JP2007222696A - マイクロ波反応用の触媒カラム及びそれを用いた分解処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロ波を利用した化学反応において、マイクロ波の有効照射面積を増やし、それによってマイクロ波反応を促進し、反応所要時間を短縮することが可能となる、マイクロ波反応用の触媒カラム及びそれを用いた有機ハロゲン化合物の分解処理方法を提供する。
【解決手段】マイクロ波反応用の触媒カラム(10)は、触媒接触面となる内壁(12)がマイクロ波透過性の耐熱性材料で構成され、かつ、導波路(14)が形成されている。前記の触媒カラム内に設けた触媒充填槽(13)に触媒を充填し、該触媒層に有機ハロゲン化合物を含む被処理液を流通し下方に排出すると共に、前記導波路(14)の上方からマイクロ波を照射し、有機ハロゲン化合物を分解する。
【選択図】図1
【解決手段】マイクロ波反応用の触媒カラム(10)は、触媒接触面となる内壁(12)がマイクロ波透過性の耐熱性材料で構成され、かつ、導波路(14)が形成されている。前記の触媒カラム内に設けた触媒充填槽(13)に触媒を充填し、該触媒層に有機ハロゲン化合物を含む被処理液を流通し下方に排出すると共に、前記導波路(14)の上方からマイクロ波を照射し、有機ハロゲン化合物を分解する。
【選択図】図1
Description
本発明は、マイクロ波反応用の触媒カラム及びそれを用いた有機ハロゲン化合物の分解処理方法に関する。
マイクロ波照射によって、一部の化学反応が促進或いは効率が向上する効果が得られることは知られているところであり、有機ハロゲン化合物の中でも特に難分解性のポリ塩化ビフェニール(以下PCBと略称することがある。)の分解においても、マイクロ波反応を利用した分解方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、PCBを微量含有する絶縁油に水素供与体を混合し、アルカリ化合物及び無機系触媒の存在下にマイクロ波を照射することにより、PCBを脱塩素化する方法が開示されている。特許文献2には、炭素結晶化合物及び担体に金属を担持させた化合物の中から選ばれる少なくとも1種の触媒をカラムに充填し、PCBと沸点100℃以下のアルコールとアルカリ化合物とを含む反応溶液を前記触媒を充填したカラムに流通させながら、該触媒充填カラムにマイクロ波を照射することにより、PCBを脱塩素化する方法が開示されている。
特許第3678738号公報
特許第3678740号公報
しかしながら、PCB等の分解効率を上げるために触媒量を増やして触媒層を厚くした場合、マイクロ波照射面より、ある程度の深さまではマイクロ波による反応促進効果が得られるが、それ以上の厚みにしてもマイクロ波が届き難くなるため、常温分解反応としてしか寄与できなくなり、結果的に分解反応が遅くなるという問題点があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、マイクロ波を利用した化学反応において、マイクロ波の有効照射面積を増やし、それによってマイクロ波反応を促進し、反応所要時間を短縮することが可能となる、マイクロ波反応用の触媒カラム及びそれを用いた有機ハロゲン化合物の分解処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、触媒カラムにおいて、触媒との接触面をマイクロ波透過性の耐熱性材料で構成し、かつ、耐熱性材料で構成された面にマイクロ波が照射されるように導波路を形成することにより、マイクロ波の有効照射面積が増えて反応促進効果が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、触媒との接触面の全部又は一部がマイクロ波透過性の耐熱性材料で構成され、かつ、導波路が形成されていることを特徴とするマイクロ波反応用の触媒カラムを提供する。前記のマイクロ波反応用の触媒カラムにおいては、触媒カラムの中央部に導波路が形成されていても良く、或いは、触媒カラム内を仕切板で仕切って形成した触媒非充填空間に導波路が形成されていても良いが、触媒カラムの外周面に触媒充填槽を設け、内部を触媒非充填空間とし、該触媒非充填空間を導波路として利用するのが良い。触媒カラムは、各種マイクロ波反応に利用可能であるが、有機ハロゲン化合物の分解反応に利用することにより、優れた効果を奏する。
また、本発明は、触媒接触面の全部又は一部がマイクロ波透過性の耐熱性材料で構成され、かつ、導波路が形成されていることを特徴とするマイクロ波反応用の触媒カラム内に触媒層を形成し、該触媒層に有機ハロゲン化合物を含む被処理液を流通すると共に、前記導波路の上方からマイクロ波を照射し、有機ハロゲン化合物を分解することを特徴とする分解処理方法を提供する。前記の分解処理方法においては、前記被処理液が有機ハロゲン化合物、水素供与体及びアルカリ化合物を含む混合液であることが好ましく、前記有機ハロゲン化合物がポリ塩化ビフェニールであることが好ましい。
本発明によれば、マイクロ波の有効照射面積が増え、触媒層全体にマイクロ波を当てることができるようになると共に、触媒との接触時間を長く保持することができるため、マイクロ波反応が促進されることによって、反応所要時間が短縮される。また、難分解性のPCBのマイクロ波分解反応を、従来よりも短時間で終了することができる。
本発明において、マイクロ波透過性の耐熱性材料は特に限定されるものではなく、マイクロ波を透過する材料であれば、セラミック;テフロン(登録商標)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンサルフォン(PPSU)、ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリエステル(LCP)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル等の耐熱性樹脂;ガラス等の双極子を持たない材料或いは双極子モーメントが小さい材料;等を用いることができる。これらの材料を介してマイクロ波が触媒層の奥まで伝達されるようになる。
次に、本発明に係るマイクロ波反応用の触媒カラム、及びそれを用いた分解処理方法について、図面を参照しつつ実施例により詳細に説明する。なお、図1〜7は、本発明に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示す説明図であり、図1〜3は触媒を充填していない状態、図4〜図7は触媒を充填した状態を示している。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示す外観図であり、本実施例では導波路が触媒カラム中央部に形成されている。図中、10は触媒カラム、11はカラム外壁、12はテフロン製の内壁、13は触媒充填槽、14は導波路であり、触媒カラムの底面には流通液を排出させるための図示しない多数の流通孔が形成されている。導波路14には触媒を充填しない。
図1は、本発明の実施例1に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示す外観図であり、本実施例では導波路が触媒カラム中央部に形成されている。図中、10は触媒カラム、11はカラム外壁、12はテフロン製の内壁、13は触媒充填槽、14は導波路であり、触媒カラムの底面には流通液を排出させるための図示しない多数の流通孔が形成されている。導波路14には触媒を充填しない。
触媒カラム10に矢印方向から照射されたマイクロ波は、触媒充填槽13に充填される触媒の上面に直接照射される他、導波路14及び内壁12を介して、触媒層の側面にも照射されるようになる。これにより、マイクロ波を上方から照射するのに比べて、照射面積を増やすことができ、出力されたマイクロ波を効率よく触媒に当てることができる。
また、図1の例では、少なくとも内壁12がマイクロ波を透過する耐熱性材料で形成されていれば良く、外壁11及び流通孔を設けた底面は、マイクロ波を透過する耐熱性材料で形成されていても良いし、金属(耐食性に優れた真鋳、銅、青銅などの材質が好ましい)あるいはステンレス等の耐熱性の材料で形成されていても良い。
また、図1の例では、二重円筒型の構造を例示したが、二重矩形型であっても良く、反応装置の設計に合わせて適宜の形状に設計することができる。
(実施例2)
図2は、本発明の実施例2に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示す外観図であり、本実施例では導波路が触媒カラム中央部に形成されている。図中、20は触媒カラム、21はカラム外壁、22はテフロン製の内壁、23は触媒充填槽、24は導波路であり、触媒カラムの底面には流通液を排出させるための図示しない多数の流通孔が形成されている。導波路24には触媒を充填しない。触媒触媒槽23は螺旋状の仕切板26で仕切られている。
図2は、本発明の実施例2に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示す外観図であり、本実施例では導波路が触媒カラム中央部に形成されている。図中、20は触媒カラム、21はカラム外壁、22はテフロン製の内壁、23は触媒充填槽、24は導波路であり、触媒カラムの底面には流通液を排出させるための図示しない多数の流通孔が形成されている。導波路24には触媒を充填しない。触媒触媒槽23は螺旋状の仕切板26で仕切られている。
触媒カラムに矢印方向から照射されたマイクロ波は、触媒充填槽に充填される触媒の上面に直接照射される他、導波路24及び内壁22を介して、触媒層の側面にも照射されるようになる。これにより、マイクロ波の照射面積を増やすことができ、出力されたマイクロ波を効率よく触媒に当てることができる。また、本実施例では、触媒層が螺旋状に形成されるので、触媒層を流通する溶液と触媒との接触時間を長く保持することができ、それにより、常温分解反応を促進できる効果を奏する。
また、図2の例では、少なくとも内壁22がマイクロ波を透過する耐熱性材料で形成されていればよいので、外壁21、仕切板26及び流通孔を設けた底面は、マイクロ波を透過する耐熱性材料で形成されていても良いし、金属(耐食性に優れた真鋳、銅、青銅などの材質が好ましい)あるいはステンレス等の耐熱性の材料で構成されていても良い。
(実施例3)
図3は、本発明の実施例3に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示す外観図であり、本実施例では、触媒カラム内を仕切板で仕切って形成した触媒非充填空間に、導波路が形成されている。図中、30は触媒カラム、31はカラム外壁、37はテフロン製の仕切板(図例は4枚)であり、33は触媒充填槽、34は導波路である。導波路34には触媒を充填しない。触媒カラムの底面には流通液を排出させるための図示しない多数の流通孔が形成されている。
図3は、本発明の実施例3に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示す外観図であり、本実施例では、触媒カラム内を仕切板で仕切って形成した触媒非充填空間に、導波路が形成されている。図中、30は触媒カラム、31はカラム外壁、37はテフロン製の仕切板(図例は4枚)であり、33は触媒充填槽、34は導波路である。導波路34には触媒を充填しない。触媒カラムの底面には流通液を排出させるための図示しない多数の流通孔が形成されている。
触媒カラムに矢印方向から照射されたマイクロ波は、触媒充填槽33に充填される触媒の上面に直接照射される他、導波路34及び仕切板37を介して、触媒層の側面にも照射される。これにより、マイクロ波の照射面積を増やすことができ、出力されたマイクロ波を効率よく触媒に当てることができる。
また、図3の例では、少なくとも仕切板37がマイクロ波を透過する耐熱性材料で形成されていればよいので、外壁31及び流通孔を設けた底面は、マイクロ波を透過する耐熱性材料で形成されていても良いし、金属(耐食性に優れた真鋳、銅、青銅などの材質が好ましい)あるいはステンレス等の耐熱性の材料で構成されていても良い。
(実施例4)
図4は、本発明の実施例4に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示す側面図である。本実施例では、導波路は触媒カラム中央部に形成されているが、触媒カラムの外周面に沿って触媒充填槽を設け、中央部を触媒非充填空間とし、該触媒非充填空間を導波路として利用する。
図4は、本発明の実施例4に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示す側面図である。本実施例では、導波路は触媒カラム中央部に形成されているが、触媒カラムの外周面に沿って触媒充填槽を設け、中央部を触媒非充填空間とし、該触媒非充填空間を導波路として利用する。
図中、40は触媒カラム(正方形)、41はカラム外壁、43aはテフロン板製の触媒充填槽(42はカラム内壁)、44は導波路であり、45はSUSメッシュフィルター等で形成された目皿板に多数設けられた流通液排出用の流通孔、46は多数の穴の開いたテフロン板である。導波路には触媒を充填しない。また、本実施例では、マイクロ波発振器1を取付けた構造体49にカラム40を固定し、構造体49に設けた供給口48から被処理液(実油)を入れるようになっている。
触媒充填槽は、テフロン板46の下のカラム底面全面(43b)と、テフロン板の上のカラムの周面全面(43a)とに、分離して設けられている。触媒充填槽43bは、目皿板の上に設置したメッシュシート等の上に触媒を充填することにより形成でき、該触媒充填槽に全触媒量の60%〜70%の触媒を収容する。
カラム内に入った被処理液は、配管47を介して、触媒充填槽43aに導入され、該触媒充填槽の上部から溢れ出た後、テフロン板46を通って触媒充填槽43bに到達し、該触媒充填槽内を流通した後、流通孔45から排出される。触媒カラム内に照射されたマイクロ波は、導波路44並びにテフロン板内壁42及びテフロン板46を介して、触媒充填槽に充填された2層の触媒に照射される。従って、触媒充填槽43aを設けることによって、触媒充填槽43bに充填する触媒の比率が減少し触媒層が薄くなることで、触媒層の奥までマイクロ波が届くようになる。さらに、触媒充填槽43aに充填する触媒にも、万遍なくマイクロ波を照射することができる。これにより、導波路を設けない場合に比べて、マイクロ波照射面積を増やすことができ、出力されたマイクロ波を効率よく触媒層に当てることができると共に、触媒層を流通する被処理液の触媒との接触時間を長く保持することができる。
また、図4の例では、外壁41、配管47及び流通孔を設けた底面は、マイクロ波を透過する耐熱性材料で形成されていても良いし、金属(耐食性に優れた真鋳、銅、青銅などの材質が好ましい)あるいはステンレス等の耐熱性の材料で構成されていても良い。
(実施例5)
図5は、本発明の実施例5に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示す側面図である。本実施例では、導波路は触媒カラム中央部に形成されているが、触媒カラムの外周面に沿って触媒充填槽を2槽設け、中央部を触媒非充填空間とし、該触媒非充填空間を導波路として利用する。
図5は、本発明の実施例5に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示す側面図である。本実施例では、導波路は触媒カラム中央部に形成されているが、触媒カラムの外周面に沿って触媒充填槽を2槽設け、中央部を触媒非充填空間とし、該触媒非充填空間を導波路として利用する。
図中、50は触媒カラム(円筒形)、51はカラム外壁、53a、53bはテフロン板製の触媒充填槽(52は内壁で、底面には流通孔が形成されている)、54は導波路であり、55はSUSメッシュフィルター等で形成された目皿板に多数設けられた流通液排出用の流通孔、56は多数の穴の開いたテフロン板である。導波路54には触媒を充填しない。触媒充填槽は、テフロン板の下のカラム底面全面(53c)と、テフロン板の上方のカラムの周面(53aと53b)とに、分離して設けられている。触媒充填槽53cは、6枚分割のテフロン板を適宜移動させて出来た隙間から充填することができ、該触媒充填槽に全触媒量の60%〜70%の触媒を収容する。また、本実施例では、マイクロ波発振器1を取付けた構造体59にカラム50を固定し、構造体59に設けた供給口58から被処理液(実油)を入れるようになっている。
カラム内に入った被処理液は、配管57を介して、触媒充填槽53aに導入され、該触媒充填槽の上部から溢れ出た後、触媒充填槽53bに導入され、該触媒充填槽の上部から溢れ出た後、テフロン板56を通って触媒充填槽53cに到達し、該触媒充填槽内を流通した後、流通孔55から排出される。触媒カラム内に照射されたマイクロ波は、導波路54並びにテフロン板内壁52及びテフロン板56を介して、触媒充填槽に充填された触媒に照射される。従って、触媒充填槽53a、53bを2段に設けることによって、触媒充填槽53cに充填する触媒の比率が減少し触媒層が薄くなることで、充填槽の奥までマイクロ波が届くようになる。さらに、触媒充填槽53a、53bに充填されている触媒にも、万遍なくマイクロ波を照射することができる。これにより、導波路を設けない場合に比べて、マイクロ波照射面積を増やすことができ、出力されたマイクロ波を効率よく被照射体に当てることができると共に、触媒層が3層に形成されるので、触媒層を流通する被処理液と触媒との接触時間を長く保持することができる。
また、図5の例では、外壁51、触媒充填槽53a、53bの内壁以外の部分及び流通孔を設けた底面は、マイクロ波を透過する耐熱性材料で形成されていても良いし、金属(耐食性に優れた真鋳、銅、青銅などの材質が好ましい)あるいはステンレス等の耐熱性の材料で構成されていても良い。
(実施例6)
図6は、本発明の実施例6に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示すものである。本実施例では、導波路は触媒カラム中央部に形成されているが、触媒カラムの外周面に沿って触媒充填槽を設け、中央部を触媒非充填空間とし、該触媒非充填空間を導波路として利用する。
図6は、本発明の実施例6に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示すものである。本実施例では、導波路は触媒カラム中央部に形成されているが、触媒カラムの外周面に沿って触媒充填槽を設け、中央部を触媒非充填空間とし、該触媒非充填空間を導波路として利用する。
図中、60は触媒カラム(正方形)、61はカラム外壁、62はテフロン製の内壁、63a、63bはそれぞれメッシュ袋に充填した触媒を設置するための触媒充填槽、64は導波路であり、65はSUSメッシュフィルター等で形成された目皿板に多数設けられた流通液排出用の流通孔、66は多数の穴の開いたテフロン板である。導波路64には触媒を充填しない。触媒充填槽は、カラム底面の目皿板の上(63b)と、カラム周面(63a)と、に連続して設けられており、63bに全触媒量の50〜60%を収容する。また、本実施例では、マイクロ波発振器1を取付けた構造体69にカラム60を固定し、カラム外壁に設けた供給口68から被処理液(実油)を入れるようになっている。
カラム内に入った被処理液は、最初に触媒充填槽63aに導入され、次いで、触媒充填槽63bを流通した後、底面に設けられた流通孔65から排出され、配管67を介して、触媒層入口の油面の高さに設計された出口から排出される。触媒カラム内に照射されたマイクロ波は、導波路64並びにテフロン板内壁62及びテフロン板66を介して、触媒充填槽に充填された触媒に照射される。従って、触媒充填槽63を底面及び周面に設けることによって、触媒層を薄く形成することができ、触媒層の奥までマイクロ波が届くようになり、触媒に万遍なくマイクロ波を照射することができる。これにより、導波路を設けない場合に比べて、マイクロ波照射面積を増やすことができ、出力されたマイクロ波を効率よく被照射体に当てることができると共に、触媒層が底面と周面とに形成されるので、触媒層を流通する被処理液と触媒との接触時間を長く保持することができる。
また、図6の例では、外壁61及び流通孔を設けた底面は、マイクロ波を透過する耐熱性材料で形成されていても良いし、金属(耐食性に優れた真鋳、銅、青銅などの材質が好ましい)あるいはステンレス等の耐熱性の材料で構成されていても良い。
(実施例7)
図7は、本発明の実施例7に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示すものであり、図7(a)は断面図、図7(b)は平面図である。本実施例では、導波路は触媒カラム中央部に形成されているが、触媒カラムの外周面に沿って触媒充填槽を8槽設け、中央部を触媒非充填空間とし、該触媒非充填空間を導波路として利用する。
図7は、本発明の実施例7に係るマイクロ波反応用の触媒カラムの概略構成を示すものであり、図7(a)は断面図、図7(b)は平面図である。本実施例では、導波路は触媒カラム中央部に形成されているが、触媒カラムの外周面に沿って触媒充填槽を8槽設け、中央部を触媒非充填空間とし、該触媒非充填空間を導波路として利用する。
図中、70は触媒カラム(正方形)、71はカラム外壁、72は多数の穴(触媒粒子が通らない程度の大きさ)の開いたテフロン製の仕切板、73a〜73hは触媒充填槽(第1槽〜第8槽)、76は蓋である。74は導波路であり、導波路には触媒を充填しない。触媒充填槽は、カラム周面に沿って、8槽の独立した槽が、それぞれテフロン製仕切板72によって形成されている。また、本実施例では、マイクロ波発振器1を取付けた構造体79にカラム70を固定し、第1槽の側面に設けた供給口77から被処理液(実油)を入れるようになっている。
カラム内に入った被処理液は、触媒充填槽第1槽(73a)に導入され、該触媒充填槽内を流通すると共に、隣接する触媒槽第2槽(73b)に、仕切板に設けられた孔を介して流通する。流通後の被処理液は、順次、第3槽(73c)から第7槽(73g)内を流通した後、第8槽(73h)に設けられた、入口77によりも低所に設けられた出口78から排出される。触媒カラム内に照射されたマイクロ波は、導波路74並びにテフロン製仕切板72を介して、触媒充填槽73a〜73hに充填された触媒に照射される。従って、触媒充填槽73を側面に設けることによって、触媒層を薄く形成することができ、触媒層の奥までマイクロ波が届くようになり、触媒に万遍なくマイクロ波を照射することができる。これにより、マイクロ波照射面積を増やすことができ、出力されたマイクロ波を効率よく触媒層に当てることができる。また、本実施例では、触媒層が全周面に形成されており、第2、5、7槽では仕切板を介して触媒層が2層に形成され、また、第2、4、6槽にも触媒を充填できるので、触媒層に万遍なくマイクロ波を照射することができる。なお、第8槽は触媒を充填しても良いし、触媒を充填せずに微細な触媒屑のトラップ槽として使用すればフィルターが不要になる。
また、図7の例では、外壁71及び流通孔を設けた底面は、マイクロ波を透過する耐熱性材料で形成されていても良いし、金属(耐食性に優れた真鋳、銅、青銅などの材質が好ましい)あるいはステンレス等の耐熱性の材料で構成されていても良い。
(実施例8)
次に、本発明に係るマイクロ波反応用の触媒カラムを用いて有機ハロゲン化合物を分解する分解処理方法を説明する。
次に、本発明に係るマイクロ波反応用の触媒カラムを用いて有機ハロゲン化合物を分解する分解処理方法を説明する。
本発明の触媒カラムを用いて分解処理する場合は、触媒カラム内に設けた触媒充填槽に触媒を充填し、該触媒充填槽に有機ハロゲン化合物を含む被処理液を流通すると共に、導波路の上方からマイクロ波を照射し、有機ハロゲン化合物を分解処理する。有機ハロゲン化合物を含む被処理液としては、水素供与体、アルカリ化合物、または溶媒などを少なくとも1種含み、有機ハロゲン化合物の分解用に供される種々の溶液を使用することができるが、有機ハロゲン化合物、水素供与体及びアルカリ化合物を含む混合液が好適である。かかる混合液を流通させることによって、難分解性のPCBを短時間で分解処理することができるからである。有機ハロゲン化合物は、高濃度品であっても、油(鉱油、電気絶縁油、熱媒体用の油、潤滑油)等に微量ないし少量含まれている低濃度品であってもよく、また、有機ハロゲン化合物としてはPCBのほか、ダイオキシン類等を挙げることができる。以下、PCBの分解処理を例に説明する。
分解処理を実施する場合は、PCBを含む絶縁油に、水素供与体としてイソプロピルアルコールを絶縁油比20%程度、アルカリ物質としてKOHを絶縁油比1%程度を添加して混合液を調製する。別途、触媒カラムを用意し、触媒としてPd5%担持活性炭を充填し、触媒媒層を形成する。次に、調製された混合液を、触媒カラム内に調製された触媒層に導入し、触媒層を流通させた後、流通孔を介して排出させる。この際、触媒層の上方からマイクロ波を照射すると、触媒層を流通する混合液は、照射されるマイクロ波によって加熱された触媒と接触するので、非加熱の場合よりも速やかに有機ハロゲン化合物が分解する。
分解処理は、有機ハロゲン化合物が所定の濃度以下になるまで実施すればよいので、マイクロ波照射は必要に応じて行えばよく、その回数や時期、照射時間は限定されない。照射するマイクロ波の出力や周波数、照射方法は、特に限定されるものではなく、反応温度が所定の範囲に保持できるよう電気的に制御すればよいが、出力が低すぎる場合は分解効率が低下し、出力が高すぎる場合はマイクロ波の利用率が悪くなるため、電気的に制御しながら10W〜20kWの範囲にするのが良い。マイクロ波の周波数は1〜300GHzが望ましく、1GHz未満又は300GHzを超える周波数範囲では、触媒や水素供与体の加熱が不十分となる。マイクロ波の照射は連続照射、間欠照射のいずれの方法であってもよいが、電気的に制御しながら連続照射するのが好ましい。マイクロ波発振器としては、マグネトロン等のマイクロ波発振器や、固体素子を用いたマイクロ波発振器等を適宜用いることができる。
分解反応は不活性ガス中で行うことが、望ましくない副反応が起きないので好ましいが、自然雰囲気中で反応を行うこともできる。
触媒層の反応温度は200℃以下に維持することが好ましく、より好ましくは100℃以下、特に好ましくは15〜80℃の範囲である。反応温度15℃以上であれば分解反応が進行するか、一方、200℃を超える場合は副生物が生成し易くなり、経済性にも劣るものとなる。
触媒は有機ハロゲン化合物の分解触媒であればその種類は特に限定されないが、PCBの脱ハロゲン化反応を促進でき、触媒寿命が長く、かつ、アルカリ化合物存在下でも安定な触媒が好ましい。具体的には、複合金属酸化物、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物、金属担持複合金属酸化物及び金属酸化物等が好ましく、中でも、アルカリ性雰囲気で安全性が高い点より、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物が好ましい。特に、マイクロ波吸収性の高い金属担持炭素化合物が好ましい。これらの触媒は、単独で又は二種以上を任意に組合せて使用することができる。これらの再生触媒を使用してもよい。
前記の炭素結晶化合物としては、グラファイト、カーボンナノチューブ(金属を含むものと含まないものの双方が含まれる)、フラーレン等が挙げられる。
前記の金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物は、金属を担持した炭素化合物等であれば限定はされないが、その金属担持量が、触媒全量に対して0.1〜20wt%、より好ましくは0.1〜10wt%であるのがよい。担持される金属としては、例えば、鉄、銀、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム等が挙げられるが、脱ハロゲン化効率を高める観点より、パラジウム、ルテニウム、白金が好ましい。金属担持炭素化合物の具体例としては、例えば、Pd/C(パラジウム担持炭素化合物)、Ru/C(ルテニウム担持炭素化合物)、Pt/C(白金担持炭素化合物)等が挙げられる。金属担持酸化物の具体例としては 例えば、Pd/TiO2(パラジウム担持2酸化チタン)等が挙げられる。金属担持複合酸化物の具体例としては、例えば、Pd/SiO2・Al2O3(パラジウム担持シリカ−アルミナ)等が挙げられる。
上記の触媒は、粒状のものでもハニカム状のものでもよい。粒状の場合はカラムの上下をメッシュ等で固定する必要があり、その場合の粒子径は75μm〜10mmが好ましい。触媒粒子は、できるだけ粒子径のそろったものがよい。
また、水素供与体としては、例えば、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物及び脂環式化合物等の有機系水素供与体が挙げられるが、安全性の観点より、アルコール系化合物、ケトン系化合物及び脂環式化合物が好ましく、安全性が高く低コストで入手可能であり、しかも反応制御が容易でPCB分解効率が高い点より、アルコール系化合物が特に好ましい。これらの水素供与体は、単独で又は二種以上を任意に組合わせて使用しても良い。アルコール系化合物は、脂肪族アルコール、芳香族アルコールのいずれであってもよいが、これらの中でも、分解効率の点から2−プロパノール、シクロヘキサノールが特に好ましい。
また、アルカリ化合物としては、有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を促進しうるものであれば限定されないが、脱ハロゲン化効率を高める観点より、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水酸化カルシウム等が好ましく、これらの中でも、コストやハンドリング性の観点より、苛性ソーダ、苛性カリが特に好ましい。アルカリ化合物は、単独で又は二種以上を任意に組合わせて使用しても良い。
上記の水素供与体とアルカリ化合物を事前にプレ攪拌して、アルカリ化合物を水素供与体に溶解させたものを用意し、これと、有機ハロゲン化合物とを混合しても良い。
なお、水素供与体は、通常、低濃度の有機ハロゲン化合物を含む油等に対しては容量比で5〜50%、高濃度の有機ハロゲン化合物に対しては容量比で50〜1000倍用いることが好ましく、アルカリ化合物は、通常、有機ハロゲン化合物に対して1.0〜1.5倍当量用いることが好ましい。
上記の分解処理方法によれば、有機ハロゲン化合物を迅速に分解できる。
以上、実施例を用いて本発明を説明したが、上記の実施例は本発明に係る一実施例を示すものであり、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
本発明に係るマイクロ波反応用の触媒カラムは、有機ハロゲン化合物を始めとする各種化合物の分解反応のほか、合成反応(酸化、還元、転位、重合)、抽出等の種々の化学反応に利用することができる。また、本発明の分解処理方法を用いてPCBを含む絶縁油を分解処理した場合などは、分解処理後の油を回収し、後処理することにより、燃料などとして再利用することができるので、その実用的価値は大である。
1 :マイクロ波発振器
10、20、30、40、50、60、70:触媒カラム
11、21、31、41、51、61、71:カラム外壁
12、22、42、52、62 :カラム内壁
13、23、33、43、53、63、73:触媒充填槽
14、24、34、44、54、64、74:導波路
45、55、65、75 :流通孔
46、56、66 :穴の開いたテフロン板
26、37、72 :仕切板(テフロン板)
48、58、68、77 :供給口
10、20、30、40、50、60、70:触媒カラム
11、21、31、41、51、61、71:カラム外壁
12、22、42、52、62 :カラム内壁
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26、37、72 :仕切板(テフロン板)
48、58、68、77 :供給口
Claims (7)
- 触媒との接触面の全部又は一部がマイクロ波透過性の耐熱性材料で構成され、かつ、導波路が形成されていることを特徴とするマイクロ波反応用の触媒カラム。
- 触媒カラムの中央部に導波路が形成されている、請求項1に記載のマイクロ波反応用の触媒カラム。
- 触媒カラムの外周面に沿って触媒充填槽を設け、中央部を触媒非充填空間とし、該触媒非充填空間を導波路として利用する、請求項1又は2に記載のマイクロ波反応用の触媒カラム。
- 触媒カラム内を仕切板で仕切って形成した触媒非充填空間に導波路が形成されている、請求項1に記載のマイクロ波反応用の触媒カラム。
- 前記マイクロ波反応が有機ハロゲン化合物の分解反応である、請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロ波反応用の触媒カラム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の触媒カラム内に触媒層を形成し、該触媒層に有機ハロゲン化合物を含む被処理液を流通すると共に、前記導波路の上方からマイクロ波を照射し、有機ハロゲン化合物を分解することを特徴とする分解処理方法。
- 前記被処理液が有機ハロゲン化合物、水素供与体及びアルカリ化合物を含む混合液で、前記有機ハロゲン化合物がポリ塩化ビフェニールである、請求項6に記載の分解処理方法。
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