JP2007244601A - 心筋用パッド - Google Patents
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Abstract
【課題】心外膜に接着可能で、導電性、生体適合性及び生体分解性を有する心筋用パッドを提供する。
【解決手段】カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物を架橋してなる架橋体からなる心筋用パッド;前記心筋用パッド及び該パッドに一端が取り付けられているリードを備えた心筋リード;並びに前記心筋リードを備えた心疾患治療機器。
【選択図】なし
【解決手段】カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物を架橋してなる架橋体からなる心筋用パッド;前記心筋用パッド及び該パッドに一端が取り付けられているリードを備えた心筋リード;並びに前記心筋リードを備えた心疾患治療機器。
【選択図】なし
Description
本発明は、電気除細動、ペーシング等に用いられる心筋用パッド、並びにそれを用いた心筋リード及び心疾患治療機器に関する。
心房細動は心臓手術後最もよく見られる合併症であり、心臓手術50年の歴史を経てもその発生頻度は10〜40%と未だに変わらず、発生時期は統計的に術後2日目から4日目の間に多いとされている。心房細動は心臓のポンプ作用を悪化させ、10〜20%の心拍出量が減少し、低心機能患者における血行動態破綻や心房内血栓が周術期脳梗塞、心筋梗塞などの二次的合併症の発生に関与しており、それに伴う入院期間の延長、医療費の増大にもつながっている。欧米では1990年代後半から心臓手術中に右房、左房心外膜に除細動リードをおき、術後心房細動が発生した時点で直接心臓を低エネルギーで除細勤し、術後安定期に不要になった除細動リードを経皮的に抜去する試みがなされた。この方法では数ジュールで除細動が可能であり、鎮静剤の投与も必須ではなく、効果の速効性、確実性がある点で有用であったが、リードは両心房に約5〜10cmにわたり縫い付けなければならず、手技が煩雑であり、また、リード抜去時に心房から出血するという致命的合併症の発生も懸念され、普及するに至っていない。
また、ペーシングについては、リードを心筋に縫い付ける長さが短くて済むため、現在でも直接、心筋にリードを縫い付けることが多いが、一方でペーシングリードを直接縫い付けるのではなく、パッドを介してペーシングを行う方法も試みられている。
従来、電気除細動又はペーシングに用いられるパッドの材料としては、コラーゲン等の生体親和性材料が用いられている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、従来のパッドは、心外膜に接着性を示さないので、前述したように心筋リードを心房に縫い付けなければならず、前記の問題を解消することはできない。
一方、特許文献2には、カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物を架橋してなる架橋体は、架橋後の膨潤がほとんどなく、薬剤等の機能性物質の徐放や再生医療の足場材料として有用であることが開示されているが、心外膜に対する接着性等、心筋用パッドとしての適用可能性を示唆する記載はない。
本発明の課題は、心外膜に接着可能で、導電性、生体適合性及び生体分解性を有する心筋用パッドを提供することである。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物を架橋してなる架橋体からなる心筋用パッド。
(2)架橋体が、カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物を縮合剤又は架橋剤により架橋してなる架橋体である前記(1)に記載の心筋用パッド。
(3)縮合剤が水溶性カルボジイミドである前記(2)に記載の心筋用パッド。
(4)架橋体が、カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物を含有する水溶液を凍結乾燥した後、縮合剤又は架橋剤により架橋してなる架橋体である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の心筋用パッド。
(5)カルボキシル基を有する多糖がグリコサミノグリカンである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の心筋用パッド。
(6)グリコサミノグリカンがヒアルロン酸である前記(5)に記載の心筋用パッド。
(7)カチオン性化合物がポリリジンである前記(1)〜(6)のいずれかに記載の心筋用パッド。
(8)カルボキシル基を有する多糖とカチオン性化合物とのモル比が1:9〜1:1である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の心筋用パッド。
(9)電気除細動又はペーシングに用いられる前記(1)〜(8)のいずれかに記載の心筋用パッド。
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の心筋用パッド及び該パッドに一端が取り付けられているリードを備えた心筋リード。
(11)前記(10)に記載の心筋リードを備えた心疾患治療機器。
(12)除細動器又は心臓ペースメーカーである前記(11)に記載の心疾患治療機器。
(1)カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物を架橋してなる架橋体からなる心筋用パッド。
(2)架橋体が、カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物を縮合剤又は架橋剤により架橋してなる架橋体である前記(1)に記載の心筋用パッド。
(3)縮合剤が水溶性カルボジイミドである前記(2)に記載の心筋用パッド。
(4)架橋体が、カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物を含有する水溶液を凍結乾燥した後、縮合剤又は架橋剤により架橋してなる架橋体である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の心筋用パッド。
(5)カルボキシル基を有する多糖がグリコサミノグリカンである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の心筋用パッド。
(6)グリコサミノグリカンがヒアルロン酸である前記(5)に記載の心筋用パッド。
(7)カチオン性化合物がポリリジンである前記(1)〜(6)のいずれかに記載の心筋用パッド。
(8)カルボキシル基を有する多糖とカチオン性化合物とのモル比が1:9〜1:1である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の心筋用パッド。
(9)電気除細動又はペーシングに用いられる前記(1)〜(8)のいずれかに記載の心筋用パッド。
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の心筋用パッド及び該パッドに一端が取り付けられているリードを備えた心筋リード。
(11)前記(10)に記載の心筋リードを備えた心疾患治療機器。
(12)除細動器又は心臓ペースメーカーである前記(11)に記載の心疾患治療機器。
本発明の心筋用パッドは、心外膜に接着可能で、導電性、生体適合性及び生体分解性を有し、これを用いることにより、心筋リードを心房に縫合することなく固定することができ、リード抜去時の心房からの出血という致命的合併症を防ぐことができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明では、特に断らない限り、%は、[重量(g)/容量(dl)]×100を示す。また、本発明では、純水とは連続イオン交換及び逆浸透によって精製された水をいう。
本発明に用いるカルボキシル基を有する多糖は、特に限定されるものではないが、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、コンドロイチン硫酸D、コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン硫酸K、デルマタン硫酸(コンドロイチン硫酸B)、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸等のグリコサミノグリカン、カルボキシメチルセルロース、セロウロン酸、カルボキシメチルキチン等であることが好ましい。これらは、天然植物からの抽出物、微生物発酵の生産物、酵素による合成物、又は化学合成物の何れであってもよい。これらのなかでもヒアルロン酸が特に好ましい。カルボキシル基を有する多糖としてヒアルロン酸を用いる場合、その平均分子量は、少なくとも10kDaであることが好ましく、更に好ましくは50kDa〜1500kDaである。なお、本発明では、ヒアルロン酸の平均分子量は、粘度平均分子量を示し、粘度法により測定できる。
本発明に用いるカチオン性化合物は、生体適合性及び生体分解性を有するものであれば、特に限定されないが、例えばポリリジン、カチオン性を示すアミノ酸(例えば、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン)、ペプチド(例えば、構成アミノ酸としてリジン、ヒドロキシリジン、アルギニンを含むペプチド)、タンパク質、キトサン、好ましくはポリリジンが挙げられる。カチオン性化合物としてポリリジンを用いる場合、その平均分子量は、好ましくは500〜100kDa、更に好ましくは1k〜10kDaである。なお、ポリリジンの平均分子量は、重量平均分子量を示す。
架橋体の製造に用いるカルボキシル基を有する多糖とカチオン性化合物とのモル比は、心外膜に対する接着性及び細胞毒性の点から、好ましくは1:9〜1:1、更に好ましくは1:5〜1:1.5である。
本発明における架橋体は、例えば、カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物を縮合剤又は架橋剤により架橋することにより得ることができる。
本発明において縮合剤とは、前記カルボキシル基を有する多糖とカチオン性化合物とを縮合させる際にスペーサーの導入を伴わないタイプの試薬をいい、架橋剤とは、前記カルボキシル基を有する多糖とカチオン性化合物とを縮合させる際にスペーサーの導入を伴うタイプの試薬をいう。
本発明に用いる縮合剤は、特に限定されないが、例えば水溶性カルボジイミド(WSC)、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM)が挙げられる。水溶性カルボジイミドとしては、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、1−シクロへキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド メト−p−トルエンスルホネート(Morpho−CDI)が挙げられる。縮合剤として水溶性カルボジイミドを用いる場合、架橋反応は、水溶性カルボジイミド、アルコール(例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール)及び水の混合溶液中で行うことが好ましい。
縮合剤として水溶性カルボジイミドを用いて架橋体を製造する方法を以下に例示する。
(1)カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物を純水に溶解させ、混合水溶液とする。このとき、混合水溶液中のカルボキシル基を有する多糖の濃度は、1〜30%が好ましく、特に好ましくは1〜10%である。また、混合水溶液中のカチオン性化合物の濃度は、0.01〜30%が好ましく、特に好ましくは0.05〜10%である。
(2)混合水溶液を任意の形状の型に注入し、凍結乾燥する。この際、リードの一端を型に入れておき、その中に混合水溶液を注入後、凍結乾燥すれば、パッドへのリードの取り付けを容易に行うことができる。
(3)縮合剤を含むエタノール混和水に、この固体を浸漬させ、架橋させる。このとき、エタノール混和水中の縮合剤の濃度は、0.1〜10%(5〜500mmol/L)であることが好ましく、特に好ましくは0.5〜5%(25〜250mmol/L)である。エタノール混和水のエタノール濃度は、50〜90容量%であることが好ましく、特に好ましくは70〜85容量%である。浸漬は、0〜40℃で5〜50時間行うことが好ましい。このとき、この混和水により、カルボキシル基を有する多糖のカルボキシル基が活性化され、多糖に含まれる水酸基とエステル結合し、またカチオン性化合物が水酸基を有する場合はその水酸基とエステル結合し、更にカチオン性化合物がアミノ基を有する場合はそのアミノ基とアミド結合することで不溶化し、その型と同形状・同寸法の多糖架橋体が得られる。その後、残存する水溶性カルボジイミドを水洗することで、多糖架橋体が得られる。
カルボキシル基を有する多糖としてヒアルロン酸を用い、カチオン性化合物としてポリリジンを用いる場合には、まずポリリジンを純水で0.01〜30%の最終濃度になるように溶解させ、同時にpH7になるようにHCl水溶液で調整し、得られるポリリジン水溶液にヒアルロン酸を1〜30%になるように溶解させる。この水溶液を任意の形状の型に注入し、−250〜−10℃で凍結乾燥することで、白色のスポンジ状の固体が得られる。この際、リードの一端を型に入れておき、その中に混合水溶液を注入後、凍結乾燥すれば、パッドへのリードの取り付けを容易に行うことができる。この固体を、前記条件の縮合剤を含むエタノール混和水に浸漬させ、架橋させることで、ヒアルロン酸−ポリリジン架橋体が得られる。
カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物の架橋に用いる架橋剤としては、当該架橋剤に由来するスペーサー部分が生体内で悪影響を及ぼさないものであれば特に制限はなく、例えばスペーサー部分がアミノ酸、ペプチド、単糖、オリゴ糖等又はその誘導体、オリゴエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等から構成され、官能基としてエポキシ基、酸ハロゲン化物基、ハロゲン化アルキル基、ビニル基、アルデヒド基、メタンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基等を有するものが挙げられる。
このような架橋剤を用いる場合も、縮合剤を用いる場合と同様にして架橋反応を行うことができる。
前記混合水溶液の乾燥は、凍結乾燥以外の乾燥方法でも可能であるが、その場合、寸法が小さくなってしまい、型の寸法と同じ架橋体を製造することが困難である。
また、パッドへのリードの取り付けは、前記のように、凍結乾燥の際、リードの一端を型に入れておき、その中に混合水溶液を注入後、凍結乾燥することにより容易に行うことができるが、特表平9−508039号公報に記載されているように、パッドにリード(導線)の一端を織り込み又は編み込むことによっても行うことができる。
なお、本発明の心筋用パッドは、その溶媒成分により、導電性が確保されるため、リードの一端がパッド外に突き出して心筋に接触する必要はなく、またリードが心筋に接触しないような構造にした方が心筋に対する接触性が向上する。
このようにして得られるパッド及びリードを備えた心筋リードは、専用コネクターを介することにより、除細動器、心臓ペースメーカー等に取り付けて、電気除細動、ペーシング等のための心疾患治療機器として用いることができる。
また、本発明の心筋用パッドは心機能の直接的モニタリングを可能とするセンシングゲルとしての応用も可能であり、本発明者らが1997年より研究を行ってきた近赤外線分光法を利用した心筋酵素代謝、局所心筋酸素消費量などといった心表面から直接心筋を機能評価することが連続的に任意の場所で任意の期間で行うことが可能となり、バイオセンサーとしての応用が可能である。
以下、実施例をもって本発明を詳細に説明する。
以下の実施例では、カルボキシル基を有する多糖としてヒアルロン酸ナトリウム(以下「HA」という。)、カチオン性化合物としてε−ポリリジン(以下「EPLという。)を採用した。以下のHA−EPL架橋体(1)〜(4)を作成し、実際に拍動している成豚の心臓表面に置き、その接着性について評価した。架橋体(1)及び(2)について具体的に作成方法を示す。
(1)2%HA(1150kDa)対EPL、1対2(構成単位のモル比)
(2)4%HA(1150kDa)対EPL、1対2(構成単位のモル比)
(3)2%HA(1150kDa)対EPL、1対10(構成単位のモル比)
(4)10%HA(90kDa)対EPL、1対1(構成単位のモル比)
(2)4%HA(1150kDa)対EPL、1対2(構成単位のモル比)
(3)2%HA(1150kDa)対EPL、1対10(構成単位のモル比)
(4)10%HA(90kDa)対EPL、1対1(構成単位のモル比)
(実施例1)
HA(平均分子量1150kDa)を最終濃度が2%となるようにする。HA(平均分子量1150kDa)800mg(2mmol)を20mlの純水に溶解した。EPL(平均分子量3.8kDa)512mg(4mmol)を純水に添加し、同時にpH7になるよう1mol/LのHCl水溶液で調整し、総量を20mlとした。両溶液を混合し40mlとし、1760mgのNaClを添加した。この溶液をテフロン製の型(直径50mm、深さ5mmの円盤状)に注入し、液体窒素にて凍結後、凍結乾燥機(ラブコンコ製FREEZONE6)で−200℃で凍結乾燥した。得られた白色固体を50mmol/L WSC(塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;EDC)エタノール80容量%溶液に常温(2〜20℃)24時間浸漬した。水洗いにて残存したWSCを除去し(生理食塩水で置換)、直径50mm、厚さ5mm、円盤状のHA−EPL架橋体を得た。
HA(平均分子量1150kDa)を最終濃度が2%となるようにする。HA(平均分子量1150kDa)800mg(2mmol)を20mlの純水に溶解した。EPL(平均分子量3.8kDa)512mg(4mmol)を純水に添加し、同時にpH7になるよう1mol/LのHCl水溶液で調整し、総量を20mlとした。両溶液を混合し40mlとし、1760mgのNaClを添加した。この溶液をテフロン製の型(直径50mm、深さ5mmの円盤状)に注入し、液体窒素にて凍結後、凍結乾燥機(ラブコンコ製FREEZONE6)で−200℃で凍結乾燥した。得られた白色固体を50mmol/L WSC(塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;EDC)エタノール80容量%溶液に常温(2〜20℃)24時間浸漬した。水洗いにて残存したWSCを除去し(生理食塩水で置換)、直径50mm、厚さ5mm、円盤状のHA−EPL架橋体を得た。
(実施例2)
HA(平均分子量1150kDa)を最終濃度が4%となるようにする。HA(平均分子量1150kDa)1600mg(4mmol)を20mlの純水に溶解した。EPL(平均分子量3.8kDa)1024mg(8mmol)を純水に添加し、同時にpH7になるよう1mol/LのHCl水溶液で調整し、総量を20mlとした。両溶液を混合し40mlとし、1760mgのNaClを添加した。この溶液をテフロン製の型(直径50mm、深さ5mmの円盤状)に注入し、液体窒素にて凍結後、凍結乾燥機(ラブコンコ製FREEZONE6)で−200℃で凍結乾燥した。得られた白色固体を50mmol/L WSC(塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;EDC)エタノール80容量%溶液に常温(2〜20℃)24時間浸漬した。水洗いにて残存したWSCを除去し(生理食塩水で置換)、直径50mm、厚さ5mm、円盤状のHA−EPL架橋体を得た。
また、実施例1及び2に準じてHA−EPL架橋体(3)及び(4)を製造した。
HA(平均分子量1150kDa)を最終濃度が4%となるようにする。HA(平均分子量1150kDa)1600mg(4mmol)を20mlの純水に溶解した。EPL(平均分子量3.8kDa)1024mg(8mmol)を純水に添加し、同時にpH7になるよう1mol/LのHCl水溶液で調整し、総量を20mlとした。両溶液を混合し40mlとし、1760mgのNaClを添加した。この溶液をテフロン製の型(直径50mm、深さ5mmの円盤状)に注入し、液体窒素にて凍結後、凍結乾燥機(ラブコンコ製FREEZONE6)で−200℃で凍結乾燥した。得られた白色固体を50mmol/L WSC(塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;EDC)エタノール80容量%溶液に常温(2〜20℃)24時間浸漬した。水洗いにて残存したWSCを除去し(生理食塩水で置換)、直径50mm、厚さ5mm、円盤状のHA−EPL架橋体を得た。
また、実施例1及び2に準じてHA−EPL架橋体(3)及び(4)を製造した。
前記のようにして得られたHA−EPL架橋体(1)〜(4)を実際に拍動した成豚の心臓の右心耳、左房後面におき、その接着性を検討した結果、心臓の動きに追従し、湾曲した右心耳には柔軟性をもった2%HA(1150kDa)対EPL、1対2が最も適し、湾曲の少ない左房後面は4%HA(1150kDa)対EPL、1対2が最も適していることがわかった。
(実施例3)成豚における除細動実験
前記の接着性の検討結果に基づいて、図1のごとく、ゲル作成時に除細動リードをテフロン製の型に入れておき、その中にHA−EPL溶液を注入する方法で2%HA(1150kDa)対EPL、1対2、4%HA(1150kDa)対EPL、1対2の除細動電極を作成し、前者の除細動電極を右心耳に、後者の除細動電極を左房後面において、成豚にて除細動実験を行った。
前記の接着性の検討結果に基づいて、図1のごとく、ゲル作成時に除細動リードをテフロン製の型に入れておき、その中にHA−EPL溶液を注入する方法で2%HA(1150kDa)対EPL、1対2、4%HA(1150kDa)対EPL、1対2の除細動電極を作成し、前者の除細動電極を右心耳に、後者の除細動電極を左房後面において、成豚にて除細動実験を行った。
成豚を全身麻酔して気管内挿管した後、呼吸はベンチレーターにて管理した。開胸後、心臓を露出した。肺静脈にペーシングリードを2本留置し(図2の3)、更に電極を図2のごとく配置した後、細動発生器(SEN−7103、日本光電、東京)を用いて50Hzにてペーシングを5分間行い、心房細動を誘発した。
心房細動となったことを心電図にて確認した後、出力0.5J、1.0J、2.0J、3.0J、4.0Jと除細動できるまで出力をあげていった。除細動閾値、システム全体の抵抗値を測定した後、ペーシングリード2本、除細動リード2本を体外に出して閉胸した。術後第1病日、第3病日、第5病日、第7病日に同様に開胸することなく体外から心房細動を誘発し、除細動を行った。成豚5頭で行った。術後日数と出力の関係、及び術後日数と抵抗値の関係をそれぞれ図3及び図4に示す。
その結果、第7病日でも除細動可能であった。出力は経過にともない相対的に高くなり、抵抗値も上昇したが、第7病日ですら平均2.6Jでの除細動が可能であり、コラーゲンパッドを介したり、直接心筋に通電する従来法と遜色のないエネルギーで除細動が可能であり、また、40Jあるいはそれ以上のエネルギーを必要とする外部からの除細動に比べれば十分低エネルギーで除細動が可能であった。
分解については第7病日後、再開胸したところ、ゲルは原型をとどめず、膜状となり、電極と心臓を覆っていた。14日経った後、再開胸したところ、ゲルは消失していた。
以上より、導電性、分解性を兼ね備えた本発明の心筋用パッドによる除細動システムは低出力での除細動が少なくとも第7病日まで可能であり、十分臨床応用可能なデバイスであると思われた。
1 ゲルパッド
2 除細動リード
3 心房細動誘発電極
a 型の直径(50mm)
b 型の深さ(5mm)
2 除細動リード
3 心房細動誘発電極
a 型の直径(50mm)
b 型の深さ(5mm)
Claims (12)
- カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物を架橋してなる架橋体からなる心筋用パッド。
- 架橋体が、カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物を縮合剤又は架橋剤により架橋してなる架橋体である請求項1記載の心筋用パッド。
- 縮合剤が水溶性カルボジイミドである請求項2記載の心筋用パッド。
- 架橋体が、カルボキシル基を有する多糖及びカチオン性化合物を含有する水溶液を凍結乾燥した後、縮合剤又は架橋剤により架橋してなる架橋体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の心筋用パッド。
- カルボキシル基を有する多糖がグリコサミノグリカンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の心筋用パッド。
- グリコサミノグリカンがヒアルロン酸である請求項5記載の心筋用パッド。
- カチオン性化合物がポリリジンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の心筋用パッド。
- カルボキシル基を有する多糖とカチオン性化合物とのモル比が1:9〜1:1である請求項1〜7のいずれか1項に記載の心筋用パッド。
- 電気除細動又はペーシングに用いられる請求項1〜8のいずれか1項に記載の心筋用パッド。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の心筋用パッド及び該パッドに一端が取り付けられているリードを備えた心筋リード。
- 請求項10記載の心筋リードを備えた心疾患治療機器。
- 除細動器又は心臓ペースメーカーである請求項11記載の心疾患治療機器。
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