JP2007197610A - 水溶性洗浄剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子ビーム溶接等の高エネルギー処理における、処理前の洗浄において、溶接阻害性が少なく、金属吸着性がある成分を洗浄液に添加して金属表面をプロテクトし、ワーク表面の変色を防止する。
【解決手段】脂環式アミン0.0001〜0.012wt%と、液状脂肪酸0.0001〜0.006wt%と、非イオン界面活性剤0.0001〜0.0015wt%とを主剤として含有し、更に高分子多価カルボン酸モルホリン中和剤を0.0001〜0.005wt%含むことを特徴とする水溶性洗浄剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、水溶性洗浄剤に関し、特に、電子ビーム溶接等の高エネルギー処理を受けるワークの前処理においてワーク表面に付着した有機物を洗浄、除去するとともに、金属ワーク表面をプロテクトし、電子ビーム溶接等の高エネルギー処理に際してワーク表面の変色を防止するのに好適な水溶性洗浄剤に関する。
従来、金属加工油やロジン系フラックス等の汚染物質が付着したアルミニウム合金製精密部品、銅合金製精密部品に対する洗浄剤としては、CFC113や、1.1.1−トリクロロエタン等が広く使用されていた。
しかしながら、これらの洗浄剤は現在、オゾン層破壊物質として認識され、その永続的使用に厳しい制約を受ける状況に到っている。
そこで、これら洗浄剤の代替洗浄剤として、(1)アルコール類や石油系炭化水素類、(2)グリコールエーテル類、界面活性剤類、及び水などを主体とする水系洗浄剤や準水系洗浄剤などが候補として挙げられ、利用検討が進んでいるものの、上記(1)のアルコール類や石油系炭化水素類は可燃性で比較的低い引火点を有し、洗浄現場における取扱い安全性に多大の労力が必要となるばかりでなく、その安全対策投資に多大な経済投資が強いられるので、今日においては、上記した(2)の準水系洗浄剤を含む水系洗浄剤に大きな期待が寄せられている。
しかしながら、上記(2)の準水系洗浄剤を含む水系洗浄剤は、洗浄剤自身の液性により、また洗浄対象物質(被洗浄汚染物)が洗浄剤の液性に対して及ぼす影響により、並びに洗浄時洗浄液に含まれる水の存在により、CFC113や1.1.1−トリクロロエタン、アルコール類や石油系炭化水素類などの非水系洗浄剤類では発現しなかった新たな問題、すなわち構成特定金属成分が変色したり、溶出するという問題が発生し、対象金属部品類の品質維持が困難であった。なお、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール等の防錆剤やリン酸根を有すアニオン界面活性剤を使用しても金属部品類における特定金属の溶出抑制効果はある程度期待されるが、その有効効果を発現させるには添加絶対量を多く要し、また、残存成分が安定外観維持や絶縁信頼性などの実用上の問題を惹起する欠点があった。
今日、多くの水系洗浄剤は各工業分野で幅広く用いられており、その有用性は明らかであるが、一部の素材では洗浄履歴により素材の変色や特定金属成分の溶出による問題が生じていた。
そこで、下記特許文献1には、被洗浄物である金属部品類における金属の溶出を低濃度の使用で最小限に抑え、また被洗浄物の変色を防止して外観変化の問題を解決し得る水系洗浄剤用添加剤によって、金属の溶出並びに変色を抑えることを目的として、金属部品類を洗浄するための水系洗浄液の中にパーフルオロアルキルリン酸エステル系界面活性剤を水系洗浄液に対して0.01〜1.0重量%添加する発明が開示されている。
他方、金属部品の溶接には、電子ビーム溶接、レーザー溶接等の種々の溶接法が用いられる。例えば、電子ビーム溶接では、真空室の中で高速の電子ビームを金属部品に照射して溶接を行う。この際、被溶接物である金属部品の表面に加工油、乳化油等の有機物が付着していると、溶接時の熱により該有機物がガス化する。溶融状態の金属内部からガスが噴出することで、ブローホールやスパッタを生じる。このように、被溶接物の表面に付着した有機物は、溶接不良を引き起こす原因となる。そのため、溶接前には、被溶接物の表面を洗浄することが必要となる。
被溶接物の表面洗浄に用いる洗浄剤として、種々の成分のものが提案されている。例えば、下記特許文献2には、所定の構造を有する界面活性剤と、カチオン系油水分離剤であるポリアルキレンポリアミンジシアンアンモニウムクロライドとを含む水溶性洗浄剤が示されている。
特許文献2に示された水溶性洗浄剤は、カチオン系油水分離剤を配合し、洗浄液の油水分離性を向上させている。つまり、被洗浄物表面から加工油を除去するとともに、除去された加工油と界面活性剤とが結合したエマルジョンを洗浄液から分離、除去し易くし、エマルジョンの被洗浄物への再付着を抑制している。
しかし、カチオン系油水分離剤は、被洗浄物である金属材料に吸着し易いため、洗浄後に被洗浄物の表面に残留し易い。残留したカチオン系油水分離剤は、溶接時の熱によりガス化して、ブローホールやスパッタの原因となる。また、燃焼後に煤やヤニ等の燃えかすが残り、それにより溶接不良が引き起こされるおそれもある。
電子ビーム溶接の際にスパッタが発生すると、それにより真空室のシール材が劣化して空気漏れが生じる。真空度が低下すると、アーキング(異常放電)を招くおそれがある。加えて、溶接時に煤等が生じると、真空ポンプが汚染され不具合を生じる。
このように、洗浄剤の成分により、溶接不良や溶接装置の不具合が引き起こされる場合がある。したがって、溶接前の洗浄に使用する洗浄剤は、溶接不良等の原因となり得る成分をできるだけ含まないことが望ましい。換言すれば、該洗浄剤を、溶接性を阻害し難い成分で構成することが望ましい。
さらに、被洗浄物の表面には、金属石鹸が付着していることが多い。金属石鹸は、金属イオンと脂肪酸との化合物である。金属石鹸は、被洗浄物の切削加工時に用いられる加工油剤に含まれることが多く、それが被洗浄物の表面に付着する。また、水中の金属イオンと洗浄剤中の脂肪酸とから生成される場合もある。溶接時に生成したブローホール内部の気体成分の約90%は水素であることがわかっている。これより、ブローホールの多くは、被洗浄物の表面に付着した金属石鹸が、溶接時にガス化することで生成されると考えられる。したがって、被洗浄物の表面に金属石鹸が付着している場合には、その金属石鹸を除去することが重要となる。しかし、特許文献2に示された洗浄剤を含めて、従来の水溶性洗浄剤では、被洗浄物の表面に付着した金属石鹸を充分に除去することはできない。
そこで、先に本発明者らは、溶接前の洗浄に使用しても、溶接不良や溶接装置の不具合を引き起こし難く、被洗浄物の表面に付着した金属石鹸をも除去することのできる水溶性洗浄剤として、脂環式アミンと、液状脂肪酸と、非イオン界面活性剤とを主剤とし、粉末脂肪酸を含まないことを特徴とする水溶性洗浄剤を発明した(下記特許文献3)。該水溶性洗浄剤は、洗浄成分として非イオン界面活性剤を含み、被洗浄物表面の有機物を効果的に除去するとともに、脂環式アミンと液状脂肪酸とを含むため、被洗浄物表面の錆止め作用をも有する。すなわち、該水溶性洗浄剤で洗浄すると、脂環式アミンと液状脂肪酸との中和塩からなる皮膜が被洗浄物の表面に形成される結果、被洗浄物表面における錆の発生が効果的に抑制される。
特開平8−283972号公報 特許第3361930号公報 特開2005−170992号公報
電子ビーム溶接やレーザービーム溶接を行う場合、溶接中に金属蒸気が発生してワークに付着し、ワーク表面が黒や青に変色する。これにより、見た目品質がよくない事や、変色した部分の塗装がし難いといった問題がある。
特許文献3に開示された水溶性洗浄剤は、溶接性を阻害し難い成分で構成されるため、溶接前の洗浄に使用しても、溶接不良や溶接装置の不具合を引き起こし難く、さらにキレート剤を配合することにより、被洗浄物表面に付着した金属石鹸を効果的に除去することができる結果、洗浄後の溶接における溶接不良や溶接装置の不具合の発生を抑制することができるものではあったが、上述のような、溶接中に金属蒸気が発生してワークに付着し、ワーク表面が黒や青に変色することに対しては抑制作用がなかった。
そこで、本発明は、電子ビーム溶接等の高エネルギー処理における、処理前の洗浄において、溶接阻害性が少なく、金属吸着性がある成分を洗浄液に添加して金属表面をプロテクトし、ワーク表面の変色を防止することを目的とする。
本発明者らは、金属蒸着抑制剤として特定の成分を洗浄液に添加することで上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
第1に、本発明は、水溶性洗浄剤の発明であり、脂環式アミン0.0001〜0.012wt%と、液状脂肪酸0.0001〜0.006wt%と、非イオン界面活性剤0.0001〜0.0015wt%とを主剤として含有し、更に高分子多価カルボン酸モルホリン中和剤を0.0001〜0.005wt%含むことを特徴とする。
本発明の水溶性洗浄剤は、主として金属ワークの前処理剤として用いられ、該金属ワークの表面の汚れを洗浄・除去するとともに、金属ワーク表面をプロテクトし、電子ビーム溶接等の高エネルギー処理に際してワーク表面の変色を防止する。
高分子多価カルボン酸モルホリン中和剤の添加量が、高分子多価カルボン酸モルホリン中和剤として、モルホリンを0.0008wt%以上、高分子多価カルボン酸を0.0004wt%以上であることが変色防止効果が顕著で好ましい。
本発明の水溶性洗浄剤の主剤の1つである「脂環式アミン」は、エタノールアミン等と比較して、ヤニの生成が無く、燃焼性も良好である。また、「液状脂肪酸」も、粉末脂肪酸と比較して、煤およびヤニの生成が少なく、燃焼性も良好である。つまり、脂環式アミンおよび液状脂肪酸は、洗浄後に被洗浄物の表面に残存しても、溶接不良等を引き起こし難いといえる。これに対して粉末脂肪酸は、燃えかすが多く、燃焼性も悪いので、被洗浄物の表面に残存すると溶接不良等を引き起こす原因となる。
本発明の水溶性洗浄剤の主剤の1つである「非イオン界面活性剤」としては、種々のものを用いることができる。その中で、高級アルコールエトキシレート、脂肪酸ポリエーテル、2級アルコールエトキシレートから選ばれる一種以上が好ましく例示される。
本発明の水溶性洗浄剤には、EDTA有機中和塩及び/又はDTPA有機中和塩に代表されるキレート剤を含むことが好ましい。被洗浄物の表面には、金属石鹸が付着していることが多い。キレート剤を配合することで、金属石鹸を錯化合物として効果的に除去することができる。したがって、キレート剤を含む態様の本発明の水溶性洗浄剤を用いて洗浄すれば、溶接不良や溶接装置の不具合の発生をより低減することができる。
また、本発明の水溶性洗浄剤には、アルコール系消泡剤に代表される消泡剤を含むことが好ましい。
第2に、本発明は、上記洗浄剤からなる電子ビーム処理部品用水溶性洗浄剤である。又、本発明は、上記洗浄剤からなるレーザービーム処理部品用水溶性洗浄剤である。
本発明の水溶性洗浄剤は、電子ビーム処理やレーザービーム処理に代表される高エネルギー処理の前処理剤として好適に用いられる。ここで、具体的な高エネルギー処理としては、溶接、切断、穿孔、表面処理、表面硬化などが好ましく例示される。又、高エネルギー処理を受ける被処理物としては、金属の他、セラミックスや樹脂成形物が好ましく例示される。
本発明の水溶性洗浄剤は、金属ワークの前処理剤として用いられ、該金属ワークの表面の汚れを洗浄・除去するとともに、金属ワーク表面をプロテクトし、電子ビーム溶接等の高エネルギー処理に際してワーク表面の変色を防止する。本発明の水溶性洗浄剤は、溶接性を阻害し難い成分で構成されるため、溶接前の洗浄に使用しても、溶接不良や溶接装置の不具合を引き起こし難い上に、ポリカルボン酸モルホリン中和剤が皮膜となって、高エネルギー処理時のワーク表面の変色の防止に効果がある。
また、さらにキレート剤を配合することにより、被洗浄物表面に付着した金属石鹸を効果的に除去することができる。その結果、洗浄後の溶接における溶接不良や溶接装置の不具合の発生を、より抑制することができる。
便宜上、以下の説明では、本発明の水溶性洗浄剤(原液)を水で1%以上3%以下の濃度に希釈して使用することを前提として、各成分の好適な含有割合を示す。したがって、使用する際の希釈率が上記範囲と異なる場合には、希釈率に応じて、各成分の含有割合を適宜調整すればよい。
本発明の水溶性洗浄剤の主剤の1つである「脂環式アミン」は、水溶性のものであればその種類が特に限定されるものではない。例えば、モルホリン、N−シクロヘキシルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。これら脂環式アミンの一種を単独で、また二種以上を混合して用いればよい。なかでも、分子内に酸素原子を含む化合物は、鉄が溶融する前にガス化し易く、燃焼性が良好であるため好適である。
本発明の水溶性洗浄剤(原液)における脂環式アミンの含有割合は、特に限定されるものではない。防錆効果を効果的に発揮させるという観点から、脂環式アミンの含有割合を1wt%以上とすることが望ましい。防錆効果を高くしたい場合には、脂環式アミンの含有割合を高くすればよい。しかし、コスト等の実用性を考慮すれば、脂環式アミンの含有割合を40wt%以下とすることが望ましい。特に、溶接不良等をより少なくするという観点からは、25wt%以下とすることが望ましい。10wt%以下とするとより好適である。
本発明の水溶性洗浄剤の主剤の1つである「液状脂肪酸」の種類は、特に限定されるものではない。例えば、炭素数が9以下のカプリル酸、イソノナン酸等が挙げられる。これら液状脂肪酸の一種を単独で、また二種以上を混合して用いればよい。
本発明の水溶性洗浄剤(原液)における液状脂肪酸の含有割合は、特に限定されるものではない。防錆効果を効果的に発揮させるという観点から、液状脂肪酸の含有割合を1wt%以上とすることが望ましい。一方、コスト等の実用性を考慮すれば、液状脂肪酸の含有割合を20wt%以下とすることが望ましい。特に、溶接不良等をより少なくするという観点からは、10wt%以下とすることが望ましい。5wt%以下とするとより好適である。
本発明の水溶性洗浄剤の主剤の1つである「非イオン系界面活性剤」は、公知の活性剤を用いることができる。例えば、高級アルコールエトキシレート、プルロニックタイプ、テトロニックタイプ、脂肪族アミンエトキシレート、ソルビタン脂肪酸エステルエトキシレート、脂肪酸ポリエーテル、セカンダリアルコールエトキシレート等が好ましく挙げられる。これら非イオン系界面活性剤の一種を単独で、また二種以上を混合して用いればよい。
本発明の水溶性洗浄剤における非イオン界面活性剤の含有割合は、特に限定されるものではない。実用上の洗浄効果を発揮させるという観点から、非イオン界面活性剤の含有割合を1wt%以上とすることが望ましい。一方、コスト等の実用性を考慮すれば、物理的な洗浄力に長けたスプレー洗浄等の場合、非イオン界面活性剤の含有割合を5wt%以下とすることが望ましい。特に、3wt%程度が好適である。
本発明の水溶性洗浄剤は、上記主剤に加え、さらに「キレート剤」を含んで構成すると好適である。この場合、被洗浄物の表面に付着した金属石鹸を、効果的に除去することができる。使用するキレート剤の種類は、特に限定されるものではない。例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)無機中和塩、EDTA有機中和塩、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)無機中和塩、DTPA有機中和塩、ポリカルボン酸無機中和塩、ポリカルボン酸有機中和塩等が挙げられる。これらキレート剤の一種を単独で、また二種以上を混合して用いればよい。なかでも、EDTA有機中和塩およびDTPA有機中和塩は、他のものと比べて燃えかすが少なく、燃焼性が良好であるため好適である。
本発明の水溶性洗浄剤(原液)におけるキレート剤の含有割合は、特に限定されるものではない。金属石鹸の除去効果を効果的に発揮させるという観点から、キレート剤の含有割合を1wt%以上とすることが望ましい。一方、コスト等の実用性を考慮すれば、キレート剤の含有割合を20wt%以下とすることが望ましい。特に、溶接不良等をより少なくするという観点からは、10wt%以下とすることが望ましい。5wt%以下とするとより好適である。
更に、本発明の水溶性洗浄剤は、必要に応じて上記以外の種々の添加剤を含めることができる。例えば、消泡剤等を含めることができる。ここで、消泡剤には、シリコン系消泡剤、アルコール系消泡剤等が挙げられる。しかし、シリコン系消泡剤の燃焼性は悪く、溶接時には燃えかすが多く残存する。そのため、溶接性を考慮した場合には、燃えかすが残らず、かつ燃焼性が良好なアルコール系消泡剤を用いることが望ましい。消泡剤を添加する場合、その含有割合は特に限定されるものではない。消泡効果を発揮させるには、1wt%以下で充分である。0.5wt%程度とすると好適である。
本発明の水溶性洗浄剤は、上記所定の成分と、溶媒である水とを混合して調製される。そして、必要に応じて水で希釈して使用する。希釈率は、所望の効果が得られる範囲で適宜設定することができる。例えば、本発明の水溶性洗浄剤(原液)を水で1%以上3%以下の濃度に希釈して使用すればよい。
本発明の水溶性洗浄剤は、超音波洗浄、浸漬洗浄、水中噴霧法、気中噴霧法(スプレー洗浄)等、種々の洗浄方法に用いることができる。その洗浄液は洗浄の際に、40〜70℃に加温されて使用されることが好ましい。このようにして洗浄された部品は仕上げ処理として温水によるすすぎが行われ、部品表面が清浄される。
特に、本発明の水溶性洗浄剤は、電子ビーム溶接、レーザー溶接等の種々の溶接の前洗浄に好適である。
以下、本発明の水溶性洗浄剤の各成分が奏する本発明の特徴である、(1)変色防止効果、(2)溶接阻害性、(3)好適な添加量、について検討した。検討の結果、電子ビーム溶接時のワーク表面の変色物質は、EPMA分析からFe、Mn等母材に存在する物質であり、(1)変色物質は溶接時に発生した金属蒸気が付着したものであること、(2)洗浄液の基本構成物質である脂肪酸、活性剤、アミン類、キレート剤の中から、変色防止効果があり、溶接阻害性の無い物質を選択し、最小で最大の効果のある添加量を確認した。
(1)変色防止効果
テストピースを完全脱脂処理を行い、ワークに添加剤を刷け塗りして溶接し、ワーク表面の変色防止効果を確認した。その結果、を下記表1に示す。
Figure 2007197610
表1の結果、活性剤である高級エトキシレート、2級アルコールエトキシレートは変色防止に若干効果があるが、キレート剤であるポリカルボン酸モルホリン中和塩は特に変色防止効果を有することが分かる。
(2)溶接阻害性
煤・ヤニ(燃えカス発生の有無)、燃焼性(鉄が燃焼する前に洗浄成分が気化して無くなり易いかどうか)から、ポリカルボン酸モルホリン中和塩が溶接性に与える影響を検討した。結果を下記表2に示す。
Figure 2007197610
表2の結果より、煤、ヤニ、燃焼性から総合判断して、高分子多価カルボン酸モルホリン中和塩に溶接阻害性はなかった。
(3)添加量
高分子多価カルボン酸モルホリン中和塩を洗浄液に配合する割合を変化させ、変色防止効果を確認した。配合する割合を多くするほど、コストアップになる事から、最も少ない量で最大の効果が得られる濃度を確認した。結果を下記表3に示す。
Figure 2007197610
表3の結果より、洗浄剤投入量に対し、モルホリン10%以上、高分子多価カルボン酸5%以上配合した時に、充分な変色防止効果が得られることが分かった。
以上の結果より、高分子多価カルボン酸モルホリン中和塩は変色防止効果を有し、かつ溶接阻害性を有しないことが明らかとなった。
本発明の水溶性洗浄剤を調製した。調製した水溶性洗浄剤を用いて、電子ビーム溶接の前洗浄を行い、その後の溶接における溶接不良および溶接装置の不具合の発生を調査した。以下、順に説明する。
(1)水溶性洗浄剤の調製
以下の組成および含有割合の水溶性洗浄剤を調製した。
N−シクロヘキシルジエタノールアミン:2.5wt%
モルホリン :2.5wt%
カプリル酸 :3wt%
高級アルコールエトキシレート :3wt%
EDTA有機中和塩 :3wt%
アルコール系消泡剤 :0.5wt%
水 :残部
上記組成を有する水溶性洗浄液(島田化成製ケミーライトLE−2000 1%希釈液)に
モルホリン:10%
ポリカルボン酸:5%
水:85%
からなる配合品を、1%分添加して希釈洗浄剤とした。
(2)洗浄
上記希釈洗浄剤を加温(60℃から80℃)して、スプレー洗浄装置にて、鉄製のデフケースを洗浄した。洗浄条件は、希釈洗浄剤温度60〜80℃、スプレー圧力0.3MPa、洗浄時間25秒とした。
(3)溶接性の評価
上記洗浄後のデフケースを電子ビーム溶接した。その結果、電子ビーム溶接後のワーク表面の変色は発生しなかった。また、溶接時にガス化してブローホールやスパッタ等の溶接不良の発生はなかった。
以上より、本発明の水溶性洗浄剤を用いて洗浄することにより、ワーク表面の変色は発生を低減できることが確認された。
本発明の水溶性洗浄剤は、金属ワークの前処理剤として用いられて、該金属ワークの表面の汚れを洗浄・除去するとともに、金属ワーク表面をプロテクトし、電子ビーム溶接等の高エネルギー処理に際してワーク表面の変色を防止する。この結果、本発明の水溶性洗浄剤は、電子ビーム処理やレーザービーム処理に代表される高エネルギー処理の前処理剤として好適に用いられる。高エネルギー処理による、溶接、切断、穿孔、表面処理、表面硬化などの実用化と普及に貢献する。

Claims (7)

  1. 脂環式アミン0.0001〜0.012wt%と、液状脂肪酸0.0001〜0.006wt%と、非イオン界面活性剤0.0001〜0.0015wt%とを主剤として含有し、更に高分子多価カルボン酸モルホリン中和剤を0.0001〜0.005wt%含むことを特徴とする水溶性洗浄剤。
  2. 前記高分子多価カルボン酸モルホリン中和剤として、モルホリンを0.0008wt%以上、高分子多価カルボン酸を0.0004wt%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の水溶性洗浄剤。
  3. 前記非イオン界面活性剤は、高級アルコールエトキシレート、脂肪酸ポリエーテル、2級アルコールエトキシレートから選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の水溶性洗浄剤。
  4. さらに、キレート剤を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水溶性洗浄剤。
  5. さらに、アルコール系消泡剤を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水溶性洗浄剤。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の洗浄剤からなる電子ビーム処理部品用水溶性洗浄剤。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載の洗浄剤からなるレーザービーム処理部品用水溶性洗浄剤。
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