JP2007237574A - 耐候性,耐磨耗性に優れた転写印刷塗装金属板 - Google Patents

耐候性,耐磨耗性に優れた転写印刷塗装金属板 Download PDF

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Abstract

【課題】昇華転写法で付与された印刷模様の滲みを極力抑えてオーバーコート層5を設け、転写印刷塗装金属板の耐候性,耐磨耗性を改善する。
【解決手段】下地金属板1にプライマ層6,ベース塗膜2,クリア塗膜3,オーバーコート層5が積層されており、クリア塗膜3に浸透した昇華性染料で染料染着層4が形成されている。オーバーコート層5は、速乾性の二液硬化型ウレタン塗料から成膜されており、成膜時に染料染着層4から昇華性染料が滲み出すことが抑えられる。速乾性二液硬化型ウレタン塗料としては、繊維素エステルを配合したアクリルポリオール,ポリイソシアネートの二液硬化型が好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、フルカラー屋外広告看板,装飾用床材,什器・調理器具の外板等に使用され、転写印刷で意匠性が付与され耐候性,耐磨耗性に優れた転写印刷塗装金属板に関する。
昇華性染料を用いて転写印刷塗装金属板を製造する場合、オフセット,シルク,グラビア,転写等の印刷法で昇華性染料を塗装金属板のクリア上塗り塗膜に印刷し、熱処理により昇華性染料をクリア塗膜に浸透させている。たとえば、硬化性樹脂層に転写シートを接触させて加熱する方法(特許文献1),昇華性染料を用いた転写印刷で塗装金属板に印刷層を形成した後でトップ塗膜を積層し、次いで熱処理により塗膜の内側から昇華性染料を浸透させる方法(特許文献2),プライマ塗膜,有色トップ塗膜を設けたプリペイント鋼板の塗膜に熱昇華性インクを浸透させる方法(特許文献3),金属板上の不透明樹脂層に昇華型着色剤を浸透させる方法(特許文献4)等がある。
特開昭51-24313号公報 特開昭54-104907号公報 特開平7-31931号公報 特開平7-102733号公報
昇華性染料は、鮮明度の高い印刷模様の形成に有効な染料である。しかし、極性が小さい分散染料又は油性染料であり、可塑剤や有機薬品で変質しやすく、紫外線等の光照射で分解して変色や褪色を起こしやすい。そのため、長期にわたって太陽光照射に曝される屋外の使用環境では鮮明な色彩,模様を維持しがたい。
そこで、本発明者等は、昇華性染料の変質,変色,褪色を抑制する塗膜について種々調査・検討した。その結果、数平均分子量:1000〜10000の熱硬化型ポリエステル樹脂を主成分とし、樹脂固形分:100質量部に対し10〜50質量部の割合でイソシアネート系硬化剤を配合した塗料から形成された塗膜を染料受容層に使用すると、耐候性が改善された転写印刷塗装金属板が得られることを解明した(特許文献5)。
特開2003-285001号公報
染料受容層となる塗膜の分子量,架橋密度,ガラス転移温度を調整することにより、昇華性染料の変質や変色,褪色をある程度抑制できる。しかし、一層の長期耐久性を達成する上では更なる改良が必要である。たとえば、従来の転写印刷塗装金属板を5年以上屋外暴露すると、着色部の色調変化がΔE>15となり印刷模様の劣化を無視できない。
耐候性,耐磨耗性を改善する手段として、昇華性染料で染着した染料受容層に紫外線吸収効果の高いクリアフィルムをラミネートすることが予想される。ラミネート法では、粘着剤を用いてクリアフィルムが転写印刷塗装金属板に貼り付けられるが、トップ塗膜/クリアフィルムの界面にある粘着剤層に昇華性染料が拡散し、短時間のうちに印刷模様が滲み鮮明度が低下する。この点、クリアフィルムのラミネートで耐候性,耐磨耗性を改善する方法は現実的でない。
本発明は、クリアフィルムのラミネートに代え速乾性の二液型ウレタン塗料でオーバーコートを成膜することにより、溶剤による印刷模様の滲みを解消し、長期にわたって太陽光照射に曝される屋外で使用されても変色,褪色し難い耐久性を呈し、床用装飾材としても十分な耐磨耗性を呈する転写印刷塗装金属板を提供することを目的とする。
本発明の転写印刷塗装金属板は、昇華性染料が浸透して染料染着層が形成された染料受容層が下地金属板上に設けられており、速乾性二液硬化型ウレタン塗料から成膜されたオーバーコート層で染料受容層が覆われていることを特徴とする。
速乾性二液硬化型ウレタン塗料としては、ニトロセルロース,セルロースアセテートプロピオネート,セルロースアセテートブチレートから選ばれた一種又は二種以上の繊維素エステルを添加したアクリルポリオール,ポリイソシアネート系の塗料が好適である。
発明の効果及び実施の形態
本発明に従った転写印刷塗装金属板は、下地金属板1にベース塗膜2,クリア塗膜3を重ねている(図1)。ベース塗膜2とクリア塗膜3又はクリア塗膜3のみを昇華性染料で染着して染料染着層4を形成した後、速乾性二液硬化型ウレタン塗料でオーバーコート層5を形成する。耐食性を改善するため、防錆顔料を含むプライマ層6を下地金属板1とベース塗膜2との間に設けても良い。
下地金属板1は、特に材質が制約されるものでないが、めっき鋼板,ステンレス鋼板,冷延鋼板,アルミニウム板等が使用される。ベース塗膜2又はプライマ層6の形成に先立って、脱脂,洗浄,置換処理,化成処理等、適宜の塗装前処理が施される。
ベース塗膜2は、膜厚:10〜20μmの白色塗膜が好ましい。下地金属板1の色調を遮蔽するため10μm以上の膜厚が必要であるが、20μmを超える厚膜では焼付け時に塗膜に残留している溶剤の突沸に起因するピンホール状の塗膜欠陥(以下、"ワキ"という)が懸念される。
クリア塗膜3用には、適度の伸びをもたせるため数平均分子量:1000〜10000のポリエステル樹脂をベースとし、樹脂固形分:100質量部に対する比率で10〜150質量部のメラミンやイソシアネートを硬化剤として配合した熱硬化型ポリエステル樹脂塗料が好ましい。熱硬化型ポリエステル樹脂塗料は、昇華性染料に良く染まり、転写時150〜200℃に加熱された状態でも著しい軟化がなく安定性に優れ、印刷模様の保存安定性も良好である。
分子量:1000未満のポリエステル樹脂では伸び不足のため加工性が低下し、逆に10000を超えるとメラミン又はイソシアネートによる架橋部分の割合が減少するため紫外線等によって分解されやすくなる。10質量部以上の硬化剤配合によって耐光性が向上するが、150質量部を超える過剰配合は加工時に塗膜を割れやすくする。
熱硬化型ポリエステル樹脂は、二塩基酸と多価アルコールとの重縮合で合成される。
二塩基酸は芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸,或いはそれらの酸無水和物であり、具体的には無水フタル酸,オルトフタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,マレイン酸,無水マレイン酸,フマル酸,アジピン酸等が単独で又は2種以上を混合して使用される。良好な耐光性を得るためには、特に重縮合後に1,2-ベンゼン-ジカルボニル構造を形成する無水フタル酸及び/又はオルトフタル酸が含まれていることが好ましい。フェニル基を含まないアジピン酸も、好適な二塩基酸として使用される。
多価アルコールには、エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,プロピレングリコール,ペンチルグリコール,ネオペンチルグリコール,トリメチロールエタン等があり、単独又は2種以上を混合して使用できる。良好な耐光性を得るためには,ペンチルグリコールのような脂肪族鎖が長いグリコールの使用が好ましく、重合後に2,2−ジメチルトリメチレン構造を形成するネオペンチルグリコールを使用することが更に好ましい。
塗膜の加工性は、ポリエステル樹脂の数平均分子量とメラミン系硬化剤の種類や量を調整してクリア塗膜3のガラス転移温度Tgを20〜60℃に設定することによっても改善される。20℃未満のガラス転移温度Tgでは塗膜硬度が低く疵付きやすい塗膜になり、逆に60℃を超えると塗膜が過度に硬質化し加工性が著しく劣化する。
クリア塗膜3用の塗料には、紫外線照射下で昇華性染料の褪色や塗膜の光沢低下を防止するため紫外線吸収剤を添加することが好ましい。紫外線吸収剤には、多数のベンゾトリアゾール系,トリアジン系化合物が知られているが、大気雰囲気中、昇温速度:5℃/分で300℃に加熱する条件下で重量減少が10質量%以下の紫外線吸収剤が好適である。吸収特性を考慮してベンゾトリアゾール系,トリアジン系を併用添加すると広汎な波長域における紫外線吸収を期待できる。また、ヒンダードアミン系等の光安定剤を添加すると、クリア塗膜3の耐光性が更に改善される。
クリア塗膜3は、十分な量の昇華性染料を浸透させて印刷模様を発現させる上で6μm以上の膜厚が好ましい。薄すぎる膜厚では、昇華性染料の浸透不足により満足できる色調を付与できない。膜厚の上限は特に規制されるものでないが、上塗り塗料の焼付け時にワキ等の塗膜欠陥が発生しない膜厚に調整される。
クリア塗膜3にシリカ,ガラス,ナイロン,尿素樹脂,アクリル樹脂,フッ素樹脂,ポリエチレン樹脂,ポリプロピレン樹脂等を分散させると、艶消し調の外観が付与された塗膜になる。カーボンブラック,グラファイト,金属酸化物,金属硫化物等のフレークを分散させて明度を調節すると、落着き感のある外観を呈する塗膜になる。
クリア塗膜3は、膜厚:4〜25μmの透明又は半透明樹脂塗膜が好ましい。4μmに達しない薄膜では、昇華性染料の吸着量が不足して十分な色調が得られない。厚膜になるほど発色性が良くなり反射濃度も向上する傾向にあるが、焼付け時に発生しがちなワキ等の表面欠陥を考慮すると25μm以下の膜厚が好ましい。ただし、同じ塗料を用いて2コート2ベーク又は3コート3ベークする場合には、25μmを超える厚膜でも良い。
クリア塗膜3は好ましくは熱硬化型ポリエステル塗料から成膜される。焼成条件は、メラミン又はイソシアネートの反応条件を考慮して100〜400℃,1〜30分の範囲で設定される。
オーバーコート層5の形成には、塗料中の溶剤に染料染着層4から昇華性染料が滲み出すことを極力抑えるため速乾性の二液硬化型ウレタン塗料が使用される。二液硬化型ウレタン塗料には、ニトロセルロース,セルロースアセテートプロピオネート,セルロースアセテートブチレートの何れか一種又は二種以上を添加したポリイソシアネートとアクリルポリオールとを組み合わせた塗料や、ニトロセルロース,セルロースアセテートプロピオネート,セルロースアセテートブチレートの一種又は二種で変性されたアクリルポリオールとポリイソシアネートとを組み合わせた塗料等がある。
アクリルポリオールを構成する水酸基含有ビニルモノマーとしては、たとえば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アルキルエステルや、N-メチロール(メタ)アクリルアミド,N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド,N,N-ジヒドロキシエチルアクリルアミド等のヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等がある。これらの水酸基を有する官能基ビニルモノマーは、単独で或いは二種以上を混合して使用できる。
アクリルポリオールを構成する他のビニルモノマーとしては、水酸基含有ビニルモノマーと共重合可能なものであり、たとえばスチレンモノマー,メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)アクリレート,n-ブチル(メタ)アクリレート,2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート,ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキルエステル、(メタ)アクリルアミド,N-メチル(メタ)アクリルアミド,N-エチル(メタ)アクリルアミド,N,N-ジメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有ビニルモノマー、アクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸,フマル酸,マレイン酸等の一種又は二種以上を使用できる。
ポリイソシアネートは、分子中に遊離又はブロックされたイソシアネート基を二個以上有する化合物である。たとえば、テトラメチレンジイソシアネート,ヘキサメチレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,キシリレンジイソシアネート,フェニレンジイソシアネート,トリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、活性水素含有化合物をジイソシアネート化合物と反応して得られるイソシアネート付加物、イソシアネート化合物が有する遊離のイソシアネート基をブロック剤でブロックして得られるブロックイソシアネート化合物等が挙げられる。
ニトロセルロース,セルロースアセテートプロピオネート,セルロースアセテートブチレートは、"繊維素エステル"と総称される。繊維素エステル変性アクリルポリオールは、セルロースにイオン化力のある放射線を照射してセルロースラジカルを生成させ、アクリルモノマーをグラフト重合する方法で製造される。レドックス反応で発生したラジカルを用いてグラフト重合する方法もある。
繊維素エステルの配合により、塗料樹脂の分子量分布が全体的に高分子側にシフトする。また、繊維素エステルの結晶性がアクリル系樹脂より高いため、溶剤が気散し始める初期段階から塗料粘度が急激に上昇し、塗膜形態の形成,目標塗膜硬度への到達が短時間で達成される。
優れた速乾性のため、ウレタン塗料の溶剤に染料染着層4から昇華性染料が滲み出す時間が大幅に短くなり、染料染着層4で形成される印刷模様の劣化が抑えられる。繊維素エステルは、塗膜樹脂固形分:100質量部に対し好ましくは1〜30質量部の割合で配合される。繊維素エステルが1質量部未満では耐溶剤性,速乾性等に劣り、30質量部を超える過剰配合は塗料粘度が上昇して塗装時に固形分が少なくなるため、所定の膜厚を得るための作業性に支障をきたす。
アクリルポリオール又は繊維素エステル変性アクリルポリオールは、40℃以上のガラス転移温度Tgをもつことが好ましい。高いガラス転移温度Tgは、アクリルポリオールの分子量が大きくなっている表れであり、高温雰囲気下でもオーバーコート層5の軟質化が抑えられる。因みに、ガラス転移温度Tgが40℃未満のアクリルポリオールを使用すると、熱による樹脂の軟化に起因して昇華性染料が雨水に溶出し、耐候性の低下が懸念される。昇華性染料の溶出防止には、ガラス転移温度Tg:50℃以上のアクリルポリオールが特に好ましい。
オーバーコート層5の形成に使用される塗料組成物は、OH/NCO基の等量比が好ましくは10/1〜1/1の範囲になるように調整される。OH/NCO基の等量比が10/1より大きくなると、硬化が不十分でウレタン塗膜自体の機械的強度が低下する。逆に1/1未満の等量比では、反応性に富んだ未反応のNCO基が塗膜に残留し、水分とNCO基との反応による塗膜物性の低下が懸念される。また、耐光性を向上させるため、オーバーコート層5の樹脂固形分:100質量部に対し0.5〜8.0質量部の紫外線吸収剤,0.1〜3.0質量部の光安定剤を添加することが好ましい。
オーバーコート層5用の塗料は、常温で硬化するが、冬季,寒冷地では硬化完了までに日数がかかる場合があるので、40〜60℃で15〜60分間焼成することが好ましい。また、重ね塗りで厚膜化する場合には、一旦40〜60℃で10〜30分間焼成した後、再塗装し40〜60℃で15〜60分間焼成することが好ましい。
オーバーコート層5は、染料染着層4の昇華性染料を紫外線から遮蔽するため10μm以上の膜厚で形成することが好ましい。10μmに達しない膜厚では、十分な紫外線遮蔽効果が得られないだけでなく、昇華性染料の一部がオーバーコート層5を透過して溶出しやすくなり、5年以上の屋外暴露試験で印刷模様の色調変化をΔE≦15に抑えることが難しい。
なかでも、50μm以上の膜厚でオーバーコート層5を形成すると、長期間屋外暴露してもΔE≦15が維持される紫外線遮蔽効果及び昇華性染料の膜外溶出防止効果を期待できる。しかし、200μmを超える厚膜では、塗料塗布-焼成の繰返し回数(重ね塗り回数)が増えて生産性が低下する。また、オーバーコート層5に残留応力が蓄積され、クリア塗膜3/オーバーコート層5の層間密着性が低下することも、厚すぎる塗膜の欠点である。
装飾用床材としての用途でも、印刷模様の耐磨耗性向上とクリア塗膜3/オーバーコート層5の層間密着性とをバランスさせる上で、オーバーコート層5の膜厚を50〜200μmの範囲で設定することが好ましい。
転写原板に使用する塗装鋼板の製造
板厚:0.5mmの亜鉛めっき鋼板を脱脂,表面調整して塗布型クロメート処理を施した後、乾燥塗膜が5μmとなる塗布量で白色ポリエステル塗料を塗布し、板温:220℃で1分間焼き付けることにより、白色ベース塗膜2を形成した。
次いで、乾燥膜厚:18μmのクリア塗膜3が形成される塗布量でクリア塗料を白色ベース塗膜2上に塗布した。
クリア塗料としては、数平均分子量:3000のポリエステル樹脂を主成分とし、樹脂固形分:100質量部当り60質量部の割合でメラミンを配合した。更に、トリアジン系紫外線吸収剤(チバガイギー社製:TINUVIN 400)とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバガイギー社製:TINUVIN 384)との1:1混合物を8質量部、ヒンダートアミン系光安定剤(チバガイギー社製:TINUVIN 123)を1.5質量部添加した。
塗布後、板温:230℃で1分間焼き付けることにより、乾燥膜厚:18μmのクリア塗膜3とした。
転写シートの製造
昇華性染料には、シアン染料(PTB31(C. I. Disperse blue 26):三菱化学株式会社製)を使用した。
インクジェットプリンタ(株式会社ミマキエンジニアリング製)を用い、インクジェット方式の画像プリントシステム(グラデスシステム:株式会社マーキングマジック製)でインクジェット記録紙(S-COAT2:株式会社マーキングマジック製)にサイズ10cm×10cmのシアンベタ模様を付けた。次いで、ブラック染料(PTA33(blend):三菱化学株式会社製)で「センターライン」の文字(平成角ゴシック,ポイント:8)を出力し、シアン調の背景に黒色文字がある転写シートを用意した。
転写印刷
塗装鋼板の塗膜に転写シートの染料印刷面が合わさるように、ホットプレート10側から塗装鋼板11,合成樹脂フィルム12,転写シート13,耐熱クッション14(厚さ1mmのコーネックスフェルト:帝人株式会社製)の順に重ね合わせ、平滑なホットプレート10とゴムシート15との間に挟み込んだ(図2)。合成樹脂フィルム12には、染着されることなく昇華性染料を透過する機能を有するポリエチレン,ポリプロピレン等のフィルムが使用される。場合によっては、合成樹脂フィルム12を省略し、塗装鋼板11に転写シート13を直接接触させても良い。
塗装鋼板11、転写シート13等をセットした後、全体を80kPaまで真空吸引し、負圧で転写シート13を塗装鋼板11に密着させた。この状態で160℃に5分間加熱し、圧着完了後、塗装鋼板11から転写シート13を剥離した。
オーバーコート層の形成
転写印刷後の各塗装鋼板に次のようにしてオーバーコート層5を形成した。
〔本発明例1〜10〕
重量平均分子量:18000のニトロセルロースを樹脂固形分:100質量部当り5〜30質量部の割合で添加し、アクリルポリオール(アクリディックA-801:大日本インキ化学工業株式会社製)とポリイソシアネート硬化剤(ディラネート24A-100:旭化成工業株式会社製)とをOH/NCO基の等量比が2/1となる割合で混合した塗料組成物を調製した。また、トリアジン系紫外線吸収剤(TINUVIN 400:チバガイギー社製),ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(TINUVIN 384:チバガイギー社製)の1:1混合物を樹脂固形分基準で6質量部添加した。なお、本例では、樹脂固形分:100質量部当り1.5質量部のヒンダートアミン系光安定剤(TINUVIN 123:チバガイギー社製)を添加した塗料組成物をクリア塗膜3の形成に使用した。
印刷模様が付された塗装鋼板に、ノズル径:2mmのエアスプレーを用いエアー圧力:2.5kg/cm2で塗料組成物を塗布した。乾燥膜厚:10〜30μmとなる塗布量で塗料組成物をスプレー塗布した後、60℃で30分乾燥する工程を複数回繰り返すことにより目標膜厚のオーバーコート層5を形成した。30分乾燥後に重ね塗り可能なことは、速乾性二液硬化型ウレタン塗料の長所でもある。
〔本発明例11〜20〕
重量平均分子量:17000のセルロースアセテートブチレートを繊維素エステルに使用する以外は、本発明例1〜10と同様に塗料組成物を調製し、同様な条件で転写印刷後の塗装鋼板に塗布し焼き付けた。
〔本発明例21〜30〕
アクリルモノマーをセルロースアセテートブチレートにグラフト重合したアクリル変性セルロースアセテートブチレートを添加する以外は、本発明例1〜10と同様に塗料組成物を調製し、同様な条件で転写印刷後の塗装鋼板に塗布し焼き付けた。
〔比較例31〕
転写印刷で印刷模様を付与した塗装鋼板を、オーバーコート層を設けることなく物性試験に供した。
〔比較例32〜34〕
一液型アクリル塗料(マジクロン1000:関西ペイント株式会社製)に紫外線吸収剤,光安定剤を添加した塗料組成物を用意した。印刷模様が付された塗装鋼板に、ノズル径:2mmのエアスプレーを用いエアー圧力:2.5kg/cm2で塗料組成物を塗布した。また、乾燥膜厚:10〜30μmとなる塗布量で塗料組成物をスプレー塗布した後、130℃で60分乾燥する工程を複数回繰り返すことにより目標膜厚のオーバーコート層5を形成した。
〔比較例35〜37〕
一液型アミノアルキッド樹脂塗料(アミラック3000:関西ペイント株式会社製)に紫外線吸収剤,光安定剤を添加した塗料組成物を用意した。印刷模様が付された塗装鋼板に、ノズル径:2mmのエアスプレーを用いエアー圧力:2.5kg/cm2で塗料組成物を塗布した。また、乾燥膜厚:10〜30μmとなる塗布量で塗料組成物をスプレー塗布した後、100℃で30分乾燥する工程を複数回繰り返すことにより目標膜厚のオーバーコート層5を形成した。
Figure 2007237574
転写印刷塗装金属板の性能評価
製造された各転写印刷塗装金属板から試験片を切り出し、耐候性試験,塗膜密着試験,印刷文字の視認性試験,印刷模様の色調劣化試験に供した。
耐候性試験では、ブラックパネルで温度:63℃に設定したサンシャインカーボンアークウェザーメータを用い、60分照射中に清水が12分間吹き付けられる条件下で、2000時間経過後にシアンベタ模様印刷部を測色し、未照射の試験片と比較して色差ΔEを求めた。色差ΔE:10未満を◎,10〜15を○,15〜20を△,20以上を×として耐候性を評価した。△以上の耐候性評価であれば、実用に供しえる塗装鋼板といえる。
塗膜密着試験は、JIS K5600-5-6に規定されているクロスカット法に従い、膜厚:0〜60μmのオーバーコート層5についてはカット間隔:1mm,膜厚:60〜120μmのオーバーコート層5についてはカット間隔:2mm,膜厚:120〜250μmのオーバーコート層5についてはカット間隔:3mmのクロスカットを入れ、塗膜剥離が生じているクロスカット部分の表面状態を観察し、次の基準でオーバーコート層5のクリア塗膜3に対する密着性を評価した。なお、3以上の評価点であれば実用に供しえる。
<評価0>
クロスカットの縁が完全に滑らかになっており、どの格子目にも塗膜剥離が生じていない。
<評価1>
クロスカットの交叉点で若干の塗膜剥離が生じているが、クロスカット部で剥離面積が5%を上回ることはない。
<評価2>
クロスカットの縁に沿って又は交叉点で塗膜剥離が生じており、クロスカット部で影響を受けた塗膜の剥離が5〜15%の範囲にある。
<評価3>
クロスカットの縁に沿って塗膜が部分的又は全面的に剥離しており、格子目のいろいろな部分でも部分的又は全面的な塗膜剥離が生じている。クロスカット部で影響を受けた塗膜の剥離が15〜35%の範囲にある。
<評価4>
クロスカットの縁に沿って塗膜が部分的又は全面的に大きく剥離しており、数箇所の格子目でも部分的又は全面的な塗膜剥離が生じている。クロスカット部で影響を受けた塗膜の剥離が35〜65%の範囲にある。
<評価5>
評価4を超える塗膜剥離が生じている場合
印刷文字の視認性では、シアンベタ部の色ムラを目視観察し、印刷文字の輪郭が判然としなくなった試験片を×,輪郭が多少ボケているが視認性に問題のない試験片を△,輪郭にボケがなく印刷文字が明瞭に読み取れた試験片を○として視認性を評価した。
印刷模様の色調劣化試験ではシアンベタ部を目視観察し、色ムラなく均一な染色状態にある試験片を○,色ムラが発生し染色が不均一になった試験片を×と評価した。
表2の調査結果にみられるように、速乾性の優れた二液硬化型ウレタン塗料でオーバーコート層5を形成した本発明例1〜30では、ΔE≦15の優れた耐候性を示し、塗膜密着性,印刷文字の視認性,印刷模様の色調均一性の何れも良好であった。
200μm以上の膜厚でオーバーコート層5を形成した試験番号4,14,24では、クリア塗膜3/オーバーコート層5の層間密着性が低下したが、重ね塗り回数の増加に起因してオーバーコート層5に残留応力が蓄積されたためと考えられる。逆に10〜15μmと薄いオーバーコート層5を設けた試験番号1,5,8,11,15,18,21,25,28では、紫外線遮蔽効果が不十分なため耐光性試験結果後の色差ΔEが15を超えており、十分な紫外線防止効果を得るためには膜厚:50μm以上が好ましいことが判る。
これに対し、オーバーコート層5のない比較例31では、耐候性が極端に低かった。一液硬化型アクリル樹脂塗料でオーバーコート層5を成膜した比較例32〜34では、耐候性の改善はみられるものの、オーバーコート層5の硬化までに要した時間が長いため昇華性染料の滲み出しに起因して印刷文字の視認性,印刷模様の色調均一性が劣化していた。一液硬化型アミノアルキッド樹脂塗料でオーバーコート層5を成膜した比較例32〜34でも、昇華性染料の滲み出しに起因して印刷文字の視認性,印刷模様の色調均一性が劣化していた。また、オーバーコート層5の密着性が良好なものほど耐候性に劣り,逆に耐候性の良好なものではオーバーコート層5の密着性が劣る傾向にあった。
Figure 2007237574
以上に説明したように、転写印刷模様が付与されたクリア塗膜3にオーバーコート層5を重ねると耐光性,耐磨耗性が改善される。しかも、速乾性二液硬化型ウレタン塗料でオーバーコート層5を成膜しているので、硬化反応完了までに塗料の溶剤に滲み出す昇華性染料が大幅に少なくなり、転写印刷模様の不鮮明化も防止される。その結果、太陽光照射に長期間曝される屋外用途や踏圧が繰返し付加される床材等に用いた場合でも、昇華転写法特有の鮮明度の高い転写印刷模様が維持される。
転写印刷塗装金属板の塗膜構成を説明するモデル図 転写シートを負圧で塗装鋼板に密着させた昇華転写法の説明図
符号の説明
1:下地金属板 2:ベース塗膜 3:クリア塗膜 4:染料染着層 5:オーバーコート層 6:プライマ層
10:ホットプレート 11:塗装鋼板 12:合成樹脂フィルム 13:転写シート 14:耐熱クッション 15:ゴムシート
H:入熱 P:加圧力

Claims (2)

  1. 下地金属板上の染料受容層に昇華性染料が浸透して染料染着層が形成され、速乾性二液硬化型ウレタン塗料から成膜されたオーバーコート層で染料受容層が覆われていることを特徴とする耐候性,耐磨耗性に優れた転写印刷塗装金属板。
  2. 速乾性二液硬化型ウレタン塗料がアクリルポリオール,ポリイソシアネートの他に、ニトロセルロース,セルロースアセテートプロピオネート,セルロースアセテートブチレートから選ばれた一種又は二種以上の繊維素エステルを含んでいる請求項1記載の転写印刷塗装金属板。
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KR20190047831A (ko) * 2017-10-30 2019-05-09 주식회사 케이씨씨 도료 조성물

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