JP2007239018A - 金属用表面処理剤 - Google Patents

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愛季 橋本
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Abstract

【課題】アルミニウムダイキャスト部材の表面に、従来使用されていた毒性の強い6価クロムを含むことなしに、高い一次防錆性と塗装密着性を兼ね備えた表面処理皮膜を形成し得る表面処理方法を提供する。
【解決手段】カチオン性アミノ基含有水性エポキシ樹脂とアニオン性水性ウレタン樹脂を特定の比率で、かつ、特定のpH範囲で含有する水性表面処理剤を用いてアルミニウムダイキャスト部材に表面処理を施して樹脂皮膜を形成し、乾燥処理する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム、アルミニウム系合金、アルミダイキャスト部材などの金属表面に、従来使用されていた毒性の強い6価クロムを含むことなしに、高い一次防錆性と塗装密着性を兼ね備えた表面処理皮膜を形成する金属用表面処理剤、及び金属表面の表面処理方法に関する。
アルミニウムは軽量性、塑性加工性、耐食性に優れ、かつ電気・熱伝導性が良好であるなど、金属として優れた特性を有している。また、このアルミニウムに銅、マグネシウム、亜鉛、珪素、リチウム、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、ジルコニウムなどを加え合金化すれば、固溶体硬化、加工硬化、時効硬化などによって、常温並びに高温において機械的性質が著しく向上し、また耐食性、耐摩耗性、低熱膨張係数などの特性も付加されることが知られている。したがって、このような性質を有するアルミニウム又はアルミニウム合金は、生活に最も近い家庭用品や飲料用缶、家具、インテリアをはじめ、航空・宇宙、自動車、電気・電子製品、車両、船舶、土木・建築など、多くの分野において幅広く用いられている。
このようなアルミニウムやアルミニウム合金などのアルミニウム系材料の加工方法の1つとしてダイキャスト法が知られており、現在、各種成形品を製造するのに広く使用されている。
このダイキャスト法は、金属製金型内に溶湯を圧入プランジャーにより高速(20〜60m/秒程度)、高圧(30〜200MPa程度)で射出、充填し、急速に凝固させる鋳造方式であって、最小肉厚1mm程度の薄肉鋳物の製造が可能で、寸法精度や鋳肌がよく、かつ高い生産性を有するなどの長所を有している。
このようなダイキャスト法においては、特に流動性、金型内への充填性に優れ、かつ金型に溶着しないことが要求されることから、アルミニウム系材料として、Al−Si系を基本とする、Al−Si系合金、Al−Si−Mg系合金、Al−Si−Cu系合金、Al−Si−Cu−Mg系合金などが用いられる。
前記のダイキャスト法などで加工されたアルミニウム部材の一次防錆処理や塗装下地処理としては、従来6価クロメートによる処理が多用されていた。しかしながら、前記6価クロメートは毒性が強く、発がん性のおそれがあるため、近年6価クロメートを使用しない防錆処理剤や塗装下地処理剤が用いられるようになってきた。例えば、3価のクロムイオンと共に、キレート剤とコバルトイオンなどを含む処理剤(例えば特許文献1参照)、あるいは3価のクロムイオンに重金属イオンを添加してなる処理剤(例えば特許文献2参照)が開示されている。
これらの特許文献における処理剤の主成分は3価のクロムイオンであり、皮膜を構成する主成分も3価のクロムを含む酸化クロムであって、対象素材も亜鉛めっきであり、高度の耐食性が要求されるアルミニウムダイキャスト部材には適用しにくい。
これまで、アルミニウムダイキャスト部材の表面に、6価クロムを含まずに高い耐食性(6価クロメート処理に匹敵する耐食性)皮膜を形成する表面処理方法は見出されていないのが実状である。
特開2003−268562号公報 特開2003−313675号公報
本発明は、このような状況下、アルミニウムやアルミニウム系合金、アルミニウムダイキャスト部材などの金属表面に、従来使用されていた6価クロムを含むことなしに、高い一次防錆性と塗装密着性とを兼ね備えた表面処理皮膜を形成する表面処理方法および表面処理剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決し得るアルミニウムダイキャスト部材などの表面処理方法について、鋭意研究を重ねた結果、被処理アルミニウムダイキャスト部材に対して、カチオン性アミノ基含有水性エポキシ樹脂とアニオン性水性ウレタン樹脂を特定比率で混合した、特定pHの表面処理剤、またはビス(トリアルコキシシリル)アルカン(加水分解物)を更に含む該表面処理剤を施すことにより、6価クロムを含む皮膜に匹敵する一次防錆性と塗装密着性を兼ね備えた表面処理皮膜を形成し得ることを見出した。さらには、この水性樹脂系表面処理剤に、特定の金属イオン、シランカップリング剤等を含有させると、耐食性や塗装密着性をさらに向上させ得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)カチオン性アミノ基含有水性エポキシ樹脂とアニオン性水性ウレタン樹脂を、固形分として質量比3.0:7.0〜9.5:0.5の割合で、かつ、0.1〜20質量%含み、pHが2.5〜6の水性液である金属用表面処理剤;
(2)カチオン性アミノ基含有水性エポキシ樹脂とアニオン性ウレタン樹脂を、固形分として質量比3.0:7.0〜9.5:0.5の割合でかつ0.1〜20質量%含むと共に、ビス(トリアルコキシシリル)アルカン及び/又は1分子中に含まれるアルコキシル基の少なくとも一部を加水分解してなるビス(トリアルコキシシリル)アルカンを、固形分換算で0.1〜50000質量ppm含み、pHが2.5〜6の水性液である金属用表面処理剤;
(3)更に、(a)Zr、Ti、Hfから選ばれる1種以上の金属のフッ素系化合物を金属イオンとして1〜5000質量ppmを含む上記(1)又は(2)の金属用表面処理剤;
(4)更に、(b)Fe、Co、Zn、Mn、Mg、Ca、Sr、Al、Sn、Ce、Mo、W、Nb、Y、及びLaから選ばれる1種以上の金属イオンを1〜5000質量ppmを含む上記(1)〜(3)のいずれかの金属用表面処理剤;
(5)更に、(c)分子内に少なくとも1個のアミジノ基を有する化合物を1〜1000質量ppmを含む上記(1)〜(4)の金属用表面処理剤;
(6)更に、(d)Ce、Zr、Ti、Y、Nbから選ばれる金属の酸化物のゾルを固形分として1〜10000質量ppmを含む上記(1)〜(5)のいずれかの金属用表面処理剤;
(7)更に、(e)アミノ基を含有するシランカップリング剤を1〜50000質量ppmを含む上記(1)〜(6)のいずれかの金属用表面処理剤;
(8)上記(1)〜(7)のいずれかの金属用表面処理剤を用いて、5〜60℃、1〜300秒間の処理により、金属表面に樹脂皮膜形成処理を施した後、20〜200℃で5秒〜30分間乾燥させる、金属表面の表面処理方法;
(9)被処理金属の表面を酸洗して後、水洗し、その後、上記(8)の処理を行う金属表面の表面処理方法;
を提供するものである。
本発明によれば、アルミニウムやアルミニウム系合金、アルミニウムダイキャスト部材に、特定の水性樹脂系の表面処理皮膜を形成することにより、従来使用されていた毒性の強い6価クロメートを用いなくとも、高い一次防錆性と塗装密着性とを実現することができる。
本発明は、アルミニウムやアルミニウム系合金、アルミニウムダイキャスト部材に対し、下記表面処理剤I又は表面処理剤IIを用いて表面処理を施すことを特徴とする。
本発明の表面処理剤Iは、カチオン性アミノ基含有水性エポキシ樹脂とアニオン性水性ウレタン樹脂を、固形分として質量比3.0:7.0〜9.5:0.5の割合で、かつ0.1〜20質量%含み、pHが2.5〜6の水性液である。
また、本発明の表面処理剤IIは、カチオン性アミノ基含有水性エポキシ樹脂とアニオン性水性ウレタン樹脂を、固形分として質量比3.0:7.0〜9.5:0.5の割合でかつ0.1〜20質量%含むと共に、ビス(トリアルコキシシリル)アルカン及び/又は1分子中に含まれるアルコキシル基の少なくとも一部を加水分解してなるビス(トリアルコキシシリル)アルカンを、固形分換算で0.1〜50000質量ppm含み、pHが2.5〜6の水性液である。
本発明の表面処理剤I及び表面処理剤IIに使用されるカチオン性アミノ基含有水性エポキシ樹脂としては、表面がプラスに荷電したカチオン性アミノ基含有エポキシ樹脂の水性エマルジョン、あるいは水溶性のカチオン性アミノ基含有エポキシ樹脂であればよく、その種類については特に制限はない。このようなものとしては、例えば市販品として、旭電化工業(株)製の「アデカレジンEM−0436F」、「アデカレジンEM−0718シリーズ」や「アデカレジンEPシリーズ」などを用いることができる。
また、本発明の表面処理剤I及び表面処理剤IIに使用されるアニオン性水性ウレタン樹脂としては、表面がマイナスに荷電したアニオン性ウレタン樹脂の水性エマルジョン、あるいは水溶性のアニオン性ウレタン樹脂であればよく、その種類については特に制限はない。このようなものとしては、例えば市販品として、第一工業製薬(株)製の「F−2804D」、「F−2805D」、「スーパーフレックスシリーズ」などを用いることができる。
カチオン性樹脂は、安定化のために通常酸性側にpHが調整されており、一方、アニオン性樹脂は、安定化のために、通常弱アルカリ性側にpHが調整されている。したがって、両者を混合した場合、液が不安定になって、一般にゲル化が生じる。
本発明の表面処理剤Iは水性エマルジョン又は水溶液の形態で用いられ、前記のカチオン性アミノ基含有水性エポキシ樹脂とアニオン性水性ウレタン樹脂の含有割合が、固形分質量比で3.0:7.0〜9.5:0.5の範囲にあり、かつ両者の合計含有量が、固形分換算で0.1〜20質量%の範囲にあれば、ゲル化が抑制されると共に、所望の性能を有する樹脂皮膜を形成することができる。両者の含有割合は、好ましくは5.0:5.0〜9.0:1.0であり、また両者の合計含有量は、好ましくは0.1〜10質量%である。
本発明の表面処理剤Iは、pHが2.5〜6の範囲にあれば、良好な安定性を有し、ゲル化が生じにくい。好ましいpHは3〜5である。
一方、当該表面処理剤IIは水性エマルジョン又は水溶液の形態で用いられ、前記のカチオン性アミノ基含有水性エポキシ樹脂とアニオン性水性ウレタン樹脂の含有割合が、固形分質量比で3.0:7.0〜9.5:0.5の範囲にあり、かつ両者の合計含有量が、固形分換算で0.1〜20質量%の範囲にあれば、ゲル化が抑制されると共に、所望の性能を有する樹脂皮膜を形成することができる。両者の含有割合は、好ましくは5.0:5.0〜9.0:1.0であり、また、両者の合計含有量は、好ましくは0.1〜10質量%である。
当該表面処理剤IIにおいて、カチオン性アミノ基含有水性エポキシ樹脂とアニオン性水性ウレタン樹脂と共に含有されるビス(トリアルコキシシリル)アルカンは、一般式(I)
Figure 2007239018
(式中、R1〜R6は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシル基、Aはメチレン基又はエチレン基を示す。)
で表される化合物を好ましく用いることができる。
前記一般式(I)において、R1〜R6で表される炭素数1〜4のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、各種ブトキシ基を挙げることができる。
このビス(トリアルコキシシリル)アルカンとしては、例えばビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリイソプロポキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリイソプロポキシシリル)エタンなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ビス(トリアルコキシシリル)アルカンそのものを樹脂水溶液中に添加する場合、ビス(トリアルコキシシリル)アルカンの加水分解が進行して水溶化するが、事前にこの加水分解処理を行う方法としては、例えば酢酸、硝酸、塩酸、硫酸などの酸の存在下に、0〜60℃程度の温度で行い、その後この加水分解されたビス(トリアルコキシシリル)アルカンを樹脂水溶液に添加してもよい。この加水分解によって、架橋化したシランカップリング剤が樹脂皮膜中に存在することにより、透水性やイオン透過性を抑え、その結果耐食性の向上した樹脂皮膜が得られる。
本発明の表面処理剤I及び表面処理剤IIは、以下の他の成分を更に含有することで、一次防錆性や塗装密着性をさらに向上させることができる。
本発明の表面処理剤は、更に、(a)Zr、Ti、Hfから選ばれる1種以上の金属のフッ素系化合物を含有することができる。これら金属のイオンは、水性樹脂の官能基と結合して架橋剤として作用し、樹脂皮膜の架橋密度を上げることで耐食性を向上させる。また、水溶性が高いという点からこれら金属はフッ素系化合物として添加される。
(a)成分のZrイオン源化合物としては、例えばジルコニウムフッ化水素酸、フルオロジルコニウム酸のリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩などが挙げられる。
Tiイオン源化合物としては、例えばチタンフッ化水素酸、チタンフッ化アンモニウムなどが挙げられ、Hfイオン源化合物としては、例えばハフニウムフッ化水素酸、フルオロハフニウム酸のリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩などが挙げられる。
Zr、Ti、Hfから選ばれる1種以上の金属のフッ素系化合物の金属イオンの含有量は、防錆性、経済性のバランスなどの面から、1〜5000質量ppm、好ましくは10〜3000質量ppm、より好ましくは15〜2000質量ppmの範囲で選定される。
本発明の表面処理剤は、更に、(b)Fe、Co、Zn、Mn、Mg、Ca、Sr、Al、Sn、Ce、Mo、W、Nb、Y、及びLaから選ばれる1種以上の金属イオンを含有することができる。これら金属イオンは、水性樹脂皮膜中にあって水性樹脂の架橋を促進させたり、または素地金属に析出したりして金属素地表面の耐食性向上に寄与する。
(b)成分の金属イオン源化合物としては、pH2.5〜6の範囲において、水溶性を有する化合物であればよく、特に制限されず、例えば硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ハロゲン化物などの無機酸塩、有機酸塩、オキソ酸、オキソ酸塩、錯塩などを挙げることができる。
(b)成分の金属イオンは、防錆性を更に、向上させるために加えられるものであり、その効果及び経済性などの点から、Co、Al、Zn、Mn、Mo、W及びCeのイオンが好ましく、特にCoイオンが好ましい。また、この(b)金属イオンの含有量は、防錆性の向上効果、沈殿物生成の防止及び経済性の面などから、1〜5000質量ppm、好ましくは1〜3000質量ppm、より好ましくは10〜1000質量ppmの範囲で選定される。
本発明の表面処理剤は、更に、(c)分子内に少なくとも1個のアミジノ基を有する化合物を含有することができる。(c)成分である、分子内に少なくとも1個のアミジノ基を有する化合物としては、下記式
Figure 2007239018
で表されるアミジノ基を分子内に1個以上有する化合物であればよく、特に制限されず、例えばアセトアミジン、ニトログアニジン、グアニルチオ尿素、グアニン、ポリヘキサメチレンジグアニジンの酢酸塩、o−トリルジグアニド、ジグアニド、グアニル尿素、グアニル酸、グアニン、グアノシン、グアナジン、グアナミン、アラノシアミン、ジシアンジアミド、あるいはアミジン系の化合物などを挙げることができる。
これらのアミジノ基含有化合物は、防錆性の向上及び水性樹脂皮膜の密着性の向上に寄与する化合物であり、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(c)アミジノ基含有化合物の含有量は、防錆性、水性樹脂皮膜との密着性の向上効果及び経済性のバランスなどの面から、1〜10000質量ppm、好ましくは5〜5000質量ppm、より好ましくは、10〜2500質量ppmの範囲で選定される。
本発明の表面処理剤は、更に、(d)Ce、Zr、Ti、Y、Nbから選ばれる金属の酸化物のゾルを含有することができる。
(d)成分の金属酸化物ゾルとしては、ジルコニアゾル、アルミナゾル、酸化チタンゾル、セリアゾル、イットリアゾル、酸化ニオブゾルなどが挙げられる。
これら金属酸化物ゾルは、水性樹脂膜中に担持され、腐食環境下で水分等が浸透した時にnmオーダーの微粒子であるために金属イオンを徐々に放出して、腐食部位に到達することで腐食の進行を遅らせる効果を有する。
(d)金属酸化物ゾルの含有量は、防錆性の向上効果及び経済性のバランスなどの面から、1〜10000質量ppm、好ましくは5〜5000質量ppm、より好ましくは、10〜2500質量ppmの範囲で選定される。
本発明の表面処理剤は、更に、(e)アミノ基を含有するシランカップリング剤を含有することができる。
(e)成分のアミノ基含有シランカップリング剤としては、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどが挙げられる。
アミノ基含有シランカップリング剤は、防錆作用のほか、特に塗装密着性を向上させる作用がある。
(e)アミノ基含有シランカップリング剤の含有量は、耐食性維持などの面から、1〜50000質量ppm、好ましくは5〜25000質量ppm、より好ましくは、10〜10000質量ppmの範囲で選定される。
本発明の表面処理剤I及び表面処理剤IIは、これら(a)〜(e)の成分の1種以上を更に含有する場合も、そのpHが2.5〜6であることを要する。
その際、必要に応じて用いられるpH調整剤としては、例えば硝酸、硫酸、リン酸、塩酸、フッ化水素酸などの無機酸、酢酸、ギ酸などの有機酸が挙げられる。
本発明の表面処理方法における表面処理は、以下のようにして行うことができる。
アルミニウムダイキャスト部材の表面に、本発明の表面処理剤を用いて、ロールコート法、エアスプレー法、エアレススプレー法、浸漬法、流し塗りなどの手段により、樹脂皮膜形成処理を行う。この際、処理温度は5〜60℃の範囲が好ましく、処理時間は1〜300秒間程度である。処理温度及び処理時間が上記範囲にあれば、所望の樹脂皮膜が良好に形成されると共に、経済的にも有利である。該処理温度は、より好ましくは10〜40℃であり、処理時間は5〜60秒間が好ましい。
上記の処理を実施する前に、硫酸系、Fe(3価)/硫酸系や硝酸系、フッ酸系あるいは硝酸/フッ酸系などの酸性系の水溶液で酸洗を実施してもよい。この酸洗工程により、アルミ合金表面の不純物元素を除去することで結果として良好な耐食性が得られる場合がある。
このようにして得られたアルミニウムダイキャスト部材の表面処理物は、次のように乾燥処理する。
乾燥処理は、温度20〜200℃、時間5秒〜30分間の条件を採用することが、樹脂皮膜の乾燥を効果的に行い得る点から好ましい。より好ましくは、温度50〜150℃、時間は1〜30分間である。
このようにして形成された樹脂皮膜の厚さは、通常0.05〜5μm程度、好ましくは0.1〜2μmである。
本発明の表面処理方法によれば、アルミニウムダイキャスト部材の表面に、従来使用されていた毒性の強い6価クロムを含むことなしに、高い一次防錆性と塗装密着性を兼ね備えた表面処理皮膜を形成することができる。
次に、本発明を実施例により、更に、詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた表面処理アルミニウムダイキャスト板(評価板)について、以下に示す方法に従って性能評価を行った。
(1)一次防錆性
評価板について、そのまま塩水噴霧試験(SST)を行い、120時間後の発錆面積率を目視測定し、下記の判定基準で評価した。
5:発錆面積率2%以下
4:発錆面積率2%超5%以下
3:発錆面積率5%超30%以下
2:発錆面積率30%超60%以下
1:発錆面積率60%超
(2)塗装後SST
下記の方法により、評価板に塗装を行い、塗装板を作製した。
この塗装板にカッターナイフでクロスカットを入れて塩水噴霧試験(SST)を行い、1000時間後のカット部のふくれ幅を測定し、下記の判定基準で評価した。
5:ふくれ幅2mm以下
4:ふくれ幅2mm超4mm以下
3:ふくれ幅4mm超6mm以下
2:ふくれ幅6mm超8mm以下
1:ふくれ幅8mm超
<塗装板の作製>
実施例1〜9と実施例13の評価板に、乾燥膜厚が約20μとなるように、主として船外機用として使用されるウレタン変性エポキシ系溶剤系塗料をスプレー塗装し、120℃、20分間焼付け乾燥した。実施例10は、プライマーとしてパワーバインド(日本ペイント製)を塗り、170℃で20分焼付けし膜厚が25μとなるようにした後、上塗りとしてスーパーラック(日本ペイント製)を塗り、160℃×20分で焼付けし膜厚が20μとなるようにした。実施例11はカチオン電着塗料パワーニクス(日本ペイント製)を塗装し170℃で30分焼付けし膜厚が20μとなるようにした。実施例12は、粉体塗料パウダックス(日本ペイント製)を塗り180℃×20分焼付けし膜厚が60μとなるようにした。
実施例1
市販のアルミニウムダイキャスト板[日本テストパネル社製「ADC−12」]をアルカリクリーナー[日本ペイント社製「サーフクリーナー53」]にて、50℃で2分間脱脂処理したのち、水洗した。
次に、カチオン性アミノ基含有水性エポキシ樹脂[旭電化工業社製「アデカレジンEM−0436F」、固形分濃度25質量%]とアニオン性水性ウレタン樹脂[第一工業製薬社製「F−2805D」、固形分濃度30質量%]とを、固形分質量比8:2の割合で、固形分として5質量%含むpH3.8の水性液である表面処理剤(液外観異常なし)中に、室温にて20秒間浸漬処理したのち、90℃で20分間乾燥処理して、表面処理アルミニウムダイキャスト板(評価板)を作製した。この評価板の性能評価結果を第1表に示す。
実施例2〜12及び比較例1〜3
第1表に示す表面処理剤を用い、実施例1と同様にして、市販のアルミニウムダイキャスト板の表面処理を行い、各表面処理アルミニウムダイキャスト板(評価板)を作製した。
各評価板の性能評価結果を、第1表に示す。
比較例1は樹脂混合比率が本発明の範囲外であるために、処理液自体がゲル化して表面処理不能であった。
比較例2は樹脂固形分濃度が低すぎるために皮膜厚みが十分でなく耐食性が不良であった。
比較例3は樹脂固形分濃度が低すぎること及び表面処理剤のpHが低過ぎるために耐食性が不良であった。
実施例13
実施例1に記載の処理を実施する前に、被処理金属を市販の酸洗処理剤[日本ペイント製「NPコンディショナー950」]によって50℃で1分間酸洗処理をし、その後水洗した。
この評価板の性能評価結果を第1表に示す。
Figure 2007239018
[注]
<アミジノ化合物>
A:アセトアミジン
B:ニトログアニジン
C:グアニルチオ尿素
D:グアニン
E:グアニル酸
F:ポリヘキサメチレンジグアニジンの酢酸塩
G:o−トリルジグアニド
H:ジグアニド
I:グアニル尿素
J:グアナジン
<酸化物ゾル>
A;チタニアゾル
B;セリアゾル
C;アルミナゾル
D;イットリアゾル
E;ジルコニアゾル
F;酸化ニオブゾル
G;シリカゾル
<アミノシラン>
A;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
B;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
C;N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン
D;N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン
参考例1
実施例1と同様にして、脱脂処理アルミニウムダイキャスト板を得た。このアルミニウムダイキャスト板に対し、6価クロメート処理剤[日本ペイント社製「アルサーフ1000」]を用いてクロム付着量が30mg/m2となるように、40℃にて30秒間表面処理を行い、表面処理アルミニウムダイキャスト板(評価板)を作製した。
この評価板の性能評価を行ったところ、一次防錆性は4であり、塗装後SSTは4であった。
前記実施例で得られた表面処理アルミニウムダイキャスト板は、いずれも、この6価クロメート処理アルミニウムダイキャスト板に匹敵する性能を有していた。
本発明の表面処理方法によれば、アルミニウムダイキャスト部材の表面に、従来使用されていた毒性の強い6価クロムを含むことなしに、高い一次防錆性と塗装密着性を兼ね備えた表面処理皮膜を形成することができる。

Claims (9)

  1. カチオン性アミノ基含有水性エポキシ樹脂とアニオン性水性ウレタン樹脂を、固形分として質量比3.0:7.0〜9.5:0.5の割合で、かつ、0.1〜20質量%含み、pHが2.5〜6の水性液である金属用表面処理剤。
  2. カチオン性アミノ基含有水性エポキシ樹脂とアニオン性ウレタン樹脂を、固形分として質量比3.0:7.0〜9.5:0.5の割合でかつ0.1〜20質量%含むと共に、ビス(トリアルコキシシリル)アルカン及び/又は1分子中に含まれるアルコキシル基の少なくとも一部を加水分解してなるビス(トリアルコキシシリル)アルカンを、固形分換算で0.1〜50000質量ppm含み、pHが2.5〜6の水性液である金属用表面処理剤。
  3. 更に、(a)Zr、Ti、Hfから選ばれる1種以上の金属のフッ素系化合物を金属イオンとして1〜5000質量ppmを含む請求項1又は2に記載の金属用表面処理剤。
  4. 更に、(b)Fe、Co、Zn、Mn、Mg、Ca、Sr、Al、Sn、Ce、Mo、W、Nb、Y、及びLaから選ばれる1種以上の金属イオンを1〜5000質量ppmを含む請求項1〜3のいずれかに記載の金属用表面処理剤。
  5. 更に、(c)分子内に少なくとも1個のアミジノ基を有する化合物を1〜10000質量ppmを含む請求項1〜4のいずれかに記載の金属用表面処理剤。
  6. 更に、(d)Ce、Zr、Ti、Y、Nbから選ばれる金属の酸化物のゾルを固形分として1〜10000質量ppmを含む請求項1〜5のいずれかに記載の金属用表面処理剤。
  7. 更に、(e)アミノ基を含有するシランカップリング剤を1〜50000質量ppmを含む請求項1〜6のいずれかに記載の金属用表面処理剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の金属用表面処理剤を用いて、5〜60℃、1〜300秒間の処理により、金属表面に樹脂皮膜形成処理を施した後、20〜200℃で5秒〜30分間乾燥させる、金属表面の表面処理方法。
  9. 被処理金属の表面を酸洗して後、水洗し、その後、請求項8記載の処理を行う金属表面の表面処理方法。
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