JP2007203213A - 高湿潤廃棄物の脱水前処理方法、脱水前処理装置およびこれを備えた脱水処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 化学薬品等を用いることなく高湿潤廃棄物の乾燥特性を変化させることにより、機械的な脱水処理を効果的に行って十分な含水率の低下を図り、焼却処分に必要な燃料消費量を低減することができる脱水前処理方法、脱水前処理装置およびこれを備えた脱水処理システムを提供する。
【解決手段】 高湿潤廃棄物を脱水処理する前に行われる脱水前処理方法であって、高湿潤廃棄物が下水道汚泥の場合、この下水道汚泥を処理容器内に投入して高圧水蒸気を注入し、約1.45MPa以上1.90MPa以下の圧力であって、約140℃以上210℃以下の温度で所定時間保持することにより微細化および低分子化し、乾燥特性を変化させる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、廃棄物を焼却処分したり燃料として再利用する際に行う脱水処理の前に行われる前処理技術に関し、特に、下水汚泥や生ゴミ等の含水率の高い高湿潤廃棄物の乾燥特性を変化させ、含水率を低減させるのに好適な脱水前処理方法、脱水前処理装置およびこれを備えた脱水処理システムに関するものである。
従来より、下水汚泥や生ゴミ等のように含水率が高い高湿潤廃棄物を焼却処分する場合、あるいは燃料として再利用する場合、前もって脱水処理を施して含水率を低下させている。このような脱水処理技術として、例えば、特開2005−230852号公報に記載のスクリュープレス脱水装置が知られている(特許文献1)。このスクリュープレス脱水装置は、固定プレートと可動プレートとが交互に配置された多重プレート群と、この多重プレート群の中心開口によって構成された中央筒部に貫設されるスクリューとを有している。そして、可動プレートを揺動させながらスクリューを回転させることにより廃棄物を圧搾し、各プレートの隙間から脱水するようになっている。
また、上記スクリュープレス方式の他にも、機械的な脱水処理技術として、フィルターで覆われた処理容器内に、廃棄物を高圧力で送り込んで脱水するフィルタープレス方式や、廃棄物を入れた処理容器を高速回転させて遠心力によって脱水する遠心分離方式、あるいは、ベルト状の搬送用濾布と加圧用濾布とを圧接させつつエンドレスに走行させ、これら濾布間に廃棄物を送り込むことで加圧脱水する濾布式脱水方式などが提案されている。
しかしながら、廃棄物に含有される水分は、機械的な脱水が容易な間隙水、毛管結合水および表面付着水等の外部液体と、機械的な脱水が困難な内部水等の内部液体とから構成されている。このため、特許文献1に記載された発明を含め、従来の機械的な脱水処理では、廃棄物が有する乾燥特性の範囲内において外部液体の一部を脱水しているに過ぎず、含水率を十分に低下させることができない。
したがって、従来の脱水処理システムによって脱水した廃棄物を焼却処分する場合、十分に脱水し切れていないためその焼却処理に要する燃料消費量が嵩んでしまい、処理コストが増大する。また、焼却時間も長くなるため排気ガスによる大気汚染を増長させてしまう。さらに、ガス化発電等の燃料として再利用する場合、十分に含水率が低下されていないと燃料として再利用が難しいという問題もある。一方、化学薬品等を用いて内部液体を脱水する方法も考えられるが、当該化学薬品に含有される有害物質等により環境を汚染してしまうためできるだけ回避したい。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、化学薬品等を用いることなく高湿潤廃棄物の乾燥特性を変化させることにより、機械的な脱水処理を効果的に行って十分な含水率の低下を図り、焼却処分に必要な燃料消費量を低減することができる脱水前処理方法、脱水前処理装置およびこれを備えた脱水処理システムを提供することを目的としている。
本発明に係る脱水前処理方法の特徴は、高湿潤廃棄物を脱水処理する前に行われる脱水前処理方法であって、前記高湿潤廃棄物が下水道汚泥の場合、この下水道汚泥を処理容器内に投入して高圧水蒸気を注入し、約1.45MPa以上1.90MPa以下の圧力であって、約140℃以上210℃以下の温度で所定時間保持することにより微細化および低分子化し、乾燥特性を変化させる点にある。
また、本発明に係る脱水前処理方法の特徴は、高湿潤廃棄物を脱水処理する前に行われる脱水前処理方法であって、前記高湿潤廃棄物がパルプスラッジの場合、このパルプスラッジを処理容器内に投入して高圧水蒸気を注入し、約1.36MPa以上1.96MPa以下の圧力であって、約135℃以上207℃以下の温度で所定時間保持することにより微細化および低分子化し、乾燥特性を変化させる点にある。
さらに、本発明に係る脱水前処理方法の特徴は、高湿潤廃棄物を脱水処理する前に行われる脱水前処理方法であって、前記高湿潤廃棄物が生ゴミの場合、この生ゴミを処理容器内に投入して高圧水蒸気を注入し、約1.50MPa以上1.96MPa以下の圧力であって、約185℃以上215℃以下の温度で所定時間保持することにより微細化および低分子化し、乾燥特性を変化させる点にある。
また、本発明に係る脱水前処理装置の特徴は、高湿潤廃棄物を脱水処理する前に脱水前処理を行う脱水前処理装置であって、攪拌手段を備えた処理容器と、この処理容器内に投入された下水道汚泥に対して高圧水蒸気を注入する水蒸気注入手段と、この水蒸気注入手段による高圧水蒸気の注入量を制御し、前記処理容器内を約1.45MPa以上1.90MPa以下の圧力であって、約140℃以上210℃以下の温度で所定時間保持することにより、前記下水道汚泥を微細化および低分子化し、乾燥特性を変化させる制御手段とを有する点にある。
さらに、本発明に係る脱水前処理装置の特徴は、高湿潤廃棄物を脱水処理する前に脱水前処理を行う脱水前処理装置であって、攪拌手段を備えた処理容器と、この処理容器内に投入されたパルプスラッジに対して高圧水蒸気を注入する水蒸気注入手段と、この水蒸気注入手段による高圧水蒸気の注入量を制御し、前記処理容器内を約1.36MPa以上1.96MPa以下の圧力であって、約135℃以上207℃以下の温度で所定時間保持することにより、前記パルプスラッジを微細化および低分子化し、乾燥特性を変化させる制御手段とを有する点にある。
また、本発明に係る脱水前処理装置の特徴は、高湿潤廃棄物を脱水処理する前に脱水前処理を行う脱水前処理装置であって、攪拌手段を備えた処理容器と、この処理容器内に投入された生ゴミに対して高圧水蒸気を注入する水蒸気注入手段と、この水蒸気注入手段による高圧水蒸気の注入量を制御し、前記処理容器内を約1.50MPa以上1.96MPa以下の圧力であって、約185℃以上215℃以下の温度で所定時間保持することにより、前記生ゴミを微細化および低分子化し、乾燥特性を変化させる制御手段とを有する点にある。
さらに、本発明に係る脱水処理システムの特徴は、請求項4から請求項6のいずれかに記載の脱水前処理装置によって乾燥特性が変化させられた高湿潤廃棄物を脱水し、含水率を低下させる脱水装置を備えている点にある。
本発明によれば、化学薬品等を用いることなく高湿潤廃棄物の乾燥特性を変化させることにより、機械的な脱水処理を効果的に行って十分な含水率の低下を図り、焼却処分に必要な燃料消費量を低減することができる。
以下、本発明に係る高湿潤廃棄物の脱水前処理方法、脱水前処理装置およびこれを備えた脱水処理システムの実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係る高湿潤廃棄物の脱水前処理装置1およびこれを備えた脱水処理システムSの一実施形態を示す全体図である。本実施形態の脱水処理システムSは、主として、高湿潤廃棄物を脱水処理する前に、乾燥特性を変化させる脱水前処理を行う脱水前処理装置1と、この脱水前処理装置1によって乾燥特性を変化させた高湿潤廃棄物を機械的に脱水し、含水率を低下させる脱水装置10とを備えている。
なお、本実施形態で乾燥特性を変化させる高湿潤廃棄物は、下水道汚泥、パルプスラッジ、生ゴミ、魚残渣、泥炭、家畜糞、イカの肝臓(イカゴロ)、ホタテ貝の中腸腺(ホタテウロ)等のように含水率が高く、機械的な脱水処理だけでは十分に含水率を低下できない高湿潤廃棄物を対象としている。また、本実施形態において、乾燥特性とは、水分の離脱し易さ、吸収し難さに関する性状を示すものであり、この乾燥特性を変化させることで単なる機械的脱水処理では得られない含水率の減少を図るものである。
まず、本実施形態の脱水前処理装置1は、主として、各種の高湿潤廃棄物が投入される耐圧性・耐熱性を備えた処理容器2と、この処理容器2に投入された高湿潤廃棄物を攪拌するための攪拌手段3と、処理容器2内の高湿潤廃棄物に対して高圧水蒸気を注入するための水蒸気注入手段4と、処理容器2内の圧力を調節するための圧力調節手段5と、前記攪拌手段3、前記水蒸気注入手段4および前記圧力調節手段5を制御するための制御手段6とから構成されている。
処理容器2は、耐圧性を備えた第一種圧力容器により構成されており、その内部で高湿潤廃棄物を水熱反応させるようになっている。本実施形態において、水熱反応とは、高温・高圧の水蒸気を利用した反応であり、各種の高湿潤廃棄物を微細化および低分子化させる作用を有している。水熱反応させる圧力および温度の大きさは、高湿潤廃棄物の乾燥特性を変化させ得る範囲に設定される。後述するように基本的には、容器内圧力を1.96MPa以下、容器内温度を215℃以下に設定するのが好ましい。
また、処理容器2の上部には高湿潤廃棄物の投入口21が設けられているとともに、下部には排出口22が設けられている。これら投入口21および排出口22は、高湿潤廃棄物を処理する際に処理容器2内の高温高圧条件に耐えられるパッキンが使用された密閉構造を備えている。投入口21および排出口22は、安全性を考慮して、処理容器2内の圧力が0.015MPa以下にまで減圧されない限り、開閉操作が反応しない制御システムを備えている。
なお、処理容器2内の上方には上部温度センサ23aが設けられ、下方には下部温度センサ23bが設けられている。本実施形態では、上部温度センサ23aおよび下部温度センサ23bは処理容器2の鉛直方向から約30°傾斜された処理容器2の内面に配置されている。また、処理容器2内の上方には、圧力を検出する圧力センサ24が備えられている。
つぎに、攪拌手段3は、処理容器2内の高湿潤廃棄物を攪拌して均一に加圧および加温するためのものである。この撹拌手段3は、処理容器2内の長手方向に水平回動軸31を軸支しており、この水平回動軸31の垂直面に対して前方に傾斜された撹拌羽根32を取り付けている。水平回動軸31には、これを正逆回動可能な駆動モータ33が連結されている。撹拌手段3は、投入された高湿潤廃棄物を撹拌羽根32で攪拌しつつ徐々に移送するようになっている。また、駆動モータ33はインバータ制御により回転数および正逆回転方向を自在に制御できるように構成されており、高湿潤廃棄物を水熱反応により微細化および低分子化させ、その乾燥特性を変化させるまで処理容器2内で往復動させる。
つぎに、水蒸気注入手段4は、高温高圧の水蒸気を発生させるボイラー41と、このボイラー41から発生した水蒸気を処理容器2内に供給するための送気管42とを有している。ボイラー41で発生する水蒸気の圧力およびその圧力に付随する温度は一定値に保持されており、処理容器2内の圧力および温度は、水蒸気の注入量を増減することによって調節される。また、送気管42は、処理容器2に対して水平回動軸31よりも上方位置に連結されている。これは、処理容器2内の高湿潤廃棄物を均一に処理するための工夫であり、つまり、高湿潤廃棄物が撹拌されて中空に浮き、他の高湿潤廃棄物によって覆い被さられる直前に高温高圧水蒸気を当てることにより、効率的な水熱処理を行うためである。
つぎに、圧力調節手段5は、処理容器2内の圧力および温度を調節するものであり、開閉自在に電気制御される圧力調整バルブ51と、この圧力調整バルブ51を介して処理容器2内の水蒸気を排気するための排気管52とから構成されている。そして、処理容器2内の圧力または温度が所定値を越えると圧力調整バルブ51を開放し、処理容器2内の水蒸気を抜いて所定の圧力または温度以下に保持するようになっている。また、排気管52にはサイレンサー7を経由して冷却装置8が連結されており、処理容器2からの水蒸気を冷却して液化し、排水処理設備9に供給するようになっている。さらに、サイレンサー7により、騒音防止条例の規制値をクリアして市街地などに設置できるよう設計されている。
つぎに、制御手段6は、上部温度センサ23a、下部温度センサ23bおよび圧力センサ24に接続されており、これらセンサ23a,23b,24からの検出信号や所定の制御プログラムに基づいて、攪拌手段3、水蒸気注入手段4および圧力調節手段5を制御するものである。また、制御手段6は、図示しない記憶手段を備えており、この記憶手段に予め各種の高湿潤廃棄物を微細化および低分子化するのに好適な容器内温度、容器内圧力および処理時間に関する処理条件が設定されている。
本実施形態において、制御手段6は、上記処理条件を保持するように水蒸気注入手段4および圧力調節手段5をフィードバック制御するようになっている。すなわち、制御手段6は、上部温度センサ23a、下部温度センサ23bおよび圧力センサ24の検出結果に基づき、処理容器2内の温度および圧力が処理条件に満たない場合には、水蒸気注入手段4を制御して水蒸気を注入し、逆に処理条件を越えそうな場合には、圧力調節手段5を制御して水蒸気を排気し、温度および圧力を低下させるようになっている。また、制御手段6は、駆動モータ33の回転方向や回転速度を制御して処理容器2内における高湿潤廃棄物の処理時間を制御するようになっている。
また、脱水装置10は、排出口22から排出された高湿潤廃棄物を脱水するものであり、本実施形態では、スクリュープレス方式の脱水機から構成されている。このスクリュープレス脱水機は、図示しない固定プレートと可動プレートとが交互に重ね合わせられており、可動プレートを揺動させながらスクリューで圧搾することにより高湿潤廃棄物を脱水するようになっている。
なお、脱水装置10は、スクリュープレス方式に限られるものではなく、フィルターで覆われた処理容器内に、高湿潤廃棄物を高圧力で送り込んで脱水するフィルタープレス方式や、高湿潤廃棄物を入れた処理容器を高速回転させて遠心力によって脱水する遠心分離方式、あるいはベルト状の搬送用濾布と加圧用濾布とを圧接させつつエンドレスに走行させ、これら濾布間に高湿潤廃棄物を送り込むことで加圧脱水する濾布式脱水方式等の各種の脱水機10を採用してもよい。
つぎに、本実施形態の脱水前処理装置1による脱水前処理方法について説明する。
まず、処理対象となる高湿潤廃棄物の種類ごとに、処理容器2内における脱水前処理時の容器内圧力、容器内温度および処理時間等の処理条件を予め制御手段6に対して設定しておく。この場合、設定される処理条件は、各種の高湿潤廃棄物が微細化および低分子化され、乾燥特性が変化する程度に設定されており、本実施形態では、容器内圧力を約1.96MPa以下、容器内温度を約215℃以下の範囲内に設定する。通常、この設定値を超える温度及び圧力に達すると、高湿潤廃棄物の炭化が進行して焼却し難くなるため本発明の効果が十分ではなく、結局、埋め立て処分等をした方がコスト減になることがある。また、炭化が進行するほど発熱量が低減するため燃料としての価値が下がってしまうし、窒素に対する炭化量が多くなるため、肥料に転用する場合にも好ましくない。
つぎに、投入口21から所定の高湿潤廃棄物を処理容器2内に投入する。このとき、籾殻由来の水分調整資材を混入させることが好ましい。この水分調整資材は、本実施形態の脱水前処理装置1を使って籾殻を処理したものであり、具体的には、籾殻に消石灰あるいはホタテの貝殻粉砕物を混入して1.45MPa〜1.96MPa、より好ましくは1.65MPa〜1.85MPaで5〜30分保持して処理したものである。このように処理した籾殻は棉のように柔らかい。このような籾殻の水分調整資材を混入することにより、高価なおが屑等を使用しなくても処理物の含水率を安全に調整することができる。
つづいて、ボイラー41から高温高圧の水蒸気の注入を開始するとともに、撹拌羽根32によって高湿潤廃棄物を大きく攪拌し、徐々に排出口22方向へ移送する。高湿潤廃棄物の種類や処理量に応じては駆動モータ33を逆方向に反転させて高湿潤廃棄物を往復動させながら攪拌移送を行う。これにより小さい処理容器2であっても充分な処理時間を確保することができる。
この攪拌移動している間、処理容器2内には、水平回動軸31よりも上方に取り付けられた送気管42から高圧の水蒸気が注入される。このため、高湿潤廃棄物は撹拌手段3の攪拌によって水平回動軸31よりも上方においてばらばらな状態に飛散されたとき、高温高圧の水蒸気が効果的に吹き付けられて水熱反応が進行する。このとき、本実施形態では、圧力が1.96MPa以下、温度が215℃以下の処理条件で処理するため、高湿潤廃棄物を微細化および低分子化するのに十分な加水分解作用を発揮することが可能である。したがって、水蒸気圧力に付随する加熱および水蒸気の加水分解が効果的に進められる。
なお、処理容器2内に高温高圧の水蒸気が注入されている間、制御手段6は、上部温度センサ23a、下部温度センサ23bおよび圧力センサ24の検出結果を常に監視し、処理容器2内の温度や圧力が予め設定した処理条件を満たすように水蒸気注入手段4および圧力調整手段5を制御している。
つづいて、設定した保持時間が経過すると、制御手段6は水蒸気注入手段4を制御して水蒸気の注入を停止するとともに、圧力調節手段5を制御して圧力調整バルブ51を開放する。これにより、処理容器2内の水蒸気が排気管52を通じて排気され、処理容器2内の温度および圧力が急激に低下するため、高湿潤廃棄物は爆砕するように分解しより効果的な微細化および低分子化が完了する。これは、水蒸気の排気により、減圧蒸留、水蒸気蒸留あるいは昇華に類似した現象が発生するためと考えられる。また、高湿潤廃棄物に含まれていた水分は減圧に伴って凝縮して排出される。
なお、高温・高圧で一定時間保持する意味は、高湿潤廃棄物を分解させるための余裕条件を付加させるためである。できるだけ高湿潤廃棄物の分解が緩やかに始まるタイミングとし、その後の減圧開始と同時に分解が進行する。このとき、高湿潤廃棄物に含まれる水分と水蒸気が冷却され、凝縮された水分は有圧から無圧への状態変化に伴って容器外へ放散され、適度な含水率を持つ物質へ性状が変化する。また、本実施形態では、注入停止後、直ちに水蒸気を排気しているが、排気前の微細化および低分子化の確実性・安定性を想定して数分程度保持してもよい。
以上のような処理圧力および処理温度による水熱反応処理によって、高湿潤廃棄物は結合分子の分離と分解が起こって微細化および低分子化され、乾燥特性が変化する。具体的には、高湿潤廃棄物は爆砕するように分解されるため、例えば分散しにくい細菌のフロック等であっても崩壊され、放出しにくい水分を離脱し易い状態になる。また、分子レベルで分解されるため、野菜や魚肉等の細胞壁や細胞膜が破壊され、水分を一層離脱し易くできるとともに、残存している水分も放置しておくだけで蒸発する状態になる。
そして、処理後の高湿潤廃棄物は排出口22から排出された後、脱水装置10へと送られて脱水処理される。このとき、高湿潤廃棄物は乾燥特性が変化しているため、従来の機械的な脱水技術によって減少されていた限界の含水率よりも低い値にまで低減される。また、高湿潤廃棄物とともに排出口22から排出された水は排水処理設備9に供給されて浄化処理される。
なお、本実施形態の水熱反応処理によれば、高湿潤廃棄物は燃焼せずに初期炭化という性状変化が生じる。この初期炭化の状態では、高湿潤廃棄物が元来保有する熱量がそれほど消滅することなく残留する。このような処理物は肥料として利用できるだけでなく、ガス化発電用の燃料として利用できる。
つぎに、本実施形態の具体的な実施例について説明する。以下の各実施例では、実用化を想定し、実用に適する短い時間内で経済的に高湿潤廃棄物の乾燥特性を変化させるための処理条件を求める実験を行った。
本実験では、容積が3000リットルの処理容器2を使用し、この処理容器2に対して充填率が65%〜95%となるように高湿潤廃棄物を投入した。また、処理条件としては、容器内圧力が約1.96MPa以下、容器内温度が約215℃以下の範囲内で高湿潤廃棄物の種類・性質等を考慮して適宜選択して設定した。これらの実験条件およびその処理結果を図2に示す。なお、含水率の測定には、株式会社島津製作所の島津電子式水分計「EB−340MOC」を使用した。また、脱水処理には、定格出力15kW、定格電流38Aのスクリュープレス脱水機を使用した。さらに、燃焼試験には、焼却能力が500kg/hの小型ストーカー試験炉を使用した。
『下水道汚泥の脱水前処理および脱水処理』
実施例1では、高湿潤廃棄物として図3に示すような下水道汚泥を本実施形態の脱水前処理装置1によって脱水前処理した後に脱水装置10で処理し、従来の脱水装置10のみで処理した下水道汚泥と特性を比較した。実験に用いた下水道汚泥の処理前の含水率は約81%であり、この下水道汚泥を従来の脱水装置10によって単純に機械的に脱水処理したときの含水率は約51%程度であった。また、脱水前処理を行わずに脱水した下水道汚泥を焼却するのに要した燃料消費量は、約250L/hであった。なお、脱水に要した時間および電流値は、それぞれ8分、24Aであった。このような下水道汚泥を本実施形態の脱水前処理装置1によって処理容器2内の圧力および処理時間を適宜変更しながら処理を行った。
実施例1では、高湿潤廃棄物として図3に示すような下水道汚泥を本実施形態の脱水前処理装置1によって脱水前処理した後に脱水装置10で処理し、従来の脱水装置10のみで処理した下水道汚泥と特性を比較した。実験に用いた下水道汚泥の処理前の含水率は約81%であり、この下水道汚泥を従来の脱水装置10によって単純に機械的に脱水処理したときの含水率は約51%程度であった。また、脱水前処理を行わずに脱水した下水道汚泥を焼却するのに要した燃料消費量は、約250L/hであった。なお、脱水に要した時間および電流値は、それぞれ8分、24Aであった。このような下水道汚泥を本実施形態の脱水前処理装置1によって処理容器2内の圧力および処理時間を適宜変更しながら処理を行った。
実験の結果、図2に示すように、処理容器2内を約1.45MPa以上1.75MPa以下の圧力であって、約140℃以上165℃以下の温度で約55分〜60分間保持した場合(処理条件1)、前処理後の下水道汚泥の含水率は約61%に低下していた。また、処理容器2内を約1.75MPa以上1.80MPa以下の圧力であって、約160℃以上200℃以下の温度で約55分〜60分間保持した場合(処理条件2)、前処理後の下水道汚泥の含水率は約39%に低下していた。このときのパルプスラッジを示すデジタル写真画像を図4に示す。さらに、処理容器2内を約1.80MPa以上1.90以下の圧力であって、約200℃以上210℃以下の温度で約55分〜65分間保持した場合(処理条件3)、前処理後の下水道汚泥の含水率は約23%に低下していた。すなわち、本実施形態により処理した下水道汚泥は、初期の含水率から最大で約60%近くも低減された。
そして、これら脱水前処理後の下水道汚泥をさらに脱水装置10によって脱水すると、含水率はさらに低下し約20〜35%にまで低下した。これは、従来の脱水装置10のみにより処理した場合の含水率約51%と比べると最大で約30%以上も低減されている。そして、脱水前処理後に脱水した下水道汚泥を焼却するのに要した燃料消費量は平均約75L/hであり、脱水前処理せずに脱水したものを焼却したときの燃料消費量の約250L/hと比較して1/3以下にまで低減された。
なお、前処理後に脱水した下水道汚泥は、燃料に適した性状を有しており、例えば点火しただけで自燃が開始された。また、処理条件1〜3のいずれの場合も、燃料消費量が十分に低減されており、実用的な乾燥特性に変化されている。ただ、処理時間を優先して経済性を考慮すると、処理条件2による処理が、好適な乾燥特性に変化されているものと考えられる。なお、下水道汚泥は汚泥が水に溶け込んでいるため処理時間が他の処理物よりも長くなった。
また、本実施例1において、下水道汚泥の乾燥特性がどの程度変化したかを確認するため、前処理を行ったものと前処理を行わないものをそれぞれ脱水せずに自然乾燥させた。図5(a)は、デジケータ内で自然乾燥させた場合の時間経過に対する含水率のグラフであり、図5(b)は、風通しのよい場所で自然乾燥させた場合の時間経過に対する含水率のグラフである。
図5(a),(b)に示すように、前処理を行わない下水道汚泥は含水率が低下し難く、70時間を経過してもデジケータ内では、約10%程度しか含水率が低下しなかった。風通しのよい場所に放置しても含水率は60%以下にはならなかった。一方、処理後の下水道汚泥は、デジケータ内では、10時間を経過したあたりから急激に含水率が減少し、70時間を超えた後では含水率が10%以下にまで低下した。また、風通しのよい場所では、自然乾燥開始直後から含水率が急激に低下し、50時間を経過する前に含水率は5%以下にまで低下していた。これらの結果より、本実施形態の処理により、下水道汚泥の乾燥特性が変化され、水分が離脱しやすい状態になっており、換言すれば、分子レベルでの微細化によって水分を内包しておくこと自体ができなくなっているのである。
以上、実施例1によれば、下水道汚泥の機械的な脱水処理効果を上げて含水率を格段に減少させ、焼却時の燃料消費量を十分に抑制できる程度に乾燥特性を変化させる処理条件は、処理容器2内の圧力を1.45MPa以上1.90MPa以下、温度を140℃以上210℃以下で55分〜65分間保持することが好ましく、より好ましくは圧力を1.75MPa以上1.80MPa以下、温度を160℃以上200℃以下で55分〜60分間保持する条件である。
なお、本実施例1において、脱水前処理の前、処理中および処理後の下水道汚泥をそれぞれ採取し、その臭いを確認した。その結果、脱水前処理の前の下水道汚泥は強烈な汚泥臭を放っていたが、処理中における下水道汚泥を採取したところ、汚泥臭が弱まり、その一部は有機酸臭へと変わっていた。そして、処理後の下水道汚泥からは、汚泥臭が消失し有機酸臭のみが残留していた。これにより、本実施形態の脱水前処理装置1による処理によれば、臭気が低減したり、臭気質が変換されるという補助的な作用効果を奏することが確認された。
『パルプスラッジの脱水前処理および脱水処理』
実施例2では、高湿潤廃棄物として図6に示すようなパルプスラッジを本実施形態の脱水前処理装置1によって脱水前処理した後に脱水装置10で処理し、従来の脱水装置10のみで処理したパルプスラッジと特性を比較した。実験に用いたパルプスラッジの処理前の含水率は約85%であり、このパルプスラッジを従来の脱水装置10によって単純に機械的に脱水した後の含水率は約41%であった。また、脱水前処理を行わずに脱水したパルプスラッジを焼却するのに要した燃料消費量は、約230L/hであった。なお、脱水に要した時間および電流値は、それぞれ7分、25Aであった。このようなパルプスラッジを本実施形態の脱水前処理装置1によって処理容器2内の圧力および処理時間を適宜変更しながら処理を行った。
実施例2では、高湿潤廃棄物として図6に示すようなパルプスラッジを本実施形態の脱水前処理装置1によって脱水前処理した後に脱水装置10で処理し、従来の脱水装置10のみで処理したパルプスラッジと特性を比較した。実験に用いたパルプスラッジの処理前の含水率は約85%であり、このパルプスラッジを従来の脱水装置10によって単純に機械的に脱水した後の含水率は約41%であった。また、脱水前処理を行わずに脱水したパルプスラッジを焼却するのに要した燃料消費量は、約230L/hであった。なお、脱水に要した時間および電流値は、それぞれ7分、25Aであった。このようなパルプスラッジを本実施形態の脱水前処理装置1によって処理容器2内の圧力および処理時間を適宜変更しながら処理を行った。
実験の結果、図2に示すように、処理容器2内を約1.36MPa以上1.55MPaMPa以下の圧力であって、約135℃以上161℃以下の温度で約35分〜45分間保持した場合(処理条件4)、前処理後のパルプスラッジの含水率は約63%に低下していた。このときのパルプスラッジを示すデジタル写真画像を図7に示す。また、処理容器2内を約1.55MPa以上1.75MPa以下の圧力であって、約161℃以上180℃以下の温度で約40分〜45分間保持した場合(処理条件5)、前処理後のパルプスラッジの含水率は約44%に低下していた。さらに、処理容器2内を約1.75MPa〜1.96以下の圧力であって、約180℃〜207℃以下の温度で約40分〜55分間保持した場合(処理条件6)、前処理後のパルプスラッジの含水率は約43%に低下していた。すなわち、本実施形態により処理したパルプスラッジは、初期の含水率から最大で約60%以上も低減された。
そして、これら脱水前処理後のパルプスラッジをさらに脱水装置10によって脱水すると、含水率はさらに低下し約20〜30%にまで低下した。これは、従来の脱水装置10のみにより処理した場合の含水率約41%と比べても最大で約20%以上も低減されている。そして、この脱水前処理後に脱水したパルプスラッジを焼却するのに要した燃料消費量は平均約75L/hであり、脱水前処理せずに脱水したものを焼却したときの燃料消費量の約230L/hと比較して1/3以下にまで低減された。
なお、前処理後に脱水したパルプスラッジは、燃料に適した性状を有しており、例えば点火しただけで自燃が開始された。また、処理条件4〜6のいずれの場合も、燃料消費量が十分に低減されており、実用的な乾燥特性に変化されている。ただ、処理時間を優先して経済性を考慮すると、処理条件4による処理が、好適な乾燥特性に変化されているものと考えられる。
以上、実施例2によれば、パルプスラッジの機械的な脱水処理効果を上げて含水率を格段に減少させ、焼却時の燃料消費量を十分に抑制できる程度に乾燥特性を変化させる処理条件は、処理容器2内の圧力を1.36MPa以上1.96MPa以下、温度を135℃以上207℃以下で35分〜55分間保持することが好ましく、より好ましくは圧力を1.36MPa以上1.55MPa以下、温度を135℃以上161℃以下で35分〜45分間保持する条件である。
『生ゴミの脱水前処理および脱水処理』
実施例3では、高湿潤廃棄物として図8に示すような家庭や店舗等から廃棄される肉・魚・野菜等のくずや食べ残し等の水分を多く含んでいる生ゴミを本実施形態の脱水前処理装置1によって脱水前処理した後に脱水装置10で処理し、従来の脱水装置10のみで処理したパルプスラッジと特性を比較した。実験に用いた生ゴミの処理前の含水率は約88%であり、この生ゴミを従来の脱水装置10によって単純に機械的に脱水した後の含水率は約51%であった。また、脱水前処理を行わずに脱水した生ゴミを焼却するのに要した燃料消費量は、約260L/hであった。なお、脱水に要した時間および電流値は、それぞれ6分、25Aであった。このような生ゴミを本実施形態の脱水前処理装置1によって処理容器2内の圧力および処理時間を適宜変更しながら処理を行った。
実施例3では、高湿潤廃棄物として図8に示すような家庭や店舗等から廃棄される肉・魚・野菜等のくずや食べ残し等の水分を多く含んでいる生ゴミを本実施形態の脱水前処理装置1によって脱水前処理した後に脱水装置10で処理し、従来の脱水装置10のみで処理したパルプスラッジと特性を比較した。実験に用いた生ゴミの処理前の含水率は約88%であり、この生ゴミを従来の脱水装置10によって単純に機械的に脱水した後の含水率は約51%であった。また、脱水前処理を行わずに脱水した生ゴミを焼却するのに要した燃料消費量は、約260L/hであった。なお、脱水に要した時間および電流値は、それぞれ6分、25Aであった。このような生ゴミを本実施形態の脱水前処理装置1によって処理容器2内の圧力および処理時間を適宜変更しながら処理を行った。
実験の結果、図2に示すように、処理容器2内を約1.50MPa以上1.81MPaMPa以下の圧力であって、約185℃〜205℃以下の温度で約30分〜35分間保持した場合(処理条件7)、前処理後の生ゴミの含水率は約55%に低下していた。このときの生ゴミを示すデジタル写真画像を図9に示す。また、処理容器2内を約1.82MPa以上1.90MPa以下の圧力であって、約208℃以上210℃以下の温度で約30分〜35分間保持した場合(処理条件8)、前処理後の生ゴミの含水率は約22%に低下していた。さらに、処理容器2内を約1.90MPa以上1.96以下の圧力であって、約210℃〜215℃以下の温度で約35分〜50分間保持した場合(処理条件9)、前処理後の生ゴミの含水率は約21%に低下していた。すなわち、本実施形態により処理した生ゴミは、初期の含水率から最大で約60%以上も低減された。
そして、これら脱水前処理後の生ゴミをさらに脱水装置10によって脱水すると、含水率はさらに低下し約20〜35%にまで低下した。これは、従来の脱水装置10のみにより処理した場合の含水率約51%と比べても最大で約30%以上も低減されている。そして、この脱水前処理後に脱水した生ゴミを焼却するのに要した燃料消費量は平均約75L/hであり、脱水前処理せずに脱水したものを焼却したときの燃料消費量の約260L/hと比較して1/3以下にまで低減された。
なお、前処理後に脱水した生ゴミは、燃料に適した性状を有しており、例えば点火しただけで自燃が開始された。また、処理条件7〜9のいずれの場合も、燃料消費量が十分に低減されており、実用的な乾燥特性に変化されている。ただ、処理時間を優先して経済性を考慮すると、処理条件7による処理が、好適な乾燥特性に変化されているものと考えられる。
以上、実施例3によれば、生ゴミの機械的な脱水処理効果を上げて含水率を格段に減少させ、焼却時の燃料消費量を十分に抑制できる程度に乾燥特性を変化させる処理条件は、処理容器2内の圧力を1.50MPa以上1.96MPa以下、温度を185℃以上215℃以下で30分〜50分間保持することが好ましく、より好ましくは圧力を1.50MPa以上1.81MPa以下、温度を185℃以上205℃以下で30分〜35分間保持する条件である。
なお、上述した各実施例で使用した脱水前処理装置1は、処理容器2の最高圧力が1.96MPaであるため、それ以上の圧力値での実験は行っていないが、過度に高温高圧を付与して処理すると炭化が進行してしまうことに注意を要する。また、1.36MPaよりも低い圧力値で処理すると、処理時間が増大するため好ましくない。
以上のような本実施形態によれば、
1.高湿潤廃棄物の乾燥特性を変化させることにより水分を分離しやすく吸収しにくい構造になっているため、従来の機械的な脱水技術によって低減させられる限界の含水率よりも低い値にまで低減することができる。
2.高湿潤廃棄物の焼却処分に必要な燃料消費量を低減して処理コストを低減するとともに、二酸化炭素の排出量を抑制することができる。
3.高湿潤廃棄物を焼却処分したり、燃料として再利用する場合の前処理として利用することができる。
4.悪臭を有する高湿潤廃棄物の臭気を低減したり、臭気質を変換することができる。
5.高湿潤廃棄物を肥料やガス化発電用の燃料として再利用することができる
等の効果を奏する。
1.高湿潤廃棄物の乾燥特性を変化させることにより水分を分離しやすく吸収しにくい構造になっているため、従来の機械的な脱水技術によって低減させられる限界の含水率よりも低い値にまで低減することができる。
2.高湿潤廃棄物の焼却処分に必要な燃料消費量を低減して処理コストを低減するとともに、二酸化炭素の排出量を抑制することができる。
3.高湿潤廃棄物を焼却処分したり、燃料として再利用する場合の前処理として利用することができる。
4.悪臭を有する高湿潤廃棄物の臭気を低減したり、臭気質を変換することができる。
5.高湿潤廃棄物を肥料やガス化発電用の燃料として再利用することができる
等の効果を奏する。
なお、通常、自然界で微生物を使って高湿潤廃棄物を分解処理させると、堆肥の状態まで到達するには6ヶ月から36ヶ月以上の時間を要してしまう。これを本実施形態の脱水前処理装置1によれば、処理時間も含めて約30〜60分程度という極めて短時間で堆肥化でき、しかも無菌状態で安全に処理することができる。
また、本発明に係る脱水前処理装置1は、上述した実施形態に限られるものではなく、適宜変更することができる。
例えば、上述した本実施形態では、排水処理設備9を1つしか設けていないが、図10に示すように、別途、予備排水処理設備11を設けてもよい。この予備排水処理設備11によれば、サイレンサー7や排出口22から排出された排水のpHを調整して、排水の規制値をクリアする。
1 脱水前処理装置
2 処理容器
3 攪拌手段
4 水蒸気注入手段
5 圧力調節手段
6 制御手段
7 サイレンサー
8 冷却装置
9 排水処理設備
10 脱水装置
11 予備排水処理設備
21 投入口
22 排出口
23a 上部温度センサ
23b 下部温度センサ
24 圧力センサ
31 水平回動軸
32 攪拌羽根
33 駆動モータ
41 ボイラー
42 送気管
51 圧力調整バルブ
52 排気管
S 脱水処理システム
2 処理容器
3 攪拌手段
4 水蒸気注入手段
5 圧力調節手段
6 制御手段
7 サイレンサー
8 冷却装置
9 排水処理設備
10 脱水装置
11 予備排水処理設備
21 投入口
22 排出口
23a 上部温度センサ
23b 下部温度センサ
24 圧力センサ
31 水平回動軸
32 攪拌羽根
33 駆動モータ
41 ボイラー
42 送気管
51 圧力調整バルブ
52 排気管
S 脱水処理システム
Claims (7)
- 高湿潤廃棄物を脱水処理する前に行われる脱水前処理方法であって、前記高湿潤廃棄物が下水道汚泥の場合、この下水道汚泥を処理容器内に投入して高圧水蒸気を注入し、約1.45MPa以上1.90MPa以下の圧力であって、約140℃以上210℃以下の温度で所定時間保持することにより微細化および低分子化し、乾燥特性を変化させることを特徴とする脱水前処理方法。
- 高湿潤廃棄物を脱水処理する前に行われる脱水前処理方法であって、前記高湿潤廃棄物がパルプスラッジの場合、このパルプスラッジを処理容器内に投入して高圧水蒸気を注入し、約1.36MPa以上1.96MPa以下の圧力であって、約135℃以上207℃以下の温度で所定時間保持することにより微細化および低分子化し、乾燥特性を変化させることを特徴とする脱水前処理方法。
- 高湿潤廃棄物を脱水処理する前に行われる脱水前処理方法であって、前記高湿潤廃棄物が生ゴミの場合、この生ゴミを処理容器内に投入して高圧水蒸気を注入し、約1.50MPa以上1.96MPa以下の圧力であって、約185℃以上215℃以下の温度で所定時間保持することにより微細化および低分子化し、乾燥特性を変化させることを特徴とする脱水前処理方法。
- 高湿潤廃棄物を脱水処理する前に脱水前処理を行う脱水前処理装置であって、攪拌手段を備えた処理容器と、この処理容器内に投入された下水道汚泥に対して高圧水蒸気を注入する水蒸気注入手段と、この水蒸気注入手段による高圧水蒸気の注入量を制御し、前記処理容器内を約1.45MPa以上1.90MPa以下の圧力であって、約140℃以上210℃以下の温度で所定時間保持することにより、前記下水道汚泥を微細化および低分子化し、乾燥特性を変化させる制御手段とを有することを特徴とする脱水前処理装置。
- 高湿潤廃棄物を脱水処理する前に脱水前処理を行う脱水前処理装置であって、攪拌手段を備えた処理容器と、この処理容器内に投入されたパルプスラッジに対して高圧水蒸気を注入する水蒸気注入手段と、この水蒸気注入手段による高圧水蒸気の注入量を制御し、前記処理容器内を約1.36MPa以上1.96MPa以下の圧力であって、約135℃以上207℃以下の温度で所定時間保持することにより、前記パルプスラッジを微細化および低分子化し、乾燥特性を変化させる制御手段とを有することを特徴とする脱水前処理装置。
- 高湿潤廃棄物を脱水処理する前に脱水前処理を行う脱水前処理装置であって、攪拌手段を備えた処理容器と、この処理容器内に投入された生ゴミに対して高圧水蒸気を注入する水蒸気注入手段と、この水蒸気注入手段による高圧水蒸気の注入量を制御し、前記処理容器内を約1.50MPa以上1.96MPa以下の圧力であって、約185℃以上215℃以下の温度で所定時間保持することにより、前記生ゴミを微細化および低分子化し、乾燥特性を変化させる制御手段とを有することを特徴とする脱水前処理装置。
- 請求項4から請求項6のいずれかに記載の脱水前処理装置によって乾燥特性が変化させられた高湿潤廃棄物を脱水し、含水率を低下させる脱水装置を備えていることを特徴とする脱水処理システム。
Priority Applications (1)
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JP2006025754A JP2007203213A (ja) | 2006-02-02 | 2006-02-02 | 高湿潤廃棄物の脱水前処理方法、脱水前処理装置およびこれを備えた脱水処理システム |
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- 2006-02-02 JP JP2006025754A patent/JP2007203213A/ja active Pending
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