JP2007284713A - ニッケル微粉末の製造方法およびニッケル微粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁性特性を付与するためのフィラーとして好適な、凝集がないニッケル微粉末の製造方法、および、このニッケル微粉末の製造方法によって製造された平均一次粒子径が100nm以下のニッケル微粉末を提供する。
【解決手段】本発明のニッケル微粉末の製造方法は、ニッケル塩を水に溶解して水溶液を調製し、この水溶液に、この水溶液中のニッケルイオンのモル量に対して1倍量以上かつ100倍量以下のヘキサメチレンテトラミンを添加して析出物を生成し、この析出物を熱処理することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ニッケル微粉末の製造方法およびニッケル微粉末に関し、さらに詳しくは、樹脂などの他の材料中にフィラーとして分散させて、この材料に導電性や磁性を付与するために好適であるとともに、凝集がなく、分散性に優れたニッケル微粉末の製造方法、および、このニッケル微粉末の製造方法によって製造された、平均一次粒子径が100nm以下のニッケル微粉末に関する。
ニッケル粉末は、例えば、厚膜導電体材料として、コンデンサー、基板の電極、電気回路などを形成するための導電ペースト用材料として使用されている。
また、ニッケル粉末は、結晶構造が面心立方(face−centered cubic structure)をなしており、残留損失やヒステリシス損失が小さく、透磁率が比較的大きな材料である。そのため、高周波デバイスの電磁場特性を制御するために、基板に磁気特性を付与する目的で、ニッケル粉末は、エポキシ樹脂などの基板材料中に、フィラーとして分散されて用いられている。
このような使われ方をするニッケル粉末は、渦電流損失をなるべく小さくするために、平均一次粒子径が100nm未満の微粒子であることが望ましい。しかしながら、従来の導電ペースト用ニッケル粒子は、平均一次粒子径が500nm〜2μm程度であり、渦電流損失を低減するためには平均一次粒子径が大き過ぎた。
また、一般に、ニッケル粉末は、微粒子になると、強固に凝集して凝集粒子を形成しやすくなる。ニッケル粉末の磁気特性は、その粒子の大きさに依存するため、凝集粒子のままで基板材料中にニッケル粉末を分散しても、微粒子としての磁気特性が発現しない。
そこで、平均一次粒子径が100nm以下のニッケル微粉末の製造方法が種々検討されている。
ニッケル微粉末の製造方法としては、例えば、液相合成法を用い、アルコールによって溶媒の溶解度を制御することにより、平均一次粒子径が100nmのニッケル微粉末を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ニッケル微粉末の製造方法の他の例としては、ニッケルイオンを含む溶液に非極性高分子顔料分散剤を加えることにより、ニッケル微粒子の凝集を防止して、ニッケル微粒子を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、ニッケル微粉末の製造方法としては、例えば、ニッケル化合物と焼結防止剤を含む混合物を水素還元し、還元生成物を湿式処理することにより、平均一次粒子径が100nmのニッケル微粉末を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2000−087121号公報 特開2004−124237号公報 特開2004−323884号公報
しかしながら、液相合成法を用い、アルコールによって溶媒の溶解度を制御する方法では、ニッケル微粉末の乾燥時に、溶媒の表面張力による収縮によって、ニッケル微粉末が凝集してしまうという問題があった。
また、ニッケルイオンを含む溶液に非極性高分子顔料分散剤を加えることによりニッケル微粒子を製造する方法では、ニッケル微粒子の凝集を十分に防止するためには非極性高分子顔料分散剤が大量に必要になるので、得られたコロイド溶液を用いて、基板材料中にニッケル微粒子を添加すると、基板材料に含まれるフィラーとしてのニッケル微粒子の含有量が低くなるという問題があった。
さらに、ニッケル化合物と焼結防止剤を含む混合物を水素還元し、還元生成物を湿式処理することにより、ニッケル微粉末を製造する方法では、ニッケル微粉末生成後に湿式工程により焼結防止剤を除去する必要があるため、ニッケル微粉末の乾燥時に、溶媒の表面張力による収縮によって、ニッケル微粉末が凝集してしまうという問題があった。
また、気相法によるニッケル超微粒子の製造方法も種々検討されているが、工業的には高価なものとなり実用的ではなかった。
以上の状況から、高周波デバイスなどに用いられる基板に磁性特性を付与するためのフィラーとして、凝集がない平均一次粒子径が100nm以下のニッケル微粉末の製造方法が求められていた。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、磁性特性を付与するためのフィラーとして好適な、凝集がないニッケル微粉末の製造方法、および、このニッケル微粉末の製造方法によって製造された平均一次粒子径が100nm以下のニッケル微粉末を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ニッケルイオンを含む水溶液に、所定量のヘキサメチレンテトラミンを添加して析出物を生成し、この析出物を還元性雰囲気下あるいは不活性雰囲気下にて熱処理することにより、凝集がなく、分散性に優れた微細なニッケル微粉末が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のニッケル微粉末の製造方法は、ニッケル塩を水に溶解して水溶液を調製し、この水溶液に、この水溶液中のニッケルイオンのモル量に対して1倍量以上かつ100倍量以下のヘキサメチレンテトラミンを添加して析出物を生成し、この析出物を熱処理することを特徴とする。
本発明のニッケル微粉末の製造方法は、前記水溶液にヘキサメチレンテトラミンを添加した後、この水溶液を60℃以上に加熱し、析出物を生成することが好ましい。
本発明のニッケル微粉末の製造方法は、析出物の熱処理を、還元性雰囲気下または不活性雰囲気下、200℃以上かつ500℃以下にて行うことが好ましい。
本発明のニッケル微粉末は、本発明のニッケル微粉末の製造方法によって得られ、平均一次粒子径が100nm以下であることを特徴とする。
本発明のニッケル微粉末は、結晶構造が面心立方であることを特徴とする。
本発明のニッケル微粉末の製造方法によれば、ニッケル塩を水に溶解して水溶液を調製し、この水溶液に、この水溶液中のニッケルイオンのモル量に対して1倍量以上かつ100倍量以下のヘキサメチレンテトラミンを添加して析出物を生成し、この析出物を熱処理することによりニッケル微粉末を生成するので、磁性特性を付与するためのフィラーとして好適な平均一次粒子径が100nm以下のニッケル微粉末を、工業的規模にて低製造コストで、効率的に製造することができる。
また、ニッケル微粉末の生成後に湿式工程がないため、ニッケル微粉末が溶媒を除去する際に凝集するのを防止することが出来るので、凝集がないニッケル微粉末を得ることができる。
また、本発明のニッケル微粉末は、本発明のニッケル微粉末の製造方法によって得られ、平均一次粒子径が100nm以下であるので、凝集がないことから溶媒に分散させて、導電性塗料や導電性ペーストとして用いることが可能である。このような本発明のニッケル微粉末を含む塗料や導電性塗料や導電性ペーストは、ニッケルの導電性を生かして回路基板の電極用材料や、燃料電池、2次電池などの電極用材料として好適である。さらに、本発明のニッケル微粉末は、隠蔽性のある黒色であることから、ブラックマトリックス材料のような黒色塗料のフィラーとしても使用することができる。
本発明のニッケル微粉末の製造方法、および、このニッケル微粉末の製造方法によって製造されたニッケル微粉末の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本発明のニッケル微粉末の製造方法は、ニッケル塩を水に溶解して水溶液を調製し、この水溶液に、この水溶液中のニッケルイオンのモル量に対して1倍量以上かつ100倍量以下のヘキサメチレンテトラミンを添加して析出物を生成し、この析出物を熱処理することによりニッケル微粉末を生成する方法である。
本発明のニッケル微粉末の製造方法に用いられるニッケル塩としては、水溶性のものであれば特に限定されないが、例えば、塩化ニッケル(NiCl)、硝酸ニッケル(Ni(NO)、酢酸ニッケル(Ni(CHCOO))、硫酸ニッケル(NiSO)などが挙げられる。
このようなニッケル塩を水に溶解して調製した水溶液(以下、「ニッケル塩水溶液」と言うこともある。)の濃度、すなわち、このニッケル塩水溶液1L当たりに含まれるニッケルイオン(Ni)のモル量は、0.001mol/L以上かつ1mol/L以下が好ましく、0.01mol/L以上かつ0.5mol/L以下がより好ましい。
このニッケル塩水溶液の濃度を0.001mol/L以上かつ1mol/L以下とした理由は、このニッケル塩水溶液の濃度が0.001mol/L未満では、本発明のニッケル微粉末の製造方法は生産性に劣るからであり、一方、このニッケル塩水溶液の濃度が1mol/Lを超えると、本発明のニッケル微粉末の製造方法によって得られるニッケル微粉末は、平均一次粒子径が100nmを超えるニッケル粉末を含むものとなるおそれがあるからである。
また、このニッケル塩水溶液に、このニッケル塩水溶液に含まれるニッケルイオンのモル量に対して、1倍量以上かつ100倍量以下のヘキサメチレンテトラミン(1,3,5,7−Tetraazatricyclo(3.3.1.1(3,7))decane、C12)を添加するが、より好ましくは、ニッケル塩水溶液に含まれるニッケルイオンのモル量に対して、2倍量以上かつ30倍量以下のヘキサメチレンテトラミンを添加する。
ヘキサメチレンテトラミンの添加量を、ニッケル塩水溶液に含まれるニッケルイオンのモル量に対して、1倍量以上かつ100倍量以下とした理由は、ヘキサメチレンテトラミンの添加量が1倍量未満では、ニッケルイオンのモル量に対するヘキサメチレンテトラミンの量が、化学反応式の化学量論的に不足するからであり、一方、ヘキサメチレンテトラミンの添加量が100倍量を超えても、これ以下の添加量の場合と、生成するニッケル微粉末の性状に差異がなく同一であり、経済的ではないからである。
本発明のニッケル微粉末の製造方法では、ヘキサメチレンテトラミンは、ニッケル塩水溶液に含まれるニッケルイオンを水酸化ニッケル(Ni(OH)))として析出、沈殿させる作用を有するものである。
ニッケル塩水溶液にヘキサメチレンテトラミンを添加すると、ヘキサメチレンテトラミンは、反応系内においてアンモニアとホルムアルデヒドに加水分解する。このヘキサメチレンテトラミンの加水分解反応は極めて均一でゆっくりと進行するため、ニッケル塩水溶液に含まれるニッケルイオンは、アンモニアと結合してキレートを形成するよりも、ニッケル塩水溶液に含まれるアンモニアにより生じるアンモニウムイオンに起因する水酸化物イオンと優先的に反応し、水酸化ニッケル(Ni(OH)))として析出、沈殿する。
また、ヘキサメチレンテトラミンの加水分解により生成するホルムアルデヒドは、生成した沈殿物の表面に吸着し、熱処理時の焼結防止剤として作用するため、ニッケル微粉末の平均一次粒子径の増大が防止される。
なお、ヘキサメチレンテトラミンと同様に、加水分解によりアンモニアを生成する物質としては、尿素が挙げられる。しかしながら、尿素は加水分解によりアンモニアを生成すると同時に炭酸イオンを生成するので、水酸化ニッケル(Ni(OH)))を析出、沈殿させるために、尿素を用いると、水酸化ニッケルだけでなく、ニッケルの炭酸塩も析出、沈殿するという不具合が生じる。後述するように、ニッケルの炭酸塩を熱処理しても、ニッケル微粉末を生成することができない。
また、ニッケルイオンなどの金属イオンの沈殿剤として従来使用されているアンモニア水、水酸化アルカリ、炭酸アルカリ、炭酸アンモニウム、尿素などを用いると、以下に述べるような理由から、本発明の目的を達成できない。
アンモニア水を用いた場合、アンモニア水に含まれるアンモニアはニッケルイオンとキレートを形成し、水酸化ニッケルを生成しない。
水酸化アルカリを用いた場合、沈殿物にアルカリ金属の不純物が混入したり、水和凝集により沈殿物が粗大粒子化するおそれがある。
炭酸アルカリや炭酸アンモニウムを用いた場合、ニッケルの炭酸塩(炭酸ニッケル(NiCO))を生成する。後述するように、ニッケルの炭酸塩を熱処理しても、ニッケル微粉末を生成することができない。
尿素を用いた場合、水酸化物イオンと同時に炭酸イオンも生成するので、ニッケルイオンの大部分は炭酸イオンと反応して、炭酸ニッケルとして、析出、沈殿してしまう。
また、本発明のニッケル微粉末の製造方法では、ニッケル塩水溶液中において、水酸化物イオンとニッケルイオンとの反応の反応速度を高め、水酸化ニッケルを効率良く生成するためには、所定量のヘキサメチレンテトラミンをニッケル塩水溶液に添加した後、このニッケル塩水溶液を60℃以上に加熱することが好ましく、85℃以上かつ95℃以下に加熱することがより好ましい。
また、ヘキサメチレンテトラミンをニッケル塩水溶液に添加した後、このニッケル塩水溶液を60℃以上に加熱する時間を、3時間以上かつ120時間以下とすることが好ましく、12時間以上かつ72時間以下とすることがより好ましい。
このようにして生成した水酸化ニッケルから、必要に応じて、副生成物を除去した後、この水酸化ニッケルを乾燥し、熱処理することによりニッケル微粉末を生成する。
水酸化ニッケルから副生成物を除去する方法としては、例えば、水酸化ニッケルを純水中に分散させた後、この水酸化ニッケルを含む純水を、ろ過することを繰り返す方法が挙げられる。
また、本発明のニッケル微粉末の製造方法では、水酸化ニッケルの熱処理を、還元性雰囲気下あるいは不活性雰囲気下、200℃以上かつ500℃以下にて行うことが好ましく、300℃以上かつ400℃以下にて行うことがより好ましい。
水酸化ニッケルの熱処理を、200℃以上かつ500℃以下にて行う理由は、水酸化ニッケルの熱処理温度が200℃未満では、水酸化ニッケルから金属ニッケル(Ni)への転換が不十分となるからであり、一方、水酸化ニッケルの熱処理温度が500℃を超えると、ニッケル微粒子同士が焼結し、得られるニッケル微粉末は、平均一次粒子径が100nmを超えるニッケル粉末を含むものとなるおそれがあるからである。
水酸化ニッケルを熱処理する際の還元性雰囲気は、水素などの還元性のガスを含む雰囲気である。また、水酸化ニッケルを熱処理する際の不活性雰囲気は、窒素、アルゴンなどの不活性ガスを含む雰囲気である。
水酸化ニッケルを熱処理する際の雰囲気を、上記のような不活性雰囲気とすることができる理由は、ヘキサメチレンテトラミンの加水分解により生成したホルムアルデヒドが沈殿物の表面に吸着しており、水酸化ニッケルを熱処理する際に、このホルムアルデヒドが水酸化ニッケルの表面で一酸化炭素と水素に熱分解することによって、水酸化ニッケルの表面近傍が還元性雰囲気になっているからであると考えられる。したがって、本発明のニッケル微粉末の製造方法では、必ずしも可燃性の水素に代表される還元性雰囲気下にて、水酸化ニッケルの熱処理を行う必要はない。ゆえに、本発明のニッケル微粉末の製造方法によれば、爆発の危険性のある水素雰囲気下にて、水酸化ニッケルを熱処理する場合と比べて、危険を伴うことなく、安全対策に要するコストを削減することができる。
このような本発明のニッケル微粉末の製造方法によれば、凝集がなく、平均一次粒子径が100nm以下、具体的には、平均一次粒子径が20nm以上かつ70nm以下の微細、かつ、結晶構造が面心立方(face−centered cubic structure)であるニッケル微粉末を、工業的規模にて低製造コストで、安全かつ効率よく製造することができる。
また、本発明のニッケル微粉末は、凝集がないことから溶媒に分散させて、導電性塗料や導電性ペーストとして用いることが可能である。このような本発明のニッケル微粉末を含む塗料や導電性塗料や導電性ペーストは、ニッケルの導電性を生かして回路基板の電極用材料や、燃料電池、2次電池などの電極用材料として好適である。さらに、本発明のニッケル微粉末は、隠蔽性のある黒色であることから、ブラックマトリックス材料のような黒色塗料のフィラーとしても使用することができる。
以下、実施例1〜3および比較例1〜4により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
「実施例1」
塩化ニッケル(NiCl・6HO、特級試薬、関東化学社製)106.8gを所定量の純水に溶解して調製した水溶液に、さらに純水を加え、3Lの塩化ニッケルの水溶液を調製した。この水溶液の濃度は、0.45mol/Lであった。
次いで、この水溶液にヘキサメチレンテトラミン378g(塩化ニッケルの水溶液に含まれるニッケルイオンのモル量の6倍量に相当)を添加し、均一な水溶液を調製した。
次いで、この水溶液を加熱し、24時間沸騰させると、ヘキサメチレンテトラミンが分解することにより生成するアンモニアによって水溶液のpHが上昇するに伴って、析出物が生成した。
次いで、この析出物を純水により洗浄した後、乾燥した。
次いで、この析出物を、窒素雰囲気下、300℃にて2時間、熱処理して、微粉末を得た。
得られた微粉末をX線回折(XRD)により分析した結果、この微粉末は、結晶構造が面心立方をなす金属ニッケルの微粉末であることが確認された。
また、この微粉末は磁石に吸い付けられることから、磁性を有することも分かった。
さらに、透過型電子顕微鏡(TEM)により、この微粉末の電子顕微鏡写真(図1参照)を撮影し、この電子顕微鏡写真から無作為に50個の粒子を選び出し、その一次粒子径を測定し、その測定結果の平均値を計算することによって、この微粉末の平均一次粒子径を算出した。その結果、この微粉末の平均一次粒子径は29.4nmであった。
また、図1に示す電子顕微鏡写真から、この微粉末は、凝集がなく、高度に分散していることが確認された。
「実施例2」
塩化ニッケル(NiCl・6HO、特級試薬、関東化学社製)106.8gを所定量の純水に溶解して調製した水溶液に、さらに純水を加え、3Lの塩化ニッケルの水溶液を調製した。この水溶液の濃度は、0.45mol/Lであった。
次いで、この水溶液にヘキサメチレンテトラミン378g(塩化ニッケルの水溶液に含まれるニッケルイオンのモル量の6倍量に相当)を添加し、均一な水溶液を調製した。
次いで、この水溶液を70℃にて72時間、加熱すると、ヘキサメチレンテトラミンが分解することにより生成するアンモニアによって水溶液のpHが上昇するに伴って、析出物が生成した。
次いで、この析出物を純水により洗浄した後、乾燥した。
次いで、この析出物を、窒素雰囲気下、300℃にて2時間、熱処理して、微粉末を得た。
得られた微粉末をX線回折(XRD)により分析した結果、この微粉末は、結晶構造が面心立方をなす金属ニッケルの微粉末であることが確認された。
また、この微粉末は磁石に吸い付けられることから、磁性を有することも分かった。
さらに、実施例1と同様にして、この微粉末の電子顕微鏡写真(図2参照)を撮影することにより、この微粉末の平均一次粒子径を算出した。その結果、この微粉末の平均一次粒子径は30.3nmであった。
また、図2に示す電子顕微鏡写真から、この微粉末は、凝集がなく、高度に分散していることが確認された。
「実施例3」
塩化ニッケル(NiCl・6HO、特級試薬、関東化学社製)3.56gを所定量の純水に溶解して調製した水溶液に、さらに純水を加え、1.5Lの塩化ニッケルの水溶液を調製した。この水溶液の濃度は、0.01mol/Lであった。
次いで、この水溶液にヘキサメチレンテトラミン63g(塩化ニッケルの水溶液に含まれるニッケルイオンのモル量の30倍量に相当)を添加し、均一な水溶液を調製した。
次いで、この水溶液を加熱し、20時間沸騰させると、ヘキサメチレンテトラミンが分解することにより生成するアンモニアによって水溶液のpHが上昇するに伴って、析出物が生成した。
次いで、この析出物を純水により洗浄した後、乾燥した。
次いで、この析出物を、窒素雰囲気下、300℃にて2時間、熱処理して、微粉末を得た。
得られた微粉末をX線回折(XRD)により分析した結果、この微粉末は、結晶構造が面心立方をなす金属ニッケルの微粉末であることが確認された。
また、この微粉末は磁石に吸い付けられることから、磁性を有することも分かった。
さらに、実施例1と同様にして、この微粉末の電子顕微鏡写真(図3参照)を撮影することにより、この微粉末の平均一次粒子径を算出した。その結果、この微粉末の平均一次粒子径は40.9nmであった。
また、図3に示す電子顕微鏡写真から、この微粉末は、凝集がなく、高度に分散していることが確認された。
「比較例1」
塩化ニッケル(NiCl・6HO、特級試薬、関東化学社製)35.6gを所定量の純水に溶解して調製した水溶液に、さらに純水を加え、1Lの塩化ニッケルの水溶液を調製した。この水溶液の濃度は、0.15mol/Lであった。
次いで、この水溶液に尿素54g(塩化ニッケルの水溶液に含まれるニッケルイオンのモル量の6倍量に相当)を添加し、均一な水溶液を調製した。
次いで、この水溶液を加熱し、3時間沸騰させると、尿素が分解することにより生成するアンモニアと炭酸イオンによって、析出物が生成した。
次いで、この析出物を純水により洗浄した後、乾燥した。
次いで、この析出物を、窒素雰囲気下、300℃にて2時間、熱処理して、微粉末を得た。
得られた微粉末をX線回折(XRD)により分析した結果、この微粉末は、金属ニッケルではなく、大部分が酸化ニッケルであることが確認された。
また、この微粉末は磁石に吸い付けられなかったことから、磁性を有していないことも分かった。
「比較例2」
塩化ニッケル(NiCl・6HO、特級試薬、関東化学社製)35.6gを所定量の純水に溶解して調製した水溶液に、さらに純水を加え、1Lの塩化ニッケルの水溶液を調製した。この水溶液の濃度は、0.15mol/Lであった。
次いで、この水溶液に、5Nの水酸化ナトリウム水溶液200mlを添加することにより、析出物が生成した。
次いで、この析出物を純水により洗浄した後、乾燥した。
次いで、この析出物を、水素雰囲気下、400℃にて2時間、熱処理して、粉末を得た。
得られた粉末をX線回折(XRD)により分析した結果、この粉末は、結晶構造が面心立方をなす金属ニッケルの粉末と、水酸化ニッケルの粉末との混合物であることが確認された。
また、この粉末は磁石に吸い付けられることから、磁性を有することも分かった。
さらに、実施例1と同様にして、この粉末の電子顕微鏡写真(図4参照)を撮影した。図4に示す電子顕微鏡写真から、この粉末は、平均一次粒子径が100nmを超える粗大粒子を多量に含んでいることが確認された。
「比較例3」
塩化ニッケル(NiCl・6HO、特級試薬、関東化学社製)35.6gを所定量の純水に溶解して調製した水溶液に、さらに純水を加え、1Lの塩化ニッケルの水溶液を調製した。この水溶液の濃度は、0.15mol/Lであった。
次いで、この水溶液に、5Nの水酸化ナトリウム水溶液200mlを添加することにより、析出物が生成した。
次いで、この析出物を純水により洗浄した後、乾燥した。
次いで、この析出物を、窒素雰囲気下、300℃にて2時間、熱処理して、微粉末を得た。
得られた微粉末をX線回折(XRD)により分析した結果、この微粉末は、水酸化ニッケルの微粉末と酸化ニッケルの微粉末の混合物であることが確認された。
また、この微粉末は磁石に吸い付けられなかったことから、磁性を有していないことも分かった。
「比較例4」
塩化ニッケル(NiCl・6HO、特級試薬、関東化学社製)を、窒素雰囲気下、300℃にて2時間、熱処理して、微粉末を得た。
得られた微粉末をX線回折(XRD)により分析した結果、この微粉末は、酸化ニッケルであることが確認された。
また、この微粉末は磁石に吸い付けられなかったことから、磁性を有していないことも分かった。
本発明の実施例1で得られた微粉末を透過型電子顕微鏡によって撮影した写真である。 本発明の実施例2で得られた微粉末を透過型電子顕微鏡によって撮影した写真である。 本発明の実施例3で得られた微粉末を透過型電子顕微鏡によって撮影した写真である。 本発明の比較例1で得られた微粉末を透過型電子顕微鏡によって撮影した写真である。

Claims (5)

  1. ニッケル塩を水に溶解して水溶液を調製し、この水溶液に、この水溶液中のニッケルイオンのモル量に対して1倍量以上かつ100倍量以下のヘキサメチレンテトラミンを添加して析出物を生成し、この析出物を熱処理することを特徴とするニッケル微粉末の製造方法。
  2. 前記水溶液にヘキサメチレンテトラミンを添加した後、この水溶液を60℃以上に加熱し、析出物を生成することを特徴とする請求項1記載のニッケル微粉末の製造方法。
  3. 析出物の熱処理を、還元性雰囲気下または不活性雰囲気下、200℃以上かつ500℃以下にて行うことを特徴とする請求項1または2記載のニッケル微粉末の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項記載のニッケル微粉末の製造方法によって得られ、平均一次粒子径が100nm以下であることを特徴とするニッケル微粉末。
  5. 結晶構造が面心立方であることを特徴とする請求項4記載のニッケル微粉末。

JP2006110837A 2006-04-13 2006-04-13 ニッケル微粉末の製造方法およびニッケル微粉末 Withdrawn JP2007284713A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010242143A (ja) * 2009-04-02 2010-10-28 Sumitomo Electric Ind Ltd 金属粉末および金属粉末製造方法、導電性ペースト、並びに積層セラミックコンデンサ
JP2013112889A (ja) * 2011-11-30 2013-06-10 Toda Kogyo Corp ニッケル微粒子粉末の製造法及び該製造法により得られるニッケル微粒子粉末

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