JP2007144204A - 生体磁場計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】胎児心磁図のT波の確認を容易にする生体磁場計測装置を提供する。
【解決手段】心臓から発生する磁場の法線成分を複数チャネルについて繰返し検出し,各チャネルの磁場波形データについて,R波に同期させて磁場波形の加算平均処理を行ない平均磁場波形データを求め,各チャネルの平均磁場波形データのベースラインを合わせた後,平均磁場波形データの基準時点から予め定められた時間経過後の時点での,疑似電流を各チャネルについて求め,(x,y)座標にベクトル表示し疑似電流の大きさの等高線を(x,y)座標に重ねた電流アローマップを求め,R波のピークの時刻,T波が出現する時間領域内の時刻を予め定められた時間経過後の2時点として選んで,各チャネルの疑似電流をベクトル加算して得られる合成電流ベクトルの位相角の差を求め,検査対象毎に,電流アローマップ,位相角の差を表示する。
【効果】QT時間等の計測が容易になる。
【選択図】図8

Description

本発明は,成人,小児,胎児等の心臓や脳等から発生する微弱な磁場を計測するSQUID( Superconducting Quantum Interference Device:超伝導量子干渉素子)磁束計を用いた生体磁場計測装置に関し,特に,胎児心磁図からT波を同定し,胎児の心臓疾患解析を行なう生体磁場計測装置に関する。
従来,胎児の心臓から発生する磁場信号(以下,「胎児心磁図」と呼ぶ)の検出は,SQUID磁束計を用いて検出されている。胎児心磁図は,胎児の胎脂や羊水の影響が少ない上に,母体の心臓から発生する磁場(心磁図)の影響も比較的小さいという理由から,胎児の心臓の電気活動をモニタする方法として多くの研究が行なわれてきている(従来技術−1: Medical & Biological Engineering & Computing,Vol.37,pp.545-548,1999)。
最近では,胎児のQT延長症候群(Q波の出現からT波の消失までの時間が,健常例に比較して長くなる症例)と胎児突然死との関係が密接であることが指摘されてきており,QT延長症候群の胎児期での診断が重要になってきている。そのため胎児心磁図を用いて,QT延長症候群の計測も行なわれてきている(従来技術−2:Prenatal Diagnosis,Vol.19,pp.677-680,1999)。
Medical & Biological Engineering & Computing,Vol.37,pp.545-548,1999 Prenatal Diagnosis,Vol.19,pp.677-680,1999
胎児の心臓から発生する磁場信号(胎児心磁図)は非常に微弱な信号であるため,胎児心磁図の波形の中で最も振幅の小さいT波を波形解析するだけでは不充分であり,胎児心磁図からT波を同定し,胎児の心臓疾患解析を行なうには,波形解析以外の新しい解析方法が望まれていた。
本発明の目的は,検出された胎児心磁図の波形がT波であることを確認するための解析手法を提供し,胎児心磁図のT波を正確に検出し,QT時間等の計測を容易にし,QT延長症候群等の出生予後にかかわる疾患の早期診断を行なうための正確な情報を得ることができる生体磁場計測装置を提供することにある。
本発明の生体磁場計測装置は,検査対象(胎児)の心臓から発生する磁場の法線成分(Bz)を検出する複数のSQUID磁束計と,SQUID磁束計の駆動回路と,駆動回路の出力信号を検査対象から繰返し発生する複数チャネルの磁場波形データとして収集し,磁場波形データの演算処理を行なう計算機と,演算処理の結果を表示する表示装置とから構成されている。
計算機は,各チャネルについて,磁場波形のR波に同期させて,繰返し収集された磁場波形の加算平均処理を行ない,各チャネルについての平均磁場波形データを求める演算と,各チャネルについて平均磁場波形データのQ波の出現する前に設定された基準時点でベースラインを合わせる演算処理を行なう。
本発明の第1,第2の構成では,計算機は,更に,ベースラインを合わせ後の平均磁場波形データ(Bz)の基準時点から予め定められた時間経過後の時点での,疑似電流(電流アロー)(Ix=dBz/dy,Iy=−dBz/dx)を各チャネルについて求め,各チャネルに関して求められた疑似電流(Ix,Iy)を(x,y)座標に矢印でベクトル表示し疑似電流の大きさ(強度){√(Ix 2+Iy 2)}の等高線を(x,y)座標に重ねて表示した電流アローマップを求める演算処理を行なう。
本発明の第1の構成では,計算機は,更に,R波のピーク時の時刻,T波が出現する時間領域内の時刻を予め定められた時間経過後の2時点として選んで,この2時点に於いて,各チャネルについて得られた疑似電流をベクトル加算して得られる合成電流ベクトル(加算ベクトル)(It=(Ixt,Iyt))の位相角(方向)(θ=arctan(Iyt/Ixt))を求め,得られた2つの位相角(方向)の差を求める演算を行ない,検査対象毎に,電流アローマップ,及び2つの位相角(方向)の差(位相差)が,表示装置に表示される。検査対象を母体内の胎児とし,位相差を,{位相角(R波のピーク時の時刻)−位相角(T波が出現する時間領域内の時刻)}として求めた時,位相差が135度から180度の場合,胎児が,胎児の背骨が母体の腹壁に近づいている***をとっていること示し,位相差が0度から45度の場合,胎児が,胎児の背骨を母体の腹壁から遠ざかる***をとっていることを示している。
本発明の第2の構成では,計算機は,更に,電流アローマップを,T波が出現する時間領域内のn個(nは単数又は複数とする)時刻,及びR波のピーク時の時刻を,予め定められた時間経過後の(n+1)個の時点として選んで,(n+1)個の時点に於いて求める演算処理とを行ない,(n+1)個の時点に於ける電流アローマップが,表示装置に同時に表示される。そして,R波のピーク時の時刻に於ける電流アローマップとT波が出現する領域内のn個の時刻に於ける電流アローマップとを比較して,疑似電流(電流アロー)が最大となる位置,複数チャネルでの疑似電流(電流アロー)が示す電流の方向のパターンがほぼ同じとなる場合が出現する時,平均磁場波形にT波が出現していると同定することができる。検査対象を母体内の胎児とする場合,胎児心磁図のT波の検出率を向上することができ,胎児期でのQT延長症候群の検出を容易にすることができる。
本発明の第3の構成では,計算機は,更に,ベースラインを合わせ後の平均磁場波形データ(Bz)のR波のピーク(最大磁場強度)の絶対値,T波のピーク(最大磁場強度)の絶対値を求める演算を行ない,R波のピークの絶対値,及びT波のピークの絶対値が直交座標にプロットされて,表示装置に表示される。R波のピークの絶対値とT波のピークの絶対値の関係は,弱いながらも正の相関があり,診断のための情報として利用可能であると考えられる。
本発明の第4の構成では,計算機は,更に,ベースラインを合わせ後の平均磁場波形データ(Bz)のR波のピークの絶対値と,T波のピークの絶対値との比を求める演算を行ない,検査対象毎に,比=(T波のピークの絶対値)/(R波のピークの絶対値)が,表示装置に表示される。健康な胎児の52例から得られた,比=T/Rの最大値は約0.35以下と考えられ,比=T/Rが約0.35を越える場合には,何らかの異常な疾病の可能性も考えられ,比=T/Rは診断情報として有効になると考えられる。
本発明によれば,R波,T波に於ける電流アローマップを作成し電流の方向と,電流アローが最大となる位置の比較から,胎児心磁図のT波を簡易にかつ正確に確認ができ,QT時間等の計測を容易にすることができる。この結果,QT延長症候群等の出生予後にかかわる疾患を早期に診断するための正確な情報を得ることができる。
以下,本発明の実施例を図を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施例の生体磁場計測装置の構成例を示す図である。図1に示すように,シールドルーム1の内部には,被験者(図示せず)が横になるベッド7,SQUID磁束計を超伝導状態に保持するための冷媒(液体He又は液体N2)が貯蔵されたクライオスタット2,クライオスタット2を機械的に保持するガントリー3が配置されている。ベッド7は,x方向,y方向,z方向の3方向に移動可能である。
シールドルーム1の外部には,SQUID磁束計の駆動制御を行なう駆動回路4,駆動回路4の出力信号のフィルタリング処理と信号増福を行なうアンプフィルタユニット5,アンプフィルタユニット5の出力信号をデータとして取り込み,これらデータの演算処理を行なう計算機6とが配置されている。演算処理の結果は計算機6の表示装置に表示される。
アンプフィルタユニット5は,帯域通過フィルタ(例えば,0.1Hz−100Hz),ノッチフィルタ(例えば,50Hz成分の信号を除去する),アンプから構成される。
図2は,本発明の実施例に於いて,SQUID磁束計の第1の配置例を示し,8×8のアレー状に配置した心臓から発生する微弱磁場を測定する64個のSQUID磁束計(20−1〜20−8,21−1〜21−8,22−1〜22−8,23−1〜23−8,24−1〜24−8,25−1〜25−8,26−1〜26−8,27−1〜27−8)の配置例を示す図である。
各SQUID磁束計は,1次微分型の検出コイルを使用し,z方向(体表面に対して垂直方向)の磁場成分Bzを測定する検出コイルを使用する。1次微分型検出コイルのベースラインを50mm,検出コイルの直径を18mmとした。図2に示す例では,SQUID磁束計を8×8のアレー状に25mmピッチで配置している。配置は8×8に限ることなく,2×2〜8×8や円形に配置することも可能である。
図3は,本発明の実施例に於いて,SQUID磁束計の第2の配置例を示し,ベクトル型の検出コイルを有する4個のベクトル型SQUID磁束計の2×2のマトリックス状の配置例を示す図である。1辺が30mmの正方形の格子点に,ベクトル型SQUID磁束計の中心位置がくるように配置されている。
4個のベクトル型SQUID磁束計は,センサボビン100−1,100−2,100−3,100−4に形成され,各センサボビンにベクトル型の検出コイルが配置されている。ベクトル型SQUID磁束計が配置された4個所で,x方向の磁場成分Bx,y方向の磁場成分By,z方向の磁場成分Bzがそれぞれ検出可能であり,合計12チャネル分の磁場波形が検出できる。配置は2×2に限ることなく,3×3〜8×8や円形に配置することも可能である。
本発明の実施例で使用した生体磁場計測装置(心磁計)は,法線方向の磁場成分Bzを検出する64チャネルシステム(図2に示す,8×8のアレー構成)と,同じく磁場Bzを検出する9チャネルシステム(3×3のアレー構成),磁場成分Bx,By,Bzを検出するベクトル型12チャネルシステム(図3)の合計3種類である。
胎児心磁図の計測は,9チャネルシステムを用いて,健康な胎児21例(平均週数33週,28週〜38週)を,ベクトル型12チャネルシステムを用いて,健康な胎児20例(平均週数32週,26週〜37週)を,64チャネルシステムを用いて,健康な胎児11例(平均週数34週,28週〜38週)とQT延長症候群の胎児2例(30週と36週)を,それぞれ2分間行った。
各チャネルの信号に対して,最大振幅が観測されるR波に同期させて加算平均処理を行い,Q波の出現する前の時点に基準時点を設定して全チャネルのベースラインの補正を行った。
図4は,本発明の実施例で計測された,健康な胎児の心磁図から得られたR波のピーク(最大磁場強度)の絶対値とT波のピーク(最大磁場強度)の絶対値との関係を示す図である。R波,T波の最大磁場強度の絶対値を,R,Tとすると,図4のプロットは,直線,T=0.075R+0.138により近似できる。図4から,R波とT波の磁場強度の関係は,平均的なT波の強度はR波の強度が大きくなれば大きくなる傾向である事が分かった。
図5は,図4の計測値を用いて得られた,比=(T波の最大磁場強度)/(R波の最大磁場強度)=T/Rと妊娠週数との関係を示す図である。図5より,妊娠週数と比=T/Rとの相関は低いものの,比=T/Rの最大値は約0.35以下と考えられる。
図5に示すように,比=T/Rの妊娠週数に対する変化はばらつきが大きいため,比=T/Rを診断のための情報として直接使用することは難しいと考えられる。しかし,図5に示す結果は健康な胎児の52例から得られた結果であり,比=T/Rが約0.35を越える場合には,何らかの異常な疾病の可能性も考えられ,比=T/Rは診断情報として有効になると考えられる。
図4に示すように,R波の強度とT波の強度との関係は,弱いながらも正の相関があり,診断のための情報として利用可能であると考えられる。
R波のピーク時の時刻とT波のピーク時の時刻の電流アロー(Ix,Iy)について説明する。64チャネルシステムでは,生体表面に対して垂直方向(z方向)の磁場(Bz)は,SQUID磁束計の検出コイルの配列位置が生体表面に投影される64箇所の計測点について測定される。計測点(即ち,チャネル番号)の位置座標を(x,y),時間変数をtとすると,計測される磁場はBz(x,y,t)により示されるが,以下の説明では簡単のためにBz(x,y,t)を単にBzで表わす。なお,電流アローは疑似電流ともいう。
電流アローは,(数1),(数2)のように,法線方向の磁場Bzをx軸方向,y軸方向に偏微分して疑似的な電流を計算する方法である。Ix,Iyは,それぞれ,(x,y)(即ち,チャネル番号),tにより変化し,Ix(x,y,t),Iy(x,y,t)であるが,簡単のため単にIx,Iyで表わす。電流アロー(Ix,Iy)を(x,y)座標に矢印でベクトル表示し電流アローの強度{Ixy=√(Ix 2+Iy 2)}(数3)の等高線を重ねて(x,y)座標に表示したものを電流アローマップとする。t=R波のピーク時の時刻,及びt=T波のピーク時の時刻についての電流アローマップを求める。
〔数1〕
x=dBz/dy …(数1)
〔数2〕
y=−dBz/dx …(数2)
〔数3〕
xy=√(Ix 2+Iy 2) …(数3)
図6,図7,図8は,図2に示す64チャネルシステムで計測した健康な胎児全例(11例(被験者1から被験者11))に関するR波,T波が出現する時刻での電流アローマップを比較して示す図である。
図6,図7は,電流アローが最大となる位置がR波とT波で同じ位置であり,電流アローの向きが反対方向である7例(被験者1から被験者7)を示している。
図8は,電流アローの向きが同方向である4例(被験者8から被験者11)を示す。図8(a)は,電流アローが最大となる位置,電流アローのパターンが,R波とT波で同じである2例を示し,図8(b)は,電流アローの向きがR波とT波とで同方向であるが,電流アローのピーク位置,電流アローのパターンがR波とT波とで少し異なる2例を示している。
図6,図7,図8の結果から,健康な胎児の心磁図から得られる電流アローマップの電流方向は,R波とT波とで同方向に向くものと,反対方向に向くものの2種類のタイプに別れることが分かった。以上のことから,R波とT波の電流アローマップのパターンの比較から,T波の振幅が小さい場合でも,T波であることを検証できると考えられる。
図9は,本発明の実施例に於いて,QT延長症候群が胎児心磁図により確認された例を説明する図である。図9では,QT延長症候群の症例でR波,T波が出現する時刻での電流アローマップと,計測された胎児心磁図の64チャネルについての磁場波形を重ね合わせた図を示す。図9は,R波のパターンの時間変化,R波のピーク時の時刻での電流アローマップ,T波のパターンの30ms毎の時刻,#1,#2,#3,#4,#5,#6での変化,T波の30ms毎の時刻,#1,#2,#3,#4,#5,#6での電流アローマップの変化を示す。
図9に示す症例の計測は,妊娠週数が36週の時にされたものである。本症例は,出産後の心電図検査に於いてもQT延長症候群である確認がなされている。QT時間(Q波の出現からT波の消失までの時間)は0.408秒(QTc=0.57,QTcは,QTc=QT時間/√(R−R間隔)=(Q波の出現からT波の消失までの時間)/√(前後して出現する2つのR波の間隔),により定義される)であり,健康な胎児のQT時間より長い典型的なQT延長(Q波の出現からT波の消失までの時間が,健常例に比較して長くなる症例)を示していた。
図9に示すように,時刻#2と#3に於けるT波の電流アローマップは,R波の電流アローマップのパターンとほぼ同じパターンとして現れ,電流アローの向きも同方向であることが分かる。
従って,図9に示す,R波の電流アローマップのパターン,及び,時刻#2と#3に於けるT波の電流アローマップのパターンはそれぞれ,図8(a)に示すR波の電流アローマップ,及びT波の電流アローマップのパターンと同じパターンであると考えられる。
次に,出生後すぐに突然死を起こした30週での胎児心磁図の結果を示す。本症例では,T波の振幅が小さいため心磁図波形からのT波の識別はかなり難しかった。
図10は,本発明の実施例に於いて,QT延長症候群の胎児心磁図のR波,T波のピークが出現する時刻での電流アローマップと,計測された胎児心磁図の64チャネルについての磁場波形を重ね合わせた図を示す。
図10に示すように,図8(a)と同様,T波の電流アローマップとR波の電流アローマップの比較から,同方向に向かう電流が観測され,更に,電流アローが最大となる位置がほぼ同じ位置に出現していることから,胎児心磁図にT波が観測されているものと確認できた。
T波が確認できたのでQT時間を計測したところ,QT時間は0.381秒(QTc=0.530)であり,健常例よりQT時間が延長しているQT延長症候群であることが分かった。本症例は,出生後すぐに突然死を起こしたため,出生後の心電図結果はなく,QT延長症候群の確証は得られていないが,胎児心磁図に於いてQT延長の兆候が見えていたものと考えられる。
以上のように,加算平均処理された胎児心磁図の波形から,T波の同定を行うには,電流アローマップを作成し電流の方向と,電流アローが最大となる位置を確認することが有効と考えられる。
図6,図7,図8,図9,図10に示す電流アローマップのパターンを数値として分かりやすく表現するため,全チャネルの電流アローのベクトル合計和を求める方法を用いて,R波のピーク時刻,T波のピーク時刻で求めたベクトル合計和の位相差を計算した。
(数1),(数2)により計算される第nチャネルの電流アローを,In=(Inx,Iny)と表わす時,時刻tに於ける全チャネルの電流アローのベクトル合計和Itは,(数4)により計算される。ベクトル合計和Itの電流成分をIxt,Iytとすると,Ixt,Iytは,(数5),(数6)により計算される。(数4),(数5),(数6)で,加算Σは,n=1からn=64の64チャネルについての加算を示している。
〔数4〕
t=ΣIn …(数4)
〔数5〕
xt=ΣInx …(数5)
〔数6〕
yt=ΣIny …(数6)
時刻tに於ける全チャネルの電流アローのベクトル合計和It(ベクトル)の角度θは(数7)で表される。
〔数7〕
θ=arctan(Iyt/Ixt) …(数7)
t=R波のピーク時の時刻,及びt=T波のピーク時の時刻に於いて,(数7)を計算して,θr,及びθtを求め,R波,T波のピーク時刻で求めたベクトル合計和Ir,Itの位相差(角度差)Δθを,(数8)により計算する。(数8)に於いて,| |は,絶対値を意味する。以下,ここで求められた位相差(角度差)Δθを簡単のため,R波とT波の位相差(角度差)と呼ぶ。
〔数8〕
Δθ=|θr−θt| …(数8)
図11は,図6,図7,図8,図9,図10に示した例について,(数8)により計算して得られたR波とT波の位相差(角度差)の結果を示す図である。
図11に示すA群は,電流アローが最大となる位置がR波とT波で同じ位置であり,電流アローの向きが反対方向(電流方向が逆)である,図6と図7に示す7例についての結果である。
図11に示すB群は,電流アローが最大となる位置,電流アローのパターン(電流方向)がR波とT波で同じである,図8(a)に示す2例についての結果である。
図11に示すC群は,電流アローの向きがR波とT波とで同方向(電流方向は同じ)であるが,電流アローのピーク位置,電流アローのパターンがR波とT波とで異なる,図8(b)に示す2例についての結果である。
図11に示すlong−QT群(QT延長症候群)は,図9,図10に示す2症例のQT延長症候群についての結果である。
図11に示す結果から,A群とB群は明確に区別が可能であることが分かる。C群に関しては,電流方向が同方向であっても,T波のピーク時刻(位置)のずれにより,R波とT波の位相差が大きくなることが分かった。更に,QT延長症候群(long−QT群)の2症例では,B群と同じ電流アロー分布(マップ)となることが分かり,図9,図10の電流アロー分布(マップ)は図8(a)のパターン比較の結果と同じ傾向を示すことが分かった。
従って,(数8)による位相差(角度差)と電流アローマップのパターンの比較により胎児心磁図のT波の検出の確認ができると考えられる。
次に,図6,図7,図8に示した電流アローマップの2種類の電流アローの方向(電流方向)について検討を行った。
図12は,本発明の実施例に於いて,R波,T波が出現する時刻での電流アローマップの電流方向と胎児の***との関係を考察するための,胎児の胸部横断面を示す簡単なモデル図である。図12(a),図12(b)は,胎児の胸郭部輪郭112と,胎児の心臓の輪郭113,胎児の背骨114,母体の腹壁115,SQUID磁束計の検出コイル111の相対関係を示す。
図12(a)は,R波,T波が出現する時刻での電流アローマップの電流方向が同方向と想定される場合の胎児の***を示す図であり,図12(b)は,R波,T波が出現する時刻での電流アローマップの電流方向が逆方向と想定される場合の胎児の***を示す図である。
ここで,R波の胎児心臓内での主電流をIRとし,T波の胎児心臓内での主電流をITと仮定する。IRとITの向きは,通常,40度程度の角度差がある。
図12では,胎児の***を次の2方向で考えている。胎児の背骨114を母体腹壁115と反対側に向けている場合(図12(a))と,胎児の背骨114が少し母体腹壁115側に近づいた位置にいる場合(図12(b))とを想定している。
SQUID磁束計の検出コイル111で観測される電流は,主に検出コイルの観測面と平行な面の成分のみであるため,図12(a)の胎児の位置では,観測される電流の方向は同方向となり,図12(b)の胎児の位置では,観測される電流の方向は逆方向になると考えられる。
以上のことから,脱分極と再分極の電流の方向は,主に2種類の電流アローの方向(電流方向)を示すものと考えられる。図6,図7,図8に示したように,11例中,7例が電流方向が逆のパターンになった理由は,胎児が母体子宮内にいる姿勢は,横向きの図12(b)に近い***をしていることが多いためではないかと考えられる。このことを利用して,母体子宮内にいる胎児の姿勢を推定できると考えられる。
検査対象を母体内の胎児とする場合,電流アローマップを,T波が出現する時間領域内のn個(nは単数又は複数とする)時刻,及びR波のピーク時の時刻の(n+1)個の時点で求め,R波のピーク時の時刻での電流アローマップとT波が出現する領域内のn個の時刻での電流アローマップとを比較して,電流アローが最大となる位置,複数チャネルでの電流アローが示す電流の方向のパターンがほぼ同じとなる場合が出現する時,平均磁場波形にT波が出現していると同定することができる。この結果,胎児心磁図のT波の検出率を向上でき,胎児期でのQT延長症候群の検出を容易にすることができる。
本発明の実施例の生体磁場計測装置の構成例を示す図。 本発明の実施例に於いて,SQUID磁束計の第1の配置例を示し,8×8のアレー状に配置した64個のSQUID磁束計の配置例を示す図。 本発明の実施例に於いて,SQUID磁束計の第2の配置例を示し,ベクトル型の検出コイルを有する4個のベクトル型SQUID磁束計の2×2のマトリックス状の配置例を示す図。 本発明の実施例で計測された健康な胎児の心磁図から得られたR波のピークの絶対値とT波のピークの絶対値との関係を示す図。 図4の計測値を用いて得られた,比=(T波の最大磁場強度)/(R波の最大磁場強度)=T/Rと妊娠週数との関係を示す図。 図2に示す64チャネルシステムで計測した健康な胎児(4例)に関するR波,T波が出現する時刻での電流アローマップを比較して示す図。 図2に示す64チャネルシステムで計測した健康な胎児(3例)に関するR波,T波が出現する時刻での電流アローマップを比較して示す図。 図2に示す64チャネルシステムで計測した健康な胎児(4例)に関するR波,T波が出現する時刻での電流アローマップを比較して示す図。 本発明の実施例に於いて,QT延長症候群が胎児心磁図により確認された例を説明する図。 本発明の実施例に於いて,QT延長症候群の胎児心磁図のR波,T波のピークが出現する時刻での電流アローマップと,計測された胎児心磁図の磁場波形の重ね合わせ表示を示す図。 図6,図7,図8,図9,図10に示した例について得られたR波とT波の位相差(角度差)の結果を示す図。 本発明の実施例に於いて,R波,T波が出現する時刻での電流アローマップの電流方向と胎児の***との関係を考察するための,胎児の胸部横断面を示す簡単なモデル図。
符号の説明
1…磁気シールドルーム,2…クライオスタット,3…ガントリー,4…駆動回路,5…アンプフィルタユニット,6…コンピュータ,7…ベッド,20−1〜20−8,21−1〜21−8,22−1〜22−8,23−1〜23−8,24−1〜24−8,25−1〜25−8,26−1〜26−8,27−1〜27−8…SQUID磁束計,100−1,100−2,100−3,100−4…センサボビン,111…検出コイル,112…胎児胸郭部輪郭,113…心臓の輪郭,114…背骨,115…母体腹壁。

Claims (2)

  1. 検査対象の心臓から発生する磁場の法線成分を検出する複数のSQUID磁束計と,
    前記SQUID磁束計の駆動回路と,
    前記駆動回路の出力信号を前記検査対象から繰返し発生する複数チャネルの磁場波形データとして収集し,前記磁場波形データの演算処理を行なう計算機と,
    演算処理の結果を表示する表示装置とを具備し,
    前記計算機は,前記各チャネルについて,前記磁場波形のR波に同期させて,繰返し収集された前記磁場波形の加算平均処理を行ない,前記各チャネルについての平均磁場波形データを求める演算と,前記各チャネルについて前記平均磁場波形データのQ波の出現する前に設定された基準時点でベースラインを合わせる演算処理と,前記ベースラインを合わせ後の前記平均磁場波形データのR波のピークの絶対値と,T波のピークの絶対値とを求める演算を行ない,前記R波のピークの絶対値,及び前記T波のピークの絶対値が直交座標にプロットされて,前記表示装置に表示されることを特徴とする生体磁場計測装置。
  2. 検査対象の心臓から発生する磁場の法線成分を検出する複数のSQUID磁束計と,
    前記SQUID磁束計の駆動回路と,
    前記駆動回路の出力信号を前記検査対象から繰返し発生する複数チャネルの磁場波形データとして収集し,前記磁場波形データの演算処理を行なう計算機と,
    演算処理の結果を表示する表示装置とを具備し,
    前記計算機は,前記各チャネルについて,前記磁場波形のR波に同期させて,繰返し収集された前記磁場波形の加算平均処理を行ない,前記各チャネルについての平均磁場波形データを求める演算と,前記各チャネルについて前記平均磁場波形データのQ波の出現する前に設定された基準時点でベースラインを合わせる演算処理と,前記ベースラインを合わせ後の前記平均磁場波形データのR波のピークの絶対値と,T波のピークの絶対値との比を求める演算を行ない,前記検査対象毎に,前記比=(T波のピークの絶対値)/(R波のピークの絶対値)が前記表示装置に表示されることを特徴とする生体磁場計測装置。
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