JP2007159834A - 車両用シートの昇降装置 - Google Patents

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Kenichi Katayama
憲一 片山
Yoshinori Moriguchi
善則 森口
Yoshihiro Sakakibara
義博 榊原
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Abstract

【課題】 構成が簡単で安価に製作でき、手動操作でシート高を容易に調整可能な車両用シートの昇降装置を提供する。
【解決手段】 回転軸50を回転させることにより、該回転軸50に螺合するナット部材32の取り付けられたリンク22R、22L、24R、24Lが前後方向へ回動し、シート10を昇降させる。ここで、ねじ山が、リード角の緩い区間72a、92aとリード角の急な区間72b、92bとが交互に連続するように形成された回転軸50及びナット部材40を用いる。回転軸50の回転に対して、リード角の緩い区間72a、92aで回り止め作用を奏する。回転が生じないため、平均のリード角を大きくすることが可能となり、少ない回転数でシート10を昇降でき、手動操作でも無理なくシート高を調整することが可能となる。ブレーキ機構を別途設けなくともよいので、簡単な構成で廉価に製造することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、シートクッションの下面部に配置されて、シートクッションの座面の高さ、傾き等の調整を行うための車両用シートの昇降装置に関するもので、特に、この調整を手動の操作(マニュアル操作)で行う方式の車両用シートの昇降装置に関するものである。
車両用シートは、乗員の体型および好みに合わせて前後位置あるいは座面の高さ等の調整ができるようになっている。シートクッションの座面の高さや傾き等を調整する車両用シートの昇降装置について、多種多様な装置が提案、実用化されている。
例えば、実公昭63−15062号公報には、シートクッションの下部に略並行なリンク機構を配設し、ねじ部を有する回転軸とそのねじ部に螺合されたナットによって前述のリンク機構を動作させ、シートクッションの高さ位置を略並行に調整する車両用シートの昇降装置が開示されている。
また、特開2002−36922号公報には、スクリューのねじ送り機構とリンク機構を採用したリフタ一装置(昇降装置)が開示されている。つまり、この装置においては、スクリューがリフターモータ(電動モータ)によって回転駆動される、所謂パワー式の昇降装置の構成が示されている。
同様に、特開2002−120610号公報には、減速ギアとドリブンギアおよびブレーキ機構とからなる駆動機構によって、リンク機構を動作させる手動式の昇降装置の構成が開示されている。この装置は、第1クラッチ部と第2クラッチ部とを有するブレーキ機構を備えており、着座シートからの逆入力をロック(阻止)し、操作レバーからの正逆両回転方向の入力トルクは伝達され、着座シートが円滑に昇降調整されるようになっている。
また、複数のリードを持つマルチピッチねじのボルトとナットの構成および組み合わせと、それらを送りねじ機構等に応用するものが、本件発明者らによって先に提案されている(特願2002−346891号)。
実公昭63−15062号公報 特開2002−36922号公報 特開2002−120610号公報
上記実公昭63−15062号公報に記載された、ねじ部を有する回転軸とそのねじ部に螺合されたナットとによってリンク機構を動作させる車両用シートの昇降装置は、構成が簡単で安価に製作でき、かつ、無段階に昇降位置を調整できる利点があるが、実用上では操作性に問題があった。
即ち、当該構成を採用した場合、シートクッションの重量および着座者の体重に関係なく調整された昇降位置を保持するため、リード角の小さいねじ部を有する回転軸とそのねじ部に螺合されたナットを用い、この螺合部の回転力の伝達効率(ねじ効率)の低さを利用してブレーキ作用を働かせる必要があった。このため、この種の装置に置いては、リード角の小さいねじ部を採用することが必須で、シートクッションの高さ位置を僅かに調整するにも、ねじ部を有する回転軸を数多く回転操作することが必要があり、操作性が悪いという欠点があった。
ここで、少ない回転数で昇降できるよう操作性を改善するためにリード角の大きい回転軸を用いると、シートクッションの重量および着座者の体重によって、回転軸が回転してしまい、調整された昇降位置を維持することができない。従って、リード角の大きい回転軸を用いる際には、この回転を阻止するためのブレーキ機構あるいはクラッチ機構を別途設ける必要があった。
特開2002−36922号公報に記載されたリフタ一装置(昇降装置)は、上記実公昭63−15062号公報に記載された装置と同様に、リード角の小さいねじ部を有するスクリューを採用してブレーキ作用を働かせるようになっているものの、スクリューがリフターモータ(電動モータ)によって回転されるようになっており、操作性には問題がなかった。しかしながら、駆動用にリフターモータ(電動モータ)を必要とし、装置がその分高価となるばかりか、重量が増大し、構成が複雑となる不都合があった。
更に、特開2002−120610号公報に記載された装置は、減速ギアとドリブンギアの設定を適宜行うことにより、操作レバーの操作範囲、操作回数と所望の昇降位置の調整量とを違和感なく実現できる利点が有るものの、第1クラッチ部と第2クラッチ部を備えたブレーキ機構が必要であった。このため、このブレーキ機構が複雑で、かつ、高精度部品から構成される関係で、装置の製作が困難なばかりか高価となる欠点があった。
また、部品の精度とその組合せによっては、第1クラッチ部と第2クラッチ部の間に操作遊びを生じやすく、レバー操作時に遊びまたはガタ感を発生する不都合があった。
そこで、本発明の目的は、構成が簡単で安価に製作でき、手動操作でシート高を容易に調整可能な車両用シートの昇降装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、シート10を保持するシートフレーム12と、床側に設けられたシートフレーム支持部材16R、16Lと、前記シートフレーム12に一端が、前記シートフレーム支持部材16R、16Lに他端が支持されると共に前後方向に回動可能な複数のリンク22R、22L、24R、24Lとを備え、
前記複数のリンク22R、22L、24R、24Lの1つに取り付けられたナット40と、
シートの前後方向に配置され、前記シートフレーム12または前記シートフレーム支持部材16R、16Lの何れかの側に回転可能に保持され、前記ナット40と螺合するボルト50とを有し、
前記ボルト50及び前記ナット40のねじ山72、92が、つるまき線に沿って1回転する間にリード角の緩い区間72a、72c、92a、92cとリード角の急な区間72b、72d、92b、92dとが交代して、交互に連続するように形成されており、
前記ボルト50の一端に連結された操作部材34、60の操作によってボルト50が回転作動され、これに伴ってシートフレーム12の上下方向の位置調整がなされるように構成されていることを技術的特徴とする。
請求項1では、ボルト50を回転させることにより、該ボルト50に螺合するナット40の取り付けられたリンク22R、22L、24R、24Lが前後方向へ回動し、シートを昇降させる。ここで、ボルト50として、ねじ山72が、つるまき線に沿って1回転する間にリード角の緩い区間72a、72cとリード角の急な区間72b、72dとが交代して、交互に連続するように形成されたマルチピッチボルトを用いる。また、ナット40として、雌ねじのねじ山92が、つるまき線に沿って1回転する間にリード角の緩い区間92a、92cとリード角の急な区間92b、92dとが交代して、交互に連続するように形成されたマルチピッチナットを用いる。ボルト50全体の実効的リードはリード角の緩い区間72a、72cとリード角の急な区間72b、72dとの平均値となる。そして、搭乗者の体重及びシート重量によって生じるボルト50の回転方向への分力に対しては、リード角の緩い区間72a、72cでのナット40のリード角の緩い区間92a、92cのとの分力が支配的になり、例えば、リード角の緩い区間の角度をゼロ(平坦)にすることで回転方向への分力が生じないようにできる。これで、大きな実効的リードを持ちながら、リード角の緩い区間の低分力(又は分力を生じさせない)により強い回り止め作用を奏する。即ち、該ボルト50、ナット40に対して荷重が加わっても当該リード角の緩い区間72a、72c、92a、92cで回転が防止できる。このため、平均のリード角を大きくすることが可能となり、少ない回転数でシート10を昇降でき、手動操作でも無理なくシート高を調整することが可能となる。ブレーキ機構を別途設けなくとも回転が生じないので、装置を簡単な構成で廉価に製造することができ、軽量化を果たし得る。
また、ボルト50を回転させる際に、リード角の緩い区間72a、72cがナット40のリード角の緩い区間92a、92cを摺動している間はボルト50の回転に伴ってシート高が変化しないこととなる。即ち、シート高が間欠的に変化するので、調整に節度感を与えることができる。
請求項2では、傘歯車機構52、54を介して前後方向に配置されボルト50を回動させることで、操作部材60を軸方向が前後方向に対して垂直になるようにしてシート10の側方に配置する。シート側方に配置された操作部材60を操作することでシート高を調整できるので、シート上の操作者は無理な姿勢を取らず操作することが可能となる。
請求項3では、フレキシブル・ケーブル80を介して前後方向に配置されボルト50を回動させることで、操作部材60を軸方向が前後方向に対して垂直になるようにしてシート10の側方に配置する。シート側方に配置された操作部材60を操作することでシート高を調整できるので、シート上の操作者は無理な姿勢を取らず操作することが可能となる。
請求項4では、操作部材60は中立位置への復帰機能を有し、中央位置への復帰が自動的になされるので、操作部材60の操作が容易である。
請求項5では、リード角の緩い区間とリード角の緩い区間との合計角度の整数倍よりも僅かに大きな角度、操作部材を中立位置から一方又は他方への回動可能終端(操作角度範囲)まで回動させることによりボルト50を回動させるよう設定してある。当該ボルト50は、リード角の急な区間では、回転が生じて、リード角の緩い区間で停止することになる。このため、整数である1倍未満では、リード角の緩い区間から次のリード角の緩い区間までボルト50が回転せず、シートを昇降させることができない。一方、ちょうど整数倍の場合には、組み付け精度によりリード角の緩い区間で停止できない場合が生じる。また、例えば、4.8倍等の四捨五入で繰り上がり5倍となるような倍数を設定すると、シートを上げている際には、ボルト50が逆転して、前のリード角の緩い区間で停止する。即ち、0.8回転分が無駄な労力になると共に、逆転量が多くなって、操作者に不快感与えることになる。このため、整数倍よりも僅かに大きな角度に調整することで、確実に動作させながら大きな逆転を生ぜしめないようにできる。
請求項6では、ナットのねじ山が、つるまき線に沿って1回転する間の一部の区間にしか存在せず、当該ねじ山の欠損区間を有するため、欠損区間部分から工具を出し入れすることができ、ナットの製作が容易である。また、欠損区間部分があるということは、雌ねじのねじ山が一部分しか存在しないと言うことであり、その一部分のにのみ精密なねじ山加工を施せばよいのであるから製作が容易になる。
[第1実施形態]
始めに図8〜図14を参照して、本発明の第1実施形態に係る車両用シートの昇降装置用の回転軸を構成するボルト及び該ボルトに螺合するナットについて説明する。
図8は、第1実施形態のマルチピッチボルト50を示す側面図であり、図9はマルチピッチボルト50の斜視図である。マルチピッチボルト50では、円柱形状の軸部71に、つるまき線に沿ってねじ山72が形成されている。ねじ山72は台形ねじで、そのフランクには部分的にリード角がゼロすなわち平坦な区間72aとリード角が急な区間72bとが交互に連続する。以後、平坦な区間72aを平坦部72aと、急な区間72bを斜部72bと呼ぶこととする。進み側フランクと同様に、追い側フランクにも平坦部72cと斜部72dが存在する。平坦部72aと斜部72bはつるまき線の一回転を16等分し、1/16回転毎に、すなわち、22.5°毎に平坦部72aと斜部72bが交代する。したがって、ねじの平均的なリード角は斜部72bの傾斜の半分ということになる。
図10は、図8及び図9に示したマルチピッチボルト50に螺合するマルチピッチナット40を示す斜視図である。マルチピッチナット40は略円筒状の側面から貫通するねじ穴91が明けられている。ねじ穴91にはねじ溝が彫られ雌ねじのねじ山92が形成されている。
図11は、図10に示したマルチピッチナット40のねじ山92のみを概念的に抽出して示す正面図である。ねじ山92は台形ねじで、そのフランクには部分的にリード角がゼロすなわち平坦な区間92aとリード角が急な区間92bとが交互に連続する。以後、平坦な区間92aを平坦部92aと、急な区間92bを斜部92bと呼ぶこととする。進み側フランクと同様に、追い側フランクにも平坦部92cと斜部92dが存在する。平坦部92aと斜部92bはつるまき線の一回転を16等分し、1/16回転毎に、すなわち、22.5°毎に平坦部92aと斜部92bが交代する。したがって、雌ねじの平均的なリード角は斜部92bの傾斜の半分ということになる。このリードやピッチは図9に示すマルチピッチボルト50のそれと合わせてある。マルチピッチボルト50とマルチピッチナット40の螺合を可能とするため、雌ねじの平坦部92a、92c、斜部92b、92dはマルチピッチボルト50のねじ山72の平坦部72a、72c、斜部72b、72dに対応した形状、寸法になっている。
図12は、図8に示したマルチピッチボルト50に図10に示したマルチピッチナット40を螺合させた状態を示す正面図である。螺合の状態を明確に示すため、マルチピッチナット40は図11に示すねじ山92のみの概念的な抽出物として描いている。図12の(A)〜(E)は、マルチピッチボルト50に対してマルチピッチナット40を相対回転させた場合のねじ山72とねじ山92との関係(接触状態)を示している。この図から明らかなように、ねじ山72とねじ山92とは常に何れかの部分で接触しており、通常のねじと同様に螺合が保たれるようになっている。
図12(A)の状態では、マルチピッチナット40のねじ山92の右側面とマルチピッチボルト50のねじ山72の左側面とが完全に接触し、また、マルチピッチナット40のねじ山92の左側面とマルチピッチボルト50のねじ山72の右側面とが一部で接触している。この状態で、マルチピッチボルト50に矢印F方向の力が作用しても、ねじ山72の左側面とねじ山92の右側面にそれぞれ設けられた平坦部72aと平坦部92aとの組合せにより、マルチピッチナット40を回転させる力は生じない。
また、図12の(A)の状態からマルチピッチナット40を僅かに左回転させると図12の(B)の状態となる。この状態においては、ねじ山72の左右側面とねじ山92の左右側面にそれぞれ設けられた平坦部72aと平坦部92aとの一部が共に接しており、同様にマルチピッチボルト50に矢印F方向の力が作用しても、マルチピッチナット40を回転させる力は生じない。
つまり、図12の(A),(B)に示す状態が、後述する車両用シートの昇降装置におけるセルフロックの動作原理となっている。(なお、図12では図面の簡略化のために、マルチピッチナット40を回転させて説明するが、ナットとボルトとの組合せによる回転と送りは相対的なものであり、後述する車両用シートの昇降装置においてはマルチピッチボルト50を回転させるようになっている。)
更に、図12の(B)の状態からマルチピッチナット40を左回転させると図12の(C)、(D)の状態に順次変化する。図12の(D)の状態においては、ねじ山72の左右側面とねじ山92の左右側面にそれぞれ設けられた斜部72bと斜部92bとが両側で接している。この状態では、斜部72bと斜部92bとの接触による通常のねじと同様に滑り力が発生する。マルチピッチボルト50に矢印F方向の力が作用した場合には通常のねじと同様にマルチピッチナット40に逆方向(この場合は右回転方向)の力が作用する。図12の(D)の状態から、マルチピッチナット40が更に左回転されると、矢印F方向の力に対して安定な図12の(E)の状態、即ち、最初の図12の(A)と同じ状態に変化する。
つまり、図12の(A)、(B)、(E)が矢印F方向の力が作用した場合に安定な状態で、(D)が不安定な状態で、また、(C)がその切り替わり点となっている。
また、マルチピッチナット40は、その回転に伴ってマルチピッチボルト50に対する相対位置が変化し、図12の(A)〜(E)の間に、マルチピッチナット40に図にLにて示す相対移動が生じる。
このため、マルチピッチボルト50とマルチピッチナット40とを組み合わせた送り機構を採用すれば、両部材の相対的に伴って間欠的に相対位置が変化すると共に、移動が生じない位置ではセルフロック機能が働くようになっている。
上記の説明では、図面との関係を見やすくするために、マルチピッチボルト50を固定し、マルチピッチナット40を回転させ、この回転によってマルチピッチボルト50に対するマルチピッチナット40の相対移動、即ち、送り動作を説明したが、マルチピッチボルト50とマルチピッチナット40との関係は相対的なものである。このため、マルチピッチボルト50を回転させ、マルチピッチナット40を固定しても、同様の相対移動、即ち、送り動作が生じる。また、その回転方向を変えても同様の動作、機能が生じる。
[改変例]
以上述べた実施形態では、マルチピッチナット40の雌ねじのねじ山は、図11に示されるようなつるまき線に沿った連続的なものであった。先に図12において動作原理を説明したように、マルチピッチナット40としては平坦部を有することとマルチピッチボルト50のねじ溝に常時接していれば良い。
つまり、マルチピッチナット40のねじ山92として必要なのは平坦部72aだけで、マルチピッチナットのねじ山として平坦部のみ残した不連続なものとしても良い。つまり、雌ねじのねじ山が、つるまき線に沿って1回転する間の一部の区間にしか存在せずねじ山の欠損区間を有するもので良い。さらに、ねじ山としての強度が許せば、つるまき線の一回転を16分割した8個の平坦部のすべてが存在しなくても、そのいくつかが残存していればよいことになる。そして、ねじ山の残存部分は、ねじの軸線を中心とする回転対称の位置にのみあることがマルチピッチナットに掛かる力の均衡の面から望ましい。
図13は、ねじ山の欠損区間を有する改変例に係るマルチピッチナット40を示す斜視図である。図13(A)は斜視図、図13(B)は透視して示す斜視図である。改変例のマルチピッチナット40は四角ナットであり中央にねじ穴91が明けられている。ねじ穴91の中には5つのねじ山突起92が形成されている。このねじ山突起92は図11に示す雌ねじのねじ山の平坦部72a、72cの一部のみを残したような形になっている。ねじ山突起92は図面左側に3個、右側に2個形成され、左右のねじ山突起92はねじの軸線を中心として互いに180°離れた回転対称な位置に形成されている。各ねじ山92の軸方向位置は1ピッチずつずれている。このようなマルチピッチナット40は、ねじ穴91の下穴にリング状の溝を切削し、その後、内周面を適宜の幅で軸線に沿って切削することにより製作することができる。
図14は、マルチピッチボルト50と改変例に係る種々のマルチピッチナットとの螺合の状態を示す正面図である。マルチピッチナットはいずれも雌ねじのねじ山が一部の区間にしか存在せずねじ山の欠損区間を有する。各マルチピッチナットはその全体を図示せず、図10に対する図11のように、断続的なねじ山突起部分のみを抽出して描いている。
図14(D)は、前述した図13に示した改変例のマルチピッチナット40と図8に示したマルチピッチボルト50との螺合を示している。改変例のマルチピッチナット40のねじ山突起92は、その進み側フランクの平坦部92aがマルチピッチボルト50のねじ山72の平坦部72aより長く、図面で下方に延び、マルチピッチボルト50の平坦部72aと斜部72bとを併せた長さとされている。つまり、円周の2/16の長さを有する。そして、ねじ山突起92の厚さも厚くされ、進み側フランクの平坦部92aがねじ山72の平坦部72aに摺接している時に追い側フランクの平坦部92cが一つ位相のずれたねじ山72の平坦部72cに接する厚さとされている。ねじ山突起92はこのような矩形とされている。このため、ねじ山突起92の一方の平坦部92aがマルチピッチボルト50の進み側の平坦部72aにその一部が摺接している回転位置では、ねじ山突起92の他方の平坦部92cの一部がマルチピッチボルト50の追い側の平坦部72cに摺接する。つまり、改変例のマルチピッチナット40が軸方向には停止する回転位置では、面接触で改変例のマルチピッチナット40が案内される。
ねじ山突起92がマルチピッチボルト50のねじ山72の斜部72bにさしかかると、ねじ山突起92の平坦部92a、92cの縁、つまり、稜縁がねじ山72の斜部72b、72dに摺接する。つまり、改変例のマルチピッチナット40が軸方向に送られる回転位置では、ねじ山突起92の稜縁が斜部72b、72dに線接触して改変例のマルチピッチナット40が案内される。したがって、この実施形態では、線接触を含みながらもマルチピッチボルト50のねじ山72のフランクとの間に間隙を作ることなく、つまりガタなく、マルチピッチナット40を送ることができる。これは、図12で説明した第1実施形態に比べて優れた利点である。
図14(E)は、改変例2のマルチピッチナット40とマルチピッチボルト50との螺合の状態を示す正面図である。ここでは、マルチピッチナット40のねじ山突起92がつるまき線に沿って90°毎に9個配置されている。個々のねじ山突起92の形状は前述の改変例のマルチピッチナット40のねじ山突起92と同じである。したがって、作動は前述の図14(D)で述べたものと同じである。ねじ山突起92の平坦部92a、92cがそれぞれねじ山72の平坦部72a、72cに摺接する。この実施形態はねじ山突起92の数が多いのでそれだけマルチピッチナット40の強度、耐久性が向上するという利点がある。
図14(C)は、改変例3のマルチピッチナット40とマルチピッチボルト50との螺合の状態を示す正面図である。ここでは、マルチピッチナット40のねじ山突起92の長さが円周の4/16回転の長さまで伸ばされている。ねじ山突起92は全部で5個ある。各ねじ山突起92は、進み側フランク、追い側フランク共に、3/16回転の長さの平坦部92a、92cと1/16回転の長さの斜部92b、92dを有している。斜部92b、92dは勿論マルチピッチボルト50の斜部72b、72dに対応したリード角のものである。このような形状にすると、ねじ山突起92の一方の平坦部92aがマルチピッチボルト50の進み側の平坦部72aにその一部が摺接している回転位置では、ねじ山突起92の他方の平坦部92cの一部がマルチピッチボルト50の追い側の平坦部72cに摺接する。つまり、改変例3のマルチピッチナット40が軸方向には停止する回転位置では、面接触で改変例3のマルチピッチナット40が案内される。
ねじ山突起92がマルチピッチボルト50のねじ山72の斜部72bにさしかかると、ねじ山突起92の斜部92b、92dがねじ山72の斜部72b、72dに摺接する。つまり、改変例3のマルチピッチナット40が軸方向に送られる回転位置では、ねじ山突起92の斜部92b、92dがマルチピッチボルト50の斜部72b、72dに面接触して改変例3のマルチピッチナット40が案内される。僅かに、平坦部92a、92c、72a、72c同士の接触から斜部92b、92d、72b、72d同士の接触に移行する瞬間に線接触が発生する。図14(C)に示す位置である。したがって、この実施形態では、マルチピッチボルト50のねじ山72のフランクとの間に間隙を作ることなく、つまりガタなく、マルチピッチナット40を送ることができると共に、瞬間的な回転位置を除いてそのほとんどの回転位置でマルチピッチナット40のねじ山突起92とマルチピッチボルト50のねじ山72が面接触するので、機械的強度、耐久性に優れているという利点がある。
図14(B)は、改変例4のマルチピッチナット40とマルチピッチボルト50との螺合の状態を示す正面図である。ここでは、マルチピッチナット40のねじ山突起92の長さが円周の6/16回転の長さまで伸ばされている。ねじ山突起92は全部で5個ある。向こう側の2つのねじ山突起92の端部が一部顔を覗かせている。各ねじ山突起92は、進み側フランク、追い側フランク共に、4/16回転の長さの平坦部92a、92cと2/16回転の長さの斜部92b、92dを有している。斜部92b、92dは勿論マルチピッチボルト50の斜部72b、72dに対応したリード角のものである。このような形状にすると、一つ一つのねじ山突起92の体積が大きくなるので、機械的強度、耐久性に優れているという利点がある。
図14(A)は、第6のマルチピッチナット40とマルチピッチボルト50との螺合の状態を示す正面図である。ここでは、マルチピッチナット40のねじ山突起92が、マルチピッチボルト50のねじ山72との摺接に必要な部分のみ残し、残余の部分を削り取った形状をしている。ねじ山突起92は全部で5個ある。各ねじ山突起92は、進み側フランクでは1/16回転の長さの平坦部92aとそれに1位相だけ進んだ1/16回転の長さの斜部92bを有している。追い側フランクでは進み側フランクの平坦部92aから1位相遅れた1/16回転の長さの平坦部92cと、さらに1位相遅れた1/16回転の長さの斜部92dを有している。したがって、ねじ山突起92は菱形をなしている。斜部92b、92dは勿論マルチピッチボルト50の斜部72b、72dに対応したリード角のものである。このような形状にすると、マルチピッチボルト50のねじ山72がガタなく面接触することのできるねじ山突起92が最小の容積で実現できる。したがって、ねじ山突起92の周辺に大きな空間が取れ、工作がし易いという利点がある。
[車両用シートの昇降装置]
図1〜図3を参照し、図8〜図12を参照して上述したマルチピッチねじを備える回転軸(ボルト)及びナットを用いる本発明の車両用シートの昇降装置を説明する。
図1は車両用シートの斜視図であり、図2はシートレールの平面図であり、図3は、図2中のB−B線の側面図である。図1に示すように車両用のシート10は、シートクッション10Aとシートバック10Bとを備え、シートクッション10Aの両側部はシートフレーム12(図3参照、図1では省略されている)に支持固定されるようになっている。
シートクッション10Aの下部と図示されない車両のフロアーとの間に、公知な左右のシートレール16R、16Lが配設され、図略のレール機構によりシート10の前後位置を調整できるようになっている。図3に示すように左右のシートレール16R、16Lとシートフレーム12との問には、リンク機構20が配設されている。リンク機構20は、図1に示すシート10の前方に配置された左右のリンク片22R、22Lおよびこれらのリンク片22R、22Lの下端部を連結する連結軸26、更には後方に配置された左右のリンク片24R、24Lとから成っている。
連結軸26は、貫通した状態で、リンク片22R、22Lが溶接等で固定されている。連結軸26の両端は左右のシートレール16R、16L側に回転可能に軸支されている。このため、連結軸26と左右のリンク片22R、22Lは一体となって左右のシートレール16R、16Lに対して回動されるようになっている。
更に、リンク片22R、22Lの上端部はシートフレーム12の前方の左右側部に軸支されている。左右のリンク片24R、24Lの下端部は左右のシートレール16R、16Lの後方部分に軸支され、その上端部分はシートフレーム12の後方の左右側部に軸支されている。
シートクッション10Aの前方下部で、シートレール16R側には、調整機構30が配設されている。調整機構30は、後端部側に図8を参照して上述したマルチピッチねじ部50aが設けられた回転軸50と、マルチピッチねじ部50aに螺合する図10を参照して上述したナット40と、操作ダイヤル34とを備えている。
図2に示すように上記リンク片22Rは2枚の板材22a、22bが適宜の間隔をおいて向かい合わせに組み合わされた構成となっており、ナット40はリンク片22Rの中間部分で2枚の板材22a、22bの問に回転可能に取り付けられている。
回転軸50の前端部側は、シートレール16Rの前方に固定された支持ブラケット36の孔36aに挿通されて回転可能に支持されている。支持ブラケット36の孔36aの近傍には、回転軸50を支持するベアリング部材38が配設されている。
なお、回転軸50はその回転操作に伴うリンク機構の動作によって、図3に矢印Dで示す方向に僅かに変位し得るように支持ブラケット36に取り付けられている。
引き続き、昇降装置の装置の動作について説明する。
操作ダイヤル34を操作して回転軸50を何れかの方向に回転させると、この回転に伴ってナット40が回転軸50の軸線方向に移動される。すると、ナット40を板材22a、22bで回転可能に支持するリンク片22Rが回動し、この回動に伴ってリンク機構20を構成する他のリンク片22L、24R、24Lが連動し、シートフレーム12がシートレール16R、16Lに対して略平行移動して、シートフレーム12の昇降位置の調整がなされる。
また、上記のナット40の回転軸50の軸線方向への移動は、マルチピッチねじの働きによって段階的な動きとなり、リード角の急な区間92b、92dで移動し、リード角の緩い区間(本実施例では“0”の部分)92a、92cでは停止し、間欠的あるいは節度感(クリック感)のある調整となる。なお、操作ダイヤル34の操作を解除すると、座席あるいは乗員の重量によって、自動的にねじ部50aとナット40の螺合部安定した位置、つまりマルチピッチねじ部50aとナット40の螺合部がリード角の緩い区間(本実施例では“0”の部分)72a、72c、92a、92cに落ち着き、従来装置で言うブレーキか掛かった状態/昇降位置の保持状態となる。
従って、本発明の車両用シートの昇降装直においては、平均のリード角を大きくしてもそのリード角の緩い区間(実施例では“0”)72a、72c、92a、92cで逆転が防止され、従来装置のようにブレーキ機構を別途採用する必要がないので装置を簡単な構成で安価に製作できる。また、リード角を小さくする必要がないため、モータを用いず手動操作でシート高を容易に調整できる。
[第2実施形態]
図4を参照して本発明の第2実施形態に係る昇降装置について説明する。
図1〜図3を参照して上述した第1実施形態では、4枚のリンク片22R、22L、24R、24Lを用いることで、シート全体の高さを調整した。これに対して、第2実施形態では、2枚のリンク片22R、22Lのみを用い、シートフレーム12の後端側は、シートレール16R、16L側から軸25で軸支することで、シート前端の昇降機構(シートチルト)を構成している。
[第3実施形態]
図5及び図6を参照して本発明の第3実施形態に係る昇降装置について説明する。
図1〜図3を参照して上述した第1実施形態では、回転軸50に操作ダイヤル34が直接取り付けられ、シート10の前方からシート高さを調整した。これに対して、第3実施形態では、回転軸50に、傘歯ギアを2枚介することで、シート10の側方に操作レバー60を配置している。
図5(A)は第3実施形態のシートの斜視図であり、図5(B)はリンク機構の斜視図である。図6(A)は回転軸への駆動力を伝達する駆動機構の組み立て図であり、図6(B)は操作ハンドルの透視図である。
図5(B)に示すように、第3実施形態のリンク機構20では、後方のリンク片24R側にナット40が取り付けられ、操作レバー60を車両進行方向に対して前後に揺動することで、シート10の高さを調整できるようになっている。
図6(A)に示すように、回転軸50の先端は、ワッシャ46、48を介して第1ブラケツト42の通孔42aに支持され、傘歯ギア52が取り付けられる。傘歯ギア52と噛合する傘歯ギア54には、駆動軸56が取り付けられる。駆動軸56には、ギア溝56aが形成さている。駆動軸56は、座金部材58を介して第2ブラケツト59の通孔59aに支持される。第2ブラケツト59には、操作レバー60の回動角度を規制する規制溝59bが形成されている。
操作レバー60は揺動板62を備える。揺動板62は、グリップ61を取り付けるためのクランク片62aと、第2ブラケツト59の規制溝59bに嵌入するL字状の規定片62bとを備える。揺動板62の通孔62cを挿通する駆動軸56のギア溝56aには、反時計回りギア65Aと、時計回りギア65Bとが取り付けられ、ナット69で固定される。反時計回りギア65Aの歯は、時計回り側歯元に緩いRが付けられ、反時計回り側歯元に切り立った立壁形状が付けられている。反対に、時計回りギア65Bの歯は、反時計回り側歯元に緩いRが付けられ、時計回り側歯元に切り立った立壁形状が付けられている。反時計回りギア65Aの歯と当接する位置には係合片66Aが、時計回りギア65Bの歯と当接する位置には係合片66Bが、揺動板62のねじ孔62d、62eにねじ68によって固定されている。図6(B)に示すように、係合片66A、66Bの間には引張スプリング67が取り付けられている。
第3実施形態では、傘歯ギア52、54を介して回転軸50を回動させることで、操作レバー60をシート10の側方に配置する。シート側方に配置された操作レバー60を引き上げ、押し倒すことを繰り返すことでシート高を調整できるので、シートに着座した操作者は前屈姿勢を取らず操作することが可能となる。
操作レバー60は、係合片66A、66B、引張スプリング67及び図示しない1対のコイルスプリングによって、力の加えられない状態で、中央の中立位置に復帰するように構成されている。そして、ラチェット機構を構成する係合片66A、66B、及び反時計回りギア65A、時計回りギア65Bによって、操作レバー60は、反時計方向へ回動されると回転軸50を時計方向へ回動させ、中立位置まで復帰される間は回転軸50を回転させず、中立位置から時計方向へ回動されると回転軸50を反時計方向他方へ回動させ、中立位置まで復帰される間は回転軸50を回転させない。このため、操作レバー60を一方(又は他方)へ揺動させ中立位置まで復帰させることを繰り返すことで、シート高を変えられるので、手動で調整が容易に行える。ここで、第2ブラケツト59の規制溝59bによって、該中立位置から反時計回り(引き上げ方向)へ60度、時計回り(押し下げ方向)へ60度回転できるように構成されている。そして、操作レバー60の該反時計回りへの60度の揺動で、傘歯ギア54、52のギヤ比によって、回転軸50が95度時計回りに回転し、時計回りへの60度の揺動で、回転軸50が95度反時計回りに回転するように設定されている。
回転軸のマルチピッチねじ部50aは、リード角の緩い区間72a、72cのリード角が0度、リード角の急な区間72b、72dのリード角が12度で、平均のリード角が6度に設定されている。一方、該リード角の緩い区間72a、72cが1回転中に8カ所、即ち、軸線に向かって45度毎に形成されている。
操作者が、操作レバー60の半分程度の操作、例えば、中立位置から反時計回りに30度引き上げると、回転軸50が時計方向に47.5度回転する。45度分の回転で、上述したように図12(B)⇒図12(E)⇒図12(D)⇒図12(C)⇒図12(B)の順番で状態が変化し、即ち、各ねじ山72、92の圧力側フランクのうち平坦同士が当接した安定状態(図12(B))から、次の各ねじ山72、92の圧力側フランクのうち平坦同士が当接した安定状態(図12(B))まで変化し、残りの2.5度の回転分さらに回転する。これにより、シート10が上昇する。そして、操作レバー60が中立位置に復帰する。操作レバー60を押し下げることで、同様に動作してシート10位置が下がるように調整できる。
ここで、回転軸50が45度を超えて更に回転することで、図12(E)に示すように各ねじ山72、92の圧力側フランクのうち斜部同士が当接し平坦部は離脱した状態に達すると、フランクの斜部の傾斜が急であるためセルフロックは効かず、ナット40が逆転して図12(B)の状態に戻る。
操作者が、操作レバー60を中立位置から反時計回りに回動可能終端まで60度引き上げると、回転軸50が、時計方向に95度回転し、回転軸の95度中の最初の45度分の回転で各ねじ山72、92の圧力側フランクのうち平坦同士が当接した安定状態(図12(B))から、次の圧力側フランクのうち平坦同士が当接した安定状態(図12(B))を越え、次の45度分の回転で更に2番目の圧力側フランクのうち平坦同士が当接した安定状態(図12(B))まで達し、残りの5度の回転分さらに回転する。これにより、シート10が上昇する。
第3実施形態の構成では、リード角の緩い区間(各ねじ山72、92の圧力側フランクのうち平坦同士が当接する区間)とリード角の緩い区間との間の角度の整数倍よりも僅かに大きな角度、操作レバーを中立位置から一方又は他方への回動可能終端まで回動させることにより回転軸50を回動させるよう設定する必要がある。整数である1倍未満では、リード角の緩い区間から次のリード角の緩い区間まで回転軸50が回転せず、シートを昇降させることができない。一方、ちょうど整数倍の場合には、組み付け精度によりリード角の緩い区間で停止できない場合が生じる。また、例えば、4.8倍等の四捨五入で繰り上がり5倍となるような倍数を設定すると、シートを上げている際には、図12(E)を参照して上述したように各ねじ山72、92の圧力側フランクのうち斜部同士が当接し平坦部は離脱した状態となり、ナット40が逆転して図12(B)の状態に戻り、前のリード角の緩い区間で停止する。即ち、0.8回転分が無駄な労力になると共に、逆転量が多くなって、操作者に不快感与えることになる。このため、整数倍よりも僅かに大きな角度に調整することで、確実に動作させながら大きな逆転を生ぜしめないようにできる。
[第4実施形態]
図7を参照して本発明の第4実施形態に係る昇降装置について説明する。
図5、図6を参照して上述した第3実施形態では、回転軸50に、傘歯ギア52、54を介することで、シート10の側方に操作ハンドルを配置した。第4実施形態では、傘歯ギアの代わりに、フレキシブルケーブルを用いている。
図7(A)は第4実施形態でのリンク機構の斜視図であり、図7(B)は回転軸への駆動力を伝達する駆動機構の組み立て図である。第1ブラケツト42に、ワッシャ48、座金82を介してフレキシブルケーブル80の端部80aが固定される。フレキシブルケーブル80内の軸芯80cが回転軸50に形成された嵌合孔50hに挿通される。同様に、第2ブラケツト59に、座金84を介してフレキシブルケーブル80の他端部80bが固定される。フレキシブルケーブル80内の軸芯80cが駆動軸軸56に形成された嵌合孔56hに挿通される。
第4実施形態でのシート昇降動作は、第3実施形態と同様である。第4実施形態では、フレキシブルケーブルを用いるため、操作レバー60の配置の自由度が高い利点がある。一方、第3実施形態では、傘歯ギア52、54を用いるため、剛性感を操作者に与える利点がある。
なお、第3、第4実施形態の構成を、第2実施形態のチルト機構に応用するこもと可能であり、また、第2実施形態では、シート前端のチルトに本発明の構成を適用したが、シート後端のチルトに応用することも、また、前端、後端にそれぞれ独立したチルト機構を配置することも可能である。更に、第1〜第4実施形態では、図10を参照したナットを用いたが、図13、図14を参照して上述した改変例のナットを用いることも可能である。更に、上述した実施形態では、シートレール側にボルトを配置したが、この代わりにシートフレーム側にボルトを配置することも可能である。
本発明の第1実施形態に係る車両のシートの斜視図である。 シートレールの平面図である。 図2中のB−B線の側面図である。 第2実施形態のシートレールの側面図である。 図5(A)は第3実施形態のシートの斜視図であり、図5(B)はリンク機構の斜視図である。 図6(A)は第3実施形態での回転軸への駆動力を伝達する駆動機構の組み立て図であり、図6(B)は操作ハンドルの透視図である。 図7(A)は第4実施形態でのリンク機構の斜視図であり、図7(B)は回転軸への駆動力を伝達する駆動機構の組み立て図である。 第1実施形態のマルチピッチボルトを示す側面図である。 第1実施形態のマルチピッチボルトを示す斜視図である。 図1に示したマルチピッチボルトに螺合するマルチピッチナットを示す斜視図である。 図10に示したマルチピッチナットのねじ山のみを概念的に抽出して示す正面図である。 図1に示したマルチピッチねじに図10に示したマルチピッチナットを螺合させた状態を示す正面図である。 改変例のマルチピッチナットを示す斜視図である。 マルチピッチボルトと改変例のマルチピッチナットとの螺合の状態を示す正面図である。
符号の説明
10 シート
12 クッションフレーム
14 昇降装置
16R、16L シートレール
20 リンク機構
22R、22L リンク片
24R、24L リンク片
26 連結軸
30 調整機構
34 操作ハンドル
40 ナット
50 回転軸
50a マルチピッチねじ部
52 傘歯ギア
54 傘歯ギア
72 ねじ山
72a、72c リード角の緩い区間
72b、72d リード角の急な区間
80 フレキシブルケーブル
92 雌ねじ山
92a、92c リード角の緩い区間
92b、92d リード角の急な区間

Claims (6)

  1. シートを保持するシートフレームと、床側に設けられたシートフレーム支持部材と、前記シートフレームに一端が、前記シートフレーム支持部材に他端が支持されると共に前後方向に回動可能な複数のリンクとを備え、
    前記複数のリンクの1つに取り付けられたナットと、
    シートの前後方向に配置され、前記シートフレームまたは前記シートフレーム支持部材の何れかの側に回転可能に保持され、前記ナットと螺合するボルトとを有し、
    前記ボルト及び前記ナットのねじ山が、つるまき線に沿って1回転する間にリード角の緩い区間とリード角の急な区間とが交代して、交互に連続するように形成されており、
    前記ボルトの一端に連結された操作部材の操作によってボルトが回転作動され、これに伴ってシートフレームの上下方向の位置調整がなされるように構成されていることを特徴とする車両用シートの昇降装置。
  2. 前記ボルトがシートの前後方向に配置され、ボルトを回転させる操作部材がシートの側方に配置され、ボルトと操作部材とが傘歯車機構を介して互いにその軸線が略垂直な関係で連結されており、シートの側方に配置された操作部材によってボルトが回動操作されるように構成されたことを特徴とする請求項1の車両用シートの昇降装置。
  3. 前記ボルトがシートの前後方向に配置され、ボルトを回転させる操作部材がシートの側方に配置され、ボルトと操作部材とがフレキシブル・ケーブルを介して互いにその軸線が略垂直な関係で連結されており、シートの側方に配置された操作部材によってボルトが回動操作されるように構成されたことを特徴とする請求項1の車両用シートの昇降装置。
  4. 前記操作部材が、前記中立位置への復帰機能を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1の車両用シートの昇降装置。
  5. 前記操作部材は、前記ボルトのリード角の緩い区間とリード角の緩い区間との合計角度の整数倍よりも僅かに大きな操作角度範囲を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1の車両用シートの昇降装置。
  6. 前記ナットのねじ山が、つるまき線に沿って1回転する間の一部の区間にしか存在せず、当該ねじ山の欠損区間を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1に記載の車両用シートの昇降装置。
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