JP2004198313A - 甲状腺腫瘍の診断用キット - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも迅速に、かつ経済的に甲状腺腫瘍の良悪性鑑別診断を行う技術を提供すること。
【解決手段】ヒトガレクチン−3に対する2つの異なる抗体を含む試薬を含有する甲状腺腫瘍の診断用キットおよび当該キットを用いた甲状腺腫瘍の良悪性の鑑別方法。
【選択図】 なし
【解決手段】ヒトガレクチン−3に対する2つの異なる抗体を含む試薬を含有する甲状腺腫瘍の診断用キットおよび当該キットを用いた甲状腺腫瘍の良悪性の鑑別方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、甲状腺腫瘍の診断用キットに関し、更に詳細には、甲状腺腫瘍の良悪性を簡単に鑑別することのできる甲状腺腫瘍診断用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、甲状腺腫瘍の良悪性鑑別診断に最も有用な方法は穿刺吸引細胞診であるが、下記のような問題点がある。
1.診断精度が病理医の能力に依存する。
2.最も頻度の高い甲状腺癌である乳頭癌では偽陰性が少なからずある。
3.甲状腺濾胞癌と濾胞腺腫の区分は被膜あるいは脈管浸潤の有無により定義され、細胞診ではこの両者あるいは腺腫様甲状腺腫を鑑別することは転移巣が存在しない限り不可能である。このため、発生頻度の低い濾胞癌の鑑別診断を兼ねて、本来不要であるはずの濾胞腺腫や腺腫様甲状腺腫に対する手術が無数に行われている。
【0003】
従って、術前に甲状腺腫瘍の良悪性鑑別診断を行う客観的な指標が求められている。
【0004】
最近、甲状腺において、濾胞細胞由来の悪性腫瘍では、ガレクチン−3(ヒトガレクチン−3と言うこともある)と呼ばれるタンパクが強く発現されるのに対し、正常組織や良性腫瘍では、このようなタンパクがほとんど発現されないことが見出された。そこで、ガレクチン−3に対するモノクローナル抗体を利用し、甲状腺腫瘍の穿刺吸引検体をウエスタンブロット(例えば、非特許文献1参照)あるいは免疫組織化学法 (例えば、非特許文献2参照)で解析することにより、甲状腺腫瘍の良悪性鑑別診断を行う研究も行われている。
【0005】
しかし、上記の免疫組織化学法あるいはウエスタンブロットにより診断する方法は、煩雑であり迅速性に欠けると共に、一度に処理できる検体の数も少ないという問題があった。
【0006】
【非特許文献1】Inohara et al., Cancer, 1999, 85, p.2475-84
【非特許文献2】Bartolazzi et al., Lancet, 2001, 357, p.1644-50
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、より迅速に、かつより経済的に甲状腺腫瘍の良悪性鑑別診断を行う技術の提供をその課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行っていたところ、甲状腺穿刺吸引検体を試料とし、これをガレクチン−3の異なる部分を認識する2種の抗体を用いるサンドイッチ型酵素免疫測定法(以下、「サンドイッチELISA」という)に付すことによりガレクチン−3を容易に定量することを見出した。また、サンドイッチELISAにより測定されたガレクチン−3量から、甲状腺腫瘍の良悪性の鑑別ができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、ヒトガレクチン−3に対する2つの異なる抗体を含む試薬を含有する甲状腺腫瘍の診断用キットを提供するものである。
【0010】
また、本発明は上記甲状腺腫瘍の診断用キットを用いて、甲状腺穿刺吸引検体中のヒトガレクチン−3の量を測定し、当該測定値を指標として甲状腺腫瘍の良悪性を鑑別することを特徴とする甲状腺腫瘍の良悪性の鑑別方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の甲状腺腫瘍の診断用キット(以下、単に「本発明キット」という)は、ヒトガレクチン−3を、ヒトガレクチン−3に対する2つの異なる抗体を利用した酵素免疫測定法により検出するものである。
【0012】
本発明キットにより検出されるガレクチン−3はガレクチンファミリーの一員である。ガレクチンは、ガラクトースに対する結合特異性と、糖結合ドメインの特徴的なアミノ酸一次配列によって規定されるタンパク、即ち、ガラクトースに特異的なレクチンの総称である。このガレクチンは、一般に可溶性であり、金属要求性ない。また、構造的には、ジスルフィド結合、付加糖鎖、シグナル配列を有さず、末端アミノ酸はアセチル化されている。
【0013】
現在まで、ガレクチンは脊椎動物を始め、線虫、昆虫、海綿動物などの無脊椎動物に広く分布し、真菌類においても存在することが知られている。このガレクチンの存在は、細胞質内にとどまらず、核、細胞表面、細胞外マトリックス等に存在し、発生、分化、形態形成、腫瘍転移、アポトーシス、RNAスプライシング等多くの生命現象に関与するとされている。
【0014】
ガレクチン−3は、キメラ型ガレクチンであり、糖結合部位を有するC-末端ドメインとプロリンとグリシンが豊富な繰り返し配列を有するN-末端ドメインから構成されている。このガレクチン−3は、海綿の様な無脊椎動物から高等脊椎動物まで広く分布しており、脊椎動物では多くの組織、細胞に認められる。しかし、その発現は組織、細胞のタイプや分化度によって変化するため、局在を体系化することは困難である。
【0015】
悪性腫瘍において、細胞表面のガレクチン−3は腫瘍細胞の凝集塊の形成を促進し、また細胞質内のガレクチン−3は抗アポトーシス作用を発揮することにより、転移巣の形成に寄与しているものと考えられている。
【0016】
一方、甲状腺癌は病理組織学的に乳頭癌、濾胞癌、未分化癌、髄様癌という4つの亜型に分類され、乳頭癌、濾胞癌、未分化癌は濾胞細胞由来であるのに対し、髄様癌は神経堤に起源をもつ傍濾胞細胞由来である。甲状腺腫瘍の免疫組織化学的解析により、ガレクチン−3は甲状腺では濾胞細胞由来の悪性腫瘍に特異的に発現することが示された。更に、甲状腺腫瘍の穿刺吸引検体におけるガレクチン−3の発現をウエスタンブロットあるいは免疫組織化学法で解析することにより、良悪性鑑別診断を術前に行い得ることが示された。即ち、ガレクチン−3が濾胞細胞由来の甲状腺悪性腫瘍のマーカーとして有用であることが示されており、穿刺吸引検体におけるガレクチン−3の簡便で且つ大量処理が可能な測定方法が望まれていた。
【0017】
本発明キットで用いられるガレクチン−3に対する抗体(以下、「ガレクチン−3抗体」という)は、ガレクチン−3あるいはそのフラグメントペプチドを抗原として使用し、公知の方法、例えば続生化学実験講座、免疫生化学研究法(日本生化学会編)等に記載の方法に従って調製することができる。
【0018】
ガレクチン−3抗体の製造において、抗原として使用されるガレクチン−3あるいはそのフラグメントペプチドはヒトガレクチン−3のアミノ酸配列や塩基配列(Accession No.:P17931)等の全部あるいは一部の部位をコードするcDNAに一致するポリヌクレオチドを作製したもの、あるいは、マウスガレクチン−3cDNA(Cherayil,B.J. et al., J. Exp. Med. 170 (6), 1959-1972 (1989))等のほ乳類由来のガレクチン−3cDNAをプローブとしてヒト腫瘍細胞株等のcDNAライブラリーからクローニングしたヒトガレクチン−3cDNAを常法によりベクターに組み込み、このベクターを用いて大腸菌等の宿主微生物もしくは培養細胞を形質転換し、この大腸菌等の宿主微生物・培養細胞を培養して産生させたリコンビナントタンパク質や上記配列の一部の部位のアミノ酸配列に一致したポリペプチドを合成した後、アフィニティーカラムやニッケルカラム等で精製したもの等が挙げられる。
【0019】
上記のようにして得られた抗原をリン酸ナトリウム緩衝液(以下、「PBS」という)に溶解し、これとフロイント完全アジュバントまたは不完全アジュバント、あるいはミョウバン等の補助剤と結合した後、これを免疫原として哺乳動物を免疫する。
【0020】
免疫される動物としては当該分野で常用されるものをいずれも使用できるが、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等を挙げることができる。また、免疫の際の免疫原の投与法は、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射のいずれでもよいが、皮下注射または腹腔内注射が好ましい。免疫は1回または適当な間隔で、好ましくは1週間ないし5週間の間隔で複数回行うことができる。
【0021】
次いで、常法に従い、免疫した動物から脾細胞等の免疫細胞を取り出し、これをミエローマ細胞と融合させてハイブリドーマを得、当該ハイブリドーマの培養物から抗体を採取することによってガレクチン−3に対する抗体を得ることができる。
【0022】
そして、得られたハイブリドーマより産生される各抗体について、抗体の一方を固相化し、他方を標識して、キットとして最適な組み合わせ試験を行う。具体的には、ガレクチン−3産生量が既知である2種のヒト甲状腺培養細胞株を用い、その産生量を正確に測定できる抗体の組み合わせを選抜し、キットへの測定系に適用することが好ましく、特に、ヒト甲状腺培養細胞株であるNPA(甲状腺乳頭癌)とTAD-2(甲状腺正常濾胞細胞(胎児))のヒトガレクチン−3の測定をした際に、NPAのヒトガレクチン−3量がTAD-2の5倍以上となる抗体の組み合わせが好ましく、更にNPAのヒトガレクチン−3量がTAD-2の10倍以上の測定値になる抗体の組み合わせが好ましい。
【0023】
なお、上記の組み合わせの一例となる抗体を産生するハイブリドーマ細胞(クローン名:50A3および87B5)をそれぞれ FERM P-19065、および FERM P-19066 として、平成14年10月10日付で独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(郵便番号305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託した。
【0024】
上記のようにして最適な組み合わせの抗体を選別し得たガレクチン−3抗体の一方を固相化し、他方を標識して、本発明キットとすることができる。
【0025】
ガレクチン−3抗体を固相化するために使用する担体としては、例えば、ガラスチューブ、ポリスチレンビーズ、マイクロタイタープレート、メンブレン等、常用されるものをいずれも使用することができる。この担体の好ましい例としては、ポリスチレン製の96穴マイクロタイタープレートあるいは、アミノ基結合型のマイクロタイタープレートが挙げられる。
【0026】
また、ガレクチン−3抗体を標識化するのに使用される標識物質としては、西洋わさびペルオキシダーゼ(以下「HRP」と言う)、アルカリフォスファターゼ等の酵素、フルオレセインイソシアネート、ローダミン等の蛍光物質、32P、125I等の放射性物質、化学発光物質などが挙げられる。これらの固相化方法や標識方法は、いずれも周知であり、公知の方法により行うことができる。
【0027】
以上のようにして構成された本発明キットは、例えば、次のようにして使用される。まず、診断に用いる試料としては、甲状腺穿刺吸引検体を使用する。この検体は、採取後そのまま使用しても良いが、ガレクチン−3は、細胞質内に最も多く局在するため、細胞の可溶化剤を用いた可溶化処理を施してから本発明キットに付すことが好ましい。
【0028】
細胞の可溶化剤としては、TNE緩衝液、RIPA緩衝液等の細胞溶解緩衝液が挙げられる。この細胞の可溶化剤を用いた可溶化処理は常法により行われる。
【0029】
また、この試料は必要により適宜希釈してから使用することができ、この希釈にはリン酸、炭酸、トリス等を含有する緩衝液や、生理食塩水等を使用することができる。
【0030】
本発明キットは、いわゆるサンドイッチELISAによるものであり、これを用いたヒトガレクチン−3の測定方法は、公知の手段により実施される。すなわち、ガレクチン−3抗体(1次抗体)が固相化された担体を、例えばウシ血清アルブミン(以下、「BSA」という)によりブロッキングする。次に、これに適宜希釈した上記試料を加え、ガレクチン−3/1次抗体複合体を生成させ、担体上に固定する。更に、この担体を洗浄後、1次抗体とは別のエピトープを認識する標識したガレクチン−3抗体(2次抗体)を加え、ガレクチン−3/1次抗体複合体と結合させる。最後に当該複合体の標識量を測定し、予め作成した検量線から試料中のガレクチン−3の量を決定することができる。
【0031】
このようにして測定されたガレクチン−3量からも、甲状腺腫瘍の良悪性を鑑別しうるが、細胞数を反映する試料中の総タンパク量当たりのガレクチン−3量の比率を算出することにより、甲状腺腫瘍の良悪性をより正確に鑑別することができる。具体的には、試料中の総タンパク量当たりのガレクチン−3量の比率(ng/mg)が、20以上であれば悪性の甲状腺腫瘍が存在すると判断することができる。
【0032】
試料中の総タンパク量の測定には、Brafordプロテインアッセイ試薬(Bio-Rad社)、DCプロテインアッセイ試薬(Bio-Rad社)等のタンパク量の検出薬を用いることができる。なお、前記検出薬による総タンパク量の測定は本発明キットによるガレクチン−3量の測定と同時行うことが好ましい。
【0033】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約を受けるものではない。
【0034】
実 施 例 1
ガレクチン−3を特異的に認識する抗体の調製:
(1)免疫原の調製
ヒト線維肉腫細胞株、HT1080のcDNAライブラリー(Clontech社)からマウスガレクチン−3cDNA(Cherayil,B.J. et al., J. Exp. Med. 170 (6), 1959-1972 (1989))をプローブとしてスクリーニングを行い、ヒトガレクチン−3cDNAの全長をpUC-13ベクター(Pharmacia P-L Biochemicals社)のEcoRIサイトにクローニングした。このベクターからヒトガレクチン−3cDNAを切り出し、pET-5aベクター(Novagen社)のEcoRIサイトに組み換え、コンピテントセルHMS-174(Novagen社)に導入した。この大腸菌を一晩培養し、イソプロピル-β-D(−)チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加した後さらに培養し、pET-5aベクターに組込んだガレクチン−3 cDNAのリコンビナントタンパク質を生成させた。大腸菌の細胞膜を超音波で粉砕することによりリコンビナントガレクチン−3を抽出した後、アシアロフェチュインをAffi-Gel 15(Bio-Rad社)に固相化して作製したアフィニティーカラムに通し、リコンビナントガレクチン−3をアシアロフェチュインに吸着させ洗浄し、ラクトースで溶出して精製した (Ochieng他, Biochemistry 32: 4455-4460, 1993)。
【0035】
(2)モノクローナル抗体の作製
モノクローナル抗体は免疫動物としてBALB/cマウスを用いて以下の手順により作製した。上記(1)で作製したガレクチン−3のリコンビナントタンパク質の100μgとコンプリートアジュバントを等量混合してエマルジョンを作製し、これをマウスに週1回、計3回免疫した。更に、細胞融合3日前にマウスの尾静脈内に100μgのエマルジョンを注射した。免疫したマウスから脾臓を摘出し、これから脾細胞懸濁液を調整し、脾細胞とマウスミエローマ細胞(X63-Ag8.653)を10:1で混合し、ポリエチレングリコール(以下、「PEG」という)溶液中で細胞融合を行った。
【0036】
その後、PEGを除去して10% FCS(胎児ウシ血清)を添加したTIL Media(株式会社免疫生物研究所社)に再浮遊し、96穴マイクロプレートに1×105個/穴の濃度でまきこみ、CO2濃度5%、37℃で培養を行った。翌日HAT培地(株式会社免疫生物研究所社)を添加し、2日おきにHAT培地を交換し、10〜14日後にヒトリコンビナントガレクチン−3を抗原としてプレートに吸着させ、培養液を反応させ、さらに希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスIgGを反応させることにより、抗体産生を確認した。クローンはHAT培地を用いてさらに選択培養し、限界希釈法によってクローニングを2回繰り返し、ガレクチン−3に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株をクローン化した。
【0037】
(3)ウエスタンブロッティング
次に、上記で得られた合計5種のモノクローナル抗体(クローン名:11A4,19E2,50A3,74E2,87B5)がガレクチン−3を認識することを確認するために、リコンビナントガレクチン−3タンパクを電気泳動し、ウエスタンブロッティングを行った。
【0038】
自家調整した12.5% のポリアクリルアミド ゲル上でレムリ(Laemmli)の方法で電気泳動(SDS-PAGE法)を行った。電気泳動されたタンパクは、Immobilon Transfer Membranes(MILLIPORE社)へ電気的に転写した。メンブレンは3%のスキムミルクと1%のBSAを添加した10mMのPBSでブロッキングし、0.1%のTween-20添加PBSで4倍希釈した各ハイブリドーマの培養上清と一晩反応させ、0.05%のTween-20添加PBS溶液で洗浄し、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG(H+L Chain:株式会社免疫生物研究所社)を2,000倍に希釈して2次抗体として反応させ、洗浄後ECL溶液(Amersham社)で発光させた。
【0039】
ウエスタンブロットの結果、上記実施例により作製した5種のモノクローナル抗体はいずれも30kDa付近のガレクチン−3にバンドを有し、ガレクチン−3を認識するものであることを確認した。
【0040】
実 施 例 2
サンドイッチELISAの構築のためのガレクチン−3を特異的に認識する抗体の選別:
(1)モノクローナル抗体の固相化およびHRP標識
上記で得られた5種のモノクローナル抗体の10μg/mlの濃度調整液を100μlずつ 96穴のELISA用マイクロタイタープレートに加えた。4℃一晩反応させた後、1%のBSA/PBS/NaN3溶液にてブロッキングを行い、この状態をサンドイッチELISA用プレートとした。また、別途上記5種のモノクローナル抗体を第二のモノクローナル抗体として使用するためにHRPと酸化法にて混合しHRP標識抗体とした。サンドイッチELISAは、ELISA用プレートに用いた抗体と、異なる抗体にHRP標識したHRP標識抗体の組合せを用いて作製した。
【0041】
(2)サンプルの調整
ガレクチン−3の発現量の異なるヒト甲状腺関連培養細胞株である、NPA(甲状腺乳頭癌)およびTAD-2(甲状腺正常濾胞細胞(胎児))を培養し、0.5X106個を遠心により集め、細胞の可溶化剤であるTNE緩衝液(10mMのTris、pH8.0,1%のNP-40, 0.15MのNaCl, 1mMのEDTA)を400μl加え、4℃で15分間攪拌し、可溶化を行った。その後、10,000回転により遠心し、その上清をサンプルとして用いた。
【0042】
(3)キットに用いる抗体の選別
上記で用いたヒト甲状腺関連培養細胞株である、NPA、TAD-2の細胞株のガレクチン−3の発現量は、NPAがTAD-2よりも5倍以上多いことが知られている。すなわちこの発現量の差を正確に測定系に反映させるようにキットに用いる抗体の選別を行った。結果は、表1に示すように、プレート側にクローン:50A3とHRP標識側にクローン:87B5が産生するモノクローナル抗体を用いた組み合わせの系とプレート側にクローン:87B5とHRP標識側にクローン:11A4が産生するモノクローナル抗体を用いた組み合わせの系が最もこの発現量を反映していた。このうち、測定系の感度が高いことと非特異反応の小さいことを考慮すると、最終的に、プレート側にクローン:50A3(FERM P-19065)とHRP標識側にクローン:87B5(FERM P-19066)が産生するモノクローナル抗体を用いた組み合わせの系が最適であった。
【0043】
【表1】
【0044】
実 施 例 3
サンドイッチELISA法の構築とガレクチン−3の測定:
サンドイッチELISA法の構築は以下のように作製した。実施例2で選別したモノクローナル抗体(クローン名:50A3)の5μg/mlの濃度調整液を1次抗体として100μlずつ96穴のELISA用マイクロタイタープレートに加えた。4℃一晩反応させた後、1%のBSA/PBS/NaN3 溶液にてブロッキングを行い、この状態をサンドイッチELISA用プレートとした。同じく実施例2で選別した第2のモノクローナル抗体(クローン名:87B5)を酸化法でHRP標識したものを2次抗体とした。これらのサンドイッチELISA用プレートと標識抗体の組合せでサンドイッチELISA系を作製した。標準ガレクチン−3は実施例2(1)で作製したリコンビナントガレクチン−3を用い、既知のタンパク量から得られる吸光度とタンパク濃度の標準曲線をあらかじめ求め、実際のサンプル測定で得られる吸光度よりそのタンパク量を測定した。
【0045】
得られたキットでのガレクチン−3との反応性の測定は以下のように行った。サンドイッチELISA用プレートに、ガレクチン−3の標準液を100μl加え、37℃で1時間反応させた。反応後、0.05% Tween20-PBSでプレートを洗浄し、標識抗体を100μl加え、4℃で30分反応させた。反応後、十分に洗浄してから、TMB (Tetramethyl benzidine)溶液を100μl加え、室温、遮光下30分放置した。1N硫酸で反応を止め、吸光度450nmで測定した。測定した吸光度から標準曲線を作成した。また、同様にして測定サンプルから得られる吸光度を標準曲線に当てはめ、各測定サンプルのガレクチン−3濃度を読みとった。
【0046】
実 施 例 4
甲状腺腫瘍についてのガレクチン−3の検出:
(1)臨床検体
インフォームドコンセントにより得られた甲状腺穿刺吸引検体56例に対し、あらかじめ穿刺検体全量に対し、細胞の可溶化剤であるTNE緩衝液(10mMのTris、pH 8.0, 1%のNP-40, 0.15MのNaCl, 1mMのEDTA)を400ul加え、測定に使用するまで-20℃で保存した。測定時に、室温にて溶解後、良く混和させ、4℃で15分間攪拌により可溶化を行った。その後、10,000回転で遠心し、その上清をサンプルとして用いた。検体の内訳は、腺腫様甲状腺腫(良性)6例、腺腫様結節(良性)8例、濾胞腺腫(良性)6例、濾胞癌(悪性)7例、グレーブス病(良性)10例、および乳頭癌(悪性)19例である。合計数として、良性疾患30例、悪性疾患26例である。なお、各検体の病理組織学的診断は、その手術摘出標本に対してなされた。
【0047】
(2)総タンパク量の定量
上記の可溶化処理で得られた各上清中の総タンパク量を、Bradfordプロテインアッセイ試薬(Bio-Rad社)を用いて測定した。各検体中に存在する細胞数は検体間で異なるため、得られる総タンパク量を基準としたガレクチン−3量すなわち、ガレクチン−3量/総タンパク量の比率を用いて診断の指標とした。
【0048】
(3)測定と結果
実施例4に示した方法に従って測定を行った。結果を表2および図1に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
表2および図1より、甲状腺穿刺検体中のガレクチン−3量/総タンパク量の比率は、良性疾患である腺腫様甲状腺腫6例、腺腫様結節8例、濾胞腺腫6例、およびグレーブス病10例の計30例ですべて20以下であった。そこで、ガレクチン−3量/総タンパク量の比率の20をカットオフ値として陽性診断効率を求めると、悪性疾患である濾胞癌7例、および乳頭癌19例で、それぞれ4/7(57.1%)、18/19(94.7%)であり、高率で癌の診断が可能であった。
【0051】
統計学的にも、良性甲状腺疾患の計30例と甲状腺癌の計26例間では甲状腺癌に有意(p<0.001)な上昇が見られた。また、甲状腺穿刺検体中のガレクチン−3/総タンパク量の比率が良性甲状腺疾患群で得られた平均値+3x標準偏差の値、すなわち5.96+(3x3.75)=17.21を統計学的なカットオフ値として、陽性診断効率を求めると、濾胞癌、および乳頭癌で、それぞれ4/7(57.1%)、19/19(100%)であり、非常に高率で癌の診断が可能となった。このように適切なカットオフ値を定めることにより甲状腺疾患の良悪性を鑑別することができた。
【0052】
【発明の効果】
本発明の甲状腺腫瘍の診断用キットによれば、従来より病院などの検査室で汎用されている自動比色装置がそのまま使用可能であり、特別な装置を必要とせずに、簡単に甲状腺腫瘍の良悪性鑑別診断を術前に行うことができる。
【0053】
また、検体として甲状腺刺穿吸引細胞を使用するため、甲状腺濾胞癌との鑑別診断のために従来行われている腺腫様甲状腺腫や甲状腺濾胞腺腫に対する本来不要な摘出術を行う必要がない。
【0054】
従って本発明は、簡単に甲状腺腫瘍の良悪性を診断することができるキットとして、利用しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で実施した各種疾患甲状腺穿刺吸引検体中のガレクチン−3量/総タンパク量の比率を示す図である。
以 上
【発明の属する技術分野】
本発明は、甲状腺腫瘍の診断用キットに関し、更に詳細には、甲状腺腫瘍の良悪性を簡単に鑑別することのできる甲状腺腫瘍診断用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、甲状腺腫瘍の良悪性鑑別診断に最も有用な方法は穿刺吸引細胞診であるが、下記のような問題点がある。
1.診断精度が病理医の能力に依存する。
2.最も頻度の高い甲状腺癌である乳頭癌では偽陰性が少なからずある。
3.甲状腺濾胞癌と濾胞腺腫の区分は被膜あるいは脈管浸潤の有無により定義され、細胞診ではこの両者あるいは腺腫様甲状腺腫を鑑別することは転移巣が存在しない限り不可能である。このため、発生頻度の低い濾胞癌の鑑別診断を兼ねて、本来不要であるはずの濾胞腺腫や腺腫様甲状腺腫に対する手術が無数に行われている。
【0003】
従って、術前に甲状腺腫瘍の良悪性鑑別診断を行う客観的な指標が求められている。
【0004】
最近、甲状腺において、濾胞細胞由来の悪性腫瘍では、ガレクチン−3(ヒトガレクチン−3と言うこともある)と呼ばれるタンパクが強く発現されるのに対し、正常組織や良性腫瘍では、このようなタンパクがほとんど発現されないことが見出された。そこで、ガレクチン−3に対するモノクローナル抗体を利用し、甲状腺腫瘍の穿刺吸引検体をウエスタンブロット(例えば、非特許文献1参照)あるいは免疫組織化学法 (例えば、非特許文献2参照)で解析することにより、甲状腺腫瘍の良悪性鑑別診断を行う研究も行われている。
【0005】
しかし、上記の免疫組織化学法あるいはウエスタンブロットにより診断する方法は、煩雑であり迅速性に欠けると共に、一度に処理できる検体の数も少ないという問題があった。
【0006】
【非特許文献1】Inohara et al., Cancer, 1999, 85, p.2475-84
【非特許文献2】Bartolazzi et al., Lancet, 2001, 357, p.1644-50
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、より迅速に、かつより経済的に甲状腺腫瘍の良悪性鑑別診断を行う技術の提供をその課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行っていたところ、甲状腺穿刺吸引検体を試料とし、これをガレクチン−3の異なる部分を認識する2種の抗体を用いるサンドイッチ型酵素免疫測定法(以下、「サンドイッチELISA」という)に付すことによりガレクチン−3を容易に定量することを見出した。また、サンドイッチELISAにより測定されたガレクチン−3量から、甲状腺腫瘍の良悪性の鑑別ができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、ヒトガレクチン−3に対する2つの異なる抗体を含む試薬を含有する甲状腺腫瘍の診断用キットを提供するものである。
【0010】
また、本発明は上記甲状腺腫瘍の診断用キットを用いて、甲状腺穿刺吸引検体中のヒトガレクチン−3の量を測定し、当該測定値を指標として甲状腺腫瘍の良悪性を鑑別することを特徴とする甲状腺腫瘍の良悪性の鑑別方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の甲状腺腫瘍の診断用キット(以下、単に「本発明キット」という)は、ヒトガレクチン−3を、ヒトガレクチン−3に対する2つの異なる抗体を利用した酵素免疫測定法により検出するものである。
【0012】
本発明キットにより検出されるガレクチン−3はガレクチンファミリーの一員である。ガレクチンは、ガラクトースに対する結合特異性と、糖結合ドメインの特徴的なアミノ酸一次配列によって規定されるタンパク、即ち、ガラクトースに特異的なレクチンの総称である。このガレクチンは、一般に可溶性であり、金属要求性ない。また、構造的には、ジスルフィド結合、付加糖鎖、シグナル配列を有さず、末端アミノ酸はアセチル化されている。
【0013】
現在まで、ガレクチンは脊椎動物を始め、線虫、昆虫、海綿動物などの無脊椎動物に広く分布し、真菌類においても存在することが知られている。このガレクチンの存在は、細胞質内にとどまらず、核、細胞表面、細胞外マトリックス等に存在し、発生、分化、形態形成、腫瘍転移、アポトーシス、RNAスプライシング等多くの生命現象に関与するとされている。
【0014】
ガレクチン−3は、キメラ型ガレクチンであり、糖結合部位を有するC-末端ドメインとプロリンとグリシンが豊富な繰り返し配列を有するN-末端ドメインから構成されている。このガレクチン−3は、海綿の様な無脊椎動物から高等脊椎動物まで広く分布しており、脊椎動物では多くの組織、細胞に認められる。しかし、その発現は組織、細胞のタイプや分化度によって変化するため、局在を体系化することは困難である。
【0015】
悪性腫瘍において、細胞表面のガレクチン−3は腫瘍細胞の凝集塊の形成を促進し、また細胞質内のガレクチン−3は抗アポトーシス作用を発揮することにより、転移巣の形成に寄与しているものと考えられている。
【0016】
一方、甲状腺癌は病理組織学的に乳頭癌、濾胞癌、未分化癌、髄様癌という4つの亜型に分類され、乳頭癌、濾胞癌、未分化癌は濾胞細胞由来であるのに対し、髄様癌は神経堤に起源をもつ傍濾胞細胞由来である。甲状腺腫瘍の免疫組織化学的解析により、ガレクチン−3は甲状腺では濾胞細胞由来の悪性腫瘍に特異的に発現することが示された。更に、甲状腺腫瘍の穿刺吸引検体におけるガレクチン−3の発現をウエスタンブロットあるいは免疫組織化学法で解析することにより、良悪性鑑別診断を術前に行い得ることが示された。即ち、ガレクチン−3が濾胞細胞由来の甲状腺悪性腫瘍のマーカーとして有用であることが示されており、穿刺吸引検体におけるガレクチン−3の簡便で且つ大量処理が可能な測定方法が望まれていた。
【0017】
本発明キットで用いられるガレクチン−3に対する抗体(以下、「ガレクチン−3抗体」という)は、ガレクチン−3あるいはそのフラグメントペプチドを抗原として使用し、公知の方法、例えば続生化学実験講座、免疫生化学研究法(日本生化学会編)等に記載の方法に従って調製することができる。
【0018】
ガレクチン−3抗体の製造において、抗原として使用されるガレクチン−3あるいはそのフラグメントペプチドはヒトガレクチン−3のアミノ酸配列や塩基配列(Accession No.:P17931)等の全部あるいは一部の部位をコードするcDNAに一致するポリヌクレオチドを作製したもの、あるいは、マウスガレクチン−3cDNA(Cherayil,B.J. et al., J. Exp. Med. 170 (6), 1959-1972 (1989))等のほ乳類由来のガレクチン−3cDNAをプローブとしてヒト腫瘍細胞株等のcDNAライブラリーからクローニングしたヒトガレクチン−3cDNAを常法によりベクターに組み込み、このベクターを用いて大腸菌等の宿主微生物もしくは培養細胞を形質転換し、この大腸菌等の宿主微生物・培養細胞を培養して産生させたリコンビナントタンパク質や上記配列の一部の部位のアミノ酸配列に一致したポリペプチドを合成した後、アフィニティーカラムやニッケルカラム等で精製したもの等が挙げられる。
【0019】
上記のようにして得られた抗原をリン酸ナトリウム緩衝液(以下、「PBS」という)に溶解し、これとフロイント完全アジュバントまたは不完全アジュバント、あるいはミョウバン等の補助剤と結合した後、これを免疫原として哺乳動物を免疫する。
【0020】
免疫される動物としては当該分野で常用されるものをいずれも使用できるが、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等を挙げることができる。また、免疫の際の免疫原の投与法は、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射のいずれでもよいが、皮下注射または腹腔内注射が好ましい。免疫は1回または適当な間隔で、好ましくは1週間ないし5週間の間隔で複数回行うことができる。
【0021】
次いで、常法に従い、免疫した動物から脾細胞等の免疫細胞を取り出し、これをミエローマ細胞と融合させてハイブリドーマを得、当該ハイブリドーマの培養物から抗体を採取することによってガレクチン−3に対する抗体を得ることができる。
【0022】
そして、得られたハイブリドーマより産生される各抗体について、抗体の一方を固相化し、他方を標識して、キットとして最適な組み合わせ試験を行う。具体的には、ガレクチン−3産生量が既知である2種のヒト甲状腺培養細胞株を用い、その産生量を正確に測定できる抗体の組み合わせを選抜し、キットへの測定系に適用することが好ましく、特に、ヒト甲状腺培養細胞株であるNPA(甲状腺乳頭癌)とTAD-2(甲状腺正常濾胞細胞(胎児))のヒトガレクチン−3の測定をした際に、NPAのヒトガレクチン−3量がTAD-2の5倍以上となる抗体の組み合わせが好ましく、更にNPAのヒトガレクチン−3量がTAD-2の10倍以上の測定値になる抗体の組み合わせが好ましい。
【0023】
なお、上記の組み合わせの一例となる抗体を産生するハイブリドーマ細胞(クローン名:50A3および87B5)をそれぞれ FERM P-19065、および FERM P-19066 として、平成14年10月10日付で独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(郵便番号305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託した。
【0024】
上記のようにして最適な組み合わせの抗体を選別し得たガレクチン−3抗体の一方を固相化し、他方を標識して、本発明キットとすることができる。
【0025】
ガレクチン−3抗体を固相化するために使用する担体としては、例えば、ガラスチューブ、ポリスチレンビーズ、マイクロタイタープレート、メンブレン等、常用されるものをいずれも使用することができる。この担体の好ましい例としては、ポリスチレン製の96穴マイクロタイタープレートあるいは、アミノ基結合型のマイクロタイタープレートが挙げられる。
【0026】
また、ガレクチン−3抗体を標識化するのに使用される標識物質としては、西洋わさびペルオキシダーゼ(以下「HRP」と言う)、アルカリフォスファターゼ等の酵素、フルオレセインイソシアネート、ローダミン等の蛍光物質、32P、125I等の放射性物質、化学発光物質などが挙げられる。これらの固相化方法や標識方法は、いずれも周知であり、公知の方法により行うことができる。
【0027】
以上のようにして構成された本発明キットは、例えば、次のようにして使用される。まず、診断に用いる試料としては、甲状腺穿刺吸引検体を使用する。この検体は、採取後そのまま使用しても良いが、ガレクチン−3は、細胞質内に最も多く局在するため、細胞の可溶化剤を用いた可溶化処理を施してから本発明キットに付すことが好ましい。
【0028】
細胞の可溶化剤としては、TNE緩衝液、RIPA緩衝液等の細胞溶解緩衝液が挙げられる。この細胞の可溶化剤を用いた可溶化処理は常法により行われる。
【0029】
また、この試料は必要により適宜希釈してから使用することができ、この希釈にはリン酸、炭酸、トリス等を含有する緩衝液や、生理食塩水等を使用することができる。
【0030】
本発明キットは、いわゆるサンドイッチELISAによるものであり、これを用いたヒトガレクチン−3の測定方法は、公知の手段により実施される。すなわち、ガレクチン−3抗体(1次抗体)が固相化された担体を、例えばウシ血清アルブミン(以下、「BSA」という)によりブロッキングする。次に、これに適宜希釈した上記試料を加え、ガレクチン−3/1次抗体複合体を生成させ、担体上に固定する。更に、この担体を洗浄後、1次抗体とは別のエピトープを認識する標識したガレクチン−3抗体(2次抗体)を加え、ガレクチン−3/1次抗体複合体と結合させる。最後に当該複合体の標識量を測定し、予め作成した検量線から試料中のガレクチン−3の量を決定することができる。
【0031】
このようにして測定されたガレクチン−3量からも、甲状腺腫瘍の良悪性を鑑別しうるが、細胞数を反映する試料中の総タンパク量当たりのガレクチン−3量の比率を算出することにより、甲状腺腫瘍の良悪性をより正確に鑑別することができる。具体的には、試料中の総タンパク量当たりのガレクチン−3量の比率(ng/mg)が、20以上であれば悪性の甲状腺腫瘍が存在すると判断することができる。
【0032】
試料中の総タンパク量の測定には、Brafordプロテインアッセイ試薬(Bio-Rad社)、DCプロテインアッセイ試薬(Bio-Rad社)等のタンパク量の検出薬を用いることができる。なお、前記検出薬による総タンパク量の測定は本発明キットによるガレクチン−3量の測定と同時行うことが好ましい。
【0033】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約を受けるものではない。
【0034】
実 施 例 1
ガレクチン−3を特異的に認識する抗体の調製:
(1)免疫原の調製
ヒト線維肉腫細胞株、HT1080のcDNAライブラリー(Clontech社)からマウスガレクチン−3cDNA(Cherayil,B.J. et al., J. Exp. Med. 170 (6), 1959-1972 (1989))をプローブとしてスクリーニングを行い、ヒトガレクチン−3cDNAの全長をpUC-13ベクター(Pharmacia P-L Biochemicals社)のEcoRIサイトにクローニングした。このベクターからヒトガレクチン−3cDNAを切り出し、pET-5aベクター(Novagen社)のEcoRIサイトに組み換え、コンピテントセルHMS-174(Novagen社)に導入した。この大腸菌を一晩培養し、イソプロピル-β-D(−)チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加した後さらに培養し、pET-5aベクターに組込んだガレクチン−3 cDNAのリコンビナントタンパク質を生成させた。大腸菌の細胞膜を超音波で粉砕することによりリコンビナントガレクチン−3を抽出した後、アシアロフェチュインをAffi-Gel 15(Bio-Rad社)に固相化して作製したアフィニティーカラムに通し、リコンビナントガレクチン−3をアシアロフェチュインに吸着させ洗浄し、ラクトースで溶出して精製した (Ochieng他, Biochemistry 32: 4455-4460, 1993)。
【0035】
(2)モノクローナル抗体の作製
モノクローナル抗体は免疫動物としてBALB/cマウスを用いて以下の手順により作製した。上記(1)で作製したガレクチン−3のリコンビナントタンパク質の100μgとコンプリートアジュバントを等量混合してエマルジョンを作製し、これをマウスに週1回、計3回免疫した。更に、細胞融合3日前にマウスの尾静脈内に100μgのエマルジョンを注射した。免疫したマウスから脾臓を摘出し、これから脾細胞懸濁液を調整し、脾細胞とマウスミエローマ細胞(X63-Ag8.653)を10:1で混合し、ポリエチレングリコール(以下、「PEG」という)溶液中で細胞融合を行った。
【0036】
その後、PEGを除去して10% FCS(胎児ウシ血清)を添加したTIL Media(株式会社免疫生物研究所社)に再浮遊し、96穴マイクロプレートに1×105個/穴の濃度でまきこみ、CO2濃度5%、37℃で培養を行った。翌日HAT培地(株式会社免疫生物研究所社)を添加し、2日おきにHAT培地を交換し、10〜14日後にヒトリコンビナントガレクチン−3を抗原としてプレートに吸着させ、培養液を反応させ、さらに希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスIgGを反応させることにより、抗体産生を確認した。クローンはHAT培地を用いてさらに選択培養し、限界希釈法によってクローニングを2回繰り返し、ガレクチン−3に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株をクローン化した。
【0037】
(3)ウエスタンブロッティング
次に、上記で得られた合計5種のモノクローナル抗体(クローン名:11A4,19E2,50A3,74E2,87B5)がガレクチン−3を認識することを確認するために、リコンビナントガレクチン−3タンパクを電気泳動し、ウエスタンブロッティングを行った。
【0038】
自家調整した12.5% のポリアクリルアミド ゲル上でレムリ(Laemmli)の方法で電気泳動(SDS-PAGE法)を行った。電気泳動されたタンパクは、Immobilon Transfer Membranes(MILLIPORE社)へ電気的に転写した。メンブレンは3%のスキムミルクと1%のBSAを添加した10mMのPBSでブロッキングし、0.1%のTween-20添加PBSで4倍希釈した各ハイブリドーマの培養上清と一晩反応させ、0.05%のTween-20添加PBS溶液で洗浄し、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG(H+L Chain:株式会社免疫生物研究所社)を2,000倍に希釈して2次抗体として反応させ、洗浄後ECL溶液(Amersham社)で発光させた。
【0039】
ウエスタンブロットの結果、上記実施例により作製した5種のモノクローナル抗体はいずれも30kDa付近のガレクチン−3にバンドを有し、ガレクチン−3を認識するものであることを確認した。
【0040】
実 施 例 2
サンドイッチELISAの構築のためのガレクチン−3を特異的に認識する抗体の選別:
(1)モノクローナル抗体の固相化およびHRP標識
上記で得られた5種のモノクローナル抗体の10μg/mlの濃度調整液を100μlずつ 96穴のELISA用マイクロタイタープレートに加えた。4℃一晩反応させた後、1%のBSA/PBS/NaN3溶液にてブロッキングを行い、この状態をサンドイッチELISA用プレートとした。また、別途上記5種のモノクローナル抗体を第二のモノクローナル抗体として使用するためにHRPと酸化法にて混合しHRP標識抗体とした。サンドイッチELISAは、ELISA用プレートに用いた抗体と、異なる抗体にHRP標識したHRP標識抗体の組合せを用いて作製した。
【0041】
(2)サンプルの調整
ガレクチン−3の発現量の異なるヒト甲状腺関連培養細胞株である、NPA(甲状腺乳頭癌)およびTAD-2(甲状腺正常濾胞細胞(胎児))を培養し、0.5X106個を遠心により集め、細胞の可溶化剤であるTNE緩衝液(10mMのTris、pH8.0,1%のNP-40, 0.15MのNaCl, 1mMのEDTA)を400μl加え、4℃で15分間攪拌し、可溶化を行った。その後、10,000回転により遠心し、その上清をサンプルとして用いた。
【0042】
(3)キットに用いる抗体の選別
上記で用いたヒト甲状腺関連培養細胞株である、NPA、TAD-2の細胞株のガレクチン−3の発現量は、NPAがTAD-2よりも5倍以上多いことが知られている。すなわちこの発現量の差を正確に測定系に反映させるようにキットに用いる抗体の選別を行った。結果は、表1に示すように、プレート側にクローン:50A3とHRP標識側にクローン:87B5が産生するモノクローナル抗体を用いた組み合わせの系とプレート側にクローン:87B5とHRP標識側にクローン:11A4が産生するモノクローナル抗体を用いた組み合わせの系が最もこの発現量を反映していた。このうち、測定系の感度が高いことと非特異反応の小さいことを考慮すると、最終的に、プレート側にクローン:50A3(FERM P-19065)とHRP標識側にクローン:87B5(FERM P-19066)が産生するモノクローナル抗体を用いた組み合わせの系が最適であった。
【0043】
【表1】
【0044】
実 施 例 3
サンドイッチELISA法の構築とガレクチン−3の測定:
サンドイッチELISA法の構築は以下のように作製した。実施例2で選別したモノクローナル抗体(クローン名:50A3)の5μg/mlの濃度調整液を1次抗体として100μlずつ96穴のELISA用マイクロタイタープレートに加えた。4℃一晩反応させた後、1%のBSA/PBS/NaN3 溶液にてブロッキングを行い、この状態をサンドイッチELISA用プレートとした。同じく実施例2で選別した第2のモノクローナル抗体(クローン名:87B5)を酸化法でHRP標識したものを2次抗体とした。これらのサンドイッチELISA用プレートと標識抗体の組合せでサンドイッチELISA系を作製した。標準ガレクチン−3は実施例2(1)で作製したリコンビナントガレクチン−3を用い、既知のタンパク量から得られる吸光度とタンパク濃度の標準曲線をあらかじめ求め、実際のサンプル測定で得られる吸光度よりそのタンパク量を測定した。
【0045】
得られたキットでのガレクチン−3との反応性の測定は以下のように行った。サンドイッチELISA用プレートに、ガレクチン−3の標準液を100μl加え、37℃で1時間反応させた。反応後、0.05% Tween20-PBSでプレートを洗浄し、標識抗体を100μl加え、4℃で30分反応させた。反応後、十分に洗浄してから、TMB (Tetramethyl benzidine)溶液を100μl加え、室温、遮光下30分放置した。1N硫酸で反応を止め、吸光度450nmで測定した。測定した吸光度から標準曲線を作成した。また、同様にして測定サンプルから得られる吸光度を標準曲線に当てはめ、各測定サンプルのガレクチン−3濃度を読みとった。
【0046】
実 施 例 4
甲状腺腫瘍についてのガレクチン−3の検出:
(1)臨床検体
インフォームドコンセントにより得られた甲状腺穿刺吸引検体56例に対し、あらかじめ穿刺検体全量に対し、細胞の可溶化剤であるTNE緩衝液(10mMのTris、pH 8.0, 1%のNP-40, 0.15MのNaCl, 1mMのEDTA)を400ul加え、測定に使用するまで-20℃で保存した。測定時に、室温にて溶解後、良く混和させ、4℃で15分間攪拌により可溶化を行った。その後、10,000回転で遠心し、その上清をサンプルとして用いた。検体の内訳は、腺腫様甲状腺腫(良性)6例、腺腫様結節(良性)8例、濾胞腺腫(良性)6例、濾胞癌(悪性)7例、グレーブス病(良性)10例、および乳頭癌(悪性)19例である。合計数として、良性疾患30例、悪性疾患26例である。なお、各検体の病理組織学的診断は、その手術摘出標本に対してなされた。
【0047】
(2)総タンパク量の定量
上記の可溶化処理で得られた各上清中の総タンパク量を、Bradfordプロテインアッセイ試薬(Bio-Rad社)を用いて測定した。各検体中に存在する細胞数は検体間で異なるため、得られる総タンパク量を基準としたガレクチン−3量すなわち、ガレクチン−3量/総タンパク量の比率を用いて診断の指標とした。
【0048】
(3)測定と結果
実施例4に示した方法に従って測定を行った。結果を表2および図1に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
表2および図1より、甲状腺穿刺検体中のガレクチン−3量/総タンパク量の比率は、良性疾患である腺腫様甲状腺腫6例、腺腫様結節8例、濾胞腺腫6例、およびグレーブス病10例の計30例ですべて20以下であった。そこで、ガレクチン−3量/総タンパク量の比率の20をカットオフ値として陽性診断効率を求めると、悪性疾患である濾胞癌7例、および乳頭癌19例で、それぞれ4/7(57.1%)、18/19(94.7%)であり、高率で癌の診断が可能であった。
【0051】
統計学的にも、良性甲状腺疾患の計30例と甲状腺癌の計26例間では甲状腺癌に有意(p<0.001)な上昇が見られた。また、甲状腺穿刺検体中のガレクチン−3/総タンパク量の比率が良性甲状腺疾患群で得られた平均値+3x標準偏差の値、すなわち5.96+(3x3.75)=17.21を統計学的なカットオフ値として、陽性診断効率を求めると、濾胞癌、および乳頭癌で、それぞれ4/7(57.1%)、19/19(100%)であり、非常に高率で癌の診断が可能となった。このように適切なカットオフ値を定めることにより甲状腺疾患の良悪性を鑑別することができた。
【0052】
【発明の効果】
本発明の甲状腺腫瘍の診断用キットによれば、従来より病院などの検査室で汎用されている自動比色装置がそのまま使用可能であり、特別な装置を必要とせずに、簡単に甲状腺腫瘍の良悪性鑑別診断を術前に行うことができる。
【0053】
また、検体として甲状腺刺穿吸引細胞を使用するため、甲状腺濾胞癌との鑑別診断のために従来行われている腺腫様甲状腺腫や甲状腺濾胞腺腫に対する本来不要な摘出術を行う必要がない。
【0054】
従って本発明は、簡単に甲状腺腫瘍の良悪性を診断することができるキットとして、利用しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で実施した各種疾患甲状腺穿刺吸引検体中のガレクチン−3量/総タンパク量の比率を示す図である。
以 上
Claims (9)
- ヒトガレクチン−3に対する2つの異なる抗体を含む試薬を含有する甲状腺腫瘍の診断用キット。
- 抗体が、モノクローナル抗体である請求項第1項記載の甲状腺腫瘍の診断用キット。
- ヒトガレクチン−3に対する2つの異なる抗体を含む試薬のうち一方が固相化されたものであり、他方が標識されたものである請求項第1項または第2項記載の甲状腺腫瘍の診断用キット。
- ヒト甲状腺培養細胞株であるNPA(甲状腺乳頭癌)とTAD-2(甲状腺正常濾胞細胞(胎児))のヒトガレクチン−3量の測定をした際に、NPAのヒトガレクチン−3量がTAD-2の5倍以上となるものである請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の甲状腺腫瘍の診断用キット。
- ヒトガレクチン−3に対する2つの異なる抗体が、寄託番号がFERM P-19065およびFERM P-19066であるハイブリドーマ細胞により産生される抗体である請求項第1項ないし第4項の何れかの項記載の甲状腺腫瘍の診断用キット。
- 試料として、甲状腺穿刺吸引検体を使用することを特徴とする請求項第1項ないし第5項の何れかの項記載の甲状腺腫瘍の診断用キット。
- 甲状腺穿刺吸引検体が可溶化されたものである請求項第6項記載の甲状腺腫瘍の診断用キット。
- タンパク量の検出薬と共に使用し、ガレクチン−3量を、総タンパク量当たりの比率として評価する請求項第1項ないし第7項の何れかの項記載の甲状腺腫瘍の診断用キット。
- 請求項第1項ないし第8項の何れかの項記載の甲状腺腫瘍の診断用キットを用いて、甲状腺穿刺吸引検体中のヒトガレクチン−3の量を測定し、当該測定値を指標として甲状腺腫瘍の良悪性を鑑別することを特徴とする甲状腺腫瘍の良悪性の鑑別方法。
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