JP2007224281A - 光学用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】光弾性係数が小さく耐熱性、波長分散性に優れたフィルム、特に位相差フィルムに好適な光学用ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】ジオール成分としてフルオレン骨格を有し、アルキレンオキシドが付加していてもよいジオール、または、有橋脂環を含む縮合環式ジオールを15〜95mol%、飽和脂環式一級ジオールまたは飽和ヘテロ環式1級ジオールが残ジオール成分の50mol%以上であることを特徴とするポリエステルからなる光学用フィルム。
【選択図】なし
【解決手段】ジオール成分としてフルオレン骨格を有し、アルキレンオキシドが付加していてもよいジオール、または、有橋脂環を含む縮合環式ジオールを15〜95mol%、飽和脂環式一級ジオールまたは飽和ヘテロ環式1級ジオールが残ジオール成分の50mol%以上であることを特徴とするポリエステルからなる光学用フィルム。
【選択図】なし
Description
本発明は位相差フィルム用途に好適な光学用フィルムに関する。
位相差フィルムは主に液晶ディスプレイの視野角拡大、あるいは円偏光板の構成部材として利用されている。位相差フィルムに要求される特性としては、光線透過性、適度な等方性(位相差発現性)、位相差の波長分散性などの光学特性の他に、これらの光学特性を安定して発現するために低光弾性係数や耐熱性が要求される。
液晶ディスプレイは、液晶セル、偏光板および位相差フィルムなどで構成されている。特に反射型および透過型液晶ディスプレイでは偏光板と位相差フィルムを組み合わせた円偏光板として用いられている。円偏光板は、入射した無偏光の光を、偏光板で直線偏光成分のみを取り出し、さらに位相差フィルムで円偏光に変換する。現在、円偏光板に用いられる位相差フィルムとしては、ポリカーボネートまたは環状ポリオレフィン等の樹脂や液晶性高分子からなるフィルムが用いられている。
しかし、これらの樹脂からなる、例えば550nmの光での位相差が1/4波長である1枚の位相差フィルム(以下、「1/4波長位相差フィルム」と示す)と偏光板と組み合わせた円偏光板は、波長550nmの光では円偏光が得られるものの、短波長域および長波長域の光では楕円偏光が得られ、反射型および半透過型液晶ディスプレイに組み込んだ際に、黒表示が青みを帯びたりコントラスト低下や色相変化が生じるという問題があった。
そこで、2枚以上の位相差フィルムと偏光板とを位相差フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸が特定の角度となるように積層することで短波長域から長波長域の広い範囲の領域で、円偏光を得る方法が提案されている。しかし、このような方法は構成部材コストおよび貼合コストが大きいという問題があった(特許文献1)。
また、ポリカーボネートに光学等方性付与、波長分散性制御(逆分散性付与)を目的として9,9−ビスフェノールフルオレンを共重合することにより、広範囲の可視光波長域での位相差がそれぞれの波長1/4波長となる位相差フィルムが提案されている。しかし、この位相差フィルムの高波長域の光での位相差は、その波長の1/4ではない。そのため、この位相差フィルムを用いた円偏光板は長波長域の光を通すと楕円偏光が得られるために、光漏れが生じコントラストが十分ではなかった。(特許文献2)。また、ポリカーボネートは、カーボネート基を持つことからポリオレフィンやポリエステルと比較し光弾性係数が大きいという問題がある。
また、ポリエステルに9,9−ビスフェノールフルオレン骨格を有する光学用樹脂も提案されている(特許文献3)。これらの樹脂は位相差発現性が悪く位相差フィルムとして適さず光弾性係数も大きい。さらに耐熱性、寸法安定性の向上の為にフルオレンポリエステルのジカルボン酸成分に脂環族ジカルボン酸を導入することも提案されているが、ジオールに関する指針はなく、この場合も光弾性係数が十分小さいとはいえない(特許文献4)。耐熱性ポリエステルとしてはジオールにフルオレン構造と脂環族を導入することが提案されている(特許文献5)。この場合は、フルオレン比率が低くジカルボン酸がテレフタル酸であるため異方性が大きすぎ、位相差の制御が難しいため位相差フィルムには不適当であり、光弾性係数も大きい。
ポリエステルへの等方性、耐熱性付与を目的としたものでフルオレン以外を使用したものとしてフェニルインダンジカルボン酸とビスヒドロキシメチル−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカンを用いることが提案されているがジカルボン酸成分がフェニルインダンジカルボン酸の為、波長分散性を制御しにくく、モノマーも入手性困難である(特許文献6)。
特開平5−2108号公報
特開2002−48919号公報
特開平11−060706号公報
特開2000−119379号公報
特開平8−269178号公報
特開平7−41572号公報
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決した、光弾性係数が小さく耐熱性、波長分散性に優れたフィルム、特に位相差フィルムに好適な光学用ポリエステルフィルムを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、次の特徴を有するものである。
(1)ジオール成分として化学式(1)及び(2)で表せる環式ジオールのジオール残基を含有するポリエステルからなる光学用ポリエステルフィルム。
R1は同一、または異なる炭素数1〜4のアルキル基であり、mは0〜3の整数を示す。
R2は同一、または異なる炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を示し、nは0〜4の整数を示す。
R2は同一、または異なる炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を示し、nは0〜4の整数を示す。
nは1または2,o,pは0または1である。
(2) 上記化学式(2)においてnが1、o,pが1である請求項1記載の光学用ポリエステルフィルム。
(3) ジオール成分中に化学式(1)と飽和脂環式1級ジオールまたは飽和ヘテロ環式1級ジオールを含有し、化学式(1)を15〜95mol%、脂環1級ジオールまたは飽和ヘテロ環式1級ジオールが残ジオール成分の50mol%以上であるポリエステルからなる光学用ポリエステルフィルム
(4) 光弾性係数Cσが−40×10−12Pa−1〜40×10−12Pa−1である(1)〜(3)のいずれか1項記載のポリエステルからなる光学用ポリエステルフィルム。
(5) ガラス転移温度(Tg)が100℃以上である(1)〜(4)のいずれか1項記載のポリエステルからなる光学用ポリエステルフィルム。
(2) 上記化学式(2)においてnが1、o,pが1である請求項1記載の光学用ポリエステルフィルム。
(3) ジオール成分中に化学式(1)と飽和脂環式1級ジオールまたは飽和ヘテロ環式1級ジオールを含有し、化学式(1)を15〜95mol%、脂環1級ジオールまたは飽和ヘテロ環式1級ジオールが残ジオール成分の50mol%以上であるポリエステルからなる光学用ポリエステルフィルム
(4) 光弾性係数Cσが−40×10−12Pa−1〜40×10−12Pa−1である(1)〜(3)のいずれか1項記載のポリエステルからなる光学用ポリエステルフィルム。
(5) ガラス転移温度(Tg)が100℃以上である(1)〜(4)のいずれか1項記載のポリエステルからなる光学用ポリエステルフィルム。
本発明により、光弾性係数が小さく、耐熱性、波長分散性に優れた光学用フィルムを提供することができる。すなわちたとえば液晶ディスプレイ用位相差フィルムなどに適用した場合には位相差ムラがなく、製造・使用時においても安定した位相差を発現することができる。また波長分散性に優れるため低コストでコントラスト低下や色相変化を少なくすることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の光学用フィルムはジオール成分として化学式(1)及び(2)で表せる環式ジオールのジオール残基のいずれをも含有するポリエステルからなることを特徴とする。
R1は同一、または異なる炭素数1〜4のアルキル基であり、mは0〜3の整数を示す。
R2は同一、または異なる炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を示し、nは0〜4の整数を示す。
R2は同一、または異なる炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を示し、nは0〜4の整数を示す。
nは1または2,o,pは0または1である。
本発明者らは、上記課題を達成すべく検討の結果ジオール成分に化学式(1)のジオール残基と化学式(2)のジオール残基を含有するポリエステルが低光弾性係数、耐熱性、波長分散性に優れた位相差フィルムとなることを見いだした。
位相差フィルムとは、ある波長の光が通過する時に進相軸の位相と、遅相軸の位相に差を生じさせるフィルムであり、本発明において、位相差フィルムとは、例えば1/4波長の位相差を与えるλ/4位相差フィルム、1/2波長の位相差を与えるλ/2位相差フィルムや、視野角拡大フィルム、光学補償フィルムなど位相差を与える全てのフィルムをいう。
ここで進相軸とは光が最も早く通過する面内の方向であり、遅相軸とは、これと直交する面内の方向である。
例えば1/4波長フィルムは、可視波長域で位相差がそれぞれの波長の1/4であることが望ましい。ここで、波長X(nm)の位相差をR(X)(nm)と記載する。例えば簡単に可視波長域のR(450)、R(550)について説明すると、反射型液晶ディスプレイの位相差フィルムとして用いる場合、位相差フィルムを複数枚積層する方法ではなく1枚で全ての可視波長域の波長の位相差を理想値に近づける広帯域位相差フィルムとするためには、下式(1)を満たすことが好ましい。
R(450)/R(550)=(450/4)/(550/4)=0.818 ・・・(1)
これに対し、通常のポリカーボネート、環状ポリオレフィンなどは下式(2)である。位相差の波長分散に関して下式(2)の状態を順分散であるという。
これに対し、通常のポリカーボネート、環状ポリオレフィンなどは下式(2)である。位相差の波長分散に関して下式(2)の状態を順分散であるという。
R(450)/R(550)>1 ・・・(2)
一方、理想に近い下式(3)の状態を逆分散であるという。
一方、理想に近い下式(3)の状態を逆分散であるという。
R(450)/R(550)<1 ・・・(3)
構成部材の削減及び貼合コストの削減から1枚で上式(3)を満たす位相差フィルムが求められている。本出願においては逆分散を示すフィルムを波長分散性に優れたフィルムという。
構成部材の削減及び貼合コストの削減から1枚で上式(3)を満たす位相差フィルムが求められている。本出願においては逆分散を示すフィルムを波長分散性に優れたフィルムという。
逆分散を得るための分子設計としては、分子内で複数の位相差フィルムが重ね合わされた場合と同じ効果があればよい。本出願においては、カルド構造を有する化学式(1)を含有するポリマーが、主鎖方向および主鎖に直交する方向に2種類の位相差フィルムを重ねあわせたのと同じ効果を発現し、逆分散性を示すことが可能となる。
ここで化学式(1)のR1は同一であってエチル基であることが好ましく、m=1であることが好ましい。アルキル基の炭素数が大きい場合はTgが下がることがあるので好ましくなく、m=0の場合は重合の反応性が低下し機械的強度が低下するので好ましくない。R2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基であり、nはn=0〜4であれば良いが好ましくはn=0である。n≧1の場合は重合の反応性が低下し機械的強度が低下するので好ましくない。
上記化学式(1)で表される構造単位の誘導体としては、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−エチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジエチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−プロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジ−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−(1−メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ビス(1−メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジフェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−ベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン9,9−ビス[4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられ、これらの中でも、光弾性係数、耐熱性、重合性の観点から9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが好ましい。また、これらの成分は単独でも2種類以上用いてもよい。
本発明のポリエステルにおいては、さらにジオール成分に化学式(2)のジオール残基を有することを特徴とする。化学式(2)は、単独でも2種類以上のモノマーを用いてもよい。化学式(2)のような剛直な脂環式ジオール残基を有することにより、光弾性係数を小さく制御し、耐熱性を付与することができる。
化学式(2)で示される脂環式ジオールのうち、n=1 o,p =1であるトリシクロ[5,2,1,0 2,6]デカンジメタノールが本発明の効果を十分に達成し、かつ入手しやすいので最も好ましい。n≧2の場合、重合反応性の低下が考えられ重合度があがらずフィルムの機械的強度が低下し、延伸性も低下する。o,p =0の場合も重合反応性の低下によりフィルムの機械的強度が低下し、延伸性も低下する。o,p ≧2の場合は屈曲成分が多くなるので光弾性係数、Tgが低下する。
本発明のポリエステルはジオール成分として化学式(1)と(2)を含めば良く、この2成分は別々に含有させたポリエステルの混合物として存在しても良いが、共重合体であることがフィルムの均一性、透明性の面で好ましい。
またポリエステルのジオール成分として化学式(1)は5〜95mol%、さらに好ましくは15〜90mol%、最も好ましくは20〜80mol%である。該組成よりも多くなると巻き取り性、延伸性など取り扱い性が低下し、原料コスト的にもやや高くなる。一方、該組成よりも少なくなると逆分散性が付与できず、耐熱性も低下する。また化学式(2)は1〜95mol%、さらに好ましくは5〜80mol%、最も好ましくは10〜60mol%の範囲で含有することが望ましい。これよりも多くなると相対的に化学式(1)の含有量が小さくなるので逆分散性を付与できず、耐熱性も低下する。これよりも少なくなると光弾性係数が大きくなる。光弾性係数を小さくするために、いずれの場合においても化学式(1)以外のジオール成分の50mol%以上が化学式(2)であることが好ましい。
また、同様の目的で、本発明の別の形態として、ジオール成分中に化学式(1)と飽和脂環式一級ジオールまたは飽和ヘテロ環式1級ジオールを含有し、化学式(1)を15〜95mol%、飽和脂環式一級ジオールまたは飽和ヘテロ環式1級ジオールが残ジオール成分の50mol%以上であることを特徴とするポリエステルからなる光学用フィルムも好ましい。
ジオール中の化学式(1)は15〜95mol%、さらに好ましくは20〜80mol%の範囲で含有することが好ましい。該組成よりも多くなると巻き取り性、延伸性など取り扱い性が低下し、原料コストもやや高くなる。一方、該組成よりも少なくなると逆分散性が付与できず、耐熱性も低下する。飽和脂環式一級ジオールまたは飽和ヘテロ環式1級ジオールは化学式(1)以外のジオール成分の50mol%以上、さらに好ましくは70mol%以上、最も好ましくは90mol%以上含有することが好ましい。光弾性係数を低減するためには芳香族成分を低減し、脂肪属性分を増加せしめることが有効である。しかしながら、直鎖脂肪族を導入すると、耐熱性(ガラス転移温度)が低下する。一方、脂環構造や共役構造をもたないヘテロ環構造は、光弾性係数の小さい構造でありながら、直鎖脂肪族に対し、ガラス転移温度が高いことが知られている。そこで剛直な環式構造をジオール中に該組成以上含有することにより、光弾性係数を小さく制御することができ、化学式(1)以外のジオール成分使用による耐熱性の低下を抑制することができる。また、一般に鎖状ジオールと比較し環式ジオールを用いると重合反応性が低下するが、反応性が高い環式1級ジオールを使用することで、短い重合時間で取り扱い性に優れた高分子量のポリエステルを得ることができる。飽和脂環式1級ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンジエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロデカンジエタノール等、飽和ヘテロ環式1級ジオールとしては2,6−ジヒドロキシ−9−オキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(以下スピログリコール)等が例示されるが特にこれに限定しない。またこれらを単独もしくは2種類以上用いてもよい。
ジオール中の化学式(1)は15〜95mol%、さらに好ましくは20〜80mol%の範囲で含有することが好ましい。該組成よりも多くなると巻き取り性、延伸性など取り扱い性が低下し、原料コストもやや高くなる。一方、該組成よりも少なくなると逆分散性が付与できず、耐熱性も低下する。飽和脂環式一級ジオールまたは飽和ヘテロ環式1級ジオールは化学式(1)以外のジオール成分の50mol%以上、さらに好ましくは70mol%以上、最も好ましくは90mol%以上含有することが好ましい。光弾性係数を低減するためには芳香族成分を低減し、脂肪属性分を増加せしめることが有効である。しかしながら、直鎖脂肪族を導入すると、耐熱性(ガラス転移温度)が低下する。一方、脂環構造や共役構造をもたないヘテロ環構造は、光弾性係数の小さい構造でありながら、直鎖脂肪族に対し、ガラス転移温度が高いことが知られている。そこで剛直な環式構造をジオール中に該組成以上含有することにより、光弾性係数を小さく制御することができ、化学式(1)以外のジオール成分使用による耐熱性の低下を抑制することができる。また、一般に鎖状ジオールと比較し環式ジオールを用いると重合反応性が低下するが、反応性が高い環式1級ジオールを使用することで、短い重合時間で取り扱い性に優れた高分子量のポリエステルを得ることができる。飽和脂環式1級ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンジエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロデカンジエタノール等、飽和ヘテロ環式1級ジオールとしては2,6−ジヒドロキシ−9−オキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(以下スピログリコール)等が例示されるが特にこれに限定しない。またこれらを単独もしくは2種類以上用いてもよい。
本発明のポリエステルのジオール成分は規定したもの以外は特に制約はなく、他成分として各種ジオールを使用することができる。例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、などの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルメタン)、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)メタン、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)、シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタンジオール、4−シクロペンテン−1,3−ジオールなどの各種脂環式ジオールが例示できる。またジオール以外にトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。また請求項1〜2においては化学式(1)、(2)以外の他のアルコール成分として上記アルコール以外に飽和脂環式1級ジオール、飽和ヘテロ環式1級ジオールを用いることができる。またこれら他成分のジオールは単独もしくは2種類以上用いてもよい。
また本発明のポリエステルのジカルボン酸成分としては特に制約はなく、一般的なポリエステル樹脂の原料を用いることができる。例えば芳香族ジカルボン酸、鎖状脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。エステル形成性誘導体としては、テレフタル酸無水物のような酸無水物、ジカルボン酸に対応する酸クロライドのような酸ハライド、テレフタル酸ジメチルのような低級アルキルエステルなどを使用することができる。芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸などが挙げられる。鎖状脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、3−メチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸などが挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、2,6−デカリンジカルボン酸、2,3−ノルボルナンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−3,4−ジカルボン酸、などの飽和脂環式ジカルボン酸や、cis−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、cis−1,2、3,6−テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸などの不飽和脂環式ジカルボン酸が例示できる。またジカルボン酸以外に多官能成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能カルボン酸成分も用いることができる。これらの中で耐熱性の観点から好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−デカリンジカルボン酸であり、光弾性係数低減の観点から好ましくは1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−デカリンジカルボン酸であり、より好ましくはテレフタル酸、2,6−デカリンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である。本発明の目的を損なわない範囲で、単独でまたは二種以上組み合わせて用いることができ、例えばテレフタル酸、2,6−デカリンジカルボン酸を併用することで光弾性係数、耐熱性、光学特性を調節することができる。尚、ジカルボン酸組成を制御することによりこれらの性能をある程度制御することができるが、本発明に規定した範囲でジオール成分の組成を制御することにより、より光弾性係数を低く、耐熱温度を高く、波長分散性を順分散から逆分散側に制御することが可能になる。
本発明の光学用フィルムは光弾性係数が−40×10−12Pa−1〜40×10−12Pa−1である。ポリエチレンテレフタレート等の通常のポリエステルはこの範囲外であるが、本発明においては規定した共重合成分を用いることで耐熱性、波長分散性を両立しながら光弾性係数を通常よりも低い範囲に制御することができ、さらに共重合組成比を適宜制御することでこの範囲に制御することが可能である。光弾性係数が大きい場合、液晶テレビに用いたとき、位相差フィルムに貼り合わされた他の部材の熱膨張、あるいは偏光フィルムの収縮などにより発生する残留応力により、位相差の変化が生じ、位相差ムラが発生し、コントラストの低減や色相変化を起こすことがあり好ましくない。光弾性係数は小さければ小さいほど応力に対する位相差変化が小さいため好ましく、より好ましくは−30×10−12Pa−1〜30×10−12Pa−1、更に好ましくは−20×10−12Pa−1〜20×10−12Pa−1である。
また本発明のポリエステルのガラス転移温度(Tg)は100℃以上であることが好ましい様態である。位相差フィルムは、Tgを越える温度では位相差が変化することがある。液晶ディスプレイを屋外、あるいは車内で使用する場合、温度は90℃近くまで上昇することがある。この温度での位相差変化を抑制する目的でTgは100℃以上であることが好ましい。より好ましくは120℃以上であり、さらに好ましくは140℃以上であり、300℃以下以下である。
以下、本発明の光学用ポリエステルフィルムの製造方法について具体的に記述する。
本発明の樹脂の重合方法に限定はなく、公知の重合法、例えば、ジカルボン酸とグリコールを誘導体とするエステル化法、ジカルボン酸ジエステルとグリコールを用いるエステル交換法などを用いることができる。
エステル交換法の場合、例えば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、トリシクロ[5,2,1,0 2,6]デカンジメタノール、エチレングリコールを用いる場合、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、トリシクロ[5,2,1,0 2,6]デカンジメタノール、エチレングリコールを所定のポリマー組成となるように反応容器へ仕込む。この際、エチレングリコールを全ジカルボン酸成分に対して1.7〜2.3モル倍添加することにより反応性が良好になる。これらを150℃程度で溶融後、触媒として酢酸マンガンを添加し撹拌する。150℃で、これらのモノマー成分は均一な溶融液体となる。ついで235℃まで徐々に昇温しながらメタノールを留出させる。
エステル反応終了後、トリメチルリン酸を加え、撹拌後に水を蒸発させる。さらに、二酸化ゲルマニウムのエチレングリコール溶液を添加後、反応物を重合装置へ仕込み、装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、装置内圧力を常圧から133Pa以下まで減圧し、エチレングリコールを留出させる。重合反応の進行に従って反応物の粘度が上昇する。所定の撹拌トルクとなった時点で反応を終了し、重合装置から樹脂を水槽へストランド状に吐出する。吐出された樹脂は水槽で急冷し、巻き取り後カッターでチップとする。得られた樹脂は95℃の温水が満たされた水槽に投入して5時間水処理を行う。水処理後、脱水機を用いて樹脂から水分を除去する。このようにして本発明の樹脂を得ることができるが、上記方法に限定されるわけではない。
本発明のフィルムの製膜方法については、公知の製膜方法を用いて製膜することができる。すなわち、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルション法、ホットプレス法などの製造方法が使用できるが、厚みムラ減少、異物削減の観点からT−ダイ法、流延法、ホットプレス法が好ましく使用できる。インフレーション法やT−ダイ法による製造法の場合、単軸あるいはニ軸押出しスクリューのついたエクストルーダ溶融押出し装置が使用できる。好ましくはL/D=25以上120以下のニ軸混練押出機が着色を防ぐため好ましい。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下での溶融混練あるいは窒素気流下での溶融混練を行うことが好ましい。特に本発明のポリエステル樹脂フィルムは非晶性であるため乾燥が難しいので、ベント式押出機は乾燥しなくても溶融押出しできるために好ましく用いられる。押出温度としては(ガラス転移温度Tg+80)〜(Tg+220)℃の範囲のいずれかの温度で行うことができる。キャスト方法は溶融した樹脂をギア―ポンプで軽量した後にTダイ口金から吐出させ、冷却されたドラム状に、密着手段である静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体に密着冷却固化させて室温まで急冷し、未延伸フィルムを得ることが好ましい。特に本発明のポリエステル樹脂フィルムでは良好な平面性や均一な厚み、光学特性が要求されるため、静電印加法が特に好ましく用いられる。
上記に記載の製膜方法により製造した未延伸フィルムを、(Tg−40)℃〜(Tg+40)℃の範囲のいずれかの温度で一軸延伸、ニ軸延伸などの方法で延伸することにより、位相差を付与したフィルムを得ることができる。二軸延伸の延伸方式は特に限定はなく、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの方法を用いることができる。延伸温度は好ましくは(Tg−30)℃〜(Tg+30)℃の範囲であり、より好ましくは(Tg−10)℃〜(Tg+20)℃の範囲である。延伸温度が高すぎると十分な位相差が得られないことがあり、低すぎるとフィルム破れが生じやすくなるため好ましくない。延伸倍率は、目的とした位相差に応じて決めることができる。例えば、波長550nmの光において、厚さ50μm以下および位相差137.5nm以上の樹脂フィルムを得るためには、1.5倍以上の延伸倍率であることが肝要である。延伸速度には特に限定はないが50〜10000%/分が好ましい。延伸速度が遅すぎると、十分な位相差が得られないことや生産性が低くなり、早過ぎるとフィルム破れが生じることがあるので好ましくない。
本発明のフィルムを延伸した後のフィルム厚みは5〜300μmであることが好ましい。より好ましくは7〜150μmであり、さらに好ましくは10〜80μmである。5μm未満の場合はフィルムのハンドリングが困難になることがあり、300μmを超える場合は光線透過率が低くなることがあり、また本発明の位相差フィルムを用いた液晶ディスプレイの薄型化、軽量化の観点で好ましくない。
本発明の光学用ポリエステルフィルムには、表面形成剤、加工性改善剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、核剤、可塑剤、防曇剤、着色剤、分散剤、赤外線吸収剤等の添加剤を添加することができる。
添加剤は無色であっても有色であっても構わないが、光学フィルムの特徴を損ねない為には無色透明であることが好ましい。表面形成を目的とした添加剤としては例えば、無機粒子ではSiO2、TiO2、Al2O3、CaSO4、BaSO4、CaCO3、カーボンブラック、フラーレン、ゼオライト、その他の金属微粉末等が挙げられる。また、好ましい有機粒子としては、例えば架橋ポリビニルベンゼン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、フッ素樹脂粒子等の有機高分子からなる粒子、あるいは、表面に上記有機高分子で被覆などの処理を施した無機粒子が挙げられる。
尚、上記した本発明の光学用フィルムは、位相差フィルムとして使用する以外にも、フィルムに2色性色素を添加し、偏光板とすることも可能である。また、形態は他の光透過性フィルムとの積層フィルムであっても構わない。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ガラス転移温度(Tg)
下記測定器を用いて測定した。
(1)ガラス転移温度(Tg)
下記測定器を用いて測定した。
装置:示差走査熱量計 DSC−7型(Perkin Elmer社製)
測定条件:窒素雰囲気下
測定範囲:25〜300℃
昇温速度:20℃/分
JIS−K7121(1987)の9.3項の中間点ガラス転移温度の求め方に従い、測定チャートの各ベースラインの延長した直線から縦軸補講に等距離にある直線と、ガラス単位の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度とした。
(2)光弾性係数(Cσ)
下記測定器を用いて測定した。
測定条件:窒素雰囲気下
測定範囲:25〜300℃
昇温速度:20℃/分
JIS−K7121(1987)の9.3項の中間点ガラス転移温度の求め方に従い、測定チャートの各ベースラインの延長した直線から縦軸補講に等距離にある直線と、ガラス単位の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度とした。
(2)光弾性係数(Cσ)
下記測定器を用いて測定した。
装置:セルギャップ検査装置 RETS−1200(大塚電子株式会社製)
サンプルサイズ:20mm×50mm
測定スポット径:φ5mm
光源:589nm
サンプルの厚みをd(nm)とし、長手方向の両端を挟み、長手方向に9.8×106Paの応力σ(Pa−1)をかけた。この状態で、位相差R(nm)を測定した。張力をかける前の位相差をR1、かけた後の位相差をR2とし、下の式を用いて光弾性係数Cσ(Pa−1)を計算した。
サンプルサイズ:20mm×50mm
測定スポット径:φ5mm
光源:589nm
サンプルの厚みをd(nm)とし、長手方向の両端を挟み、長手方向に9.8×106Paの応力σ(Pa−1)をかけた。この状態で、位相差R(nm)を測定した。張力をかける前の位相差をR1、かけた後の位相差をR2とし、下の式を用いて光弾性係数Cσ(Pa−1)を計算した。
Cσ=(R2―R1)/(σ×d)。
(3)R(450)/R(550)
下記測定器を用いて測定した。
(3)R(450)/R(550)
下記測定器を用いて測定した。
装置:自動複屈折計 KOBRA−21ADH/DSP (王子計測機器製)
測定径:φ5mm
測定波長:400〜800nm
波長x(nm)の時の位相差をR(x)(nm)と記載した。
測定径:φ5mm
測定波長:400〜800nm
波長x(nm)の時の位相差をR(x)(nm)と記載した。
また、R(450)(nm)、R(550)(nm)、R(650)(nm)の値は、次式のコーシーの式を用いて算出した。式のa〜dの算出に用いた波長は480.4nm、548.3nm、628.2nm、752.7nmの4つである。
R(λ)=a+b/λ2+c/λ4+d/λ6
実施例1
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル46.5質量部、トリシクロ[5,2,1,0 2,6]デカンジメタノール27.6質量部、9,9−ビス(4−(2ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン40.7質量部 エチレングリコール29質量部(ジカルボン酸成分の2倍モル)の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.06質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.02質量部加え、水を蒸発させた。
実施例1
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル46.5質量部、トリシクロ[5,2,1,0 2,6]デカンジメタノール27.6質量部、9,9−ビス(4−(2ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン40.7質量部 エチレングリコール29質量部(ジカルボン酸成分の2倍モル)の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.06質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.02質量部加え、水を蒸発させた。
二酸化ゲルマニウムを0.04質量部添加後、反応物を重合装置へ仕込み、装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、装置内圧力を常圧から真空へ減圧しエチレングリコールを留出させる。重合反応の進行にしたがって反応物の粘度が上昇し、所定の撹拌トルクとなった時点で反応を終了し、重合装置からポリエステルを水槽へ吐出した。吐出されたポリエステル樹脂は水槽で急冷後、カッターでチップとした。
得られたポリエステル樹脂のチップを減圧乾燥した後、次のようなホットプレス法を用いて製膜した。金属板の上にポリイミドフィルムを重ね、そのポリイミドフィルム上に内側の枠が8cm四方である金属の枠を重ねた。金属の枠内の中央部にチップ3.5gを乗せた。さらにポリイミドフィルムと金属板を重ね、270℃で2分間予熱の後、10kgf/cm2の圧力で15秒間プレスした。
プレス終了後、フィルムを挟んだ金属板を水につけてフィルムを冷却固化し、金属枠からフィルムを切り出した。
さらに切り出したフィルムを長方形に切り、長手方向の両端を保持して、110℃のオーブン中で、2.9倍の延伸倍率で一軸延伸を行い、厚み156μmのフィルムを得た。
ポリエステル樹脂のTg、光弾性係数、一軸延伸後のフィルムの波長分散性の結果を表1に示す。
その結果、光弾性係数が28×10−12Pa−1と低く、Tg100℃以上で逆分散性を示すフィルムが得られた。
実施例2〜6,比較例1〜3
原料組成比を変えた他は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
原料組成比を変えた他は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
測定した結果を表1に示す。
実施例2〜3は環式ジオール成分としてトリシクロ[5,2,1,0 2,6]デカンジメタノールを用いた例であり、得られたフィルムはいずれも光弾性係数が小さく、Tg100℃以上で逆分散性を示した。
実施例4〜6は環式ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールやスピログリコールを用いた例であり、得られたフィルムはいずれも光弾性係数が小さく、Tg100℃以上で逆分散性を示した。
比較例1は環式ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いた例であり、BPEF比率が小さいことから逆分散性を示さず、光弾性係数も大きく低Tgであった。
比較例2も環式ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いた例であり、1,4−シクロヘキサンジメタノール比率が小さいことから低Tgであった。
比較例3はポリエチレンテレフタレートであり、光弾性係数が大きく低Tgで逆分散性を示さなかった。
Claims (5)
- 化学式(2)においてnが1、o,pが1である請求項1記載の光学用ポリエステルフィルム。
- ジオール成分中に化学式(1)と、飽和脂環式1級ジオールまたは飽和ヘテロ環式1級ジオールを含有し、化学式(1)を15〜95mol%、飽和脂環式1級ジオールまたは飽和ヘテロ環式1級ジオールが残ジオール成分の50mol%以上であることを特徴とするポリエステルからなる光学用ポリエステルフィルム
- 光弾性係数Cσが−40×10−12Pa−1〜40×10−12Pa−1である請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステルからなる光学用フィルム。
- ガラス転移温度(Tg)が100℃以上である請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエステルからなる光学用フィルム。
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-
2007
- 2007-01-10 JP JP2007002604A patent/JP2007224281A/ja active Pending
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