JP2007263711A - プレナー回折格子を含む合波干渉型光学装置および光エンコーダ - Google Patents

プレナー回折格子を含む合波干渉型光学装置および光エンコーダ Download PDF

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Abstract

【課題】光線の波長よりも短い周期の格子定数のプレナー回折格子を含む合波干渉型光学装置および光エンコーダを提供すること。
【解決手段】本発明の合波干渉型光学装置は、コヒーレント光を照射する光源30と、光源30からのコヒーレント光を回折し、光学キャビティを形成する第1の凹凸部を備えた分波器32と、当該コヒーレント光の波長よりも短い周期で形成された光学キャビティを形成する第2の凹凸部を備えたメインスケール34と、第3の凹凸部を備えた合波干渉器36と、合波干渉器36から出力されたコヒーレント光を受光する検出器38とを備えており、メインスケール34から回折される+1次と−1次の2つの回折光を合波干渉させて正弦波信号として検出する。また、本発明は、メインスケールの相対的変位を検出する合波干渉型の光エンコーダを提供する。
【選択図】図6

Description

本発明は、プレナー回折格子を含む光学装置に関し、より詳細には、本発明は、入射光線よりも回折格子の格子周期が短いプレナー回折格子を含む合波干渉型光学装置および光エンコーダに関する。
これまで、光学要素として回折格子を使用した光学装置が種々知られており、分光器、レンズ、分波装置、干渉計、エンコーダなどに応用されている。従来、回折格子は、回折格子上に形成された凹凸を利用して光路差を生成し、光路差に応答した波長選択性を付与して波長分離を行っている。また、透過型の回折格子も知られており、フレネルレンズなどに利用されている。
いずれの場合にも、回折性能と波長との間には制限があり、入射光線が回折格子の格子周期よりも短波長である場合には、充分な回折特性を得ることができないという問題点があった。
上述した問題を解決し、さらに高分解能化を進める場合には、どうしても入射光線の短波長化が必要となり、Nd:YAGなど3倍波、4倍波などの高調波を生成させたり、エキシマ・レーザによる短波長化、X線レーザの利用など、装置が大型化し、かつ高価格化し、さらにアライメントなどのメンテナンスも複雑なものとなっていた。
また、プレナー回折格子を使用した光学装置としてエンコーダが知られている。例えば、特開平5−1926号公報(特許文献1)では、回折格子が形成された透過型スケールと光源と透過型スケールの回折格子上の異なる2つの回折点に入射させるための光束分岐手段とを備える格子干渉型変位検出装置を開示している。さらに特開2004−37199号公報(特許文献2)では、光源から照射される平行光線を2光波に分割する光分岐手段と透過型の第1回折格子が形成されているメインスケールと、変更可能な格子ピッチを備えた第2回折格子とを備えた光学式エンコーダが開示されており、メインスケールに対して、光源の発光波長λよりも短く、λ/2よりも長い格子ピッチで形成された光学式エンコーダが開示されている。
また、特開平4−130220号公報(特許文献3)には、レーザ光の波長依存性をなくするため、ドップラー効果を使用して精度を向上させたエンコーダを開示している。
特開平5−1926号公報 特開2004−37199号公報 特開平4−130220号公報
上述した特許文献1および特許文献3では、光源の波長よりも短波長側において回折格子による回折を利用するという技術思想を開示するものではない。また、特許文献2では、メインスケールの格子ピッチを光源の波長よりも短波長として計測を行うために特定の格子ピッチで形成した第2回折格子をメインスケールの透過側に配置する構成を開示している。
上述したように、特許文献1および特許文献3では、光源の波長よりも短波長での測定を目的とするものではなく、また特許文献2では、光源の波長よりも短波長側での測定を行うために極めて複雑な構成を用い、装置の大型化、複雑化を招き、装置のコストアップやアライメントなどのメンテナンス・コストアップなどの問題点があった。
一方、光源としてレーザ光線を使用する場合には、コヒーレンシの高い高品質光線が利用できる。また、レーザ光線は、位相性が極めて優れているので、コヒーレンスの光分岐手段を形成することができるものと考えられる。このようなコヒーレント光の特性を効果的に利用することで、よりシンプルで操作性の高い光学装置を提供することができるものと考えられる。
本発明は、レーザ光線を、凹凸の周期構造を有するプレナー型回折格子に対して入射させた場合、回折格子の周期を高精度に作製すれば入射光に対して分波、回折、合波干渉が角度調整なしにできることと、厳密な電磁波解析理論を用いれば波長以下の格子周期の回折格子に対しても高い回折高率を有する設計が可能であることに着目してなされたものである。
コヒーレンスのある波長は、凹凸型の周期構造を有する回折格子に対して、回折格子の周期が波長以上であっても、以下であっても、TE波、TM波の偏光面を維持しながら、2方向に分波、回折、合波干渉されることが見出された。
すなわち、本発明は、上記作用効果を利用することにより、高精度で、かつ従来よりも構成がシンプルで、かつメンテナンスやアライメントがセンシティブではなく、さらに低コストの合波干渉型光学装置および光エンコーダを提供することを目的とする。
すなわち、本発明によれば、コヒーレント光を照射する光源と、
前記光源からの前記コヒーレント光を回折し、光学キャビティを形成する第1の凹凸部を備えた分波器と、
前記分波器により分波されたコヒーレント光を回折し、前記コヒーレント光の波長よりも短い周期で形成された光学キャビティを形成する第2の凹凸部を備えた回折格子と、
前記回折格子から出力されたコヒーレント光を受光する検出器と
を備える合波干渉型光学装置が提供される。
本発明では、前記第2の凹凸部は、前記第1の凹凸部の1/2の周期で形成することができる。
本発明では、前記合波干渉型光学装置は、前記回折格子と前記検出器との間に配置され、前記第1の凹凸部と同一の第3の凹凸部を含む合波干渉器を備えることができる。
本発明では、前記第2の凹凸部の格子周期は、前記光源の波長より小さく、波長の0.58倍以上とすることができる。
本発明では、前記第1の凹凸部および前記第2の凹凸部は、矩形形状とすることができる。
本発明では、前記コヒーレント光は、TE波とすることができる。
本発明によれば、コヒーレント光を照射する光源と、
前記光源からの前記コヒーレント光を回折し、光学キャビティを形成する第1の凹凸部を備えた分波器と、
前記分波器により分波されたコヒーレント光を回折し、前記コヒーレント光の波長よりも短い周期で形成された光学キャビティを形成する第2の凹凸部を備えた回折格子と、
前記回折格子と前記検出器との間に配置され、前記第1の凹凸部と同一の第3の凹凸部を備える合波干渉器と、
前記回折格子から出力されたコヒーレント光を受光する検出器と
を備える光エンコーダが提供できる。
本発明では、前記第2の凹凸部の格子周期は、前記光源の波長より小さく、波長の0.58倍以上とすることができる。
本発明では、前記第2の凹凸部は、前記第1の凹凸部の1/2の周期で形成することができる。
本発明では、前記光エンコーダは、少なくとも1つの位相変調装置を含むことができる。
本発明では、前記コヒーレント光は、TE波とすることができる。
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるわけではない。
図1は、本発明に使用するプレナー回折格子の実施の形態を示した図である。図1に示すように、本発明で使用するプレナー回折格子は、軟質ガラス、パイレックス(登録商標)、石英ガラス、ゼロ膨張ガラスなどの基板10上に、周期的に櫛歯型の凹凸部が形成されている。凹部は、互いに隣接する凸部の間に光学キャビティ12を形成し、複数の凹部が凸部により分離されて周期的な屈折率変調を与えている。本発明では、この凹部を他の誘電体で充填することもできる。図1(a)に示した実施の形態は、フォトリソグラフィーや電子線リソグラフィーで作製したマスクパターンを用いて、基板10を直接エッチングして光学キャビティ(凹部)12が形成されており、現在の微細加工技術を用いれば、半導体レーザなどの出力波長以下の0.2μm程度の周期まで高精度に作製が可能である。また、この回折格子を分波、回折、合波するために用いるためには、通常、デューティ比は1程度が適しており、加工精度も高くでき、ヘリウム−ネオンレーザ、アルゴンイオン・レーザ、半導体レーザなどの出力波長領域で、光学キャビティを提供する。なお、本発明では、入射波長以下の周期をもつ回折格子に対して、デューティ比および凸部高さを変えることにより、種々の波長、偏光に対する回折効率などを適宜に設定することができる。
図1(b)は、本発明のプレナー型回折格子の第2の実施形態を示す。図1(b)に示した実施の形態は、基板14上に光学的に透明なポリマー膜、酸化膜などを形成し、フォトリソグラフィーや電子線リソグラフィーで作製したマスクパターンを用いて、ポリマー膜16をエッチングすることにより、凹部を形成し、隣接した凸部16の間に光学キャビティ18を形成して透過型回折格子を作製している。また、反射型回折格子を作製する場合には、基板14に、誘電体多層膜や反射金属膜20などの光反射膜をコーティングした上に、凸部16および凹部18のプレナー回折格子を作製して、反射型回折格子としている。本発明では、光学装置の構成に応じて、透過型または反射型の両方の回折格子を使用することができる。ポリマー膜による表面の凹凸回折格子は、ナノインプリント技術によって、複製を大量に作製することが可能である。
本発明の回折格子に形成される凹凸部は、図1においては矩形形状として示したが、本発明では矩形でなくとも良く、波線形状など、光学キャビティを形成できる限り、いかなる形状とすることもできる。
図2は、本発明の入射波長以上の格子周期を用いた分波、入射波長以下の格子周期を用いた回折、入射波長以上の格子周期を用いた合波干渉に関する回折格子に対する回折機構の概略図である。本発明では、分波、合波干渉には入射波長以上の格子周期の回折格子を用いており、スケールには入射波長以下の格子周期の回折格子を用いて、これらの機構を組み合わせた合波干渉型光学装置を開示している。
図2(a)は、本発明の回折格子の分波機構を示す概略図である。回折格子の周期よりも短い波長を有する平面波は、図2(a)に示すように回折格子に垂直に入射した場合は、回折格子の凸部を通過した波面は、凹部を通過した波面よりも図に示すように遅くなる。すなわち、凸部の位相が遅れることになり、この位相差によって、+1次と−1次の回折効率が決まってくる。このような、凹凸回折格子の場合は、位相差がλ/2(λ:入射光波長)の時に最大となり、40%程度が得られる。この回折現象は、回折格子の構造が対称であるため、+1次回折光と−1次回折光の光強度が等しく、しかも0次光強度が小さいことである。よって、0次光を遮断すれば、2つのビーム光強度がほぼ等しい分波器と用いることができる。この時、回折格子の周期が入射波長よりも十分長ければ(格子周期が波長の3倍以上程度)、偏光依存性も少なく、凸部の屈折率に応じて最適な格子高さを決定できる。しかしながら、回折格子の周期が入射波長に近づくと、格子溝方向に偏光した入射(TE波)と、それに垂直方向に偏光した入射(TM波)とでは特性が異なってくるが、本発明では、このような領域でも、厳密な電磁波解析理論であるRCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis:厳密結合波解析)法などを用いて解析した結果、分波器として十分性能を発揮できることを見出した。
図2(b)は、本発明の回折格子の合波干渉機構を示す概略図である。回折格子の周期よりも短い波長を有する平面波は、図2(b)に示すように、回折格子面に垂直でかつ格子溝に平行な平面に対称な方向から、回折格子の回折角に等しい角度で2つの平面波を入射した場合には、回折格子の凸部を通過した波面は、凹部を通過した波面よりも遅くなり、回折格子に垂直方向に+1次と−1次の回折光が重なると同時に干渉する。すなわち、2つの平面波を合波干渉して、2つの波面の位相差を検出することができる。
この場合も、回折格子の周期が入射波長よりも十分長ければ(格子周期が波長の3倍以上程度)、偏光依存性も少なく、凸部の屈折率に応じて最適な格子高さを決定できる。しかしながら、回折格子の周期が入射波長に近づくと、格子溝方向に偏光した入射(TE波)と、それに垂直方向に偏光した入射(TM波)とでは特性が異なってくるが、本発明では、このような領域でも、厳密な電磁波解析理論であるRCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis:厳密結合波解析)法などを用いて解析した結果、2つの波面の入射角を精度良く調整すれば、2つの波面の位相差を検出する合波干渉器として十分性能を発揮できることを見出した。
2つの波面の位相を検出する合波干渉器として使用できるためには、2つの波面の入射角度を高精度に合わせる必要がある。通常のミラーなどを用いたメカニカルな機構では調整が非常に困難であるのに対して、回折格子による分波器と周期を高精度に制御した凹凸の回折格子スケールとを組み合わせれば、自動的に角度調整ができることを本発明で開示している。
図2(c)は、回折格子の格子周期が、入射波長以下になった場合の入射光に対する回折現象の様子を示している。平面波が入射した場合には、回折格子の凹部と凸部での位相差が生じないので、回折光は発生せず平面波がそのまま透過することになる。よって、垂直に入射に対しては回折格子として使用できないが、図2(d)のように入射光を傾けていくと回折光が発生するようになる。
この現象の説明は難しく、古くはブラッグ反射でこの現象を説明していたが、デューティ比の依存性、入射角度依存性、格子高さの依存性等の説明は難しかった。それに対して、この周期的な凹凸格子の横方向の周期的境界条件を満足する伝播導波モードをマクスウエル方程式によって厳密に解く方法がある。この考えに基づくと、垂直入射の場合には、基本モードのみが励起され伝播モードに位相差が生じないため回折光が生じない。それに対して、斜め入射にすることにより多重のモードが励起され、しかも回折格子の出口まで伝播してきたこれらのモードを合成した波面が、凹凸の1周期内で位相分布をもつため回折光が生じると考えられる。現在は、このような考え方で回折効率が定量的に計算できるようになってきている。このように、従来はこの回折特性を定量的に明確にするのが困難であったため、リニアエンコーダに適したスケールの設計ができなかった。
そのため、これと類似の現象である参照光と物体光の2光束干渉でホログラフィック回折格子を作製して、参照光を照明すると物体光に対応する回折光が生じることを利用して、アナログ的な位相変調によるスケールが作製されていた。このスケールでは、この回折角に精度よく合致したデジタル的な凹凸回折格子の作製が困難なため、分波器と合波干渉器の両方にデジタル的な凹凸回折格子を用いて、合波干渉型リニアエンコーダを構成することは難しかった。それに対して本発明では、厳密な電磁波解析理論であるRCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis:厳密結合波解析)法などを用いて解析した結果、この回折特性を定量的に評価できるようになり、リニアエンコーダ用のスケールを設計できることを見出し実験的にも確認ができた。本発明において、回折格子の周期を波長以下にし、偏光面、入射角の設定に対してスケールの凹凸型回折格子の周期、格子高さ最適化すれば、波長以上の周期の回折格子を用いる場合よりも、回折効率を高く、より小型で調整の容易なリニアエンコーダを構成できることを開示した。
図3は、本発明の分波器、スケール、合波干渉器に用いる回折格子の回折特性を説明した図である。図3(a)は、光線が回折格子に垂直入射した場合の回折特性であり、分波器、合波干渉器に用いる。図3(b)は、光線が、回折格子の表面に斜入射してきた場合の回折特性を示しており、スケールに用いる。本発明の回折格子10は、図2において説明したように、レーザ光線22の入射方向に対して角度θをもって対称に、回折光線24に示すように回折される。このときの回折角θは、下記式(1)にしたがう。
Figure 2007263711
上記式(1)中、θは、レーザ光線の入射法線ベクトルに対して測った角度であり、λは、波長(nm)であり、Pは、凹凸周期(nm)である。
一方、回折格子10に対して角度θをもって入射したレーザ光線22は、凹凸周期P’を、P/2とすることで入射角θと同一の回折角θで回折される。すなわち、P/2の凹凸周期に対して角度θで入射させれば、下記式(2)で与えられる関係が得られることが見出された。
Figure 2007263711
本発明者らは、上記知見に基づき、回折格子を2つ使用すれば、入射波長よりも小さな格子周期の回折格子でも効率的に回折させ、入射波長よりも大きな周期の回折格子で分波および合波干渉を行えば、各回折格子への入射角度を自動的に整合できることを見出した。すなわち、一方を凹凸周期Pの分波器および合波干渉器として使用し、一方を凹凸周期P/2のメインスケールとして使用すれば、光学キャビティを使用した回折格子を使用して分波−合波干渉システムを構成することができる。
図4は、本発明の回折格子の回折効率を、厳密な電磁波解析を行うことができる自作のソフトウェアRCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis:厳密結合波解析)を使用し、回折格子の特性を変化させてその透過回折効率をシミュレーションした結果を示す。なお、同様のシミュレーションを、市販ソフトウェア(DiffractMOD、RSOFT社製)を使用して結果を比較検討した所、同様の結果が得られることを確認できた。また、実験的にも、このシミュレーションの妥当性を確認している。
図4(a)は、図1(a)の格子の凹部の深さ(μm)を変化させ、凹凸周期を0.5μm、入射レーザ光線を、波長640nmの半導体レーザとした場合の、式(2)で決まる入射角が39.8°に対する透過回折効率であり、図4(b)は、凹凸周期を0.4μmとし、式(2)で決まる入射角を53.1°とした場合の回折効率である。なお、このとき光学キャビティを形成する凹凸部のデューティ比は、1:1とした。また、凹凸格子および基板は、石英ガラス(屈折率1.48)を使用した場合の例である。シミュレーションは、入射光の偏光面が凹凸部により形成される格子に平行なTE波およびそれに垂直なTM波について計算を行った。
図4に示すように、TE波とTM波に対して、いずれの場合にも、格子高さを最適化すれば回折効率90%を超えるのが確認され、充分な効率を有していることが確認できた。すなわち、通常用いられている回折格子の周期が入射波長よりも十分大きい(格子周期>入射波長の3倍)凹凸のレリーフ型の透過回折効率は、最適な格子高さである0.67μmに対して、40%程度が限界であることを考えれば、大幅に回折効率が向上できることがわかる。TE波の最適な高さは、0.4μm、0.5μmの格子周期に対して、約0.9μm付近で透過回折効率が最大であり、高精度な作製が比較的容易な格子高さである。
同じように、TM波に対しても、TE波よりも格子溝が深くなるが、TE波と同じような高い透過回折効率が得られる。すなわち、TM波の最適な格子高さはは、0.5μm、0.4μmの凹凸周期に対して、それぞれ、1.5μm、3μmであり、回折効率は90%が得られることが見出された。回折格子の周期が波長に近い時は大きな優劣は無いが、波長に比較して周期が短くなった場合は、TE波を使用する方が、格子高さが小さいので回折格子の作製の点で好都合である。
図5には、石英ガラスの凹凸周期が0.4μm(図5(a))と0.5μm(図5(b))の場合で、格子高さをTE波の透過回折効率が最大となる約0.9μmの時に、入射角を変えた場合のRCWA解析による回折効率を示す。図5の結果より、入射角が小さい時には回折光は小さいが、ある角度から回折光強度が大きくなっていき、回折効率が最大になる入射角は、式(2)で計算される入射角と一致しており、53.1°(凹凸周期:0.4μm)および39.8°(凹凸周期:0.5μm)であった。このことより、スケールの入射角と回折角が等しくなるようにリニアリニアエンコーダを構成でき、このように構成で回折効率が最大となり最適な構成であることが見出された。また、TM波に対しても、TE波の場合と同様に、式(2)で示される入射角と回折角が等しい角度で、最大回折効率が得られることが見出された。
なお、本発明で使用することができる凹凸周期とレーザ光線の波長との関係は、一般に、入射角度に対する式(2)に示した関係を適用して、入射角が30°〜60°の範囲であれば十分使用でき、この場合の回折格子の凹凸周期は、レーザ光線の波長の0.58倍以上に対応する。この領域であれば、使用するレーザ光線の波長によらず、光学損失が少なく、空気との屈折率差のある光学材料を用いて回折格子を作製すれば、図4(a)、(b)に相当する回折効率を得ることができる。
図6は、本発明の合波干渉型光学装置を示した図である。本発明の合波干渉型光学装置は、ヘリウム−ネオンレーザ、固体レーザ、半導体レーザといった光源30と、分波器32と、メインスケール34と、合波干渉器36と、検出器38とを備えている。分波器32、メインスケール34、合波干渉器36は、それぞれ本発明の回折格子を使用して製造されている。分波器32および合波干渉器36は、凹凸周期がPとされ、メインスケール34の凹凸周期がP/2とされている。この関係を構成することにより、分波器32で分波されたレーザ光線が図3で説明した関係のもとに、メインスケール34で+1次と−1次の方向に回折され、この2つの回折光はスケールの相対的な変位に対応した位相差をもっており、合波干渉器36において合波されると同時に干渉して、その干渉光強度が検出器38により検出される。
この検出信号より、合波干渉器に入射する2つの回折光の位相差(メインスケールの相対的な変位に対応)が検出されることになる。この信号より、スケールの相対的変位量を測定することができる。この時、レーザ光源30して分波器に入射する光の偏光方向は、スケールに用いている回折格子の特性にに合わせて、TE波かTM波に調整している。また、この図では、分波器32の0次項(直進光)は図示すされていないが、必要に応じて遮断されているものとする。
このような構成になっているので、各回折格子を互いに平行になるように配置し、メインスケールと分波器の回折格子との距離と、メインスケールと合波干渉器の回折格子との距離が等しくなるように調整すれば、自動的に回折格子に入射するレーザ光の角度が調整されることになる。
また、実際の構成にあたっては、光源30に戻り光がこないように、レーザ光線を凹凸回折格子の溝と平行な平面上で光軸からわずかにずらして、レーザ光線が分波器32、メインスケール34、合波干渉器36の各回折格子の溝上下方向にわずかずらして入射させている。
なお、図6に示した合波型干渉光学装置を、光エンコーダとして使用した場合、光源30の波長を0.64μmとし、分波器32および合波干渉器36の凹凸周期が0.8μmであり、メインスケール34の凹凸周期が0.4μmで、格子高さが図4に示した0.9μmであり、TE波を用いた。この場合、メインスケール34の相対変位に対して、0.2μm周期の正弦波の変調パターンが検出器38で検出信号として検出することができた。この位相差を検出している正弦波信号を変位量に変換して、さらに200分割することにより、1nmレベルの分解能をもつエンコーダが可能となる。
図7は、本発明の合波型干渉光学装置の別の実施の形態を示した図である。図7は、光源30と、分波器32と、分波器32からのレーザ光線を反射させるメインスケール34と、合波干渉器36と、検出器38を備えており、メインスケール34は、格子と基板との間の反射板もしくは誘電体多層膜コーティングによりレーザ光線を反射させている。この場合にでも、レリーフ型の誘電体回折格子と同様の構成になるので、反射は、入射角と同じに方向に戻り、反射した回折光は、合波干渉器36へと戻り、合波干渉光として検出器38により検出される。この場合でも、図6で説明したと同様にメインスケール34には分波器32と所定の関係を有する微細パターンが形成されているので、検出器38は、レーザ波長よりもはるかに微細なパターンの変調が行わされおり、高精度の光エンコーダとして適用することができる。但し、図7に示した実施の形態の場合には、入射する面と反射する面は重ならないように、格子を形成する凹凸部が延在する方向に対して、所定の角度をもつように構成されており、入射光線と、回折光とが延在方向にずれている。このような構成にすることにより、光源30と検出器38をずらして設置することができる。
図8は、本発明の合波型干渉光学装置の別の実施形態を示した図である。図8は、光源30と、分波器32と、分波器から発散してきた光線の向きを変える集光用凹凸回折格子39と、この集光用回折格子からのレーザ光線を反射させるメインスケール34と、合波干渉器36と、検出器38とを備えており、メインスケール34は、格子と基板との間の反射板もしくは誘電体多層膜コーティングによりレーザ光線を反射させている。また、集光用凹凸回折格子39の格子周期は、メインススケール34の格子周期と同一に構成されており、式(2)で示される入射角、回折角になるので、メインスケール34で反射された回折光は、自動的に光線の角度は調整されて、合波干渉器36へと戻り、合波干渉光として検出器38により検出される。
基本的には、図7と全く同じ動作を行うが、メインスケール34に入射するレーザ光線を集光しているので、メインスケールの近い位置での+1次と−1次の回折光の位相差を検出できるため、メインスケールの長さを有効に使える利点がある。この場合、メインスケール34に集光するレーザ光線の位置を合致させると、回折光だけでなく反射光も検出器38に戻るため、2つのビーム位置は合致しないように調整する必要がある。なお、集光用凹凸間接格子39の回折効率は90%近くの大きな値をとれるため、この回折格子の挿入損失は大きな問題にならないと考えられる。
さらに、図8に示した実施の形態の場合には、図7の場合と同様に入射する面と反射する面は重ならないように、格子を形成する凹凸部が延在する方向に対して、所定の角度をもつように構成されており、入射光線と、回折光とが延在方向にずれている。このような構成にすることにより、光源30と検出器38をずらして設置することができる。
図9は、本発明のさらに他の実施の形態の合波干渉光学装置を示した図である。図9に示した合波干渉光学装置は、概ね図6で説明したと同一の構成を有しているが、分波器32を経た後、一方には、位相変調装置として用いられる1/2波長板40が配置され、位相を変調させている。その後、分波されたレーザ光線は、メインスケール34を経て合波器36へと入射され、その後、ビームスプリッタ42により分離され、さらに位相調節装置として用いられる1/4波長板44を経て検出器38に入射され、一方はsin成分として検出され、他方がcos成分として検出されて、以後の処理性を向上させている。図9に示した実施の形態では、メインスケール34のTE波とTM波に対する回折効率をほぼ等しく合わせる必要があり、凹凸回折格子のデューティ比、格子高さを調整することにより実現されている。例えば、図1(a)の回折格子構成で、波長:0.64μm、凹凸周期:0.5μmに対して、格子高さ:2μm程度、ヂューティ比0.7−0.8でTE波とTM波の回折効率は95%以上でほぼ一致している。
これまで、本発明を図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、当業者であれば、種々の変更例、別実施例、除外、追加を行うことができ、本発明の範囲は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。
本発明は、簡単な構成で、かつ高精度のパターンを光線に付与することができる合波型光学装置を提供することができ、光エンコーダなどに利用することができる。
本発明で使用するプレナー回折格子の概略図。 本発明における回折機構の説明図。 本発明における回折格子の回折特性を示した図。 回折効率の基板厚さに対するシミュレーション。 回折効率の入射角度に対するシミュレーション。 本発明の合波干渉型光学装置の実施の形態を示した図。 本発明の合波干渉型光学装置の実施の形態を示した図。 本発明の合波干渉型光学装置の別の実施形態を示した図。 本発明の合波干渉型光学装置の実施の形態を示した図。
符号の説明
10…基板、12…光学キャビティ(凹部)、14…基板、16…凸部、18…光学キャビティ、20誘電体多層膜コーティング、22…レーザ光線、24…回折光線、30…レーザ光源、32…分波器、34…メインスケール(回折格子)、36…合波干渉器、38…検出器、39…集光用凹凸間接格子、40…1/2波長板、42…ビームスプリッタ、44…1/4波長板

Claims (11)

  1. コヒーレント光を照射する光源と、
    前記光源からの前記コヒーレント光を回折し、光学キャビティを形成する第1の凹凸部を備えた分波器と、
    前記分波器により分波されたコヒーレント光を回折し、前記コヒーレント光の波長よりも短い周期で形成された光学キャビティを形成する第2の凹凸部を備えた回折格子と、
    前記回折格子から出力されたコヒーレント光を受光する検出器と
    を備える合波干渉型光学装置。
  2. 前記第2の凹凸部は、前記第1の凹凸部の1/2の周期で形成される、請求項1の合波干渉型光学装置。
  3. 前記合波干渉型光学装置は、前記回折格子と前記検出器との間に配置され、前記第1の凹凸部と同一の第3の凹凸部を含む合波干渉器を備える、請求項1または2に記載の合波干渉型光学装置。
  4. 前記第2の凹凸部の格子周期は、前記光源の波長より小さく、波長の0.58倍以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合波干渉型光学装置。
  5. 前記第1の凹凸部および前記第2の凹凸部は、矩形形状である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の合波干渉型光学装置。
  6. 前記コヒーレント光は、TE波である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の合波干渉型光学装置。
  7. コヒーレント光を照射する光源と、
    前記光源からの前記コヒーレント光を回折し、光学キャビティを形成する第1の凹凸部を備えた分波器と、
    前記分波器により分波されたコヒーレント光を回折し、前記コヒーレント光の波長よりも短い周期で形成された光学キャビティを形成する第2の凹凸部を備えた回折格子と、
    前記回折格子と前記検出器との間に配置され、前記第1の凹凸部と同一の第3の凹凸部を備える合波干渉器と、
    前記回折格子から出力されたコヒーレント光を受光する検出器と
    を備える光エンコーダ。
  8. 前記第2の凹凸部の格子周期は、前記光源の波長より小さく、波長の0.58倍以上である、請求項7に記載の光エンコーダ。
  9. 前記第2の凹凸部は、前記第1の凹凸部の1/2の周期で形成される、請求項7または8に記載の光エンコーダ。
  10. 前記光エンコーダは、少なくとも1つの位相変調装置を含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の光エンコーダ。
  11. 前記コヒーレント光は、TE波である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の光エンコーダ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013512039A (ja) * 2009-11-24 2013-04-11 アルコン リサーチ, リミテッド 眼内照明のためのシングルファイバーマルチスポットレーザプローブ
JP2015194365A (ja) * 2014-03-31 2015-11-05 並木精密宝石株式会社 反射型エンコーダ

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