JP2007139055A - 密封装置および密封構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 シール性を長期にわたり発揮し得る密封装置および密封構造を提供する。
【解決手段】 ハウジング3に設けられた環状溝31の溝底面と軸4の周面に密着するリップ部11、12を高圧側の内外周に備え、リップ部11、12間にU字形状の溝10が形成されたシール部材1に、軸4側に、低圧側に向かうにつれて軸4から離間するように傾斜した第1テーパ面14と、環状溝31の溝底側に、環状溝31の溝底に形成された低圧側に向かうにつれて溝の深さを浅くするように傾斜したテーパ面32に摺動可能に当接する第2テーパ面13と、を設け、シール部材1と環状溝31の低圧側側壁との間に装着されるバックアップリング2に、第1テーパ面14と軸4との間に延出され、第1テーパ面14が摺動可能に当接することができるテーパ面21を設けられた延出部20を設け、シール部材1の低圧側端面とバックアップリング2の高圧側端面との間に隙間を設ける。
【選択図】 図2
【解決手段】 ハウジング3に設けられた環状溝31の溝底面と軸4の周面に密着するリップ部11、12を高圧側の内外周に備え、リップ部11、12間にU字形状の溝10が形成されたシール部材1に、軸4側に、低圧側に向かうにつれて軸4から離間するように傾斜した第1テーパ面14と、環状溝31の溝底側に、環状溝31の溝底に形成された低圧側に向かうにつれて溝の深さを浅くするように傾斜したテーパ面32に摺動可能に当接する第2テーパ面13と、を設け、シール部材1と環状溝31の低圧側側壁との間に装着されるバックアップリング2に、第1テーパ面14と軸4との間に延出され、第1テーパ面14が摺動可能に当接することができるテーパ面21を設けられた延出部20を設け、シール部材1の低圧側端面とバックアップリング2の高圧側端面との間に隙間を設ける。
【選択図】 図2
Description
本発明は、例えば建設機械や運搬車両等のアクチュエータとして用いられる油圧シリンダ等に使用される密封装置および密封構造に関するものである。
油圧シリンダ等に使用される密封装置および密封構造としては、図3に示すような、U型パッキン100が知られている。U型パッキン100は、ハウジング200の軸孔の内周面に設けられた環状溝201に装着されて、軸穴の内周面と軸300の外周面との間の環状隙間を密封し、高圧側の油の漏れを防止している。
U型パッキン100は、高圧側に外周リップ102と内周リップ103とを備えるとともに、高圧側端面の外周リップ102と内周リップ103との間にU字形状に凹んだU溝104が形成された環状のゴム製シール部材である。
外周リップ102は外周側に、内周リップ103は内周側に、それぞれ突出しており、外周リップ102は環状溝201の溝底に対して、内周リップ103は軸300の外周面に対して、それぞれつぶし代を有している。
したがって、外周リップ102および内周リップ103には、環状溝201の溝底および軸300の外周面から受ける力によって、それぞれ縮径力および拡径力が働き、環状溝201の溝底および軸300の外周面にそれぞれ密着して環状隙間を密封している。
そのため、図3(a)中点線で囲ったU溝104の溝底部分には、同図中矢印で示すような圧縮応力が働くことになる。油圧シリンダ等で使用される高い油圧がU型パッキン100に作用する場合でも、つぶし代によってU溝104の溝底部には常に圧縮応力が働くことになる。
なお、関連する技術としては、以下の文献に示すようなものがある。
実開昭63−22466号公報
しかしながら、長期の使用または高温での使用によってヘタリが生じたり、あるいは、使用される油の種類によって収縮等が生じた場合には、リップに設けられたつぶし代がなくなってしまう場合がある。
リップにつぶし代がなくなった状態でU溝104に油圧が作用すると、外周リップ102は外周方向に、内周リップ103は内周方向にそれぞれ変形して、U溝を拡大する。そうすると、U溝の溝底部分には図3(b)中矢印で示すような引張応力が働くことになる。
また、油圧から開放されてリップが元の状態に戻る際には、拡大されたU溝が元の大きさに縮小するように弾性的に変形するため、U溝の溝底部分には圧縮応力が働くことになる。
したがって、つぶし代がなくなった状態で油圧の作動・非作動が繰り返されると、リップ部の変形が繰り返されてU溝104の溝底に引張・圧縮応力が繰り返し働くことになる
。
。
そうすると、U溝104の溝底部分に割れ等が発生してしまい、油圧を保持することができず、油漏れが生じてしまい、シール性が著しく低下することになる。
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、シール性を長期にわたり発揮し得る密封装置および密封構造を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明における密封装置は、軸孔を有するハウジングと前記軸孔に挿入される軸のうちの一方の部材に設けられた環状溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間を密封する密封装置であって、前記環状溝の溝底面および前記2部材のうちの他方の部材の周面に密着するリップ部を高圧側の内外周に備え、前記リップ部間にU字形状の溝が形成されたシール部材と、前記シール部材と前記環状溝の低圧側側壁との間に装着されるバックアップリングと、から構成される密封装置において、前記シール部材は、前記他方の部材側に、低圧側に向かうにつれて前記他方の部材から離間するように傾斜した第1テーパ面と、前記環状溝の溝底側に、前記環状溝の溝底に形成された低圧側に向かうにつれて溝の深さを浅くするように傾斜したテーパ面に摺動可能に当接する第2テーパ面と、を備え、前記バックアップリングは、前記第1テーパ面と前記他方の部材との間に延出され、前記第1テーパ面が摺動可能に当接することができるテーパ面を設けられた延出部を備え、前記シール部材の低圧側端面と前記バックアップリングの高圧側端面との間に隙間が設けられていることを特徴とする。
係る構成によれば、シール部材の低圧側端面とバックアップリングの高圧側端面の間には隙間が設けられているので、高圧側から油圧が作用すると、第1テーパ面がバックアップリング延出部のテーパ面を、第2テーパ面が環状溝溝底のテーパ面を、それぞれ摺動することによって、シール部材が低圧側へ押し込められる。
したがって、シール部材にヘタリや収縮等が生じてつぶし代がなくなった場合には、高圧側から作用する油圧によって、シール部材が、バックアップリング延出部のテーパ面および環状溝溝底のテーパ面によって狭められた低圧側の空間に押し込められることになり、リップ部にはつぶし代が形成されることになる。
そうすると、リップ部は環状溝の溝底面および他方の部材の周面から押圧された状態にあるので、高い油圧が作用してもリップ部がU溝の溝底部分に引張応力が発生するようなリップ部の変形が抑制される。
その結果、U溝の溝底部分は圧縮応力が働いた状態となり、U溝の溝底部分に引張・圧縮応力の繰り返しによる割れ等が発生するのが抑制される。
さらに、上記目的を達成するために本発明における密封構造は、軸孔を有するハウジングと前記軸孔に挿入される軸との間の環状隙間を密封する密封構造であって、前記軸孔または前記軸のいずれか一方の周面に設けられる環状溝と、前記環状溝に装着され、前記環状溝の溝底面および前記軸孔または前記軸のいずれか他方の周面に密着するリップ部を高圧側の内外周に備え、前記リップ部間にU字形状の溝が形成されたシール部材と、前記シール部材と前記環状溝の低圧側側壁との間に装着されるバックアップリングと、から構成される密封構造において、前記環状溝は、低圧側に向かうにつれて溝の深さを浅くするように傾斜したテーパ面が溝底に形成されており、前記シール部材は、前記他方の部材側に、低圧側に向かうにつれて前記他方の部材から離間するように傾斜した第1テーパ面と、
前記環状溝の溝底側に、前記環状溝の前記テーパ面に摺動可能に当接する第2テーパ面と、を備え、前記バックアップリングは、前記第1テーパ面と前記他方の部材との間に延出され、前記第1テーパ面が摺動可能に当接することができるテーパ面を設けられた延出部を備え、前記シール部材の低圧側端面と前記バックアップリングの高圧側端面との間に隙間が設けられていることを特徴とする。
前記環状溝の溝底側に、前記環状溝の前記テーパ面に摺動可能に当接する第2テーパ面と、を備え、前記バックアップリングは、前記第1テーパ面と前記他方の部材との間に延出され、前記第1テーパ面が摺動可能に当接することができるテーパ面を設けられた延出部を備え、前記シール部材の低圧側端面と前記バックアップリングの高圧側端面との間に隙間が設けられていることを特徴とする。
以上説明したように、本発明により、密封装置および密封構造のシール性を長期にわたって発揮させることができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1および図2を参照して、実施例に係る密封装置および密封構造について説明する。図1は、本実施例に係る密封構造の概略構成図であり、(a)は本実施例に係る密封装置の概略構成図であり、(b)は、本実施例に係る密封装置が装着される環状溝の概略構成図である。図2は、本実施例に係る密封装置の装着状態を示す概略構成図であり、(a)は初期の装着状態を示し、(b)はU型パッキンにヘタリ等が生じた場合の装着状態を示す。
図1(a)に示すように、本実施例に係る密封装置は、U型パッキン1とバックアップリング2から構成され、図1(b)に示すハウジング3の軸孔内周面に形成された環状溝31とともに本実施例に係る密封構造を構成する。
U型パッキン1とバックアップリング2は、環状溝31に装着されて、ハウジング3の軸孔内周面と軸4の外周面の間の環状隙間5を密封する。
U型パッキン1は、高圧側にU溝10を備えるゴム製の環状シール部材であり、その材料としては、例えば、二トリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム等が使用条件等により適宜選択される。
バックアップリング2は、樹脂材からなる環状部材であり、その材料としては、例えば、低摩擦で耐摩耗性の良好な四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリアミド樹脂(PA)等が適宜選択される。
U型パッキン1は、高圧側の内外周面にハウジング3の環状溝31の溝底面に密着する外周リップ11と軸4の外周面に密着する内周リップ12が設けられている。また、高圧側の端面には、外周リップ11と内周リップ12の間にU字形状の環状の溝10が形成されている。
外周リップ11および内周リップ12は、環状溝31の溝底面および軸4の外周面に対してそれぞれつぶし代を有しており、それぞれ、環状溝31の溝底面および軸4の外周面から押圧された状態にある。
また、U溝10は、高圧側からの油圧を受けることにより、外周リップ11には拡径力、内周リップ12に縮径力がそれぞれ発生させ、リップの密着性を高めている。
但し、リップは、油圧の作動時であってもつぶし代によって押圧された状態にあるので、U溝の溝底部分には圧縮応力が働いている。
さらに、外周リップ11から低圧側端面にかけての外周面は、低圧側に向かうにつれて外径が小さくなるように傾斜しており(外周テーパ面13)、また、内周リップ12から低圧側端面にかけての内周面は、低圧側に向かうにつれて内径が大きくなるように傾斜している(内周テーパ面14)。
すなわち、U型パッキン1は、低圧側に向かうにつれて徐々に内径が拡径し外径が縮径して軸断面が小さくなっていく形状を有している。
バックアップリング2は、高圧側端面の内周側に、高圧側方向に円筒状に突出する延出部20が設けられている。
延出部20は、U型パッキン1の内周テーパ面14と軸4の外周面の間に延出されており、外周面が高圧側に向かうにつれて延出部20の外径が小さくなるように傾斜した(テーパ面21)先細形状を有している。
また、延出部20の内周面は軸4の外周面に接触し、外周のテーパ面21はU型パッキン1の内周テーパ面14に接触する。
U型パッキン1の内周テーパ面14の傾斜角度と延出部20のテーパ面21の傾斜角度は、同一の傾斜角度に設定されており、U型パッキン1とバックアップリング2の装着状態においては、内周テーパ面14とテーパ面21は互いに摺動可能に当接する。
また、U型パッキン1とバックアップリング2の形状および寸法は、U型パッキン1とバックアップリング2の装着状態において、U型パッキン1の低圧側端面とバックアップリング2の高圧側端面の間に隙間が形成されるように設定されている。
ハウジング3の軸孔内周面に設けられた環状溝31は、図1(b)に示すように、溝底の一部に低圧側に向かうにつれて溝の深さを浅くするように傾斜したテーパ面32が形成されている。
テーパ面32は、U型パッキン1の外周テーパ面13と同一の傾斜角度に設定されており、U型パッキン1の装着状態においては、図2に示すように、テーパ面32とテーパ面13が互いに摺動可能に当接する。
U型パッキン1が装着される空間は、図2に示すように、バックアップリング2の延出部20のテーパ面21と環状溝31の溝底のテーパ面32により、低圧側に向かうにつれて徐々に狭くなるように形成されている。
したがって、U型パッキン1の低圧側端面とバックアップリング2の高圧側端面との間には隙間が設けられているので、高圧側から油圧が作用すると、U型パッキン1は各テーパ面の摺動によって低圧側の狭い空間に押し込められることになる。
U型パッキンが長期の使用または高温での使用によってヘタリを生じたり、あるいは、使用される油の種類によって収縮等を生じた場合には、リップに設けたつぶし代が減少したり、なくなってしまう場合がある。
このような場合には、図2(b)に示すように、高圧側から作用する油圧によってU型パッキン1は低圧側へ移動し、低圧側に形成されたより狭い空間に押し込められることにより、リップにつぶし代が発生する。
すなわち、ヘタリや収縮等が生じてもリップ部にはつぶし代が形成されることになり、リップによるシール性が長期的に維持されることになる。
また、外周リップ11および内周リップ12は、環状溝31の溝底面および軸4の外周面から押圧された状態となるため、U溝10の溝底部分には圧縮応力が働くことになる。
したがって、高圧側に高い油圧が作用しても、U溝10の溝底部分に引張応力が発生するようなリップの変形が抑制されるので、U溝10の溝底部分の割れ等の原因となる引張・圧縮の繰返し応力の発生が抑制され、U型パッキン1の長寿命化を図ることができる。
なお、本実施例においては、密封装置をハウジング3側に装着する場合についてのみ説明したが、軸4側に装着することも無論可能である。
したがって、例えば、油圧シリンダの場合は、ピストン外周面に環状溝を設けて密封装置を装着し、延出部20をバックアップリング2の外周側に設けて、U型パッキン1の外周リップ11とバックアップリング2の延出部20とが、シリンダ内周面に摺接する構成とすることができる。
また、本実施例に係る密封装置および密封構造における各テーパ面の傾斜角度やU型パッキン1の低圧側端面とバックアップリング2の高圧側端面との間の隙間の広さ等は、採用される機器の仕様等に合わせて適宜設定されるものである。
1 U型パッキン
10 U溝
11 外周リップ
12 内周リップ
13 外周テーパ面
14 内周テーパ面
2 バックアップリング
20 延出部
21 テーパ面
3 ハウジング
31 環状溝
32 テーパ面
4 軸
5 環状隙間
10 U溝
11 外周リップ
12 内周リップ
13 外周テーパ面
14 内周テーパ面
2 バックアップリング
20 延出部
21 テーパ面
3 ハウジング
31 環状溝
32 テーパ面
4 軸
5 環状隙間
Claims (2)
- 軸孔を有するハウジングと前記軸孔に挿入される軸のうちの一方の部材に設けられた環状溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間を密封する密封装置であって、
前記環状溝の溝底面および前記2部材のうちの他方の部材の周面に密着するリップ部を高圧側の内外周に備え、前記リップ部間にU字形状の溝が形成されたシール部材と、
前記シール部材と前記環状溝の低圧側側壁との間に装着されるバックアップリングと、から構成される密封装置において、
前記シール部材は、
前記他方の部材側に、低圧側に向かうにつれて前記他方の部材から離間するように傾斜した第1テーパ面と、
前記環状溝の溝底側に、前記環状溝の溝底に形成された低圧側に向かうにつれて溝の深さを浅くするように傾斜したテーパ面に摺動可能に当接する第2テーパ面と、を備え、
前記バックアップリングは、前記第1テーパ面と前記他方の部材との間に延出され、前記第1テーパ面が摺動可能に当接することができるテーパ面を設けられた延出部を備え、
前記シール部材の低圧側端面と前記バックアップリングの高圧側端面との間に隙間が設けられている
ことを特徴とする密封装置。 - 軸孔を有するハウジングと前記軸孔に挿入される軸との間の環状隙間を密封する密封構造であって、
前記軸孔または前記軸のいずれか一方の周面に設けられる環状溝と、
前記環状溝に装着され、前記環状溝の溝底面および前記軸孔または前記軸のいずれか他方の周面に密着するリップ部を高圧側の内外周に備え、前記リップ部間にU字形状の溝が形成されたシール部材と、
前記シール部材と前記環状溝の低圧側側壁との間に装着されるバックアップリングと、から構成される密封構造において、
前記環状溝は、低圧側に向かうにつれて溝の深さを浅くするように傾斜したテーパ面が溝底に形成されており、
前記シール部材は、
前記他方の部材側に、低圧側に向かうにつれて前記他方の部材から離間するように傾斜した第1テーパ面と、
前記環状溝の溝底側に、前記環状溝の前記テーパ面に摺動可能に当接する第2テーパ面と、を備え、
前記バックアップリングは、前記第1テーパ面と前記他方の部材との間に延出され、前記第1テーパ面が摺動可能に当接することができるテーパ面を設けられた延出部を備え、
前記シール部材の低圧側端面と前記バックアップリングの高圧側端面との間に隙間が設けられている
ことを特徴とする密封構造。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publication Number | Publication Date |
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