JP2007176788A - 多孔質セラミックス用組成物及びそれを用いた多孔質セラミックス並びにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の多孔質セラミックス用組成物は、砕石や陶磁器屑を破砕した骨材チップ100重量部と、鉄鋼スラグ30〜300重量部と、前記骨材チップと前記鉄鋼スラグの総重量に対し15〜50wt%のガラス質材と、を含有する。
【選択図】なし
Description
また、砕石の生産に対して30%以上発生する砕石チップや、廃タイル,廃食器,廃瓦,廃土管,陶磁器製造時の不良品等の陶磁器屑の処理についても、同様に苦慮している現状がある。
このように大量に発生し、安価に入手できる鉄鋼スラグや陶磁器屑等の利用方法としては、大量に消費する土木建材用の原材料として最適なことから、例えば(特許文献1)に「鉄鋼スラグ,ガラス廃材,陶磁器質粒子等の無機質骨材とセメントを混練して硬化させたブロック基層に、セラミックタイルからなる表層を積層した透水性ブロック」が記載されている。
(特許文献2)には、「陶磁器セルベン,岩石の砕石,鉄鋼スラグのいずれかの骨材の表面が、長石類等の焼結バインダによって熔化されたセラミックブロック」が開示されている。
(特許文献3)には、「陶磁器質タイル等の無機質粒体Aと鉄鋼スラグ等の無機質粒体Bとを成形、焼成したブロック」が開示されており、実施例3には「磁器質タイル(無機質粒体A)90重量%と鉄鋼スラグ(無機質粒体B)10重量%とを含む骨材原料に、5重量%の水を添加して混合した後、10重量%のガラス粉を加え混合・混練し、次いで高圧プレス機を用いて14.7MPaの圧力で加圧し焼成してブロックを得たこと」が記載されている。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、セメントを混練して硬化させているので、セメントからアルカリ成分が溶出するおそれがあり、溶出水のpHが問題になる緑化ブロックや藻場育成用部材等の用途には使用することができないという課題を有していた。
(2)(特許文献2)に開示の技術は、陶磁器セルベン,岩石の砕石,鉄鋼スラグのいずれかの骨材を長石類等の焼結バインダとともに焼成したものであるが、陶磁器セルベン,岩石の砕石を焼結バインダとともに焼成した場合には、連続気孔が形成され難く多孔性が低下するという課題を有していた。また、鉄鋼スラグを焼結バインダとともに焼成した場合には、曲げ強度等の機械的強度が低下するという課題を有していた。
(3)(特許文献3)に開示の技術は、骨材原料中、磁器質タイルは90重量%、鉄鋼スラグは10重量%であって鉄鋼スラグの配合量が少ないため、焼成されたブロックに連続気孔が形成され難く多孔性が低下する。また陶磁器タイルと鉄鋼スラグの総重量に対するガラス粉の配合量が10重量%と少ないため、常圧の鋳込み成形等で成形した場合には機械的強度が低下するという課題を有していた。
(4)(特許文献3)に開示の技術は、高圧プレス機を用い14.7MPaもの高圧で加圧して成形しているため、成形の圧力によってブロックが緻密化し機械的強度は高められるが、気孔率が低下し透水性や保水性が低下するという課題を有していた。
また、本発明は、三次元網目状の連続気孔が形成され透水性に優れる透水性ブロック,粒子間の隙間が小さく保水性に優れる緑化ブロック,藻の胞子が付着し易く付着した胞子が水流に流され難いような形状の凹凸を表面に形成することができ、またアルカリ溶出が少なく重金属等の有害な溶出もなく良好な藻の育成環境(着生基盤)を整えることができ漁礁としても最適な藻場育成用部材,三次元網目状の微細な連続気孔が形成され、通液することによって濾過効果が得られ、さらにバクテリア等の着生基盤にすることで優れた浄化性能を有する浄化用部材としても最適な多孔質セラミックスを提供することを目的とする。
また、本発明は、コンクリートと同等以上の圧縮強度を有し、また結合された粒子間に連続気孔が確実に形成されるため透水性に優れ、用途によって粒径等を調整することによって保水性にも優れるとともに、成形性に優れ生産性に優れる多孔質セラミックスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の多孔質セラミックス用組成物は、砕石や陶磁器屑を破砕した骨材チップ100重量部と、鉄鋼スラグ30〜300重量部と、前記骨材チップと前記鉄鋼スラグの総重量に対し15〜50wt%のガラス質材と、を含有した構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)骨材チップ100重量部と、CaOとSiO2を主成分とする鉄鋼スラグ30〜300重量部と、骨材チップと鉄鋼スラグの総重量に対し15〜50wt%のガラス質材とを含有しているので、焼成された多孔質セラミックス用組成物は、低融点のガラス質材と鉄鋼スラグの表面が融解して融液が発生し、発生した融液が鉄鋼スラグと骨材チップの間隙に浸入して液相のブリッジが形成され骨材チップと鉄鋼スラグが三次元的に結合されるので、コンクリートと同等以上の圧縮強度を有し、また結合された粒子間に連続気孔が確実に形成されるため透水性を有し、さらに鉄鋼スラグの表面の微細孔により保水性を有する多孔質セラミックスを製造できる。
(2)骨材チップと鉄鋼スラグとガラス質材とを含有しているので、廃棄物の有効利用を図ることができるとともに、アルカリ溶出が少なく重金属等の有害な溶出のおそれもなく緑化ブロックや藻場育成用部材等としても用いることができ応用性に優れる。
(3)成形の際に水を添加すると、水と接触した鉄鋼スラグから微量の石灰やシリカが溶け出し鉄鋼スラグの表面に水和生成物が形成され成形体が硬化されるので、成形体の強度を高めることができ金型等から取り出しやすく成形性に優れる。
砕石としては、堆積岩質,変性岩質,火成岩質,深成岩質等の1種若しくは複数種の砕石を用いることができる。
陶磁器屑としては、廃タイル,廃食器,廃衛生陶器、廃瓦,廃土管,廃碍子,陶磁器製造不良品等の焼き物の無機質廃棄物が用いられる。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)骨材チップと鉄鋼スラグの粒径が0.01〜3mmなので、成形体の空隙率を確保することができ、またガラス質材の粒径が0.1mm以下なので、焼結時に鉄鋼スラグと骨材チップの空隙を確保しながらガラス質材の融液で三次元的に結合させることができるため、透水性や保水性に優れるとともに高い機械的強度を有する多孔質セラミックスを得ることができる。
鉄鋼スラグの粒径としては、0.01〜3mmの範囲に分級したものが好適に用いられる。粒径が0.01mm未満の鉄鋼スラグでは、成形時の充填率が高まるため気孔率が低下し透水性や保水性が低下し、3mmを超える鉄鋼スラグでは機械的強度が低下するため、いずれも好ましくない。
ガラス質材の粒径としては、0.1mm以下の範囲、好ましくは0.01〜0.1mmの範囲に分級したものが好適に用いられる。粒径が0.01mm未満のガラス質材では、飛散や凝集し易く混合や成形の際の取扱性に欠け生産性が低下し、0.1mmを超えるガラス質材では、焼結時にガラス質材が溶融して発生した融液で鉄鋼スラグと骨材チップが三次元的に結合され難く、機械的強度が低下するため、いずれも好ましくない。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)多孔質セラミックスは、三次元網目状の連続気孔が形成されるので透水性に優れ、透水性ブロックとして好適に用いることができる。
(2)また、多孔質セラミックスは、骨材チップと鉄鋼スラグの粒子間に細かな間隙を形成することができ、鉄鋼スラグの表面の微細孔と相まって保水性や吸水性を高めることができ、緑化ブロックとしても好適に用いることができる。
(3)また、骨材チップと鉄鋼スラグとガラス質材とを含有した多孔質セラミックスは、アルカリ溶出が少なく重金属等の有害な溶出のおそれがなく、さらに数μmから数十μmの大きさの藻の胞子や動物の幼生が多孔質セラミックスの表面の凹凸に定着し易いため、藻場育成部材として良好な藻の育成環境を整えることができる。
(4)また、多孔質セラミックスは、三次元網目状の微細な連続気孔が形成されるので、通液することによって濾過効果が得られ浄化性能を有し、連続気孔内に有機物等が詰まって濾過効果が低下したときは、加熱・燃焼させて有機物を焼失させれば再び濾過効果を発現させることができ取扱性に優れ、さらにバクテリア等の着生基盤にすることで優れた浄化性能を有する浄化用部材として用いることができる。
また、藻場育成用部材として利用する場合には、多孔質セラミックス用組成物の鉄鋼スラグとして転炉スラグを用いたり、多孔質セラミックス用組成物に鉄系化合物や貝殻等を混合したりするのが好ましい。転炉スラグは鉄分の含有量が多いため、水中に浸漬された藻場育成用部材から鉄分が溶出し易く、また貝殻からマグネシウムやカルシウム等も溶出し易いため、藻類等の栄養成分となり繁殖させ易くなるからである。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)多孔質セラミック用組成物が骨材チップ100重量部と、CaOとSiO2を主成分とする鉄鋼スラグ30〜300重量部と、骨材チップと鉄鋼スラグの総重量に対し15〜50wt%のガラス質材とを含有しているので、焼成することによって低融点のガラス質材と鉄鋼スラグの表面が融解して融液が発生し、発生した融液が鉄鋼スラグと骨材チップの間隙に浸入して液相のブリッジが形成され骨材チップと鉄鋼スラグが三次元的に結合されるので、コンクリートと同等以上の圧縮強度を有し、また結合された粒子間に連続気孔が確実に形成されるため透水性を有し、さらに鉄鋼スラグの表面の微細孔により保水性を有する多孔質セラミックを製造できる。
(2)多孔質セラミックス用組成物を混合し混合物を得た後、混合物に水を加えて混練物を得るようにして湿式混合時間を短縮したので、予め所定の粒径に破砕した骨材チップや鉄鋼スラグが混練中に砕かれて粒度分布が変化してしまうのを防止することができ、所望の透水性や保水性等を発現させることができる。
(3)混合物に水を加えて混練することによって、水と接触した鉄鋼スラグから微量の石灰やシリカが溶け出し鉄鋼スラグの表面に水和生成物が形成され成形体が硬化されるので、成形体の強度を高めることができ成形性に優れ生産性に優れる。
混合物に加える水の量としては、混合物の重量に対して5〜15wt%が好適である。水の量が5wt%未満になると成形体が硬化し難くなり、15wt%を超えると成形体が硬化するまでの時間や乾燥時間が長くなり成形性が低下し生産性に欠けるため、いずれも好ましくない。
型に流し込んだ混練物は、乾燥させて硬化させる。これにより成形体が得られる。乾燥方法としては、熱風乾燥方式、赤外線乾燥方式、マイクロ波乾燥方式等が用いられる。
焼成装置としては、電気炉の他、量産装置として一般的なローラーハースキルン、トンネルキルン、シャトルキルン等を用いることができる。
この構成により、請求項4で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)混練物を型に流し込み乾燥させて成形体を得るので、安定して三次元網目状の連続気孔を形成させることができ生産安定性に優れる。加圧プレスや振動プレス等の方法を用いると、加圧斑が生じるため焼結体に密度斑が生じ、多孔質セラミックスの全体に斑無く三次元網目状の連続気孔を形成することが困難になるからである。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)焼成された多孔質セラミックス用組成物は、低融点のガラス質材と鉄鋼スラグの表面が融解して融液が発生し、発生した融液が鉄鋼スラグと骨材チップの間隙に浸入して液相のブリッジが形成され骨材チップと鉄鋼スラグが三次元的に結合されるので、コンクリートと同等以上の圧縮強度を有し、また結合された粒子間に連続気孔が確実に形成されるため透水性に優れ、さらに鉄鋼スラグの表面の微細孔により保水性や吸水性にも優れる多孔質セラミックス用組成物を提供できる。
(2)骨材チップと鉄鋼スラグとガラス質材とを含有しているので、廃棄物の有効利用を図ることができるとともに、アルカリ溶出が少なく重金属等の有害な溶出のおそれもなく緑化ブロックや藻場育成用部材等としても用いることができ応用性に優れた多孔質セラミックス用組成物を提供できる。
(3)成形の際に水を添加すると、水と接触した鉄鋼スラグから微量の石灰やシリカが溶け出し鉄鋼スラグの表面に水和生成物が形成され成形体が硬化されるので、成形体の強度を高めることができ成形性に優れた多孔質セラミックス用組成物を提供できる。
(1)成形体の空隙率を確保することができ、またガラス質材の粒径が0.01〜0.1mmなので、焼結時に鉄鋼スラグと骨材チップの空隙を確保しながらガラス質材の融液で三次元的に結合させることができるため、透水性や保水性に優れるとともに高い機械的強度を有する多孔質セラミックスを提供できる。
(1)三次元網目状の連続気孔が形成されるので透水性に優れた透水性ブロック、骨材チップと鉄鋼スラグの粒子間に細かな間隙を形成することができ鉄鋼スラグの表面の微細孔と相まって保水性や吸水性に優れた緑化ブロック、アルカリ溶出が少なく重金属等の有害な溶出のおそれがなく藻の胞子や動物の幼生が定着し易い藻場育成部材、バクテリア等の着生基盤にすることで優れた浄化性能を有する浄化用部材として最適な多孔質セラミックスを提供することができる。
(1)焼成することによって低融点のガラス質材と鉄鋼スラグの表面が融解して融液が発生し、発生した融液が鉄鋼スラグと骨材チップの間隙に浸入して液相のブリッジが形成され骨材チップと鉄鋼スラグが三次元的に結合されるので、コンクリートと同等以上の圧縮強度を有し、また結合された粒子間に連続気孔が確実に形成されるため透水性を有し、さらに鉄鋼スラグの表面の微細孔により保水性を有する多孔質セラミックを製造できる多孔質セラミックスの製造方法を提供できる。
(2)多孔質セラミックス用組成物を混合し混合物を得た後、混合物に水を加えて混練し混練物を得るようにして湿式混合時間を短縮したので、予め所定の粒径に破砕した骨材チップや鉄鋼スラグが混練中に砕かれて粒度分布が変化してしまうのを防止することができ、所望の透水性や保水性等を発現させることができる多孔質セラミックスの製造方法を提供できる。
(3)混合物に水を加えて混練することによって、水と接触した鉄鋼スラグから微量の石灰やシリカが溶け出し鉄鋼スラグの表面に水和生成物が形成され成形体が硬化されるので、成形体の強度を高めることができ成形性に優れ生産性に優れた多孔質セラミックスの製造方法を提供できる。
(1)混練物を型に流し込み乾燥させて成形体を得るので、安定して三次元網目状の連続気孔を形成させることができ生産安定性に優れた多孔質セラミックスの製造方法を提供できる。
(実験例1)
砕石を生産する際に生じた細粒を粒径1〜1.7mmに分級した骨材チップ100重量部と、高炉水砕スラグを破砕し粒径1〜1.5mmに分級した鉄鋼スラグ100重量部と、廃ガラスを粉砕して粒径0.01〜0.1mmに分級したガラス質材30重量部と、を乾式混合した後、市販の水溶性高分子系のバインダを溶かした水を骨材チップ等の混合物に対して10wt%加え、湿式混合して混練物を得た。
混練物をステンレス製でブロック状に形成された金型に流し込んだ後、金型を低温加熱して混練物を乾燥させてブロック状の成形体を得た。成形体を電気炉にて1100℃の温度で1時間焼成して、長さ200mm、幅100mm、厚さ45mmのブロック状に形成された実験例1の多孔質セラミックスを得た。
(実験例2)
鉄鋼スラグを150重量部、ガラス質材を50重量部にした以外は実験例1と同様にして、実験例2の多孔質セラミックスを得た。
(実験例3)
ガラス質材を50重量部にした以外は実験例1と同様にして、実験例3の多孔質セラミックスを得た。
(実験例4)
骨材チップとして、廃衛生陶器を粉砕して粒径1〜1.7mmに分級した陶磁器屑を用い、鉄鋼スラグを150重量部(粒径1〜1.5mm)、ガラス質材を75重量部にした以外は、実験例1と同様にして、実験例4の多孔質セラミックスを得た。
(実験例5)
ガラス質材を90重量部にした以外は実験例1と同様にして、実験例5の多孔質セラミックスを得た。
(実験例6)
ガラス質材を100重量部にした以外は実験例1と同様にして、実験例6の多孔質セラミックスを得た。
(実験例7)
鉄鋼スラグを30重量部、ガラス質材を32.5重量部にした以外は実験例1と同様にして、実験例7の多孔質セラミックスを得た。
(実験例8)
鉄鋼スラグを50重量部、ガラス質材を37.5重量部にした以外は実験例1と同様にして、実験例8の多孔質セラミックスを得た。
(実験例9)
鉄鋼スラグを200重量部、ガラス質材を75重量部にした以外は実験例1と同様にして、実験例9の多孔質セラミックスを得た。
(実験例10)
鉄鋼スラグを300重量部、ガラス質材を100重量部にした以外は実験例1と同様にして、実験例10の多孔質セラミックスを得た。
砕石を生産する際に生じた細粒を粒径0.01〜0.5mmに分級した骨材チップ100重量部と、高炉水砕スラグを破砕し粒径0.01〜0.5mmに分級した鉄鋼スラグ100重量部と、廃ガラスを粉砕して粒径0.01〜0.1mmに分級したガラス質材30重量部と、を混合して混練物を得た以外は実験例1と同様にして、実験例11の多孔質セラミックスを得た。
(実験例12)
鉄鋼スラグを150重量部、ガラス質材を50重量部にした以外は実験例11と同様にして、実験例12の多孔質セラミックスを得た。
(実験例13)
ガラス質材を50重量部にした以外は実験例11と同様にして、実験例13の多孔質セラミックスを得た。
(実験例14)
骨材チップとして、廃衛生陶器を粉砕して粒径0.01〜0.5mmに分級した陶磁器屑を用い、鉄鋼スラグを150重量部(粒径0.01〜0.5mm)、ガラス質材を75重量部にした以外は、実験例11と同様にして、実験例14の多孔質セラミックスを得た。
(実験例15)
ガラス質材を90重量部にした以外は実験例11と同様にして、実験例15の多孔質セラミックスを得た。
(実験例16)
ガラス質材を100重量部にした以外は実験例11と同様にして、実験例16の多孔質セラミックスを得た。
(実験例17)
鉄鋼スラグを30重量部、ガラス質材を32.5重量部にした以外は実験例11と同様にして、実験例17の多孔質セラミックスを得た。
(実験例18)
鉄鋼スラグを50重量部、ガラス質材を37.5重量部にした以外は実験例11と同様にして、実験例18の多孔質セラミックスを得た。
(実験例19)
鉄鋼スラグを200重量部、ガラス質材を75重量部にした以外は実験例11と同様にして、実験例19の多孔質セラミックスを得た。
(実験例20)
鉄鋼スラグを300重量部、ガラス質材を100重量部にした以外は実験例11と同様にして、実験例20の多孔質セラミックスを得た。
粒径が0.01mm未満の骨材チップ及び鉄鋼スラグを用いた以外は実験例1と同様にして、実験例21の多孔質セラミックスを得た。
(実験例22)
粒径3〜5mmに分級した骨材チップ及び鉄鋼スラグを用いた以外は実験例1と同様にして、実験例22の多孔質セラミックスを得た。
(実験例23)
粒径が0.01mm未満のガラス質材を用いた以外は実験例1と同様にして、実験例23の多孔質セラミックスを得た。
(実験例24)
粒径0.1〜0.5mmに分級したガラス質材を用いた以外は実験例1と同様にして、実験例24の多孔質セラミックスを得た。
(実験例25)
粒径1〜1.7mmに分級した骨材チップ、粒径0.01〜0.5mmに分級した鉄鋼スラグを用いた以外は実験例1と同様にして、実験例25の多孔質セラミックスを得た。
(実験例26)
粒径0.01〜0.5mmに分級した骨材チップ、粒径1〜1.5mmに分級した鉄鋼スラグを用いた以外は実験例1と同様にして、実験例26の多孔質セラミックスを得た。
(実験例27)
砕石を生産する際に生じた細粒を粒径1〜1.7mmに分級した骨材チップ100重量部と、高炉水砕スラグを破砕し粒径1〜1.5mmに分級した鉄鋼スラグ100重量部と、廃ガラスを粉砕して粒径0.01〜0.1mmに分級したガラス質材30重量部と、を乾式混合した後、市販の水溶性高分子系のバインダを適量溶かした水を骨材チップ等の混合物に対して10wt%加え、湿式混合して混練物を得た。混練物をステンレス製でブロック状に形成された金型に流し込んだ後、金型を低温加熱して混練物をほぼ乾燥させた。
同様に、粒径0.01〜0.5mmに分級した骨材チップ100重量部、粒径0.01〜0.5mmに分級した鉄鋼スラグ100重量部、粒径0.01〜0.1mmに分級したガラス質材30重量部を水と混合して混練物を作成し、先に作成したほぼ乾燥した混練物の上に流し込んで積層体を製造した。次いで、金型を低温加熱して積層体を乾燥させた。金型から脱型させた積層体(成形体)を電気炉にて1100℃の温度で1時間焼成して、長さ200mm、幅100mm、厚さ45mmのブロック状に形成された実験例27の多孔質セラミックスを得た。
鉄鋼スラグを10重量部、ガラス質材を27.5重量部にした以外は実験例1と同様にして、比較例1の多孔質セラミックスを得た。
(比較例2)
鉄鋼スラグを320重量部、ガラス質材を105重量部にした以外は実験例1と同様にして、比較例2の多孔質セラミックスを得た。
(比較例3)
ガラス質材を20重量部にした以外は実験例1と同様にして、比較例3の多孔質セラミックスを得た。
(比較例4)
ガラス質材を110重量部にした以外は実験例1と同様にして、比較例4の多孔質セラミックスを得た。
(比較例5)
ガラス質材を50重量部にした以外は実験例1と同様にして、骨材チップ及び鉄鋼スラグと混合した。次いで、市販の水溶性高分子系のバインダを溶かした水を骨材チップ等の混合物に対して5wt%加えて混合した。混合物をブロック状に形成された金型に入れた後、高圧プレス機を用いて14.7MPaの圧力で加圧して成形体を得た。金型を低温加熱して混練物を乾燥させてブロック状の成形体を得た。成形体を電気炉にて1100℃の温度で1時間焼成して、長さ200mm、幅100mm、厚さ45mmのブロック状に形成された比較例5の多孔質セラミックスを得た。
まず、乾燥した多孔質セラミックスの重量(乾燥重量)を測定した。次いで、この多孔質セラミックスを水中に投入し起泡が出なくなるまで放置した。その後、静かに水中より取り出し水滴が落ちなくなるまで待ち、重量(保水重量)を測定した。測定した乾燥重量と保水重量を、保水率(wt%)=((保水重量−乾燥重量)÷乾燥重量)×100の式に代入して、保水率を求めた。
曲げ強度と保水率を表1にまとめて示す。なお、表1には、骨材チップと鉄鋼スラグの総重量に対するガラス質材の割合(wt%)も示した。
また、鉄鋼スラグの配合割合を変えた実験例3,7〜10、比較例1,2の曲げ強度及び保水率を比べると、鉄鋼スラグの配合量が減ると保水率が低下し、鉄鋼スラグの配合量が増えると曲げ強度が低下していることがわかった。特に、骨材チップ100重量部に対し30〜300重量部の鉄鋼スラグを配合した場合に、2MPa以上の曲げ強度と30%以上の保水率を両立できることが確認された。また、骨材チップ及び鉄鋼スラグの粒径を変えた実験例3,7〜10と実験例13,17〜20の曲げ強度及び保水率を比べると、粒径の小さな方が曲げ強度が大きくなり保水率が小さくなることがわかった。
粒径3〜5mmに分級した骨材チップ及び鉄鋼スラグを実験例22の多孔質セラミックスは、実験例1の多孔質セラミックスと比較して、曲げ強度及び保水率とも低くなることがわかった。
粒径が0.01mm未満のガラス質材を用いた実験例23の多孔質セラミックスは、実験例1及び11の多孔質セラミックスの曲げ強度及び保水率とほぼ同じであるが、ガラス質材を微粉砕する必要があるため生産性に欠けることがわかった。
粒径0.1〜0.5mmに分級したガラス質材を用いた実験例24の多孔質セラミックス、粒径1〜1.7mmに分級した骨材チップと粒径0.01〜0.5mmに分級した鉄鋼スラグを用いた実験例25の多孔質セラミックス、粒径0.01〜0.5mmに分級した骨材チップと粒径1〜1.5mmに分級した鉄鋼スラグを用いた実験例26の多孔質セラミックスは、実験例1及び11の多孔質セラミックスと比較して、いずれも曲げ強度及び保水率とも低くなることがわかった。実験例25、26の多孔質セラミックスの曲げ強度及び保水率の測定結果から、骨材チップ及び鉄鋼スラグは、略同一の粒径範囲に分級したものを用いることで、曲げ強度及び保水率を両立させられることがわかった。これは、骨材チップと鉄鋼スラグの粒径範囲を略同一にすることで、成形体における骨材チップと鉄鋼スラグの充填状態を整えることができたため、曲げ強度及び保水率を両立できたものと推察している。
また、高圧プレスで成形した比較例5と実験例3の曲げ強度及び保水率を比べると、高圧プレスで成形した比較例5の多孔質セラミックスの保水率が、実験例3の多孔質セラミックスより低いことがわかった。これは、成形の圧力によって成形体が緻密化し、気孔率が低下し保水性が低下したためであると考えている。
また、実験例1〜27の多孔質セラミックスを水中に投入し起泡が出なくなるまで放置した後、静かに水中より取り出し水滴が落ちなくなるまで待ち、これを−20℃に設定された恒温室内に放置して、多孔質セラミックスが保水した水を凍結させた。恒温室内に入れてから17時間経過後、多孔質セラミックスを恒温室から取り出し、室温(11℃)に放置した。3時間経過後、多孔質セラミックスの外観を目視観察したところ、欠けたり割れたりするものはみられなかった。凍結した多孔質セラミックスに急激な温度変化を与えても破損することのない機械的強度を有していることから、舗装用ブロックや緑化ブロックとして好適に用いることができることが明らかである。
次に、藻場育成用部材の例として、アカモクの播種を試みた実験について説明する。海水が流水状態で浸かるように水槽内に設置した実験例1の多孔質セラミックスの上に、採集したアカモクの卵を蒔いたところ、25日後に葉長約5mmの幼体に生長した。レンガ、御影石、コンクリートブロックについてもアカモクの播種を同様に試みたところ、同様に幼体の生長は確認されたが、流水によってレンガ等から抜けてしまう幼体が多数存在することが確認された。
また、浄化用部材としての例であるが、都市河川の白濁した河川水60Lを水槽に入れ、実験例1の多孔質セラミックスを2つ水槽内に浸漬してエアーポンプで水を撹拌したところ、約48時間後には水道水と同程度の透明度に変化させることができた。
Claims (5)
- 砕石や陶磁器屑を破砕した骨材チップ100重量部と、鉄鋼スラグ30〜300重量部と、前記骨材チップと前記鉄鋼スラグの総重量に対し15〜50wt%のガラス質材と、を含有していることを特徴とする多孔質セラミックス用組成物。
- 前記骨材チップの粒径が0.01〜3mm、前記鉄鋼スラグの粒径が0.01〜3mm、前記ガラス質材の粒径が0.1mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質セラミックス用組成物。
- 請求項1又は2に記載の多孔質セラミックス用組成物が所定形状に成形され焼成されていることを特徴とする多孔質セラミックス。
- (a)砕石や陶磁器屑を破砕した骨材チップ100重量部と、鉄鋼スラグ30〜300重量部と、前記骨材チップと前記鉄鋼スラグの総重量に対し15〜50wt%のガラス質材と、を含有する多孔質セラミックス用組成物を混合し混合物を得る乾式混合工程と、(b)前記混合物に水を加えて混練し混練物を得る湿式混合工程と、(c)前記混練物を成形し成形体を得る成形工程と、(d)前記成形体を900〜1200℃の温度で焼成する焼成工程と、を備えていることを特徴とする多孔質セラミックスの製造方法。
- 前記成形工程において、前記混練物を型に流し込み乾燥させて前記成形体を得ることを特徴とする請求項4に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
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