JP2007140282A - 透明導電性ハードコートフィルムならびに該フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

透明導電性ハードコートフィルムならびに該フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007140282A
JP2007140282A JP2005335983A JP2005335983A JP2007140282A JP 2007140282 A JP2007140282 A JP 2007140282A JP 2005335983 A JP2005335983 A JP 2005335983A JP 2005335983 A JP2005335983 A JP 2005335983A JP 2007140282 A JP2007140282 A JP 2007140282A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
layer
group
refractive index
conductive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP2005335983A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuro Nagaoka
克郎 長岡
Hirotomo Sasaki
博友 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2005335983A priority Critical patent/JP2007140282A/ja
Publication of JP2007140282A publication Critical patent/JP2007140282A/ja
Abandoned legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】導電性と光透過性を両立できる、しかも傷がつきにくく、かつハードコートフィルム、反射防止フィルム、防眩性フィルムなどのいずれかの機能を有する透光性導電性フィルムを提供すること。また、これをもちいた偏光板や画像表示装置を提供すること。
【解決手段】銀塩含有層のパターン状露光と化学現像とによって、導電性金属部と導電性金属部がない可視光透過性部のパターンが形成された導電層を透明支持体上に有し、該導電層の上に少なくとも1層の硬化性組成物の硬化層を直接設置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電性ハードコートフィルム、透明導電性防眩フィルム及び導電性反射防止フィルム、ならびにこれらを用いた偏光板、さらにはこられをディスプレイの最表面に用いた画像表示装置に関する。
液晶テレビ、ブラウン管やコンピュータディスプレイの表面は、静電気により埃が付着して視認性が低下する他、手が触れたり、汚れを落とすために拭いたりすると、擦り傷が発生しやすい問題がある。
また、ディスプレー表面のフラット化にともない、光源や白い物体の映り込みによる視認性の低下が問題となる。
このため、ディスプレー表面に対しては、傷つきの防止、汚れや塵の付着防止、映り込み防止のための防眩処理や反射防止の機能が求められている。このため、ディスプレー表面にもちいるための各種ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムなどが開発されている。
一方、塵の付着の原因となる静電気発生防止のため帯電防止処理、すなわち導電性付与が必要であり、ディスプレー用表面フィルムへの導電性付与の試みがなされてきた。
たとえば、導電性付与のために、フイルム中に各種金属微粒子(たとえば特許文献1、2)、導電性酸化物粒子(たとえば特許文献3)、導電性高分子(たとえば特許文献4)を使用する検討がなされてきた。また、これらの導電性物質を導入する方法については、支持体から最も遠い位置に塗設する方法(たとえば特許文献5,6)、支持体と硬化層の間(たとえば特許文献7)、複数の硬化層の間(たとえば特許文献8)などが検討されてきた。
しかし、これらの方法では、導電性を高めるためには導電性物質を連続して並べる必要があり、しかも必要な導電性を得るためには、多量の導電性物質を使用する必要があった。このため、表面の光透過性が低下し、ディスプレー本来の目的である画像表示性能が悪化していた。
特開平5−70176号公報 特開平8−77832号公報 特開平5−80205号公報 特開平8−83580号公報 特開2003−80624号公報 特開2003−300268号公報 特開2003−39586号公報 特開2003−75603号公報
特許文献1〜8の技術では、帯電防止性(導電性)とディスプレーの視認性(表面フィルムの光透過性)とを満足することができず、両者を両立できる技術が望まれていた。
本発明の目的は導電性と光透過性を両立できる透明導電性ハードコートフィルムであって、かつ防眩フィルムや反射防止フィルムあるいは保護フィルムとして機能する透明導電性ハードコートフィルムを提供すること、及びこれらを用いた偏光板や画像表示装置を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解消すべく鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、前記課題を解決し目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記の構成により前記目的を達成したものである。
(1)銀塩含有層のパターン状露光と化学現像とによって、導電性金属部と導電性金属部がない可視光透過性部とのパターンが形成された導電層を透明支持体上に有し、該導電層の上に少なくとも1層の硬化性組成物の硬化層が直接設置されてなることを特徴とする透明導電性ハードコートフィルム。
(2)導電層の導電性金属部分が、パターン状に形成された現像銀上にさらに導電性金属を担持させることによって形成されたものであることを特徴とする上記(1)に記載の透明導電性ハードコートフィルム。
(3)導電性金属を担持が、物理現像、無電海めっき及び電解めっきから選ばれる担持手段によって行なわれることを特徴とする上記(2)に記載の透明導電性ハードコートフィルム。
(4)導電層のパターンが、導電性金属部が1μmから40μmのメッシュ状の細線から形成されたものであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の透明導電性ハードコートフィルム。
(5)硬化層として表面粗さRa0.1μ以上である防眩層を有する導電性防眩フィルムであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の導電性ハードコートフィルム。
(6)支持体からもっとも離れた側に、屈折率1.2以上1.5以下であり、膜厚50nm以上200nm以下の低屈折率層を有する反射防止フィルムであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の導電性反射防止フイルム。
(7)低屈折率層中に粒子サイズ1nm以上100nm以下の無機酸化物粒子を含有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の導電性反射防止フィルム。
(8)偏光板における偏光膜の2枚の保護フィルムのうちの一方に上記(1)〜(7)のいずれかに記載の導電性反射防止フィルムが用いられていることを特徴とする偏光板。
(9)請求項1〜7のいずれかに記載の導電性反射防止フィルム、又は上記(8)に記載の偏光板がディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
本発明のフィルムは、十分な光透過性を有しながら導電性のほか、耐擦傷性、防汚性、反射防止性能などのいずれかの機能にも優れており、ハードコートフィルム、防眩フィルム又は反射防止フィルムとしての効果を有する。特に、これらのフィルムを用いが偏光板や画像装置は、極めて視認性く、塵がつきにくい性能を有している。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」等も同様である。
まず、本発明の導電性層付与の特徴を、従来知られている本発明に最も近い他の方法と比較して説明する。
従来の銀塩拡散転写法を利用した方法(アナリティカル・ケミストリー(AnalyticalChemistry)、第72巻、645項、2000年発刊、国際公開WO 01/51276号公報、特開2000−149773号公報に記載の方法)では、物理現像核層が金属画像部及び透光性部に均一に設けられるため、金属画像部の他に透光性部にも物理現像核が残存する。したがって、銀塩拡散転写法では、残存した物理現像核が光を吸収してしまうため、透光性部における透過性が損なわれるという原理的な問題点を有していた。
上記の問題は、特に高い透過性が要求されるディスプレイ用透光性電磁波シールド材料では重大な問題である。これに対し、本発明の方法では、物理現像核として機能する金属銀を露光部だけに発生させ、光透過性部となる未露光部には発生させない。このため、光透過性部での透過率を原理的に高くできるという利点を有する。
なお、本発明における光透過性部の「透過率」とは、支持体の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率を指し、(透光性電磁波シールド材料の透過率)/(支持体の透過率)×100(%)で表される。光透過性部の透過率は90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、97%以上であることがさらに好ましく、98%以上であることがさらにより好ましく、99%以上であることが最も好ましい。
一方、国際公開WO 01/51276号公報には、銀塩拡散転写法を用いないで、通常に市販されている写真フィルムを利用して、現像、物理現像及び/又はメッキ処理工程を行って導電性を付与できる旨が記載されている。実際に、前記文献に基づいて導電性の金属膜を形成することは可能であるが、この場合、導電性と透明性の両面において、銀塩拡散転写法よりも劣っており、CRTやPDPなどに用いられる透光性電磁波シールド材料として利用するには不十分なものであった。さらに、銀塩拡散転写法では、金属画像を形成するための物理現像核層を特別に設けているのに対し、通常市販されている写真フィルムでは、物理現像核がハロゲン化銀乳剤層中に生成し、多量のバインダー中に埋没している違いがある。
ディスプレイ用の導電性材では透明性が要求されるため、支持体の透明性は高いことが望ましい。この場合におけるプラスチックフィルム又はプラスチック板の全可視光透過率は好ましくは70〜100%であり、より好ましくは85〜100%であり、さらに好ましくは90〜100%である。また、本発明では、前記プラスチックフィルム及びプラスチック板を本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
[銀塩含有層]
本発明において、光センサーとして銀塩を含有する層(銀塩含有層)が支持体上に設けられる。銀塩含有層は、銀塩のほか、バインダー、溶媒等を含有することができる。
<銀塩>
本発明で用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀などの無機銀塩及び酢酸銀などの有機銀塩が挙げられるが、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
本発明で好ましく用いられるハロゲン化銀についてさらに説明する。
本発明では、光センサーとして機能させるためにハロゲン化銀を使用する。ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本発明においてもそのまま用いることもできる。
ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらにAgBrを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。
ここで、「AgBr(臭化銀)を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。このAgBrを主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
ハロゲン化銀は固体粒子状であり、露光、現像処理後に形成されるパターン状金属銀層の画像品質の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましく、1〜50nmであることがさらに好ましい。尚、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状など)、八面体状、14面体状など様々な形状であることができる。
本発明で用いられるハロゲン化銀は、さらに他の元素を含有していてもよい。例えば、写真乳剤において、硬調な乳剤を得るために用いられる金属イオンをドープすることも有用である。特にロジウムイオンやイリジウムイオンなどの遷移金属イオンは、金属銀像の生成の際に露光部と未露光部の差が明確に生じやすくなるため好ましく用いられる。ロジウムイオン、イリジウムイオンに代表される遷移金属イオンは、各種の配位子を有する化合物であることもできる。そのような配位子としては、例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオンなどを挙げることができる。具体的な化合物の例としては、K3Rh2Br9及びK2IrCl6などが挙げられる。
本発明において、ハロゲン化銀に含有されるロジウム化合物及び/又はイリジウム化合物の含有率は、ハロゲン化銀の銀のモル数に対して、10-10〜10-2モル/モルAgであることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
その他、本発明では、Pd(II)イオン及び/又はPd金属を含有するハロゲン化銀も好ましく用いることができる。Pdはハロゲン化銀粒子内に均一に分布していてもよいが、ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有させることが好ましい。ここで、Pdが「ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有する」とは、ハロゲン化銀粒子の表面から深さ方向に50nm以内において、他層よりもパラジウムの含有率が高い層を有することを意味する。このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する途中でPdを添加することにより作製することができ、銀イオンとハロゲンイオンとをそれぞれ総添加量の50%以上添加した後に、Pdを添加することが好ましい。またPd(II)イオンを後熟時に添加するなどの方法でハロゲン化銀表層に存在させることも好ましい。
このPd含有ハロゲン化銀粒子は、物理現像や無電解メッキの速度を速め、所望の電磁波シールド材の生産効率を上げ、生産コストの低減に寄与する。Pdは、無電解メッキ触媒としてよく知られて用いられているが、本発明では、ハロゲン化銀粒子の表層にPdを偏在させることが可能なため、極めて高価なPdを節約することが可能である。
本発明において、ハロゲン化銀に含まれるPdイオン及び/又はPd金属の含有率は、ハロゲン化銀の銀のモル数に対して10-4〜0.5モル/モルAgであることが好ましく、0.01〜0.3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
使用するPd化合物の例としては、PdCl4やNa2PdCl4等が挙げられる。
本発明では、さらに光センサーとしての感度を向上させるため、写真乳剤で行われる化学増感を施すこともできる。化学増感としては、例えば、金増感などの貴金属増感、イオウ増感などのカルコゲン増感、還元増感等を利用することができる。
本発明で使用できる乳剤としては、例えば、特開平11−305396号公報、特開2000−321698号公報、特開平13−281815号公報、特開2002−72429号公報の実施例に記載されたカラーネガフィルム用乳剤、特開2002−214731号公報に記載されたカラーリバーサルフィルム用乳剤、特開2002−107865号公報に記載されたカラー印画紙用乳剤などを好適に用いることができる。
<バインダー>
本発明に係る銀塩含有層において、バインダーは、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ銀塩含有層と支持体との密着を補助する目的で用いることができる。本発明においては、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれもバインダーとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
銀塩含有層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。銀塩含有層中のバインダーの含有量は、Ag/バインダー体積比で1/4〜100であることが好ましく、1/3〜10であることがより好ましく、1/2〜2であることがさらに好ましい。1/1〜2であることが最も好ましい。銀塩含有層中にバインダーをAg/バインダー体積比で1/4以上含有すれば、物理現像及び/又はメッキ処理工程において金属粒子同士が互いに接触しやすく、高い導電性を得ることが可能であるため好ましい。
<溶媒>
銀塩含有層で用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、酢酸エチルなどのエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
銀塩含有層に用いられる溶媒の含有量は、前記銀含有層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であることが好ましく、50〜80質量%の範囲であることがより好ましい。
[露光]
本発明では、支持体上に設けられた銀塩含有層の露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線などの光、X線などの放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
上記露光の態様としては、例えば、光源に陰極線(CRT)を用いた走査露光を挙げることができる。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種又は2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
また本発明では、露光は種々のレーザービームを用いて行うこともできる。例えば、露光は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザー又は半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらにKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等も用いることができる。システムをコンパクトで、安価なものにするために、露光は、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことが好ましい。特にコンパクトで、安価、さらに寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザーを用いて行うことが好ましい。
レーザー光源としては、具体的には、波長430〜460nmの青色半導体レーザー(2001年3月の第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザー(発振波長約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザー、波長約685nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)などが好ましく用いられる。
銀塩含有層をパターン状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。
[現像処理]
本発明では、銀塩含有層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、例えば、富士フィルム社製のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社製のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72などの現像液、又はそのキットに含まれる現像液、また、D−85などのリス現像液を用いることができる。
本発明では、上記の露光及び現像処理を行うことにより金属銀部、好ましくはパターン状金属銀部が形成されると共に、後述する光透過性部が形成される。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
現像処理で用いられる現像液は、画質を向上させる目的で、画質向上剤を含有することができる。画質向上剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどの含窒素へテロ環化合物を挙げることができる。また、リス現像液を利用する場合特に、ポリエチレングリコールを使用することも好ましい。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
本発明における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透明性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
[物理現像及びメッキ処理]
本発明では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部に導電性を付与する目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はメッキ処理を行う。本発明では物理現像又はメッキ処理のみで導電性金属粒子を金属性部に担持させることが可能であるが、さらに物理現像とメッキ処理を組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させることもできる。
本発明における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオンなどの金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
本発明において、メッキ処理は、無電解メッキ(化学還元メッキや置換メッキ)、電解メッキ、又は無電解メッキと電解メッキの両方を用いることができる。本発明における無電解メッキは、公知の無電解メッキ技術を用いることができ、例えば、プリント配線板などで用いられている無電解メッキ技術を用いることができ、無電解メッキは無電解銅メッキであることが好ましい。
無電解銅メッキ液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤としてホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子としてEDTAやトリエタノールアミン等、その他、浴の安定化やメッキ皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン等が挙げられる。電解銅メッキ浴としては、硫酸銅浴やピロリン酸銅浴が挙げられる。
本発明におけるメッキ処理時のメッキ速度は、緩やかな条件で行うことができ、さらに電着速度が5μm/hr以上の高速メッキも可能である。メッキ処理において、メッキ液の安定性を高める観点からは、例えば、EDTAなどの配位子など種々の添加剤を用いることができる。
[酸化処理]
本発明では、現像処理後の金属銀部、並びに物理現像及び/又はメッキ処理後に形成される導電性金属部には、好ましくは酸化処理が行われる。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理など、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。酸化処理は、銀塩含有層の露光及び現像処理後、あるいは物理現像又はメッキ処理後に行うことができ、さらに現像処理後と物理現像又はメッキ処理後のそれぞれで行ってもよい。
本発明では、さらに露光及び現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することもできる(いわゆる活性化処理)。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により無電解メッキ又は物理現像速度を促進させることができる。
[導電性金属部]
次に、本発明における導電性金属部について説明する。
本発明では、導電性金属部は、前述した露光及び現像処理により形成された金属銀部を物理現像又はメッキ処理することにより前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させることにより形成される。
金属銀は、露光部に形成させる場合と、未露光部に形成させる場合がある。物理現像核を利用した銀塩拡散転写法(DTR法)は、未露光部に金属銀を形成させるものである。本発明においては、透明性を高めるために露光部に金属銀を形成させることが好ましい。
前記金属部に担持させる導電性金属粒子としては、上述した銀のほか、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、コバルト、スズ、ステンレス、タングステン、クロム、チタン、パラジウム、白金、マンガン、亜鉛、ロジウムなどの金属、又はこれらを組み合わせた合金の粒子を挙げることができる。導電性、価格等の観点から導電性金属粒子は、銅、アルミニウム又はニッケルの粒子であることが好ましい。また、磁場シールド性を付与する場合、導電性金属粒子として常磁性金属粒子を用いることが好ましい。
上記導電性金属部において、コントラストを高くし、かつ導電性金属部が経時的に酸化され退色されるのを防止する観点からは、導電性金属部に含まれる導電性金属粒子は銅粒子であることが好ましく、少なくともその表面が黒化処理されたものであることがさらに好ましい。黒化処理は、プリント配線板分野で行われている方法を用いて行うことができる。例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/l)、水酸化ナトリウム(15g/l)、リン酸三ナトリウム(12g/l)の水溶液中で、95℃で2分間処理することにより黒化処理を行うことができる。
上記導電性金属部は、該導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して、銀を50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがさらに好ましい。銀を50質量%以上含有すれば、物理現像及び/又はメッキ処理に要する時間を短縮し、生産性を向上させ、かつ低コストとすることができる。
さらに、導電性金属部を形成する導電性金属粒子として銅及びパラジウムが用いられる場合、銀、銅及びパラジウムの合計の質量が導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明における導電性金属部は、導電性金属粒子を担持するため良好な導電性が得られる。このため、本発明の透光性電磁波シールド膜(導電性金属部)の表面抵抗値は、103Ω/sq以下であることが好ましく、2.5Ω/sq以下であることがより好ましく、1.5Ω/sq以下であることがさらに好ましく、0.1Ω/sq以下であることが最も好ましい。
導電性金属部は、透光性電磁波シールド材料としての用途である場合、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形などの(正)n角形、円、楕円、星形などを組み合わせた幾何学図形であることが好ましく、これらの幾何学図形からなるメッシュ状であることがさらに好ましい。EMIシールド性の観点からは三角形の形状が最も有効であるが、可視光透過性の観点からは同一のライン幅なら(正)n角形のn数が大きいほど開口率が上がり可視光透過性が大きくなるので有利である。
なお、導電性配線材料の用途である場合、前記導電性金属部の形状は特に限定されず、目的に応じて任意の形状を適宜決定することができる。
透光性電磁波シールド材料の用途において、上記導電性金属部の線幅は20μm以下、線間隔は50μm以上であることが好ましい。また、導電性金属部は、アース接続などの目的においては、線幅は20μmより広い部分を有していてもよい。また画像を目立たせなくする観点からは、導電性金属部の線幅は18μm未満であることが好ましく、15μm未満であることがより好ましく、14μm未満であることがさらに好ましく、10μm未満であることがさらにより好ましく、7μm未満であることが最も好ましい。
導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、メッシュをなす細線のない部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅10μm、ピッチ200μmの正方形の格子状メッシュの開口率は、90%である。
[光透過性部]
本発明における「光透過性部」とは、透光性電磁波シールド膜のうち導電性金属部以外の透明性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、支持体の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
光透過性部は、透過性を向上させる観点から実質的に物理現像核を有しないことが好ましい。本発明は、従来の銀錯塩拡散転写法とは異なり、未露光のハロゲン化銀を溶解し、可溶性銀錯化合物に変換させた後、拡散させる必要がないため、光透過性部には物理現像核を実質的に有しないことが好ましい。
ここに、「実質的に物理現像核を有しない」とは、光透過性部における物理現像核の存在率が0〜5%の範囲であることをいう。
本発明における光透過性部は、前記銀塩含有層を露光及び現像処理することにより、金属銀部と共に形成される。光透過性部は、透過性を向上させる観点から、現像処理後、さらには物理現像処理又はメッキ処理後に酸化処理を行うことが好ましい。
[透光性電磁波シールド膜の層構成]
透光性電磁波シールド膜が設けられた支持体の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。5〜200μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、かつ取り扱いも容易である。
物理現像及び/又はメッキ処理前の支持体上に設けられる金属銀部の厚さは、支持体上に塗布される銀塩含有層用塗料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属銀部の厚さは、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、金属銀部はパターン状であることが好ましい。金属銀部は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。金属銀部がパターン状であり、かつ2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。このようにして形成された多層構造のパターン状金属銀部を含む透光性電磁波シールド膜は、高密度なプリント配線板として利用することができる。
導電性金属部の厚さは、ディスプレイの電磁波シールド材の用途としては、薄いほどディスプレイの視野角が広がるため好ましい。さらに、導電性配線材料の用途としては、高密度化の要請から薄膜化が要求される。このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
本発明では、上述した銀塩含有層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部を形成し、さらに物理現像及び/又はメッキ処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する透光性電磁波シールド膜であっても容易に形成することができる。
なお、従来のエッチングを用いた方法では、金属薄膜の大部分をエッチングで除去、廃棄する必要があったが、本発明では必要な量だけの導電性金属を含むパターンを支持体上に設けることができるため、必要最低限の金属量だけを用いればよく、製造コストの削減及び金属廃棄物の量の削減という両面から利点がある。
[導電層以外の機能性層]
本発明のフィルムは、以上の導電性層を付与したフィルム上にハードコート層、防眩性層あるいは反射防止層を付与することで、透明で導電性であってかつハードコートフィルム、防眩性フィルムあるいは導電性反射防止フィルムとしても機能する透明導電性ハードコートフィルムである。以下に詳記する説明では、これら本発明の透明で導電性であってかつ好ましくは防眩性、反射防止性、保護性、防汚性などの機能性の一つ以上を備えた導電性反射防止フィルムハードコートフィルムをまとめていう場合には、「透明導電性ハードコートフィルム」又は単に「フィルム」と略称する。
以下に導電層以外の機能性層の構成物、構成、その特性について記載する。
1−1.バインダー
〔電離放射線硬化性化合物〕
本発明のフィルムは、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成される少なくとも1層を含んで構成されることができる。すなわち、バインダーとして電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布液(以下、硬化性組成物ともいう)を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより、該支持体上に反射防止機能に寄与する少なくとも1層の機能層を形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
[光重合性多官能モノマー]
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。
モノマーバインダーとしては、各層の屈折率を制御するために、屈折率の異なるモノマーを用いることができる。特に高屈折率モノマーの例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。また、例えば特開2005−76005号公報、同2005−36105号公報に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号公報記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。
多官能モノマーは、2種類以上を併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
〔ポリマーバインダー〕
本発明にはバインダーとして、無架橋のポリマー又は架橋しているポリマーを用いることができる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。
ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミド及びメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖及びポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖及びポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖はウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖はイミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例えばメラミン)とアルデヒド(例えばホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有する。
アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、又は連結基を介して主鎖に結合させる。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として主鎖に結合させることが好ましい。アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル基)、スルホン酸基(スルホ基)及びリン酸基(ホスホノ基)などが挙げられ、スルホン酸基及びリン酸基が好ましい。アニオン性基は塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
架橋構造は2つ以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)するものであるが、3つ以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基及びこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることがさらに好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、2つ以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98質量%であることが好ましく、6〜96質量%であることがさらに好ましく、8〜94質量%であることが最も好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。また、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
[含フッ素ポリマーバインダー]
本発明のフイルムに反射防止機能を持たせる場合には、特に低屈折率層にはポリマーのバインダーのうち含フッ素共重合体化合物を好ましく用いることができる。
(a)(含フッ素ビニルモノマー重合単位)
本発明において、低屈折率層の形成に用いられる含フッ素ポリマーに含まれる含フッ素ビニルモノマー重合単位の構造には、特に制限なく、例えば含フッ素オレフィン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、含フッ素アルキル基を有するビニルエーテルや(メタ)アクリレートなどに基づく重合単位を挙げることができる。製造適性と、屈折率や膜強度など低屈折率層に必要とされる性質から、該含フッ素ポリマーは、含フッ素オレフィンとビニルエーテルとの共重合体であることが好ましく、ペルフルオロオレフィンとビニルエーテルとの共重合体であることがより好ましい。また、共重合成分として屈折率を低下させる目的でペルフルオロアルキルビニルエーテル、含フッ素アルキル基を有するビニルエーテルや(メタ)アクリレートなどを含んでいてもよい。
ペルフルオロオレフィンとしては、炭素数3〜7のものが好ましく、重合反応性の観点からはペルフルオロプロピレン又はペルフルオロブチレンが好ましく、入手性の観点からペルフルオロプロピレンであることが特に好ましい。
ポリマー中のペルフルオロオレフィンの含率は25〜75モル%であることが好ましい。素材の低屈折率化のためには、ペルフルオロオレフィンの導入率を高めることが望まれるが、重合反応性の点で一般的な溶液系ラジカル重合反応では50〜70モル%程度の導入が限界であり、これ以上は困難である。本発明においては、ペルフルオロオレフィンの含率は30%〜70モル%であることが好ましく、30%〜60モル%であることがより好ましく、35%〜60モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが特に好ましい。
本発明で好ましく用いられる含フッ素ポリマーには、低屈折率化のために、下記一般式M2で表わされるペルフルオロビニルエーテルを共重合させてもよい。該共重合成分は、0〜40モル%の範囲で重合体中に導入されていてよく、より好ましくは0〜30モル%であり、さらに好ましくは0〜20モル%である。
一般式M2
Figure 2007140282
一般式M2中、Rf12は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表わし、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10の含フッ化アルキル基であり、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基であることがさらに好ましい。また、該フッ化アルキル基は置換基を有していてもよい。Rf12の具体例としては、−CF{M2−1)}、−CFCF{M2−(2)}、−CFCFCF{M2−(3)}、−CFCF(OCFCFCF)CF{M2−(4)}などが挙げられる。
また、本発明では低屈折率化のために、下記一般式M1で表わされる含フッ素ビニルエーテルを共重合させてもよい。該共重合成分は、0〜40モル%の共範囲で重合体中に導入されていてよいが、好ましくは0〜30モル%であり、特に好ましくは0〜20モル%の場合である。
一般式M1
Figure 2007140282
一般式M1中、Rf11は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜15の含フッ素アルキル基であり、直鎖{例えば−CFCF、−CH(CFq1H、−CHCH(CFq1F(q1:2〜12の整数)など}であっても、分岐構造{例えばCH(CF、CHCF(CF、−CH(CH)CFCF、−CH(CH)(CFCFHなど}を有していてもよく、また脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばペルフルオロシクロへキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)を有していてもよく、エーテル結合(例えば−CHOCHCFCF、−CHCHOCH(CFq2H、−CHCHOCH(CFq2F(q2:2〜12の整数)、CHCHOCFCFOCFCFHなど)を有していてもよい。なおRf11で表される置換基はここで例示した置換基に限られるものではない。
(b)(水酸基含有ビニルモノマー重合単位)
本発明で好ましく用いられる含フッ素ポリマーは、水酸基含有ビニルモノマー重合単位を含むことが好ましいが、その含率には特に制限はない。水酸基は架橋剤と反応して硬化する機能を有するため、水酸基の含有率が高いほど硬い膜を形成できて好ましく、その含有率は10モル%以上70モル%以下であることが好ましく、20モル%を超えて60モル%以下であることがより好ましく、25モル%以上55モル%以下であることが更に好ましい。
水酸基含有ビニルモノマーは、前述した含フッ素ビニルモノマー重合単位と共重合可能なものであれば、ビニルエーテル類、(メタ)アクリレート類、スチレン類など、特に制限なく使用することができる。例えば含フッ素ビニルモノマーとしてペルフルオロオレフィン(ヘキサフルオロプロピレンなど)を用いた場合には、共重合性が良好な水酸基含有ビニルエーテルを用いることが好ましく、具体的には2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、8−ヒドロキシオクチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチルビニルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(ポリシロキサン構造を有する構成単位)
本発明で好ましく用いられる含フッ素ポリマーは、防汚性を付与するためにポリシロキサン構造を有する構成単位を有することが好ましい。
(側鎖に含まれるポリシロキサン繰り返し単位)
本発明で有用なポリシロキサン構造を有する含フッ素ポリマーとしては、先ず、(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位、(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位、及び(c)側鎖に下記一般式(1)で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含んでなるグラフト部位を有する重合単位をそれぞれ少なくとも1種類含み、主鎖が炭素原子のみからなる含フッ素ポリマーが挙げられる。
一般式(1):
Figure 2007140282
式(1)中、R11、R12は同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。アルキル基としては炭素数1〜4が好ましく、例としてメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基等が挙げられる。アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これらの中でもメチル基及びフェニル基が好ましく、特に好ましくはメチル基である。pは2〜500の整数を表わし、好ましくは5〜350であり、より好ましくは8〜250の場合である。
(主鎖に含まれるポリシロキサン繰り返し単位)
本発明では、前記の側鎖にポリシロキサン繰り返し単位を含んでなる含フッ素ポリマーと共に、主鎖にポリシロキサン構造を有する含フッ素ポリマー、すなわち(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位、(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位をそれぞれ少なくとも1種類含み、(d)主鎖に下記一般式(1)で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含んでなる含フッ素ポリマーも好ましく用いることができる。
一般式(1):
Figure 2007140282
上記一般式(1)におけるR11、R12は、前記の側鎖にポリシロキサン繰り返し単位を含む含フッ素ポリマーにおける一般式(1)のR11、R12について述べた定義と同じであり、好ましい範囲も同じである。
主鎖へのポリシロキサン構造導入方法には特に制限はなく、例えば特開平6−93100号公報に記載のアゾ基含有ポリシロキサンアミド等のポリマー型開始剤を用いる方法、重合開始剤、連鎖移動剤由来の反応性基(例えばメルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)をポリマー末端に導入した後、片末端又は両末端反応性基(例えばエポキシ基、イソシアネート基等)含有ポリシロキサンと反応させる方法、ヘキサメチルシクロトリシロキサン等の環状シロキサンオリゴマーをアニオン開環重合にて共重合させる方法等が挙げられるが、中でもポリシロキサン構造を有する開始剤を利用する手法が容易であり好ましい。
上記ポリシロキサン構造は本発明で用いられる共重合体中の0.01〜20質量%の範囲で導入されることが好ましく、より好ましくは0.05〜15質量%の範囲で導入される場合であり、特に好ましくは0.5〜10質量%の範囲で導入される場合である。
該ポリシロキサン構造の導入によって、皮膜に防汚性、防塵性が付与されると供に、皮膜表面に滑り性が付与され耐傷性にも有利である。
(その他の重合単位)
上記以外の重合単位を形成する共重合成分としては、硬度、基材への密着性、溶媒への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができ、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類を例として挙げることができる。これらの共重合成分の導入量は、0〜40モル%の範囲であり、0〜30モル%の範囲であることが好ましく、0〜20モル%の範囲であることが特に好ましい。
(好ましい含フッ素ポリマーの形態)
本発明で特に好ましいポリマーの形態は、下記一般式(4)で表わされる形態である。
一般式(4):
Figure 2007140282
一般式(4)において、Rf10は炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基を表す。−CFCF(Rf10)−で表わされる部位を構成するモノマーに付いては、ペルフルオロオレフィンの例として上記した説明があてはまる。Rf12は含フッ素ビニルエーテル(前記の一般式M2で表される化合物におけるRf12)で述べた定義と同じであり、好ましい範囲も同じである。Rf11はもう1つの含フッ素ビニルエーテル(前記の一般式M1で表される化合物におけるRf11)で述べた定義と同じであり、好ましい範囲も同じである。
11,B11は、それぞれ水酸基含有ビニルモノマー重合単位、及び任意の構成単位を表わす。A11は、前記で説明した水酸基含有ビニルモノマー重合単位の定義と同じであり、B11は特に制限はないが、共重合性の観点から、ビニルエーテル類、及びビニルエステル類がより好ましい。具体的には前記(その他の重合単位)において例示したモノマーが挙げられる。
11は、ポリシロキサン構造を有する構成単位を表し、その形態は側鎖に前記一般式(1)で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含んでなるグラフト部位を有する重合単位であってもよく、主鎖に前記一般式(1)で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含んでいてもよい。それらの定義及び好ましい範囲などは前記(ポリシロキサン構造を有する構成単位)で説明したものと同じである。
a〜dはそれぞれ各構成成分のモル分率(%)を表わし、a+b1+b2+c+d=100である。それぞれ30≦a≦70(より好ましくは30≦a≦60、さらに好ましくは35≦a≦60)、0≦b1≦40(より好ましくは0≦b1≦30、さらに好ましくは0≦b1≦20)、0≦b2≦40(より好ましくは0≦b2≦30、さらに好ましくは0≦b2≦20)、10≦c≦70(より好ましくは20<c≦60、更に好ましくは25≦c≦55)、0≦d≦40(より好ましくは0≦d≦30)の関係を満たす。
yはポリシロキサン構造を含有する構成単位の、含フッ素ポリマー全体に対する質量分率(%)を表わし、0.01≦y≦20(より好ましくは0.05≦y≦15、更に好ましくは0.5≦y≦10)の関係を満たす。
本発明の反射防止フィルムにおける機能層、特に低屈折率層の形成に用いられる含フッ素ポリマーの数平均分子量は、5,000〜1,000,000が好ましく、より好ましくは8,000〜500,000であり、特に好ましくは10,000〜100,000である。
ここで、数平均分子量は、“TSKgel GMHxL”、“TSKgel G4000HxL”、“TSKgel G2000HxL”{何れも東ソー(株)製の商品名}のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラヒドロフラン(THF)、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
〔オルガノシラン化合物〕
本発明の反射防止フィルムにおける機能層には、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物等(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)を含有させることが、耐擦傷性の点で好ましい。
このゾル成分は、前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することによりバインダーとして機能する。また、多官能アクリレートポリマーを有する場合、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
上記オルガノシラン化合物は、下記一般式(5)で表されるものが好ましい。
一般式(5):(R30m1−Si(X314−m1
上記一般式(5)において、R30は置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
31は、水酸基又は加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR31COO(R31は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えばCHCOO、CCOO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
m1は1〜3の整数を表し、好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
30又はX31が複数存在するとき、複数のR30又はX31はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
30に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
30が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
上記一般式(5)で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式(5−1)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
一般式(5−1):
Figure 2007140282
上記一般式(5−1)において、R32は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、及び塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、及び塩素原子が更に好ましく、水素原子及びメチル基が特に好ましい。
31は単結合又は、*−COO−**、*−CONH−**又は*−O−**を表し、単結合、*−COO−**及び*−CONH−**が好ましく、単結合及び*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。*は=C(R32)−に結合する位置を、**はL31に結合する位置を表す。
31は2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル又はエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
m2は0又は1を表し、好ましくは0である。X31が複数存在するとき、複数のX31はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
30は一般式(5)におけるR30と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、又は無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、又は無置換のアリール基が更に好ましい。
31は一般式(5)におけるX31と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式(5)、一般式(5−1)の化合物は2種類以上を併用してもよい。
前記オルガノシラン化合物の配合量は、支持体上に、前記硬化性組成物を塗設することにより形成される層、例えば低屈折率層の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
前記オルガノシラン化合物は、硬化性組成物(支持体上に形成される層、例えば防眩層用、低屈折率層等形成用の塗布液)に直接添加してもよいが、前記オルガノシラン化合物を、予め触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物を調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記硬化性組成物を調製するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物及び金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物を添加した液を、防眩層又は低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
〔その他のバインダー化合物〕
以上述べたバインダーに対しては、以下の反応性有機珪素化合物を併用することもできる。反応性有機珪素化合物は、電離放射線硬化性化合物と反応性有機珪素化合物の合計に対して10〜100質量%の範囲で使用される。
[反応性有機珪素化合物]
(珪素アルコキシド)
珪素アルコキシドは、前記一般式(5)で表される化合物のうち、X31がアルコキシ基(OR32)であって、R30、R32が炭素数1〜10のアルキル基を表す化合物に該当する。これらの化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−s−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−i−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−s−ブトキシシラン、テトラペンタ−t−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
(電離放射線硬化性珪素化合物)
電離放射線によって反応架橋する複数の基、例えば、重合性二重結合基を有する分子量5,000以下の有機珪素化合物が挙げられる。このような反応性有機珪素化合物は、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能性ポリシロキサン、或いはこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、又はビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。
(その他の化合物)
その他の化合物としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物等が挙げられる。
1−2.ラジカル重合開始剤
本発明において用いられるエチレン性不飽和基を有する各種モノマーの重合は、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。本発明の反射防止フィルムを作製するに際しては、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤を併用することもできる。
〔光ラジカル重合開始剤〕
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号公報記載のもの等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いてもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、上記のほか、「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159及び、加藤清視著「紫外線硬化システム」{総合技術センター発行}(平成元年)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製の「カヤキュアーDETX−S」、「カヤキュアーBP−100」、「カヤキュアーBDMK」、「カヤキュアーCTX」、「カヤキュアーBMS」、「カヤキュアー2−EAQ」、「カヤキュアーABQ」、「カヤキュアーCPTX」、「カヤキュアーEPD」、「カヤキュアーITX」、「カヤキュアーQTX」、「カヤキュアーBTC」、「カヤキュアーMCA」など;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の「イルガキュア651」、「イルガキュア184」、「イルガキュア500」、「イルガキュア819」、「イルガキュア907」、「イルガキュア369」、「イルガキュア1173」、「イルガキュア1870」、「イルガキュア2959」、「イルガキュア4265」、「イルガキュア4263」など;サートマー社製の“Esacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KTO46,KT37,KIP150,TZT)”等、及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
[光増感剤]
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトン及びチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製の「カヤキュアー(DMBI,EPA)」などが挙げられる。
〔熱ラジカル重合開始剤〕
熱ラジカル開始剤としては、有機又は無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
1−3.架橋性化合物(架橋剤)
〔硬化剤〕
本発明における機能層の一つである低屈折率層は、水酸基を含む含フッ素ポリマー、及び該含フッ素ポリマー中の水酸基と反応し得る化合物(硬化剤)を含む硬化可能な組成物、いわゆる硬化性樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。硬化剤は水酸基と反応する部位を2個以上有することが好ましく、4個以上有することが更に好ましい。
硬化剤の構造は、水酸基と反応しうる官能基を前記個数有するものであれば特に限定はなく、例えばポリイソシアネート類、イソシアネート化合物の部分縮合物、多量体や、多価アルコール、低分子量ポリエステル皮膜などとの付加物、イソシアネート基をフェノールなどのブロック化剤でブロックしたブロックポリイソシアネート化合物、アミノプラスト類、多塩基酸又はその無水物などを挙げることができる。
[アミノプラスト類]
中でも、本発明では、保存時の安定性と架橋反応の活性の両立の観点、及び形成される膜の強度の観点から、酸性条件下で水酸基含有化合物と架橋反応するアミノプラスト類が好ましい。アミノプラスト類は、含フッ素ポリマー中に存在する水酸基と反応可能なアミノ基、すなわちヒドロキシアルキルアミノ基もしくはアルコキシアルキルアミノ基、又は窒素原子に隣接し、且つアルコキシ基で置換された炭素原子を含有する化合物である。具体的には、例えばメラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物等を挙げることができる。
上記メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているもので、具体的にはメラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができる。特に、メラミンとホルムアルデヒドを塩基性条件下で反応して得られるメチロール化メラミン及びアルコキシ化メチルメラミン、並びにその誘導体が好ましく、特に保存安定性からアルコキシ化メチルメラミンが特に好ましい。またメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンについて特に制約はなく、例えば「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されているような方法で得られる、各種樹脂の使用も可能である。
また上記尿素化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、さらには環状尿素構造であるグリコールウリル骨格や2−イミダゾリジノン骨格を有する化合物も好ましい。前記尿素誘導体等のアミノ化合物についても前記「ユリア・メラミン樹脂」等に記載の各種樹脂の使用が可能である。
本発明において架橋剤として好適に用いられる化合物としては、特にメラミン化合物又はグリコールウリル化合物が好ましく、その中でも反応性の観点から、架橋剤が分子中に窒素原子を含有し、且つ該窒素原子に隣接するアルコキシ基で置換された炭素原子を2個以上含有する化合物であることが好ましい。特に好ましい化合物は下記(H−1)及び(H−2)で表される構造を有する化合物、及びそれらの部分縮合体である。式中Rは炭素数1〜6のアルキル基又は水酸基を表す。
Figure 2007140282
〔硬化触媒〕
本発明のフィルムは、ハードコート層などの機能性層用塗布組成物を塗布した後、加熱しながらバインダーの水酸基と上記硬化剤との架橋反応で膜を硬化する。この系では酸により硬化が促進されるため、硬化性樹脂組成物に、酸性物質を添加することが望ましいが、通常の酸を添加すると塗布液中でも架橋反応が進行してしまい、故障(ムラ、ハジキなど)の原因となる。従って、熱硬化系で保存安定性と硬化活性を両立するために、加熱により酸を発生する化合物(以下、熱酸発生剤ともいう)を硬化触媒として添加する。
[酸と有機塩基からなる塩]
本発明で使用される硬化触媒は、酸と有機塩基からなる塩であることが好ましい。酸としては、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸など有機酸や硫酸、リン酸のような無機酸が挙げられ、ポリマーに対する相溶性の観点から有機酸がより好ましく、スルホン酸、ホスホン酸が更に好ましく、スルホン酸が最も好ましい。好ましいスルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸(PTS)、ベンゼンスルホン酸(BS)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、p−クロロベンゼンスルホン酸(CBS)、1,4−ナフタレンジスルホン酸(NDS)、メタンスルホン酸(MsOH)、ノナフルオロブタン−1−スルホン酸(NFBS)などが挙げられ、何れも好ましく用いることができる(( )内は略称)。
本発明で好ましく用いることができる有機塩基としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。( )内は沸点を示す。
b−3:ピリジン(115℃)、b−14:4−メチルモルホリン(115℃)、b−20:ジアリルメチルアミン(111℃)、b−19:トリエチルアミン(88.8℃)、b−21:t−ブチルメチルアミン(67〜69℃)、b−22:ジメチルイソプロピルアミン(66℃)、b−23:ジエチルメチルアミン(63〜65℃)、b−24:ジメチルエチルアミン(36〜38℃)、b−18:トリメチルアミン(3〜5℃)。
本発明において酸触媒として用いる時には、上記酸と有機塩基からなる塩を単離して用いてもよいし、酸と有機塩基を混合して溶液中で塩を形成させ、その溶液を用いてもよい。また、酸、有機塩基とも1種類だけで用いてもよいし、複数種類のものを混合して用いてもよい。酸と有機塩基を混合して用いる時には、酸と有機塩基の当量比が1:0.9〜1.5となるように混合することが好ましく、1:0.95〜1.3であることがより好ましく、1:1.0〜1.1であることが好ましい。
この酸触媒の使用割合は、前記硬化性樹脂組成物中の含フッ素ポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.2〜3質量部である。
(感光性酸発生剤)
本発明では、上述した熱酸発生剤の他に、光照射により酸を発生する化合物、すなわち感光性酸発生剤をさらに添加してもよい。該感光性酸発生剤は当該硬化性樹脂組成物の塗膜に感光性を付与し、例えば、光等の放射線を照射することによって当該塗膜を光硬化させることを可能にする物質である。
このような感光性酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、又はマイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。
代表的な感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ピリジニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等(好ましくはジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩)の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;その他を挙げることができる。
中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。例えば特開2002−29162号明細書の段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物等が挙げられる。
感光性酸発生剤は、単独で、又は2種以上を併用することができる。感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中の含フッ素ポリマー100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部、より好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。感光性酸発生剤の割合が該上限値以下であれば、得られる硬化膜の強度が優れたものとなり、透明性も良好なので好ましい。
1−4.透光性粒子
本発明のフイルムを反射防止フィルムとする場合、の機能層、特に防眩層やハードコート層には、防眩性(表面散乱性)や内部散乱性を付与するため、各種の透光性粒子を用いることができる。
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズ値の設計が容易となる。透光性粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が後記のような数値範囲になるものが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。
なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ(メタ)アクリレート粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することにより、本発明における内部ヘイズ、表面ヘイズを達成することができ、さらには中心線平均粗さを好ましい範囲にすることができる。
さらに、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としたバインダー(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子を組合せて用いることが好ましく、特にバインダーと架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
本発明におけるバインダー(透光性樹脂)と透光性粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、バインダー及び透光性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また、本発明においては、バインダーと透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−バインダーの屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.030を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。上記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
上記のような透光性粒子の場合には、バインダー中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
透光性粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは2.0〜6.0μmである。平均粒径が0.5μm以上であれば、光の散乱角度分布が広角に広がりすぎることがないので、ディスプレイの文字ボケを引き起こすことがなく好ましい。一方、10μm以下であれば、透光性粒子を添加する層の膜厚をあえて厚くする必要がなく、カールやコスト上昇といった問題が生じることもないので好ましい。
また透光性粒子は、粒子径の異なる2種以上のものを併用して用いてもよい。このことにより、より大きな粒子径の透光性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
上記透光性粒子は、それが添加される層の全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合されることが好ましい。より好ましくは5〜20質量%である。3質量%以上含有させることにより、十分な添加効果を発揮させることができ、30質量%以下であれば、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じることがない。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mである。
透光性粒子の粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒度分布を持つ粒子は、調製又は合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
1−5.無機粒子
本発明には硬度などの物理特性、反射率、散乱性などの光学特性などの向上のため、各種無機粒子を用いることができる。
無機粒子としては、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つ金属の酸化物、具体例としては、ZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO等が挙げられる。その他BaSO、CaCO、タルク及びカオリンなどが含まれる。
本発明に使用する無機粒子の粒径は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。無機粒子を100nm以下に微細化することで透明性を損なわないフィルムを形成できる。無機粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
本発明に使用する無機粒子は分散媒体中に分散物として使用する層の塗布液に添加することが好ましい。
無機粒子の分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。このような分散媒体の例には、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル等)、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素等)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン等)、エーテルアルコール(例えば、1−メトキシ−2−プロパノール等)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールがより好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。
[高屈折率粒子]
本発明を構成する層を高屈折率化する目的に対しては、屈折率の高い無機粒子をモノマーと開始剤、有機置換された珪素化合物中に分散した組成物の硬化物が好ましく用いられる。
この場合の無機粒子としては、屈折率の観点から、特にZrO、TiO好ましく用いられる。ハードコート層の高屈折率化に対してはZrOが、高屈折率層、中屈折率層用の粒子としてはTiOの微粒子が最も好ましい。
上記TiOの粒子としては、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有するTiOを主成分とする無機粒子が特に好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明におけるTiOを主成分とする粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
TiOを主成分とする粒子の一次粒子の質量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
TiOを主成分とする粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
TiOを主成分とする粒子に、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)及びZr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、TiOが有する光触媒活性を抑えることができ、本発明の反射防止フィルムの耐候性を改良することができる。特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また、2種類以上を併用することも好ましい。
本発明で用いられるTiOを主成分とする無機粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していてもよい。
層中の無機粒子の添加量は、バインダーの全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であると更に好ましい。無機粒子は層内で2種類以上用いてもよい。
[低屈折率粒子]
低屈折率層に含有させる無機粒子は、低屈折率であることが望ましく、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点でシリカ微粒子が好ましい。
シリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。すなわち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
ここで、無機粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
シリカ微粒子の粒径が上記下限値以上であれば、耐擦傷性の改良効果が大きくなり、上記上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化するなどの不都合が生じないので好ましい。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよく、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題ない。
(中空シリカ粒子)
屈折率をより低下させる目的のためには、中空のシリカ微粒子を用いることが好ましい。
中空のシリカ微粒子は、その屈折率が1.15〜1.40であることが好ましく、更に好ましくは1.17〜1.35、最も好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をr、粒子外殻の半径をrとすると、空隙率x(%)は下記数式(1)で表される。中空シリカ粒子の空隙率xは、好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
数式(1):x={(4πr /3)/(4πr /3)}×100
中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から、中空のシリカ粒子の屈折率は、通常、1.15以上である。
中空シリカ粒子の製造方法は、例えば特開2001−233611号公報や特開2002−79616号公報に記載されている。本発明において用いられる中空シリカ粒子としては、特に外殻の内部に空洞を有している粒子で、その外殻の細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率は特開2002−79616号公報に記載の方法で算出することができる。
中空シリカ粒子の塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。塗設量が該下限値以上であれば、良好な低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果が発現するので好ましく、該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化するなどの不都合が生じないので好ましい。
中空シリカ粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。すなわち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上100nm以下、更に好ましくは、40nm以上65nm以下である。中空シリカ粒子の粒径が該下限値以上であれば、空腔部の割合が十分で屈折率の低下が見込めるので好ましく、該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化するなどの不都合が生じることがないので好ましい。中空シリカ粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよく、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題ない。
また、中空シリカ粒子は粒子平均粒子サイズの異なるものを2種以上併用して用いることができる。ここで、中空シリカ粒子の平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明において中空シリカ粒子の比表面積は、20〜300m/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m/g、最も好ましくは40〜90m/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることができる。
本発明においては、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。併用する際の空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上100nm以下、最も好ましくは40nm以上80nm以下である。
1−6.導電性粒子
本発明の反射防止フィルムには導電性を付与するためには、導電性金属部と導電性金属部がない可視光透過性部のパターンが形成された導電層を使用するが、補助的に導電層を設け、そこに各種の導電性粒子を用いることができる。導電性粒子は、金属の酸化物又は窒化物から形成することが好ましい。金属の酸化物又は窒化物の例には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛及び窒化チタンが含まれる。酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。
導電性無機粒子は、これらの金属の酸化物又は窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、V及びハロゲン原子が含まれる。酸化錫及び酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、V及びハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)及びSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
帯電防止層に用いる導電性無機粒子の一次粒子の平均粒子径は、1〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される帯電防止層中の導電性無機粒子の平均粒子径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。導電性無機粒子の平均粒子径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電性無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
導電性無機粒子を表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物又は有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例には、アルミナ及びシリカが含まれる。シリカ処理が特に好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。2種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
導電性無機粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状又は不定形状であることが好ましい。
導電性無機粒子は、特定の層内に又はそれ自体の層として、その2種類以上を併用してもよい。
帯電防止層中の導電性無機粒子の割合は、20〜90質量%であることが好ましく、25〜85質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがさらに好ましい。
1−7.表面処理剤
本発明で使用する無機粒子は、分散液中又は塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。
表面処理は、無機化合物又は有機化合物の表面処理剤を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例には、コバルトを含有する無機化合物(CoO、Co、Coなど)、アルミニウムを含有する無機化合物{Al、Al(OH)など}、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO、Zr(OH)など)、ケイ素を含有する無機化合物(SiOなど)、鉄を含有する無機化合物(Feなど)などが含まれる。
コバルトを含有する無機化合物、アルミニウムを含有する無機化合物、ジルコニウムを含有する無機化合物が特に好ましく、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)、Zr(OH)が最も好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、アニオン性基を有する有機化合物(好ましくは、カルボキシル基、スルホン酸基、又はリン酸基を有する有機化合物であり、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが特に好ましい)、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。これらのうちシランカップリング剤が最も好ましい。特にシランカップリング剤(オルガノシラン化合物)、その部分加水分解物、及びその縮合物の少なくとも一種で表面処理されていることが好ましい。
チタネートカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、「プレンアクト(KR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41B)」等{味の素(株)製}などが挙げられる。
表面処理に用いる有機化合物は、さらに、架橋性又は重合性官能基を有することが好ましい。架橋性又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基{例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等}、カチオン重合性基(例えばエポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(例えば加水分解性シリル基、N−メチロール基等)などが挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
これらの表面処理は2種類以上を併用することもでき、アルミニウムを含有する無機化合物とジルコニウムを含有する無機化合物を併用することが、特に好ましい。
無機粒子がシリカである場合、カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例えば、チタンカップリング剤、シランカップリング剤等)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
上記カップリング剤は、例えば低屈折率層の無機フィラーの表面処理剤として該層塗布液調製以前に、予め表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。特にシリカ微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
本発明に好ましく用いることのできる表面処理剤及び表面処理用の触媒の具体的化合物は、例えば、国際公開第2004/017105号パンフレットに記載のオルガノシラン化合物及び触媒を挙げることができる。
1−8.分散剤
本発明に使用する粒子の分散には各種の分散剤を使用することができる。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
無機粒子の分散、特にTiOを主成分とする無機粒子の分散にはアニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましく、アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有することがより好ましく、該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤であることが特に好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ基)、リン酸基(ホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、又はその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基又はその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1分子中に複数種類が含有されていてもよいが、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
側鎖にアニオン性基を有する分散剤において、アニオン性基含有繰返し単位の組成は、全繰返し単位のうちの10−4〜100mol%の範囲であり、好ましくは1〜50mol%、特に好ましくは5〜20mol%である。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
1分子当たりの分散剤に含有される架橋又は重合性官能基の数は、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有される架橋又は重合性官能基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
分散剤の無機粒子に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
1−8.防汚剤
本発明のフィルム、特にその最上層には防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系又はフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することが好ましい。
これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中には、ジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。
置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
シリコーン系化合物の分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、10000〜20000であることが最も好ましい。
またシリコーン系化合物の珪素原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。
好ましいシリコーン系化合物の例としては、信越化学(株)製の“X−22−174DX”、“X−22−2426”、“X−22−164B”、“X22−164C”、“X−22−170DX”、“X−22−176D”、“X−22−1821”(以上商品名);チッソ(株)製の「サイラプレーンFM−0725」、「サイラプレーンFM−7725」、「サイラプレーンFM−4421」、「サイラプレーンFM−5521」、「サイラプレーンFM−6621」、「サイラプレーンFM−1121」;Gelest社製の“DMS−U22”、“RMS−033”、“RMS−083”、“UMS−182”、“DMS−H21”、“DMS−H31”、“HMS−301”、“FMS121”、“FMS123”、“FMS131”、“FMS141”、“FMS221”(以上商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖{例えば−CFCF、−CH(CFH、−CH(CFCF、−CHCH(CFH等}であっても、分岐構造{例えばCH(CF、CHCF(CF、CH(CH)CFCF、CH(CH)(CFCFH等}であっても、脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばペルフルオロシクロへキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)であってもよく、エーテル結合を有していてもよい(例えばCHOCHCFCF、CHCHOCHH、CHCHOCHCH17、CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成に、あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。
フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのコポリマーであっても、コオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。
フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。
好ましいフッ素系化合物の例としては、ダイキン化学工業(株)製の“R−2020”、“M−2020”、“R−3833”、“M−3833”(以上商品名);大日本インキ(株)製の「メガファックF−171」、「メガファックF−172」、「メガファックF−179A」、「ディフェンサMCF−300」(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤又はポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。
これらを添加剤として添加する場合には、例えば低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製の「メガファックF−150」(商品名)、東レダウコーニング(株)製の“SH−3748”(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
1−9.界面活性剤
本発明の反射防止フィルムには、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、又はその両者を光拡散層形成用の塗布液中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(「フッ素系高分子界面活性剤」と略記することもある)が挙げられ、該フッ素系高分子界面活性剤は、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とするか、又は下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とするアクリル系共重合体、メタアクリル系共重合体、及びこれらと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。
(i)下記一般式(6)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式(6):
Figure 2007140282
一般式(6)において、R61は水素原子又はメチル基を表し、L61は酸素原子、イオウ原子又はN(R62)−を表し、r5は1以上6以下の整数、q3は2〜4の整数を表す。R62は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子又はメチル基である。L61は酸素原子が好ましい。
(ii)前記(i)と共重合可能な下記一般式(7)で示されるモノマー
一般式(7):
Figure 2007140282
一般式(7)において、R71は水素原子又はメチル基を表し、L71は酸素原子、イオウ原子又はN(R73)−を表し、R73は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子又はメチル基である。L71は酸素原子、−N(H)−、及びN(CH)−が好ましい。
72は置換基を有してもよい炭素数4以上20以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表す。R72のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
本発明で用いられるフッ素系高分子界面活性剤中に用いられるこれらの一般式(6)で示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系高分子界面活性剤の各単量体に基づいて10モル%以上であり、好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系高分子界面活性剤の好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
更に、本発明で用いられるフッ素系高分子界面活性剤の好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系高分子界面活性剤の添加量が0.001質量%以上であれば、効果が十分に発揮されるので好ましく、また5質量%以下であれば、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼしたりするなどの不具合が生じないので好ましい。
1−10.増粘剤
本発明の反射防止フィルムは、機能層形成用の塗布液の粘度を調整するために増粘剤を用いてもよい。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cP(10−3Pa・s)であり、さらに好ましくは0.10〜20cP(10−3Pa・s)であり、最も好ましくは0.10〜10cP(10−3Pa・s)である。
このような増粘剤としては以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ−ε−カプロラクトントリオール、ポリビニルアセテート、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレングルタレート)、ポリ(1,4−ブチレンスクシネート)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)、ポリ(2−メチル−1,3−プロピレングルタレート)、ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)、ポリ(ネオペンチルグリコールセバケート)、ポリ(1,3−プロピレンアジペート)、ポリ(1,3−プロピレングルタレート)、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルプロパナール、ポリビニルヘキサナール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート。
この他にも、特開平8−325491号公報記載のスメクタイト、フッ素四珪素雲母、ベントナイト、シリカ、モンモリロナイト及びポリアクリル酸ナトリウム、特開平10−219136号公報記載のエチルセルロース、ポリアクリル酸、有機粘土など、公知の粘度調整剤やチキソトロピー性付与剤を使用することができる。
1−11.塗布溶媒
本発明において、各層を形成するための塗布液に用いられる溶媒としては、各成分を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶媒が使用できる。溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶媒を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶媒を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶媒としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類;ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル (90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類;ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類;アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類;メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類;アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類;二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃を以上の溶媒としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン{メチルイソブチルケトン(MIBK)と同じ、115.9℃}、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
1−12.その他
本発明のフィルムには、前記の成分以外に、樹脂、カップリング剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを層形成用塗布液に添加することもできる。
1−13.支持体
本発明のフィルムの支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シート、透明ガラスなど特に限定はない。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム{例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム等}、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
〔セルロースアシレートフィルム〕
その中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムの支持体として一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましく、セルローストリアセテートフィルムが特に好ましい。又、透明支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度とする。
[セルロースアセテート]
本発明ではセルロースアシレートフィルムに、酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算に従う。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明に用いる支持体用のセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
〔ポリエチレンテレフタレートフィルム〕
本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性及び耐湿性共に優れており、その上安価であり支持体として好ましく用いられる。
透明プラスチックフィルム支持体などとその上に設けられるハードコート層との密着強度をより向上させるため、透明プラスチックフィルムは易接着処理が施されたされたものであることが更に好ましい。市販されている光学用易接着層付きPETフィルムとしては、東洋紡績(株)製「コスモシャインA4100、A4300」等が挙げられる。
2.透明導電性ハードコート反射防止フィルムを構成する機能性層
本発明の透明導電性ハードコート反射防止フィルムの構成層は、ハードコート層、反射防止層、防眩層、低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層などの各種の機能性層として作用する。これらの機能性層は、上記の各種化合物を混合、塗設して各種の機能層を形成することによって得られるものである。特に各種機能層を設置し、反射防止フィルムとして用いることが特に好ましい。以下に次に、本発明の透明導電性ハードコートフィルムを構成する各機能層について記載する。
2−1.防眩層
防眩層は、本発明で規定される表面散乱による防眩性と共に、好ましくは得られる反射防止フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性を該フィルムに寄与する目的で形成される。
防眩性を形成する方法としては、特開平6−16851号公報に記載のような、表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法;特開2000−206317号公報に記載のように、電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法;特開2000−338310号公報に記載のように、乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより、透光性微粒子及び透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法;特開2000−275404号公報に記載のように、外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法;などが知られており、本発明においてもこれら公知の方法を利用することができる。
本発明で用いることができる防眩層は、好ましくはハードコート性を付与することのできるバインダー、防眩性を付与するための透光性粒子、及び溶媒を必須成分として含有し、透光性粒子自体の突起又は複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものであることが好ましい。
マット粒子の分散によって形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなる。防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、球形又は不定形のいずれも使用できる。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせて、透光性樹脂の屈折率を調整することにより、本発明における内部ヘイズ、表面ヘイズを達成することができる。具体的には、後述する本発明の好ましい態様における防眩層に好ましく用いられる3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなる透光性樹脂(硬化後の屈折率が1.55〜1.70)と、スチレン含率50〜100質量%である架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子及び/又はベンゾグアナミン粒子との組合せが好ましく、特に前記透光性樹脂とスチレン含率50〜100質量%である架橋ポリ(スチレン−アクリレート)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.54〜1.59)との組合せが特に好ましい。
透光性粒子は、形成された防眩層中に、防眩層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合されることが好ましい。より好ましくは5〜20質量%である。透光性粒子を3質量%以上使用することにより、良好な防眩性を発揮させることができ、30質量%以下であれば、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じることがない。
使用される透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mである。
また、透光性樹脂の屈折率と透光性粒子の屈折率の差の絶対値は0.04以下であることが好ましい。透光性樹脂の屈折率と透光性粒子の屈折率の差の絶対値は、好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.040以下であれば、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じることがない。
ここで、前記透光性樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133dpi以上の高精細ディスプレイに防眩性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。「ギラツキ」は、防眩性反射防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
防眩層の膜厚は、1〜10μmの範囲であることが好ましく、1.2〜8μmの範囲であることがより好ましい。該下限値以上であればハードコート性が不足することがなく、該上限値以下であればカールの発生や脆性の低下により加工適性が低下するなどの問題が生じないので、該膜厚範囲内とするのが好ましい。
一方、防眩層の中心線平均粗さ(Ra)は0.10〜0.40μmの範囲が好ましい。Raが0.40μm以下であれば、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生しない。また、透過画像鮮明度の値は5〜60%とするのが好ましい。
防眩層の硬度は、鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
2−2.ハードコート層
本発明に係る反射防止フィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、防眩層に加えてハードコート層を設けることができる。また、ハードコート層は、透光性粒子を含有することにより、防眩層を兼ねることもできる。好ましくは、そのハードコート層の上に低屈折率層が設けられ、更に好ましくはハードコート層と低屈折率層の間に中屈折率層、高屈折率層が設けられ、反射防止フィルムを構成することが好ましい。
ハードコート層は、2層以上の積層から構成されてもよい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.52〜1.90であり、更に好ましくは1.55〜1.80である。本発明の好ましい態様では、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層あるので、屈折率がこの範囲より小さ過ぎると反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。
ハードコート層の膜厚は、透明導電性ハードコートフィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5〜50μm程度とし、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは2〜10μm、最も好ましくは3〜7μmである。
ハードコート層の硬度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
さらに、JIS K−5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布液を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子又は樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマーもしくは無機粒子、又はその両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマー及び/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。
本発明の反射防止フィルムを画像表示装置に用いるとき、その画像の鮮明性を維持する目的で、該反射防止フィルム表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。クリアな反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像のボケ具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は、好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
なお、本明細書において、「ハードコート層」は、以上に述べてきたように、ハードコート層としての機能のみを有する場合、ハードコート層であって反射防止層としても機能する場合、同様に防眩機能をも有する場合を含んでいる。
2−3.高屈折率層、中屈折率層
本発明の反射防止フィルムには、前記のように、高屈折率層、中屈折率層を設け、反射防止性を高めることができる。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作製する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層に用いるTiOを主成分とする無機粒子は、分散物の状態で高屈折率層及び中屈折率層の形成に使用する。
無機粒子は、分散剤の存在下で分散媒体中に分散するのがよい。
本発明に用いる高屈折率層及び中屈折率層は、分散媒体中に無機粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(例えば、前記の電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層及び中屈折率層形成用の塗布液とし、透明支持体上に高屈折率層及び中屈折率層形成用の塗布液を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
さらに、高屈折率層及び中屈折率層のバインダーを層の塗布と同時又は塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した高屈折率層及び中屈折率層のバインダーは、例えば、前記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層及び中屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機粒子を含有する高屈折率層及び中屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
高屈折率層のバインダーは、該層の塗布液の固形分量に対して、5〜80質量%添加する。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で2種類以上を併用してもよい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は、他の層を介して構築することが好ましい。
2−4.低屈折率層
本発明の反射防止フィルムの反射率を低減するため、低屈折率層を用いられる。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.46であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の硬度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100度以上である。
低屈折率層の形成に特に好ましく用いられる前記硬化性組成物は、前記の(1)特定の塩基性を満たす塩基と酸からなる塩および/または(2)特定の沸点範囲を満たす塩基と酸からなる塩を含み、必要に応じて前記含フッ素ポリマー、架橋剤、さらには無機粒子、オルガノシラン化合物を含有する。
低屈折率層には、本発明における微粒子を分散・固定するためにバインダーが用いられる。バインダーとしては、前記ハードコート層で述べたバインダーを用いることができるが、バインダー自身の屈折率の低い含フッ素ポリマー、又は含フッ素ゾル/ゲル素材などを用いることが好ましい。含フッ素ポリマー又は含フッ素ゾル/ゲルとしては、熱又は電離放射線により架橋し、形成される低屈折率層表面の動摩擦係数0.03〜0.30であり、水に対する接触角85〜120°となる素材が好ましい。
2−5.帯電防止層、導電性層
本発明においては、補助的に帯電防止層を設けることもできる。帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、又は透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法を挙げることができる。導電性層は、支持体に直接又は、支持体との接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、帯電防止層を反射防止膜の一部として使用することもできる。この場合、最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる。
帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、10〜1012Ω/sqであることが好ましく、10〜10Ω/sqであることがさらに好ましく、10〜10Ω/sqであることが最も好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、帯電防止層のヘイズは10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。また波長550nmの光の透過率は、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
本発明における帯電防止層は、その硬度が優れていることが好ましく、具体的な帯電防止層の硬度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
2−6.防汚層
本発明のフィルム特に反射防止フィルムの最表面には防汚層を設けることができる。防汚層は反射防止層の表面エネルギーを下げ、親水性又は親油性の汚れを付きにくくするものである。
防汚層には含フッ素ポリマーや防汚剤を用いて形成することができる。
防汚層の厚さは2〜100nmであることが好ましく、5〜30nmであることがさらに好ましい。
2−7.干渉ムラ(虹ムラ)防止層
本発明のフィルム特に反射防止フィルムにおける透明支持体とハードコート層、又は透明支持体と防眩層に実質的な屈折率差(屈折率差が0.03以上)がある場合、透明支持体/ハードコート層、又は透明支持体/防眩界面で反射光が生じる。この反射光は反射防止層表面での反射光と干渉し、ハードコート層(又は防眩層)の微妙な膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止するために、例えば透明支持体とハードコート層(又は防眩層)の間に中間の屈折率nを有し、膜厚dが下記数式(2)を満たす様な干渉ムラ防止層を設けることもできる。
数式(2):d=(2N−1)×λ/(4n
但し、λは可視光の波長で450〜650nmの範囲の何れかの値、Nは自然数。
また、フィルムを画像表示等に貼合する場合、透明支持体の反射防止層を積層していない側に粘着剤層(又は接着剤層)を積層する場合がある。この様な態様で、透明支持体と粘着剤層(又は接着剤層)の間に実質的な屈折率差(0.03以上)がある場合、透明支持体/粘着剤層(又は接着剤層)の反射光が生じ、この反射光が、反射防止層表面の反射光などと干渉し、上記と同様に支持体やハードコート層の膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止する目的で透明支持体の反射防止層を積層していない側に上記と同様の干渉ムラ防止層を設けることもできる。
なお、この様な干渉ムラ防止層に関しては特開2004−345333号公報に詳しく記載されており、本発明ではここで紹介されている干渉ムラ防止層を用いることもできる。
2−8.易接着層
本発明のフィルム特に反射防止フィルムには易接着層を塗設することもできる。易接着層とは、例えば、本発明のフィルムを偏光板用保護フィルムとして用いるときの、該保護フィルムとその隣接層、又はハードコート層と支持体とを接着し易くする機能を付与する層のことをいう。
易接着処理としては、ポリエステル、アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、シランカップリング剤等からなる易接着剤により透明プラスチックフィルム上に易接着層を設ける処理が挙げられる。
本発明において好ましく用いられる易接着層の例としては、−COOM(Mは水素原子又はカチオンを表す)基を有する高分子化合物を含有する層を含むものであり、さらに好ましい態様は、フィルムの支持体側に−COOM基を有する高分子化合物を含有する層を設け、それに隣接させて偏光膜側に親水性高分子化合物を主たる成分として含む層を設けたものである。
ここでいう−COOM基を有する高分子化合物としては例えば−COOM基を有するスチレン−マレイン酸共重合体や−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸−無水マレイン酸共重合体などであり、特に−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体を用いると好ましい。このような高分子化合物を単独で又は2種以上併用して用いることができる。
上記高分子化合物の好ましい質量平均分子量としては、500〜500,000程度のものであるとよい。−COOM基を有する高分子化合物の特に好ましい例は特開平6−094915号、特開平7−333436号などの各公報に記載のものが好ましく用いられる。
また親水性高分子化合物として好ましくは、親水性セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシセルロース等)、ポリビニルアルコール誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルービニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルベンザール等)、天然高分子化合物(例えば、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム等)、親水性ポリエステル誘導体(例えば、部分的にスルホン化されたポリエチレンテレフタレート等)、親水性ポリビニル誘導体(例えば、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルインダゾール、ポリビニルピラゾール等)が挙げられ、単独で又は2種以上併用して用いられる。
易接着層の厚みとしては0.05〜1.0μmの範囲が好ましい。0.05μm以上であれば十分な接着性が得られ、また、1.0μmより厚くても接着性の効果はそれ以上あまり向上しないので、易接着層は該厚み範囲とすることが好ましい。
2−9.カール防止層
本発明のフィルムには、カール防止加工を施すこともできる。カール防止加工とは、これを施した面を内側にして丸まろうとする機能を付与するものである。透明樹脂フィルムの片面にのみ前記の各種機能層などを形成したフィルムには、その各種機能層などを形成した側の面を内側にしてカールしようとする傾向を生じる。カール防止層はこうしたカールの発生を防止する働きをするものである。
カール防止層は、フィルムの背面、すなわち支持体の、防眩層又は反射防止層を有する側と反対側の表面に設ける態様を挙げることができるが、本発明では、例えばフィルムの背面にも易接着層を塗設する場合もあり、カール発生の状況によっては、逆面、すなわち防眩層又は反射防止層を有する側にカール防止加工を塗設するような態様も挙げることができる。
カール防止加工の具体的方法としては、溶媒塗布によるもの、溶媒とセルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等の透明樹脂層を塗設するもの等が挙げられる。
溶媒塗布による方法とは、具体的には、フィルムの支持体として用いるセルロースアシレートフィルムを溶解させる溶媒、又は膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われる。これらのカールを防止する機能を有する層の塗布液は、従ってケトン系、エステル系の有機溶媒を含有するものが好ましい。
好ましいケトン系の有機溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−へプチルケトン等であり、好ましいエステル系の有機溶媒の例としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
しかしながら、用いる溶媒としては、セルロースアシレートフィルムを溶解させる溶媒及び/又は膨潤させる溶媒の他、さらに該フィルムを溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。この他にも、透明ハード加工や帯電防止加工を施してもカール防止機能を発揮する。
2−10.水吸収層
本発明のフィルムには水吸収剤を含む層を設けることができる。水吸収剤は、アルカリ土類金属を中心に、水吸収機能を有する化合物から選択することができる。例えば、BaO、SrO、CaO、及びMgOなどが挙げられる。さらに、Ti、Mg、Ba、Caの様な金属元素から選択することもできる。これらの吸収剤粒子の粒子サイズは、好ましくは100nm以下であり、50nm以下で使用されるのがさらに好ましい。
これらの水吸収剤を含む層は、前記の帯電防止層と同様に真空蒸着法等を使って作製してもよいし、ナノ粒子を各種方法で作成して用いてもよい。層の厚みは1〜100nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。
水吸収剤を含む層は、支持体と積層体(反射防止層を含む各種機能層)の間、積層体の最上層、積層体の間、又は積層体中の有機層もしくは帯電防止層中に添加されていてもよい。帯電防止層に添加する場合には共蒸着法を用いることが好ましい。
2−11.プライマー層・無機薄膜層
本発明のフィルムでは、支持体と積層体との間に、公知のプライマー層又は無機薄膜層を設置することで、ガスバリアー性を高めたりすることができる。
プライマー層としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが可能であるが、本発明においては、このプライマー層として、これらの樹脂の層と無機薄膜層とを組み合わせた有機/無機ハイブリッド層を設けることが好ましい。無機薄膜層としては、無機蒸着層又はゾルーゲル法による緻密な無機コーティング薄膜が好ましい。無機蒸着層としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ等の蒸着層が好ましい。無機蒸着層は真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することができる。
3.透明導電性ハードコートフィルムの層構成
本発明のハードコートフィルムについては、上記のような層を用い、公知の層構成を使用することができる。たとえば、代表的な例としては以下のようなものがある。
a.支持体/ハードコート層
b.支持体/ハードコート層/低屈折率層(図1)
c.支持体/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層(図2)
d.支持体/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層(図3)
上記b(図1)のように、支持体(1)上にハードコート層(2)を塗布した上に、低屈折率層(5)を積層すると、フィルムとして好適に用いることができる。低屈折率層(5)はハードコート層(2)の上に低屈折率層(5)を光の波長の1/4前後の膜厚で形成することにより、薄膜干渉の原理により表面反射を低減することができる。
また、c(図2)のように支持体(1)上にハードコート層(2)を塗布した上に、高屈折率層(4)、低屈折率層(5)を積層してもフィルムとして好適に用いることができる。さらに、d(図3)のように支持体(1)、ハードコート層(2)、中屈折率層(3)、高屈折率層(4)、そして低屈折率層(5)の順序の層構成を設置することにより、反射率を1%以下とすることができる。
上記透明導電性ハードコートフィルムa〜dの層構成において、ハードコート層(2)は防眩性を有する防眩層とすることができる。防眩性は図4に示されるようなマット粒子の分散によるものでも、図5に示されるようなエンボス加工などの方法による表面の賦形によって形成されてもよい。マット粒子の分散によって形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなる。防眩性を有する防眩層は、好ましくは防眩性とハードコート性を兼ね備えており、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。
また支持体とそれよりも表面側の層の間、あるいは最表面に設けてもよい層として、干渉ムラ(虹ムラ)防止層、帯電防止層(ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、別のハードコート層(1層のハードコート層又は防眩層だけで硬度が不足する場合)、ガスバリアー層、水吸収層(防湿層)、密着改良層、防汚層(汚染防止層)、等が挙げられる。
本発明における反射防止層を有する防眩性反射防止フィルムを構成する各層の屈折率は以下の関係を満たすことが好ましい。
ハードコート層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
4.フィルムの製造方法
本発明のフィルムは、以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
4−1.塗布液の調製
[各層形成用塗布液の調製]
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶媒の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。溶媒の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
[塗布液物性]
本発明における塗布方式は、液物性により塗布可能な上限の速度が大きく影響を受けるため、塗布する瞬間の液物性、特に粘度及び表面張力を制御する必要がある。
粘度については2.0mPa・sec以下であることが好ましく、更に好ましくは1.5mPa・sec以下、最も好ましくは1.0mPa・sec以下である。塗布液によっては剪断速度により粘度が変化するものもあるため、上記の値は塗布される瞬間の剪断速度における粘度を示している。塗布液にチキソトロピー剤を添加して、高剪断のかかる塗布時は粘度が低く、塗布液に剪断が殆どかからない乾燥時は粘度が高くなると乾燥時のムラが発生しにくくなり、好ましい。
また、液物性ではないが、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量も塗布可能な上限の速度に影響を与える。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は2.0〜5.0cc/mの範囲であることが好ましい。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やすと塗布可能な上限の速度が上がるため好ましいが、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やしすぎると乾燥にかかる負荷が大きくなるため、液処方・工程条件によって最適な透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を決めることが好ましい。
表面張力については、15〜36mN/mの範囲にあることが好ましい。レベリング剤を添加するなどして表面張力を低下させることは乾燥時のムラが抑止されるため好ましい。一方、表面張力が下がりすぎると塗布可能な上限の速度が低下してしまうため、17mN/m〜32mN/mの範囲がより好まく、19mN/m〜26mN/mの範囲が更に好ましい。
[濾過]
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜10μmのフィルターが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜5μmであるフィルターを用いることが好ましく用いられる。フィルターの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
濾過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物のろ過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
4−2.塗布前の処理
本発明で使用する支持体は、塗布前に表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理又は紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
さらに、塗布が行われる前工程としての除塵工程に用いられる除塵方法として、特開昭59−150571号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法;特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法;特開平7−333613号公報に記載される超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、「ニューウルトラクリーナー」等)等の乾式除塵法が挙げられる。
また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法;特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行う方法;特開2001−38306号に記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
また、このような除塵工程を行う前に、フィルム支持体上の静電気を除電しておくことは、除塵効率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。このような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後のフィルム支持体の帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアシレートフィルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして使用する場合のように、セルロースアシレートフィルムを偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理又はアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
接着性などの観点から、セルロースアシレートフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましく、上記表面処理により調整することができる。
4−3.塗布
本発明のフィルムの各層は、以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許第2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、且つ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくともハードコート層乃至フッ素含有オレフィン系重合体を含む低屈折率層の内の少なくとも一層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/inが好ましく、100〜300本/inがより好ましい。グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましい。支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
本発明のフィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。特に、ハードコート層や反射防止層のような、ウエット塗布量の少ない領域(20cc/m以下)で好ましく用いることができる。
4−4.乾燥
本発明のフィルムは、支持体上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶媒を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送されることが好ましい。溶媒を乾燥する方法としては、各種の知見を利用することができる。具体的な知見としては特開2001−286817号公報、同2001−314798号公報、同2003−126768号公報、同2003−315505号公報、同2004−34002号公報などの記載が挙げられる。
乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布液に含有される溶媒以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには、120℃の温風中で数分以内にその数10質量%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布液に含有される溶媒以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布液を支持体上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布液の固形分濃度が1〜50質量%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
また、各層の塗布液を支持体上に塗布した後、乾燥ゾーン内で支持体の塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと支持体との温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
4−5.硬化
本発明のフィルムは、溶媒の乾燥の後に、ウェブで電離放射線及び/又は熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化することができる。
本発明のフィルムは、まず5分から20分間の間、70℃以上130℃以下の温度で加熱し、その後、紫外線に代表される活性エネルギー線により硬化することが好ましい。熱硬化の温度は、好ましくは70℃以上120℃以下であり、80℃以上115℃以下であることが最も好ましい。
本発明における電離放射線種は、特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。
紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく利用できる。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
照射条件は、それぞれの光源によって異なるが、照射エネルギー量は10mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、50mJ/cm〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜2000mJ/cmである。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。
本発明では、支持体上に積層された少なくとも一層に電離放射線を照射し、且つ電離放射線照射開始から0.5秒以上の間、膜面温度60℃以上に加熱した状態で、酸素濃度10体積%以下の雰囲気で電離放射線を照射する工程によって硬化することが好ましい。また電離放射線照射と同時及び/又は連続して酸素濃度3体積%以下の雰囲気で加熱されることも好ましい。特に最外層であり、かつ膜厚が薄い低屈折率層がこの方法で硬化されることが好ましい。硬化反応が熱で加速され、物理強度、耐薬品性に優れた皮膜を形成することができる。
電離放射線を照射する時間については0.7秒以上60秒以下が好ましく、0.7秒以上10秒以下がより好ましい。0.5秒以上であれば、硬化反応を完了させることができ、十分な硬化を行うことができる。また60秒以下であれば、それほど長時間低酸素条件を維持することにならず、設備が大型化したり、多量の不活性ガスが必要であったりする不都合がないので好ましい。
酸素濃度は、6体積%以下の雰囲気で、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は重合反応により形成することが好ましく、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。必要以上に酸素濃度を低減しなければ、窒素などの不活性ガスの使用量がそれほど多量とはならず、製造コストの観点から好ましい。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
不活性ガスを電離放射線照射室に供給し、且つ照射室のウェッブ入り口側にやや吹き出す条件にすることで、ウェッブ搬送に伴う導搬エアーを排除し、反応室の酸素濃度を有効に下げられると共に、酸素による硬化阻害の大きい極表面の実質の酸素濃度を効率よく低減することができる。照射室のウェッブ入り口側での不活性ガスの流れの方向は、照射室の給気、排気のバランスを調整することなどで制御できる。不活性ガスをウェッブ表面に直接吹き付けることも、導搬エアーを除去する方法として好ましく用いられる。
また上記反応室の前に前室を設け、事前にウェッブ表面の酸素を排除することで、より硬化を効率よく進めることができる。また電離放射線反応室又は前室のウェッブ入口側を構成する側面は、不活性ガスを効率的に使用するために、ウェッブ表面とのギャップは0.2〜15mmが好ましく、より好ましくは、0.2〜10mmとするのがよく、0.2〜5mmとするのがもっとも好ましい。
しかし、ウェッブを連続製造するには、ウェッブを接合して繋げていく必要があり、接合には接合テープなどで貼る方法が広く用いられている。このため、電離放射線反応室又は前室の入口面とウェッブのギャップをあまり狭くすると、接合テープなど接合部材が引っかかる問題が生じる。このためギャップを狭くするには、電離放射線反応室又は前室の入口面の少なくとも一部を可動とし、接合部が入るときは接合厚み分ギャップを広げるのが好ましい。この実現のためには、電離放射線反応室又は前室の入口面を進行方向前後に可動にしておき、接合部が通過する際に前後に動いてギャップを広げるやり方や、電離放射線反応室又は前室の入口面をウェッブ面に対し、垂直方向に可動にし、接合部が通過する際に上下に動いてギャップを広げるやり方を取ることができる。
硬化の際、フィルム面が60℃以上170℃以下で加熱されることが好ましい。60℃以上であれば、加熱の硬化が十分に行われ、170℃以下であれば、基材の変形などの問題が生じない。更に好ましい温度は60℃〜100℃である。フィルム面とは硬化しようとする層の膜面温度を指す。またフィルムがこの温度である時間は、UV照射開始から0.1秒以上、300秒以下が好ましく、更に10秒以下が好ましい。フィルム面の温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎることがなければ、皮膜を形成する硬化性組成物の反応を十分に促進することができ、また長すぎることがなければフィルムの光学性能が低下したり、設備が大きくなったりするなどの製造上の問題は生じない。
加熱する方法に特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線又は赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号明細書に記載の回転金属ロールに温水や蒸気・オイルなどの媒体を流して加熱する方法も利用できる。加熱の手段としては誘電加熱ロールなどを使用してもよい。
紫外線照射は、構成する複数の層それぞれに対して、1層設ける毎に照射してもよいし、積層後照射してもよい。あるいはこれらを組み合わせて照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。
本発明では、支持体上に積層された少なくとも一層を複数回の電離放射線により硬化することができる。この場合、少なくとも2回の電離放射線を、酸素濃度3体積%を超えることのない連続した反応室で行うことが好ましい。複数回の電離放射線照射を同一の低酸素濃度の反応室で行うことにより、硬化に必要な反応時間を有効に確保することができる。特に高生産性のため製造速度を上げた場合には、硬化反応に必要な電離放射線のエネルギーを確保するために複数回の電離放射線照射が必要となる。
また、硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に層を設けて電離放射線及び/又は熱により硬化した際に下層の硬化率が上層を設ける前よりも高くなると、下層と上層との間の密着性が改良され、好ましい。
4−6.ハンドリング
本発明のフィルムを連続的に製造するために、ロール状の支持体フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する支持体フィルムを巻き取る工程が行われる。
ロール状のフィルム支持体からフィルム支持体が、クリーン室に連続的に送り出され、クリーン室内で、フィルム支持体に帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続きフィルム支持体上に付着している異物を、除塵装置により除去する。引き続きクリーン室内に設置されている塗布部で、塗布液がフィルム支持体上に塗布され、塗布されたフィルム支持体は、乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有するフィルム支持体は、乾燥室から硬化室へ送り出され、塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化する。さらに、硬化した層を有するフィルム支持体は硬化部へ送られ硬化を完結させ、硬化が完結した層を有するフィルム支持体は巻き取られてロール状となる。
上記工程は、各層の形成毎に行ってもよいし、塗布部−乾燥室−硬化部を複数設けて、各層の形成を連続的に行うことも可能である。
本発明のフィルムを作製するためには、前記したように塗布液の精密濾過操作と同時に、塗布部における塗布工程及び、乾燥室で行われる乾燥工程が高い清浄度の空気雰囲気下で行われ、且つ塗布が行われる前に、フィルム上のゴミ、ほこりが充分に除かれていることが好ましい。塗布工程及び乾燥工程の空気清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が353個/m以下)以上であることが望ましく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子が35.5個/m以下)以上であることが望ましい。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好ましい。
4−7.鹸化処理
本発明のフィルムを、偏光膜の2枚の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作製する際には、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
a.アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中にフィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面の、アルカリと反応性を有する部分を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。該鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和したりすることが好ましい。
鹸化処理することにより、塗布層を有する表面と反対の表面の両方が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、塗布層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の、水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に塗布層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受けることがあるため、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10〜50゜、より好ましくは30〜50゜、さらに好ましくは40〜50゜となる。50゜以下であれば、偏光膜との接着性に問題が生じることがないので好ましい。一方、10゜以上であれば、フィルムが受けるダメージが大きすぎて物理強度を損なうなどの問題を生じないので好ましい。
b.アルカリ液を塗布する方法
上記の浸漬法における、各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件で、アルカリ液を、塗布層を有する側とは反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等への接触などによって行うことも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点ではaの浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば蒸着膜やゾル−ゲル膜は、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響を受けることがあるため、浸漬法ではこれらの層を設けることは容易ではないが、この塗布法では液と接触しないため問題なくこれらの層を設けることが可能となる。
上記a、bのどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行ってもよい。さらに、同様に巻き出した支持体からなる偏光膜との張り合わせ工程も併せて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率よく偏光板を作製することができる。
c.ラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
上記bと同様に、塗布層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合には、最終層まで形成した後に、該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで、最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化することができる。この場合、鹸化処理の後にラミネートフィルムを剥離すればよい。この方法でも、塗布層へのダメージなしに、偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理を、トリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。上記bの方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、アルカリ液を塗布する特別な装置が不要である利点がある。
d.中途層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
下層まではアルカリ液に対する耐性があるが、上層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、下層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に上層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、例えば防眩層とフッ素含有ゾル/ゲル膜の低屈折率層とからなるフィルムにおいては、低屈折率層が親水基を有する場合には、防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
e.予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに塗布層を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを、予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接又は他の層を介して塗布層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面と形成される塗布層との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、塗布層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで、親水化面を除去してから塗布層を形成することで対処できる。また、塗布層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
4−8.偏光板の作製
本発明のフィルムは、偏光膜の片側又は両側に配置される保護フィルムとして使用して偏光板を製造することができる。
その場合、一方の保護フィルムとして、本発明のフィルムを用い、他方の保護フィルムには、通常のセルロースアセテートフィルムを用いることができる。また前記の溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムと、そのようなロールフィルム形態のフィルムに、前記のダイコーターなどにより塗布層を形成した本発明のフィルムとを用いることが好ましい。
更には、本発明の偏光板において、片面が反射防止フィルムであるのに対して、他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであることも好ましい態様である。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
反射防止フィルムの透明支持体やセルロースアセテートフィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要である。偏光膜と保護フィルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤の溶媒は保護フィルム中を拡散することで乾燥される。保護フィルムの透湿性が高ければ高いほど、乾燥は早くなり生産性は向上するが、透湿性が高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)によっては水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下することがある。
保護フィルムの透湿性は、透明支持体であるポリマーフィルム(及び重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、親疎水性等により決定される。
本発明の反射防止フィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、透湿性は100〜1000g/m・24hrsであることが好ましく、300〜700g/m・24hrsであることが更に好ましい。
透明支持体の厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により調整することができる。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の自由体積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整することができる。この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の親疎水性は、添加剤により調整することができる。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることができる。
上記透湿性を独立に制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
偏光膜としては、公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作製される。
すなわち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ、張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落[0020]〜[0030]に詳しい記載がある。
偏光膜の2枚の保護フィルムのうち、反射防止フィルム以外のフィルムが、光学異方性を有する光学補償層を含む光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
5.本発明のフィルムの使用形態
本発明のフィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。本発明に従う反射防止フィルターは、プラズマディスプレイパネル(PDP)又は陰極管表示装置(CRT)など公知のディスプレイ上に用いることができる。
5−1.液晶表示装置
本発明のフィルム及びそれを用いた偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板を有し、液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードであることが好ましい。
[TNモード]
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
[VAモード]
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、
(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、
(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル{“SID97,Digest of tech.Papers”(予稿集)、28集(1997年)、845頁記載}、
(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59頁(1998)記載)及び、
(4)SURVAIVALモードの液晶セル(「LCDインターナショナル98」で発表)が含まれる。
[OCBモード]
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4,583,825号、同第5,410,422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
[IPSモード]
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくは“Proc.IDRC”(Asia Display ’95),577−580頁及び同707−710頁に記載されている。
[ECBモード]
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの1つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
5―2.液晶表示装置以外のディスプレイ
[PDP]
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の2枚である。2枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。2枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されている。プラズマディスプレイパネルについては、特開平5−205643号、同9−306366号の各公報に記載がある。
前面板をプラズマディスプレイパネルの前面に配置することがある。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために、充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもできる。
プラズマディスプレイパネルのような画像表示装置では、光学フィルターとして本発明のフィルムをディスプレイ表面に直接貼り付けることができる。また、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)又は裏側(ディスプレイ側)に光学フィルターとしての反射防止フィルムを貼り付けることもできる。
[タッチパネル]
本発明のフィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
[有機EL素子]
本発明のフィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明のフィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
6.各種特性値
以下に本発明のフィルムに関する各種測定法と、好ましい特性値を示す。
6−1.反射率
鏡面反射率及び色味の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価することができる。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、鏡面反射率2.0%以下、透過率90%以上とするのが、外光の反射を抑制でき、視認性が向上するため、好ましい。鏡面反射率は1.5%以下が特に好ましく、3−d記載のような層構成を用いることにより反射率を1.0%以下とすることが最も好ましい。
6−2.色味
本発明のフィルムをその保護フィルムとして用いた偏光板は、CIE標準光源D65の、波長380nmから780nmの領域における入射角5゜の入射光に対して、正反射光の色味、すなわちCIE1976L色空間のL、a、b値を求めることで色味を評価することができる。
、a、b値は、それぞれ3≦L≦20、−7≦a≦7、且つ、−10≦b≦10の範囲内であることが好ましい。この範囲とすることで、従来の偏光板で問題となっていた赤紫色から青紫色の反射光の色味が低減され、さらに3≦L≦10、0≦a≦5、且つ、−7≦b≦0の範囲内とすることで大幅に低減され、液晶表示装置に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、気にならない。詳しくはa≦7であれば赤味が強くなりすぎることがなく、a≧−7であればシアン味が強くなりすぎることがなく好ましい。またb≧−7であれば青味が強くなりすぎることがなく、b≦0であれば黄味が強くなりすぎることがなく好ましい。
更には、反射光の色味均一性は、反射光の380nm〜680nmの反射スペクトルにより求めたL色度図上でのaより、下記の数式(3)に従って色味の変化率として得ることができる。
数式(3):
Figure 2007140282
ここで、a max及びa minは、それぞれa値の最大値及び最小値;b max及びb minは、それぞれb値の最大値及び最小値;a av及びb avは、それぞれa値及びa値の平均値である。色の変化率は、それぞれ30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、8%以下であることが最も好ましい。
また、本発明のフィルムは、耐候性試験前後の色味の変化であるΔEが15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることが最も好ましい。この範囲において、低反射と反射光の色味の低減を両立することができるため、例えば画像表示装置の最表面に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味が、ニュートラルで、表示画像の品位が良好となり、好ましい。
上記の色味の変化ΔEは、下記の数式(4)に従って求めることができる。
数式(4):ΔE=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ここで、ΔL,Δa,Δbは、耐候性試験前後のL値,a値,b値それぞれの変化量である。
6−3.透過画像鮮明度
透過画像鮮明度は、JIS K−7105に従い、スガ試験機(株)製の写像性測定器「ICM−2D型」にて、スリット幅が0.5mmの光学櫛を用いて測定できる。
本発明のフィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。本発明のフィルムの透過画像鮮明度は5%〜30%であるのが、充分な防眩性と画像ボケ、暗室コントラスト低下の改善が両立されるので、好ましい。
6−4.表面粗さ
中心線平均粗さ(Ra)の測定は、JIS B−0601に準じて行うことができる。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、その表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0.08〜0.30μm、10点平均粗さRzがRaの10倍以下、平均山谷距離Smが1〜100μm、凹凸最深部からの凸部高さの標準偏差が0.5μm以下、中心線を基準とした平均山谷距離Smの標準偏差が20μm以下、傾斜角0〜5゜の面が10%以上となるように設計するのが、十分な防眩性と目視での均一なマット感が達成されるので、好ましい。Raが0.08以上であれば、充分な防眩性が得られ、0.30以下であれば、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生することがない。
6−5.ヘイズ
本発明の反射防止フィルムのヘイズとは、JIS K−7105に規定されたヘイズ値のことであり、JIS K−7361−1で規定された測定法に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計“NDH−1001DP”を用いて測定したヘイズ=(拡散光/全透過光)×100(%)として自動計測される。
また、本発明の防眩性反射防止フィルムは、その光学特性を内部散乱に起因するヘイズ(以後、内部ヘイズと呼称する)は0%〜30%であることが好ましく、5%〜30%であることがより好ましく、5%〜25%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが特に好ましい。内部ヘイズが5%未満でも、明室コントラスト向上の観点では好ましいが、5%以上であれば、使用できる素材の組合せが多様になり、防眩性その他の特性値の合わせこみが比較的容易で、また、高コストとなることもないのでより好ましい。内部散乱が30%以下であれば、暗室コントラストが悪化することがない。
さらに、表面散乱に起因するヘイズ(以後、表面ヘイズと呼称する)は1%以上10%未満であることが必要であり、2%以上7%未満であることが好ましく、2%〜5%が特に好ましい。表面ヘイズが1%以上であれば、良好な防眩性を示し、10%未満であれば、外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生することがない。
表面ヘイズ、内部ヘイズは、透光性粒子の屈折率を調節することで、所望の範囲とすることができる。
さらにまた、本発明で用いられる塩を添加した場合の耐擦傷性向上効果は、表面ヘイズ10%未満の反射防止フィルムで顕著であった。表面ヘイズによって、塩添加の効果が異なることは予想外のことであるが、表面ヘイズが低い方が傷の視認性が高いため、本発明の効果が顕著に認められるものと思われる。
なお、表面ヘイズと内部ヘイズは以下の手順で測定することができる。
(1)JIS K−7136に準じて、フィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
(2)フィルムの低屈折率層側の表面及び裏面にシリコーンオイルを数滴滴下し、厚さ1mmのガラス板{「ミクロスライドガラス品番S9111」、松浪硝子工業(株)製}を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムとを光学的に密着させ、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出する。
(3)上記(1)で測定した全ヘイズ(H)から上記(2)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。
本発明の内部散乱によるヘイズは3〜30%であることが好ましく、10〜25%であることがさらに好ましく15〜25であることが最も好ましい。
6−6.耐擦傷性
[スチールウール耐傷性評価]
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行うことで、耐擦傷性の指標とすることができる。
評価環境条件:25℃、60%RH、
こすり材:スチールウール{日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000}を試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定、
移動距離(片道):13cm、
こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm、及び200g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察したり、擦った部分以外との反射光量との差を目視観察することによって評価する。
[消しゴム擦り耐傷性評価]
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行うことで、耐擦傷性の指標とすることができる。
評価環境条件:25℃、60%RH、
こすり材:プラスチック消しゴム{(株)トンボ鉛筆製“MONO”}を試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に固定、
移動距離(片道):4cm、
こすり速度:2cm/秒、
荷重:500g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:100往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察したり、擦った部分以外との反射光量との差によって評価する。
[テーパー試験]
JIS K−5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量から擦傷性を評価することができる。この摩耗量が少ないほど好ましい。
6−7.硬度
[鉛筆硬度]
本発明のフィルムの硬度は、JIS K−5400に従う鉛筆硬度試験で評価することができる。鉛筆硬度はH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
[表面弾性率]
本発明のフィルムにおける表面弾性率は、微小表面硬度計{(株)フィッシャー・インスツルメンツ製:「フィッシャースコープH100VP−HCU」}を用いて求めた値である。具体的には、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の変化から求められる弾性率である。
[ユニバーサル硬度]
また上記の微小表面硬度計を用いて、表面硬度をユニバーサル硬度として求めることもできる。ユニバーサル硬度は四角錐圧子の試験荷重下での押し込み深さを測定し、試験荷重をその試験荷重で生じた圧痕の幾何学的形状から計算される圧痕の表面積で割った値である。上記の表面弾性率とユニバーサル硬度の間には、正の相関を有することが知られている。
本発明で定義する架橋性ポリマーのユニバーサル硬度とは、ガラス板上に硬化形成した約20〜30μm厚の該架橋性ポリマー膜について、フィッシャーインストルメンツ(株)製の微小硬度計“H100”により、以下測定手順で求めたユニバーサル硬度(N/mm)によって表わされる。
架橋性ポリマーの他に、必要な触媒や架橋剤、重合開始剤等を含んだ固形分濃度約25質量%の塗布液を、硬化後の膜厚が約20〜30μmになるように適切なバーコーターを選択してTOSHINRIKO.CO.LTD製、(26mm×76mm×1.2mm)磨きスライドガラス板上に塗布する。架橋性ポリマーが熱硬化性の場合には、膜が十分硬化される熱硬化条件を予め求めておき(一例として125℃、10分)、架橋性ポリマーが電離放射線硬化性の場合にも、同様に膜が十分硬化される硬化条件を予め求めておく(一例として酸素濃度12ppm、UV照射量750mJ/cm)。それぞれの膜に対して、荷重を0から4mNまで連続的に増加させ、基材のガラス板硬度の影響がでない1/10膜厚を最大として、円錐ダイヤモンド圧子を押し込んだ際の各荷重Fに対する窪み面積A(mm)から求めたF/AのN=6測定平均値からユニバーサル硬度を算出する。
また、特開2004−354828号公報記載のナノインデンテーションによって表面硬度をもとめることができ、この場合の硬度としては2GPa〜4GPa、ナノインデンテーション弾性率は10GPa〜30GPaであることが好ましい。
6−8.防汚性試験
[マジック拭き取り性]
フィルムをガラス面上に粘着剤で固定し、25℃、60RH%の条件下で黒「マジックインキ」(「マッキー極細」){商品名:ゼブラ(株)製}のペン先(細)にて直径5mmの円形を3周書き込み、5秒後に10枚重ねに折り束ねた「ベンコット」{商品名:旭化成(株)}で「ベンコット」の束がへこむ程度の荷重で20往復拭き取る。「マジックインキ」跡が拭き取りで消えなくなるまで、この書き込みと拭き取りを同一の条件で繰り返し、拭き取りできた回数により防汚性を評価することができる。
消えなくなるまでの回数は5回以上であることが好ましく、10回以上であることが更に好ましい。
黒「マジックインキ」については「マジックインキ No.700(M700―T1 黒)極細」を用い、試料の上に直径1cmの円を描いて塗りつぶし、24時間放置後に「ベンコット」で擦り、「マジックインキ」が拭き取れるかどうかによっても評価することができる。
6−9.接触角
接触角計[“CA−X”型接触角計、協和界面科学(株)製]を用い、乾燥状態(20℃、65%RH)で、液体として純水を使用して直径1.0mmの液滴を針先に作り、これをフィルムの表面に接触させてフィルム上に液滴を作った。フィルムと液体とが接する点における、液体表面に対する接線とフィルム表面がなす角で、液体を含む側の角度を接触角とする。
本発明のフィルムの接触角は純水に対して94゜以上であることが好ましく。97゜以上であることがさらに好ましく、101゜以上であることが最も好ましい。
6−10.表面自由エネルギー
表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」、(株)リアライズ社出版、1989.12.10発行に記載のように、接触角法、湿潤熱法、及び吸着法により求めることができる。本発明のフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
本発明のフィルムの表面自由エネルギー(γs:単位、mN/m)とは、D.K.Owensの“J.Appl.Polym.Sci.”、13巻、1741頁(1969年)を参考に、フィルム上で実験的に求めた純水HOとヨウ化メチレンCHのそれぞれの接触角θH2O、θCH2I2から、以下の連立方程式a,bより求めたγsとγsの和で表される値γs(=γs+γs)で定義されるフィルムの表面張力を表す。このγsが小さく、低表面自由エネルギーであるほど表面の撥き性が高く、一般に防汚性に優れる。
a.1+cosθH2O=2√γs(√γH2O /γH2O )+2√γs(√γH2O /γH2O
b.1+cosθCH2I2=2√γs(√γCH2I2 /γCH2I2 )+2√γs(√γCH2I2 /γCH2I2
γH2O =21.8、γH2O =51.0、γH2O =72.8、
γCH2I2 =49.5、γCH2I2 =1.3、γCH2I2 =50.8
で、接触角の測定はフィルムを25℃、60%RHの条件下で1時間以上調湿した後に、協和界面科学(株)製、自動接触角計「CA−V150型」を用いて、2μLの液滴をフィルム上に滴下してから30秒後に接触角を求めた。
本発明のフィルムの表面自由エネルギーは、25mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以下であることが特に好ましい。
6−11.カール
カールの測定は、JIS K−7619−1988の「写真フィルムのカールの測定法」中の方法Aのカール測定用型板を用いて行われる。
測定条件は25℃、60%RH、調湿時間10時間である。
本発明におけるフィルムは、カールを以下の数式(5)で表したときの値が、−15〜+15の範囲に入っていることが好ましく、−12〜+12の範囲がより好ましく、さらに好ましくは−10〜+10である。このときのカールの試料内測定方向は、ウェッブ形態での塗布の場合、基材の搬送方向について測ったものである。
数式(5):カール=1/R
Rは曲率半径(m)
これは、フィルムの製造、加工、市場での取り扱いで、ひび割れ、膜はがれを起こさないための重要な特性である。カール値が前記範囲にあり、カールが小さいことが好ましい。ここで、カールが「+」とはフィルムの塗設側が湾曲の内側になるカールをいい、「−」とは塗設側が湾曲の外側になるカールをいう。
また、本発明におけるフィルムは、上記したカール測定法に基づいて、相対湿度のみを80%と10%に変更したときの各カール値の差の絶対値が、24〜0が好ましく、15〜0がさらに好ましく、8〜0が最も好ましい。これはさまざまな湿度下でフィルムを貼り付けたときのハンドリング性や剥がれ、ひび割れに関係する特性である。
6−12.密着性評価
フィルムの層間、又は支持体と塗布層との密着性は以下の方法により評価することができる。
塗布層を有する側の表面に、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ“NO.31B”を圧着し、24時間放置後引き剥がす試験を同じ場所で繰り返し3回行い、剥がれの有無を目視で観察する。
100個の升目中、剥がれが10升以内であることが好ましく、2升以内であることが更に好ましい。
6−13.脆性試験(耐ひび割れ性)
耐ひび割れ性は、フィルムの塗布、加工、裁断、粘着剤の塗布、種々の物体への貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
フィルム試料を35mm×140mmに切断し、温度25℃、60%RHの条件で2時間放置した後、筒状に丸めたときにひび割れが発生し始める曲率直径を測定し、表面のひび割れを評価することができる。
本発明のフィルムの耐ひび割れ性は、塗布層側を外側にして丸めたときに、ひび割れが発生する曲率直径が、50mm以下であることが好ましく、40mm以下がより好ましく、30mm以下が最も好ましい。エッジ部のひび割れについては、ひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満であることが好ましい。
6−14.塵埃除去性
本発明のフィルムをモニターに張り付け、モニター表面に塵埃(布団、衣服の繊維屑)を振りかけ、クリーニングクロスで塵埃を拭き取り、塵埃除去性を評価することができる。
6回の拭取りで完全に取除けることが好ましく、3回以内の拭き取りで塵埃が完全に取り除けることが更に好ましい。
6−15.液晶表示装置の性能
以下に、本発明のフィルムを表示装置上に用いたときの特性の評価方法と好ましい状況について記載する。
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置“TH−15TA2”{松下電器産業(株)製}に設けられている視認側の偏光板を剥がし、代わりに本発明のフィルム又は偏光板を、塗布面が視認側に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように粘着剤を介して貼り付ける。500Lxの明室にて、液晶表示装置を黒表示にして、種々の視角から目視により以下の各種特性を評価することができる。
[画像のムラ、色味評価]
作製した液晶表示装置を用いて、黒表示(L1)時のムラや色味変化を複数の観察者により目視評価する。
10人が評価し、ムラ、左右色味変化、温湿度による色味変化、白ボケを認識できるものが3人以下であることが好ましく、1人も認識できないことがより好ましい。
また、外光の映り込みは蛍光灯を用いて行い、目視にて映り込みの変化を相対的に評価することができる。
[黒表示の光漏れ]
液晶表示装置正面からの方位方向45゜、極角方向70゜における黒表示の光漏れ率を測定する。光漏れ率が0.4%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
[コントラスト、及び視野角]
コントラスト及び視野角は、測定機“EZ−Contrast 160D”(ELDIM社製)を用いて、コントラスト比及び左右方向(セルのラビング方向と直交方向)の視野角(コントラスト比が10以上となる角度範囲の広さ)を調べることができる。
以下に、実施例に基づき本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記の実施例、合成例中、特に断らない限り%は質量%を表す。
(実施例1−1)
水媒体中のAg60gに対してゼラチン7.5gを含む、球相当径平均0.05μmの沃臭化銀粒子(I=2モル%)を含有する乳剤を調製した。この際、Ag/ゼラチン体積比は1/1とし、ゼラチン種としては平均分子量2万の低分子量ゼラチンを用いた。
また、この乳剤中にはK3Rh2Br9及びK2IrCl6を濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、更に塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が1g/m2(銀量基準)となるようにポリエチレンテレフタレート(PET)上に塗布した。PETは塗布前にあらかじめ親水化処理したものを用いた。乾燥させた塗布膜にライン/スペース=5μm/195μmの現像銀像を与えうる格子状のフォトマスク(ライン/スペース=195μm/5μm(ピッチ200μm)の、スペースが格子状であるフォトマスク)を介して紫外線ランプを用いて露光し、下記の現像液を用いて25℃で45秒間現像し、さらに定着液(スーパーフジフィックス:富士写真フイルム社製)を用いて現像処理を行った後、純水でリンスした。
[現像液の組成]
現像液1リットル中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 0.037mol/L
N−メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
注:N−メチルアミノフェノールは、1/2硫酸塩を使用し、現像液のpHが、10.3となるように水酸化ナトリウム又はホウ酸でpH調製を行った。
さらに、メッキ液(硫酸銅0.06モル/L,ホルマリン0.22モル/L,トリエタノールアミン0.12モル/L,ポリエチレングリコール100ppm、黄血塩50ppm、α、α‘−ビピリジン20ppmを含有する、pH=12.5の無電解Cuメッキ液)を用い、45℃にて無電解銅メッキ処理を行った後、10ppmのFe(III)イオンを含有する水溶液で酸化処理を行ない、本発明のサンプルAおよびサンプルBを得た。サンプルAおよびサンプルBは、同条件であり、反復繰り返し精度の確認の目的のものである。
また、従来知られている中で最も導電性が高く且つ光透過性の高い技術と比較すべく、前述の従来技術欄の「(3)フォトリソグラフィー法を利用したエッチング加工メッシュ」の代表として、特開2003−46293号公報記載の金属メッシュの作成を行った。
このサンプルは特開2003−46293号公報の実施例1と同様の操作を行って作成した。尚、本発明のサンプルとメッシュ形状(線幅、ピッチ)を一致させるために、上記と同じピッチ200μmのフォトマスクを利用した。
このようにして得られた、導電性金属部と光透過性部とを有するサンプルの導電性金属部の線幅を測定して開口率を求めるとともに、表面抵抗値をも測定した。
評価結果を、比較例のデータと共に表1に示す。
Figure 2007140282
表1から判るように、本発明例の試料A,Bは、従来のフォトリソグラフィ法よりもはるかに簡易な走査によって作られたにも拘らず、フォトリソグラフィ法による比較資料と同じ導電性と透明性(表面抵抗と透過率)を有している。
(実施例1−2)
前述の従来技術欄の「銀塩を利用した導電性金属銀の形成方法」である、物理現像核に銀を沈着させる銀塩拡散転写法(特開2000−149773号公報及び国際公開WO01/51276号公報等)との比較を以下の様に行った。
特開2000−149773号公報に記載の方法と同様の方法で、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出し、その上に物理現像核層と感光層を塗布し、ピッチ200μmのメッシュ状フォトマスクを介して露光を与え、DTR法による現像を行い、比較サンプルbを作製した。
また、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、実施例1―1と同様の方法により、4cm×4cmの大きさの塗布試料を用い、本発明サンプルCを作製した。
本発明サンプルCと比較サンプルbのメッシュ形態は、線幅12μm、ピッチ200μmであり、どちらも開口率88%であった。
これらのサンプルの光透過性部の透過率と、表面抵抗とを測定した結果を表2に示す。
Figure 2007140282
これより、本発明の透光性電磁波シールド膜は、特開2000−149773号公報に記載の物理現像核を用いた銀塩拡散転写法で得られた導電性金属膜と比較して、高い導電性を有し、且つ優れた光透過性を有することが分かる。
以上のように、光透過性部の透明性の観点から、特開2000−149773号公報等に記載の銀塩拡散転写法を用いた方法ではディスプレイ前面に設置する電磁波シールド膜として十分透明なものを得ることは困難であり、これに対し物理現像核を塗布しない方法が透明性の高いシールド膜を得ることができディスプレイ用途として、より適している。
(実施例1−3)
銀塩拡散転写法を用いないで導電性金属部を得る場合、より高い導電性を得るために、高いAg/ゼラチン体積比が重要な要件であることを示すため、以下の実験を行った。
実施例1―2におけるゼラチン量を変更して、Ag/ゼラチン体積比が1/4〜1/0.6とし、メッシュをなす金属細線の線幅は12μm、開口率は88%である本発明サンプルD〜Gを作製した。本願の実施例1と同様の方法により表面抵抗を測定した。
また、通常のカラーネガフィルムを用いる場合に関して、比較のために述べる。市販のカラーネガフィルムのAg/バインダー(ゼラチン)体積比は、約1/17と非常に小さいため、実施例1―1におけるゼラチン量を変更して、Ag/ゼラチン体積比が1/17であるサンプルDを作製し、本願の実施例1―1、1−2と同様の実験を行い表面抵抗等を測定した。
結果を表3に示す。
Figure 2007140282
本発明では、Ag/バインダー(ゼラチン)体積比を大きくすることにより、より高い導電性が得られることが分かる。また透過率の点でもAg/バインダー体積比を大きくすることが好ましい。
表面電気抵抗率が300Ω/sq以下の導電性が要求されるディスプレー用としては、Ag/ゼラチン比は1/4以上が好ましく、表面電気抵抗率が2.5Ω/sq以下の導電性が要求されるPDP用としては、Ag/ゼラチン比は1/3以上が好ましい。
また、通常のカラーネガフィルムのようなAg/ゼラチン比の小さい感光材料を用いると、導電性パターンの形成は可能であっても、透光性電磁波シールド材料として十分な導電性を満たすことは困難である。
(実施例1−4)<反射防止フィルムの作製>
〔含フッ素ポリマーの合成〕
合成例1:含フッ素ポリマー(P2)の合成
内容量100mLのステンレス製撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル18.5g、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)8.8g、「サイラプレーンFM−0725」{チッソ(株)製}1.0g、及び“V−65”{熱ラジカル発生剤、和光純薬(株)製}0.40gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)15gを、オートクレーブ中に導入して62℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が62℃に達した時点の圧力は、8.9kg/cmであった。オートクレーブ内を62℃に保持して9時間反応を続け、圧力が6.2kg/cmに達した時点で加熱をやめ放冷した。
室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンと2−プロパノールの混合物に投入し、デカンテーションにより溶媒を除去して沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを、少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンと2−プロパノールの混合物から2回再沈殿を行うことによって、残存モノマーを完全に除去し、減圧乾燥して含フッ素ポリマー(P2)を8.3g得た。得られたポリマーの数平均分子量は1.7万であった。
合成例2:含フッ素ポリマー(P3)の合成
内容量100mLのステンレス製撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル30g、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)8.8g、“VPS−1001”{マクロアゾ開始剤:和光純薬(株)製}0.88g、及び過酸化ラウロイル0.29gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)15gを、オートクレーブ中に導入して70℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が70℃に達した時点の圧力は、9.0kg/cmであった。オートクレーブ内を70℃に保持して9時間反応を続け、圧力が6.0kg/cmに達した時点で加熱をやめ放冷した。
室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンと2−プロパノールの混合物に投入し、デカンテーションにより溶媒を除去して沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを、少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンと2−プロパノールの混合物から2回再沈殿を行うことによって、残存モノマーを完全に除去し、減圧乾燥して含フッ素ポリマー(P3)を19.3g得た。得られたポリマーの数平均分子量は2.1万であった。
合成例3及び4:含フッ素ポリマー(P1)及び(P12)の合成
上記合成例1とほぼ同様にして、含フッ素ポリマー(P1)及び(P12)を合成した。得られた含フッ素ポリマーそれぞれの数平均分子量はP1:1.5万、P12:3.2万であった。
Figure 2007140282
表4中、含フッ素ポリマー構成成分に関しては各成分のモル比を示した。略号は以下のとおり。
HFP:ヘキサフルオロプロピレン、
M1−(1):ペルフルオロメチルビニルエーテル、
HEVE:2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、
HBVE:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、
EVE:エチルビニルエーテル、
ポリシロキサン構造を含有する構成成分に関しては、合成反応に用いたポリシロキサン含有成分の名前と、ポリマー全体に占めるポリシロキサン構造を含有する構成単位の質量%を記した。略号は以下の通り。
FM−0721:「サイラプレーンFM−0721」{チッソ(株)製}
FM−0725:「サイラプレーンFM−0725」(同上)
VPS−0501:マクロアゾ開始剤“VPS−0501”{和光純薬工業(株)製}
合成例5:p−トルエンスルホン酸塩の合成
ジエチルメチルアミン3.0gを2−ブタノン30mLに溶解し、攪拌しながらp−トルエンスルホン酸一水和物5.7gを少量ずつ添加した。さらに1時間攪拌した後溶媒を減圧留去し、得られた固体をアセトンから再結晶してp−トルエンスルホン酸のジエチルメチルアミン塩を得た。
〔反射防止フィルムの作製〕
[低屈折率層用塗布液(LLL−1〜LLL−31)の調製]
表5に示す各成分を混合し、メチルエチルケトン(MEK)及びメチルイソブチルケトン(MIBK)の混合溶液(混合比30:70)に溶解して固形分6%の低屈折率層用塗布液を作製した。
Figure 2007140282
なお表5中の使用量の数値は、低屈折率層用塗布液の固形分中に占める各成分の固形分(又は有効成分)の質量%を表す。また表5中の略号は次のとおり。
CY303:「サイメル303」、日本サイテックインダストリーズ(株)製、メチロール化メラミン。
MEK−STL:“MEK−STL”、日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ、粒子サイズ45nm。
また「中空シリカ」は、触媒化成(株)製中空シリカ(粒子サイズ50nm)を表し、硬化剤の欄の「H−1a」、「H−2a」はそれぞれ下記構造の化合物を表す。
Figure 2007140282
硬化触媒の酸の名前は各々、PTS:p−トルエンスルホン酸、DBS:p−ドデシルベンゼンスルホン酸、BS:ベンゼンスルホン酸である。
使用した硬化触媒の塩基のpKaと沸点を以下に示す。
塩基 pKa 沸点
b−23 10.5 64
b−19 10.7 88.5
b−3 5.7 115
[防眩層用塗布液(HCL−1)の調製]
“PET−30” 50.0g
「イルガキュア184」 2.0g
“SX−350”(30%) 1.5g
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.9g
“KBM−5103” 10.0g
トルエン 38.5g
上記混合液を、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層の塗布液(HCL−1)を調製した。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
“PET−30”:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物{日本化薬(株)製}、
「イルガキュア184」:重合開始剤{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}、
“SX−350”:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子{屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用}。
架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm{屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用}(表4中には、Ac-Stと略記)。
“KBM−5103”:アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン{信越化学工業(株)製}。
[ハードコート層用塗布液(HCL−2〜HCL−3)の調製]
各種内部散乱、表面散乱によるヘイズをもったフィルムを作製するため、上記HCL―1に含まれる透光性粒子の添加法を変化させた、HCL−2〜HCL−3を調製した。使用した各成分の種類及び使用量を表6に示す。
Figure 2007140282
[導電性ハードコートフィルム試料1の作製]
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、直接、上記のハードコート層用塗布液(HCL−1)を、線数180本/in、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度0.1体積%で160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照射強度400mW/cm、照射エネルギー量110mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの層を形成し、巻き取った。このようにして作製して得られた試料1のハードコート層の表面粗さは、Ra=0.18μm、Rz=1.40μm、表面ヘイズは12%、内部ヘイズは29%で防眩性を有するものであった。
[導電性ハードコートフィルム試料2〜9の作製]
上記導電性ハードコートフィルム試料1に対し、用いたトリアセチルセルロースベースフィルムを実施例1−1ないし1−3で作成した導電性フィルムとしたり、ハードコート層用塗布液をHCL−2、3とすることにより、表7記載の各種導電性ハードコートフィルムを得た。
[反射防止フィルム試料101の作製]
このようにして得られたハードコートフィルムあるいは導電性ハードコートフィルムの上に、上記低屈折率層用塗布液を用い、低屈折率層膜厚が95nmになるように調節して、導電性反射防止フィルムの各試料を作製した。反射防止フィルム試料101は、導電性ハードコートフィルム試料1を用い、低屈折率層の乾燥条件は120℃、10分とし、紫外線硬化条件は、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、240W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照射強度120mW/cm、照射エネルギー量240mJ/cmの照射量とした。
[各種導電性反射防止フィルム102〜125の作製]
上記反射防止フィルム試料101の作製において、低屈折率層用塗布液およびハードコート層用塗布液を表7の組み合わせで用いることにより表7記載の反射防止フィルム102〜125を作製した。
[反射防止フィルムの鹸化処理]
得られた反射防止フィルムは、以下の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
アルカリ浴:1.5mol/dm水酸化ナトリウム水溶液、55℃−120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒。
[反射防止フィルムの評価]
このようにして得られた、鹸化済みのハードコートフィルムを用いて以下の評価を行った。
(評価1)平均反射率の測定
本文記載の方法により450〜650nmの平均反射率を用いた。偏光板に加工されている試料は、偏光板形態のものをそのまま用い、フィルムそのものや偏光板を使用しない形態の表示装置の場合には、反射防止フィルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行い、黒色の台上にて測定した。
(評価2)スチールウール耐擦傷性評価
本文記載の方法により試験し、こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
○ :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
△ :弱い傷が見える。
× :一目見ただけで分かる傷がある。
(評価3)防汚性評価
本文記載の方法により付着試験を行い、それをクリーニングクロスで拭き取ったときの状態を観察して、以下のようにマジック付着性を評価した。
○:マジックの跡がわずかに見える。
△:マジックの跡が少し見える。
×:マジックの跡がほとんど拭き取れない。
(評価4)塵埃除去性
本発明のフィルムをガラス板に張り付け、表面に塵埃(布団、衣服の繊維屑)を振りかけ、クリーニングクロスで塵埃を拭き取り、6回の拭取りで完全に取除ける場合に△、3回以内の拭き取りで塵埃が完全に取り除ける場合を○、6回の拭取りで取除けない場合に×として評価した。
得られたフィルムの構成と評価結果を表7に示す。
Figure 2007140282
Figure 2007140282
[実施例2]
<反射防止フィルム付き偏光板の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。実施例1の鹸化処理済みの反射防止フィルムに、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、該反射防止フィルムの支持体(トリアセチルセルロース)側が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。光学補償層を有する視野角拡大フィルム「ワイドビューフィルムSA12B」{富士写真フイルム(株)製}を鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のもう一方の側に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。この偏光板状態で実施例1に準じた評価を行った結果、本発明のフィルムを用いた偏光板を用いることにより同様の効果が得られた。
<画像表示装置>
[実施例3]
実施例2で作製した本発明の偏光板を装着したTN、IPS、VA、OCBのモードの透過型液晶表示装置の視認性、耐擦傷性、防汚性、防塵性が優れていることが確認できた。
[実施例4]
実施例1の反射防止フィルム試料及び実施例2の偏光板試料を、それぞれ有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、いずれもガラス表面での反射が抑えられ、防塵性や視認性の高い表示装置が得られた。
本発明の反射防止フィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明の反射防止フィルムの別の好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明の反射防止フィルムのまた別の好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明の反射防止フィルムのさらに別の好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明の反射防止フィルムのさらにまた別の好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。
符号の説明
(1)支持体
(2)ハードコート層
(3)中屈折率層
(4)高屈折率層
(5)低屈折率層

Claims (9)

  1. 銀塩含有層のパターン状露光と化学現像とによって、導電性金属部と導電性金属部がない可視光透過性部とのパターンが形成された導電層を透明支持体上に有し、該導電層の上に少なくとも1層の硬化性組成物の硬化層が直接設置されてなることを特徴とする透明導電性ハードコートフィルム。
  2. 導電層の導電性金属部分が、パターン状に形成された現像銀上にさらに導電性金属を担持させることによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性ハードコートフィルム。
  3. 導電性金属の担持が、物理現像、無電海めっき及び電解めっきから選ばれる担持手段によって行なわれることを特徴とする請求項2に記載の透明導電性ハードコートフィルム。
  4. 導電層のパターンが、導電性金属部が1μmから40μmのメッシュ状の細線から形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性ハードコートフィルム。
  5. 硬化層として表面粗さRa0.1μ以上である防眩層を有する導電性防眩フィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性ハードコートフィルム。
  6. 支持体からもっとも離れた側に、屈折率1.2以上1.5以下であり、膜厚50nm以上200nm以下の低屈折率層を有する反射防止フィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ハードコートフイルム。
  7. 低屈折率層中に粒子サイズ1nm以上100nm以下の無機酸化物粒子を含有することを特徴とする請求項6に記載の導電性ハードコートフィルム。
  8. 偏光板における偏光膜の2枚の保護フィルムのうちの一方に請求項1〜7のいずれかに記載の導電性ハードコートフィルムが用いられていることを特徴とする偏光板。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の導電性ハードコートフィルム、又は請求項8に記載の偏光板がディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
JP2005335983A 2005-11-21 2005-11-21 透明導電性ハードコートフィルムならびに該フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置 Abandoned JP2007140282A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005335983A JP2007140282A (ja) 2005-11-21 2005-11-21 透明導電性ハードコートフィルムならびに該フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005335983A JP2007140282A (ja) 2005-11-21 2005-11-21 透明導電性ハードコートフィルムならびに該フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007140282A true JP2007140282A (ja) 2007-06-07

Family

ID=38203195

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005335983A Abandoned JP2007140282A (ja) 2005-11-21 2005-11-21 透明導電性ハードコートフィルムならびに該フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007140282A (ja)

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009037237A (ja) * 2007-07-11 2009-02-19 Bridgestone Corp ディスプレイ用フィルタ及びこれを備えたディスプレイ
JP2009128600A (ja) * 2007-11-22 2009-06-11 Bridgestone Corp ディスプレイ用光学フィルタ、これを備えたディスプレイ及びプラズマディスプレイパネル
WO2009096124A1 (ja) * 2008-01-29 2009-08-06 Toray Industries, Inc. ディスプレイ用フィルター
WO2009122624A1 (ja) * 2008-03-31 2009-10-08 東レ株式会社 ディスプレイ用フィルター
JP2009251379A (ja) * 2008-04-08 2009-10-29 Sumitomo Chemical Co Ltd 防眩フィルム、防眩性偏光板および画像表示装置
WO2010007900A1 (ja) 2008-07-17 2010-01-21 東レフィルム加工株式会社 ディスプレイ用フィルター
EP2163920A1 (en) * 2007-06-15 2010-03-17 Bridgestone Corporation Optical filter for display, and display and plasma display panel provided with same
JP2010128107A (ja) * 2008-11-26 2010-06-10 Dainippon Printing Co Ltd 光学シート
JP2010128256A (ja) * 2008-11-28 2010-06-10 Dainippon Printing Co Ltd 光学シートの製造方法及び光学シート
JP2010237365A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Nippon Zeon Co Ltd 反射防止フィルム
KR20120035874A (ko) * 2010-10-05 2012-04-16 후지필름 가부시키가이샤 터치 패널
JP5629033B1 (ja) * 2013-01-23 2014-11-19 デクセリアルズ株式会社 親水性積層体、及びその製造方法、防汚用積層体、物品、及びその製造方法、並びに防汚方法
WO2015141762A1 (ja) * 2014-03-20 2015-09-24 富士フイルム株式会社 顔料分散液、白色加飾材、白色加飾材形成用の転写材料、白色加飾材付き基材、タッチパネル及び情報表示装置
KR101920711B1 (ko) 2012-01-16 2018-11-22 삼성전자주식회사 박막 패터닝 방법 및 이를 이용한 반도체소자의 제조방법

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003227932A (ja) * 2002-02-04 2003-08-15 Fuji Photo Film Co Ltd 偏光板用保護フィルムの製造方法、偏光板、および画像表示装置
JP2004221564A (ja) * 2002-12-27 2004-08-05 Fuji Photo Film Co Ltd 透光性電磁波シールド膜の製造方法及び透光性電磁波シールド膜
JP2005070436A (ja) * 2003-08-25 2005-03-17 Fuji Photo Film Co Ltd 防眩性反射防止膜の製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003227932A (ja) * 2002-02-04 2003-08-15 Fuji Photo Film Co Ltd 偏光板用保護フィルムの製造方法、偏光板、および画像表示装置
JP2004221564A (ja) * 2002-12-27 2004-08-05 Fuji Photo Film Co Ltd 透光性電磁波シールド膜の製造方法及び透光性電磁波シールド膜
JP2005070436A (ja) * 2003-08-25 2005-03-17 Fuji Photo Film Co Ltd 防眩性反射防止膜の製造方法

Cited By (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2163920A4 (en) * 2007-06-15 2011-09-21 Bridgestone Corp OPTICAL FILTER FOR DISPLAY DEVICE, DISPLAY DEVICE, AND PLASMA DISPLAY PANEL PROVIDED THEREWITH
EP2163920A1 (en) * 2007-06-15 2010-03-17 Bridgestone Corporation Optical filter for display, and display and plasma display panel provided with same
JPWO2008153139A1 (ja) * 2007-06-15 2010-08-26 株式会社ブリヂストン ディスプレイ用光学フィルタ、これを備えたディスプレイ及びプラズマディスプレイパネル
JP2009037237A (ja) * 2007-07-11 2009-02-19 Bridgestone Corp ディスプレイ用フィルタ及びこれを備えたディスプレイ
JP2009128600A (ja) * 2007-11-22 2009-06-11 Bridgestone Corp ディスプレイ用光学フィルタ、これを備えたディスプレイ及びプラズマディスプレイパネル
WO2009096124A1 (ja) * 2008-01-29 2009-08-06 Toray Industries, Inc. ディスプレイ用フィルター
WO2009122624A1 (ja) * 2008-03-31 2009-10-08 東レ株式会社 ディスプレイ用フィルター
JP2009251379A (ja) * 2008-04-08 2009-10-29 Sumitomo Chemical Co Ltd 防眩フィルム、防眩性偏光板および画像表示装置
WO2010007900A1 (ja) 2008-07-17 2010-01-21 東レフィルム加工株式会社 ディスプレイ用フィルター
JP2010128107A (ja) * 2008-11-26 2010-06-10 Dainippon Printing Co Ltd 光学シート
JP2010128256A (ja) * 2008-11-28 2010-06-10 Dainippon Printing Co Ltd 光学シートの製造方法及び光学シート
JP2010237365A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Nippon Zeon Co Ltd 反射防止フィルム
KR20120035874A (ko) * 2010-10-05 2012-04-16 후지필름 가부시키가이샤 터치 패널
JP2012079238A (ja) * 2010-10-05 2012-04-19 Fujifilm Corp センサー電極アレイ、センサー電極アレイの使用方法及び静電容量方式タッチパネル
KR101968764B1 (ko) 2010-10-05 2019-04-12 후지필름 가부시키가이샤 터치 패널
KR101920711B1 (ko) 2012-01-16 2018-11-22 삼성전자주식회사 박막 패터닝 방법 및 이를 이용한 반도체소자의 제조방법
JP5629033B1 (ja) * 2013-01-23 2014-11-19 デクセリアルズ株式会社 親水性積層体、及びその製造方法、防汚用積層体、物品、及びその製造方法、並びに防汚方法
JP2015003519A (ja) * 2013-01-23 2015-01-08 デクセリアルズ株式会社 親水性積層体、及びその製造方法、防汚用積層体、物品、及びその製造方法、並びに防汚方法
WO2015141762A1 (ja) * 2014-03-20 2015-09-24 富士フイルム株式会社 顔料分散液、白色加飾材、白色加飾材形成用の転写材料、白色加飾材付き基材、タッチパネル及び情報表示装置
JP2015183044A (ja) * 2014-03-20 2015-10-22 富士フイルム株式会社 顔料分散液、白色加飾材、白色加飾材形成用の転写材料、タッチパネル及びこれらの応用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007140282A (ja) 透明導電性ハードコートフィルムならびに該フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置
JP5145938B2 (ja) 帯電防止防眩フィルム
JP5035236B2 (ja) プラズマディスプレイ用前面フィルタ、及びプラズマディスプレイ
JP4905775B2 (ja) 反射防止フィルム、偏光板、画像表示装置及び反射防止フイルムの製造方法
JP4991332B2 (ja) 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP2007249191A (ja) 光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP5450708B2 (ja) 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP4990665B2 (ja) 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP2007264113A (ja) 光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JP5102958B2 (ja) 反射防止フィルムの製造方法
JP4990005B2 (ja) 反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JPWO2007142142A1 (ja) 光学積層体、偏光板、及び、画像表示装置
US20070048513A1 (en) Antireflective film and polarizing plate and image display using same
KR20130119926A (ko) 광학 적층체, 편광판 및 화상 표시 장치
JP2009098654A (ja) 光学積層体、偏光板及び画像表示装置
JP2007168429A (ja) 反射防止フィルム、その製造方法、並びにそれを用いた偏光板、及びディスプレイ装置
JP5322560B2 (ja) 光学フィルム、偏光板、および画像表示装置
JP2007196164A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP5408991B2 (ja) 光学フィルム、偏光板、および画像表示装置
JP2007034213A (ja) 反射防止フィルム、それを用いた偏光板及びディスプレイ装置
JP2009265651A (ja) 光学フィルム、偏光板、および画像表示装置
JP2007256651A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP2007086751A (ja) 反射防止フィルム、その製造方法、並びにそれを用いた偏光板、及び画像表示装置
JP2007199409A (ja) 光学フイルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置
JP4856880B2 (ja) 反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071109

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071116

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071126

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110328

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110412

A762 Written abandonment of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762

Effective date: 20110520