JP2007262435A - 低炭素硫黄快削鋼の製造方法 - Google Patents

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【課題】Pbフリーであっても良好な被削性(特に仕上げ面粗さ)を発揮すると共に、連続鋳造方法によって生産性良く製造することのできる低炭素硫黄快削鋼を製造するための方法を提供する。
【解決手段】低炭素硫黄快削鋼を製造するに当り、転炉から取鍋へ出鋼して溶鋼処理するに際して、成分調整のため添加するFeMn合金およびFeS合金の70%以上を転炉出鋼時に添加すると共に、前記取鍋は前回受鋼した溶鋼中のSi含有量が0.20%以下およびAl含有量が0.030%以下の取鍋を使用するか、或は取鍋を施工してから溶鋼処理を全く行なっていない取鍋を使用し、溶鋼処理後の溶鋼中のSi含有量を0.0020%以下、Al含有量を0.0015%以下に制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、人体に有害であるPbを使用することなく、良好な切削仕上げ面粗さを発揮する低炭素硫黄快削鋼を製造するための有用な方法に関するものである。
低炭素硫黄快削鋼は、自動車のトランスミッションの油圧部品の他、特に強度をそれほど必要としないネジやプリンターシャフト等の小物部品用鋼として、汎用されている。また、更なる切削仕上げ面粗さ、切屑処理性が要求される場合には、上記低炭素硫黄快削鋼に鉛(Pb)を添加した鉛−硫黄快削鋼が用いられている。
快削鋼に含まれるPbは、被削性改善に極めて有効な元素であるが、人体への有害性が指摘され、また溶製時の鉛のヒュームや切削屑等の処理の点で問題も多く、Pbを添加することなく(Pbフリー)、良好な被削性を発揮することが求められている。
低炭素硫黄快削鋼において、Pbフリーで被削性を改善するために、これまでにも様々な技術が提案されている。例えば特許文献1では、硫化物系介在物の大きさを制御することによって被削性(仕上げ面粗さおよび切屑処理性)を改善した技術が提案されている。また特許文献2には、硫化物系介在物のサイズを制御するには、鋼中酸素を適切に制御することが重要であることが示されている。更に、鋼中の酸化物系介在物を規定することによって、被削性を改善した技術も提案されている(例えば、特許文献3〜5)。
一方、鋼材の化学成分組成を適切に規定することによって、被削性を改善した技術も提案されている(例えば、特許文献6〜9)。
これまで提案されている技術は、いずれも快削鋼の被削性の向上という観点では有用なものといえるが、特にフォーミング加工における仕上げ面粗さの点で、Pb含有鋼並みの良好な被削性が得られていないのが実情である。
また、Pbフリー鋼に望まれる特性としては、上記のような被削性に加えて、生産性が良好なことも重要である。こうした観点からすれば、連続鋳造方法によって製造が可能であり、表面疵などが発生せず、しかも圧延が容易に実施できることも必要な要件となる。しかしながら、連続鋳造プロセスは鋼材の被削性を良好にする上で不利であるといわれており、連続鋳造プロセスで被削性に優れた快削鋼を生産性良く製造できることも重要な課題である。
特開2003−253390号公報 特開平9−31522号公報 特開平7−173574号公報 特開平9−71838号公報 特開平10−158781号公報 特開2000−319753号公報 特開2001−152281号公報 特開2001−152282号公報 特開2001−152283号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、Pbフリーであっても良好な被削性(特に仕上げ面粗さ)を発揮すると共に、連続鋳造方法によって生産性良く製造することのできる低炭素硫黄快削鋼を製造するための方法を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明の製造方法とは、低炭素硫黄快削鋼を製造するに当り、転炉から取鍋へ出鋼して溶鋼処理するに際して、成分調整のため添加するFe−Mn合金およびFeS合金の70%以上(質量%の意味、以下同じ)を転炉出鋼時に添加すると共に、前記取鍋は前回受鋼した溶鋼中のSi含有量が0.20%以下およびAl含有量が0.030%以下の取鍋を使用するか、或は取鍋を施工してから溶鋼処理を全く行なっていない取鍋を使用し、溶鋼処理後の溶鋼中のSi含有量を0.0020%以下、Al含有量を0.0015%以下に制御する点に要旨を有するものである。
本発明によれば、成分調整のため添加するFeMn合金およびFeS合金の添加時期および割合を適切に制御して鋼中のSi含有量およびAl含有量を極力低減することによって、必ずしも溶鋼中のフリー酸素を高めなくても(即ち、高S濃度であっても)、全酸素濃度を高めることができ、微小クラックの生成サイトとなる有用な大型・球状MnSを多数存在させることができて、仕上げ面粗さの良好な低炭素硫黄快削鋼が製造できた。
快削鋼の仕上げ面粗さは、構成刃先の生成、大きさ、形状および均一性に大きく依存する。構成刃先とは、工具の刃先に被削材の一部が堆積し、それが事実上工具の一部(切れ刃)として振舞う現象であり、この生成挙動によっては仕上げ面粗さを低下させる。この構成刃先は、或る一定の条件の下でのみ生成するものであるが、通常実施されている切削条件は構成刃先が生成しやすい条件となっている。
こうした構成刃先は、この大きさの変動が致命的な欠陥を与えるものとされているのであるが、その一方で工具刃先を保護して工具寿命を向上させる効果もある。従って、構成刃先を完全になくすことは得策とはいえず、構成刃先を安定的に生成させ、その大きさや形状を均一化させることが必要になる。
構成刃先を安定的に生成させ、その大きさや形状を均一化させるためには、切削される部分における一次せん断域・二次せん断域において、微小クラックを多数生成させることが重要となる。こうした微小クラックを多数生成させるためには、クラック生成サイトを多数導入する必要がある。そして、微小クラックの生成サイトとなり得るものとして、MnS系介在物が有用であることは知られている。但し、全てのMnS系介在物が微小クラック生成サイトとして作用するものではなく、大型で球状の(即ち、幅の大きい)MnSが有効に働くことになる。前記の一次せん断域・二次せん断域でMnSが延伸することになるのであるが、延伸されて細くなり過ぎると、その殆どがマトリクスと同様になり、微小クラックの導入サイトとならないことになる。こうしたことから、被削材のMnS系介在物を予め大型・球状に制御しておく必要がある。
ところで、MnS系介在物を大型・球状化するには、一般に鋼中の酸素(全酸素)が影響を及ぼすことが知られており(例えば、前記特許文献2)、鋼中の酸素が多くなるほど、硫化物径が大きくなるとされている。従って、MnS系介在物を大型・球状化するには、鋼中の酸素濃度をある程度増加させる必要がある。また、同時に微小クラック生成サイトとなるMnS系介在物を増加させるためには、従来の快削鋼(例えば、JIS SUM23,SUM24L)よりもMn濃度、S濃度を高める必要がある。しかしながら、Mn濃度やS濃度を高めると、これらは脱酸剤として働くことから、フリー酸素が減少し、全酸素濃度が減少してしまうことになる。即ち、鋼中の全酸素を上げることと、Mn濃度やS濃度を上げることとは、二律背反の関係になっており、これらを両立させることは原理的に困難である。
本発明者らは、こうした状況の下で、MnS系介在物の大型・球状化するための有効な手段について様々な角度から検討した。その結果、鋼中のSi含有量を0.0020%以下(20ppm以下)、およびAl含有量を0.0015%以下(15ppm以下)に制御し、鋳片の介在物組成をMnO−SiO2―MnS系三元系で規格化したとき(即ち、MnO、SiO2およびMnSの合計で100%としたとき)の平均組成がMnS:60%以下、SiO2:4%以下、MnO:36%以上となるように制御すれば、フリー酸素を高めなくても(即ち、高Mn、高S濃度であっても)、全酸濃度が高められることが判明し、その技術的意義が認められたので先に出願している(特願2005−301552号)。
上記のように、MnS系介在物の大型・球状化によって構成刃先を安定的に生成させることが可能となり、その大きさや形状を均一化させることを見出し、その結果として鋼材のフォーミング加工における仕上げ面粗さが画期的に向上するものとなり、Pb快削鋼並の特性を発揮できたのである。
上記のように、本発明方法で対象とする低炭素硫黄快削鋼は、SiおよびAlの含有量を適切な範囲に制御することが重要になるのであるが、これらの範囲限定理由は以下の通りである。
[Si:0.0020%以下(0%を含まない)]
Siは、固溶強化による強度確保に有効な元素であるが、基本的には脱酸剤として作用してSiO2を生成する。そしてこのSiO2によって、介在物組成がMnO−SiO2−MnS系になるのであるが、Siが0.0020%を超えると、この介在物中のSiO2濃度が高くなって、仕上げ面粗さが劣化することになる。こうした観点から、Si含有量は0.0020%以下にする必要があり、好ましくは0.0010%以下にするのが良い。
[Al:0.0015%以下(0%を含まない)]
Alは固溶強化による強度の確保および脱酸に有用な元素であるが、強力な脱酸剤として働いて酸化物(Al23)を形成することになる。このAl23によって、介在物がMnO−Al23−MnS系になるのであるが、Al含有量が0.005%を超えると、この介在物中のAl23濃度が高くなり、仕上げ面粗さが悪化することになる。尚、好ましい上限は0.0010%であり、より好ましくは0.0005%以下とするのが良い。
本発明で対象とする低炭硫黄快削鋼においては、SiおよびAl以外の成分(C、Mn、P、S等)については、通常の低炭硫黄快削鋼(例えばJIS SUM12,SUM22)における化学成分組成であればよいが、好ましい化学成分組成としてはC:0.02〜0.15%、Mn:0.6〜3%、P:0.02〜0.2%、S:0.2〜1%を夫々含有するものが挙げられる。これらの成分(SiおよびAlも含む)の他(残部)は、基本的に鉄からなるものであるが、これら以外にも微量成分を含み得るものである。また、本発明の低炭硫黄快削鋼には、不可避的に不純物(例えば、Cu,Sn,Ni,O,N等)が含まれることになるが、それらは本発明の効果を損なわない程度で許容される。
本発明者らは上記のような低炭硫黄快削を製造するための最適な条件について検討した。その結果、成分調整のため添加するFeMn合金およびFeS合金の添加時期および割合を適切に制御すれば、鋼中のSi含有量およびAl含有量を極力低減することができることを見出し、本発明を完成した。
次に、本発明方法の各要件を規定した理由について説明する。低炭素硫黄快削鋼を製造するに当り、転炉から取鍋へ出鋼して溶鋼処理するに際しては成分調整のため様々な合金が添加されることになる。低炭素硫黄快削鋼中のSi含有量およびAl含有量を上記のように制御するには、処理前のそれらの含有量を低い濃度に制限しておくことは当然であるが、上記添加合金中に含まれるSiやAlの含有量も考慮する必要がある。
溶鋼処理段階も含めた添加元素については、加炭材(カーボン粉)、FeMn合金(フェロマンガン)、FeP合金(フェロ燐)、FeS(フェロサルファ)、SiMn合金(シリコンマンガン)、および窒素添加源としてのMnN(窒化マンガン)等がある。これらの合金中には、不純物としてのSiやAlが含まれるが、これらの含有量は下記表1に示す通りである。
Figure 2007262435
本発明方法では、上記した各種添加合金からSiおよびAlが溶鋼中に導入(インプット)されるのを防止することが重要である。上記添加元素のうち、少なくともFeMn合金およびFeS合金は、本発明の低炭素硫黄快削鋼における成分調整のために必要なものである。
本発明方法では、低炭素硫黄快削鋼中のSi含有量およびAl含有量を上記のように制御するために、Fe−Mn合金およびFeS合金の必要添加量の70%以上を転炉出鋼時に添加することが必要である。これらの合金は、上記のように不純物としてSiやAlを含有するが、転炉出鋼時の高酸素溶鋼にこれらを添加することによって、SiやAlが酸化され、SiO2やAl23となり、またその後の溶鋼処理時にこれらが浮上分離し、スラグ中に入ることで、鋼中に残留するSiやAlは低減して目標とする濃度となる。また上記の効果を発揮させるためには、転炉出鋼時の溶鋼は高酸素であることが好ましく、そのためには転炉でCを吹き下げ、C濃度を0.04%以下として溶鋼中のフリー酸素(溶存酸素)の高い状況(例えば、フリー酸素濃度:500ppm以上)を作り出しておくことが好ましい。
成分調整のための合金は、取鍋溶鋼処理時に全量添加されるのが一般的であるが、その一部は転炉出鋼時に添加されることがある。しかしながら、その添加量は、溶鋼処理前の成分粗調整という観点から、必要添加量の60〜70%未満程度であることが一般的である。尚、必要添加量とは、溶鋼成分に対し、脱酸などに使われる分も含めた歩留まりを考慮して計算された値の全量[後記表2に示す(出鋼時投入量+出鋼時以外の投入量)]である。
本発明方法においては、成分調整のために添加するFeMn合金やFeS合金等の必要合計添加量の70%以上を転炉出鋼時に添加するものであるが、本発明方法で成分調整のために添加する合金としては、溶鋼処理時も含めてSiMn合金は採用できない。何故なら、このSiMn合金では、Si含有量が基本的に多くなるので、添加時期およびその量を調整しても溶鋼中のSi含有量を低減することが困難になる。また、MnN合金については、低炭素硫黄快削鋼中にNを含有させるときには、必要によって添加しても良いが、必要添加量の70%以上を転炉出鋼時に添加する必要がある。
本発明方法を実施するに際して、溶鋼処理後の溶鋼中のSi含有量およびAl含有量を上記のように制御するには、溶鋼処理する取鍋での溶鋼処理履歴も考慮する必要がある。本発明で使用する取鍋は、前回受鋼した溶鋼中のSi含有量が0.20%以下およびAl含有量が0.030%以下のものであることも重要である。夫々の含有量が夫々の上限よりも多い溶鋼を受鋼した取鍋を使用すると、前回溶鋼処理した溶鋼中の不純物の影響を受け、溶鋼中にこれらがインプットされてしまい、希望する含有量を達成することができなくなる。但し、本発明で用いる取鍋としては、取鍋を施工してから溶鋼処理を全く行なっていない取鍋を使用しても良く、こうした取鍋では溶鋼処理時にSiやAlが溶鋼中にインプットされる恐れもない。
本発明方法においては、上記のような処理を実施して溶鋼中のSi、Al含有量を適切に制御すれば良く、この方法は基本的に連続鋳造法に適用することによって、生産性を高めることができる。但し、本発明方法は連続鋳造法に限らず、造塊法にも適用できるものである。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
100tの転炉および取鍋による溶鋼処理設備を使用して、転炉吹錬終了時の目標C濃度(吹止C量)を0.04%、吹止時の溶存酸素(フリー酸素)濃度を485〜600ppmとして、出鋼時におけるFeMn合金およびFeS合金添加量、取鍋の受鋼方法等について条件を変化させて溶製を行なった。
吹止時におけるフリー酸素については、フリー酸素プローブ(商品名「HYOP10A−C150」ヘレウスエレクトロナイト社製)を用いて測定し、C濃度については転炉吹錬終了後に炉を傾動させてディスクサンプラーにてサンプリングを行ない、化学分析に供した。
出鋼時における添加合金については、基本的にFeMn合金およびFeS合金であるが、溶鋼処理段階も含めた添加合金の種類を列挙すると、上記の他、加炭材、FeP、および窒素添加源としてのMnNである(Si含有量およびAl含有量については、前記表1参照)。これらの添加合金を適宜含有させ、溶鋼の成分調整を行なった。また、比較鋼においては、更にSiMn合金(シリコンマンガン)をMn源として添加した(試験No.9〜33)が、本発明(試験No.1〜8)ではSiMnはMn源として使用せずに、FeMnを使用している。
取鍋での受鋼方法においては、取鍋受鋼を繰り返し行ない、連続的に生産活動を行なう設備において、その取鍋が前回に受けた溶鋼中のSi含有量およびAl含有量がどの程度のものであるかを測定、記録した。これらの結果を、操業条件と共に、下記表2に示す。
Figure 2007262435
このようにして得られた溶鋼について、溶鋼処理設備にて成分調整・温度調整を施し、その後断面が300mm×430mmのブルーム型連続鋳造機において鋳造を行なった。得られた鋳片について、サンプリングを行い、化学分析を実施し、成分組成を測定した。その結果を、添加合金からインプットされたSi含有量およびAl含有量と共に下記表3に示す。
Figure 2007262435
得られた鋳片について、1250℃で1時間加熱後分塊圧延(断面サイズ:155mm×155mm)し、その後25mmφまで圧延、酸洗して、22mmφの磨棒とし、切削試験に供した。このとき、圧延は1000℃で実施し、強制冷却により800℃から500℃までの平均冷却速度を約1.5℃/秒とした。また鋼材温度の測定は放射温度計により行った。
各鋼材について、切削試験をおこなった。切削試験条件は、下記の通りである。また、切削試験後の仕上げ面の評価基準は下記の通りである。
[切削試験条件]
工具 :高速度工具鋼SKH4A
切削速度:100m/分
送り :0.01mm/rev
切込み :0.5mm
切削油 :塩素系の不水溶性切削油剤
切削長さ:500m
[評価基準]
仕上げ面評価:JIS B 0601(2001)に基づく、最大高さRzによって、表面粗さを評価した。
切削試験結果を、SiおよびAlの溶鋼中最終成分含有量と対比して、下記表4に示す。尚、表4において、その基本的分類は下記の通りである。
[試験No.1〜8]
本発明で規定する要件を満足する発明例
[試験No.9〜14]
「出鋼時におけるFeMn合金およびFeS合金の添加量が70%以上」の要件を満足しない比較例(比較例I:このうち試験No.9,12,14は吹止時のフリー酸素濃度が500ppm未満のもの)
[実験No.15〜21]
「出鋼時におけるFeMn合金およびFeS合金の添加量が70%以上」の要
件は満足するが、「前回受鋼した溶鋼中のAl含有量が0.030%以下であり、Si含有量が0.20%以下でない取鍋」を使用した比較例(比較例II)
[実験No.22〜24]
「出鋼時におけるFeMn合金およびFeS合金の添加量が70%以上」の要
件は満足するが、「前回受鋼した溶鋼中のAl含有量が0.030%以下でなく、Si含有量が0.20%以下でない取鍋」を使用した比較例(比較例III)
[実験No.25〜33]
「出鋼時におけるFeMn合金およびFeS合金の添加量が70%未満」であり、且つ「前回受鋼した溶鋼中のAl含有量が0.030%以下でなく、Si含有量が0.20%以下でない取鍋」を使用した比較例(比較例IV)
Figure 2007262435
これらの結果から明らかなように、本発明で規定する要件を満足するもの〈試験No.1〜8〉では、切削仕上げ面粗さ(最大高さRz)が微細になっており、良好な被削性が発揮できていることが分かる。
これに対して、本発明で規定する要件のいずれかを欠くもの(試験No.9〜33では、いずれかの特性が劣化していることが分かる。
また、上記結果に基づき、出鋼時FeMn添加率と溶鋼中Al含有量の関係を図1に、出鋼時FeMn添加率と溶鋼中Si含有量の関係を図2に、出鋼時FeS添加率と溶鋼中Al含有量の関係を図3に、出鋼時FeS添加率と溶鋼中Si含有量の関係を図4に、前回受鋼溶鋼中Si含有量と溶鋼中最終成分Si含有量の関係を図5に、前回受鋼溶鋼中Al含有量と溶鋼中最終成分Al含有量の関係を図6に、溶鋼中最終成分Si含有量と切削仕上げ面粗さ(最大高さRz)の関係を図7に、溶鋼中最終成分Al含有量と切削仕上げ面粗さ(最大高さRz)の関係を図8に、吹止時のフリー酸濃度と切削仕上げ面粗さ(最大高さRz)の関係(試験No.1〜3および試験No.9,12,14)を図9に夫々示す。
出鋼時FeMn添加率と溶鋼中Al含有量の関係を示すグラフである。 出鋼時FeMn添加率と溶鋼中Si含有量の関係を示すグラフである。 出鋼時FeS添加率と溶鋼中Al含有量の関係を示すグラフである。 出鋼時FeS添加率と溶鋼中Si含有量の関係を示すグラフである。 前回受鋼溶鋼中Si含有量と溶鋼中最終成分Si含有量の関係を示すグラフである。 前回受鋼溶鋼中Al含有量と溶鋼中最終成分Al含有量の関係を示すグラフである。 溶鋼中最終成分Si含有量と切削仕上げ面粗さ(最大高さRz)の関係を示すグラフである。 溶鋼中最終Al含有量と切削仕上げ面粗さ(最大高さRz)の関係を示すグラフである。 吹止時のフリー酸濃度と切削仕上げ面粗さ(最大高さRz)の関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 低炭素硫黄快削鋼を製造するに当り、転炉から取鍋へ出鋼して溶鋼処理するに際して、成分調整のため添加するFeMn合金およびFeS合金の70%以上(質量%の意味、以下同じ)を転炉出鋼時に添加すると共に、前記取鍋は前回受鋼した溶鋼中のSi含有量が0.20%以下およびAl含有量が0.030%以下の取鍋を使用するか、或は取鍋を施工してから溶鋼処理を全く行なっていない取鍋を使用し、溶鋼処理後の溶鋼中のSi含有量を0.0020%以下、Al含有量を0.0015%以下に制御することを特徴とする被削性に優れた低炭素硫黄快削鋼の製造方法。
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