JP2007172928A - 極細絶縁線と同軸ケーブル及びその製造方法並びにこれを用いた多芯ケーブル - Google Patents
極細絶縁線と同軸ケーブル及びその製造方法並びにこれを用いた多芯ケーブル Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】銅合金線1を7本撚り合わせた銅合金撚線3によって内部導体を形成し、この内部導体の外周に中実絶縁体5を被覆して極細絶縁線10とする。更に、極細絶縁線10の外周に、複数本の導体線13を極細絶縁線10の長手方向に沿って螺旋状に巻き廻して外部導体15を形成し、外部導体15の表面に、ジャケット層17を被覆して同軸ケーブル20とする。
【選択図】図2
Description
また、最近では細径化のニーズのみではなく、耐屈曲性の向上と伝送容量の増加を目的に、高強度特性と高導電特性を両立した導体材料の開発が強く求められている。
前記極細絶縁線を構成する銅合金線の線径が0.018 mmを超え0.022mm以下である同軸ケーブルであって、電気抵抗が9500Ω/km以下、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が0.8〜1.2dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=50gの条件で20000回以上、
前記極細絶縁線を構成する銅合金線の線径が0.016 mmを超え0.020mm以下である同軸ケーブルであって、電気抵抗が12200Ω/km以下、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が1.0〜1.5dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=50gの条件で20000回以上、
前記極細絶縁線を構成する銅合金線の線径が0.014 mmを超え0.018mm以下である同軸ケーブルであって、電気抵抗が14700Ω/km以下、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が1.1〜1.6dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=50gの条件で30000回以上、
前記極細絶縁線を構成する銅合金線の線径が0.013 mmを超え0.017mm以下である同軸ケーブルであって、電気抵抗が16500Ω/km以下、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が1.3〜1.8dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=20gの条件で30000回以上、
前記極細絶縁線を構成する銅合金線の線径が0.011 mmを超え0.015mm以下である同軸ケーブルであって、電気抵抗が22500Ω/km以下、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が1.7〜2.4dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=20gの条件で30000回以上、
前記極細絶縁線を構成する銅合金線の線径が0.008 mmを超え0.012mm以下である同軸ケーブルであって、電気抵抗が38000Ω/km以下、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が2.5〜3.8dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=20gの条件で10000回以上、
の同軸ケーブルとすることができる。
図1に、本実施形態の極細絶縁線の断面図を示す。
この極細絶縁線10は、銅合金線1を7本撚り合わせた銅合金撚線3によって内部導体を形成し、この内部導体の外周に中実絶縁体5を被覆したものである。
この銅合金線1は、Cu−Ag合金線であって、線径が0.025〜0.010mmであり、銀を1〜3重量%、好ましくは1.5〜2.5重量%含有するものである。
銀の含有量を1〜3重量%としたのは、1重量%未満では強度の向上が望めず、3重量%を超えると強度は向上するものの導電率が低下してしまうためである。更に、銀の含有量を1.5〜2.5重量%の範囲とすることにより、強度特性と導電率特性が最も両立した性能が得られる。
内部導体は、上記の銅合金線1を7本撚り合わせた銅合金撚線3で構成され、引張強さが850MPa以上、導電率が85%IACS以上とするものである。引張強さ850MPa以上、導電率85%IACS以上としたのは、医療機器用ケーブルへの使用を考慮した場合、上記範囲では屈曲性、電気抵抗、可撓性などの諸特性が満足されるが、上記範囲外では、これらの諸特性を満足させることができなくなるためである。
また、この銅合金撚線3は、熱処理されたものであり、熱処理後の電気抵抗の低下率が6%以上であり、かつ前記熱処理後の引張強度の低下率が20%以内とされている。熱処理後の電気抵抗の低下率が6%未満であり、前記熱処理後の引張強度の低下率が20%を超えると、押出製造作業や端末部の半田付け作業において断線が生じ易くなり、高強度特性と低抵抗特性(高導電性)を両立することが困難となる。
(1)銅合金線1の線径が0.021 mmを超え0.025mm以下の場合、電気抵抗が7200Ω/km以下。
(2)銅合金線1の線径が0.018 mmを超え0.022mm以下の場合、電気抵抗が9500Ω/km以下。
(3)銅合金線1の線径が0.016 mmを超え0.020mm以下の場合、電気抵抗が12200Ω/km以下。
(4)銅合金線1の線径が0.014 mmを超え0.018mm以下の場合、電気抵抗が14700Ω/km以下。
(5)銅合金線1の線径が0.013 mmを超え0.017mm以下の場合、電気抵抗が16500Ω/km以下。
(6)銅合金線1の線径が0.011 mmを超え0.015mm以下の場合、電気抵抗が22500Ω/km以下。
(7)銅合金線1の線径が0.008 mmを超え0.012mm以下の場合、電気抵抗が38000Ω/km以下。
各サイズ毎に電気抵抗を限定したのは、AWG(American Wire Gauge)規格に沿って、細径化と電気特性を真に両立させるためである。
中実絶縁体5は、銅合金撚線3の外周に、0.07mm以下の厚さで形成される。0.07mm以下の厚さとしたのは、43AWG〜50AWGの同軸ケーブルにおいて、静電容量を100pF/m以上とするためである。
中実絶縁体5としては、例えば、四フッ化エチレン・パーフロロプロビルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)など誘電率が2.1で融点が300℃近くの材料の中から選定した樹脂が用いられる。
図2に、本実施形態の同軸ケーブルの断面図を示す。
この同軸ケーブル20は、図1に示した極細絶縁線10の外周に、複数本の導体線13を極細絶縁線10の長手方向に沿って螺旋状に巻き廻して外部導体15を形成し、外部導体15の表面に、ジャケット層17を被覆したものである。
外部導体15(損巻きシールド)は、Snめっき銅線、Snめっき銅合金線、銀めっき銅線、銀めっき銅合金線などの導体線13を、多数本(例えば、30本〜60本)所定ピッチでらせん状に横巻して形成される。
ジャケット層17は、四フッ化エチレン・パーフロロプロビルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)などを押出し被覆することによって設けることができる。
上記同軸ケーブル20の静電容量、減衰量、左右90度屈曲寿命は、銅合金線1の線径と以下の関係を有するものである。
(1)銅合金線1の線径が0.021 mmを超え0.025mm以下の場合、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が0.6〜1.0dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=50gの条件で20000回以上。
(2)銅合金線1の線径が0.018 mmを超え0.022mm以下の場合、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が0.8〜1.2dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=50gの条件で20000回以上。
(3)銅合金線1の線径が0.016 mmを超え0.020mm以下の場合、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が1.0〜1.5dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=50gの条件で20000回以上。
(4)銅合金線1の線径が0.014 mmを超え0.018mm以下の場合、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が1.1〜1.6dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=50gの条件で30000回以上。
(5)銅合金線1の線径が0.013 mmを超え0.017mm以下の場合、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が1.3〜1.8dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=20gの条件で30000回以上。
(6)銅合金線1の線径が0.011 mmを超え0.015mm以下の場合、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が1.7〜2.4dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=20gの条件で30000回以上。
(7)銅合金線1の線径が0.008 mmを超え0.012mm以下の場合、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が2.5〜3.8dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=20gの条件で10000回以上。
各サイズ毎に静電容量、減衰量、左右90度屈曲寿命を限定したのは、AWG(American Wire Gauge)規格に沿って、細径化と電気特性及び機械特性とを真に両立させるためである。
図3に、本実施形態の多芯ケーブルの断面図を示す。
この多芯ケーブル30は、テンションメンバ31(若しくは中心介在)の外周に、図2に示す同軸ケーブル20を4本同心円上に配置して撚り合わせてバインドテープ33を巻き付け、更に、その外側にシールド35及びシース37を設けたものである。
バインドテープ33の巻厚は、例えば0.05mmとしている。また、シールド35としては、例えば、厚さ0.05mmのSnめっき軟銅線編組を施したものを用いる。シールド35は、他に横巻きシールドであっても良い。シース37は、PETテープを巻回したり、あるいは、例えば、四フッ化エチレン・パーフロロプロビルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)を押出し被覆することなどによって設けることができる。
なお、図3では、同軸ケーブル20を同心円上に1層配置し撚り合わせた構造を示したが、同軸ケーブル20を更に複数本用いて2層以上配置して撚り合わせても良い。
図4に、他の実施形態の多芯ケーブルの断面図を示す。
この多芯ケーブル40は、テンションメンバ31(若しくは中心介在)の外周に、図2に示す同軸ケーブル20を3本と図1に示す極細絶縁線10を1本とを同心円上に配置して撚り合わせてバインドテープ33を巻き付け、更に、その外側にシールド35及びシース37を設けて複合ケーブルとしたものである。
なお、図4では、同軸ケーブル20を3本と極細絶縁線10を1本としたが、同軸ケーブル20と極細絶縁線10との割合は必要に応じて任意に変更することができる。また、図4では、同軸ケーブル20及び極細絶縁線10を同心円上に1層配置し撚り合わせた構造を示したが、同軸ケーブル20及び極細絶縁線10を更に複数本用いて2層以上配置して撚り合わせても良い。
図5に、他の実施形態の多芯ケーブルの断面図を示す。
この多芯ケーブル50は、テンションメンバ31(若しくは中心介在)の外周に、図1に示す極細絶縁線10を4本同心円上に配置して撚り合わせてバインドテープ33を巻き付け、更に、その外側にシールド35及びシース37を設けて差動伝送用ケーブルとしたものである。
なお、図5では、極細絶縁線10を同心円上に1層配置し撚り合わせた構造を示したが、極細絶縁線10を更に複数本用いて2層以上配置して撚り合わせても良い。
図6に、他の実施形態の多芯ケーブルの断面図を示す。
この多芯ケーブル60は、図2に示す同軸ケーブル20を複数本束ねて同軸ケーブルユニット61を形成し、この同軸ケーブルユニット61をテンションメンバ31(若しくは中心介在)の外周に複数本集合撚りしてバインドテープ33を巻き付け、更に、その外側にシールド35及びシース37を設けたものである。
図7に、他の実施形態の多芯ケーブルの側面図を示す。
この多芯ケーブル70は、図1に示す極細絶縁線10を2本用意し、中心導体線71に一定間隔のピッチで巻付け、カール線としたものである。中心導体線71としては、例えば、線径0.16mmの銀めっき銅線を使用することができる。また、極細絶縁線10を2本巻付ける代わりに、一定のピッチで極細絶縁線10を2本対よりした対より線を1本或いは2本巻付けることもできる。
図8に、他の実施形態の多芯ケーブルの断面図を示す。
この多芯ケーブル80は、図2に示す同軸ケーブル20を複数本一定のピッチで並列に配置し、更にその並列体の両面に粘着テープ81を貼り、多芯リボンケーブルとしたものである。
次に、本実施形態で使用した銅合金線、銅合金撚線の製造方法について説明する。
まず、純銅に銀を1〜3重量%、好ましくは1.5〜2.5重量%添加し、銅合金を生成する。その後、伸線加工し、あるいは中間に熱処理を施して線径が0.025〜0.010mmの極細線を作製する。この場合、途中の線径において錫(Sn)、銀(Ag)、又はニッケル(Ni)めっきを施して、最終的に線径が0.025〜0.010mmの極細線となるように作製してもよい。
熱処理条件として、300〜500℃で0.2〜5秒としたのは、熱処理温度が300℃未満、熱処理時間が0.2秒未満とすると、引張強さの低下は小さいものの、導電率の増加が少なく所望の特性が得られないためである。また、熱処理温度が500℃を超え、熱処理時間が5秒を超えると導電率は大きく増加するものの、引張強さが著しく低下してしまい、所望の特性が得られないためである。さらに、好ましくは0.5〜1.5秒の範囲で熱処理を行うことで、引張強さと導電率が最も両立した性能を得ることができる。
本実施形態によれば、最終線径0.025mm以下の極細線で、高強度特性と低抵抗特性(高導電性)を両立し、かつ押出製造作業や端末部の半田付け作業などにおける熱的な負荷においても強度の低下が生じにくく、高い耐熱性をも兼ね備えた極細銅合金線及び極細銅合金撚線とすることができる。
よって、これらの極細銅合金線、極細銅合金撚線を使用して同軸ケーブルなどを製造すれば、小型化、細径化、軽量化、高耐屈曲性、高伝送化の性能が要求される電子機器用及び医療機器用ケーブルに好適に用いることができる。
[比較例1]
(43AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例2]
(43AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例3]
(43AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例4]
(43AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例5]
(43AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例6]
(43AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例7]
(43AWGの同軸ケーブルの作製)
[従来例1]
(43AWGの同軸ケーブルの作製)
[従来例2]
(43AWGの同軸ケーブルの作製)
[従来例3]
(43AWGの同軸ケーブルの作製)
[従来例4]
(43AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例8]
(42AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例9]
(42AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例10]
(42AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例11]
(44AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例12]
(44AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例13]
(44AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例14]
(46AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例15]
(46AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例16]
(46AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例17]
(48AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例18]
(48AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例19]
(48AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例20]
(50AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例21]
(50AWGの同軸ケーブルの作製)
[比較例22]
(50AWGの同軸ケーブルの作製)
表1に、実施例1〜21、比較例1〜22、従来例1〜4の極細銅合金撚線について、熱処理前後の引張強さ及び電気抵抗、熱処理後の導電率、引張強さ及び電気抵抗の変化率の結果を示す。
比較例2は、銀の添加濃度が0.5重量%と少なすぎるため、引張強さが目標値の850MPaを下回ってしまい、また、電気抵抗の低下率が2%に止まり、引張強度と電気抵抗の両立は困難であることが分かった。
比較例3は、銀の添加濃度が3.5重量%と多すぎるため、電気抵抗の低下率が1%に止まり、引張強度と電気抵抗の両立は困難であることが分かった。
比較例4は、熱処理温度が250℃と低温であったため、電気抵抗の低下率が0.5%に止まり、引張強度と電気抵抗の両立は困難であることが分かった。
比較例5は、熱処理温度が600℃と高温であったため、引張強さの低下率が27.3%と著しく、引張強度と電気抵抗の両立は困難であることが分かった。
比較例6は、熱処理時間が0.1秒と短時間であったため、電気抵抗の低下率が1%に止まり、引張強度と電気抵抗の両立は困難であることが分かった。
比較例7は、熱処理時間が6.0秒と長時間であったため、引張強さの低下率が22.1%であり、810MPaと低く、引張強度と電気抵抗の両立は困難であることが分かった。
つまり、表1から、比較例8〜22のようなCu−0.19%Sn−0.19%In合金を使用した場合には、加熱処理の有無に関わらず、引張強さが実施例1〜21に比して下回っており、また、電気抵抗も実施例1〜21に比して高いことがわかる。
これに対して、実施例の撚線は、撚線加工後にあらかじめ熱処理を実施しているため、押出し加工時に生じる加熱による熱履歴が生じることがなく、押出し加工時の前後において引張強度および電気抵抗の点に変動がない同軸ケーブルを提供できる。
まず、実施例1〜21、比較例1〜22、従来例1〜4の各同軸ケーブルについて屈曲試験を行い、屈曲寿命を評価した。屈曲試験は、曲げ半径2mmの治具に試料ケーブル(同軸ケーブル)の一端部を固定し、試料ケーブルのサイズによって他端部に50gf或いは20gfの重りを吊り下げた状態から、サンプルを同軸ケーブルの長手方向に試験速度30回/1分の条件で左右90゜繰り返し屈曲させ、試料ケーブルの内部導体が破断するまでの回数(寿命)を測定する試験であり、試料に常時数Vの電圧を加え、電流値が試験開始時に比べて20%低下した時点で寿命とした。次表中の数値は、寿命に至るまでの屈曲回数を表している。
静電容量の測定は1mの試料ケーブル(同軸ケーブル)の内部導体と外部導体間をLCRメーターと接続し、1kHzでの静電容量を測定した。また、1mの試料ケーブル両端の内部導体と外部導体間を測定用同軸ケーブル(リード線)でネットワークアナライザの送信側と受信側とに接続し、10MHzでの減衰量を測定した。なお、試料の減衰量を測定する前に、校正を行い、測定用同軸ケーブル(リード線)の影響を除いた。また、特性インピーダンスは、ネットワークアナライザを用いて10MHzでの数値を測定した。
表2にこれらの電気特性および機械特性の評価結果を示す。
また、同一ワイヤサイズの実施例4〜21および比較例11〜22を比較しても、実施例の同軸ケーブルは、比較例の同軸ケーブルに対して、屈曲寿命が長くて屈曲特性に優れていることが分かる。
また、表1を参照して、撚線状態における引張強さおよび電気抵抗を比較すると、引張強さは実施例1〜実施例3の方が勝っており、電気抵抗はほぼ同等であると評価できる。
つまり、本実施例によれば、顧客の要望等に応じて同軸ケーブルをワンサイズ細くしたとしても、電気特性(中心導体抵抗、減衰量)はワンサイズ太い比較例と同等であり、同軸線の屈曲特性(引張強度)はワンサイズ太い比較例よりも高い同軸ケーブルを提供することができる。このため、同軸ケーブルを細径化する際には、電気特性(電気抵抗、減衰量)と機械特性(屈曲寿命)の劣化を極力抑えることができる。
本発明の銅合金の添加元素として銀以外に、マグネシウム(Mg)、インジウム(In)から選ばれる一種、あるいは2種の金属を合計量で0.02〜0.10重量%添加することも可能である。添加元素を増やすことはコストの増加につながるが、さらなる高強度化が期待できる。
3 銅合金撚線
(内部導体)
5 中実絶縁体
10 極細絶縁線
13 導体線
17 ジャケット層
20 同軸ケーブル
30,40,50,60,70,80 多芯ケーブル
31 テンションメンバ
33 バインドテープ
35 シールド
37 シース
71 中心導体
81 粘着テープ
Claims (19)
- 銀(Ag)を1〜3重量%含有し、残部が銅(Cu)及び不可避的不純物からなる線径が0.010〜0.025mmの銅合金線を複数本撚り合わせて銅合金撚線を形成し、前記銅合金撚線の引張強さが850MPa以上、導電率が85%IACS以上であり、かつ前記銅合金撚線の外周に、厚さ0.07mm以下の中実絶縁体を被覆したことを特徴とする極細絶縁線。
- 前記銅合金撚線は、熱処理されたものであり、前記熱処理後の電気抵抗の低下率が6%以上であり、かつ前記熱処理後の引張強度の低下率が20%以下であることを特徴とする請求項1記載の極細絶縁線。
- 前記銅合金線の表面に錫(Sn)、銀(Ag)、又はニッケル(Ni)のめっき層を形成したことを特徴とする請求項1記載の極細絶縁線。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の極細絶縁線の外周に、複数本の導体線を前記極細絶縁線の長手方向に沿って螺旋状に巻き廻して外部導体を形成し、前記外部導体の表面に、ジャケット層を被覆したことを特徴とする同軸ケーブル。
- 前記極細絶縁線を構成する銅合金線の線径が0.021 mmを超え0.025mm以下である同軸ケーブルであって、電気抵抗が7200Ω/km以下、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が0.6〜1.0dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=50gの条件で20000回以上であることを特徴とする請求項4記載の同軸ケーブル。
- 前記極細絶縁線を構成する銅合金線の線径が0.018 mmを超え0.022mm以下である同軸ケーブルであって、電気抵抗が9500Ω/km以下、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が0.8〜1.2dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=50gの条件で20000回以上であることを特徴とする請求項4記載の同軸ケーブル。
- 前記極細絶縁線を構成する銅合金線の線径が0.016 mmを超え0.020mm以下である同軸ケーブルであって、電気抵抗が12200Ω/km以下、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が1.0〜1.5dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=50gの条件で20000回以上であることを特徴とする請求項4記載の同軸ケーブル。
- 前記極細絶縁線を構成する銅合金線の線径が0.014 mmを超え0.018mm以下である同軸ケーブルであって、電気抵抗が14700Ω/km以下、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が1.1〜1.6dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=50gの条件で30000回以上であることを特徴とする請求項4記載の同軸ケーブル。
- 前記極細絶縁線を構成する銅合金線の線径が0.013 mmを超え0.017mm以下である同軸ケーブルであって、電気抵抗が16500Ω/km以下、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が1.3〜1.8dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=20gの条件で30000回以上であることを特徴とする請求項4記載の同軸ケーブル。
- 前記極細絶縁線を構成する銅合金線の線径が0.011 mmを超え0.015mm以下である同軸ケーブルであって、電気抵抗が22500Ω/km以下、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が1.7〜2.4dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=20gの条件で30000回以上であることを特徴とする請求項4記載の同軸ケーブル。
- 前記極細絶縁線を構成する銅合金線の線径が0.008 mmを超え0.012mm以下である同軸ケーブルであって、電気抵抗が38000Ω/km以下、静電容量が100〜130pF/m、減衰量が2.5〜3.8dB/m(周波数10MHz)、左右90度屈曲寿命が曲げR=2mm、荷重=20gの条件で10000回以上であることを特徴とする請求項4記載の同軸ケーブル。
- 純銅に銀を1〜3重量%添加して銅合金を生成し、伸線加工を行って線径が0.010〜0.025mmの極細銅合金線を作製後、前記極細銅合金線を複数本撚り合わせて極細銅合金撚線とし、300〜500℃の温度で0.2〜5秒の熱処理を施した後、前記銅合金撚線の外周に、厚さ0.07mm以下の中実絶縁体を被覆することを特徴とする極細絶縁線の製造方法。
- 純銅に銀を1〜3重量%添加して銅合金を生成し、伸線加工を行って線径が0.010〜0.025mmの極細銅合金線を作製後、前記極細銅合金線を複数本撚り合わせて極細銅合金撚線とし、300〜500℃の温度で0.2〜5秒の熱処理を施した後、前記銅合金撚線の外周に、厚さ0.07mm以下の中実絶縁体を被覆して極細絶縁線とし、更に前記極細絶縁線の外周に、複数本の導体線を前記極細絶縁線の長手方向に沿って螺旋状に巻き廻して外部導体を形成した後、前記外部導体の表面に、ジャケット層を被覆することを特徴とする同軸ケーブルの製造方法。
- テンションメンバ又は中心介在の外周に、請求項4記載の同軸ケーブルを複数本撚り合わせたことを特徴とする多芯ケーブル。
- テンションメンバ又は中心介在の外周に、請求項4記載の同軸ケーブル及び請求項1〜3のいずれか1項記載の極細絶縁線を複数本撚り合わせたことを特徴とする多芯ケーブル。
- テンションメンバ又は中心介在の外周に、請求項1〜3のいずれか1項記載の極細絶縁線を複数本撚り合わせたことを特徴とする多芯ケーブル。
- テンションメンバ又は中心介在の外周に、請求項4記載の同軸ケーブルを複数本束ねて形成した同軸ケーブルユニットを複数本撚り合わせたことを特徴とする多芯ケーブル。
- 中心導体線に、請求項1〜3のいずれか1項記載の極細絶縁線を一定間隔のピッチで複数本巻付けたことを特徴とする多芯ケーブル。
- 請求項4記載の同軸ケーブルを複数本一定ピッチで並列に配置したことを特徴とする多芯ケーブル。
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