JP2007150003A - 絶縁形信号伝送回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フォトカプラにより信号を絶縁して伝送する絶縁形信号伝送回路において、フォトカプラ2の発光ダイオードD1に直列に接続された負帰還形の定電流回路1とスイッチング素子Qとを備え、定電流回路1は、スイッチング素子Qのオフ時に飽和状態となり、かつ、スイッチング素子Qのオン時に定電流を流す定電流制御素子としてのトランジスタTr1を有し、伝送するべきPWM信号によりスイッチング素子Qがオンした際に発光ダイオードD1に過渡電流を通流させ、その後に前記過渡電流よりも振幅の小さいほぼ一定の定常電流を通流させる。
【選択図】図1
Description
ここで、電源10は、架線からの給電電圧または直列接続されたバッテリにより構成されている。昇降圧コンバータ20は、車両駆動時には、電源回路の電圧(例:280〔V〕)を三相の電動機40の駆動に適した電圧(例:750〔V〕)に昇圧し、車両の制動時には、発電機となる電動機40から生じる電圧(例:750〔V〕)を電源回路の電圧(例:280〔V〕)に降圧して電力の回生動作を行う。
また、車両の制動時には、各相に生じる交流電圧に同期させてスイッチング素子をオン・オフすることにより、いわゆる整流動作を行い、交流電圧を直流電圧に変換して電源回路に回生している。
このコンバータ20は、大別してリアクトル21、コンデンサ22、スイッチング部23,24、及び、スイッチング部23,24をそれぞれ制御する制御回路25,26から構成されている。ここで、最近の車両機器の駆動系のスイッチング部23,24は、図示するようにIGBT231,241と、これらにそれぞれ逆並列接続されたダイオード232,242とからなっている。
A.昇圧動作
(1)IGBT231がオン(導通)すると、リアクトル21(インダクタンス値をLとする)に電流Iが流れ、LI2/2のエネルギーが蓄積される。
(2)IGBT231がオフ(非導通)すると、スイッチング部24のダイオード242に電流が流れ、リアクトル21に蓄えられたエネルギーがコンデンサ22に送られる。
(1)IGBT241がオンすると、リアクトル21に電流Iが流れ、LI2/2のエネルギーが蓄積される。
(2)IGBT241がオフすると、スイッチング部23のダイオード232に電流が流れ、リアクトル21に蓄えられたエネルギーが電源10へ回生される。
[数式1]
オンデューティ〔%〕=VL/VH
VL:電源電圧
VH:昇圧後の電圧
図8は、昇降圧コンバータ用のIPM(Intelligent Power Module)のブロック図であり、大別すると上アームスイッチングユニット240、下アームスイッチングユニット230、及び制御回路250から構成されている。
上アームスイッチングユニット240、下アームスイッチングユニット230、及び制御回路250は互いに電気的に絶縁する必要があるので、フォトカプラ(またはパルストランス等)251〜253を用いて信号を授受するように構成されている。
図9は、例えば前述のフォトカプラ251,252の後段に設けられるIGBT駆動用IC(図8におけるIGBT保護回路2303及びゲート駆動回路2304、または、IGBT保護回路2403及びゲート駆動回路2404)の構成を示すものであり、261は温度信号比較器、262は電流信号比較器、263は論理回路、264,265はMOSFET、266は二値化回路、267は論理回路、268はIGBTの駆動回路である。
・入力端子(フォトカプラから出力されるPWM信号の入力端子)への電流吐き出し、吸い込み機能(IGBT駆動用ICの耐ノイズ性の向上機能)
・フォトカプラ251,252から出力されるPWM信号の二値化機能
・IGBTのゲートドライブ機能
・IGBTの過電流、過温保護機能
一方、図12は、フォトカプラの電流変換効率の寿命劣化特性を示すものであり、電流Ifが増加するほど、電流変換効率(CTR:Ic/If)は短時間で低下する傾向がある。
この従来技術では、発光ダイオードの駆動電流波形の振幅を通流当初は大きくし、その後に小さくする階段状の波形とすることにより、発光ダイオードの光出力波形が高速でオーバーシュートのない立ち上がり特性を有するようにしたものである。
特許文献1に記載された従来技術は、発光ダイオードの駆動電流波形を段階的に変化させるものであるが、発光ダイオードの駆動回路として複数の微分回路が必要であるため回路構成が複雑になると共に、フォトカプラの電流変換効率や伝送精度の向上を図るための手段については何ら言及されていない。
フォトカプラの発光ダイオードに直列に接続された負帰還形の定電流回路とスイッチング素子とを備え、
前記定電流回路は、
前記スイッチング素子のオフ時に飽和状態となり、かつ、前記スイッチング素子のオン時に定電流を通流させる定電流制御素子を有し、
伝送するべき信号により前記スイッチング素子がオンした際に、前記定電流制御素子を介して前記発光ダイオードに過渡電流を通流させ、その後に、前記過渡電流よりも振幅の小さいほぼ一定の定常電流を前記定電流制御素子を介して前記発光ダイオードに通流させるものである。
前記定電流回路は定電圧素子を備え、前記定電流制御素子は、前記スイッチング素子のオフ時に前記定電圧素子により順バイアスされて飽和状態となるトランジスタであることを特徴とする。
前記定電流回路はオペアンプを備え、前記定電流制御素子は、前記スイッチング素子のオフ時に前記オペアンプにより順バイアスされて飽和状態となるトランジスタであることを特徴とする。
前記定電圧素子が、ツェナーダイオードまたはシャントレギュレータであることを特徴とする。
前記スイッチング素子がFETまたはトランジスタであることを特徴とする。
また、負帰還形の定電流回路はトランジスタやツェナーダイオード、抵抗等によって容易に実現可能であり、回路構成も簡単で安価にて提供できるという効果がある。
図1は、本発明の第1実施形態部を示す回路図である。この信号伝送回路はPWM信号をフォトカプラにより絶縁して、IPMの上下アームのIGBTのゲートに伝送するためのものであり、負帰還形の定電流回路1、フォトカプラ2、パルス発生器3、スイッチング素子Q、及び抵抗Rg,Rd,RLから構成されている。
また、前記トランジスタTr1のコレクタとグラウンドとの間には、フォトカプラ2の発光ダイオードD1、抵抗Rd、及び、nチャンネルMOSFET等のスイッチング素子Qが直列に接続されている。
スイッチング素子Qのゲートには、抵抗Rgを介してパルス発生器3からのPWM信号が入力されている。更に、フォトカプラ2内のフォトトランジスタTr2のコレクタは、負荷抵抗RLを介して電源(+Vcc2)に接続されている。
なお、以下では、抵抗Rg,Rd,RL,Rc,Rzの抵抗値を、各々の記号と同様にRg,Rd,RL,Rc,Rz〔Ω〕として説明する。
いま、定常動作時(発光ダイオードD1を流れる電流Ifが定常状態)には、トランジスタTr1に直列接続された抵抗Rcの電圧降下がVz−Vbeとなるように、つまり、トランジスタTr1のエミッタ電位がVcc1−Vz+Vbeとなるように負帰還動作することにより、電流Ifは下記の数式2によって表される。
[数式2]
If=(Vz−Vbe )/Rc
このとき、スイッチング素子Qは単にオン・オフのスイッチング動作を行い、入力信号であるパルス発生器3からのPWM信号に応じて電流Ifを断続的に流す役割を果たしている。
まず、スイッチング素子Qがオフの状態、すなわち電流Ifが零の時には、トランジスタTr1のエミッタ電位はVcc1、ベース電位はVcc1−Vzである。このため、トランジスタTr1のベース−エミッタ間の接合には順バイアスが印加されており、トランジスタTr1はいわゆる飽和状態(Vce≒0.3〔V〕)となっている。
この状態でスイッチング素子Qがオンすると、トランジスタTr1は電流制御動作を行わないため、発光ダイオードD1には、おおむねVcc1/(Rc+Rd)の大きさの電流Ifが流れる。なお、過渡状態における電流Ifの正確な値は、数式3のようになる。
[数式3]
If=(Vcc1−Vce−Vf)/(Rc+Rd+Ron)
Vce:トランジスタTr1のエミッタ−コレクタ間飽和電圧(≒0.3〔V〕)
Ron:スイッチング素子Qのオン抵抗
Vf:発光ダイオードD1の順方向電圧
図1の回路における電流Ifの過渡状態の観測波形を図2に示す。図2の左右各図における上段の波形はパルス発生器3から出力されるPWM信号波形、下段の波形は電流Ifの波形である。図2から明らかなように、スイッチング素子Qがオンしてから約1.6〔μs〕の期間は過渡電流として約20〔mA〕が流れ、その後、これより小さい約14.8〔mA〕の定電流がPWM信号に同期して流れている。
上記の過渡電流の振幅は、図1における抵抗Rdの値により調整することが可能である。図3は、抵抗Rdの値を小さくして過渡電流値を増加させた例であり、この例では、過渡電流を瞬間的に約46〔mA〕まで流している。
従って、IGBT駆動用ICの耐ノイズ性を向上させるために電流Ifを定常的に大きくする必要がなく、フォトカプラの電流変換効率の経時的な低下やPWM信号の伝送ミスを防止することができる。
なお、この実施形態では定電流回路1内の定電圧素子としてツェナーダイオードZDを用いているが、シャントレギュレータを用いても良い。また、トランジスタTr1の代わりにFETを用いても良い。
この実施形態では、発光ダイオードD1のアノード側にpチャンネルMOSFET等のスイッチング素子Qが接続され、カソード側にnpn形トランジスタTr1’、演算増幅器OP、抵抗Rb,Riからなる負帰還形の定電流回路1Aが接続されている点が第1実施形態と相違しており、他の構成は同様である。
また、スイッチング素子Qがオフ状態からオンになる過渡時において、スイッチング素子Qがオフの時には電流Ifが流れないため、トランジスタTr1’のベース−エミッタ間には演算増幅器OPにより順方向のバイアス電圧が印加され、トランジスタTr1’は飽和状態となっている。この状態でスイッチング素子Qがオンすると、前記同様の原理によっておおむねVcc1/(Rd+Ri)の大きさの過渡電流Ifが流れる。この電流は定常時よりも大きい値であり、抵抗Ri及び演算増幅器OPによる負帰還動作によってトランジスタTr1’を流れる電流が減少し、その後、定常値で安定するものである。
2:フォトカプラ
3:パルス発生器
Tr1,Tr1’:トランジスタ
Tr2:フォトトランジスタ
D1:発光ダイオード(LED)
Q:スイッチング素子
ZD:ツェナーダイオード
Rc,Rz,Rd,Rg,Ri,RL:抵抗
Claims (5)
- フォトカプラにより信号を絶縁して伝送する絶縁形信号伝送回路において、
フォトカプラの発光ダイオードに直列に接続された負帰還形の定電流回路とスイッチング素子とを備え、
前記定電流回路は、
前記スイッチング素子のオフ時に飽和状態となり、かつ、前記スイッチング素子のオン時に定電流を通流させる定電流制御素子を有し、
伝送するべき信号により前記スイッチング素子がオンした際に、前記定電流制御素子を介して前記発光ダイオードに過渡電流を通流させ、その後に、前記過渡電流よりも振幅の小さいほぼ一定の定常電流を前記定電流制御素子を介して前記発光ダイオードに通流させることを特徴とする絶縁形信号伝送回路。 - 請求項1に記載した絶縁形信号伝送回路において、
前記定電流回路は定電圧素子を備え、
前記定電流制御素子は、前記スイッチング素子のオフ時に前記定電圧素子により順バイアスされて飽和状態となるトランジスタであることを特徴とする絶縁形信号伝送回路。 - 請求項1に記載した絶縁形信号伝送回路において、
前記定電流回路はオペアンプを備え、
前記定電流制御素子は、前記スイッチング素子のオフ時に前記オペアンプにより順バイアスされて飽和状態となるトランジスタであることを特徴とする絶縁形信号伝送回路。 - 請求項2に記載した絶縁形信号伝送回路において、
前記定電圧素子が、ツェナーダイオードまたはシャントレギュレータであることを特徴とする絶縁形信号伝送回路。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載した絶縁形信号伝送回路において、
前記スイッチング素子がFETまたはトランジスタであることを特徴とする絶縁形信号伝送回路。
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