JP2007212438A - 癌診断剤および癌診断用キット - Google Patents

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勉 清藤
Akihiko Takeda
明彦 竹田
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Abstract

【課題】癌、特に大腸癌および胃癌をより正確に診断するための新規マーカーを見出し、これを利用した癌診断剤および癌診断用キット、並びに癌の重篤度の評価方法および予後診断方法を提供すること。
【解決手段】テネイシンC高分子スプライシングバリアントを認識する抗体を含有することを特徴とする癌診断剤及および癌診断用キット並びに癌の重篤度の評価方法および予後診断方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、癌の診断に利用することのできる癌診断剤、癌診断用キットおよび癌の重篤度の評価方法または予後診断方法に関する。より詳細には大腸癌、胃癌等の消化器癌の診断に利用することのできる診断剤および診断用キット、および上記癌の重篤度の評価方法および予後診断方法に関する。
現在、様々な腫瘍マーカーが報告されており、大腸癌や胃癌のマーカーとしては癌胎児性抗原(CEA)や糖鎖抗原(CA19−9)といったマーカーが報告されている。
しかしながらこれらのマーカーを指標とした場合は、その偽陽性率が高いことなどが問題とされており、より臨床所見と相関の高いマーカーが望まれていた。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、その目的は、癌、特に大腸癌、胃癌等の消化器癌をより正確に診断するための新規マーカーを見出し、これを利用した癌診断剤および癌診断用キットや、癌の重篤度の評価方法および予後診断方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、癌と関連を有するマーカーについて、鋭意検索を行った結果、癌間質などの組織再構築部位に特異的に発現するテネイシンCの高分子スプライシングバリアントと、大腸癌および胃癌とが密接な関係があることを見出した。そしてこのテネイシンC高分子スプライシングバリアント量を、テネイシンC高分子スプライシングバリアントを認識する抗体を利用した診断剤や診断用キットで測定することにより、これらの癌の診断等に使用できることを見出した。また、前記テネイシンC高分子スプライシングバリアント量が前記癌の重篤度や手術的根治度と相関があることも見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下のとおりのものである。
(1)テネイシンC高分子スプライシングバリアントを認識する抗体を含有することを特徴とする癌診断剤。
(2)テネイシンC 高分子スプライシングバリアントを認識する抗体が、次の抗体(a)または(b)である(1)に記載の癌診断剤。
(a)テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位内
を認識する抗体
(b)テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位よ
りNアミノ末端側を認識する抗体
(3)抗体(a)が、テネイシンC のフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位のBCDドメインを認識する抗体である(2)に記載の癌診断剤。
(4)抗体(b)が、テネイシンCの上皮成長因子様ドメインを認識する抗体である(2)に記載の癌診断剤。
(5)癌が消化器癌である、(1)〜(4)に記載の癌診断剤。
(6)消化器癌が大腸癌または胃癌である、(5)に記載の癌診断剤。
(7)テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位内を認識する第一の抗体を含む第一の試薬と、テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位よりNアミノ末端側を認識する第二の抗体を含む第二の試薬とを含有することを特徴とする癌診断用キット。
(8)第一の試薬が固相化された第一の抗体を含む試薬であり、第二の試薬が標識された第二の抗体を含む試薬である(7)に記載の癌診断用キット。
(9)癌が消化器癌である、(7)または(8)に記載の癌診断用キット。
(10)消化器癌が大腸癌または胃癌である、(9)に記載の癌診断用キット。
(11)患者の体液中のテネイシンC高分子スプライシングバリアント量を測定することを特徴とする癌の重篤度の評価方法。
(12)癌が消化器癌である、(11)に記載の癌の重篤度の評価方法。
(13)消化器癌が大腸癌または胃癌である、(12)に記載の癌の重篤度の評価方法。
(14)患者の体液中のテネイシンC高分子スプライシングバリアント量を測定することを特徴とする癌の予後判定方法。
(15)癌が消化器癌である、(14)に記載の癌の予後判定方法。
(16)消化器癌が大腸癌または胃癌である、(15)に記載の癌の予後判定方法。
本発明の診断剤や診断キットによれば、癌、特に消化器癌の重篤度や予後と関連のあるテネイシンC高分子スプライシングバリアントの発現量を測定することができる。
従って、本発明の診断剤や診断キットは、消化器癌等の癌の診断はもとより、その重篤度の判定や予後の評価に有利に利用することができる。
本発明の癌診断剤(以下、「本発明診断剤」という)は、癌の新規マーカーとしてテネイシンC高分子スプライシングバリアントを利用し、これを検出、測定するものである。
上記診断剤において、検出、測定の対象となるテネイシンC高分子スプライシングバリアントは、テネイシンC(Tenascin−C)中にあるフィブロネクチンIII様ドメインがスプライシングされた結果生じるバリアントである。このテネイシンCは、細胞外マトリックス糖タンパク質の1種であり、分子量約25万以上のポリペプチドがN末端付近で、3分子でコイル上に合わさり、更に、2つのジスルフィド結合によって6量体を形成しているものである。各ポリペプチド鎖にはN末端側から、TAドメイン、上皮増殖因子様ドメイン、フィブロネクチンIII様ドメイン、フィブリノーゲン様ドメインが含まれている(Jones F.S.et al.,(2000)Dyv Dyn 208:235−259)。
このうち、フィブロネクチンIII様ドメインは、基本的な8個の配列(1−8)が反復しており、その5番目と6番目との間に、9個のスプライシングされる反復配列(A1−A4、B、AD2、AD1、C、D)が選択的スプライシング部位として存在する。テネイシンC高分子スプライシングバリアントは、この反復配列が7個(A1、A2、A3、A4、B、C、D)挿入されるもの、7個がさまざまな組み合わせで挿入されるもの、または全く挿入されないものが大部分であろうとされている。このうち、癌などの病変組織では7個のドメインが入ったものが多く発現しており、後半の3つの反復(B、C、D)が癌間質に比較的特異的であると考えられる。他方、選択的スプライシング部位は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)で切断されやすい部位であることが知られており、この部位のエピトープを測定に使用することにより、分子構造の保たれたテネイシンC高分子スプライシングバリアントのみを測定することができると考えられる。
本発明診断剤で用いる、テネイシンC高分子スプライシングバリアントを認識する抗体(以下、「抗テネイシンバリアント抗体」という)は、上記の分子構造の保たれたテネイシンC高分子スプライシングバリアントを測定することができるものである。この抗体は、上記のいずれかのテネイシンC高分子スプライシングバリアントまたはこれから得られるペプチド断片等を抗原として使用し、抗体産生の常法に従って製造されるものであり、テネイシンC高分子スプライシングバリアントを測定可能なものであれば、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であっても良く、特に制限されない。
上記抗テネイシンバリアント抗体の製造において、抗原として用いられるテネイシンC高分子スプライシングバリアントまたはこれから得られるペプチド断片等としては、例えば、テネイシンCを産生している組織もしくは培養細胞から抽出したもの、前記培養細胞の培養液中のテネイシンCを濃縮・精製したもの、あるいはこれらのテネイシンCをプロテアーゼ等の酵素もしくは化学的に断片化したものが挙げられる。また、ヒトやマウスのテネイシンCのアミノ酸配列や塩基配列(Accession No.:X56160、D90343)等から、認識させたい特定の部位をコードするcDNAに一致するポリヌクレオチドを作製し、これを常法によりベクターに組み込み、このベクターを用いて大腸菌等の宿主微生物もしくは培養細胞を形質転換し、この大腸菌等の宿主微生物・培養細胞を培養して産生させたリコンビナントタンパク質や上記配列から特定の部位のアミノ酸配列に一致したポリペプチドを合成した後ニッケルカラム等で精製したもの等も挙げられる。
本発明で使用する抗テネイシンバリアント抗体は、例えば、次のようにして製造することができる。まず上記したテネイシンC高分子スプライシングバリアントまたはこれから得られるペプチド断片等を抗原とし、常法により、ウサギ、マウス等の動物を免疫する。次いで、このように免疫した動物から脾細胞を取得し、この脾細胞とマウスミエローマ細胞とを融合し、限界希釈法により目的とするクローンをクローニングすることによりハイブリドーマ細胞を得ることができる。この抗体産生細胞とミエローマ細胞との融合は、例えばポリエチレングリコール等の高濃度ポリマー溶液中で行うことができる。最後に、上記のようにして得られた融合細胞を培養することにより、抗テネイシンバリアント抗体を得ることができる。
なお、上記の動物の免疫において、ペプチドを抗原として用いる場合には、エピトープのはっきりとしたモノクローナル抗体を作製することが可能である。また、動物に免疫を行う際に、内在性のテネイシンCの影響を除くために、テネイシンC遺伝子欠損マウスを使用することが好ましい。そのような遺伝子欠損マウスを用いることにより、種交差性の高いモノクローナル抗体を得ることが期待できる。更に、この際に融合細胞の選択は公知のHAT(ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン)選択法を用いて行うことが好ましく、ミエローマ細胞としては、融合した細胞を選択する方法が確立されている、HGPRT(Hypoxanthin−guanin phosphoribosyl transferase)欠損株を用いることが好ましい。このHGPRT欠損株のミエローマ細胞は、代謝系の欠損のためにアミノプテリン非存在下では生存できないが、融合したハイブリドーマ細胞では、脾細胞よりHGPRTが供給されるために、HAT培地中で生存することができ、その結果非融合細胞と容易に分離することができる。更に、限界希釈法によりHAT培地中で増殖するものの抗体を産生しないクローンを除くことにより、クローニングを確立することができる。
また、得られたハイブリドーマ細胞の産生する抗体が、目的とする適当な部位を認識しているかどうかは、前記のように作製されたテネイシンC高分子スプライシングバリアントまたはこれから得られるペプチド断片等とウエスタンブロット法等を用いることにより、確認することが可能である。もしくは、プロテアーゼを用い酵素的にテネイシンCの断片を作製し、反応するポリペプチドのアミノ酸解析を行い、認識する部位を決定することなどを行うこともできる。
具体的に本発明診断剤で用いる、テネイシンC高分子スプライシングバリアントを測定することのできる抗体の好ましい例としては、次のような抗体を挙げることができる。
(a)テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位内
を認識する抗体
(b)テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位よ
りNアミノ末端側を認識する抗体
具体的に、テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位内を認識する抗体(抗体(a))を作製する場合には、例えば、次のようにすればよい。すなわち、前記選択的スプライシング部位内のいずれかのドメイン、好ましくは選択的スプライシング部位内のBCDドメインをコードするcDNAのポリヌクレオチドをPCR法により作製し、これをpQEベクター等のベクターに組み込む。次いでこのベクターを大腸菌等の宿主微生物に導入し、この宿主微生物をLB培地で培養してリコンビナントタンパク質を産生させる。次いで、このリコンビナントタンパク質を上記した方法により動物に免役し、この動物から得られた脾細胞とマウスミエローマ細胞を融合させハイブリドーマ細胞を作製する。このハイブリドーマ細胞の産生する抗体の認識部位を、上記免疫に用いたリコンビナントタンパク質を用いてクローニングする。最後に、このハイブリドーマ細胞を常法により培養することによって抗体(a)が得られる。
また、具体的に、テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位よりNアミノ末端側を認識する抗体(抗体(b))を作製する場合には、例えば、次のようにすればよい。すなわち、ヒト神経膠芽細胞腫培養細胞U−251MGの培養液からゲルろ過カラムとイオン交換カラムを用いて精製されたヒトテネイシンCを抗原として上記した方法により動物に免疫し、この動物から得られた脾細胞と、マウスミエローマ細胞を融合させハイブリドーマ細胞を作製する。次いで、このハイブリドーマ細胞のうち、テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位よりNアミノ末端側、すなわち、TAドメイン、上皮増殖因子様ドメイン等、好ましくは上皮増殖因子様ドメインを認識する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を、例えば前記ドメインのリコンビナントタンパク質やその断片等を用いてクローニングする。最後に、このハイブリドーマ細胞を培養することによって抗体(b)が得られる。
以上のようにして得られるテネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位内を認識する抗体(a)(クローン名:19C4MS)とテネイシンCの選択的スプライシング部位のN末端側を認識する抗体(クローン名:4F10TT)を産生するハイブリドーマ細胞(Human Tenascin−C Hybridoma 19C4MSおよびHuman Tenascin−C Hybridoma 4F10TT)をそれぞれFERM P−19064およびFERM P−19063として、平成14年10月10日付で独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(郵便番号305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託した。
上記の寄託したハイブリドーマ細胞19C4MSは、テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位のBCDドメインを認識する抗体を産生するものであり、ハイブリドーマ細胞4F10TTはテネイシンCの上皮成長因子様ドメインを認識する抗体を産生するものである。
上記の様にして得られるハイブリドーマ細胞を公知の方法により培養して、精製することにより、本発明診断剤で用いられるモノクローナル抗体を得ることができる。ハイブリドーマ細胞の培養は、培地中で培養することにより行うことが好ましい。また、マウス腹腔内にハイブリドーマ細胞を注射し、腹水からモノクローナル抗体を採取することもできる。このようにして得られたモノクローナル抗体は、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過法、硫安塩析法等の常法により精製することができる。
また、これらの抗体は必要により標識することができる。この標識物質としては、西洋わさびペルオキシダーゼ(以下「HRP」と言う)、アルカリフォスファターゼ等の酵素、フルオレセインイソシアネート、ローダミン等の蛍光物質、32P、125I等の放射性物質、化学発光物質などが挙げられる。
かくして得られる抗体(a)および抗体(b)を含有する本発明診断剤は、下記の免疫学的測定方法に用いることができる。
以上説明した抗体を利用する具体的な免疫学的測定方法としては、放射性同位元素免疫測定法(RIA法)、ELISA法(Engvall, E, Methods in Enzymol, 70, 419−439(1980))、蛍光抗体法、プラーク法、スポット法、凝集法、オクタロニー(Ouchterlony)等の、一般の免疫化学的測定法において使用されている種々の方法(「ハイブリドーマ法とモノクローナル抗体」、株式会社R&Dプランニング発行、第30頁−第53頁、昭和57年3月5日)を挙げることができる。そして、これらの方法は種々の観点から適宜選択することができるが、感度、簡便性等の点からはELISA法が好ましい。
より具体的に、テネイシンC高分子スプライシングバリアントの測定について、ELISA法の一つであるサンドイッチ法を例にとってその手順を説明すれば次の通りである。すなわち、まず、本発明の抗体(a)を担体に固相化し(工程(A))、次いで、抗体が固相化されていない担体表面を抗原と無関係な、例えばタンパク質により、ブロッキングする(工程(B))。更に、これに各種濃度のテネイシンC高分子スプライシングバリアントを含む検体を加え、テネイシンC高分子スプライシングバリアント−抗体複合体を生成させた後(工程(C))、標識した抗体(b)を加え、固相化抗原−抗体複合体と結合させ(工程(D))、最後に、標識量を測定することにより、予め作成した検量線から検体中のテネイシンC高分子スプライシングバリアントの量を決定することができる(工程(E))。
まず、工程(A)において、抗体を固相化するために用いられる担体としては、特別な制限はなく、免疫化学的測定法において常用されるものをいずれも使用することができる。例えば、ポリスチレン製の96穴マイクロタイタープレートあるいは、アミノ基結合型のマイクロタイタープレートが挙げられる。また、抗体を固相化させるには、例えば、抗体を含む緩衝液を担体上に加え、インキュベーションすればよい。緩衝液としては公知のものが使用でき、例えば10mMのPBSを挙げることができる。緩衝液中の抗体の濃度は広い範囲から選択できるが、通常0.01〜100μg/ml程度、好ましくは0.1〜20μg/mlが適している。また、担体として96ウェルのマイクロタイタープレートを使用する場合には、300μl/ウェル以下で20〜150μl/ウェル程度が望ましい。更に、インキュベーションの条件にも特に制限はないが、通常4℃程度で一晩のインキュベーションが適している。
また、工程(B)のブロッキングは、抗体を固相化した担体において、後に添加する検体中のテネイシンC高分子スプライシングバリアントが抗原抗体反応とは無関係に吸着される部分が存在する場合があるので、それを防ぐ目的で行う。ブロッキング剤としては、例えば、BSAやスキムミルク溶液を使用できる。あるいは、ブロックエース(Block−Ace:大日本製薬製(コードNo.UK−25B))等の市販のブロッキング剤を使用することもできる。具体的には、限定されるわけではないが、例えば抗原を固相化した部分に、ブロックエースを適量加え、約4℃で、一晩のインキュベーションをした後、緩衝液で洗浄することにより行われる。
次いで工程(C)において、テネイシンC高分子スプライシングバリアントを含む検体を固相化抗体と接触させ、固相化抗体でテネイシンC高分子スプライシングバリアントを捕捉し、固相化抗体−テネイシンC高分子スプライシングバリアント複合体を生成させる。反応は限定されるわけではないが、37℃程度で約1時間行えばよい。反応終了後、緩衝液で担体を洗浄し、未反応のタンパク質等を除去させることが好ましい。この反応に用いる緩衝液としては、10mMのPBS(pH7.2)および0.05%(v/v)のTween20の組成のものが好ましい。
更に工程(D)において、固相化抗体に捕捉されたテネイシンC高分子スプライシングバリアントの別のエピトープを認識する、標識抗体を加え、固相化抗体−テネイシンC高分子スプライシングバリアント−標識抗体複合体を形成させる。この反応終了後、緩衝液で担体を洗浄し、未反応のタンパク質等を除去させることが好ましい。この反応に用いる緩衝液としては、前記したものが使用される。この工程(D)において使用される標識抗体の量は、担体に結合した固相化抗体に対して約5000〜10000倍、好ましくは最終吸光度が1.0〜1.5となるように希釈した標識抗体を反応させるのが望ましい。希釈には緩衝液を用いることができ、反応は限定されるわけではないが、約4℃で約30分間行い、反応後、緩衝液で洗浄することが好ましい。以上の反応により、担体に抗体−テネイシンC高分子スプライシングバリアント−標識抗体複合体を結合することができる。
最後に工程(E)において、固相化抗体−テネイシンC高分子スプライシングバリアント−標識抗体複合体の標識物質と反応する発色基質溶液を加え、吸光度を測定することによって検量線からテネイシンC高分子スプライシングバリアントの量を算出することができる。
標識抗体の標識物としては、前記したものが利用できるが、標識物として酵素であるペルオキシダーゼを使用する場合には、例えば、過酸化水素と3,3’,5,5’−テトラメチルベンジン(以下「TMB」という)を含む発色基質溶液を使用することができる。発色反応は、限定されるわけではないが、発色基質溶液を加え約25℃で約20分間反応させた後、2Nの硫酸を加えて酵素反応を停止させことにより行うことができる。TMBを使用する場合、発色は450nmの吸光度により測定する。一方、標識物として、酵素であるアルカリホスファターゼを使用する場合には、p−ニトロフェニルリン酸を基質として発色させ、2NのNaOHを加えて酵素反応を止め、415nmでの吸光度を測定する方法が適している。なお、既知の濃度のテネイシンC高分子スプライシングバリアントを添加した反応液の吸光度により予め作成しておいた検量線を用いて、検体中のテネイシンC高分子スプライシングバリアントの濃度を算出できる。
本発明診断剤を用いて上記のような測定を行うためには、テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位内を認識する抗体(抗体(a))を含む第一の試薬と、テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位よりNアミノ末端側を認識する抗体(抗体(b))を含む第二の試薬とを含有させた癌診断用キット(以下、「本発明キット」という)を利用すればよい。
より好ましい本発明キットの例としては、本発明の抗体(a)を担体上に固相化し、本発明の抗体(b)を上記した標識物質で標識化したキットを利用することが好ましい。このような本発明キットとしては、上記のようにして作製したものの他に、例えば、株式会社免疫生物研究所から市販されているHuman Tenascin−C High Molecular Weight Variants Assay Kit(L)−IBL(製品番号27751)を利用することもできる。
上記のように作製された本発明キットは、テネイシンC高分子スプライシングバリアントを定量できるものである。これを用いて血清、EDTA血漿等の体液中のテネイシンC高分子スプライシングバリアントを定量すれば癌の診断、重篤度の評価、予後判定等を行うことができる。
本発明キットを用いて癌の診断を行うには、まず、被験者から採取した体液を試料とし、この中のテネイシンC高分子スプライシングバリアントを定量する。次に、被験者の体液中のテネイシンC高分子スプライシングバリアント量と健常者の体液中のテネイシンC高分子スプライシングバリアント量の平均値と比べる。そして被験者の体液中のテネイシンC高分子スプライシングバリアント量が高い場合には癌と診断することができる。また、前記診断のためにカットオフ値を設ける場合には、例えば、平均値+2x標準偏差をカットオフ値として、この値より被験者の体液中のテネイシンC高分子スプライシングバリアント量が高い場合には癌、低い場合には健常と判断する。
また、本発明キットを用いて癌の重篤度の評価を行うには、上記診断と同様にして定量されたテネイシンC高分子スプライシングバリアント量が、平均値+2x標準偏差をカットオフ値とした場合、このカットオフ値を超え経時的な測定により増加していく場合重篤度が進行していると評価する。
更に、本発明キットを用いて癌の予後の判定を行うには、上記診断と同様にして定量されたテネイシンC高分子スプライシングバリアント量が、平均値+2x標準偏差をカットオフ値とした場合、このカットオフ値より測定値が低下していれば予後が良好であると評価する。
上記した本発明キットを用いて診断、重篤度の評価、予後の判定される癌としては、 大腸癌、胃癌、盲腸癌等の消化器癌が挙げられる。これらの癌の中でも大腸癌および胃癌が好ましい。
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
実 施 例 1
テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位内を
認識する抗体の作製:
(1)免疫原の調製
テネイシンCのアミノ酸配列や塩基配列(Accession No.:X56160)から、フィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位のBCDドメイン(以下、単に「BCDドメイン」という)をコードするcDNAであるポリヌクレオチド(配列番号1)を常法により作製し、これをpQE−31ベクター(キアゲン製)に組換え、大腸菌のコンピテントセル(JM−109)に導入した。この大腸菌を培養し、イソプロピル−β−D(−)チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加した後一晩培養し、pQE−31ベクターに組込んだcDNAのリコンビナントタンパク質(配列番号2)を産生させた。大腸菌の細胞膜を破壊することによりリコンビナントタンパク質を抽出した後、His trapカラム(Pharmacia製)で精製した。
(2)モノクローナル抗体の作製
テネイシンCの遺伝子欠失マウスは三重大学医学部付属動物実験施設で継体飼育されている、BALB/Cに戻し交配されたものを用いた。上記(1)で作製したBCD部分のリコンビナントタンパク質の100μgとコンプリートアジュバントとを等量混合してエマルジョンを作製し、これをマウスに2週間の間隔で2回免疫した。更に、細胞融合3日前にマウスの尾静脈内に100μgのリコンビナントタンパク質を注射した。免疫したマウスから脾臓を摘出し、これから脾細胞懸濁液を調整し、脾細胞とマウスミエローマ細胞(Sp2/0)を5:1で混合し、ポリエチレングリコール(PEG)溶液中で細胞融合を行い、ハイブリドーマ細胞を得た。
その後、ハイブリドーマ細胞を含むPEG溶液からPEGを除去し、残ったハイブリドーマ細胞をBriclone(Bio Research製)5%と20%FCSを添加したIMDMに再浮遊し、96穴マイクロプレートに1×10個/穴の濃度でまきこみ、CO濃度7%、37℃で培養を行った。4日後、HAT培地を添加し、7〜10日後に精製ヒトテネイシンCを抗原としてプレートに吸着させ、培養液を反応させ、更に希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスIgGを反応させることにより、抗体産生を確認した。クローンはHT培地を用いて更に選択培養し、限界希釈法によってクローニングを2回繰り返した。
(3)抗体の精製
ハイブリドーマ細胞を無血清培地のGIT培地(和光純薬)で細胞の80%が死滅するまで抗体を産生させた。遠心(1,000rpm、15min)により細胞を取り除いた後、硫酸アンモニウム50%飽和状態にして4℃で一晩静置し、沈殿を遠心(1,000rpm、30min)して回収した。この沈殿を2倍に希釈したbinding buffer(Protein AMAPS IIkit製)に溶解させた後、Protein Aカラム(Pharmacia−Amersham製)にIgGを吸着させた。その後、PBS透析を一晩行って抗体を精製した。
実 施 例 2
テネイシンCの上皮成長因子様ドメインを認識する抗体の作製:
(1)免疫原の調製精製
ヒトテネイシンCは、オークヒル(Aukhil I. et al.(1990) Matrix 10:98−111)の方法に従い、ヒト神経膠細胞株U251の細胞株から50%硫酸アンモニウム飽和による塩析とSephacryl S500カラム、モノQカラム(Pharmacia Biotech製)を用いて精製した。
(2)モノクローナル抗体の作製および精製
テネイシンCの遺伝子欠失マウスは三重大学医学部付属動物実験施設で継体飼育されている、BALB/Cに戻し交配されたものを用いた。上記(1)で精製した精製ヒトテネイシンCをマウスに免疫し、実施例1と同様の方法で、ハイブリドーマ細胞を得た。実施例1と同様の方法で、クローンのスクリーニングを行い、陽性クローンを培養し、培養上清から得られる抗体を精製した。
実 施 例 3
ウエスタンブロット法による抗体の認識部位の解析:
実施例1および実施例2で作製した抗体の認識部位をウエスタンブロット法により解析した。
(1)テネイシンCの上皮増殖因子様ドメインのリコンビナントタンパク質の作製
マウステネイシンC(Accession No.:D90343)の上皮増殖因子様ドメインのcDNA配列(配列番号3)から、上皮増殖因子様ドメインの両端にプライマーを設計し、マウステネイシンCのcDNAからPCRにより、遺伝子を増幅し、pSecベクターに同部の遺伝子を組み込んだ。これを用いて、CHO−K1細胞を形質転換し、テネイシンCの上皮増殖因子ドメインのリコンビナントタンパク質(配列番号4)を発現させた。培養上清に分泌されたリコンビナントタンパク質をHis trapカラム(Pharmacia製)で精製した。
(2)ウエスタンブロット法による抗体の認識部位の解析
ポリアクリルアミド ゲル エレクトロフォレイシス(Polyacrylamide Gel Electrophoresis)MULTIGEL2/15(第一化学薬品製)上で、レムリ(Laemmli)の方法を用いて電気泳動(SDS−PAGE法)を行った。電気泳動されたタンパク質は、Immobilon Transfer Membranes(MILLIPORE製)へ電気的に転写した。メンブレンは0.5%スキムミルク添加50mM トリス−緩衝生理食塩水(TBS)でブロッキングし、0.1%スキムミルク添加TBSで1,000倍に希釈した実施例1および実施例2で作製したモノクローナル抗体と一晩反応させ、0.1%スキムミルク溶液で洗浄し、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG(H+L−chain:Biorad製)で500倍に希釈して2次抗体として反応させ、洗浄後DAB/H溶液で発色させた。
ウエスタンブロットの結果を図1に示す。実施例2で作製したモノクローナル抗体(クローン名:4F10TT)は幅広いバンドを認識し、特に、選択的スプライシング部位の挿入がないテネイシンCと考えられる210kDa付近(図1のL)および7つのフィブロネクチンIII様の反復が挿入されたバリアントであると考えられる300kDa付近(図1のH)に濃いバンドが見られた。この結果より、実施例2で作製したモノクローナル抗体は、ヒトテネイシンCを認識するとともに、上皮増殖因子様ドメインと反応し、同ドメインを認識することを確認した。
一方、実施例1で作製したモノクローナル抗体(クローン名:19C4MS)は300kDa付近に濃いバンドがあるものの、210kDa付近のバンドは見られなかった。従って、このモノクローナル抗体は低分子のバリアントを認識せず高分子量のバンドのみを認識すると推測されたため、実施例1で作製したBCDドメインのリコンビナントタンパク質を用いて同様にウエスタンブロットを行った。その結果を図2に示す。図2において、BCDドメインのリコンビナントタンパク質を示す37kDa付近に濃いバンドが認められた。従って、実施例1で作製したモノクローナル抗体はBCDドメイン、すなわち、テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位内において正常ではスプライシングされる反復を含む、テネイシンC高分子スプライシングバリアントを認識することを確認した。
従って、実施例1で作製したモノクローナル抗体(19C4MS)と実施例2で作製したモノクローナル抗体(4F10TT)とを組合わせることにより、テネイシンC高分子スプライシングバリアントを測定することができると判断された。
実 施 例 4
サンドイッチELISA系の構築:
サンドイッチELISA法の構築は以下のように作製した。実施例1で作製したテネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位内を認識するモノクローナル抗体(19C4MS)の10μg/mlの濃度調整液を10μlずつ96wellELISA用プレートに加えた。4℃で一晩反応させた後、10%BSA/PBS/NaN溶液にてブロッキングを行い、この状態をサンドイッチELISA用プレートとした。実施例2で作製したテネイシンCの選択的スプライシング部位のN末端側を認識する第二のモノクローナル抗体(4F10TT)とHRPとの結合抗体を標識抗体とした。これらのサンドイッチELISA用プレートと標識抗体の組合せでサンドイッチELISA系を作製した。標準テネイシンCは実施例2(1)で作製した精製ヒトテネイシンCを用い、既知のタンパク質量から得られる吸光度とタンパク質濃度の標準曲線をあらかじめ求め、実際のサンプル測定で得られる吸光度よりそのタンパク質量を測定した。
実 施 例 5
ELISA法による大腸癌患者体液中のテネイシンC高分子スプライシングバリア
ント量の測定:
実施例4で作製したELISA系を用いて、インフォームドコンセントを得た上で、健常者37例および大腸癌患者148例(原発例128例および再発例20例)について、入院時および術後経時的にEDTA血漿を採取し、このEDTA血漿を10倍希釈したものを測定対象サンプルとしてテネイシンC高分子スプライシングバリアント濃度を測定した。血漿サンプル中のテネイシンC高分子量バリアント濃度はng/ml、また数値は平均±標準誤差で表した。測定の結果を表1に示す。
Figure 2007212438
測定の結果、大腸癌患者の原発例および再発例中のテネイシンC濃度の平均は、健常者が23.643±7.496ng/mlであったのに対し、原発例が52.601±32.433ng/mlおよび再発例が41.06±22.611ng/mlという結果となり、健常者中の濃度よりも有意に高値を認めた(統計処理はstudent’s t−testを用いて行った)。
また、前記大腸癌患者の血漿148例について従来の大腸癌マーカーであるCEA濃度およびCA19−9濃度を、それぞれ三菱化学ヤトロン社製のCEA測定キットおよび東ソー株式会社製のCA19−9測定キットを用いて測定した。そして、CEA、CA19−9およびテネイシンC高分子量バリアントを大腸癌マーカーとした場合の陽性率について、平均値+2x標準偏差で導き出される値をカットオフ値として算出した。その数値を、テネイシンC高分子量バリアントの陽性率と比較した結果を表2に示す。
Figure 2007212438
その結果、CEAおよびCA19−9を大腸癌マーカーにした場合の大腸癌患者の陽性診断効率はそれぞれ41.2%、24.3%であるのに対し、テネイシンC高分子量バリアントを大腸癌マーカーにした場合の陽性診断効率は58.1%と、従来のマーカーを大きく上回るものであった。
また、テネイシンC高分子量バリアントを大腸癌マーカーとした場合の陽性サンプル、陰性サンプルそれぞれについての平均CEA濃度および平均CA19−9濃度を求め、両サンプル間の有意差を測定したところ有意差は見られなかった(統計処理はstudent’s t−testを用いて行った)。その結果を表3に示す。
Figure 2007212438
実 施 例 6
ELISA法による胃癌患者体液中のテネイシンC高分子スプライシングバリアン
ト量の測定:
胃癌患者109例について入院時にEDTA血漿を採取し、実施例5と同様にテネイシンC高分子スプライシングバリアント濃度を測定した。その結果、胃癌患者サンプル中のテネイシンC高分子スプライシングバリアントの濃度は59.714±54.290ng/ml(平均±標準誤差)と、健常者中の濃度23.643±7.496ng/mlよりも有意に高値であった。
実 施 例 7
大腸癌の進行度とテネイシンC高分子スプライシングバリアント量の相関:
実施例5の大腸癌患者148例について、癌の悪性度を表すTNM分類に従って分類した母集団ごとにテネイシンC高分子スプライシングバリアント量の平均値を算出した。その結果を表4に示す(注:p値の算出は分散分析法(ANOVA)により行った)。その結果、テネイシンC高分子スプライシングバリアント量は癌の進行度に応じて有意に上昇することが明らかとなった。
Figure 2007212438
実 施 例 8
盲腸癌の手術的根治度とテネイシンC高分子スプライシングバリアント量の相関:
盲腸癌患者(57歳、男性、ステージ3a)について、術前の2005年1月29日にEDTA血漿をサンプリングし、実施例5の方法に従い、テネイシンC高分子スプライシングバリアント量、CEA量およびCA19−9量を測定した。その後2005年2月5日に回盲部を切除。術後の2005年4月9日に再びEDTA血漿を採取し、前記3種のマーカーについて濃度の測定を行った。
その結果、CEA濃度は3.4ng/mlから2.5ng/ml、CA19−9濃度は11.5U/mlから17.1U/mlへ推移したのに対し、テネイシンC高分子スプライシングバリアント濃度は101.173ng/mlから50.845ng/mlへ推移した。しかしながらこの時点でテネイシンC高分子スプライシングバリアント濃度については、平均値+2x標準偏差で導き出したカットオフ値(38.637ng/ml)よりも上のレベルであった。そこで、当患者を再検したところ、肝臓に癌転移が認められたため、2005年6月7日に当該箇所を切除する再手術を行った。そしてその後2005年7月4日に再度前記3種のマーカーについて測定を行ったところ、CEA濃度およびCA19−9濃度についてはそれぞれ、2.5ng/ml、16U/mlであったのに対し、テネイシンC高分子スプライシングバリアント濃度については22.382ng/mlとカットオフ値以下となった。この結果から、癌の手術的根治度とテネイシンC高分子スプライシングバリアント濃度陰転化との間に相関関係があることが明らかとなった。
本発明の癌診断剤および癌診断キットは各種癌の診断、重篤度の評価および予後の判定を診断するものとして好適に利用できる。
実施例1および実施例2で作製したモノクローナル抗体のウエスタンブロットによる反応性を示す図面である(CBBはクマシーブリリアント青染色を示し、hTNCは精製ヒトテネイシンCを示し、rEGFはマウスのEGFリコンビナントタンパク質を示す)。 実施例1で作製したモノクローナル抗体のウエスタンブロットによるエピトープ解析を示す図面である(6xHisは6xHistidin部位に対する抗体を示す)。 盲腸癌の手術的根治度とテネイシンC高分子スプライシングバリアント量の相関を示す図面である。

Claims (16)

  1. テネイシンC高分子スプライシングバリアントを認識する抗体を含有することを特徴とする癌診断剤。
  2. テネイシンC 高分子スプライシングバリアントを認識する抗体が、次の抗体(a)または(b)である請求項1に記載の癌診断剤。
    (a)テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位内
    を認識する抗体
    (b)テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位よ
    りNアミノ末端側を認識する抗体
  3. 抗体(a)が、テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位のBCDドメインを認識する抗体である請求項2に記載の癌診断剤。
  4. 抗体(b)が、テネイシンCの上皮成長因子様ドメインを認識する抗体である請求項2に記載の癌診断剤。
  5. 診断される癌が消化器癌である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の癌診断剤。
  6. 消化器癌が大腸癌または胃癌である、請求項5に記載の癌診断剤。
  7. テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位内を認識する第一の抗体を含む第一の試薬と、テネイシンCのフィブロネクチンIII様ドメインの選択的スプライシング部位よりNアミノ末端側を認識する第二の抗体を含む第二の試薬とを含有することを特徴とする癌診断用キット。
  8. 第一の試薬が固相化された第一の抗体を含む試薬であり、第二の試薬が標識された第二の抗体を含む試薬である請求項7に記載の癌診断用キット。
  9. 診断される癌が消化器癌である、請求項7または8に記載の癌診断用キット。
  10. 消化器癌が大腸癌または胃癌である、請求項9に記載の癌診断用キット。
  11. 患者の体液中のテネイシンC高分子スプライシングバリアント量を測定することを特徴とする癌の重篤度の評価方法。
  12. 評価される癌が消化器癌である、請求項11に記載の癌の重篤度の評価方法。
  13. 消化器癌が大腸癌または胃癌である、請求項12に記載の癌の重篤度の評価方法。
  14. 患者の体液中のテネイシンC高分子スプライシングバリアント量を測定することを特徴とする癌の予後判定方法。
  15. 判定される癌が消化器癌である、請求項14に記載の癌の予後判定方法。
  16. 消化器癌が大腸癌または胃癌である、請求項15に記載の癌の予後判定方法。
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