JP2007253746A - 回避操作算出装置、回避制御装置、各装置を備える車両、回避操作算出方法および回避制御方法 - Google Patents

回避操作算出装置、回避制御装置、各装置を備える車両、回避操作算出方法および回避制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自車両のタイヤのグリップ力の最大値を超える力を車両に作用させることなく、制動制御および操舵制御により自車両が障害物を回避することができる運転操作量を算出する回避操作算出装置を提供する。
【解決手段】本発明の回避操作算出装置10は、車両12よりも前方の道路13上に存在する障害物14を検出する障害物検出手段と、車両12の走行状態を検出する自車情報検出手段と、該自車情報検出手段および前記障害物検出手段からの検出情報に基づいて車両12が障害物14を回避するための回避操作量を生成する回避操作量生成手段30とを備える。回避操作量生成手段30は、車両12に生じる加速力、減速力および横力の合成力が車両12のタイヤ33のグリップ力の最大値よりも小さくなる範囲内で回避操作量を算出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、自車両が走行している道路上の障害物を回避するための回避操作算出装置、回避制御装置、各装置を備える車両、回避操作算出方法および回避制御方法に関する。
従来、車両には、自ら(自車両)が走行している道路上で自車両よりも前方に存在する障害物の検出が可能であり、障害物を検出した場合、制動制御により自車両を減速させ、自車両が障害物の位置に到達することを回避させるものがある。
ところが、自車両を減速させても障害物の位置に到達することを回避することができない場合が考えられるので、制動制御および操舵制御を行って自車両を運転操作し、自車両が障害物の位置に到達することを回避させる運動制御装置が考えられている。この運動制御装置では、自車両を制動制御により減速させても障害物の回避が不可であると判定した場合、旋回して障害物を回避するのに必要な第1のヨーレートと、現在車両に生じている第2のヨーレートとを演算し、第1のヨーレートと第2のヨーレートとを比較して、絶対値の大きな方を目標ヨーレートに設定し、この目標ヨーレートに基づいて左右輪の制動力差および操舵によって自車両に旋回力を付与するので、自車両が障害物の位置に到達することを回避することができる(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001‐247023号公報
しかしながら、上記した運動制御装置では、制動制御および操舵制御により自車両に旋回力を与えているが、前方障害物を旋回により回避すべく算出された目標ヨーレートを実現するために、急制動および急な操舵が必要となる虞がある。一般に車両では、急制動および急な操舵となる運転操作が実行されると、タイヤのグリップ力の最大値(限界値)を超える力が車両に作用する虞がある。
そこで、本発明の目的は、自車両のタイヤのグリップ力の最大値を超える力を車両に作用させることなく、制動制御および操舵制御により自車両が障害物を回避することができる運転操作量を算出する回避操作算出装置、この回避操作算出装置により算出された運転操作を行う回避制御装置、これらの装置を備える車両、回避操作算出方法および回避操作算出方法を提供することにある。
上記した課題を解決するために、本発明に係る回避操作算出装置は、自車両よりも前方の道路上に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、前記自車両の走行状態を検出する自車情報検出手段と、該自車情報検出手段および前記障害物検出手段からの検出情報に基づいて前記自車両が前記障害物を回避するための回避操作量を生成する回避操作量生成手段とを備え、該回避操作量生成手段は、前記自車両に生じる加速力、減速力および横力の合成力が前記自車両のタイヤのグリップ力の最大値よりも小さくなる範囲内で前記回避操作量を算出する。
本発明に係る回避操作算出装置によれば、障害物を回避するために算出された回避操作量により自車両に生じる加速力、減速力および横力の合成力を自車両のタイヤのグリップ力の最大値よりも小さくすることができる。このため、安定した挙動で自車両が障害物を回避させることができる回避操作量を算出することができる。
本発明を図1ないし図17に示した各実施例に沿って詳細に説明する。
図1は、本発明に係る回避操作算出装置10およびこれを備える回避制御装置11が採用された車両12を模式的に示す平面図であり、図2は、回避制御装置11を示すブロック線図である。
回避操作算出装置10は、車両12(自車両)が走行する道路13上に障害物14(図3参照。)が存在する場合、車両12が障害物14を回避することができる運転操作量を算出するものである。回避制御装置11は、回避操作算出装置10と車両運動制御手段15とを備え、回避操作算出装置10により算出された運転操作量を車両運動制御手段15が実行するものである。
車両12には、カメラ16と、車速センサ17と、ヨーレートセンサ18と、加速度センサ19と、マイクロプロセッサ20と、操舵角センサ21と、操舵用モータ22と、操舵角サーボコントローラ23と、ブレーキコントローラ24と、油圧制御系25と、ブレーキ26とが設けられている。車両12は、実施例1では、ラック−ピニオン方式の前輪操舵機構が採用されており、操舵角センサ21、操舵用モータ22および操舵角サーボコントローラ23は、前輪操舵機構に対応して設けられている。操舵角センサ21は、後述するように、前輪操舵機構に取り付けられており、操舵角サーボコントローラ23に電気的に接続されている。操舵角サーボコントローラ23は、操舵用モータ22およびマイクロプロセッサ20に電気的に接続されている。このマイクロプロセッサ20は、カメラ16、車速センサ17、ヨーレートセンサ18、加速度センサ19およびブレーキコントローラ24のそれぞれと電気的に接続されている。
カメラ16は、車両12の車室内に配設されており、車両12の前方を撮像可能とされている。カメラ16は、実施例1では、左右で対を為して2台設けられており、後述するマイクロプロセッサ20の取得情報処理手段27(図2参照。)がカメラ16からの画像信号から画像を生成すると共に、画像内の情報を3次元で処理すること、例えば車両12が存在する位置から障害物14(図3参照。)までの距離を検出することを可能としている。カメラ16は、後述する取得情報処理手段27の自車情報処理部28および障害物情報処理部29(図2参照。)に画像信号を出力する。
車速センサ17は、車両12の走行速度を検出するための信号を生成するものであり、実施例1では、車両12のホイールに取り付けられたロータリーエンコーダで構成され、ホイールの回転に比例するパルス信号を自車情報処理部28(図2参照。)に出力する。
ヨーレートセンサ18は、車両12に生じるヨーレートを検出するための信号を自車情報処理部28(図2参照。)に出力するものであり、水晶振動子または半導体を用いて構成された公知のデバイスが利用されている。
加速度センサ19は、車両12に生じる特定の方向の加速度を検出するための信号を自車情報処理部28(図2参照。)に出力するものであり、例えば、圧電素子等を用いて構成された公知のデバイスを利用することができる。加速度センサ19は、実施例1では、車両12に生じる幅方向の加速度に応じる信号を生成するように設定されている。
マイクロプロセッサ20は、A/D変換回路、D/A変換回路、中央演算処理装置、メモリ等から構成される集積回路であり、メモリに格納されたプログラムである取得情報処理手段27、回避操作量生成手段30およびメモリ31(図2参照。)を有する。マイクロプロセッサ20は、後述するように、取得情報処理手段27がカメラ16および各センサ17〜19からの信号を処理して各種情報を生成し、回避操作量生成手段30が取得情報処理手段27からの各種情報に基づいて障害物14(図2参照。)を回避するための回避操作量を算出し、算出した回避操作量に応じる信号を操舵角サーボコントローラ23およびブレーキコントローラ24に出力する。このように、マイクロプロセッサ20がカメラ16および各センサ17〜19からの信号に応じて回避操作量を算出することから、カメラ16、各センサ17〜19およびマイクロプロセッサ20が回避操作算出装置10として機能する。マイクロプロセッサ20のメモリ31は、情報を格納することができ、取得情報処理手段27および回避操作量生成手段30との情報のやり取りが可能とされている。
操舵角サーボコントローラ23は、制御演算のためのマイクロプロセッサと操舵用モータ22を駆動するための昇圧回路等(図示せず。)から構成され、マイクロプロセッサ20の回避操作量生成手段30から出力される信号に応じた回避操作量、すなわち出力される信号に応じた操舵角(操舵量)を目標とするサーボ制御を実行する。
操舵角センサ21は、実際に操舵された操舵角(操舵量)を検出するための信号を操舵角サーボコントローラ23に出力するものであり、この信号に基づく情報を操舵角サーボコントローラ23がサーボ制御におけるフィードバック情報として利用する。操舵角センサ21は、実施例1では、ラック−ピニオン方式の前輪操舵機構におけるラックストローク量に応じる信号を操舵角サーボコントローラ23に出力し、この信号に基づき操舵角サーボコントローラ23が操舵角(操舵量)を検出することができる。
操舵用モータ22は、運転者の操作とは別に、操舵角サーボコントローラ23からの信号に応じて操舵を行うものであり、実施例1では、ラック−ピニオン方式の前輪操舵機構におけるピニオンギアをモータで回転させることによって操舵を行う。
このように、操舵角サーボコントローラ23が操舵用モータ22を駆動することにより操舵が行われ、かつこの操舵による操舵量を操舵角センサ21が操舵角サーボコントローラ23にフィードバックすることにより、マイクロプロセッサ20の回避操作量生成手段30(図2参照。)により算出された回避操作量のうちの操舵量、すなわち回避操作算出装置10により算出された回避操作量のうちの操舵量が実行されるので、操舵角センサ21、操舵用モータ22および操舵角サーボコントローラ23は、車両運動制御手段15における操舵制御手段32として機能する。
ブレーキ26は、車両12の4つのタイヤ33のそれぞれに設けられており、各タイヤ33の回転をそれぞれ制動制御可能である。この各ブレーキ26は、油圧制御系25からの油圧により動作が制御されており、油圧制御系25の制御弁(図示せず。)にはブレーキコントローラ24が電気的に接続されている。
ブレーキコントローラ24は、運転者の操作とは別に、マイクロプロセッサ20の回避操作量生成手段30で算出された回避操作量のうちの減速操作量を実行するために必要な車両12への制動力に基づいて、各タイヤ33に作用させる制動力(グリップ力)を算出するマイクロプロセッサである。ブレーキコントローラ24は、算出された制動力を各タイヤ33が発揮するように、油圧制御系25の制御弁(図示せず。)の開閉動作を制御する。これにより、車両12を減速させることと共に、左右輪における制動力に差を設けることによって車両12にヨーモーメントを発生させることができる。
このように、ブレーキコントローラ24が油圧制御系25の制御弁(図示せず。)を制御することによりマイクロプロセッサ20の回避操作量生成手段30(図2参照。)により算出された回避操作量のうちの減速操作量が各タイヤ33の制動力の発揮により実行されるので、各ブレーキ26、油圧制御系25、ブレーキコントローラ24および各タイヤ33は、車両運動制御手段15における制動運動制御手段34として機能する。
前記したように、車両運動制御手段15は、操舵制御手段32および制動運動制御手段34を有しており、回避操作算出装置10が算出した回避操作量を実行するので、回避操作算出装置10および車両運動制御手段15は、回避制御装置11を構成している(図2参照。)。
前述したように、回避操作算出装置10は、図2に示すように、カメラ16および各センサ17〜19からの信号を処理して各種情報を生成する取得情報処理手段27と、この生成された各種情報に基づいて回避操作量を算出する回避操作量生成手段30とを有する。取得情報処理手段27は、自車情報処理部28、障害物情報処理部29および到達可能性判定手段35を有し、カメラ16および各センサ17〜19からの信号に応じて、自車情報処理部28が自車(車両12)(図3参照。)の情報を、障害物情報処理部29が障害物14の情報を生成している。
自車情報処理部28が生成する自車情報とは、走行している道路13に対する車両12の位置の情報、車両12の姿勢角θの情報、車両12に生じるヨーレートγの情報、車両12に生じるすべり角βの情報、および車両12の走行速度vの情報をいう。ここで、姿勢角θとは、道路13の方向すなわち道路13の走路形状が延在する方向を基準として車両12が進行する方向が為す角度をいい、すべり角βとは、実際の操舵に基づき予測される車両12の進行方向に対し、車両12が実際に進行する方向が為す角度をいう。
道路13に対する車両12の位置は、対を為すカメラ16から出力された画像信号を自車情報処理部28が画像処理することにより検出することができる。
姿勢角θは、例えば、道路が直線であると仮定すれば、道路13の境界部と、車両12(自車)の向いている方向とのなす角を画像処理により推定することで求めることができる。なお、適当な初期値を定めて、ヨーレートセンサ18からの出力値を積分することで算出してもよい。この適当な初期値は、例えば、道路13の方向に走行している車両12の進行方向、すなわち回避の運転操作が為される前に車両12が進んでいた方向とすることができる。
ヨーレートγおよび走行速度vは、前述したようにヨーレートセンサ18および車速センサ17により出力された信号から自車情報処理部28が検出することができる。
すべり角βは、車両12の前後方向の速度をv、車両12の幅方向の速度をvとすれば、次式(1)で求めることができる。
β=arctan(v/v) (1)
この場合、例えば、車両12では前後方向の速度成分に比べて幅方向の速度成分が十分に小さいとみなし、vをvとする。また、vは加速度センサ19の出力を積分することによって求めることができる。このため、(1)式からすべり角βの近似値を得ることができる。なお、車速センサ17からの車輪速、ヨーレートセンサ18からのヨーレート、加速度センサ19からの横加速度等の信号からオブザーバによってより精度良くすべり角を推定する公知技術も知られているので、そのような手法を用いてすべり角βを求めてもよい。
障害物情報は、対を為すカメラ16から入力された画像信号を障害物情報処理部29が画像処理することにより検出することができる。
以上述べてきたように、自車情報処理部28は、カメラ16、車速センサ17、ヨーレートセンサ18および加速度センサ19と協働して自車情報検出手段として機能し、障害物情報処理部29は、カメラ16と協働して障害物検出手段として機能する。なお、画像処理による障害物の検出方法については多数の手法が公知技術として開示されているので、ここではその詳細な説明は省略する。
ここで、自車情報検出手段および障害物検出手段により検出された各種情報および後述する予測走行軌跡等が統一的に扱えるように座標系が設定され、車両12および障害物14の情報が座標値に対応づけされすなわち展開される(図3参照。)。実施例1では、到達可能性判定手段35により座標系が設定され、図3に示すように、道路13の方向に沿ってX軸が、X軸と垂直方向すなわち道路13の幅方向にY軸が設定される。座標原点は任意に選ぶことが可能であるが、その一例として実施例1では車両12の現在位置にX座標およびY座標の原点を設定する(図3参照。)。座標系を設定することにより、車両12および障害物14の位置を座標値で表現することができるようになる。以下の説明では、車両12(自車)の位置をその重心点でみて(X,Y)=(x,y)とし、障害物14(実施例1では歩行者)の位置を(X,Y)=(x,y)とする。また、障害物14の速度をvとし、その道路13の方向の速度をvpxとしかつ道路13の幅方向の速度をvpyとする。
到達可能性判定手段35は、図2に示すように、自車情報および障害物14の情報に基づいて、車両12が障害物14を回避するための回避操作量を算出する必要があるか否かを判定する。これは、道路13上に障害物14を検出した場合であっても、現状の走行状態を維持した(据置予測軌跡を辿る)車両12が検出された障害物14の位置に到達する虞がないのであれば、回避操作量を算出する必要はないことによる。
この判定方法の一例として、実施例1では、次式(2)、(3)を共に満たした場合、回避操作量を算出する必要があると判定する。前述したように、車両12の走行速度vを(v、v)とし、障害物14の移動速度vを(vpx、vpy)とする。
|x−x|/|vpx−v|≦TTC1 (2)
|y−y|/max(|vpy−v|,vymin)≦TTC2 (3)
但し、max(a,b)は、aとbとのうち大きな値を選択する関数である。また、vyminは0ではない任意の値として、車両12の幅をBとし、障害物14として想定される各属性(この属性については後述する。)における平均的な厚さをCとすると、次式(4)を満足するものとする。
TTC2×vymin=(B+C)/2 (4)
これは、|vpy−v|=0の場合、|y−y|の値が(B+C)/2よりも小さくなると、車両12が障害物14の位置に到達すると判定する必要があるので、(3)式の分母を切り替える必要があることによる。
式(2)は、|vpx−v|=0となるような場面では、車両12の走行速度vが数(km/s)であり、運転者による回避操作で十分に障害物14を回避できることが考えられるので、条件を満たさなかったものと判定する。これに代えて、式(2)において、(v≧所定値>vpy)を判定の条件としてもよい。この所定値は、例えば、一般に回避操作量による回避制御を行うまでもなく障害物14を回避することができるような低い速度に設定すればよい。
ここで、実施例1では、(2)、(3)式を共に満たすことを条件としているので、TTC1=TTC2となる。このTTC1(=TTC2)は、判定閾値を表す正の値をとるパラメータであり、例えば3〜4秒程度の値を設定する。
前述したように、マイクロプロセッサ20では、その取得情報処理手段27がカメラ16および各センサ17〜19からの信号に応じて所望の各種情報を生成し、この情報に基づき回避操作量生成手段30が回避操作量を算出する。
回避操作量生成手段30は、自車移動軌跡算出手段36と、障害物移動軌跡予測手段37と、到達予測手段38と、摩擦力限界設定手段39と、回避目標位置算出手段40と、回避操作量算出手段41と、バッファメモリ42とを有する。
自車移動軌跡算出手段36は、任意の減速度dを設定し、自車情報に基づく現在の車両12の運動状態に基づいて、車両12を減速度dにより減速させた場合、現在時刻から所定時間後までの間において、車両12が辿ることが予測される予測減速移動軌跡を算出する。この減速度dは、車両12の4つのタイヤ33に最大値となるグリップ力(制動力)を作用させたときに車両12に生じ得る減速度よりも小さくなる範囲内であれば所望の値に設定することができる。実施例1では、減速度dは、車両12を速やかに減速することができ、かつこの減速の際に横力を許容する余地を各タイヤ33が有する制動力(後述する図5に示すタイヤ摩擦円参照。)に基づいて設定されている。
ここで、現在時刻をTとし、現在時刻Tよりも後の時刻を表す時間変数をtとする。また、例えば、図3に示すように、車両12は、真っ直ぐな道路13上に位置しており、現在時刻Tにおいて道路13の方向に沿って速度vで走行しているとする。この車両12に減速度dを作用させた場合の予測減速移動軌跡は次式(5)、(6)で表すことができる。
x(t)=x(t)+v(t)(t−t)−d(t−t /2 (5)
y(t)=y(t) (6)
障害物移動軌跡予測手段37は、それまでの障害物14の検出履歴から障害物14の移動方向、移動速度および属性を推定し、障害物14が推定した移動速度を保って等速直線運動を行う、という仮定のもとで予測障害物移動軌跡を算出する。属性とは、障害物14が、例えば、歩行者であるのかまたは車両であるのかのように、大きさおよび形状等の特徴をいい、実施例1では、推定した属性に応じて障害物14の大きさの設定を行う。
ここで、例えば、図3に示すように、障害物14がY軸と平行な方向に、すなわち道路13を幅方向に移動しているものとし、現在時刻Tにおける障害物14の位置Pを(x(t)、y(t))とし、障害物14の移動速度の推定値を一定の値vとする。すると、障害物14の移動速度は、(vpx、vpy)=(0、v)となり、時刻tにおける障害物14の位置となる予測障害物移動軌跡は次式(7)、(8)で表すことができる。
(t)=x(t) (7)
(t)=y(t)+v(t−t) (8)
なお、障害物14が静止していることが判明した場合には、予測障害物移動軌跡の算出は行わない。
到達予測手段38は、自車移動軌跡算出手段36により算出された予測減速移動軌跡と、障害物移動軌跡予測手段37により算出された予測障害物移動軌跡とに基づいて、車両12を減速度dで減速させた場合に、車両12が障害物14の位置に到達するか否かの判定を行う。また、到達予測手段38は、到達すると判定した場合、障害物14の位置に到達することが予測される時刻を算出し予測時刻Tとして設定すると共に、障害物14を検知した時刻を評価開始時刻Tとして設定する。さらに、到達予測手段38は、到達すると判定した場合、車両12と障害物14との到達状態を算出する。ここで、到達とは、障害物14の外周位置(実施例1では後述する半径rの円の外周)の一部と、車両12の外周位置(実施例1では後述する長さ(L+L)幅Bの長方形の外周)の一部とが一致する状態をいい、到達状態とは、車両12が障害物14の位置に到達する際の互いの位置関係をいう。
実施例1では、到達予測手段38は、図4に示すように、減速度dの車両12が障害物14の位置に到達するか否かの判定の際、車両12と障害物14との大きさを考慮するために、検出された各種情報に基づいて、車両12をX軸方向に(L+L)(車両12の重心点から前端までをL、後端までをL)の長さをもち、かつY軸方向にBの幅をもつ長方形とみなし、障害物14を半径rの広がりをもつ円とみなしている。ここで、実施例1では、障害物14が歩行者である場合を想定していることから、障害物14を半径rの円とみなしているが、障害物移動軌跡予測手段37による障害物14の属性の推定に基づいて大きさおよび形状等が適宜設定される。なお、障害物14が静止している場合には、予測障害物移動軌跡に代えて現在時刻Tにおける障害物14の位置P(x(t)、y(t))=(xp0、yp0)を用いて、車両12が障害物14の位置に到達するか否かの判定を行う。
摩擦力限界設定手段39(図2参照。)は、車両12の4つのタイヤ33の摩擦力の限界、すなわち車両12の各タイヤ33が発揮し得るグリップ力の最大値(以下、最大グリップ力)に基づいて、車両12に生じる加速力、減速力および横力の合成力の限界範囲を設定する。一般に、路面摩擦係数をμ、各タイヤ33にかかる垂直荷重をWとするとき、各タイヤ33の摩擦力は(μW)よりも大きくならない。従って、各タイヤ33にかかる垂直荷重が等しいと仮定すると、車両12に生じる制動力Dと横力Fには、各タイヤ33では次式(9)で表す不等式を満たさなければならない、という制約条件が課せられる(図5参照。)。
(D/4)+(F/4)≦(μW) (9)
なお、(9)式は、左辺の第1項が制動力Dを用いて(D/4)とされているが、Dで表される変数は、加速力および減速力、すなわち車両12に対する駆動力および制動力からなるものである。実施例1では、回避操作量を算出する際、車両12に制動力を作用させた場合のみを想定していることから(9)式の左辺の第1項に制動力Dを用いている。(9)式により描かれる円(図5参照。)がタイヤ摩擦円であり、(9)式の条件を満たすとき、すなわちタイヤ摩擦円内の各作用点では、各タイヤ33が走行している路面とグリップしている状態を示し、タイヤ摩擦円の円周上の作用点で各タイヤ33が最大グリップ力を発揮すること示す。
各タイヤ33にかかる垂直荷重Wは、それぞれで異なる上に、厳密には車両12の運動状態に依存して変化する力であるが、各タイヤ33の違いや車両運動への依存性を無視すれば、車両12の重量をmとしかつ重力加速度をgとすると、垂直荷重Wは次式(10)で近似することができる。
W=mg/4 (10)
ここで、路面摩擦係数μは、実際に走行することを想定している路面の路面摩擦係数を超えない範囲で適宜設定することができる。また、路面摩擦係数μは、車両12に用いられた車両運動制御手段15の制動運動制御手段34の性能の範囲内で設定することが考えられる。この場合、例えば、制動運動制御手段34の仕様上の最大制御力がDmaxである場合には、次式(11)を満たすように設定すればよい。
μ≦Dmax/4W (11)
さらに、路面摩擦係数μは、実際に車両12が走行している道路13に基づいて算出してもよい。この場合、道路13の画像または車両12の運動状態から推定する公知技術が多数知られており、公知の路面摩擦係数推定技術を用いて算出することができる。
回避目標位置算出手段40は、到達予測手段38により車両12が障害物14の位置に到達すると判定された場合、予測時刻Tにおいて車両12が到達し得る領域内で、車両12が障害物14の位置に到達することを回避することができる回避目標位置Gを算出する。回避目標位置Gは、予測減速移動軌跡を辿る車両12が障害物14の位置に到達することを前提として算出されるので、実施例1では、予測減速移動軌跡を辿る車両12に旋回力を加えることにより到達可能な領域に設定される。前述したように、摩擦力限界設定手段39において、車両12に生じる制動力Dおよび横力Fの合成力の限界範囲が(9)式により規定されており、この(9)式を座標上に示したものが図5に示すタイヤ摩擦円であり、この円の円周上が制動力Dおよび横力Fの合成力の限界範囲となる。この(9)式から、車両12が減速度dで減速している場合に、車両12に生じさせ得る横力Fの範囲は次式(12)、(13)で表すことができる。
−Fmax(d)≦F≦Fmax(d) (12)
Figure 2007253746

ここで、操舵されていない状態において車両12が減速度dで減速している場合、各タイヤ33が発揮する制動力は(md/4)となり、この制動力による作用点が図5のタイヤ摩擦円上でEとなる。タイヤ摩擦円が示す合成力の限界範囲から、作用点Eにある車両12には、作用点Eから横軸方向すなわち横力方向に沿う線と円との交点Eおよび交点Eで規定される線分E上にある任意の作用点に相当する横力を作用させることができることを読み取ることができる。
この減速度dで減速する車両12に、作用点Eに対応する左側への横力を作用させた場合、および作用点Eに対応する右側への横力を作用させた場合において、共に横力Fmax(d)で等加速度運動するものと仮定すると、予測時刻Tにおいて車両12が到達する位置のY座標は、次式(14)で表すことができる。
y(T)=±Fmax(d)*T /2 (14)
この(14)式から算出された車両12の到達位置を模式的に示したのが図6であり、作用点Eに対応する到達点がAであり、作用点Eに対応する到達点がAである。なお、位置Aは、操舵されていない状態において車両12が減速度dで減速している場合、予測時刻Tに車両12が到達することが予測される位置である。このことから、線分E上の作用点を用いた場合、車両12は、線分A上に到達することとなるので、回避目標位置Gは、線分Aの範囲内に設定される。
さらに、実施例1では、回避目標位置算出手段40は、到達予測手段38により算出された到達状態に基づいて、線分Aの範囲内でかつ障害物14の位置に到達しない範囲内から、最も小さな移動量(操舵量)により到達できる位置に回避目標位置Gを設定する。
例えば、算出された到達状態が、図4に拡大して示すように、車両12の先端部において、車両12の幅方向で見て車両12の中心から右側にbだけずれた点で障害物14を示す半径rの円の位置に到達すると予測されたものであるとする。この場合、予測時刻Tにおいて障害物14の位置に到達することを回避するためには、車両12は、位置A(Y座標が0。)を基準とすると、左側に(r−b+B/2)以上移動するか、右側に(r+b+B/2)以上移動する必要がある。さらに、障害物14が右側へ移動していることを考慮すると、位置Aから右側に回避する場合、車両12の先端部が障害物14の位置に到達しないことに加え、車両12が線分A上に到達した位置から車両12の長さ(L+L)だけ車両12が前進する間に、車両12が障害物14の位置に到達しないことが要求されることとなる。このため、位置Aから右側に回避する場合、(r+b+B/2)の移動量に、車両12が(L+L)だけ前進する間に障害物14が前進する移動量を加える必要がある。このことから、回避目標位置算出手段40は、移動量が少なくなる観点から、位置Aから左側に回避目標位置Gを設定する。実施例1では、回避目標位置Gは、(r−b+B/2)に適当な回避余裕距離Δyを加えた距離だけ、位置Aから左側に変位した位置に設定する。この回避目標位置Gの座標(x、y)は(図7参照。)、次式(15)、(16)で表すことができる。
=x(t)−L (15)
=−(r−b+Δy+B/2) (16)
回避操作量算出手段41は、車両12が回避目標位置Gに到達するために必要な車両12への回避操作量を算出する。
実施例1では、回避操作量算出手段41は、先ず横方向の運動、すなわち道路13の幅方向となるY軸方向への運動を考える。予測時刻Tにおいて、回避目標位置GのY座標yに到達するように、等加速度運動で移動するとした場合、必要な横加速度aは次式(17)で表すことができる。
=2y/T (17)
この横加速度aを実現する前輪舵角を計算する必要がある。一般に前輪舵角入力に対する横加速度の応答との間には、次式(18)のような関係式を想定することができる。
Figure 2007253746

この(18)式において動特性の部分を表すQ(s、v)を1とみなし、定常特性の関係だけを抜き出した近似式を次式(19)に示す。
Figure 2007253746

以上のような伝達特性を事前に同定しておけば、(17)式の目標横加速度a を漸近的に達成するための前輪舵角目標値δが次式(20)により算出することができる。
Figure 2007253746

実際には、伝達関数Q(s、v)で表現される応答遅れが存在するため、直ちに目標横加速度aが得られるわけではないが、応答遅れに見合うように回避余裕距離Δを設定しておけば、車両12の障害物14の回避という目的は十分に達成することができる。
次に、縦方向の運動、すなわち道路13の方向となるX軸方向への運動を考える。車両12の減速運動に関しては、油圧制御系25から各ブレーキ26に付与されるブレーキ圧の値pと、ブレーキ圧の値pにより各ブレーキ26が動作した際に車両12に現れる挙動としての減速度d(この場合、減速度dは定常値とする。)との間の関係を事前に測定することによって、次式(21)のような関係式が得られている。
Figure 2007253746

そこで、減速度dに対応するブレーキ圧の値pを、関数Rの逆関数R−1を用いて、次式(22)で算出することができる。
Figure 2007253746

次に、本発明に係る回避操作算出装置10による障害物14を回避するための運転操作量の算出の工程を図8に示すフローチャート(これを処理Aとする。)に沿って説明する。このフローチャートは、図3に示す場面を想定している。図3は、道路13を自車両である車両12が走行しており、車両12の前方の左側から歩行者(障害物14)が道路13に飛び出してきた場面を表している。なお、このフローチャートは、車両12が走行している間、繰り返し行なわれるものである。
到達可能性判定手段35は、自車情報処理部28および障害物情報処理部29で処理された情報に基づき車両12が走行している道路13を認識し、道路13に障害物14が存在しているか否かを確認し、障害物14が存在する場合ステップS2へ進み、障害物14が存在しない場合確認を継続する(ステップS1)。この際、各センサ17〜19から出力された信号に基づき自車情報処理部28および障害物情報処理部29で処理された情報は、メモリ31に格納されており、メモリ31の情報は、到達可能性判定手段35および回避操作量生成手段30よる読み取りが可能とされている。
到達可能性判定手段35は、取得情報処理手段27で処理された情報に基づき道路13上に、障害物14(実施例1では歩行者)が存在することを検知すると、この障害物14の回避のための回避操作量の算出が必要であるか否かの判定を行う(ステップS2)。回避操作量の算出が必要であると判定した場合、座標系を設定し(図3参照。)、メモリ31に格納された情報および取得情報処理手段27で処理された情報を設定した座標系に適宜展開(図3参照。)してステップS3へ進む。回避操作量の算出が必要ないと判定した場合、フローチャートを終了する。
回避操作量の算出が必要であると判定された場合、自車移動軌跡算出手段36は、予測減速移動軌跡を算出し、障害物移動軌跡予測手段37は、予測障害物移動軌跡を算出する(ステップS3)。なお、障害物移動軌跡予測手段37は、障害物14が静止していると判断した場合、予測障害物移動軌跡の算出は行わない。また、自車移動軌跡算出手段36は、一般的なタイヤ摩擦円または前回のフローチャートでのタイヤ摩擦円に基づき減速度dを設定する。
到達予測手段38は、予測減速移動軌跡を辿る車両12が、予測障害物移動軌跡を辿る障害物14の位置に到達するか否かを判定する(ステップS4)。到達すると判定した場合、回避操作量を算出すべくステップS5に進む。到達しないと判定した場合、車両12に予測減速移動軌跡を実行させるべくステップS8に進む。なお、障害物14が静止している場合、予測障害物移動軌跡に代えて、障害物14の位置(xp0、yp0)を用いて、到達の判定をおこなう。
摩擦力限界設定手段39は、車両12に生じさせ得る加速力、減速力および横力の合成力の限界範囲(図5参照。)を設定する(ステップS5)。
回避目標位置算出手段40は、回避目標位置G(図7参照。)を算出する(ステップS6)。
回避操作量算出手段41は、車両12が回避目標位置Gに到達するための回避操作量(図7参照。)、すなわち前輪舵角目標値δおよびブレーキ圧の値pを算出する(ステップS7)。
ステップS4において、予測減速移動軌跡を辿る車両12が障害物14の位置に到達しないと判定された場合、回避操作量算出手段41は、予測減速移動軌跡の根拠となった減速度dを実現する操作量を回避操作量とし、減速度dを実現させるブレーキ圧の値pを算出する(ステップS8)。
回避操作量算出手段41は、算出した回避操作量をバッファメモリ42に送信し、バッファメモリ42を介して、操舵角サーボコントローラ23およびブレーキコントローラ24に送信する(ステップS9)。
このフローチャートのように、回避操作算出装置10は、少ない操作量で障害物14を回避することができる回避操作量を算出する。実施例1では、回避操作算出装置10が回避制御装置11の一部を構成しており、他部である車両運動制御手段15により各最適運転操作量に応じた操舵および制動操作が実行される。
障害物14の位置への到達の回避のために算出された回避操作量による車両12の移動軌跡を図7に示す。なお、図7では、予測時刻Tにおける車両12(G)および障害物14(P)を実線で示し、障害物14を検出した時刻(評価開始時刻T)における車両12(A)と、障害物14(P)と、予測時刻Tに至るまでの車両12および障害物14の移動軌跡とを二点鎖線で示している。
図7に示すように、車両12は、回避制御装置11により、障害物14の位置に到達することを回避することができる。この際、回避操作量は、図5および図6に示すように、車両12に生じさせ得る加速力、減速力および横力の合成力の限界範囲内で算出されているので、車両12に意図しない挙動が生じることはなく、的確に障害物14を回避することができる。換言すると、車両12に生じる加速力、減速力および横力の合成力が、車両12を支える各タイヤ33のグリップ力の総和を超える範囲を積極的に排除して回避操作量を算出しているので、回避操作量に応じた回避移動軌跡を確実に実現することができ、障害物14の位置への到達を回避することができる。
よって、本発明に係る回避操作算出装置10では、車両12に生じさせ得る加速力、減速力および横力の合成力の限界範囲内で回避操作量が算出されているので、車両12を安定した挙動で、障害物14の位置への到達を回避することができる回避操作量を算出することができる。
本発明に係る回避操作算出装置10およびこれを含む回避制御装置11の実施例2を図9および図10の図面に基づいて説明する。実施例2は、実施例1の回避操作算出装置10およびこれを含む回避制御装置11において、回避操作量算出手段41における回避操作量の算出の方法が実施例1とは異なる例である。このため、実施例2の回避操作算出装置10およびこれを含む回避制御装置11(図2参照。)は、基本的に実施例1の回避操作算出装置10およびこれを含む回避制御装置11と同様の構成および動作であり、構成の詳細な説明を省略し、かつ等しい動作についても詳細な説明を省略する。
実施例1では、回避操作量算出手段41における回避操作量の算出の際、車両運動制御の詳細なダイナミクスや車両制御系の応答遅れを考慮せずに、簡易的な方法で回避操作量を算出する方法を示した。この実施例1に示した方法は、単純な演算規則で実現できるという長所がある。実施例2では、例えば、回避までの時間および距離等の余裕が少なく精度の高い車両運動制御が必要とされる場面において、確実な回避を実現するために制御誤差が無視できなくなる場面を想定し、車両運動のダイナミクスと制御系の時間遅れを明示的に考慮した形で回避操作量を算出する方法を示す。
実施例2では、回避操作量算出手段41における回避操作量の算出(ステップS7)の方法以外は実施例1のフローチャート(図8参照。)と同様の処理を行う。このことから、実施例2では、実施例1と同様に図3に示した場面を想定して説明し、実施例1と同様の目標回避位置G(x、y)(図6参照。)が設定されているものとする。
回避操作量算出手段41は、回避操作量の算出のために、車両の運動と制御系のモデルとしての車両モデルを導入する。車両運動モデルとしては様々なモデルを利用することができるが、実施例2では以下の車両モデルを導入する。
車両モデルは以下(23)〜(30)の微分方程式で記述される。なお、x´と表記したのはxの時間微分を示す。
x´=vcos(β+θ) (23)
y´=vsin(β+θ) (24)
θ´=γ (25)
v´=d (26)
Figure 2007253746

ここで、前述したように、θは車両12の姿勢角(ヨー角)、βはすべり角、vは走行速度、γはヨーレートである。また、mは車両12の重量、Iは車両12に生じる車両ヨー慣性モーメント、lは車両重心から前輪軸までの距離、lは車両重心から後輪軸までの距離を表す。Yは2つの前輪のタイヤ横力を表し、かつYは2つの後輪のタイヤ横力を表す関数であり、それぞれ前輪すべり角β、後輪すべり角βの関数であると仮定している。(29)、(30)式は、それぞれブレーキコントローラ24および操舵角サーボコントローラ23に目標指令値(回避操作量)を与えてから制御量が目標指令値に到達するまでの時間遅れを表現しており、T、Tはそれぞれの制御系の応答時定数である。ここで、前輪舵角をδとすると、前輪すべり角β、後輪すべり角βは次式(31)、(32)で表すことができる。
β=β+lγ/v−δ (31)
β=β−lγ/v (32)
タイヤ横力Y、Yは、タイヤ摩擦力のすべり角依存性と、図5に示すタイヤ摩擦円の制約(限界範囲)とを反映した関数を用いて表すことができる。タイヤ横力の特性を近似したモデルとしては多くのモデルが提案されているが、実施例2では次式(33)、(34)の簡略化されたタイヤモデルを考える。
Figure 2007253746
以上で導入した式をまとめると、車両モデルは、次式(35)で表す非線形モデルにまとめられる。
Figure 2007253746

車両12を精度良く回避目標位置まで到達させる回避操作量を算出するために、到達予測手段38により設定された評価開始時刻Tから、車両12が回避目標位置G(x、y)に到達する予測時刻Tに至るまでの入力ベクトルuの時系列を考え、予測時刻Tにおいて回避目標位置G(x、y)になるべく近い位置に到達するという意味で最適なuを算出する最適制御問題を考える。最適制御問題において評価関数は一般に、次式(38)で定義することができる。
Figure 2007253746

ただし、ψは、回避目標位置G(x、y)を基準とする予測時刻Tにおける車両12の位置の望ましさを評価する評価式であり、Lは、評価開始時刻Tから予測時刻Tまでの間の各時刻における車両12の減速操作量および操舵量からなる回避操作量の小ささの望ましさを評価する評価式であり、τは、評価開始時刻Tから予測時刻Tまで変化する積分変数である。評価式ψは次式(39)で、かつ評価式Lは次式(40)で表すことができる。
Figure 2007253746

ただし、W、W、W、Wδは各評価項に対する重みパラメータである。
一般に(35)式で記述されるシステムに対して、(38)式の評価関数の値が最小となる(37)式の制御入力uを求める最適制御問題を解くためのアルゴリズム(最適化アルゴリズム)としては、いくつかの公知技術が知られており、そうした公知技術を用いることで最適な制御入力uを算出することができる。
最適化アルゴリズムのうちのいくつかは、最適解の算出に先立って適当な初期値を設定する必要があり、初期値の設定によって最適解を求めるまでの演算時間が変化することもある。効率的に解を求めるためには、なるべく最適解に近い初期値を設定することが望ましい。実施例2の回避目標位置算出手段40は、実施例1と同様に、減速度dでの減速操作(予測減速移動軌跡)で到達する位置Aを基準に、位置Aからなるべく離れない場所に回避目標位置G(x、y)を設定していることから、求めるべき最適な回避操作量は、予測時刻Tにおいて車両12が位置Aに到達する操作量、すなわち操舵されていない状態において車両12を減速度dで減速させるための操作量に近いことが予想される。この予測時刻Tにおいて車両12が位置Aに到達する操作量は、次式(41)で表すことができる。
Figure 2007253746

このため、(41)式を最適化計算の初期値とすることが、効率的に解を求めるための有効な手段であると考えられる。
実施例2の場合、最適な回避操作量は、ブレーキ圧の値pにより制御される減速操作量、および前輪舵角δにより制御される操舵量からなるので、減速操作量および操舵量の時系列が算出される。実際の最適な回避操作量の算出にあたっては、評価区間を適当なステップ数N(所定の間隔)で分割して、各離散化ステップ時点における最適な回避操作量の値を算出することになる。このような最適制御問題を解くことによって得られる結果(回避操作量)の一例を図10に示す。車両モデルに応答遅れを考慮したモデルを用いることで、実際の操作量よりも大きな指令値を算出して応答遅れを補償した操作量指令値(回避操作量)の時系列が自動的に算出されている。
図10(a)は、車両12の減速度と時間との関係を示すグラフであり、応答遅れを考慮しない場合に算出される理想の減速操作量で車両12を制御した場合に車両12に生じることが予想される予想減速度dを実線で示し、算出された減速操作量で車両12を制御した場合に車両12に生じる減速度である減速指令値dを破線で示している。減速指令値dは、評価開始時刻Tにおいて、応答遅れに対応するために理想の減速操作量よりも大きな減速度dsmaxが減速指令値とされており、遅れ時刻T以降は、予想減速度dに等しい減速指令値dとされている。
また、図10(b)は、車両12の操舵量と時間との関係を示すグラフであり、応答遅れを考慮しない場合に算出される理想の操舵量で車両12を制御した場合に車両12に生じることが予想される予想操舵量δを実線で示し、算出された操舵量で車両12を制御した場合に車両12に生じる操舵量である操舵量指令値δを破線で示している。操舵量指令値δは、評価開始時刻Tにおいて、応答遅れに対応するために理想の操舵量よりも大きな操舵量δsmaxが操舵量指令値とされており、遅れ時刻T以降操舵量が減少している予想操舵量δに対応して、時刻T以降は、予想操舵量δに等しい操舵量指令値δとされている。
車両運動制御手段15は、バッファメモリ42に最適な回避操作量(N個のブレーキ圧の値pおよび前輪舵角δ)の時系列のデータが格納されると起動され、バッファメモリ42に格納されたデータをT/Nの時間周期で最適運転操作量の時系列に沿って順番に読み込み、読み込まれた最適な減速操作量であるブレーキ圧の値pに応じてブレーキコントローラ24が油圧制御系25を制御し、かつ読み込まれた最適な操舵量である前輪舵角δを目標舵角として操舵制御手段32が前輪操舵角のサーボ制御を実行する。車両運動制御手段15は、予測時刻Tに至り、バッファメモリ42に格納された回避操作量がすべて読み出されると、回避制御の実行を終了し、この終了と共に車両12は、運転者が運転操作を行う通常走行の状態に復帰する。
実施例2の回避操作算出装置10および回避制御装置11では、車両運動のダイナミクスと制御系の時間遅れを考慮して回避操作量を算出しているので、回避までの余裕(時間および距離等の)が少なく精度の高い車両運動制御が必要とされる場面であっても、確実な回避を実現することができる。
本発明に係る回避操作算出装置10およびこれを含む回避制御装置11の実施例3を図11から図14までの図面に基づいて説明する。実施例3は、実施例2の回避操作算出装置10およびこれを含む回避制御装置11と同様の構成であり、かつ回避操作量算出手段41における回避操作量の算出の方法も実施例2と同様である。このため、回避操作算出装置10およびこれを含む回避制御装置11の構成の詳細な説明を省略し、かつ等しい動作についても詳細な説明を省略する。
実施例3の回避操作算出装置10およびこれを含む回避制御装置11は、一定の制御時間を設定し、この制御時間毎に障害物140の予測障害物移動軌跡を算出し、算出された予測障害物移動軌跡を辿る障害物140の位置に、算出された回避操作量を辿る車両120が到達するか否かを制御時間毎に判定し、必要であれば回避操作量を再び算出し直すものである。これは、障害物140(図11参照。)が、評価開始時刻Tにおいて障害物移動軌跡予測手段37により算出された予測障害物移動軌跡とは異なる挙動を、評価開始時刻Tの後にした場合であっても、この障害物140の挙動の変化に対応することができる回避操作量を算出できるようにしたものである。
実施例3では、図11に示すように、現在時刻tに至るまでに、車両120が位置Aから位置A01へと移動した際、障害物140(歩行者)が位置Pから位置P01へと移動し、その後、移動を停止する場面を想定している。
実施例3においてマイクロプロセッサ20で実行される車両制御のフローチャートを図12に示し、この処理を処理Bとする。図12のフローチャートの処理は、一定の制御時間毎に繰り返し実行されることを前提としている。なお、この図12のフローチャートにおいて現在時刻tとは、フローチャートによる処理を開始した時刻をいう。
回避操作量算出手段41は、到達回避制御が実行されているか否かを判定する(ステップS1)。この判定方法として、例えば、回避操作量算出手段41は、バッファメモリ42をチェックし、バッファメモリ42に現在時刻t以降に対応する指令値(回避操作量)が格納されていれば到達回避制御を実行中であり、そうでなければ到達回避制御は実行されていない、と判定することができる。到達回避制御を実行中であればステップS4に進み、実行中でなければステップS2に進む。
到達回避制御の実行中でない場合、回避操作量生成手段30および到達可能性判定手段35は、処理A(図8に示したフローチャート)に沿って回避操作量の算出を行う(ステップS2)。回避操作量生成手段30および到達可能性判定手段35は、現在時刻tにおける車両120の自車情報、障害物140の情報およびそれに基づく予測障害物移動軌跡をもとに、回避操作量の算出をやり直す。実施例3では、算出のやり直しの際、現在時刻tを評価開始時刻Tとし、実施例2と同様に、評価開始時刻Tから予測時刻Tに至るまでの回避操作量の時系列を算出する。
回避操作量算出手段41は、ステップS2の処理Aにおいて回避操作量が算出されたか否かを判定する(ステップS3)。この判定方法として、ステップS2での処理Aに沿う回避操作量の算出の処理において、回避操作量を算出する必要がないと判定された場合(図8のフローチャートのステップS2における到達可能性判定手段35による判定。)、回避操作量が算出されていないと判定することができ、それ以外ならば回避操作量が算出されていると判定することができる。回避操作量が算出されていない場合フローチャートを終了し、回避操作量が算出されている場合、ステップS7に進む。
ステップS1において到達回避制御が実行されていると判定された場合、回避操作量算出手段41は、車両120が回避操作量を辿った場合の予測回避移動軌跡を算出し、障害物移動軌跡予測手段37は、現在時刻tにおける障害物140の情報に基づいた予測障害物移動軌跡を算出する(ステップS4)。
車両120の予測回避移動軌跡は、例えば、次のように算出することができる。実行されている到達回避制御での評価開始時刻Tにおいて到達回避制御が開始され、予測時刻Tまでの回避操作量u(t)(T≦t≦T)が生成されたものとする。生成されたu(t)に従って到達回避制御を実行し、現在時刻tにおいて(36)式で定義された車両120の状態ベクトルがx(t)に変化したとする。この時、予測時刻Tまでの車両運動軌跡x(t)(t≦t≦T)は、x(t)を初期値として(35)式の微分方程式を順方向に予測時刻Tまで積分することによって算出することができる。なお、障害物140が移動をしている場合、評価開始時刻Tから現在時刻tまでの障害物140の情報に基づいて、実施例1と同様に、予測回避移動軌跡を算出することができる。
また、障害物140の予測障害物移動軌跡は、現在時刻tにおいて障害物140が位置P01{x(t)、y(t)}に到達し、位置P01で動きが停止したとすれば、予測時刻Tまでの間、障害物140はずっと位置P01に留まり続けるという予測が得られることとなり、このような予測に基づき算出することができる。
到達予測手段38は、ステップS4で算出された予測回避移動軌跡および予測障害物移動軌跡に基づき、現在の到達回避制御を実行し続けた場合に車両120が障害物140の位置に到達するか否かを判定する(ステップS5)。到達しないと判定した場合、ステップS7に進み、到達すると判定した場合(図11参照。)、ステップS6に進む。
到達すると判定されると、回避操作量算出手段41は、バッファメモリ42に格納されている指令値(回避操作量)をすべてクリアして、ステップ2へ進む(ステップS6)。
到達しないと判定されると、回避操作量算出手段41は、算出した回避操作量をバッファメモリ42に送信し、バッファメモリ42を介して、操舵角サーボコントローラ23およびブレーキコントローラ24に送信する(ステップS7)。
なお、ステップS2において、回避操作をやり直す場合(ステップS6からステップS2に進んだ場合)であっても、その処理の内容は実施例2に示したものと同様である。例えば、図13に示すように、車両120が、現在時刻tにおいて、評価開始時刻Tにおける位置A(図11参照。)から位置A01へと移動した場合、位置A01における車両120の自車状態を基準として、一定減速度dで減速した場合の予想到達位置A11に基づき、タイヤ摩擦円(図5参照。)から円周上の作用点に対応する予想到達点AL0、AR0を算出する。図13に示すように、実施例3では、位置A11、位置AL0が共に到達を避けられない結果が予想されているので、位置A11から右側の位置AR0に近い位置に回避目標位置GA3(図14参照。)が設定されることとなる。回避目標位置をGA3に設定し直すと、現在時刻tで算出される回避操作量は、図14のような車両運動軌跡をたどるような操作量となる。以上のような構成により、障害物140が突然その挙動を変えた場合でも、挙動変化に対応した回避操作量を得ることができる。なお、図14では、予測時刻Tにおける車両120(GA3)および障害物140(P01)を実線で示し、当初設定された評価開始時刻Tにおける車両120(A)と、算出のし直しを開始した現在時刻tにおける車両120(A01)と、予測時刻Tに至るまでの車両120の移動軌跡とを二点鎖線で示している。
実施例3の回避操作算出装置10およびこれを含む回避制御装置11では、回避制御を実行している際、障害物140の挙動が評価開始時刻Tで予測されたものから変化した場合であっても、障害物140の挙動の変化に対応した回避操作量を算出することができる。このため、例えば、車両120が位置Aから位置A01へと移動した際、障害物140(歩行者)が位置Pから位置P01へと移動し、その後、移動を停止した場合であっても、図14に示すように、障害物140の位置に到達することのない回避操作量を算出し、実行することができる。
本発明に係る回避操作算出装置10およびこれを含む回避制御装置11の実施例4を図15から図17までの図面に基づいて説明する。
本発明の実施例4では、実施例1ないし実施例3の回避操作算出装置10およびこれを含む回避制御装置11とは、回避操作算出装置10の回避目標位置算出手段40による回避目標位置の設定方法が異なる例である。
実施例4の回避操作算出装置10およびこれを含む回避制御装置11(図2参照。)は、基本的に実施例1の回避操作算出装置10およびこれを含む回避制御装置11と同様の構成であり、等しい個所については詳細な説明を省略する。また、回避操作量の算出については、実施例3と同様であり、等しい動作についても詳細な説明を省略する。
実施例4では、実施例1および実施例2と同様の図3に示す場面を想定している。実施例4では、回避目標位置GA4(図16および図17参照。)の算出にあたって、実施例1ないし実施例3のように、タイヤ摩擦円で示す限界範囲(図5参照。)から減速度dで固定した線分Eの中の作用点に基づいて回避目標位置G(図7参照。)を算出することに代えて、図15に示すように減速度を変更する場合も含めて適切な回避目標位置GA4を探す構成を示す。
さらに、実施例4では障害物1400が左方向から接近していることを考慮して、回避目標位置GA4の設定範囲を右方向への回避に限定して実施する構成とした。この例では、評価開始時刻Tにおいて位置Aに存在する車両1200が、タイヤ摩擦力の作用点の限界範囲に対応する以下(a)〜(d)の操作量で動作した場合に、予測時刻Tにおいて到達することが予想される4点で囲まれる領域を考えている。
(a)減速度d、横力0
(b)減速度d、右横力 最大
(c)減速度0、横力0
(d)減速度0、右横力 最大
このうち、(a)、(b)は、図5でも考慮した作用点E、Eである。(c)は、到達回避操作を何も行わずに評価開始時刻Tにおける走行を続けることに対応し、ここでは作用点Eと表記する。(d)はまったく減速をせずに右方向へ限界まで操舵することに対応し、ここでは作用点Eと表記する。以上のように作用点を定義すると、それぞれの作用点に対応する自車の予測時刻Tにおける到達点A、A、A、A(図16参照。)を算出することができる。回避目標位置算出手段40は、この四角形Aで規定された領域の中から回避目標位置GA4を設定する。
予測時刻Tにおいて、車両1200が障害物1400の予想到達位置Pよりも前方に到達していれば、それ以降の時間に障害物1400と衝突する可能性はなくなる。従って、X軸方向には位置Pを中心とする半径rの占有領域からΔの間隔を置いた仮想線sよりも前方に回避目標位置を設定することが望ましい。また、位置Pよりも左側の領域では、車両1200が回避目標位置に到達する過程において障害物1400の位置に到達してしまう虞があり回避目標位置として望ましくない。そこで、Y軸方向にも位置Pを中心とする半径rの占有領域からΔの間隔を置いた仮想線sよりも右側に回避目標位置を設定することが望ましい。四角形Aの領域内で、位置Pを中心とする半径rの占有領域から2本の仮想線s、sにより間隔を置いた領域の中から、車両の幅と長さを考慮した上で最も位置Aに近い場所に回避目標位置を設定する。図14の場合、回避目標位置GA4の座標は、次式(42)で表すことができる。
A4{x(t)+Δ+B/2 , y(t)+Δ+L} (42)
それ以外の処理は実施例2および実施例3と同様である。
このようにして回避目標位置GA4を算出した結果、現在時刻tにおいて算出される回避操作量に従って到達回避制御を行った場合の車両1200の移動軌跡は図17に示すものとなり、減速度を緩めて右方向へ回避することによって、障害物1400の挙動の不確実性の影響を受けることなく余裕のある到達回避運動を実現することができる。なお、図17では、予測時刻Tにおける車両1200(GA4)および障害物1400(P)を実線で示し、評価開始時刻Tにおける車両1200(A)および障害物1400(P)と、予測時刻Tに至るまでの車両1200および障害物1400の移動軌跡とを二点鎖線で示している。
実施例1ないし実施例3では、図5に示すように、当初設定した減速度dは固定した上で、それに追加して発生させ得る横力の範囲内で回避目標位置の設定を行ない、回避目標位置Gを設定していた。これは、減速して車速を落とすことは安全確保のための基本的操作であることによる。
これに対し、実施例4に示した回避操作量の算出方法では、減速度を当初の設定値であるdよりも小さく修正し、この修正により拡がった生じさせ得る横力の範囲を利用することを考慮して回避目標位置GA4を設定する。これにより、実施例4の算出方法では、タイヤ摩擦力の制約によって発生させ得る横力の範囲を広げることができ、横方向への回避の余地を大きくすることができる。
また、実施例1ないし実施例3では、図3で想定する場面において、到達予測手段38により算出された判定結果に基づき、移動量(操舵量)が小さい左側に回避目標位置Gを設定していた。このような回避目標位置の設定は、障害物の挙動の予測の精度が高い場合には合理的な目標設定であると共に、移動量(操舵量)を小さくできるという利点がある。
これに対し、実施例4では、到達回避制御が開始された直後から、障害物1400が存在する方向とは逆の方向へ向かう回避操作量が算出されかつ実行されることから、運転者に違和感を覚えさせることのない回避操作量を算出し実行することができる。
なお、実施例4では、タイヤ摩擦力の作用点の限界範囲に対応する操作量を4点設定して、四角形Aの領域の中から回避目標位置GA4を設定する構成であったが、この点数は適宜増やすことができる。点数を増やすと演算量が増加するが、よりタイヤ摩擦円により規定される各タイヤ33の限界範囲に近い領域から回避目標位置を設定することができる。
よって、本発明に係る回避操作算出装置によれば、制動制御および操舵制御により安定した挙動で、すなわち自車両に作用する力を自車両のタイヤのグリップ力の最大値よりも小さな範囲内として自車両が障害物の位置に到達することを回避することができる運転操作量を算出することができる。
また、本発明に係る回避制御装置によれば、制動制御および操舵制御により安定した挙動で、すなわち自車両に作用する力を自車両のタイヤのグリップ力の最大値よりも小さな範囲内として自車両が障害物の位置に到達することを回避することができる運転操作により障害物を回避させる車両の回避操作を行うことができる。
請求項1、請求項2、請求項19および請求項20の発明によれば、自車両に生じる加速力、減速力および横力の合成力が、自車両のタイヤのグリップ力の最大値よりも小さな範囲内となるように、回避操作量が算出されるので、自車両に予期しない挙動を生じさせることなく、障害物の位置への到達を回避させることができる回避操作量を算出することができる。
請求項3および請求項21の発明によれば、静止している障害物だけでなく移動する障害物に対しても有効な回避操作量を算出することができる。
請求項4および請求項22の発明によれば、任意減速力に応じた限界横力に基づいて回避目標位置を算出しているので、想定した任意の減速操作量に加える操舵量を算出することができる。
請求項5および請求項23の発明によれば、複数の異なる限界横力に基づく多角形領域内で回避目標位置を算出しているので、タイヤのグリップ力の限界範囲内で、障害物の回避に適した減速操作量と操舵量の組み合わせによる回避操作量を算出することができる。
請求項6および請求項24の発明によれば、評価関数の最適化に基づいて回避操作量を時系列として求めることができるので、単一の目標制御量を決める場合と比較して、より滑らかで精度の高い回避操作量を算出することができる。
請求項7および請求項25の発明によれば、回避のための操作量そのものではなく、到達予測地点の算出時に想定した操作に対する補正量を最適化によって算出する構成とすることで、最適化問題を解きやすい問題として定式化することが可能で、操作量演算を高速化することができる。
請求項8および請求項26の発明によれば、回避操作量の算出に先立って減速度を0とした場合の衝突可能性判定を行うこととなるので、衝突回避操作が不要な場合に装置が起動して運転者に違和感を与えることを防止することができる。
請求項9および請求項27の発明によれば、操舵による回避が不要な場合には制動だけを実行する回避操作量を指令することができる。
請求項10および請求項28の発明によれば、路面状態に応じて最大グリップ力を変更し合成力の限界範囲を変更することにより、精度の高い回避操作量を算出することができる。このため、例えば、滑りやすい道路状況においても、道路に応じたタイヤ摩擦力の範囲内で回避操作量を算出することができる。
請求項11および請求項29の発明によれば、車両の到達状態を考慮した上で回避操作量を算出することができるので、より小さな回避操作で確実に障害物の位置への到達を回避することができる回避操作量を算出することができる。
請求項12および請求項30の発明によれば、制動運動制御手段により制動操作を実行させることができるので、算出された回避操作量を確実に実現させることができる。
請求項13および請求項31の発明によれば、制動運動制御手段が自車両に対し最大の制動力を発生させた場合の減速度を前提に到達予測を行うことになるので、回避目標位置を設定する際、減速度を緩める場合のみを想定すればよいので、回避目標位置の算出に伴う演算量を低減することができる。
請求項14および請求項32の発明によれば、車両に設けられた制動運動制御手段に適合する回避操作量を算出することができる。
請求項15および請求項33の発明によれば、算出された回避操作量のうち減速操作のみならず操舵も操舵制御手段により実行させることができるので、算出された回避操作量をより確実に実現させることができる。
請求項16および請求項34の発明によれば、到達回避制御を実行している間も到達可能性の判定を行うことで、障害物が当初の予測とは異なる挙動をとった場合、衝突回避操作を算出し直すこととなり、障害物の挙動の変化に対応した回避操作を実行させることができる。
なお、上記した各実施例では、回避操作算出装置が算出した最適運転操作量に基づいて車両運動制御手段による車両の操舵を実行する構成であったが、車両運動制御手段による車両の操舵は、運転者による運転操作を補助的に行うものであってもよい。この場合、例えば、車両運動制御手段は、最適運転操作量と運転者が行った運転操作との差分に応じて操舵するものであってもよく、運転者が運転操作を行った場合、運転者とは別の操舵を中止するものであってもよい。
また、上記した各実施例では、車両には、回避操作算出装置を含む回避制御装置が採用され、算出した最適運転操作量に基づいて車両運動制御手段による車両の操舵を実行する構成であったが、車両の操舵を行わないものであってもよい。この場合、例えば、回避操作算出装置のみを車両に採用し、車室にディスプレイを設置し、最適運転操作量に適合する到達回避のための移動軌跡をディスプレイ上に表示して、障害物の位置への到達の回避のための操舵を補助することができる。
上記した各実施例に示した回避操作算出装置および回避制御装置では、互いに異なる方法で回避操作量が算出されていたが、各方法を適宜組み合わせることができる。例えば、回避目標位置の設定は、実施例1および実施例2において、操作量が小さくなるように位置Aの左側に設定されていたが、減速力および横力の合成力が、タイヤ摩擦円の限界範囲内であれば、位置Aの左側に設定されてもよく、上記したものに限定されるものではない。
また、上記した各実施例では、車両には、回避操作算出装置は、算出された最適運転操作量である前輪操舵δに基づき操舵を行っていたが、算出された最適運転操作量によっては、制動機構により操舵を行ってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
本発明に係る回避操作算出装置および回避制御装置が採用された車両を模式的に示す平面図である。 回避制御装置を示すブロック図である。 実際に到達回避が行われるべく想定された実施例1の場面を示す模式的な平面図であり、処理された情報が座標系に展開された状態も示されている。 図3の場面において、到達予測手段による処理を説明するための平面図である。 タイヤ摩擦円を示すグラフである。 タイヤ摩擦円の限界範囲に応じた車両の移動範囲を示す模式的な平面図である。 実施例1の回避操作量による到達回避の状態を示す平面図である。 回避操作算出装置の処理を示すフローチャートである。 車両運動モデルにおけるタイヤ横力の関数形状の一例を示すグラフである。 算出される回避操作量の一例を示すグラフである。 実際に到達回避が行われるべく想定された実施例3の場面を示す模式的な平面図である。 実施例3の回避操作算出装置の処理を示すフローチャートである。 実施例3のタイヤ摩擦円の限界範囲に応じた車両の移動範囲を示す模式的な平面図である。 実施例3の回避操作量により行われた車両の障害物の回避の移動軌跡を示す平面図である。 タイヤ摩擦円を示すグラフであり、実施例4による回避目標位置の算出方法を説明するための作用点が示されている。 実施例4による回避目標位置の算出方法を説明するための平面図である。 実施例4の回避操作量により行われた車両の障害物の回避の移動軌跡を示す平面図である。
符号の説明
10 回避操作算出装置
11 回避制御装置
12、120、1200 車両
13 道路
14、140、1400 障害物
15 車両運動制御手段
16 (障害物検出手段および自車情報検出手段の一部を構成する)カメラ
17 (自車情報検出手段の一部を構成する)車速センサ
18 (自車情報検出手段の一部を構成する)ヨーレートセンサ
19 (自車情報検出手段の一部を構成する)加速度センサ
28 (自車情報検出手段の一部を構成する)自車情報処理部
29 (障害物検出手段の一部を構成する)障害物情報処理部
30 回避操作量生成手段
35 到達可能性判定手段
36 自車移動軌跡算出手段
37 障害物移動軌跡予測手段
38 到達予測手段
39 摩擦力限界設定手段
40 回避目標位置算出手段
41 回避操作量算出手段
(任意の)減速度
評価開始時刻
予測時刻
、GA3、GA4 回避目標位置
δ (回避操作量としての)操舵量
(回避操作量である減速操作量としての)ブレーキ圧の値

Claims (34)

  1. 自車両よりも前方の道路上に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、前記自車両の走行状態を検出する自車情報検出手段と、該自車情報検出手段および前記障害物検出手段からの検出情報に基づいて前記自車両が前記障害物を回避するための回避操作量を生成する回避操作量生成手段とを備える回避操作算出装置であって、
    前記回避操作量生成手段は、前記自車両に生じる加速力、減速力および横力の合成力が前記自車両のタイヤのグリップ力の最大値よりも小さくなる範囲内で前記回避操作量を算出することを特徴とする回避操作算出装置。
  2. 前記回避操作量生成手段は、前記自車両が走行する道路上で前記自車両のタイヤが発揮可能な最大グリップ力を設定し該最大グリップ力に基づいて前記合成力の限界範囲を設定する摩擦力限界設定手段と、
    前記限界範囲内の減速力により前記自車両に生じ得る任意の減速度を設定し、かつ前記自車両が前記任意の減速度により減速した場合の予測減速移動軌跡を算出する自車移動軌跡算出手段と、
    前記予測減速移動軌跡上の前記自車両が前記障害物の位置に到達するか否かを判定し、かつ到達すると判定した場合に前記自車両が前記障害物の位置に到達することが予測される予測時刻を算出する到達予測手段と、
    前記自車両が前記限界範囲内の合成力により前記予測時刻において到達可能な動作領域を設定し、かつ該動作領域内で前記自車両が前記障害物を回避することができる回避目標位置を算出する回避目標位置算出手段と、
    前記自車両を前記回避目標位置に到達させる減速操作量および操舵量を算出する回避操作量算出手段とを有し、
    前記減速操作量および前記操舵量が前記回避操作量となることを特徴とする請求項1に記載の回避操作算出装置。
  3. 前記回避操作量生成手段は、前記障害物検出手段により検出された前記障害物の情報に基づき該障害物の予測移動軌跡である予測障害物移動軌跡を算出する障害物移動軌跡予測手段を有し、前記到達予測手段は、前記予測減速移動軌跡上の前記自車両が前記予測障害物移動軌跡上の前記障害物の位置に到達するか否かを判定し、かつ到達すると判定した場合に到達することが予測される予測時刻を算出することを特徴とする請求項2に記載の回避操作算出装置。
  4. 前記回避目標位置算出手段は、前記自車両を前記任意の減速度とさせる任意減速力を算出し、前記合成力が前記限界範囲内となるように前記任意減速力に対応する前記自車両への限界横力を算出し、該限界横力よりも小さな横力で到達できる範囲内で前記回避目標位置を算出することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の回避操作算出装置。
  5. 前記回避目標位置算出手段は、前記自車両を前記任意の減速度とさせる任意減速力を算出し、前記合成力が前記限界範囲内となるように前記任意減速力に対応する前記自車両への限界横力を算出し、
    さらに、前記限界範囲内で前記任意減速力よりも小さい仮想減速力を少なくとも1つ以上設定し、前記合成力が前記限界範囲内となるように前記各仮想減速力に対応する前記自車両への限界横力をそれぞれ算出し、
    前記予測時刻において、
    前記自車両に前記任意減速力を作用させた際の前記自車両の予測位置と、
    前記自車両に前記任意減速力および該任意減速力に対応する限界横力を作用させた際の前記自車両の予測位置と、
    前記自車両に前記各仮想減速力を作用させた際の前記自車両の各予測位置と、
    前記自車両に前記各仮想減速力および該各仮想減速力に対応する各限界横力を作用させた際の前記自車両の各予測位置と、
    により構成される多角形領域内で前記回避目標位置を算出することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の回避操作算出装置。
  6. 前記回避操作量算出手段は、前記障害物を検出した時刻である評価開始時刻を設定して該評価開始時刻から前記予測時刻までの時間を所定の間隔で分割し、前記自車両への車両操作に対する該自車両の予測走行軌跡を記述する車両運動モデルに基づき前記評価開始時刻から前記予測時刻までの間の前記自車両への車両操作量を数値的に評価すると共に、少なくとも、前記予測時刻における前記目標回避位置および前記車両運動モデルからの前記予測走行軌跡に基づく前記自車両の予測到達位置の接近状態を数値的に評価する評価関数が最良値となる最適運転操作量を前記所定の時間毎に算出し、前記各最適運転操作量が前記回避操作量となることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の回避操作算出装置。
  7. 前記回避操作量算出手段は、前記自車移動軌跡算出手段において前記自車両の前記予想移動軌跡を算出することに用いた前記任意の減速度に応じる減速操作量を減速操作量の初期値とすることを特徴とする請求項6に記載の回避操作算出装置。
  8. さらに、前記障害物検出手段が前記障害物を検出した際の前記自車両の走行状態を該自車両が維持した場合の走行軌跡を据置予測軌跡として算出し、該据置予測軌跡上の前記自車両が前記障害物の位置に到達するか否かを判定する到達可能性判定手段を備え、該到達可能性判定手段により前記自車両が前記障害物の位置に到達すると判定されると、前記回避操作量生成手段が前記回避操作量の算出を開始することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の回避操作算出装置。
  9. 前記回避操作量生成手段の前記到達予測手段により前記減速予測軌跡上の前記自車両が前記障害物の位置に到達しないと判定された場合、前記回避操作量生成手段の前記回避操作量算出手段は、前記自車移動軌跡算出手段により設定された前記任意の減速度を実現させる減速操作量を算出し、該減速操作量が前記回避操作量となることを特徴とする請求項2ないし請求項8のいずれか1項に記載の回避操作算出装置。
  10. さらに、前記自車両が走行する前記道路の路面摩擦係数の情報を取得する路面情報取得手段を備え、前記回避操作量生成手段の前記摩擦力限界設定手段は、前記路面摩擦係数に応じて前記自車両のタイヤの前記最大グリップ力を変更し前記合成力の限界範囲を変更することを特徴とする請求項2ないし請求項9のいずれか1項に記載の回避操作算出装置。
  11. 前記到達予測手段は、前記予測減速移動軌跡上の前記自車両が前記障害物の位置に到達すると判定した場合、前記自車両が前記障害物の位置に到達する際の前記自車両と前記障害物との位置関係を到達状態として算出することを特徴とする請求項2ないし請求項10のいずれか1項に記載の回避操作算出装置。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の回避操作算出装置と、該回避操作算出装置により算出された前記回避操作量に基づいて前記自車両の制動操作を行う制動運動制御手段を有する車両運動制御手段と、を備えることを特徴とする回避制御装置。
  13. 前記回避操作算出装置の前記自車移動軌跡算出手段は、前記制動運動制御手段が前記自車両に対し最大の制動力を発生させた場合に該自車両に作用する減速度を前記任意の減速度として設定することを特徴とする請求項12に記載の回避制御装置。
  14. 前記摩擦力限界設定手段は、前記制御運動制御手段が発揮し得る最大の制動力を前記自車両のタイヤのグリップ力の最大値として設定することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の回避制御装置。
  15. 前記車両運動制御手段は、前記回避操作量に基づいて前記自車両の操舵を行う操舵制御手段を備えることを特徴とする請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載の回避制御装置。
  16. 前記回避操作算出装置の前記回避操作量算出手段は、前記障害物を検出した時刻である評価開始時刻を設定して該評価開始時刻から前記予測時刻までの時間を所定の間隔で分割し、該所定の時間毎に、前記回避操作量に基づく予測回避移動軌跡上での前記自車両が前記障害物の位置に到達するか否かを判定し、到達すると判定された場合、前記回避操作量生成手段は、算出した前記回避操作量を破棄して新たに回避操作量を算出し、前記車両運動制御手段は、新たに算出された前記回避操作量で前記自車両の運転操作を行うことを特徴とする請求項12ないし請求項15のいずれか1項に記載の回避制御装置。
  17. 請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の回避操作算出装置を備えたことを特徴とする車両。
  18. 請求項12または請求項16のいずれか1項に記載の回避制御装置を備えたことを特徴とする車両。
  19. 自車両よりも前方の道路上に存在する障害物を検出し、前記自車両の走行状態を検出し、該走行状態および前記障害物の検出情報に基づいて前記自車両が前記障害物を回避するための回避操作量を生成する回避操作算出方法であって、
    前記自車両に生じる加速力、減速力および横力の合成力が前記自車両のタイヤのグリップ力の最大値よりも小さくなる範囲内で前記回避操作量を算出することを特徴とする回避操作算出方法。
  20. 前記自車両が走行する道路上で前記自車両のタイヤが発揮可能な最大グリップ力を設定し該最大グリップ力に基づいて前記合成力の限界範囲を設定し、
    前記限界範囲内の減速力により前記自車両に生じ得る任意の減速度を設定し、かつ前記自車両が前記任意の減速度により減速した場合の予測減速移動軌跡を算出し、
    前記予測減速移動軌跡上の前記自車両が前記障害物の位置に到達するか否かを判定し、かつ到達すると判定した場合に前記自車両が前記障害物の位置に到達することが予測される予測時刻を算出し、
    前記自車両が前記限界範囲内の合成力により前記予測時刻において到達可能な動作領域を設定し、かつ該動作領域内で前記自車両が前記障害物を回避することができる回避目標位置を算出し、
    前記自車両を前記回避目標位置に到達させる減速操作量および操舵量を算出し、
    前記減速操作量および前記操舵量を前記回避操作量とすることを特徴とする請求項19に記載の回避操作算出方法。
  21. 前記障害物の情報に基づき該障害物の予測移動軌跡である予測障害物移動軌跡を算出し、前記予測減速移動軌跡上の前記自車両が前記予測障害物移動軌跡上の前記障害物の位置に到達するか否かを判定し、かつ到達すると判定した場合に到達することが予測される予測時刻を算出することを特徴とする請求項20に記載の回避操作算出方法。
  22. 前記自車両を前記任意の減速度とさせる任意減速力を算出し、前記合成力が前記限界範囲内となるように前記任意減速力に対応する前記自車両への限界横力を算出し、該限界横力よりも小さな横力で到達できる範囲内で前記回避目標位置を算出することを特徴とする請求項20または請求項21に記載の回避操作算出方法。
  23. 前記自車両を前記任意の減速度とさせる任意減速力を算出し、前記合成力が前記限界範囲内となるように前記任意減速力に対応する前記自車両への限界横力を算出し、
    さらに、前記限界範囲内で前記任意減速力よりも小さい仮想減速力を少なくとも1つ以上設定し、前記合成力が前記限界範囲内となるように前記各仮想減速力に対応する前記自車両への限界横力をそれぞれ算出し、
    前記予測時刻において、
    前記自車両に前記任意減速力を作用させた際の前記自車両の予測位置と、
    前記自車両に前記任意減速力および該任意減速力に対応する限界横力を作用させた際の前記自車両の予測位置と、
    前記自車両に前記各仮想減速力を作用させた際の前記自車両の各予測位置と、
    前記自車両に前記各仮想減速力および該各仮想減速力に対応する各限界横力を作用させた際の前記自車両の各予測位置と、
    により構成される多角形領域内で前記回避目標位置を算出することを特徴とする請求項20または請求項21に記載の回避操作算出方法。
  24. 前記障害物を検出した時刻である評価開始時刻を設定して該評価開始時刻から前記予測時刻までの時間を所定の間隔で分割し、前記自車両への車両操作に対する該自車両の予測走行軌跡を記述する車両運動モデルに基づき前記評価開始時刻から前記予測時刻までの間の前記自車両への車両操作量を数値的に評価すると共に、少なくとも、前記予測時刻における前記目標回避位置および前記車両運動モデルからの前記予測走行軌跡に基づく前記自車両の予測到達位置の接近状態を数値的に評価する評価関数が最良値となる最適運転操作量を前記所定の時間毎に算出し、前記各最適運転操作量を前記回避操作量とすることを特徴とする請求項20ないし請求項23のいずれか1項に記載の回避操作算出方法。
  25. 前記自車移動軌跡算出手段において前記自車両の前記予想移動軌跡を算出することに用いた前記任意の減速度に応じる減速操作量を減速操作量の初期値とすることを特徴とする請求項24に記載の回避操作算出方法。
  26. さらに、前記障害物を検出した際の前記自車両の走行状態を該自車両が維持した場合の走行軌跡を据置予測軌跡として据置予測軌跡を算出し、該据置予測軌跡上の前記自車両が前記障害物の位置に到達するか否かを判定し、前記据置予測軌跡上の前記自車両が前記障害物の位置に到達すると判定すると、前記回避操作量の算出を開始することを特徴とする請求項19ないし請求項25のいずれか1項に記載の回避操作算出方法。
  27. 前記減速予測軌跡上の前記自車両が前記障害物の位置に到達しないと判定された場合、前記自車移動軌跡算出手段により設定された前記任意の減速度を実現させる減速操作量を算出し、該減速操作量を前記回避操作量とすることを特徴とする請求項20ないし請求項26のいずれか1項に記載の回避操作算出方法。
  28. さらに、前記自車両が走行する前記道路の路面摩擦係数の情報を取得し、該路面摩擦係数に応じて前記自車両のタイヤの前記最大グリップ力を変更し前記合成力の限界範囲を変更することを特徴とする請求項20ないし請求項27のいずれか1項に記載の回避操作算出方法。
  29. 前記予測減速移動軌跡上の前記自車両が前記障害物の位置に到達すると判定した場合、前記自車両が前記障害物の位置に到達する際の前記自車両と前記障害物との位置関係を到達状態として算出することを特徴とする請求項20ないし請求項28のいずれか1項に記載の回避操作算出方法。
  30. 請求項19ないし請求項29のいずれか1項に記載の回避操作算出方法により算出された前記回避操作量に基づいて前記自車両が備える車両運動制御手段の制動運動制御装置により前記自車両の制動操作を行うことを特徴とする回避制御方法。
  31. 前記制動運動制御手段が前記自車両に対し最大の制動力を発生させた場合に該自車両に作用する減速度を前記任意の減速度として設定することを特徴とする請求項30に記載の回避制御方法。
  32. 前記制御運動制御手段が発揮し得る最大の制動力を前記自車両のタイヤのグリップ力の最大値として設定することを特徴とする請求項30または請求項31に記載の回避制御方法。
  33. 前記回避操作量に基づいて前記車両運動制御手段の操舵制御手段により前記自車両の操舵を行うことを特徴とする請求項30ないし請求項32のいずれか1項に記載の回避制御方法。
  34. 前記障害物を検出した時刻である評価開始時刻を設定して該評価開始時刻から前記予測時刻までの時間を所定の間隔で分割し、該所定の時間毎に、前記回避操作量に基づく予測回避移動軌跡上での前記自車両が前記障害物の位置に到達するか否かを判定し、到達すると判定された場合、算出した前記回避操作量を破棄して新たに回避操作量を算出し、新たに算出された前記回避操作量で前記自車両の運転操作を行うことを特徴とする請求項30ないし請求項33のいずれか1項に記載の回避制御方法。
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