JP2007162174A - 光学的に異なる2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品 - Google Patents

光学的に異なる2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品 Download PDF

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Abstract

【課題】光学的な干渉によって現れる2色の発色が視認性に優れ、高い意匠性を持つ繊維布又は繊維製品を提供すること。
【解決手段】(1)繊維布又は繊維製品上に、平滑層、次いで薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされた光学的に2色の発色を呈するパール顔料層が順次積層されたものであることを特徴とする光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品、(2)離型紙又は離型フイルム上に、薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされた光学的に2色の発色を呈するパール顔料層、平滑層、次いで接着層を順次積層された熱転写紙が、繊維布又は繊維製品に熱転写されたものであることを特徴とする光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学的に異なる2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品に関するものである。
従来、パール顔料としては、薄片状天然雲母、合成雲母、又は薄片状酸化アルミニウムの表面に、金属酸化物として、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化錫などがコートされたものであって、コートされる金属酸化物の厚みを変えることで、光学的に干渉色が得られる干渉色パール顔料が知られており、これを、塗料、又はインキ等の顔料として用いることは公知である(例えば、特許文献1)。
しかし、従来の薄片状天然雲母、合成雲母の表面に、金属酸化物がコートされたパール顔料を用いたインキを、繊維上に捺染、コーティング、又は熱転写したものは、該パール顔料の輝度が不十分であり、また光学的な干渉により得られる色彩が白色から極淡色へのものであり、色変化が乏しいため、商品価値が低いものであった。また、薄片状酸化アルミニウムの表面に、金属酸化物がコートされたパール顔料を用いたインキについては、上記パール顔料に比べて輝度や色彩の色変化は優れているものの、後述する問題があり不十分であった。
そして、上記のパール顔料層用捺染又はコーティング剤(インキ)を、繊維布又は繊維製品上に直接捺染又はコーティングした場合、繊維布又は繊維製品の表面が凹凸であるため、形成された塗膜中のパール顔料は、平滑且つ均一に並ばず、ランダムな向きに存在するので、パール顔料の輝度や干渉性等が劣化されるという問題があった。
また、上記のパール顔料層用捺染又はコーティング剤(インキ)は、捺染やコーティング後、堅牢性を高めるために、熱処理が施され、また、熱転写紙を用いる方法においても、繊維布又は繊維製品に熱転写する工程があるから、何れの方法においても、これらの熱によって、パール顔料の配列がランダムに動いてしまい、輝度、光沢、干渉性等が劣化されるという問題があった。
そして、物品(綿ニット等)上に、少なくとも背面層及び可変虹彩色層が、この順序で積層された部分を備えてなる積層部を有し、前記可変虹彩色層から見て背面層側は、淡色であると共に前記物品の色彩を隠蔽するものであり、前記可変虹彩色層は、少なくとも、天然雲母又は合成雲母の表面に金属酸化物をコーティングした虹彩色パール顔料を含んでなり、背面層上の可変虹彩色層への入射光の方向の変化、又は背面層上の可変虹彩色層に対する、それを光学的に検知する検知手段の方向の変化に応じ、その可変虹彩色層が所定の光沢色を有する状態に検知されたりその光沢色が実質上消えた状態に検知されたりすることを特徴とする可変虹彩色物品(綿ニット等)が知られている(特許文献2)。
しかし、上記の方法で用いられているパール顔料は、光学的な干渉によって得られる色の濃度が極めて薄く、又、色彩が白色から極淡色の色変化しかしないことから、実質上得られた模様は、背面層上に現れる干渉色パール顔料の極淡色が出たり消えたりするだけで、極めて色変化の視認性に乏しいものであり、また、該干渉色パール顔料の濃度は、極淡色に着色された背面層がなければ、より着色濃度が低く、光学的に発現する干渉色模様の視認性はより極めて低いものであった。
特許第3242561号公報 特開平9−228263号公報
以上のことから、光学的な干渉によって現れる2色の発色が視認性に優れ、高い意匠性を持つ繊維布又は繊維製品の開発が待たれているのが現状である。
本発明の課題は、光学的な干渉によって現れる2色の発色が視認性に優れ、高い意匠性を持つ繊維布又は繊維製品を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、繊維布又は繊維製品上に、繊維表面の凹凸を平滑な表面とするための平滑層を介在させて、光学的に2色の発色を呈する特定のパール顔料層を積層すると、優れた特性の光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品が得られることを知り、更に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の発明から構成されるものである。
1.繊維布又は繊維製品上に、平滑層、次いで薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされた光学的に2色の発色を呈するパール顔料層が順次積層されたものであることを特徴とする光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。
2.離型紙又は離型フイルム上に、薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされた光学的に2色の発色を呈するパール顔料層、平滑層、次いで接着層を順次積層された熱転写紙が、繊維布又は繊維製品に熱転写されたものであることを特徴とする光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。
3.金属酸化物が、酸化チタン、酸化スズ、及び酸化ジルコニウムからなる群の1種又は2種以上のものである上記1又は2記載の光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。
4.パール顔料層及び/又は平滑層が、パール顔料の色変化を阻害しない範囲で不変色性有機顔料、無機顔料又はアルミニウム顔料からなる群の1種又は2種以上を含有するものである上記1、2又は3記載の光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。
5.パール顔料層が、パール顔料を10〜40%含有するものである上記1、2、3又は4記載の光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。
6.パール顔料層及び/又は平滑層が、軟化点が160℃以上の熱可塑性樹脂を含有するものである上記1、2、3、4又は5記載の光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。
7.パール顔料層及び/又は平滑層が、架橋性樹脂を含有するものである上記1、2、3、4、5又は6記載の光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。
本発明の光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品は、(1)繊維布又は繊維製品上に、平滑層、次いで薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされた光学的に2色の発色を呈するパール顔料層が順次積層されたものからなるか、又は(2)離型紙又は離型フイルム上に、薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされた光学的に2色の発色を呈するパール顔料層、平滑層、次いで接着層を順次積層させた熱転写紙が、繊維布又は繊維製品に熱転写されたものからなるものであって、その発色性は、濃度、輝度、光沢性等において優れており、また視認性にも優れている点に特徴を有するものである。
本発明は、以下の知見に基づいてなされたものである。
(1)パール顔料層用捺染剤又はコーティング剤(インキ)を繊維布又は繊維製品上に、直接、捺染又はコーティングした場合、繊維布又は繊維製品の表面に凹凸があるため、形成された塗膜中のパール顔料は、平滑且つ均一に並ばず、ランダムな向きに存在し、パール顔料の輝度や干渉性等が劣化されるという問題があった。
ところが、上記の問題は、パール顔料層を、繊維布又は繊維製品上に直接形成させずに、平滑層を介在させて形成させる手段を採用することにより、解決することが解った。
(2)また、上記の捺染剤又はコーティング剤(インキ)は、捺染又はコーティング後に、堅牢性を高めるため熱処理が施されるか、又は、熱転写紙については、繊維布又は繊維製品に熱転写する工程があり、これらの熱によって、パール顔料の配列がランダムに動いてしまい、輝度、光沢、干渉性等が劣化されるという問題があった。
ところが、上記のパール顔料の発色の熱的劣化の問題は、特定のパール顔料を用いることにより、解決されることが解った。
(3)そこで、本発明は、更に研究を重ねた結果、上記の解決手段、即ち、平滑層を介在させる手段を採用するととともに、特定のパール顔料(薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートしたもの)を採用すると、光学的に優れた特性、即ち、輝度、光沢、干渉性等が劣化されず、視認性が優れた、2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品が得られることを知った。
本発明が、このような優れた光学的特性を発揮し得た理由は、以下の2点の相乗効果によるものと推察される。
1)平滑層を介在させる手段の採用により、パール顔料が平滑且つ均一に並ぶとともに、ランダムな向きの発生が防止されるため、パール顔料の輝度や干渉性等が劣化されるという問題が発生しない点。
2)本発明のパール顔料(薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートしたもの)は、他のパール顔料に比し、パール顔料層を形成する樹脂成分等との親和性等が強いため、加熱処理工程の熱によって、パール顔料の配列がランダムに動いてしまうという現象の発生が抑制される点。
そして、本発明では、本パール顔料は、薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされたものであり、該金属酸化物としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等を用いることができるが、その表面コーティングの厚みと金属の種類により、光学的に2色の発色を呈するそれぞれの色相が異なるものになるため、目的に応じて、各種の意匠(模様)を自由に作成できる点で、有利である。
何れにしても、本発明では、(イ)平滑層を介在させる手段、(ロ)特定のパール顔料(薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートしたもの)の採用という2つの手段の採用によって、輝度、光沢、干渉性等に優れ、また視認性にも優れた特性の、光学的に2色に発色する繊維布又は繊維製品が得られる点からみて、本発明の該2手段の採用には、格別の意義があることが解る。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品は、(1)繊維布又は繊維製品上に、平滑層、次いで薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされた光学的に2色の発色を呈するパール顔料層を形成する方法(直接法)、又は(2)離型紙又は離型フイルム上に、薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされた光学的に2色の発色を呈するパール顔料層、平滑層、次いで接着層を順次積層させた熱転写紙を、繊維布又は繊維製品に熱転写する方法(熱転写法)、という方法等によって、製造することができる。
(1)直接法
本直接法は、繊維布又は繊維製品上に、平滑層、次いでパール顔料層を直接形成する方法である。
1)平滑層
本平滑層は、繊維布又は繊維製品の凹凸を平滑な表面とするため、繊維布又は繊維製品上に設けるものであり、該平滑層の設置により、目的とする光学的に2色の発色を呈する意匠(模様)が、輝度、光沢、干渉性等に優れ、また視認性に優れたものとなる。従って、本平滑層は、本発明の必須の構成である。
平滑層は、熱可塑性エマルジョン樹脂を用いて形成するのがよく、目的物の洗濯堅牢性を保持するため、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、エチレン・酢酸ビニル共重合エマルジョン等を用いるのが好ましい。
本発明では、製品を形成した後、堅牢性を高めるために、120℃以上のベーキング処理をするので、該熱により、平滑層自体が流動性になり、パール顔料層のパール顔料の配列を乱し、輝度、光沢等を劣化させることになる。この劣化を防止するため、熱可塑性樹脂としては、軟化点が160℃以上のものを用いることが好ましい。また、この熱可塑性樹脂の軟化点が160℃以下のものであっても、メチル化メラミン、トリメチル化メラミン、エポキシ樹脂、オキサゾリン系、エチレンイミン系、カルボジイミド系等の架橋剤により架橋されて、160℃以上の軟化点を呈するものであれば、同様に使用可能である。
平滑層は、無色透明であってもよいが、光学的に2色の発色を呈するパール顔料の発色を阻害しない範囲であれば、不変色性顔料である、有機顔料、無機顔料、アルミニウムパウダー、又は白色パール顔料などによって、極淡色に着色したものでもよい。平滑層を淡色に着色すると、より光学的に2色の発色を呈するパール顔料の発色濃度を高めることができるが、特に、パール顔料の発色を高める平滑層の着色は、暗い淡色である程、効果的にパール顔料の発色が向上する。
そして、繊維布又は繊維製品として、着色されたものを用いる場合、平滑層用捺染又はコーティング剤(インキ)中に、酸化チタンなどの白色顔料を添加して隠蔽性をつけるか、又は、白色顔料で隠蔽性を付与した平滑層上に、更に透明な平滑層を設けた、多層の平滑層にすることも可能である。
平滑層用捺染又はコーティング剤(インキ)の粘度は、繊維布又は繊維製品の表面の凹凸を平滑にし、捺染又はコーティングできる粘度であれば、特に限定されるものではないが、5,000〜150,000mPa・sのものが好ましい。
(平滑層の形成法)
平滑層は、繊維布又は繊維製品上に、平滑層用捺染又はコーティング剤(インキ)を用いて、捺染又はコーティングにより形成することができるが、捺染又はコーティング方法としては、通常の方法が採用できる。
捺染方法としては、例えば、ハンドスクリーン、オートスクリーン、ロータリースクリーン方法などによって捺染することができる。スクリーンメッシュとしては、30〜200メッシュのスクリーン版を用いることができ、好ましくは70〜150メッシュのスクリーン版を用いるのがよい。その場合の塗布量としては、100〜300g/mがよく、この塗布量を2回に分割して、2度捺染により、捺染することもできる。
次に、コーティング方法としては、例えば、ナイフコーター、コンマコーター、リバースコーターなどによって塗工することができる。その場合の塗布量としては、100〜300g/mがよい。
2)パール顔料層
本パール顔料層は、上記の平滑層上に設けられ、繊維布又は繊維製品に光学的に2色の発色を呈する特性を付与するものであり、本発明では、パール顔料としては、特定のもの(薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされたもの)を用いることが必須の要件である。
(パール顔料)
本パール顔料は、薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされたものであり、該金属酸化物としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等を用いることができる。本発明では、表面コーティングの厚みと金属の種類により、光学的に2色の発色を呈するそれぞれの色相が異なるものを得ることができる。
本発明の光学的に2色の発色を呈するパール顔料として、例えば、Xirallic T60−20 WNT Sunbeam Gold(薄片状酸化アルミニウムの表面に酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウムがコーティングされたパール顔料:光学的に金色と灰色の2色の発色を呈する)、Xirallic T60−21 WNT Solaris Red(薄片状酸化アルミニウムの表面に酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウムがコーティングされたパール顔料:光学的に赤色と緑色の2色の発色を呈する)、Xirallic T60−23 WNT Galaxy Blue(薄片状酸化アルミニウムの表面に酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化ジルコニウムがコーティングされたパール顔料:光学的に青色と金色の2色の発色を呈する)、Xirallic T60−24 WNT Stellar Green(薄片状酸化アルミニウムの表面に酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウムがコーティングされたパール顔料:光学的に黄緑色と紫色の2色の発色を呈する)、Xirallic T60−25 WNT Cosmic Turquoise(薄片状酸化アルミニウムの表面に酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化ジルコニウムがコーティングされたパール顔料:光学的に緑色と赤色の2色の発色を呈する)、Colorstream F10−01 Viola Fantasy(薄片状酸化ケイ素の表面に酸化チタン、酸化スズがコーティングされたパール顔料:光学的に紫色と緑色の2色の発色を呈する)Colorstream F10−02 Arctic Fire(薄片状酸化ケイ素の表面に酸化チタン、酸化スズがコーティングされたパール顔料:光学的に緑色と桃色の2色の発色を呈する)などが挙げられるが、必ずしも、これ等に限定されるものではない。
(パール顔料層の形成)
本パール顔料層は、上記の平滑層上に、パール顔料層用捺染又はコーティング剤(インキ)を、捺染又はコーティングすることにより形成することができる。
パール顔料層用捺染又はコーティング剤(インキ)は、上記の薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされたパール顔料を必須成分とし、該パール顔料を熱可塑性樹脂エマルジョンに配合することにより、得ることができる。
得られたエマルジョン中のパール顔料の含有量は、10〜40%、好ましくは15〜30%がよい。10%未満では、目的とする光学的に2色の発色するパール顔料の視認性に欠け、他方、40%超では、堅牢性に欠ける。
上記のパール顔料層用捺染又はコーティング剤(インキ)の製造に用いる熱可塑性樹脂としては、洗濯堅牢性を保持する目的から、平滑層に用いたものと同様のものがよく、軟化点として160℃以上のものを用いることが好ましいが、それが前記の架橋剤によって架橋されて、160℃以上の軟化点を示すものであってもよいことは、上記の平滑層の場合と同様である。
そして、パール顔料層用捺染又はコーティング剤(インキ)に、光学的に2色の発色を呈するパール顔料の発色を阻害しない範囲で、不変色性の着色剤である、有機顔料、無機顔料、アルミニウムパウダー等によって淡色に着色することにより、光学的に2色に発色するパール顔料の発色濃度を高めることができ、また、視認性にも優れた特性の光学的に2色の発色する意匠を、繊維布又は繊維製品に付与することができる。
パール顔料層(インキ)の着色は、暗い淡色の着色ほど、光学的に2色の発色を呈するパール顔料の発色濃度を高め、視認性等を向上させることができるが、その場合の最も好ましい着色は灰色である。
パール顔料層用捺染又はコーティング剤(インキ)の捺染又はコーティング方法は、上記の平滑層の場合と同様に行うことができる。
3)後処理
本発明が目的とする光学的に2色の発色を呈する模様(意匠)は、繊維布又は繊維製品上に、平滑層、次いで光学的に2色の発色を呈するパール顔料層用捺染又はコーティング剤(インキ)を、捺染又はコーティングするにより形成させるが、その後、目的物の堅牢性を高めるために、通常、120〜150℃で3〜5分のベーキング処理を行うのがよい。
従って、本発明の捺染又はコーティング剤(インキ)は、上記の熱処理温度で流動したり、表面変化したりするものであっては、パール顔料の配列がランダムとなり、輝度、濃度、光沢等を低下させ、また視認性をも低下させることとなるから、前述したように、該剤(インキ)の構成成分である樹脂の選択には注意する必要がある。
(2)熱転写法
本熱転写法は、離型紙又は離型フイルム上に、薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされた光学的に2色の発色を呈するパール顔料層、平滑層、次いで接着層を順次積層させた熱転写紙を、繊維布又は繊維製品に熱転写する方法によって、光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品を製造する方法である。
1)熱転写紙
本熱転写紙は、(イ)離型紙又は離型フイルム、(ロ)パール顔料層、(ハ)平滑層、及び(ニ)接着層が、順次積層された積層体からなるものである。
(イ)離型紙又は離型フイルム
本離型紙又は離型フィルムとしては、熱転写時に、パール顔料層が剥離できるものであれば、特に限定されない。
例えば、紙又はポリエステルフィルム上に、剥離剤として、シリコーン樹脂、WAXなどがコートされたもの等が挙げられる。
(ロ)パール顔料層
本パール顔料層は、パール顔料層形成剤(インキ)を用いることにより、形成することができる。
パール顔料層形成剤(インキ)は、薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされたパール顔料を必須成分とし、該パール顔料を有機溶剤に溶解された或いはエマルジョンタイプの熱可塑性樹脂に配合することにより得ることができる。
パール顔料層形成剤(インキ)中のパール顔料の含有量は、10〜40%、好ましくは15〜30%がよい。10%未満では、目的とする光学的に2色の発色するパール顔料の視認性に欠け、他方、40%超では、堅牢性に欠ける。
上記のインキに用いる熱可塑性樹脂としては、洗濯堅牢性を保持するために、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニルの共重合樹脂、又はスチレンブタジェンラテックスなどを用いることができる。
上記の熱可塑性樹脂の軟化点は160℃以上が好ましく、160℃未満では熱転写時の熱で該インキ層が流動したり、表面変化したり、変形したりするため、目的の光学的に2色の発色を呈するパール顔料がランダムな配列となり、輝度、濃度、光沢等を劣化させるとともに、意匠性と視認性を低下させる。
従って、上記の熱可塑性樹脂の軟化点は160℃以上のものを用いることが好ましく、また、該樹脂が、メチル化メラミン、トリメチル化メラミン、イソシアネート、エポキシ樹脂などの架橋剤によって架橋されて、軟化点が160℃以上を示すものであってもよい。
また、上記のインキ中に、光学的に2色の発色を呈するパール顔料の発色を阻害しない範囲で、不変色性の着色剤である、有機顔料、無機顔料、又はアルミニウムパウダー等によって、淡色に着色することにより、光学的に2色に発色するパール顔料の発色濃度を高めることができるとともに、視認性にも優れた光学的に2色の発色する意匠を繊維布又は繊維製品に付与することができる。このようなインキへの着色は、くすんだ淡色の着色ほど、光学的に2色の発色を呈するパール顔料の発色濃度を高め、視認性を向上させることができるが、特に、最も好ましい着色は灰色である。
(ハ)平滑層
本発明の熱転写方法においては、離型紙又は離型フイルム上に形成させた、光学的に2色の発色を呈するパール顔料層上に、平滑層を設けることは、本発明の必須の要件である。
平滑層としては、有機溶剤に溶解した或いはエマルジョンタイプの熱可塑性樹脂が用いられ、具体的には、目的物の洗濯堅牢性を保持するため、有機溶剤に溶解した或いはエマルジョンタイプの、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニルの共重合樹脂、又はスチレンブタジェンラテックスなどを用いるこができる。
本熱転写方法では、転写紙を作成した後、熱プレス機を用いて、140〜160℃で3〜10秒間の熱プレスを行ことにより、熱転写処理が行われる。
本転写工程において、パール顔料層と平滑層が、熱により流動したり、表面変化したりすると、パール顔料の配列を乱し、輝度、光沢が劣化するので、平滑層に用いる熱可塑性樹脂の軟化点は、160℃以上のものを用いることが好ましい。この熱可塑性樹脂の軟化点が160℃未満のものであっても、メチル化メラミン、トリメチル化メラミン、イソシアネート、エポキシ樹脂、オキサゾリン系、エチレンイミン系、カルボジイミド系等の架橋剤により架橋された後に、160℃以上の軟化点を呈するものであれば、使用可能である。
平滑層は、無色透明であってもよいが、光学的に2色の発色を呈するパール顔料の発色を阻害しない範囲で、不変色性顔料である、有機顔料、無機顔料、アルミニウムパウダー、又は白色パール顔料などによって極淡色に着色することも可能である。このように、平滑層を淡色に着色すると、より光学的に2色の発色を呈するパール顔料の発色濃度を高めることができ、パール顔料の発色を高める平滑層の着色は、暗い淡色である程、パール顔料の発色が向上する。
そして、着色された繊維布又は繊維製品上に熱転写する場合、酸化チタンなどの白色顔料を添加して隠蔽性をつけてもよく、まは、白色顔料で隠蔽性を付与した平滑層上に、更に透明な平滑層を設けたところの、多層の平滑層であってもよい。
(ニ)接着層
本接着層は、離型紙又は離型フイルム上に、パール顔料層、次いで平滑層を形成させた積層体を、繊維布又は繊維製品に接着させるためのものである。
接着層としては、特に限定されるものではないが、例えば、溶剤に溶解した或いはエマルジョンタイプの、ウレタン樹脂などに、ホットメルト性を有するポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、又はポリウレタン樹脂などのパウダー状の樹脂を配合したものを用いることができる。
また、溶剤に溶解したポリウレタン樹脂又はポリウレタン樹脂エマルジョンを塗布した後、上記のホットメルト性を有するパウダー樹脂を散布して、接着層としてもよい。
(ホ)転写紙の作成方法
本発明の転写紙は、ベースシートとしての離型紙又は離型フィルム上に、パール顔料層用インキを、100〜200メッシュのスクリーン版を用いて印刷した後、該パール顔料層上に、120〜200メッシュのスクリーン版を用いて平滑層を印刷し、次いで、該平滑層上に、70〜120メッシュのスクリーン版を用いて接着層を形成するか、又は散布によって接着層を形成することにより、作成することができる。
次いで、作成した転写紙に対して、必要により、120〜140℃で3〜5分の熱処理を行ってもよい。
(ヘ)転写方法
上記の方法で作成した転写紙を、繊維布又は繊維製品に、熱プレス機を用いて、140〜160℃で3〜10秒、20〜100KPaの条件で熱プレスし、熱プレス後、離型紙又は離型フィルムを剥離することにより、光学的に異なる2色の発色を呈する繊維又は繊維製品を得ることができる。剥離は、冷却後でも、熱時でもよい。
(3)その他の添加剤
平滑層やパール顔料層等には、パール顔料の色変化を阻害しない範囲において、必要に応じて、香料、防虫剤、忌避剤、抗菌剤、消臭剤、界面活性剤、消泡剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光漂白剤、難燃剤、調湿剤、保湿剤、吸着剤、可塑剤、熱膨張性カプセル剤、又は滑剤等が添加されていてもよい。
(4)繊維布又は繊維製品
繊維布又は繊維製品を構成する繊維としては、例えば、木綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維;レーヨン、アセテート等の再生又は半合成繊維;ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリビニル系等の合成繊維等が挙げられる。
繊維布としては、織物、編物、又は不織布等が挙げられる。
また、繊維製品としては、例えば、Tシャツ、ブラウス、又はスポーツウエア等が挙げられる。
本発明では、光学的に異なる2色の発色を呈する繊維又は繊維製品が得られるが、該発色性が、発色濃度、輝度、光沢等に優れているとともに、視認性にも優れた特性を有している点において、本製品は優れたものである。
また、本パール顔料は、薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされたものであり、該金属酸化物としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等を用いることができるが、その表面コーティングの厚みと金属の種類により、光学的に2色の発色を呈するそれぞれの色相が異なるものになるため、目的に応じて、各種の意匠(模様)を自由に作成できる点で、有利である。
以下、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれ等の実施例のみに限定されるものではない。
なお、以下の記載において「部」とあるのは「重量部」を示すものとする。
(実施例1)
白色Tシャツ(綿天竺)上に、軟化点180℃のアクリル酸エステル樹脂エマルジョン(ニカゾールFX556A:(株)日本カーバイド製)90部、アクリル酸系増粘剤(アルコプリントPTF:チバスペシャルティケミカルズ(株)製)5部、エチレングリコール2.5部、水2部、消泡剤(シリコーンKM71:信越化学工業(株)製)0.5部からなる粘度20,000mPa・sの平滑層用捺染剤(インキ)を、アルファベット「A」柄の100メッシュスクリーン版を用いて繊維表面が平滑になるよう捺染し、常温で乾燥して、該Tシャツ上に、平滑層を形成した。
次いで、得られたTシャツの平滑層上に、軟化点180℃のアクリル酸エステル樹脂エマルジョン70部、光学的に黄緑色と紫色の2色の発色を呈するパール顔料(Xirallic T60−24 WNT Stellar Green:メルク(株))20部、アクリル酸系増粘剤3部、エチレングリコール3部、ターペン2部、水2部からなる光学的に2色の色変化を呈する粘度20,000mPa・sのパール顔料層用捺染剤(インキ)を、アルファベット「A」柄の80メッシュのスクリーン版を用いて、上記の平滑層の捺染部分に重ねて捺染した後、常温で乾燥することにより、Tシャツ上に、平滑層、次いでパール顔料層を順次積層させた、Tシャツを得た。
その後、得られたTシャツに、130℃で3分間の熱処理を施し、洗濯堅牢性に優れた、光学的に2色の発色を呈するTシャツ(綿天竺)を得た。
得られたTシャツ上の「A」の捺染模様は、見る角度によって鮮やかな黄緑色と紫色の2色の色彩を呈するものであり、該発色は、発色濃度、輝度、光沢等に優れているとともに、視認性にも優れた特性を有していた。
(実施例2)
白色綿ブロード上に、軟化点210℃のポリウレタンエマルジョン(ハイドランWLI−602:大日本インキ化学工業(株)製)90部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(10%に水溶したファインガムLV−2:第一工業製薬(株)製)8部、水1.5部、消泡剤0.5部からなる粘度8,000mPa・sの平滑層用コーティング剤(インキ)を、綿ブロード表面が平滑となるように、100g/mの塗布量でナイフコーターを用いて、全面塗工した後、乾燥することにより、該綿ブロード上に、平滑層を形成させた、綿ブロードを得た。
次いで、得られた綿ブロードの平滑層上に、軟化点210℃のポリウレタンエマルジョン70部、光学的に金色と灰色の2色の発色を呈するパール顔料(Xirallic T60−20 WNT Sunbeam Gold:メルク(株))、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース4部、水5.5部、消泡剤0.5部からなる粘度7,000mPa・sの光学的に2色の発色を呈するパール顔料用コーティング剤(インキ)を、ナイフコーターを用いて、150g/m塗布量で全面塗工した後、100℃で5分間の乾燥を行うことにより、綿ブロード上に、平滑層、次いでパール顔料層を順次積層させた綿ブロードを得た。
その後、得られた綿ブロードに、堅牢性を向上させるため、該綿ブロードを150℃で1分間ベーキング処理し、目的とする洗濯堅牢性に優れた、光学的に2色の発色を呈する綿ブロードを得た。
得られた綿ブロードは、見る角度により鮮やかな金色と灰色の2色の色彩を呈するものであり、該綿ブロードを用いて縫製されたブラウスは、金色と灰色の玉虫色を表現するものであり、該発色は、発色濃度、輝度、光沢等に優れているとともに、視認性にも優れた特性を有していた。
(実施例3)
実施例1において、光学的に2色の発色を呈するパール顔料層用捺染剤(インキ)として、実施例1のインキの代わりに、該インキ中に、カーボンブラック分散液(ネオブラックMK:(株)松井色素化学工業所製)0.2部を添加して灰色に着色したパール顔料層用インキを用いた以外は、実施例1と同様に行った。
得られたTシャツ上の「A」の捺染模様は、見る角度によって、鮮やかな緑と紫味の灰色の2色の色彩を呈するものであり、実施例1の黄緑色と紫色の発色に比べ、より視認性に優れた高濃度の2色の発色を呈するものであり、該発色は、発色濃度、輝度、光沢等に優れているとともに、視認性にも優れた特性を有していた。
(実施例4)
実施例2において、平滑層用コーティング剤(インキ)として、実施例2のインキの代わりに、該インキ中に、カーボンブラック分散液(ネオブラックMK:(株)松井色素化学工業所製)0.3部を加え灰色に着色した平滑層用インキを用いた以外は、実施例2と同様に行った。
得られたTシャツ上の「A」の捺染模様は、見る角度によって、鮮やかな金色と灰色の2色の色彩を呈するものであり、実施例2の金色と灰色の発色に比べ、より視認性に優れた高濃度の2色の発色を呈するものであり、該発色は、発色濃度、輝度、光沢等に優れているとともに、視認性にも優れた特性を有していた。
(実施例5)
黒色Tシャツ(綿天竺)上に、軟化点160℃のウレタン樹脂エマルジョン(ハイドランHS−770:大日本インキ化学工業(株)製)50部、ルチル型酸化チタン30部、アクリル酸系増粘剤2部、エチレングリコール2.5部、水2部、消泡剤0.5部、ターペン3部、ヘキサメタリン酸ソーダ1部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(10%に水溶したファインガムLV−2:第一工業製薬(株)製)9部からなる粘度50,000mPa・sの平滑層用捺染剤(インキ)を、アルファベット「B」柄の100メッシュスクリーン版を用いて、黒色Tシャツ(綿天竺)の繊維表面が平滑になり、且つ黒色綿天竺の地色が隠蔽されるように、2度捺染した後、常温で乾燥することにより、Tシャツ(綿天竺)上に、平滑層を形成させた。
次いで、得られたTシャツ(綿天竺)上の平滑層上に、軟化点160℃のウレタン樹脂エマルジョン70部、光学的に紫色と緑色の2色の発色を呈するパール顔料(Colorstream F10−01 Viola Fantasy:メルク(株)製)20部、アクリル酸系増粘剤2部、エチレングリコール2.5部、水2部、消泡剤0.5部、ターペン2.8部からなる粘度50,000mPa・sの光学的に2色の発色を呈するパール顔料層用捺染剤(インキ)を、アルファベット「B」柄の80メッシュのスクリーン版を用いて、平滑層の捺染部分に重ねて捺染した後、常温で乾燥することにより、Tシャツ(綿天竺)上に、平滑層、次いでパール顔料層を順次積層させた、Tシャツ(綿天竺)を得た。
その後、得られたTシャツ(綿天竺)を、130℃で3分間の熱処理を施し、目的とする洗濯堅牢性に優れた光学的に2色の発色を呈するTシャツ(綿天竺)を得た。
得られた黒色Tシャツ上の「B」の捺染模様は、見る角度によって鮮やかな紫色と緑味の灰色に変わる2色の色彩を呈するものであり、該発色は、発色濃度、輝度、光沢等に優れているとともに、視認性にも優れた特性を有していた。
(実施例6)
100μmのポリエステルフィルムの表面がシリコーン樹脂で離型処理された離型フィルム上に、軟化点170℃の溶剤系ウレタン樹脂(クリスボン3454:大日本インキ化学工業(株)製)50部、光学的に青色と金色の2色の発色を呈するパール顔料(Xirallic T60−23 WNT Galaxy Blue:メルク(株)製)25部、シクロヘキサノン20部、酸化ケイ素粉末(レオロシールQS20:徳山ソーダ(株)製)2部、シリコーン系消泡剤(シリコーンTSA−720:東芝シリコーン(株)製)2部、イソホロン1部からなる光学的に2色の発色を呈するパール顔料層用インキをアルファベット「C」柄の150メッシュスクリーン版を用いて印刷した後、乾燥することにより、離型フィルム上に、パール顔料層を形成させた。
次いで、得られた離型フィルム上のパール顔料層上に、上記と同じスクリーン版を用いて、軟化点170℃の溶剤系ウレタン樹脂70部、シクロヘキサノン20部、酸化ケイ素粉末4部、シリコーン系消泡剤2部、イソホロン4部からなる平滑層を重ねて印刷した後、乾燥することにより、離型フィルム上に、パール顔料層、次い平滑層を、順次積層させた。
その後、得られた積層体の平滑層上に、ポリウレタン樹脂エマルジョン(スーパーフレックスE−2000:第一工業製薬(株)製)15部、ポリアミド樹脂よりなるホットメルト接着剤(ダイアミド450P−1:ダイセルヒュルズ(株)製)30部、カルボキシメチルセルロース(ファインガムLV−2:第一工業製薬(株)製)10部、シリコーン系消泡剤(シリコーンKM−71:信越化学工業(株)製)0.5部、水44.5部からなる接着層用インキを、「C」の図柄全体が覆うように「C」の図柄より1mm大きな「C」の50メッシュスクリーン版を用いて印刷し、光学的に2色の色を呈する熱転写紙を得た。
次に、得られた転写紙を、白色Tシャツ上に、接着層がTシャツと接するように当て、熱プレス機を用いて160℃で5秒間、30KPaの条件で熱プレスし、冷却後、離型フィルムを剥離することにより、目的とする光学的に2色の発色を呈する「C」の模様が熱転写された、繊維製品(白色Tシャツ)が得られた。
得られた繊維製品(白色Tシャツ)の「C」の模様は、見る角度により、鮮やかな青色と金色の2色の発色を呈するものであり、該発色は、発色濃度、輝度、光沢等に優れているとともに、視認性にも優れた特性を有していた。
(実施例7)
100μmのポリエステルフィルム表面がシリコーン樹脂で離型処理された離型フィルム上に、軟化点135℃の溶剤系ウレタン樹脂(タイフォースAH−505:大日本インキ化学工業(株)製)50部、イソシアネート架橋剤(コロネートHL:日本ポリウレタン(株)製)2部、光学的に青色と金色の2色の発色を呈するパール顔料(Xirallic T60−23 WNT Galaxy Blue:メルク(株)製)25部、カーボンブラック0.1部、シクロヘキサノン17.9部、酸化ケイ素粉末2部、シリコーン系消泡剤2部、イソホロン1部からなる光学的に2色の発色を呈するパール顔料層用インキ(架橋後、軟化点160℃以上を呈する)を、アルファベット「C」柄の120メッシュスクリーン版を用いて印刷した後、乾燥することにより、離型フィルム上に、パール顔料層を形成させた。
次いで、得られた離型フィルム上のパール顔料層上に、上記と同じスクリーン版を用いて、軟化点135℃の溶剤系ウレタン樹脂40部、イソシアネート架橋剤2部、酸化チタン25部、シクロヘキサノン25部、酸化ケイ素粉末2部、シリコーン系消泡剤2部、イソホロン4部からなる平滑層を、重ねて印刷した後、乾燥することにより、離型フィルム上に、パール顔料層、次いで平滑層を、順次積層させた。
その後、得られた積層体の平滑層上に、ポリウレタン樹脂エマルジョン80部、水10部、非イオン性界面活性剤系増粘剤(エマコールR−620:(株)松井色素化学工業所製)3部、アクリル酸系増粘剤2部、エチレングリコール4.5部、シリコーン系消泡剤0.5部からなる接着層インキを、「C」の図柄全体が覆うように「C」の図柄より1mm大きな「C」の50メッシュスクリーン版を用いて印刷し、接着層インキが乾燥しない間に、該接着層インキ上に、ポリアミド系ホットメルト樹脂(ダイアミド450 P−3:ダイセルヒュルツ(株)製)を散布して乾燥させ、その後、130℃で3分間の熱処理を施し、目的とする光学的に2色の色を呈する熱転写紙を得た。
次に、得られた転写紙を、赤色Tシャツ上に、接着層面がTシャツと接するように当て、熱プレス機を用いて160℃で5秒間、30KPaの条件で熱プレスし、冷却後、離型フィルムを剥離して、目的とする光学的に2色の発色を呈する「C」の模様が熱転写された繊維製品(赤色Tシャツ)が得られた。
得られた繊維製品(赤色Tシャツ)の「C」の模様は、見る角度により、鮮やかな青色と金色に変わる2色の発色を呈するものであり、該発色は、発色濃度、輝度、光沢等に優れているとともに、視認性にも優れた特性を有していた。
(実施例8)
100μmのポリエステルフィルム表面がシリコーン樹脂で離型処理された離型フィルム上に、軟化点135℃の溶剤系ウレタン樹脂50部、イソシアネート架橋剤2部、光学的に青色と金色の2色の発色を呈するパール顔料(Xirallic T60−23 WNT Galaxy Blue:メルク(株)製)25部、シクロヘキサノン18部、酸化ケイ素粉末2部、シリコーン系消泡剤2部、イソホロン1部からなる光学的に2色の発色を呈するパール顔料層用インキ(架橋後、軟化点160℃以上を呈する)を、直径1mmの水玉模様が縦100mmで横100mmのアルファベット「C」柄の中に散りばめられた120メッシュスクリーン版を用いて印刷した後、乾燥することにより、離型フィルム上に、パール顔料層を形成させた。
次いで、得られた積層体のパール顔料層上に、縦100mmで横100mmの「C」柄のスクリーン版を用いて、軟化点135℃の溶剤系ウレタン樹脂40部、イソシアネート架橋剤2部、酸化チタン25部、シクロヘキサノン25部、酸化ケイ素粉末2部、シリコーン系消泡剤2部、イソホロン4部からなる平滑層を、重ねて印刷した後、乾燥することにより、離型フィルム上に、パール顔料層、次いで平滑層を積層させた。
その後、得られた積層体の平滑層上に、ポリウレタン樹脂エマルジョン80部、水10部、非イオン性界面活性剤系増粘剤3部、アクリル酸系増粘剤2部、エチレングリコール4.5部、シリコーン系消泡剤0.5部からなる接着層用インキを、「C」の図柄全体が覆うように「C」の図柄より1mm大きな「C」の50メッシュスクリーン版を用いて印刷し、接着層用インキが乾燥しない間に、該接着層用インキ上に、ポリアミド系ホットメルト樹脂を散布して乾燥させ、その後、130℃で3分間の熱処理を施すことにより、光学的に2色の色を呈する熱転写紙を得た。
次に、得られた転写紙を、赤色Tシャツ上に、接着層面がTシャツと接するように当て、熱プレス機を用いて、160℃で5秒間、30KPaの条件で熱プレスし、冷却後ベースシートを剥離して、目的とする光学的に2色の発色を呈する「C」の白色模様中に光学的に青色と金色に変わる2色の発色を呈する直径1mmの水玉模様が散りばめられた模様が熱転写された繊維製品(赤色Tシャツ)が得られた。
得られた繊維製品(赤色Tシャツ)の「C」の模様中に直径1mmで散りばめられた模様は、見る角度により、鮮やかな青色と金色に変わる2色の発色を呈するものであり、該発色は、発色濃度、輝度、光沢等に優れているとともに、視認性にも優れた特性を有していた。
(実施例9)
実施例7において、パール顔料層用インキと平滑層インキに配合した架橋剤を使用しない以外は、全て実施例7と同様にして行った。
得られた繊維製品(赤色Tシャツ)の「C」の模様は、見る角度によって2色の発色は呈するものの、該発色特性は、実施例7程ではなかった。
(比較例1)
実施例1において、パール顔料として、実施例1のパール顔料に代えて、合成雲母上に、酸化チタンがコーティングされたパール顔料(Iriodin 225 Rutile Blue Pearl:メルク(株)製)を用いた以外は、全て実施例1同様にして行った。
得られたTシャツ上の「A」の模様は、見る角度で薄青色と白色の発色を呈するものであったが、実施例1で用いたパール顔料が有色と有色の2色の色変化するのに対して、比較例1のパール顔料は有色と白色の色変化であり、又その色変化は少なく、極めて視認性に欠けるものであった。
(比較例2)
実施例1において、平滑層を設けないこと以外は、全て実施例1と同様にして行った。
得られたTシャツ上の「A」の模様は、パール顔料の配列がランダムな配列となり、見る角度によっては、2色の発色は呈するものの、実施例1に比べて発色濃度、光沢、輝度が劣り、視認性に劣るものであった。
以上の実施例及び比較例の結果から、本発明では、平滑層を介在させる手段の採用、及び特定のパール顔料(薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートしたもの)の採用に、格別の意義があることが確認された。
本発明では、優れた発色特性、即ち、発色濃度、輝度、光沢等に優れており、また視認性にも優れた特性を有する、光学的に異なる2色の発色を呈する繊維又は繊維製品を得ることができる。


Claims (7)

  1. 繊維布又は繊維製品上に、平滑層、次いで薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされた光学的に2色の発色を呈するパール顔料層が順次積層されたものであることを特徴とする光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。
  2. 離型紙又は離型フイルム上に、薄片状酸化アルミニウム又は薄片状酸化ケイ素上に金属酸化物がコートされた光学的に2色の発色を呈するパール顔料層、平滑層、次いで接着層を順次積層された熱転写紙が、繊維布又は繊維製品に熱転写されたものであることを特徴とする光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。
  3. 金属酸化物が、酸化チタン、酸化スズ、及び酸化ジルコニウムからなる群の1種又は2種以上のものである請求項1又は2記載の光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。
  4. パール顔料層及び/又は平滑層が、パール顔料の色変化を阻害しない範囲で不変色性有機顔料、無機顔料又はアルミニウム顔料からなる群の1種又は2種以上を含有するものである請求項1、2又は3記載の光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。
  5. パール顔料層が、パール顔料を10〜40%含有するものである請求項1、2、3又は4記載の光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。
  6. パール顔料層及び/又は平滑層が、軟化点が160℃以上の熱可塑性樹脂を含有するものである請求項1、2、3、4又は5記載の光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。
  7. パール顔料層及び/又は平滑層が、架橋性樹脂を含有するものである請求項1、2、3、4、5又は6記載の光学的に2色の発色を呈する繊維布又は繊維製品。


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