JP2007167988A - 難削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆サーメット製切削工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被覆サーメット工具の硬質被覆層のTiCN層およびα型Al2O3層を、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、それぞれ前記結晶粒の結晶面である{112}面および(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、この測定結果から傾斜角度数分布グラフを作成した場合に、いずれも0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在し、かつ前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示す改質TiCN層および改質α型Al2O3層で構成し、前記改質α型Al2O3層の表面粗さをRa:0.2μm以下とする。
【選択図】図2
Description
(1)下部層が、いずれも化学蒸着形成された、Tiの炭化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示す)層のうちの1層または2層以上からなり、かつ3〜20μmの全体平均層厚を有するTi化合物層、
(2)上部層が、化学蒸着形成した状態で、α型の結晶構造を示し、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、図4(a),(b)に概略説明図で示される通り、表面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、図5に例示される通り、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、かつ1〜20μmの平均層厚を有する改質α型酸化アルミニウム層(以下、改質α型Al2O3層で示す)、
以上(1)および(2)で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる、被覆サーメット工具が知られており、この被覆サーメット工具は、各種の鋼や鋳鉄などの被削材の高速切削加工に用いられている。
反応ガス組成−体積%で、AlCl3:1〜5%、CO2:5〜10%、HCl:0.3〜3%、CH3CN:0.02〜0.1%、NO:0.02〜0.4%、H2:残り、
反応雰囲気温度:800〜900℃、
反応雰囲気圧力:3〜13kPa、
成膜時間:0.5〜2時間、
の条件で、望ましくは0.02〜0.5μmの平均層厚で種薄膜としてのAl2O3薄膜(以下、Al2O3種薄膜という)を形成し、このAl2O3種薄膜の上に従来α型Al2O3層の形成条件と同じ条件、すなわち、同じく通常の化学蒸着装置にて、
反応ガス組成−体積%で、AlCl3:1〜5%、CO2:0.5〜10%、HCl:0.3〜3%、H2S:0.02〜0.4%、H2:残り、
反応雰囲気温度:950〜1100℃、
反応雰囲気圧力:3〜13kPa、
の条件でα型Al2O3層を蒸着することにより形成され、この結果形成された改質α型Al2O3層は、α型Al2O3層自身が具備するすぐれた高温硬さおよび耐熱性を損なうことなく、前記従来α型Al2O3層に比して、一段とすぐれた高温強度を具備するようになり、一方前記従来α型Al2O3層は、図6に例示される通り、(0001)面の測定傾斜角の分布が0〜45度の範囲内で不偏的な傾斜角度数分布グラフを示すことも知られている。
(a)上記の従来TiCN層は、通常の化学蒸着装置にて、
反応ガス組成−体積%で、TiCl4:2〜10%、CH3CN:0.5〜3%、N2:10〜30%、H2:残り、
反応雰囲気温度:850〜950℃、
反応雰囲気圧力:3〜13kPa、
の条件で形成されるが、上記従来TiCN層の形成に先だって、
反応ガス組成−体積%で、TiCl4:0.2〜1%、C3H6(メチルエチレン):1〜5%、N2:20〜40%、H2:残り、
反応雰囲気温度:700〜800℃、
反応雰囲気圧力:3〜13kPa、
成膜時間:0.5〜3時間、
の条件で、望ましくは0.02〜0.5μmの平均層厚で種薄膜としてのTiCN薄膜(以下、種薄膜という)を形成し、この種薄膜の上に上記の従来TiCN層の形成条件と同じ条件でTiCN層を形成すると、形成時の前記TiCN層は、前記種薄膜の結晶配列に著しく影響を受け、これを十分に履歴するようになり、しかもこの結果形成されたTiCN層(以下、改質TiCN層という)は、上記の従来TiCN層に比して、一段とすぐれた高温強度を有し、高い切削抵抗を伴なう難削材の高速切削加工でもすぐれた耐チッピング性を発揮するようになること。
電界放出型走査電子顕微鏡を用い、図1(a),(b)に概略説明図で示される通り、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフを作成した場合、前記従来TiCN層は、図3に例示される通り、{112}面の測定傾斜角の分布が0〜45度の範囲内で不偏的な傾斜角度数分布グラフを示すのに対して、前記改質TiCN層は、図2に例示される通り、傾斜角区分の特定位置にシャープな最高ピークが現れ、このシャープな最高ピークは、グラフ横軸の傾斜角区分に現れる高さが上記種薄膜形成時の反応雰囲気温度および反応雰囲気圧力によって変化し、グラフ横軸の傾斜角区分位置が同じく反応ガスのTiCl4含有量によって変化すること。
ウエットブラストにて、噴射研磨材として、水との合量に占める割合で15〜60質量%の酸化アルミニウム微粒(以下、Al2O3微粒で示す)を配合した研磨液を噴射すると、上記TiN層とTiCN層の2層以上の交互積層(以下、個々にTiN研磨材層およびTiCN研磨材層と言い、これら全体をTiN/TiCN研磨材層で示す)は、前記Al2O3微粒によって粉砕微粒化し、TiN微粒およびTiCN微粒となって前記Al2O3微粒の共存下で研磨材として作用し、硬質被覆層の上部層を構成する改質α型Al2O3層の表面を研磨することになり、この結果研磨後の前記改質α型Al2O3層の表面は、準拠規格JIS・B0601−1994に基いた測定(以下の表面粗さは全てかかる準拠規格に基いた測定値を示す)で、Ra:0.2μm以下の表面粗さにまで平滑化されるようになり、この上部層である改質α型Al2O3層の表面がRa:0.2μm以下の表面粗さに平滑化した上記の被覆サーメット工具を用いて、難削材の高速切削加工を行った場合、350m/min.を越える切削速度でも切刃部におけるチッピング発生が防止され、前記硬質被覆層は長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するようになること。
以上(a)〜(f)に示される研究結果を得たのである。
(1)下部層が、いずれも化学蒸着形成された、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、およびTiCNO層のうちの1層または2層以上からなり、かつ3〜20μmの全体平均層厚を有するTi化合物層、
(2)上部層が、化学蒸着形成した状態で、α型の結晶構造を示し、かつ電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、かつ1〜20μmの平均層厚を有する改質α型Al2O3層、
以上(1)および(2)で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる、被覆サーメット工具において、
(a)上記(1)のTi化合物層のうちの1層を、2.5〜15μmの平均層厚を有し、かつ、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示す改質TiCN層、
で構成すると共に、
(b)上記硬質被覆層の上部層である改質α型Al2O3層の全面に、いずれも0.1〜2.5μmの平均層厚を有するTiN研磨材層とTiCN研磨材層の2層以上の交互積層で構成され、かつ、0.4〜5μmの全体平均層厚を有するTiN/TiCN研磨材層を蒸着形成した状態で、
ウエットブラストにて、噴射研磨材として、水との合量に占める割合で15〜60質量%のAl2O3微粒を配合した研磨液を噴射し、
上記のTiN/TiCN研磨材層のウエットブラストによる粉砕化TiN微粒および粉砕化TiCN微粒と、噴射研磨材としてのAl2O3微粒の共存下で、上記硬質被覆層の上部層を構成する改質α型Al2O3層の少なくとも切刃稜線部を含むすくい面部分および逃げ面部分を研磨して、これら研磨面の表面粗さをRa:0.2μm以下としてなる、
難削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する被覆サーメット工具に特徴を有するものである。
(A)硬質被覆層
(a−1)Ti化合物層(下部層)
Ti化合物層は、自体が高温強度を有し、これの存在によって硬質被覆層が高温強度を具備するようになるほか、工具基体と上部層である改質α型Al2O3層のいずれにも強固に密着し、よって硬質被覆層の工具基体に対する密着性向上に寄与する作用をもつが、その合計平均層厚が3μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その合計平均層厚が20μmを越えると、特に高熱発生を伴なう高速切削加工では熱塑性変形を起し易くなり、これが偏摩耗の原因となることから、その合計平均層厚を3〜20μmと定めた。
上記の通り、上記改質TiCN層の種薄膜形成に際して、上記反応ガスにおけるTiCl4の含有量を0.2〜1%とすることにより、傾斜角度数分布グラフで、シャープな最高ピークが傾斜角区分の0〜10度の範囲内に現れ、かつ、反応雰囲気温度を700〜800℃、反応雰囲気圧力を3〜13kPaとすることにより、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示す改質TiCN層が形成されるようになり、この結果として前記改質TiCN層はさらに一段とすぐれた高温強度を具備するようになるが、その平均層厚が2.5μm未満では所望のすぐれた高温強度を硬質被覆層に具備せしめることができず、一方その平均層厚が15μmを越えると、偏摩耗の原因となる熱塑性変形が発生し易くなり、摩耗が加速するようになることから、その平均層厚を2.5〜15μmと定めた。
改質α型Al2O3層は、傾斜角度数分布グラフで、シャープな最高ピークが傾斜角区分の0〜10度の範囲内に現れ、かつ前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、この結果すぐれた高温強度を具備し、耐チッピング性の向上が図られるようになる外、Al2O3層自身のもつすぐれた高温硬さと耐熱性によって、硬質被覆層の耐摩耗性向上に寄与するが、その平均層厚が1μm未満では、硬質被覆層に十分な耐摩耗性を発揮せしめることができず、一方その平均層厚が20μmを越えて厚くなりすぎると、チッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を1〜20μmと定めた。
上記の通り、TiN/TiCN研磨材層は、ウエットブラスト時に、研磨液に噴射研磨材として配合したAl2O3微粒によって粉砕微粒化し、TiN微粒およびTiCN微粒となって前記Al2O3微粒との共存下で研磨材として作用し、硬質被覆層の上部層を構成する改質α型Al2O3層の表面を研磨するが、この場合、個々の研磨材層の平均層厚が0.1μm未満であったり、TiN/TiCN研磨材層の全体平均層厚が0.4μm未満であったりすると、ウエットブラスト時における粉砕化TiN微粒および粉砕化TiCN微粒の割合が少な過ぎて、研磨機能を十分に発揮することができず、一方、個々の研磨材層の平均層厚が2.5μmを越えたり、TiN/TiCN研磨材層の全体平均層厚が5μmを越えたりすると、研磨液に噴射研磨材として配合したAl2O3微粒とのバランスがくずれて、相対的に多くなり過ぎ、この場合も研磨機能が急激に低下するようになり、いずれの場合もα型Al2O3層の表面をRa:0.2μm以下の表面粗さに研磨することができなくなるという理由で、個々の研磨材層の平均層厚を0.1〜2.5μm、その全体平均層厚を0.4〜5μmと定めた。
研磨液のAl2O3微粒には、ウエットブラスト時にTiN/TiCN研磨材層の粉砕化TiN微粒および粉砕化TiCN微粒と共存した状態で、改質α型Al2O3層の表面を研磨する作用があるが、その割合が水との合量に占める割合で15質量%未満でも、また60質量%を越えても研磨機能が急激に低下するようになることから、その割合を15〜60質量%と定めた。
引き続いて、表6に示されるブラスト条件で、かつ表8に示される組み合わせでウエットブラストを施して、上記工具基体A〜Fについては、工具取り付け用中心孔周辺部にTiN/TiCN研磨材層を存在させた状態、また、上記の工具基体a〜fについては、クランプ駒当接面部分(すくい面中心部)にTiN/TiCN研磨材層を存在させた状態で、前記改質α型Al2O3層(上部層)の切刃稜線部を含むすくい面および逃げ面を、同じく表8に示される表面粗さに研磨することにより本発明被覆サーメット工具1〜13をそれぞれ製造した。
すなわち、上記傾斜角度数分布グラフは、上記の改質TiCN層および従来TiCN層、さらに改質α型Al2O3層の表面を研磨面とした状態で、電界放出型走査電子顕微鏡の鏡筒内にセットし、前記研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、前記表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子(TiCN)または六方晶結晶格子(Al2O3)を有する結晶粒個々に照射して、電子後方散乱回折像装置を用い、30×50μmの領域を0.1μm/stepの間隔で、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面(TiCN層)または(0001)面(Al2O3層)の法線がなす傾斜角を測定し、この測定結果に基づいて、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計することにより作成した。
なお、図2は、本発明被覆サーメット工具1の改質TiCN層の傾斜角度数分布グラフ、図3は、従来被覆サーメット工具1の従来TiCN層の傾斜角度数分布グラフ、、図5は、本発明被覆サーメット工具1の改質α型Al2O3層の傾斜角度数分布グラフ、図6は、従来被覆サーメット工具1の改質α型Al2O3層の傾斜角度数分布グラフをそれぞれ示すものである。
被削材:JIS・SUS430の丸棒、
切削速度:390m/min、
切り込み:1.5mm、
送り:0.25mm/rev、
切削時間:5分、
の条件(切削条件A)でのステンレス鋼の乾式高速連続切削試験(通常の切削速度は200m/min)、
被削材:JIS・SMn443Hの長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度:370m/min、
切り込み:1.5mm、
送り:0.2mm/rev、
切削時間:6分、
の条件(切削条件B)での高マンガン鋼の乾式高速断続切削試験(通常の切削速度は180m/min)、
被削材:JIS・SS490の丸棒、
切削速度:400m/min、
切り込み:2mm、
送り:0.3mm/rev、
切削時間:7分、
の条件(切削条件C)での軟鋼の乾式高速連続切削試験(通常の切削速度は200m/min)を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表12に示した。
Claims (1)
- 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
(1)下部層が、いずれも化学蒸着形成された、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ3〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
(2)上部層が、化学蒸着形成した状態で、α型の結晶構造を示し、かつ電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、かつ1〜20μmの平均層厚を有する改質α型酸化アルミニウム層、
以上(1)および(2)で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる、表面被覆サーメット製切削工具において、
(a)上記(1)のTi化合物層のうちの1層を、2.5〜15μmの平均層厚を有し、かつ、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示す改質炭窒化チタン層、
で構成すると共に、
(b)上記硬質被覆層の上部層である改質α型酸化アルミニウム層の全面に、
いずれも0.1〜2.5μmの平均層厚を有する窒化チタン層と炭窒化チタン層の2層以上の交互積層で構成され、かつ、0.4〜5μmの全体平均層厚を有する研磨材層を蒸着形成した状態で、
ウエットブラストにて、噴射研磨材として、水との合量に占める割合で15〜60質量%の酸化アルミニウム微粒を配合した研磨液を噴射し、
上記の研磨材層のウエットブラストによる粉砕化窒化チタン微粒および粉砕化炭窒化チタン微粒と、噴射研磨材としての酸化アルミニウム微粒の共存下で、上記硬質被覆層の上部層を構成する改質α型酸化アルミニウム層の少なくとも切刃稜線部を含むすくい面部分および逃げ面部分を研磨して、これら研磨面の表面粗さを準拠規格JIS・B0601−1994に基いた測定で、Ra:0.2μm以下としたこと、
を特徴とする難削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆サーメット製切削工具。
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