JP2007130590A - 排気ガス浄化触媒及び排気ガス浄化触媒の製造方法 - Google Patents

排気ガス浄化触媒及び排気ガス浄化触媒の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007130590A
JP2007130590A JP2005327409A JP2005327409A JP2007130590A JP 2007130590 A JP2007130590 A JP 2007130590A JP 2005327409 A JP2005327409 A JP 2005327409A JP 2005327409 A JP2005327409 A JP 2005327409A JP 2007130590 A JP2007130590 A JP 2007130590A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
transition metal
noble metal
catalyst
metal compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005327409A
Other languages
English (en)
Inventor
Hironori Wakamatsu
広憲 若松
Katsuo Suga
克雄 菅
Masaki Nakamura
雅紀 中村
Hiroto Kikuchi
博人 菊地
Makoto Aoyama
誠 青山
Jun Ikezawa
純 池澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2005327409A priority Critical patent/JP2007130590A/ja
Publication of JP2007130590A publication Critical patent/JP2007130590A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】 助触媒作用を有する遷移金属化合物粒子を貴金属粒子と接触させた複合粒を有する排気ガス浄化触媒中における当該遷移金属化合物粒子が担体の耐熱性無機酸化物と複合化して助触媒作用が低下するのを抑制した排気ガス浄化触媒を提供する。
【解決手段】 貴金属の粒子1と、この貴金属の粒子1と接触し複合粒を形成する遷移金属化合物の粒子2と、この貴金属の粒子1と遷移金属化合物の粒子2との複合粒3を覆って形成された耐熱性無機酸化物4とを有する排気ガス浄化触媒。貴金属の粒子1の平均粒径に比べて前記遷移金属化合物の粒子2の平均粒径が大きく、複合粒3が耐熱性無機酸化物4内で分散している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車のエンジンから排出される排気ガスを浄化する、排気ガス浄化触媒及び排気ガス浄化触媒の製造方法に関する。
環境保全意識の高まりに伴い、自動車等の排気ガスの排出量についての規制が強化されている。そのため、自動車のエンジンから排出される排気ガスを浄化する排気ガス浄化触媒の性能向上を図る研究が各種行われている。
排気ガス浄化触媒は、通常、アルミナ(Al2O3)等よりなる粒状の金属酸化物の担体に、白金(Pt)やパラジウム(Pd)やロジウム(Rh)等の貴金属の微粒子を担持した構成を有していて、これらの貴金属粒子の触媒活性により、排気ガス中に含まれる未燃焼炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)や窒素酸化物(NOx)等の有害なガスを、無害な水やガスに変換している。
上掲した触媒活性を有する貴金属は、高価であるとともに、資源の枯渇が懸念されている。そこで、排気ガス浄化触媒における貴金属の使用量を低減するための試みが種々になされている。例えば、貴金属粒子を微粒化して表面積を拡大し、排気ガスと貴金属粒子との接触面積を増大させて浄化効率を向上させたり、貴金属以外の金属又はその化合物の粒子を助触媒成分として含有させたりする試みがある。
この助触媒成分としては遷移金属化合物が挙げられる。助触媒成分に用いられる遷移金属化合物は酸素供給能を有し、この遷移金属化合物を貴金属と複合化することで貴金属と遷移金属とが接触し、遷移金属化合物の酸素供給能により貴金属の酸化活性が向上する。したがって、遷移金属化合物は、貴金属の使用量を低下させた場合の触媒活性の向上に有効に寄与する。
複合化された貴金属及び遷移金属化合物は、一般に、耐熱性無機酸化物よりなる担体に担持されている。ところが、排ガス浄化触媒に適用される種々の耐熱性無機酸化物のうち、耐熱性が高く、主に使用されているアルミナは、上述した助触媒成分としての遷移金属化合物と反応して複合化を生じ易い。そのため、アルミナの担体に担持された遷移金属化合物は、このアルミナと複合化してしまい、貴金属の触媒活性に寄与する量が減少するので、遷移金属化合物を触媒中に含有させた効果が十分に得られなかった。
この点、アルミナの代わりに、遷移金属化合物とは反応しない耐熱性無機酸化物、例えばジルコニア等を担体に用いた場合には、このジルコニア等に遷移金属化合物が固溶、複合化することはない。しかし、この場合には、遷移金属化合物がジルコニア等の担体上で凝集してしまうので、やはり、遷移金属化合物を触媒中に含有させた効果が十分に得られなかった。
また、触媒の製造方法に、逆ミセル法がある(例えば、特許文献1参照)。逆ミセル法により触媒を製造した場合には、担体中に、貴金属と遷移金属との複合粒が一部埋没した状態で担持された触媒が得られる。そのため、遷移金属又はその化合物の粒子は凝集しない。
特開平10−216527号公報
逆ミセル法により得られた触媒は、遷移金属が凝集することはないが、貴金属塩及び遷移金属塩の逆ミセルを形成させるのに有機溶媒を使用するため、コストが高く、かつ、環境負荷の高いものになってしまう。また、逆ミセル法により製造された触媒では、遷移金属粒子の粒径が、貴金属粒子の粒径と同じ程度の微粒子になるため、担体にアルミナを用いた場合には、このアルミナに遷移金属粒子が固溶して、遷移金属化合物を触媒中に含有させた効果が十分に得られないことがあった。
本発明の排気ガス浄化触媒は、貴金属の粒子と、前記貴金属の粒子と接触し複合粒を形成する遷移金属化合物の粒子と、前記貴金属の粒子と前記遷移金属化合物の粒子との複合粒を覆って形成された耐熱性無機酸化物とを有し、かつ、前記貴金属の粒子の平均粒径に比べて前記遷移金属化合物の粒子の平均粒径が大きく、前記複合粒が前記耐熱性無機酸化物内で分散していることを要旨とする。
また、本発明の排気ガス浄化触媒は、貴金属粒子と、前記貴金属と接触して複合粒を形成する遷移金属化合物の粒子と、前記貴金属の粒子と前記遷移金属化合物の粒子との複合粒を覆って形成された耐熱性無機酸化物とを有し、かつ、前記遷移金属化合物の粒子の平均粒径が30nm以上であることを要旨とする。
また、本発明の排気ガス浄化触媒の製造方法は、貴金属の粒子と、この貴金属の粒子の平均粒径に比べて大きい平均粒径になる遷移金属化合物の粒子とを有する複合粒を作成する工程と、前記複合粒の周囲に、耐熱性無機酸化物の前駆体である水酸化物を被覆して触媒前駆体を形成する工程と、前記触媒前駆体を酸化性雰囲気中で焼成する工程とを有することを要旨とする。
本発明の排気ガス浄化触媒によれば、遷移金属化合物の粒子が凝集したりアルミナ等の担体と複合化したりすることが抑制され、浄化性能に優れた触媒を得ることが可能である。
本発明の排気ガス浄化触媒の製造方法によれば、本発明の排気ガス浄化触媒を確実かつ容易に製造することが可能である。
図1は、本発明の排気ガス浄化触媒の一例の要部を模式的に示す断面図である。同図において、貴金属の粒子1が遷移金属化合物の粒子2の表面上でこの遷移金属化合物の粒子2と接していて、複合粒3を形成している。この複合粒3は、この複合粒3を覆って形成された耐熱性無機酸化物4内で分散している。この耐熱性無機酸化物は、図示しない多数の細孔を有していて、この細孔を通して貴金属の粒子1及び遷移金属化合物の粒子2が、排気ガスと触れ、触媒活性を十分に発揮できるようになっている。また、遷移金属化合物の粒子2の粒径D2は、貴金属の粒子1の粒径D1よりも大きい。
図1に示した実施形態により容易に分かるように、本発明の触媒は、貴金属の粒子の平均粒径に比べて前記遷移金属化合物の粒子の平均粒径が大きいことを特徴の一つとしている。従来の排気ガス浄化触媒において、遷移金属化合物が劣化する要因の一つとして、この遷移金属化合物が担持される担体の材料である耐熱性無機酸化物へ、この遷移金属化合物が固溶することが挙げられる。この固溶現象は、遷移金属化合物と担体の耐熱性無機酸化物とが接触している界面が大きければ大きいほど進む。この理由は、固体同士の反応、いわゆる固相反応は、その界面が多いほど進むためである。そして、従来の排気ガス浄化触媒のように遷移金属化合物の平均粒径が、貴金属粒子と同じ程度に小さい場合には、上記界面が相対的に大きいことから、遷移金属化合物の固溶現象が進行する。
これに対して、本発明の排気ガス浄化触媒は、遷移金属化合物に、貴金属よりも平均粒径が大きなものを用いることで、触媒中への含有量が従来の触媒と同じであっても、上述した遷移金属化合物と担体の耐熱性無機酸化物との界面を低減できる。したがって、遷移金属化合物の固溶を抑制することができ、しかも、遷移金属化合物の粒子上に貴金属の粒子が接触していることもあり、排気ガス浄化触媒を長時間使用した後も、貴金属粒子に対する助触媒作用を示すことができ、遷移金属化合物を触媒中に含有させた効果を十分に得ることができる。
本発明の実施形態に係る排気ガス浄化触媒において、遷移金属化合物の粒子の平均粒径は、好ましくは30nm以上である。遷移金属化合物の粒子の平均粒径として、30nm以上であれば、排気ガス浄化触媒を高温、長時間で使用しても遷移金属化合物の固溶抑制効果が得られ、また、複合粒における貴金属の粒子の凝集劣化を低減する包接効果も期待できる。更に望ましくは、遷移金属化合物の粒子の平均粒径が50nm以上であり、50nm以上で上述した効果が充分に得られる。遷移金属化合物の粒子の平均粒径の上限については、上述した効果の観点からは、特に制限されるものではなく、例えば、100nmオーダの粒径であっても、所期した効果が得られる。本発明に従い、貴金属粒子と複合粒を形成し、この複合粒を耐熱性無機酸化物で包接した形態を有する触媒粉末粒子における好ましい触媒粉末粒径の範囲で、上記形態を形成し得る限度として遷移金属化合物の粒径を定めることができる。遷移金属化合物が、あまりに大きな粒径では、耐熱性無機酸化物内における分散性が低下し、充分な包接効果が得られない。
本発明の実施形態に係る排気ガス浄化触媒において、貴金属の粒子の平均粒径Daが1.5nm以上であり、かつ、このこの貴金属の粒子の平均粒径Daに対する遷移金属化合物の粒子の平均粒径Dbの比Db/Daが20以上であることは好ましい。貴金属の粒子の平均粒径として、1.5nm以上あれば、耐熱性無機酸化物による包接効果が期待できる。これに対して、従来の排気ガス浄化触媒のように、貴金属塩溶液に担体を単に含浸させて製造された触媒では、貴金属粒の粒子径はÅオーダーのものとなり、その融点が低下し、貴金属自身の移動凝集が促進してしまう。貴金属の粒子の平均粒径の上限は、特に限定するものではないが、遷移金属化合物の粒子の平均粒径との関係でDb/Daが20以上を満足するような粒径とすることが好ましい。
また、貴金属の粒子の平均粒径Daに対する遷移金属化合物の粒子の平均粒径Dbの比Db/Daが20以上であれば、上述した耐久性向上効果がよりいっそう期待できる。
貴金属には、PtおよびPdから選ばれる少なくとも1種が有効である。なかでも、貴金属と遷移金属化合物とを接触させる本発明の排気ガス浄化触媒においては、貴金属がPdである場合に、より効果が大きい。これは、詳細は不明だが、遷移金属化合物は酸素供給能に優れる為、Pdの活性種であるPdOの生成を促進し、これにより、例えば、空燃比A/Fが14.6程度の化学量論的比率付近から、若干でも還元性の雰囲気に排気ガスの雰囲気が移行した際のHC、COなど還元性排気ガスの酸化活性に対し、特に効果が生じる。また、Pt粒とPd粒との混合粒を遷移金属化合物の粒子と接触させた複合粒を本実施形態の排気ガス浄化触媒に適用することもできる。
貴金属に接触して複合粒を形成する遷移金属化合物には、Co、Ni及びMnから選ばれる少なくとも1種を含んだ酸化物が望ましい。遷移金属化合物に貴金属が接触していることにより、触媒性能が向上する。これは、遷移金属化合物の活性な酸素供給能により、貴金属の酸化活性が向上するためと考えられる。このような効果を有する遷移金属化合物としては、Co、Ni又はMnの各酸化物、あるいはこれらの複合酸化物が望ましい。また、これらの各酸化物、複合酸化物のみを含有する場合に限られず、例えば、MnとCeの複合酸化物の粒なども上述した効果を発揮できる。
耐熱性無機酸化物には、Al、Ce、Zr及びLaから選ばれる少なくとも1種を含む酸化物であることが好ましい。これらの酸化物が貴金属と遷移金属との複合粒の活性点の周囲に形成されることにより、その分散性向上効果、貴金属及び遷移金属化合物のシンタリング(凝集)防止効果が期待できる。これらの酸化物のうち、Al2O3(アルミナ)は、耐熱性が高い点で有利である。Al2O3を主成分とした場合は、CeO2などを添加剤として添加することができ、アルミナ自身の細孔維持効果(耐熱性向上)を発揮しつつ、貴金属と遷移金属化合物との複合粒の包接効果をより強固なものにする効果が発揮される。更に、耐熱性無機酸化物に、ZrO2等の、そもそも遷移金属化合物が固溶しない酸化物を適用した場合でも、この遷移金属化合物自身の凝集を抑制する効果が期待でき、この点でも触媒の耐久性が向上するものと考える。
上述した貴金属と、遷移金属化合物との組み合わせの態様として、貴金属がPdであり、遷移金属化合物が酸化マンガン(Mn2O3)であることは、より好ましい態様である。この組み合わせの場合には、Pdの活性種であるPdOの生成がよりいっそう促進され、これにより、Pdの酸化活性が向上し、特に効果が生じる。
次に、本発明の排気ガス浄化触媒の製造方法について説明する。
本発明の排気ガス浄化触媒の製造方法は、貴金属の粒子と、この貴金属の粒子の平均粒径に比べて大きい平均粒径になる遷移金属化合物の粒子とを有する複合粒を作成する工程と、前記複合粒の周囲に、耐熱性無機酸化物の前駆体である水酸化物を被覆して触媒前駆体を形成する工程と、前記触媒前駆体を酸化性雰囲気中で焼成する工程とを有する。
既に述べたように、本発明の排気ガス浄化触媒が、貴金属の粒子と遷移金属化合物の粒子との複合粒を覆って、耐熱性無機酸化物を包接させた形態になる。このような形態を有する排気ガス浄化を得るには、あらかじめ作成した複合粒の周囲に、耐熱性無機酸化物の前駆体である水酸化物を被覆して触媒前駆体を形成した後、この触媒前駆体を酸化性雰囲気中で焼成して排気ガス浄化触媒を得る包接法を用いるのが好適である。
図2は、本発明の実施形態に係る排気ガス浄化触媒の製造過程における包接法の説明図である。図2(a)に示すように、本実施形態の製造方法では、貴金属の粒子1と遷移金属化合物の粒子2との複合コロイド粒3Aを形成する。次いで図2(b)に示すように、この複合コロイド粒3Aの周囲に耐熱性無機酸化物の前駆体である水酸化物4Aを形成させる。その後に酸化性雰囲気中で焼成することにより、この水酸化物4を酸化物にする。
このように、本発明の排気ガス浄化触媒の製造方法においては、包接法を用いて排気ガス浄化触媒を製造することにより、担体内部に複合粒を分散担持させることが可能となる。さらに、複合粒の周囲に耐熱性無機酸化物の前駆体である水酸化物を形成するため、複合粒の一部が担体に埋没された形態の触媒が得られる。このため、複合粒の固定化が可能となり、得られた触媒は、複合粒の凝集が抑制されて耐熱性が高い。
さらに、この触媒前駆体の酸化性雰囲気での焼成時には、耐熱性無機酸化物の前駆体である水酸化物から水が蒸発することにより、焼成後に得られる耐熱性無機酸化物には細孔が多く形成され、比表面積が高い触媒担体が形成される。そして、この触媒担体内では、複合粒が内表面も含む担体表面に均一に分散されて担持された状態となる。
耐熱性無機酸化物の前駆体は、Al、Ce、Zr、及びLaの群から選ばれる少なくとも一種を含む酸化物の前駆体であることが好ましい。これらの前駆体は、例えば、硝酸塩や酢酸塩などの水溶性無機塩の形で、初めに貴金属と遷移金属化合物との複合コロイド粒子を含有する水溶液に投入し、アンモニア水やテトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液などの塩基性沈殿剤を投入して水酸化物を形成して得ることができる。また、複合コロイド水溶液にアルコキシドを投入し、複合コロイド粒子の周囲に水酸化物を形成することによっても得ることができる。さらに、複合コロイドを構成する有機分子のポリマー鎖が、たとえば、イミノ(NH)基などを有し、コロイド溶液の液性が塩基性であれば、前駆体を含有する水溶液に沈殿剤と複合コロイドの混合水溶液を投入することにより、複合コロイド粒を担体に安定して担持させることが可能となる。
耐熱性無機酸化物の前駆体の例として、アルミナの前駆体を形成する場合を説明すると、一つの方法には、貴金属と遷移金属化合物との複合コロイド粒を、予めアルミニウムイソプロポキシド(以下、「AIP」ともいう。)等を溶解させたヘキシレングリコール(以下、「HEG」ともいう。)内に滴下させ、貴金属と遷移金属化合物との複合コロイド粒の周囲に水酸化Alを形成する方法がある。また、別の方法には、ベーマイトを分散させた水溶液に、貴金属と遷移金属化合物との複合コロイド溶液を滴下した後、硝酸を添加するなどして、ベーマイトの邂逅処理を施した後、乾燥処理を行う方法がある。前者の方法では、高耐熱性の担体を形成することができるため、包接した効果をより発揮できる。一方、後者の方法では、その製造コストを安くできる。
上述した、耐熱性無機酸化物の前駆体である水酸化物を被覆させる複合粒、すなわち、貴金属の粒子と、この貴金属の粒子の平均粒径に比べて大きい平均粒径になる遷移金属化合物の粒子とを有する複合粒を作成する工程については、複数の方法が考えられ、本発明の排気ガス浄化触媒の製造方法では特に限定するものではないが、遷移金属化合物の粒子の周囲に高分子層を形成してコロイド化した後、このコロイド表面上に貴金属を還元析出する工程であることは好ましい。この工程によれば、市販されている遷移金属化合物の粒子を原料として使用することが可能となり、より安価に貴金属と遷移金属化合物との複合粒を形成することが可能となる。もっとも、市販されている遷移金属化合物は粉末状態であるため、単純に、その粉末を水溶液などの系に添加しても各々の粒子の凝集が進行し、系中で沈降するのみであり、所望の複合粒を得ることが困難である。
そこで、本発明の実施形態に係る製造方法では、酸化物等の遷移金属化合物の粉末を水溶液へ分散させた後、分散剤を添加することで、遷移金属化合物の粒子の周囲に高分子層を形成してコロイド化する。このコロイド化する処理により各粒子は系中で分散し、沈降が生じない。このような各遷移金属化合物の粒子が分散した状態を経由することにより、後に続く貴金属粒子の析出の際に、各遷移金属化合物粒に一旦吸着した貴金属塩の量を制御でき、貴金属粒の析出の不要な凝集を制御可能となる。
金属粒子のコロイドを作製する際の有機分子としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミド、ポリアクリル酸、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸などの安定度の高い化合物又はこれらの混合物を用いることが好ましい。また、分散媒としては、水、メタノール、エタノールなどのアルコール類、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類、ジエチルエーテルなどのエーテル類又はこれらの混合物を用いることができる。これらの有機分子や分散媒を用いることで、金属粒子を均一に分散媒中に分散させることができる。さらに、コロイド溶液の安定性、すなわち、沈降分離抑制が可能となる。このため、複合粒が均一に耐熱性無機酸化物の前駆体に取り込まれた状態で触媒前駆体が形成される。
貴金属粒子の析出は、コロイド化した遷移金属化合物粒子を含む系中に、貴金属塩を添加し、更に還元剤を添加することにより行うことができる。この貴金属塩には、ジニトロジアミン塩、トリアンミン塩、テトラアンミン塩、ヘキサアンミン塩などの貴金属錯体、硝酸塩、塩化物、硫酸塩などの無機塩が使用可能である。また、還元剤には、例えばエタノールを用いることができる。また、貴金属の粒子の平均粒径Daに対する遷移金属化合物の粒子の平均粒径Dbの比Db/Daが20以上である、本発明の実施形態に係る排気ガス浄化触媒を得るためには、貴金属粒の粒径を制御することが好ましいが、この貴金属粒の粒径を制御する手段として、前述した還元条件を変えることが挙げられる。例えば、還元剤としてエタノールを使用する場合には、エタノール/水比を変更し、その沸点を変更することで、貴金属の粒径制御が可能となる。詳細は不明だが、これは、エタノール蒸気のもつ還元力が沸点の上昇とともに大きくなるためと推測している。また、還元剤としては、エタノールの他に、NaBH4、N2H4、アスコルビン酸などが挙げられるが、いずれを用いても、同様の効果が得られる。
本発明の排気ガス浄化触媒は、上記の製造方法により得られた触媒粉末を含むスラリーを、セラミックス製又は耐熱性金属製の基材の壁面に塗布し乾燥させ、焼成することにより、排気ガス浄化触媒を含有する触媒層が基材の壁面に被覆形成されて実機に用いられる。
図3は、実機と同様の条件による耐久実験後の貴金属のPt粒子径をTEMにより調べた結果を示すグラフである。図中、従来品は、含浸法により担体粒の表面上に微小な貴金属粒を担持させた例、参考品は、包接法により担体内に複合粒を分散させ、かつ、その複合粒の貴金属粒子の粒径と遷移金属化合物粒子の粒径とが同じ程度である例、そして、本発明品は、本発明に従い、遷移金属化合物粒子の粒径が貴金属粒子の粒径よりも大きい例である。同図に示されるように、含浸法による従来例は、シンタリングにより耐久試験後のPtの粒径が増大し、特に高温での耐久試験後は、粒径の増大が著しい。これに対して、包接法より製造された参考品及び本発明品は、シンタリングが抑制されたため、耐久試験後のPtの粒径の増加が従来品に比べて小さい。
図4(a)は、コロイド溶液中の貴金属粒子と遷移金属化合物粒子を電子顕微鏡で観察した像を描写した図である。遷移金属化合物の粒子2は、アトマイズ法等により製造されたものが市販されていて、図示されているような不定な形状を有している。この遷移金属化合物の粒子2のコロイド上に貴金属の粒子1が析出形成されている。
図4(b)は、耐久試験前の排気ガス浄化触媒を電子顕微鏡で観察した像を描写した図である。なお、理解の便宜のため、複合粒3及び耐熱性無機酸化物4にはハッチングを描いてある。貴金属と遷移金属化合物との複合粒3が、耐熱性無機酸化物4内で分散している。
同図(c)は、耐久試験後の排気ガス浄化触媒を電子顕微鏡で観察した像を描写した図である。なお、理解の便宜のため、複合粒3及び耐熱性無機酸化物4にはハッチングを描いてある。また、触媒を観察した位置は、図4(b)で示した位置とは異なっている。図4(c)に示されるように、耐久試験後においても、貴金属と遷移金属化合物との複合粒3は残存していて、すなわち、遷移金属化合物が耐熱性無機酸化物4と複合化して消滅してはいなかった。
(実施例1)
1.コロイド溶液調製:
Mn2O3ナノ粒子(平均粒径51nm)粉末を所定量分種し、水溶液へ投下した後、超音波分散した状態で、このMn2O3に対し、モノマーのモル比で20倍量のポリビニルピロリドン(K30)を投入し、Mn2O3コロイド溶液を調製した。このMn2O3コロイド溶液に、所定量のジニトロジアミンPt溶液を滴下し、1時間攪拌混合した後、エタノール/水の重量比が1.0になるようにエタノール及びイオン交換水を投入して、83℃で攪拌した後、Pt(0.2wt%)+Mn2O3(0.6wt%)−PVPコロイド溶液を得た。
2.触媒粉末の作成:
所定量のアルミニウムイソプロポキシド(AIP)をヘキシレングリコール(溶媒)に投入し、120℃で1時間攪拌した後、所定量のアセチルアセトナトセリウム粉末を投入し、80℃まで降温した後、上述したPt(0.2wt%)+Mn2O3(0.6 wt%)−PVPコロイド溶液を所定量滴下投入し、触媒前駆体ゲルを得た。このゲルをロータリーエバポレータへ移し、150℃で真空乾燥した後、400℃で1時間空気気流中で焼成し、実施例1の触媒粉末(Pt(0.3 wt%)+Mn2O3(0.9 wt%)/CeO2(10 wt%)/Al2O3)を得た。得られた触媒粉末をTEMにて確認したPtの粒子径は1.5nmであった。
3.ハニカム基材へのコーティング:
得られた触媒粉末を40gと、ベーマイトを4gと、125.6gの10%硝酸含有水溶液とをアルミナ製磁性ポットに投入し、アルミナボールとともに振とう粉砕し、触媒スラリーを得た。更に、この触媒スラリーをコージェライト製、0.0595Lのハニカム基材(400セル/6ミル)に投入し、空気流にて余剰スラリーを除去し、120℃にて乾燥した後、400℃の温度で空気気流中で焼成し、実施例1の触媒担持ハニカム基材を得た。得られた触媒担持ハニカム基材にコートされた触媒量は触媒1Lあたり110gであり、触媒1L当たりの触媒貴金属の重量は0.3gであった。
(実施例2)
実施例2は、実施例1に対し、貴金属の粒子径を大きくすることにより、貴金属の粒子の平均粒径Daに対する遷移金属化合物の粒子の平均粒径Dbの比Db/Daを異ならせた例である。
1.コロイド溶液調製:
Mn2O3ナノ粒子(平均粒径51nm)粉末を所定量分種し、水溶液へ投下した後、超音波分散した状態で、このMn2O3に対し、モノマーのモル比で20倍量のポリビニルピロリドン(K30)を投入し、Mn2O3コロイド溶液を調製した。このMn2O3コロイド溶液に、所定量のジニトロジアミンPt溶液を滴下し、1時間攪拌混合した後、エタノール/水の重量比が0.1になるようにエタノール及びイオン交換水を投入して、93℃で攪拌した後、Pt(0.2wt%)+Mn2O3(0.6wt%)−PVPコロイド溶液を得た。
2.触媒粉末の作成:
所定量のアルミニウムイソプロポキシド(AIP)をヘキシレングリコール(溶媒)に投入し、120℃で1時間攪拌した後、所定量のアセチルアセトナトセリウム粉末を投入し、80℃まで降温した後、上述したPt(0.2wt%)+Mn2O3(0.6wt%)−PVPコロイド溶液を所定量滴下投入し、触媒前駆体ゲルを得た。このゲルをロータリーエバポレータへ移し、150℃で真空乾燥した後、400℃で1時間空気気流中で焼成し、実施例2の触媒粉末(Pt(0.3wt%)+Mn2O3(0.9wt%)/CeO2(10wt%)/ Al2O3)を得た。得られた触媒粉末をTEMにて確認したPtの粒子径は2.5nmであった。
3.ハニカム基材へのコーティング:
得られた触媒粉末を40gと、ベーマイトを4gき、125.6gの10%硝酸含有水溶液とをアルミナ製磁性ポットに投入し、アルミナボールとともに振とう粉砕し、触媒スラリーを得た。更に、この触媒スラリーをコージェライト製、0.0595Lのハニカム基材(400セル/6ミル)に投入し、空気流にて、余剰スラリを除去し、120℃にて乾燥し、400℃での空気気流中で焼成し、実施例2の触媒担持ハニカム基材を得た。得られた触媒担持ハニカム基材にコートされた触媒量は触媒1Lあたり110gであり、触媒1L当たりの触媒貴金属の重量は0.3gであった。
(実施例3)
実施例3は、触媒活性を有する貴金属をPdとした例である。
1.コロイド溶液調製:
Mn2O3ナノ粒子(33nm)粉末を所定量分種し、水溶液へ投下した後、超音波分散した状態で、このMn2O3に対し、モノマーのモル比で20倍量のポリビニルピロリドン(K30)を投入し、Mn2O3コロイド溶液を調製した。このMn2O3コロイド溶液に、所定量のジニトロジアミンPd溶液を滴下し、1時間攪拌混合した後、エタノール/水の重量比が1.0になるようにエタノール及びイオン交換水を投入して、83℃で攪拌した後、Pd(0.2wt%)+Mn2O3(0.6wt%)−PVPコロイド溶液を得た。
2.触媒粉末の作成:
所定量のアルミニウムイソプロポキシド(AIP)をヘキシレングリコール(溶媒)に投入し、120℃で1時間攪拌した後、所定量のアセチルアセトナトセリウム粉末を投入、80℃まで降温した後、上述したPd(0.2wt%)+Mn2O3(0.6wt%)−PVPコロイド溶液を所定量滴下投入し、触媒前駆体ゲルを得た。このゲルをロータリーエバポレータへ移し、150℃で真空乾燥した後、400℃で1時間空気気流中で焼成し、実施例3の触媒粉末(Pd(0.7wt%)+Mn2O3(2.1wt%)/CeO2(10wt%)/ Al2O3)を得た。得られた触媒粉末をTEMにて確認したPdの粒子径は1.7nmであった。
3.ハニカムへのコーティング:
得られた触媒粉末を40gと、ベーマイトを4gと、125.6gの10%硝酸含有水溶液とをアルミナ製磁性ポットに投入し、アルミナボールとともに振とう粉砕し、触媒スラリーを得た。更に、この触媒スラリーをコージェライト製、0.0595Lのハニカム基材(400セル/6ミル)に投入し、空気流にて、余剰スラリを除去し、120℃にて乾燥した後、400℃の温度で空気気流中で焼成し、実施例3の触媒担持ハニカム基材を得た。得られた触媒担持ハニカム基材にコートされた触媒量は触媒1Lあたり110gであり、触媒1L当たり触媒貴金属の重量は0.7gであった。
(実施例4)
実施例4は、実施例3に対し、貴金属の粒子径を大きくすることにより、貴金属の粒子の平均粒径Daに対する遷移金属化合物の粒子の平均粒径Dbの比Db/Daを異ならせた例である。
1.コロイド溶液調製:
Mn2O3ナノ粒子(33nm)粉末を所定量分種し、水溶液へ投下した後、超音波分散した状態で、このMn2O3に対し、モノマーのモル比で20倍量のポリビニルピロリドン(K30)を投入し、Mn2O3コロイド溶液を調製した。このMn2O3コロイド溶液に、所定量のジニトロジアミンPd溶液を滴下し、1時間攪拌混合した後、エタノール/水の重量比が1.3になるようにエタノール及びイオン交換水を投入して、83℃で攪拌した後、Pd(0.2wt%)+Mn2O3(0.6wt%)−PVPコロイド溶液を得た。
2.触媒粉末の作成:
所定量のアルミニウムイソプロポキシド(AIP)をヘキシレングリコール(溶媒)に投入し、120℃で1時間攪拌した後、所定量のアセチルアセトナトセリウム粉末を投入、80℃まで降温した後、上述したPd(0.2wt%)+Mn2O3(0.6wt%)−PVPコロイド溶液を所定量滴下投入し、触媒前駆体ゲルを得た。このゲルをロータリーエバポレータへ移し、150℃で真空乾燥した後、400℃で1時間空気気流中で焼成し、実施例4の触媒粉末(Pd(0.7wt%)+Mn2O3(2.1wt%)/CeO2(10%)/Al2O3)を得た。得られた触媒粉末をTEMにて確認したPdの粒子径は1.9nmであった。
3.ハニカムへのコーティング:
得られた触媒粉末を40gと、ベーマイトを4gと、125.6gの10%硝酸含有水溶液とをアルミナ製磁性ポットに投入し、アルミナボールとともに振とう粉砕し、触媒スラリーを得た。更に、この触媒スラリーをコージェライト製、0.0595Lのハニカム基材(400セル/6ミル)に投入し、空気流にて余剰スラリを除去し、120℃にて乾燥した後、400℃の温度で空気気流中で焼成し、実施例4の触媒担持ハニカム基材を得た。得られた触媒担持ハニカム基材にコートされた触媒量は触媒1Lあたり110gであり、触媒1L当たりの触媒貴金属の重量は0.7gであった。
(実施例5)
実施例5は、実施例1及び実施例2に対し、貴金属の粒子径を大きくすることにより、貴金属の粒子の平均粒径Daに対する遷移金属化合物の粒子の平均粒径Dbの比Db/Daを異ならせた例である。
1.コロイド溶液調製:
Mn2O3ナノ粒子(51nm)粉末を所定量分種し、水溶液へ投下した後、超音波分散した状態で、このMn2O3に対し、モノマーのモル比で20倍量のポリビニルピロリドン(K30)を投入し、Mn2O3コロイド溶液を調製した。このMn2O3コロイド溶液に、所定量のジニトロジアミンPt溶液を滴下し、1時間攪拌混合した後、0.1wt%ヒドラジン水溶液を投入し、Pt(0.2wt%)+Mn2O3(0.6wt%)−PVPコロイド溶液を得た。
2.触媒粉末の作成:
所定量のアルミニウムイソプロポキシド(AIP)をヘキシレングリコール(溶媒)に投入し、120℃で1時間攪拌した後、所定量のアセチルアセトナトセリウム粉末を投入、80℃まで降温した後、上述したPt(0.2wt%)+Mn2O3(0.6wt%)−PVPコロイド溶液を所定量滴下投入し、触媒前駆体ゲルを得た。このゲルをロータリーエバポレータへ移し、150℃で真空乾燥した後、400℃で1時間空気気流中で焼成し、実施例5の触媒粉末(Pt(0.3wt%)+Mn2O3(0.9wt%)/CeO2(10wt%)/Al2O3)を得た。得られた触媒粉末をTEMにて確認したPtの粒子径は3.0nmであった。
3.ハニカムへのコーティング:
得られた触媒粉末を40g、ベーマイトを4g、125.6gの10%硝酸含有水溶液をアルミナ製磁性ポットに投入し、アルミナボールとともに振とう粉砕し、触媒スラリーを得た。
更に、この触媒スラリーをコージェライト製、0.0595Lのハニカム基材(400セル/6ミル)に投入し、空気流にて、余剰スラリを除去し、120℃にて乾燥、400℃、空気気流中で焼成し、実施例1の触媒担持ハニカム基材を得た。得られた触媒担持ハニカム基材にコートされた触媒量は触媒1Lあたり110gであり、触媒1L当たりの触媒貴金属の重量は0.3gであった。
(実施例6)
実施例5の酸化マンガンを酸化ニッケル(粒子径65nm)とし、触媒粉末調製工程において、触媒前駆体ゲルと作成した後に硝酸ジルコニル及び、硝酸La水溶液を滴下した以外は、同様にして、実施例6の触媒を得た。
得られた触媒粉末はPt(0.3wt%)+NiO(0.9wt%)/CeO2(10wt%)+La2O3(3wt%)+ZrO2(5wt%)/Al2O3)の成分組成であり、貴金属粒子径が3.0nmであった。
(実施例7)
実施例5の酸化マンガンを酸化コバルト(粒子径73nm)とし、触媒粉末調製工程において、触媒前駆体ゲルと作成した後に硝酸ジルコニル及び、硝酸La水溶液を滴下した以外は、同様にして、実施例7の触媒を得た.
得られた触媒粉末はPt(0.3wt%)+Co3O4(0.9wt%)/CeO2(10wt%)+La2O3(3wt%)+ZrO2(5wt%)/Al2O3)の成分組成であり、貴金属粒子径が2.9nmであった。
(比較例1)
比較例1は、含浸法により耐熱性無機酸化物上に貴金属粒子及び遷移金属粒子を形成した例である。
γ−アルミナに硝酸セリウム水溶液をCeO2として、10wt%となるように含浸担持したのち、120℃で1晩乾燥した後、400℃で1時間空気気流中で焼成した。更に、焼成して得られた粉末に、Mn2O3として、0.9wt%となるように、酢酸マンガン水溶液を含浸し、120℃で1晩乾燥したのち、400℃で1時間空気気流中で焼成した。次いで、所定量のジニトロジアミンPt水溶液を含浸担持し、同じく120℃で1晩乾燥し、400℃で1時間空気気流中で焼成し、比較例1の粉末(Pt(0.3wt%)/Mn2O3(0.9wt%)/CeO2(10wt%)/アルミナ)を得た。次いで、得られた粉末を実施例1と同様にして、ハニカム基材へコートし、比較例1の触媒担持ハニカム基材を得た。
(比較例2)
比較例2は、触媒活性を有する貴金属をPdとし、含浸法により耐熱性無機酸化物上に貴金属粒子及び遷移金属粒子を形成した例である。
γ−アルミナに硝酸セリウム水溶液をCeO2として、10wt%となるように含浸担持したのち、120℃で1晩乾燥した後、400℃で1時間空気気流中で焼成した。更に、焼成してえられた粉末に、Mn2O3として、2.1wt%となるように、酢酸マンガン水溶液を含浸し、120℃で1晩乾燥したのち、400℃で1時間空気気流中で焼成した。次いで、所定量のジニトロジアミンPd水溶液を含浸担持し、同じく120℃で1晩乾燥し、400℃で1時間空気気流中で焼成し、比較例2の粉末(Pd(0.7wt%)/Mn2O3(2.1wt%)/CeO2(10wt%)/アルミナ)を得た。次いで、得られた粉末を実施例1と同様にして、ハニカム基材へコートし、比較例2の触媒担持ハニカム基材を得た。
上述した実施例1〜7及び比較例1及び2の排気ガス浄化触媒について、触媒耐久試験を行った。この触媒耐久試験では、日産自動車(株)製、V型6気筒、排気量3.5L(リットル、以下同じ。)のエンジンを使用して、無縁ガソリンを燃料とした。そして触媒入口温度を700℃として、30時間エンジンを稼動させた。
耐久試験後の触媒を切断し、触媒容量40ccとして、触媒活性を評価した。この触媒活性の評価は、酸素量と還元剤量とが等しいストイキ組成のモデルガスを用い、触媒入口の濃度と触媒出口のHC濃度とが安定した時点で、500℃のHC浄化率(ηHC)を算出し、HC浄化率により行った。モデルガスの組成を表1に示し、HC浄化率を求める式を次式に示す。また、実施例1〜3及び比較例1及び2のHC浄化率を表2に示す。
Figure 2007130590
Figure 2007130590
Figure 2007130590
また、貴金属にPtを用い、このPtの担持量が同一である実施例1及び比較例1について、表2に示したHC浄化率を比較して図5に示す。また、貴金属にPdを用い、このPdの担持量が同一である実施例3及び比較例2について、表2に示したHC浄化率を比較して図6に示す。
表2及び図5、図6より、本発明に従う実施例1〜7は、いずれも比較例に比べてHC浄化率に優れている。また、実施例1、実施例2及び実施例5の対比により、貴金属の平均粒径Daに対する遷移金属化合物の平均粒径Dbの比Db/Daが20以上の場合には、特に優れた浄化性能を示した。
これに対して、比較例1及び比較例2は、含浸法により製造され、担体に担持された遷移金属化合物(Mn2O3)は、この担体(Al2O3)と複合化してMnAl2O4を形成したため、遷移金属化合物の粒子の形態は残存しておらず、HC浄化率は実施例に比べて劣っていた。
本発明の排気ガス浄化触媒の一例の要部の模式図。 本発明の実施形態に係る排気ガス浄化触媒の製造過程における包接法の説明図。 耐久実験温度と貴金属のPt粒子径との関係を示すグラフ。 電子顕微鏡で観察した像を描写した図。 実施例と比較例についてのHC浄化率を示すグラフ。 実施例と比較例についてのHC浄化率を示すグラフ。
符号の説明
1 貴金属の粒子
2 遷移金属化合物の粒子
3 複合粒
4 耐熱性無機酸化物

Claims (8)

  1. 貴金属の粒子と、
    前記貴金属の粒子と接触し複合粒を形成する遷移金属化合物の粒子と、
    前記貴金属の粒子と前記遷移金属化合物の粒子との複合粒を覆って形成された耐熱性無機酸化物と
    を有し、かつ、
    前記貴金属の粒子の平均粒径に比べて前記遷移金属化合物の粒子の平均粒径が大きく、前記複合粒が前記耐熱性無機酸化物内で分散していることを特徴とする排気ガス浄化触媒。
  2. 貴金属粒子と、
    前記貴金属と接触して複合粒を形成する遷移金属化合物の粒子と、
    前記貴金属の粒子と前記遷移金属化合物の粒子との複合粒を覆って形成された耐熱性無機酸化物と
    を有し、かつ、
    前記遷移金属化合物の粒子の平均粒径が30nm以上であることを特徴とする排気ガス浄化触媒。
  3. 前記貴金属の粒子の平均粒径Daが1.5nm以上であり、かつ、この貴金属の粒子の平均粒径Daに対する遷移金属化合物の粒子の平均粒径Dbの比Db/Daが20以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化触媒。
  4. 前記貴金属がPt及びPdから選ばれる少なくとも1種であり、前記遷移金属化合物がCo、Mn及びNiから選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含む化合物であり、前記耐熱性無機酸化物が、Al、Ce、Zr及びLaから選ばれる少なくとも1種を含む酸化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排気ガス浄化触媒。
  5. 前記貴金属がPdであり、前記遷移金属化合物が酸化マンガンであることを特徴とする請求項4に記載の排気ガス浄化触媒。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の排気ガス浄化触媒を含有する触媒層が基材の壁面に被覆形成されていることを特徴とする排気ガス浄化触媒。
  7. 貴金属の粒子と、この貴金属の粒子の平均粒径に比べて大きい平均粒径になる遷移金属化合物の粒子とを有する複合粒を作成する工程と、
    前記複合粒の周囲に、耐熱性無機酸化物の前駆体である水酸化物を被覆して触媒前駆体を形成する工程と、
    前記触媒前駆体を酸化性雰囲気中で焼成する工程と
    を有することを特徴とする排気ガス浄化触媒の製造方法。
  8. 前記複合粒を作成する工程が、遷移金属化合物の粒子の周囲に高分子層を形成してコロイド化した後、このコロイド表面上に貴金属を還元析出する工程を含むことを特徴とする請求項7記載の排気ガス浄化触媒の製造方法。

JP2005327409A 2005-11-11 2005-11-11 排気ガス浄化触媒及び排気ガス浄化触媒の製造方法 Pending JP2007130590A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005327409A JP2007130590A (ja) 2005-11-11 2005-11-11 排気ガス浄化触媒及び排気ガス浄化触媒の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005327409A JP2007130590A (ja) 2005-11-11 2005-11-11 排気ガス浄化触媒及び排気ガス浄化触媒の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007130590A true JP2007130590A (ja) 2007-05-31

Family

ID=38152674

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005327409A Pending JP2007130590A (ja) 2005-11-11 2005-11-11 排気ガス浄化触媒及び排気ガス浄化触媒の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007130590A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009078246A1 (ja) * 2007-12-14 2009-06-25 Nissan Motor Co., Ltd. 浄化触媒
JP2015024353A (ja) * 2013-07-24 2015-02-05 ダイハツ工業株式会社 排ガス浄化用触媒

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009078246A1 (ja) * 2007-12-14 2009-06-25 Nissan Motor Co., Ltd. 浄化触媒
US8101539B2 (en) 2007-12-14 2012-01-24 Nissan Motor Co., Ltd. Purifying catalyst
JP2015024353A (ja) * 2013-07-24 2015-02-05 ダイハツ工業株式会社 排ガス浄化用触媒

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4547930B2 (ja) 触媒、触媒の調製方法及び排ガス浄化用触媒
RU2731104C2 (ru) Катализаторы на основе металлов платиновой группы (pgm) для обработки автомобильных выхлопов
JP4513384B2 (ja) 高耐熱性排ガス浄化用触媒及びその製造方法
KR101430606B1 (ko) 배기 가스 정화 촉매 및 그 제조 방법
WO2007119658A1 (ja) 排ガス浄化触媒及びその製造方法
JP5014845B2 (ja) 排ガス浄化用触媒、その製造方法、およびかかる触媒を用いた排ガスの浄化方法
US20160038874A1 (en) Three way catalytic converter using hybrid catalytic particles
JP2003126694A (ja) 排ガス浄化用触媒
JP2008093496A (ja) 排ガス浄化用触媒
JP2005185969A (ja) 高耐熱性触媒及びその製造方法
JP4692741B2 (ja) 排気ガス浄化触媒及びその製造方法
JP5332131B2 (ja) 排ガス浄化触媒及びその製造方法
JP2007144290A (ja) 排ガス浄化触媒及び排ガス浄化触媒の製造方法
JP2006320797A (ja) 触媒及びその製造方法
JP2007029778A (ja) 排ガス浄化触媒及びその製造方法
JP2017144412A (ja) 排ガス浄化用触媒材料及び排ガス浄化用触媒
JP2007050382A (ja) 排ガス浄化触媒
JPH08229394A (ja) 酸化物担持触媒担体の製造方法
JP2007130590A (ja) 排気ガス浄化触媒及び排気ガス浄化触媒の製造方法
US7737076B2 (en) Catalyst and producing method thereof
JP2006289213A (ja) 排ガス浄化触媒及びその製造方法
JP2019147090A (ja) 排ガス浄化用三元触媒及びその製造方法、並びに一体構造型排ガス浄化用触媒
JP4836187B2 (ja) 排ガス浄化用触媒、並びにその製造方法及びその再生方法
JP2006021141A (ja) 排ガス浄化用触媒及びその調製方法
JP2006320863A (ja) 排ガス浄化触媒及びその製造方法