JP2007152238A - 中空糸膜モジュールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂微粉末と溶媒からなる見掛け粘度が10〜100mPa・sである微粉末ペーストを中空糸膜のポッティング部に塗布または充填し、次いでポッティング部を熱可塑性樹脂微粉末の融点以上の温度であって且つ中空糸膜の融点よりも低い温度で加熱し溶媒を除去する中空糸膜モジュールの製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明における熱可塑性樹脂微粉末としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂やフッ化エチレンプロピレン(FEP)、エチレン四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素系樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂微粉末と混合する溶媒としては、例えばエチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
熱可塑性樹脂微粉末と溶媒からなる微粉末ペーストは、溶媒中に樹脂微粉末が分散している状態であり、微粉末ペースト中の熱可塑性樹脂微粉末の割合は30〜95質量%であることが好ましい。
本発明の中空糸膜としては、製膜の安定性、耐薬品性、一般的な分離性能や処理性能等の点から、熱可塑性樹脂製のものを使用するのが好ましい。中空糸膜モジュールを得るための加工時に要求される中空糸膜の柔軟性、強度、素材の耐薬品性、低コスト性等の点から、特にポリオレフィン系樹脂による中空糸膜が好ましく、中でもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等の中空糸膜が好適である。又、中空糸膜の形態は、1本のモノフィラメントであっても、複数本の中空糸膜をカセ状に束ねたものであっても、編織物であってもよい。なお、中空糸膜は、通常のろ過に用いるような多孔質膜であっても、あるいはガス分離等に用いる非多孔質膜であってもよい。例えば、多孔質膜としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体を疎水性の膜表面に被覆させ親水化した多孔質中空糸膜が挙げられる。又、膜の構造は、均一な内部構造を有する膜であっても、或いは多孔質層と非多孔質層との両方を具備する複合膜であってもよい。
ポッティング部とは、中空糸膜をモジュールケース又は集水管(又は集気管)に接着、固定し、被ろ過物質を一次側と二次側に液密又は気密に封止する部分のことをいう。ポッティング部は、中空糸膜の片端でも或いは両端でもよい。
中空糸膜のポッティング部に微粉末ペーストを塗布又は充填するとは、中空糸膜の片端又は両端にポッティング剤である微粉末ペーストを塗りつけたり、モジュールケースにポッティング剤をつめて塞ぐことをいう。
ポッティング部を加熱する温度は、熱可塑性樹脂微粉末の融点以上の温度であって且つ該中空糸膜の融点よりも低い温度である。この加熱によって、微粉末ペースト中の溶媒を蒸発させ、熱可塑性樹脂微粉末を溶融させ、中空糸膜間及び中空糸膜とケースを接着、固定させた中空糸膜モジュールを製造することができる。
本発明で使用する熱可塑性樹脂微粉末の最大粒径は、ポッティングされる中空糸膜の外径(直径)をZとした場合、数式(1)より得られる数値Yの0.5倍から1.5倍の範囲であり、且つ、熱可塑性樹脂微粉末の体積平均粒径は最大粒径の1/3から2/3の範囲であることが好ましい。
熱可塑性樹脂微粉末の最大粒径とは、微粉末の粒度分布データから得られる最も大きい微粉末の粒径であり、体積平均粒径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される粒度分布データから得られる体積平均粒径のことである。
本発明に使用する中空糸膜は、複数の中空糸膜フィラメントからなる中空糸膜編織物であって、中空糸膜編織物ポッティング部の厚さ方向における中空糸膜積層本数が10以下であることが好ましい。
中空糸膜を編織物の形状で使用する場合、通常、その複数本が積層されるが、積層本数は10以下であることが好ましい。積層本数が10以下であれば、微粉末ペーストは中空糸膜編織物の下層部まで浸透し、ポッティング部における「す」の発生を抑制することができる。
更に、本発明は、中空糸膜のポッティング部に微粉末ペーストを塗布又は充填する際に、隣接する中空糸膜間距離を熱可塑性樹脂微粉末の最大粒径以上に変動させながら塗布又は充填することが好ましい。
この参考例は、熱可塑性樹脂微粉末としてポリエチレン、溶媒としてエチルアルコールを使用した場合の、総表面積係数、熱可塑性樹脂微粉末と溶媒の混合比、及び見掛け粘度の関係を求めたものである。
[実施例1]
中空糸膜束としては、内径270μm、外径380μmの疎水性多孔質中空糸膜(三菱レイヨン(株)製中空糸膜 商品名EHF270FA)を16本合糸したものを、図8に示すように、かがり糸7を用い100mmの巾で200回折り返し編み込んだ100ループの中空糸膜編織物を用いた。中空糸膜編織物の100ループ分の長さ(図8の左右方向の長さ)は40cmであった。この中空糸膜編織物を図4に示す編織物台の上に載せた。編織物台の長さ(図4の左右方向の長さ)は50cm、各編織物台の幅は30mmであった。熱可塑性樹脂微粉末としてはポリエチレン微粉末Eを用いた。その体積平均粒径は32.1μm、最大粒径80μmであり、体積平均粒径は最大粒径の0.40倍であった。又、Z=380μm、Y=58.8であるので、最大粒径は数値Yの0.73倍であった。
中空糸膜編織物台にのせた中空糸膜編織物に微粉末ペーストを塗布するまでは実施例1と同様にした。次いで、中空糸膜編物台ごと秤の上に乗せ、エチルアルコールの蒸発による重量減少量が10gになった時点で中空糸膜編織物を、図4の右から左方向に巻き取り、内径32mm、外径35mm及び高さ150mmのポリエチレン製の円筒に挿入し、円筒の外部から微粉末ペースト塗布部分を120℃で2時間加熱し、微粉末を溶融して溶媒を除去した後冷却して円筒状の中空糸膜モジュールを得た。中空糸膜モジュールのポッティング部をカットして端面を観察したところ、中空糸膜間は完全に封止されていた。また、中空糸膜ポッティング部の断面積中に占める中空糸膜断面積は45%であった。
微粉末ペースト塗布後すぐに中空糸膜編織物を巻き取った以外は実施例2と同様にして、円筒状の中空糸膜モジュールを得た。編織物を巻き取る際に、微粉末ペーストが編織物から流れ出した。中空糸膜モジュールのポッティング部をカットして端面を観察したところ、中空糸膜間には空洞が発生していた。
実施例1と同様にして調製した微粉末ペーストに対して、ビスコテスターで粘度測定を行いながらエチルアルコールを追加し、微粉末ペーストの見掛け粘度を5mPa・s(温度25℃)に調整した。微粉末ペーストの見掛け粘度を5mPa・sに調製した以外は実施例1と同様にして中空糸膜モジュールを得た。中空糸膜束のポッティング部をカットし断面を観察したところ、中空糸膜間には空洞が発生していた。
実施例1と同様にして調製した微粉末ペーストに対して、ビスコテスターで粘度測定を行いながら微粉末Eを追加し、微粉末ペーストの見掛け粘度を120mPa・s(温度25℃)に調節した。それ以外は実施例1と同様にして中空糸膜モジュールを得た。中空糸膜束のポッティング部をカットし断面を観察したところ、中空糸膜間には空洞が発生していた。
最大粒径100μm、体積平均粒径は23.1μm、総表面積係数5.567のポリエチレン樹脂微粉末F(表3及び表4)を用いて、見掛け粘度40mPa・sの微粉末ペーストを作った。ペースト混合比は図2から2.35にした。微粉末Fを用いた以外は実施例1と同様にして中空糸膜モジュールを得た。中空糸膜束のポッティング部をカットし断面を観察したところ、中空糸膜間は完全に封止されていた。また、中空糸膜ポッティング部の断面積中に占める中空糸膜断面積は48%で実施例1と同等であったが、微粉末ペースト塗布後の厚みは実施例1のときより20%厚くなっていた。
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂微粉末と溶媒からなる見掛け粘度が10〜100mPa・sである微粉末ペーストを中空糸膜のポッティング部に塗布または充填し、次いでポッティング部を熱可塑性樹脂微粉末の融点以上の温度であって且つ中空糸膜の融点よりも低い温度で加熱し溶媒を除去する中空糸膜モジュールの製造方法。
- 請求項1において、熱可塑性樹脂微粉末の最大粒径が下数式(1)で得られる数値Yの0.5倍から1.5倍の範囲であり、且つ、熱可塑性樹脂微粉末の体積平均粒径が最大粒径の1/3〜2/3の範囲である中空糸膜モジュールの製造方法。
Y=(2√3―3)Z/3 ・・・・・・・・・(1)
但し、Zは中空糸膜の外径である。 - 中空糸膜が、複数の中空糸膜フィラメントからなる中空糸膜編織物であって、中空糸膜編織物ポッティング部の厚さ方向における中空糸膜積層本数が10以下である請求項1または2に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 中空糸膜のポッティング部に微粉末ペーストを塗布又は充填する際に、中空糸膜間距離を熱可塑性樹脂微粉末の最大粒径以上に変動させながら塗布又は充填する請求項1、2または3に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
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