JP2007200754A - アルカリ乾電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルカリ電池における絶縁リングの位置決めを容易にして生産性を高め、不良品発生を低下させることが可能なアルカリ乾電池を提供する。
【解決手段】正極端子を兼ねる有底円筒の正極缶1と、その正極缶内に配置された中空円筒状の正極合剤2と、有底円筒状のセパレータ3を介して前記正極合剤の中空部に充填されたゲル状亜鉛負極4とを備え、前記正極缶開口部のかしめ部外側に短絡防止用の絶縁リング9が設置されているアルカリ乾電池において、該絶縁リングとして、内径が負極端子である金属封口板8の外径より大きく、かつその内径側面に3個以上の突起部を有するものを使用することによって、組立工程中の絶縁リングのズレや脱落を防止することができる。
【選択図】図1
【解決手段】正極端子を兼ねる有底円筒の正極缶1と、その正極缶内に配置された中空円筒状の正極合剤2と、有底円筒状のセパレータ3を介して前記正極合剤の中空部に充填されたゲル状亜鉛負極4とを備え、前記正極缶開口部のかしめ部外側に短絡防止用の絶縁リング9が設置されているアルカリ乾電池において、該絶縁リングとして、内径が負極端子である金属封口板8の外径より大きく、かつその内径側面に3個以上の突起部を有するものを使用することによって、組立工程中の絶縁リングのズレや脱落を防止することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、短絡防止用の絶縁リングを備えたアルカリ乾電池に関する。
ノート型パソコン、CDプレーヤー、MDプレーヤー、液晶テレビ等の携帯用AV機器や携帯電話などのように、超重負荷あるいは重負荷の用途が最近のアルカリ乾電池に要求されてきている。そのため、かつての電池に比較して、例えば正極合剤中の二酸化マンガン含有率の増加、負極ゲル中の亜鉛量の増加等によって、高容量化が図られている。
しかしながら、高容量化の結果、万が一電池同士または電池端子同士の短絡が生じた場合には、従来以上の発熱が生じ、危険度が高くなる。そこで、そのような不具合が起こらないように、負極端子側に短絡防止用の絶縁リングまたは紫外線硬化樹脂等を挿入することが行われている。絶縁リングの材質としては、耐アルカリ性であること、成形が容易で安価(射出成形加工)であること等を考慮して、ポリオレフィン系樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等が使用されている。
このように絶縁リングを挿入したアルカリ電池に関する従来技術としては、例えば正極缶開口部のカシメ部外側に絶縁リングを装着固定し、その外側にシュリンクラベル等を装着させたものがある(特許文献1参照)。
特公平4−72349号公報
しかしながら、絶縁リングを挿入・装着することにより廃棄物の増加、生産性の低下、外観不良等を招いていた。
特に、電池製造の組立工程において、絶縁リング配置の位置決めが容易でなく、絶縁リングの脱落や不良品発生がしばしばみられ、生産性の低下を招いていた。
特に、電池製造の組立工程において、絶縁リング配置の位置決めが容易でなく、絶縁リングの脱落や不良品発生がしばしばみられ、生産性の低下を招いていた。
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、アルカリ電池において絶縁リングの位置決めを容易にし、生産性を高め、不良品発生を著しく低下させることを目的とするものである。
本発明は、絶縁リングの内径を負極端子である金属封口板の外径より大きくし、且つその内径側面に3個以上の突起部を設けることによって、絶縁リングの設置を容易にかつ安定化させたものである。
すなわち本発明は、正極端子を兼ねる有底円筒の正極缶と、その正極缶内に配置された中空円筒状の正極合剤と、有底円筒状のセパレータを介して前記正極合剤の中空部に充填されたゲル状亜鉛負極とを備え、前記正極缶開口部のかしめ部外側に短絡防止用の絶縁リングが設置されているアルカリ乾電池において、該絶縁リングはその内径が負極端子である金属封口板の外径より大きく、かつその内径側面に3個以上の突起部を有するものであることを特徴とする。
上記において、突起部は3個以上必要であるが、3個の場合が絶縁リングを最も安定に固定する。また、突起部の円中心方向への長さは、(絶縁リング内径−金属封口板外径)×1/2とすることによって、突起部の内側面によって形成される仮想円の直径が金属封口板の外径と一致することになり、突起部が金属封口板の外側面に密着するようになる。
なお、絶縁リングの材質は従来一般に使用されているものでもよいが、生分解性プラスチックを使用することによって、電池を廃棄する際に生ずる環境問題に対して寄与することができる。生分解性プラスチックとしてはポリ乳酸が好ましい。ポリ乳酸は引張強さ、引張弾性率、曲げ強さ、曲げ弾性率のいずれも優れており、電池部品として他のポリマーと比べて遜色ない物性を備えている。ポリ乳酸には直接重合法で得たものとそれ以外のものとがあるが、前者がより好ましい。
本発明の絶縁リングは、内径側面に設けられた複数個の突起部によって負極端子である金属封口板表面に接し、その位置が固定される。したがって、従来の絶縁リングよりその位置決めと設置が容易であり、かつ複数の突起部により固定されるので、従来のものより安定化される。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例である円筒型アルカリ電池(JIS規格LR6形)の断面図であり、図2は図1の封口部の拡大図である。
図1は本発明の一実施例である円筒型アルカリ電池(JIS規格LR6形)の断面図であり、図2は図1の封口部の拡大図である。
図1および図2において、1は正極端子を兼ねる有底円筒型の金属からなる正極缶であり、この正極缶1内には中空円筒状をしている正極成形体2が充填されている。この正極成型体2は、例えば、正極活物質である二酸化マンガンあるいはオキシ水酸化ニッケルと導電助剤としての黒鉛とを主体とする混合物で構成され、加圧成形されたものである。正極成型体2の内部中空部には、ビニロンおよびポリビニルアルコール繊維などの不織布からなる有底円筒状のセパレータ3を介してゲル状負極4が充填されている。このゲル状負極4内には真鍮製の負極集電棒5が、その上端部をゲル状負極4より突出するように挿着されている。
負極集電棒5の突出部外周面および金属缶1の上部内周面には、ポリアミド樹脂などからなる二重環状の絶縁ガスケット6が配設されている。この絶縁ガスケット6には安全弁となる二重薄膜部が設置されていることがある。また、絶縁ガスケット6の二重環状部の間には、電池構成材の相互の移動を阻止するためのリング状金属板7が設置され、リング状金属板7の上には、負極端子を兼ねる帽子形の金属封口板8が負極集電棒5の頭部に当接するように配設されている。リング状金属板7には少なくとも1個所のガス抜き孔を設置してもよい。
金属缶1の開口縁を内方に屈折させることにより、絶縁ガスケット6および金属封口板8で金属缶1内が密封される。また、金属封口板8の端子部の周りにできる隙間(環状凹部)には絶縁リング9が設置されており、厚さ0.1mm程度のシュリンクラベルまたはシュリンクチューブなどからなる熱収縮性外装材10によって素電池は外装されている。また、金属封口板8の端子R部には、少なくとも1箇所のガス抜き孔を設置してもよい。このようにすることによって、封口部に絶縁リングを設置しても防爆の機能を損なうことはない。
上記実施例における絶縁リング9の構成を図3に示す。図3の(a)は絶縁リングの断面図、(b)は上面図であり、(a)は(b)のA−A’線に沿う断面図である。
図3に示すように、この絶縁リング9は垂直方向に延びる円筒状部9aと水平方向に延びる鍔部9bを有し、鍔部9bは金属缶1の屈曲された開口縁カール部1aと熱収縮性外装材10との間に介在している。また、円筒状部9aの内側面には複数の突起部9cを有している。本実施例の場合は、突起部9cは3個である。この突起部9cの数が2個以下であると位置決めの機能を充分に果たせず、4個以上の場合には、突起部9cの加工精度によってはがたつきの原因となり、かえって好ましくないことがある。また、突起部9cの位置は、円形状の絶縁リング9の内周面に、相互に回転対称となる位置が好ましい。
突起部9cは絶縁リングと一体に成形してもよいし、絶縁リング9を作成後、突起部9cに相当する部材を接着して形成してもよい。突起部9cの形状は絶縁リング9の内面に回転対称軸に平行して延在する形状としてもよいし、また円筒状部9aからその内部に向かって突出する円筒状の突起であってもよい。その中に嵌合される金属封口板8と接触してこれを位置決めできる形状であればよい。
図3に示すように、絶縁リング9の内径Xは、金属封口板8の外径より多少大きめとし、突起部9cが金属封口板8に密着するように、複数の突起部9cの内表面で形成される仮想円の直径Yが金属封口板8の外径に一致することが好ましい。具体的には、絶縁リング9の内径Xは金属封口板8の外径より0.1〜1mm程度大きくすることが好ましく、この差が0.1mmより小さいと絶縁リング9を金属封口板8に嵌合させるときにかなり精度の高い作業が必要になり、1mmより大きいと金属封口板8と絶縁リング9との間隙に導電性の異物が侵入しやすくなって、不良発生の原因となる。
絶縁リングをこのような形状としたことにより、絶縁リング配置における位置決めが容易になり、かつ電池組立工程中の絶縁リングの脱落もなくなり、不良品発生を著しく低下させることができる。
次に、上記絶縁リングの具体的な使用実施例及び比較例を示す。
(実施例1)
絶縁リングの内径を金属封口板外径より0.4mm大きいものとし、この絶縁リングの内側表面に突起部9cを均等間隔で3ヶ所設けた。この突起部9cの円心方向への長さは0.2mmとし、突起部9cの内側表面で形成される仮想円の直径Yが金属封口板8の外径に一致するようにした。なお、絶縁リングの材質は生分解性プラスチック(ポリ乳酸:LACEA;三井東圧化学(株)製)とした。この絶縁リングを使って図1に示すJIS規格LR6形(単3形)アルカリ乾電池を組み立てた。
(実施例1)
絶縁リングの内径を金属封口板外径より0.4mm大きいものとし、この絶縁リングの内側表面に突起部9cを均等間隔で3ヶ所設けた。この突起部9cの円心方向への長さは0.2mmとし、突起部9cの内側表面で形成される仮想円の直径Yが金属封口板8の外径に一致するようにした。なお、絶縁リングの材質は生分解性プラスチック(ポリ乳酸:LACEA;三井東圧化学(株)製)とした。この絶縁リングを使って図1に示すJIS規格LR6形(単3形)アルカリ乾電池を組み立てた。
(実施例2)
材質にポリプロピレン樹脂を使用したこと以外は実施例1と同様にしてJIS規格LR6形(単3形)アルカリ乾電池を組み立てた。
材質にポリプロピレン樹脂を使用したこと以外は実施例1と同様にしてJIS規格LR6形(単3形)アルカリ乾電池を組み立てた。
(実施例3)
材質にポリプロピレン樹脂を使用した絶縁リングであって、絶縁リングの突起部が実施例1の場合より短く、突起部9cの円心方向への長さを0.1mmとした。したがって突起部の内表面で形成される仮想円Yの直径が金属封口板外径よりやや大きくなる絶縁リングとした。それ以外は実施例1と同様にしてJIS規格LR6形(単3形)アルカリ乾電池を組み立てた。
材質にポリプロピレン樹脂を使用した絶縁リングであって、絶縁リングの突起部が実施例1の場合より短く、突起部9cの円心方向への長さを0.1mmとした。したがって突起部の内表面で形成される仮想円Yの直径が金属封口板外径よりやや大きくなる絶縁リングとした。それ以外は実施例1と同様にしてJIS規格LR6形(単3形)アルカリ乾電池を組み立てた。
(比較例1)
材質にポリプロピレン樹脂を使用した絶縁リングであって、絶縁リングには突起部がなく、絶縁リングの内径が金属封口板の外径に一致しており、したがって絶縁リングの内表面が金属封口板外表面に密着するようになっている。それ以外は実施例1と同様にしてJIS規格LR6形(単3形)アルカリ乾電池を組み立てた。
材質にポリプロピレン樹脂を使用した絶縁リングであって、絶縁リングには突起部がなく、絶縁リングの内径が金属封口板の外径に一致しており、したがって絶縁リングの内表面が金属封口板外表面に密着するようになっている。それ以外は実施例1と同様にしてJIS規格LR6形(単3形)アルカリ乾電池を組み立てた。
(比較例2)
材質にポリプロピレン樹脂を使用し、突起部が2ヶ所であること以外は実施例1と同様にしてJIS規格LR6形(単3形)アルカリ乾電池を組み立てた。
材質にポリプロピレン樹脂を使用し、突起部が2ヶ所であること以外は実施例1と同様にしてJIS規格LR6形(単3形)アルカリ乾電池を組み立てた。
表から明らかなように、実施例1,2および3は、比較例1及び2に比べて不具合が少ないことが判る。また、実施例3に見られるように、突起部があっても仮想円Yの直径が金属封口板外径より大きい場合には、センターズレがやや発生しやすくなり、狙いの効果が十分得られないことが判る。なお、比較例1は、絶縁リングの内径が金属封口板外径と同一となっているので、一旦絶縁リングが金属封口板にはまってしまえばセンターズレの発生はないが、絶縁リングがしっかりと金属封口板に入らずに外れることが多く、リング脱落の発生が多くなる。
なお、絶縁リングの材質を生分解性プラスチックにしたことにより、絶縁リングの機能に問題を生ずることがないことは、実施例1と実施例2との比較から確認された。
生分解性プラスチックとしては、でんぷん等を主原料とする天然高分子系樹脂、また、乳酸発酵を利用した化学合成系樹脂がある。ともに、使用後に廃棄されても、微生物によって、分解され環境に影響を与えることがない。
今回は特にポリ乳酸を使用した。ポリ乳酸は透明性、安全性、安定性等の特性があり、さらに廃棄処理が容易で、例えばコンポストによる堆肥化や低燃焼型での焼却ができる。
ポリ乳酸の原料である乳酸は、でんぷんや糖分を発酵して得られ、例えばコーンやポテトから得られるでんぷんを分解して得たグルコースやサトウキビから得たシュクロースなどを発酵して得られる。元々自然界や動物体内に存在する物質であるから、従来から安全性が認められている。ポリ乳酸(PLA)は従来から抜糸の必要のない吸収性縫合糸、骨接材料、薬剤徐放性のマイクロカプセルとして使用されており、生体内で分解吸収可能な特性を有する材料である。
近年の高容量のアルカリ電池においては、絶縁リングを取付けることによって短絡等の不具合を防止するという利点は大きいが、この絶縁リングの電池内への取付け工程において、本発明の構成の絶縁リングを有するアルカリ電池ではリング脱落やズレ等の不具合が極めて少なくなり、高容量化に対して有効に対処することができる。
1…正極缶,2…正極成形体,3…セパレータ,4…ゲル状負極,5…負極集電棒,6…絶縁ガスケット,7…リング状金属板,8…金属封口板,9…絶縁リング,9a…絶縁リング円筒部,9b…絶縁リング鍔部,9c…突起部,10…熱収縮性外装材,
Claims (4)
- 正極端子を兼ねる有底円筒の正極缶と、その正極缶内に配置された中空円筒状の正極合剤と、有底円筒状のセパレータを介して前記正極合剤の中空部に充填されたゲル状亜鉛負極とを備え、前記正極缶開口部のかしめ部外側に短絡防止用の絶縁リングが設置されているアルカリ乾電池において、該絶縁リングはその内径が負極端子である金属封口板の外径より大きく、かつその内径側面に3個以上の突起部を有するものであることを特徴とするアルカリ乾電池。
- 突起部が3個である請求項1記載のアルカリ乾電池。
- 絶縁リングの内径は負極端子である金属封口板の外径より0.1〜1mm大きい請求項1記載のアルカリ乾電池。
- 突起部の内表面で形成される仮想円の直径が金属封口板の外径と一致している請求項1記載のアルカリ乾電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006019039A JP2007200754A (ja) | 2006-01-27 | 2006-01-27 | アルカリ乾電池 |
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JP2006019039A JP2007200754A (ja) | 2006-01-27 | 2006-01-27 | アルカリ乾電池 |
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JP2006019039A Pending JP2007200754A (ja) | 2006-01-27 | 2006-01-27 | アルカリ乾電池 |
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JP (1) | JP2007200754A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2008139749A1 (ja) * | 2007-05-09 | 2008-11-20 | Panasonic Corporation | アルカリ乾電池 |
JP2009170157A (ja) * | 2008-01-11 | 2009-07-30 | Panasonic Corp | 単3形アルカリ乾電池 |
US9287534B2 (en) | 2013-01-21 | 2016-03-15 | Samsung Sdi Co., Ltd. | Rechargeable battery |
CN113328213A (zh) * | 2021-04-27 | 2021-08-31 | 宁波超霸能源有限公司 | 圆柱型锂电池的制作方法 |
-
2006
- 2006-01-27 JP JP2006019039A patent/JP2007200754A/ja active Pending
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RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
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