中し、横割れが発生することになる。尚、ネガティブストリップ時間tNの好ましい上限は0.25秒である。
本発明方法における基本的な鋳造条件は上記の通りであるが、必要によって鋳型内電磁攪拌を行なうことも有効である。電磁攪拌を行うことによって、鋳型内の溶鋼流動が均一化され、凝固シェルへ衝突する溶鋼温度が均一化されるため、鋳片の幅方向への入熱量が均一化され、均一な凝固シェルが得られ、ディプレッション・縦割れが防止できることになる。こうした効果発揮させるためには、電磁攪拌を行なうときの磁束密度が300ガウス(gauss)以上とすることが好ましく、より好ましくは500ガウス以上である。但し、磁束密度が大きくなり過ぎると、溶鋼湯面の溶鋼流速が速くなり過ぎて、上記式(6)で示した反応が激しく進行し、適切なモールドパウダー組成に制御できないことがあるので、1200ガウス以下とすることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
垂直曲げ型連続鋳造機を用いて、1ヒート240トンの溶鋼を鋳造した。この実施例では、下記表1に示す各種化学成分組成の溶鋼(鋼種)を用いると共に、下記表2に示した組成のモールドパウダーを用いた。このとき、連続鋳造におけるモールドサイズは240×1230mmであり、鋳造速度は1.4m/分である。
Figure 2007290007
Figure 2007290007
潤滑性の指針として、モールドパウダー(溶融スラグ)の凝固温度を算出した。凝固温度(℃)は、溶融スラグの粘度ηおよび温度Tから算出した。具体的には振動片法により、昇温しながら溶融スラグの粘度ηを連続的に測定し、粘度ηの対数logηをY軸に、粘度の測定温度Tの逆数1/Tを横軸にとったグラフを作成し、このグラフの変曲点に対応する温度Tを凝固温度として求めた。
緩冷却の指針として、鋳型熱流束(MW/m2)を算出した。鋳型熱流束は、鋳型冷却水の流量と入口出口の温度差とから、鋳型での総抜熱量を求め、これを、鋳型銅板と鋳片との接触面積で割ることにより算出した。熱流束値が1.5MW/m2以上のものを「強冷却」、1.5MW/m2未満のものを「緩冷却」と判定した。
連続鋳造の安定操業の指針として、鋳型銅板に埋設した熱電対を用いて、一定速度で鋳造した一定区間における温度変動(℃)を測定した。尚、連続鋳造では、温度変動が15℃を超えると、鋳造速度の減速措置、それでも変動が収まらない場合は鋳造停止措置を行う場合がある。
鋳片の表面品質の指針として、凹みおよび割れを評価した。鋳片表面の凹みは、定常状態で鋳造できた部位のスラブを1ヒートから2枚任意に抜き取りし、スラブ広面の表裏面を目視検査して、凹みが認められた部位について凹み深さを測定し、深さが2mm以上の凹みがあるものを、「凹み有り」と評価した。鋳片表面の割れは、鋳片の広面の表面および裏面を目視観察し、長さ100mm以上の割れが1つでも存在するものを、「割れ有り」と評価した。
これらの結果を、連続鋳造条件(鋳型内湯面レベル変動速度、浸漬ノズル吐出角度、電磁攪拌磁束密度、鋳型振動ストローク、ネガティブストリップ時間tN)と共に、下記表3に示す。
Figure 2007290007
これらの結果から明らかなように、本発明で規定する要件を満足するもの(試験No.1〜10)では、緩冷却、或は鋳型熱電対温度変動の安定化が実現でき、凹みや割れの無い表面品質に優れた鋳片を製造することができる。これに対して、本発明で規定する要件を欠くモールドパウダーを用いたもの(試験No.11〜23)では、緩冷却ができなかったり、LiAlO2以外の結晶が多く晶出したり、潤滑性に難があったりした結果、鋳片に凹みや割れが発生していることが分かる。
具体的には、試験No.11のものでは、モールドパウダー中のC含有量が過剰となっており、溶融が不十分なため、スラグフィルムが十分に形成されない部分が急冷となり、縦割れが発生した。試験No.12のものでは、モールドパウダー中のMgO含有量が少なくなっており、粗大な結晶が晶出したため、抜熱速度にバラツキが生じ、鋳片の凹みや割れが発生した。
試験No.13のものでは、モールドパウダー中のMgO含有量が多くなっており、メイエナイト等が優先的に晶出したため、抜熱速度にバラツキが生じ、鋳片の凹みや割れが発生した。試験No.14,15のものでは、モールドパウダー中のSiO2含有量が少なくなっており、スラブベアが多量に発生し、鋳片の凹みや割れが発生した。
試験No.16のものでは、モールドパウダー中のLi2O含有量が多くなっており、その結果[Li2O/SiO2]の大きくなっており、粘度低下により過剰流入が起こり、流入が脈動する結果となり、鋳型熱電対温度変動が大きくなっている。また、適正な潤滑性が確保されずに、鋳片の凹みや割れが発生した。
試験No.17のものでは、モールドパウダー中のLi2O含有量が少なくなっており、その結果[Li2O/SiO2]の小さくなっており、粘度・凝固温度が高く、十分な消費原単位が確保できず、潤滑性が確保できないこと、またメイエナイト、ダイカルシウムシリケートが多く晶出し、抜熱速度にバラツキが生じたため、凹みや割れが発生した。
試験No.18のものでは、モールドパウダー中のF含有量が少なくなっており、粘度が上昇し十分な潤滑性が確保できないため、凹みや割れが発生した。試験No.19のものでは、モールドパウダー中のF含有量が多くなっており、LiAlO2量が極端に少なくなったことで緩冷却が達成されず、凹みや割れが発生した。
試験No.20のものでは、塩基度[T−CaO]/[SiO2]が低くなっており、粗大なゲーレナイトが多量に晶出したため、抜熱速度にバラツキが生じ、鋳片の割れが発生した。試験No.21のものでは、モールドパウダー中のLi2O含有量が少なくなっており、凝固温度が高くなりすぎて適正な潤滑性が確保できず、鋳片に割れが発生した。
試験No.22のものでは、モールドパウダー中のLi2O含有量が多くなっており、抜熱速度にバラツキが生じ、鋳片の割れが発生した。試験No.23のものでは、塩基度[T−CaO]/[SiO2]が低くなっており、粗大なゲーレナイトが多量に晶出したため、抜熱速度にバラツキが生じ、鋳片の割れが発生した。また、Na2Oも存在するため、Na−Al−O結晶が不均一に晶出し、これも抜熱速度にバラツキに影響を及ぼしたものと考えられる。更に、ゲーレナイトが大量に生成し結晶が不安定となって、緩冷却が達成されていない。
[実施例2]
前記表1に示した各種化学成分組成の溶鋼(鋼種)を用いると共に、下記表4に示した組成のモールドパウダーを用いる以外は、実施例1と同様にして表1記載の鋼を鋳造した。このとき、連続鋳造条件(鋳型内湯面レベル変動速度、浸漬ノズル吐出角度、電磁攪拌磁束密度、鋳型振動ストローク、ネガティブストリップ時間tN)を下記表5のように制御した。
Figure 2007290007
Figure 2007290007
これらについて、実施例1と同様にして、潤滑性(凝固温度)、緩冷却(鋳型熱流束)、安定操業(温度変動)、鋳片の表面品質(凹みおよび割れ)等について評価した。その結果を、上記表5に併記する。
これらの結果から明らかなように、本発明で規定する要件を満足するもの(試験No.24,25,28,30〜34,36〜39)では、緩冷却、或は鋳型熱電対温度変動の安定化が実現でき、凹みや割れの無い表面品質に優れた鋳片を製造することができる。これに対して、本発明で規定する鋳造条件を外れるもの(試験No.26,27,29,35,40〜42)では、凹みや割れが発生していることが分かる。
具体的には、試験No.26,27のものでは、鋳型内湯面レベル変動速度が大きくなっており、抜熱速度が不均一となり、その結果、鋳型熱電対温度変動が大きくなって凹みや割れが発生している。試験No.29のものでは、浸漬ノズル吐出角度が−5°となっており、抜熱速度が不均一となり、その結果、鋳型熱電対温度変動が大きくなって凹みや割れが発生している。
試験No.35のものでは、本発明の好ましい要件である電磁攪拌磁束密度が大きくなっており、抜熱速度が不均一となり、その結果、鋳型熱電対温度変動が大きくなって凹みや割れが発生している。
試験No.40のものでは、鋳型振幅ストロークが2mmとなっており、流入不足で割れが発生している。試験No.41,42のものでは、オッシレーションマーク間隔が大きいので、オッシレーションマークに沿った凹み、割れが発生している。

Claims (2)

  1. Al含有量が0.1〜3.0%(質量%の意味、以下同じ)であると共に、Si,Mn,Ni,CrおよびMoを夫々4.0%以下(0%を含まない)含み、且つC含有量[C]が下記式(1)〜(3)式の関係を満たす溶鋼を、モールドパウダーを用いて連続鋳造するに際して、
    f1−0.10≦[C]≦f2+0.05 …(1)
    f1=0.0828[Si]−0.0195[Mn]+0.07398[Al]−0.04614[Ni]+0.02447[Cr]+0.01851[Mo]+0.090
    …(2)
    f2=0.2187[Si]−0.03291[Mn]+0.2017[Al]−0.06715[Ni]+0.04776[Cr]+0.04601[Mo]+0.173
    …(3)
    〔式中、[Si],[Mn],[Al],[Ni],[Cr]および[Mo]は、夫々Si,Mn,Ni,CrおよびMoの含有量(質量%)を示す。〕
    前記モールドパウダーとして、T−CaO:35〜55%、SiO2:10〜30%、Al23:4.0%以下(0%を含まない)、MgO:0.2〜1.0%、Li2O:7〜13%、F:7〜13%、C:10.5〜14%、および不可避不純物からなり、下記式(4)および(5)を満たすと共に、
    1.6≦[T−CaO]/[SiO2]≦5 …(4)
    0.2≦[Li2O]/[SiO2]≦1.1 …(5)
    〔式中、[T−CaO]、[SiO2]および[Li2O]は、夫々T−CaO、SiO2およびLi2Oのモールドパウダー中の含有量(質量%)を表す。〕
    鋳型内の湯面レベル変動速度を14mm/秒以下とし、鋳型幅方向に溶鋼を吐出させると共に、その吐出角度が水平に対して下向き0°以上、55°以下の浸漬ノズルを用い、更に振幅のストロークを2mm超、8mm以下とし、且つ下記式(6)で定められるネガティブストリップ時間tNが0.28秒以下となるような鋳型振動を付与しつつ操業することを特徴とする高Al鋼の連続鋳造方法。
    tN=(1/π・f)cos-1(Vc/π・f・s) …(6)
    〔ここで、f:鋳型振動数(Hz)、s:鋳型振動時の鋳型の上止点と下止点間の距離(mm)、Vc:鋳片引き抜き速度(mm/秒)を夫々示す〕
  2. 300〜1200ガウスの磁束密度で鋳型内電磁攪拌を行いつつ操業する請求項1に記載の連続鋳造方法。
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