JP2007269835A - 塗膜保護シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材に粘着剤層を設けてなり、かつ基材に直径10〜100μmの複数の穿孔が施され、トルエン透過度が1.0×105g/m2・24時間・atm以上であることを特徴とする塗膜保護シートである。
【選択図】なし
Description
しかしながら、被着体を接着カバーする際に不可避的に発生する皺部より雨水やウインドウォッシャ等による洗浄液が浸入して、やはり接着カバーの際に不可避的に混入する気泡部に溜り、塗膜の膨潤等による変色や変質などの容易に除去できない汚損原因となる問題点があり、これに対して多孔基材に粘着剤層を設け、透湿度を持たせた塗膜保護シートが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
このため、特に自動車用樹脂製バンパーにおいては、硬化が不完全、かつ乾燥が不十分な塗膜に保護シートが貼付されるため、塗膜中の添加物が塗膜表面に移行(マイグレーション)して、塗膜表面が白く見える現象(白ボケ)が発生するという問題がある。
また、上記の特許文献3のように多孔質の基材や粘着剤を用いる場合には、塗膜の残留溶剤は水分と同じように蒸発させる効果があるが、粘着剤面が凹凸であるため、粘着剤面の凹凸が塗膜表面に転写されてしまうという欠点がある。
〔1〕 基材に粘着剤層を設けてなり、かつ基材に直径10〜100μmの複数の穿孔が施され、トルエン透過度が1.0×105g/m2・24時間・atm以上であることを特徴とする塗膜保護シート。
〔2〕 基材が非多孔質フィルムからなり、レーザ加工により穿孔が施されたものである〔1〕の塗膜保護シート。
〔3〕 自動車用樹脂製バンパーの塗膜を保護するために用いる〔1〕又は〔2〕の塗膜保護シート。
このため本発明の塗膜保護シートは、塗装を終えた自動車を移送する際などに、不完全硬化の塗膜に対して、外観変化を生ぜずに酸性雨等による汚染、衝突物による傷等を防ぐことができる。
基材の材料は上記のように穿孔が施されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、樹脂フィルム、金属フィルム、金属を蒸着させた樹脂フィルムおよび、それらの積層体等が挙げられる。
基材の厚さは、通常は5〜500μm、好ましくは10〜300μmである。
粘着剤層の厚さは、通常は1〜300μm、好ましくは5〜100μmである。
剥離材の厚さは、通常は10〜250μm、好ましくは20〜200μmである。
穿孔は、例えば、ウォータージェット、マイクロドリル、精密プレス、熱針、溶孔等によって形成しても良いが、本発明の塗膜保護シートにおいては、微細な孔を所望の密度で容易に形成できる点でレーザ加工によって形成することが好ましい。なお、本発明の塗膜保護シートにおいては、基材に複数の穿孔が施されて塗膜中の溶剤が透過すれば良いので、穿孔は特に基材と粘着剤層を貫通する必要はなく、粘着剤層において一部の孔が潰れた状態でも良く、粘着剤層に穿孔されていなくても良い。
本発明の塗膜保護シートにおける基材に施される穿孔の直径は10〜100μmであり、好ましくは10〜80μmである。穿孔の直径を10μm以上とすることにより好適な溶剤の蒸発が得られ白ボケが回避される。また、80μm以下とすることにより水分や不純物の混入がなく、酸性雨等による汚染が回避され、且つ、孔の形状が塗膜表面に転写されることもない。
穿孔密度は10〜1,000,000個/100cm2とすることが好ましく、100〜10,000個/100cm2とすることが更に好ましい。また、穿孔のピッチは0.1〜30mmとすることが好ましく、1〜10mmとすることが更に好ましい。
なお、樹脂製バンパー塗料には各種溶剤が使用されているが、本発明においてはトルエンを基準として透過度を測定した。例えばトルエンが含まれていない塗料においても本発明の測定方法により上記透過度であれば本発明の範囲に属するものである。
なお、各例で得られた塗膜保護シートの性能等の評価は、以下の方法により行った。
(1)トルエン透過度
JIS K7126 A法(差圧法)に準じた差圧式セルに実施例及び比較例で得られた塗膜保護シートを固定した後、高圧側からトルエン蒸気を導入し、塗膜保護シートを透過したトルエン蒸気の量を、低圧側に設置したガスクロマトグラフによって測定した。測定機器にGTR株式会社製 ガス蒸気透過率測定装置 GTR−30Xを用い、差圧式セルのセル温度を40℃として測定した。
(2)塗膜表面の外観変化
電着プライマー及び中塗り塗料を塗装したポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの板に自動車用2液型ポリウレタン系上塗り塗料(ロックペイント(株)製)
ロックマルチトップクリヤーSF150−5150 100質量部
ロックマルチトップクリヤーS硬化剤標準150−5120 50質量部
を混合し、約1μmの厚さになるように吹き付け、60℃で10分間乾燥し、室温で30分放置した。塗膜の表面に実施例及び比較例で得られた塗膜保護シートを貼付し、室温で24時間放置した後、塗膜保護シートを剥がし、塗膜表面の外観を肉眼で確認し、次のように評価した。
○:白ボケなし、孔形状の転写なし ×:白ボケあり。
2−エチルヘキシルアクリレート54質量部、酢酸ビニル27質量部、エチルアクリレート17質量部及びアクリルアミド2質量部を共重合させて、重量平均分子量80万の共重合体を得、次いで該共重合体100質量部にイソシアナート系架橋剤(東洋インキ製造(株)製:BHS8515)2質量部を配合し、トルエンで希釈し十分に攪拌して固形分30質量%のアクリル系粘着剤の塗布剤とした。
厚さ38μmのポリエステル(PET)フィルムにシリコーン系剥離剤を塗布した剥離材(リンテック社製:SP−PET3801)の剥離処理面に、上記粘着剤の塗布剤を乾燥後の厚さが20μmになるようにナイフコーターによって塗布し、90℃で3分間乾燥させた。このようにして形成した粘着剤に、ポリエチレン(PE)基材(ジェイフィルム社製:PEワダトウメイ50ASカイ6、厚さ:50μm)を圧着し、3層構造の積層体を得た。
得られた積層体に対して、剥離材側からUV−YAGレーザを照射することにより、基材表面における直径が70μmの貫通孔をピッチ2mmで形成した。
得られた塗膜保護シートの評価結果を第1表に示す。
実施例1のアクリル系粘着剤に代えて、ゴム系粘着剤(ポリイソブチレン系、BASF社製:Oppanol B80,粘度平均分子量:800,000)をトルエンで希釈して固形分30質量%の塗布剤として他は、実施例1と同様とした。得られた塗膜保護シートの評価結果を第1表に示す。
実施例1のPE基材に代えてPET基材(東レ(株)製:ルミラーT−60、厚さ25μm)を用い、貫通孔の直径を20μmとした他は、実施例1と同様とした。得られた塗膜保護シートの評価結果を第1表に示す。
実施例1において貫通孔の形成を行わなかった他は、実施例1と同様とした。得られた塗膜保護シートの評価結果を第1表に示す。
実施例3において貫通孔の形成を行わなかった他は、実施例3と同様とした。得られた塗膜保護シートの評価結果を第1表に示す。
Claims (3)
- 基材に粘着剤層を設けてなり、かつ基材に直径10〜100μmの複数の穿孔が施され、トルエン透過度が1.0×105g/m2・24時間・atm以上であることを特徴とする塗膜保護シート。
- 基材が非多孔質フィルムからなり、レーザ加工により穿孔が施されたものである請求項1に記載の塗膜保護シート。
- 自動車用樹脂製バンパーの塗膜を保護するために用いる請求項1又は2に記載の塗膜保護シート。
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