JP2007126397A - 貼付剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 皮膚への接着性、保型性などの基剤の基本物性と効率的な薬剤の放出性を兼ね備えた親水性基剤からなる貼付剤を提供する。
【解決手段】 (a)水溶性重合体が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び/又はその塩、スチレンスルホン酸及び/又はその塩、N−ビニルピロリドンから選択される1種の単量体を単独重合して得られる、或いは前記単量体の1種又は2種以上の単量体と共重合可能なその他の単量体とを共重合して得られる1種以上の重合体と、ポリアクリル酸及び/又はその塩を含有する水溶性重合体混合物であり、酸の20〜60モル%が中和され、微粉末で未反応単量体の含有量が0.5質量%以下である水溶性重合体、(b)多価アルコール、(c)多価金属化合物、(d)界面活性剤及び(e)水を含有する貼付剤用基剤と、経皮吸収性の薬剤又は化粧料成分とを含む水性ゲル膏体を支持体上に施してなる貼付剤。

【選択図】 なし

Description

本発明は貼付剤用基剤、薬剤成分及び水分などからなる含水ゲル膏体を支持体に施してなる貼付剤に関する。より詳細には、膏体からの薬剤又は化粧料成分の放出性に優れ、高い接着性や保型性を兼ね備えた貼付剤に関する。
親水性又は水溶性ポリマー及び水を主成分とする基剤に、保湿剤や薬剤などを含有させた膏体を不織布などの支持体上に展着した貼付剤が広く用いられ、その用途も拡大している。それに伴って、薬剤の経皮吸収性の向上や冷却時間の持続性の向上などを目的として、貼付剤用基剤及び貼付剤の研究、開発が進められている。
親水性の貼付剤用基剤には、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースやポリアクリル酸(塩)などの親水性ポリマーが用いられている。一般的に親水性の基剤は非水系の基剤に比して、皮膚に対する安全性が高く、保水性に優れているが、粘着力が不十分である。粘着力を上げようとすると、親水性ポリマーの凝集力が低下し、膏体を皮膚から剥がす際に皮膚に膏体が残留し易くなるという問題がある。
親水性の基剤において、従来の親水性ポリマーに代え、架橋型の親水性ポリマーを用いたり、親水性ポリマーの基剤中に多価金属塩を添加することで分子間架橋を生じせしめ、基剤の接着性や保型性の向上が試みられている。
例えば、スルホン酸基を有する架橋型ポリマーから構成される基剤として、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)及びアクリル酸(塩)を、多官能性架橋剤の存在下で共重合して得られる架橋型水溶性ポリマーからなるパップ剤(特許文献1参照)や、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、アクリル酸(塩)及びエチレン性不飽和結合を2個以上有する架橋性単量体を架橋重合して得た架橋型親水性ポリマーが開示されている(特許文献2参照)。
このような架橋型親水性ポリマーを用いた膏体は、膏体を構成する粒状のゲル粒子自体にはある程度の保型性はあるが、各々のゲル粒子には流動性が無い。そのために、これらのゲル粒子を含む膏体は支持体上への展延性に劣り、膏体層をの表面を滑らかに仕上げ難い。また、各々のゲル粒子が完全に架橋されているため、膏体は接着力に乏しくなる。そこで、接着力を上げるために支持体に展延した後の架橋反応を緩和すると、膏体の保型性が不足して、接着力と保型性を両立させることができず、貼付剤としては十分に機能しなくなる。
また、ポリアクリル酸(塩)に加えて、スルホン酸基を有する架橋型高吸水性ポリマーと、分子間架橋を目的とした多価金属化合物を添加した膏体も開示されている。しかしながら、スルホン酸基を有する高吸水性ポリマーの配合量が多い場合には、接着力が不足したり、膏体の表面を滑らかにできない等の問題があった(特許文献3参照)。
一方、ゲル組成物をシート状に賦形する方法には、アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の単量体成分を重合して得られる親水性ポリマーを、薬剤などの成分と均一に混練し、これを支持体に塗布する方法、あるいは親水性ポリマーを構成する原料の単量体、架橋剤及び薬剤、その他の添加物などを予め配合し、支持体又は型枠に流し込んだ状態で紫外線照射等により重合し、賦形する方法がある。
例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)と架橋性単量体を、湿潤剤である多価アルコールと共に、pH5.5以上の水性媒体中で紫外線照射し共重合させることにより、高粘着性ハイドロゲルを得ている(特許文献4参照)。そのほか、エチレン性不飽和結合を有する単量体、薬剤、及び光重合開始剤を含有する組成物を、活性エネルギー線で光重合する経皮吸収製剤用基剤の製造方法(特許文献5参照)や、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸等からなる単官能性単量体、エチレン性不飽和結合を2個以上有する架橋性単量体、保湿剤、薬剤等含む溶液を、フィルム上に塗布し、紫外線を照射することで重合、ゲル化させる方法(特許文献6参照)等がある。
これらの方法は、重合による親水性ポリマーの生成と同時に膏体層が形成されるので、低粘度の単量体溶液の混合が容易で、光重合を採用するため短時間で架橋反応が行える利点がある。しかしながら、紫外線により分解する薬剤を使用できないことや、このような直接的な重合方法により得られる膏体層には、未反応の単量体が多く残り易いという問題があった。また、膏体層自体を精製することも困難である。
また、基剤からの薬物放出性を向上させる試みとして、特定の非ステロイド系抗炎症剤と、ポリアクリル酸(塩)などの複数の水溶性ポリマーと複数の多価金属元素を含有する皮膚外用剤(特許文献7)が開示されているが、薬物放出性は十分とは言い難い。さらに、水難溶性薬物と多価アルコールと該多価アルコールに溶解又は膨潤が可能なポリマーと電解質を含有するゲル組成物なども開示されている(特許文献8)。しかしながら、ある程度薬物放出性は改善されても、膏体ゲルに電解質が配合されているため、膏体ゲルの接着性と保型性を両立できず、貼付剤の基本性能を満足できない。
特開平4−91021号公報(特許請求の範囲) 特開平9−124466号公報(第1−2頁) 特願2001−353185号明細書(特許請求の範囲) 特開平6−200224号公報(段落〔0006〕〜〔0008〕) 特開平9−124465号公報(第4欄) 特公平5−502239号公報(第1−2頁) 特開平11−199515号公報(特許請求の範囲) 特開2005−162692号公報(特許請求の範囲)
上記のように、これまでの親水性の基剤を用いた貼付剤では、薬剤の放出性が不足して配合量に見合った薬効が得られなかったり、薬剤の放出性を向上するためにアルコール類や長鎖脂肪酸及びそれらのエステル等の液状成分を多量に配合する必要があると、皮膚への接着性が劣ったり、不織布等の支持体から膏体の滲み出しがあったり、貼付剤を皮膚から剥がす際に膏体が皮膚に残留し、きれいに剥がれないなどの問題があった。つまり貼付剤として、皮膚への接着性、保水性、保型性、硬度等の基剤の物性と、効果的な薬剤の放出性を両立する点で十分に満足のゆくものではなかったのである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、
(a)水溶性重合体が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び/又はその塩、スチレンスルホン酸及び/又はその塩、N−ビニルピロリドンから選択される1種の単量体を単独重合して得られる、或いは前記単量体の1種又は2種以上の単量体と共重合可能なその他の単量体とを共重合して得られる1種以上の重合体と、ポリアクリル酸及び/又はその塩を含有する水溶性重合体混合物であり、酸の20〜60モル%が中和され、微粉末で未反応単量体の含有量が0.5質量%以下である水溶性重合体、
(b)多価アルコール、
(c)多価金属化合物、
(d)界面活性剤、
(e)水
を含有する貼付剤用基剤と、経皮吸収性の薬剤又は化粧料成分とを含む水性ゲル膏体を支持体上に施してなる貼付剤が、従来の基剤としての接着性、保型性、展延性と共に、膏体からの薬剤や化粧料成分の放出性に優れ、膏体の滲み出しや皮膚への残留性が無いことを見出し、本発明を完成した。
本発明の貼付剤は、膏体からの薬剤又は化粧料成分の放出性に優れている。また、皮膚などへの接着性、保型性に優れ、不織布等の支持体から膏体の滲み出しが無く、その上膏体の皮膚への残留が無く、長時間貼付可能である。
しかも、水溶性重合体を得た後に、薬剤又は化粧料成分を配合し水性ゲル膏体を調製するので、不純物である未反応の残存単量体の含有量が少なく、赤斑、かぶれ、発疹などの皮膚障害を防止できる。
1.貼付剤の構成
本発明の貼付剤は、貼付剤用基剤と経皮吸収性の薬剤又は化粧料成分とを含有する水性ゲル膏体を支持体上に施してなるものである。
[1.1]貼付剤用基剤
貼付剤用基剤は、下記に詳細に説明する(a)水溶性重合体、(b)多価アルコール、(c)多価金属化合物、(d)界面活性剤、及び(e)水を必須成分とする。
(a)水溶性重合体
水溶性重合体は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び/又はその塩、スチレンスルホン酸及び/又はその塩、N−ビニルピロリドンから選択される1種の単量体を単独重合して得られる、或いは前記単量体の1種又は2種以上と、所望により加えられる共重合可能なその他の単量体を更に含んでなる単量体混合物を共重合して得られる1種以上の重合体、この重合時に多官能性のラジカル重合性架橋剤等を少量添加して適度に分枝又は架橋しても良いが、通常は架橋剤無しで重合して得られる直鎖状重合体が接着性の高い点で好ましく、この重合体(単独重合体又は共重合体)と、ポリアクリル酸及び/又はその塩を含有する水溶性重合体混合物から構成される水溶性重合体である。
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び/又はその塩、スチレンスルホン酸及び/又はその塩、N−ビニルピロリドンから選択される1種又は2種以上の単量体は、膏体の硬度を付与し保型性を維持することに加え、膏体に含有する薬剤又は化粧料成分の放出性を高めるために用いられるもので、重合の際の使用量、すなわち、実質的に重合体を構成する量は、水溶性重合体を構成する全単量体単位の合計モル数を基準として、好ましくは40〜100モル%である。
40モル%未満では、アルコールや脂肪酸を配合したり、水分を含有すると保型性が不足して支持体から膏体が滲み出したり、膏体の硬度が低下して剥がす際に膏体が皮膚に残留し易くなる。
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の塩、又はスチレンスルホン酸の塩、としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、又は、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩等が挙げられ、これらは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、又はスチレンスルホン酸を、対応するアルカリで中和することにより容易に得られるものである。
この水溶性重合体は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び/又はその塩、スチレンスルホン酸及び/又はその塩、N−ビニルピロリドンから選択される1種又は2種以上の単量体を必須構成単量体単位とするが、本発明においては、これらと共に、共重合可能なその他の単量体を併用することができる。この共重合可能なその他の単量体の使用量としては、全単体量単位の合計モル数を基準にして、好ましくは0〜60モル%である。
共重合可能なその他の単量体としては、例えば、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸以外の(メタ)アクリルアミドアルキルアルカンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸などの不飽和スルホン酸、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
水溶性共重合体は、ラジカル重合性架橋剤を用いて、得られる共重合体の水溶性が損なわない範囲で少量添加して適度に分岐又は架橋させることもできる。本発明で言う水溶性を損なうとは、後述する測定方法により求めた不溶解分の量が10mlを超える場合である。
ラジカル重合性架橋剤としては、例えば、エチレングリコール・ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール〔オキシエチレン(以下、EOと略記する。)の平均付加モル数=2〜30モル〕・ジ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパン・トリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルアミン、ジメチルジ(メタ)アリルアンモニウムクロリドなどを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
水溶性重合体の中和率は60〜100モル%である。中和率が60モル%未満では、経皮吸収性の薬剤又は化粧料成分の水性ゲル膏体からの放出性が十分に得られない場合がある。
なお、中和率とは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸及びアクリル酸と必要に応じて用いるその他の全ての酸基を含む単量体とそれらの塩との合計量に対する塩の割合を示すものである。
目的の中和率を有する水溶性重合体は、単量体として酸と塩を用いて重合することにより、あるいは酸の重合中や、得られた酸の重合体をアルカリで中和することにより調製されるものである。
水溶性重合体は重合体中に残存する未反応の単量体の含有率は重合体総質量に対して0.5質量%以下である。未反応の残存単量体含有量が0.5質量%を越えると、皮膚刺激性の点で好ましくない。
水溶性重合体の分子量は、ポリエチレンオキサイドを基準物質とする水系ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略す)法による重量平均分子量10万〜500万である。
分子量が10万未満では、保型性が不足して支持体から膏体が滲み出したり、膏体の硬度が低下して剥がす際に膏体が皮膚に残留し易くなる。分子量が500万を越えると、水不溶解性のゲルが発生したり、水溶性の優れた共重合体を得ることが困難となる場合がある。
本発明の貼付剤用基剤で用いる水溶性重合体は微粉末又は水溶液である。
微粉末の場合、固形分は90質量%以上であることが好ましい。固形分は90質量%以上であることが好ましい。固形分が90質量%未満では、多価アルコールに対する重合体の分散安定性が悪化する場合がある。
また、粉末全量に対して90質量%以上が粒子径180μm以下の粒子からなり、且つ、75μm以下の粒子が80質量%以下である粒度分布を有する微粉末であることがより好ましい。粒子径が180μm以上の粒子が10質量%を越えると、膏体の表面を滑らかに仕上げることが困難になる場合がある。粒子径が75μm以下の粒子が80質量%を越えると、分子量が低下し易く、また作業性も悪くなる場合がある。
水溶液の場合、粘度は100〜10万mPa・sであることが操作性に優れる点で好ましい。この粘度範囲に入るように固形分濃度を調整すればよい。
水溶性重合体の合成には、公知の重合法が採用できる。具体的には、ゲル重合法、水溶液重合法及び逆相懸濁重合法などが挙げられる。
重合開始剤としてはレドックス重合開始剤が好ましく、またレドックス重合開始剤の替わりに、光重合開始剤を含有させた単量体水溶液に、紫外線等の活性エネルギー線を照射してラジカル重合させることもできる。
重合開始剤の具体例としては、過硫酸ナトリウムや過硫酸カリウム等の過硫酸アルカリ金属塩、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、クメンヒドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、2,2’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
また、重合に際し、遷移金属塩や亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、L−アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)、アミン化合物等のレドックス形成用の還元剤を併用することが好ましい。
また、添加する重合開始剤の量は、使用する重合開始剤の種類や目的とする重合体の組成、重合度、粘度などに応じて調整される。通常、全単量体の合計量を基準にして、5〜10,000質量ppmが用いられる。好ましくは10〜5,000質量ppm、特に15〜3,000質量ppmがより好ましい。
上記の水溶性重合体の基剤中の含有量は、基剤全量を基準にして、通常、0.5〜29.5質量%であり、好ましくは0.5〜14.5質量%である。下記に示すポリアクリル酸及び/又はその塩との合計量が基剤全量を基準として、1〜30質量%となるように、好ましくは3〜15質量%となるように調整する。
上記の水溶性重合体の使用量が0.5質量%未満の場合には、水性ゲル膏体からの経皮吸収性の薬剤又は化粧料成分の放出性が十分に得られない場合がある。また、29.5質量%を越えると、得られる膏体の硬度と接着力のバランスがとれなくなる場合がある。
本発明の貼付剤用基剤を構成する水溶性重合体は、上記の水溶性重合体と水溶性のポリアクリル酸及び/又はその塩からなる水溶性重合体の混合物である。
水溶性のポリアクリル酸及び/又はその塩は、膏体の皮膚接着性やゲル強度を増強、改善するために増粘剤や粘着付与剤として配合できる。ポリアクリル酸及び/又はその塩としては、アクリル酸のカルボキシル基の全てが塩の形態のもの、カルボキシル基の一部が塩の形態のもの、カルボキシル基の全てが酸基のままのもの、またはそれらの2種以上の混合物などのいずれもが使用できる。
ポリアクリル酸のカルボキシル基の一部又は全部が塩になっている場合は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられるが、そのうちでもナトリウム塩であることが安全性及び生産性の点から好ましい。
好適に使用し得る水溶性のポリアクリル酸及び/又はその塩は、市販されているので、それらをそのまま用いてもよい。
市販の水溶性のポリアクリル酸及び/又はその塩としては、例えば、日本純薬株式会社製の粉末ポリアクリル酸部分中和物(商品名「アロンビスAH-105」)、日本純薬株式会社製の粉末ポリアクリル酸ナトリウム(商品名「アロンビスS」)、日本純薬株式会社製のポリアクリル酸水溶液(濃度20質量%、商品名「ジュリマーAC-10H」)、日本純薬株式会社製の粉末状架橋型ポリアクリル酸(商品名「ジュンロンPW-110」)などを挙げることができる。これらは単独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。
その使用量は、基剤全量を基準に、通常、0.5〜29.5質量%であり、好ましくは0.5〜14.5質量%である。上記の水溶性重合体との合計量が、基剤全量を基準に、1〜30質量%となるように、好ましくは3〜15質量%となりように調整する。水溶性のポリアクリル酸及び/又はその塩の使用量が0.5質量%未満の場合には、得られる基剤の皮膚接着性が低下したり、膏体のゲル強度が不足する場合がある。また、29.5質量%を越えると、得られる基剤の硬度と接着力のバランスがとれなくなる場合がある。
(b)多価アルコール
本発明の貼付剤用基剤は、多価アルコールを必須成分とするもので、この多価アルコールは、保湿剤又は保水剤として作用する。
好適に用いられる多価アルコールの具体例としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
その使用量は、基剤全量を基準にして、通常、1〜50質量%であり、好ましくは5〜30質量%である。使用量が1質量%未満の場合には、得られる基剤から水分が揮発して乾燥し、基剤中に薬剤が析出する場合がある。また、50質量%を越えると、得られる基剤の硬度と接着力のバランスがとれなくなる場合がある。
(c)多価金属化合物
本発明の貼付剤用基剤は、多価金属化合物を必須成分とする。この多価金属化合物は多価金属イオンを放出し、放出された多価金属イオンは、(a)水溶性重合体中のアニオン基(カルボン酸基、スルホン酸基など)とイオン結合することによって架橋構造を形成して、基剤に接着性、ゲル形成能、高含水性、保型性及び硬度などの特性を付与するのである。
かかる多価金属化合物としては、例えば、アルミニウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、カドミウムイオン、チタンイオン、クロムイオン、マンガンイオン、鉄イオンなどの多価金属イオンを放出する多価金属化合物を挙げることができる。
本発明の貼付剤は、人の皮膚などに直接貼着して用いられるものであって、安全であることが必要である。その点から多価金属化合物としては、安全性に優れるアルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、亜鉛化合物が好ましく用いられる。
好適に用いられる多価金属化合物の具体例としては、アルミニウムサクシネート、アルミニウムグリシネート、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸カルシウム、酢酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、鉄ミョウバンなどを挙げることができる。また、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
そのうちでも、水酸化アルミニウム、アルミニウムグリシネート、塩化アルミニウムが、ゲル強度が強くなる点から好ましい。
その使用量は、基剤全量を基準にして、通常、0.001〜3質量%であり、好ましくは0.003〜1質量%であり、更に好ましくは0.005〜0.5質量%である。多価金属化合物の使用量が0.001質量%未満の場合には、(a)水溶性共重合体中のアニオン基と架橋構造を形成し難くなり、基剤に接着性、ゲル形成及び保型性などの特性を付与することが困難になる。また、3質量%を越えると、架橋し過ぎて接着力が不足する場合がある。
(d)界面活性剤
本発明の貼付剤用基剤は、界面活性剤を必須成分として配合される。本発明の貼付剤用基剤で使用する界面活性剤は、後記の薬剤又は化粧料成分を可溶化及び/又は分散することにより、水性ゲル膏体中でこれらの薬剤等の成分の濃度を均一化させると共に、水性ゲル膏体から薬剤等の成分をバラツキなく均等に且つ安定に放出させるために配合する。そのため、使用する界面活性剤は、配合する薬剤等の成分の種類によっても異なるが、少量の添加で可溶化及び/又は分散でき、そして安全性に優れることから、ノニオン性の界面活性剤が好ましい。
具体的なノニオン性界面活性剤には、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(EO=6〜20);ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(EO=5〜100);ポリオキシエチレンアルキルエーテル(C=12〜14、EO=3〜12);ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(EO=3〜40)等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(C=6〜12、EO=3〜40);ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO=2〜50)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(EO=2〜20)等のポリオキシエチレンと高級脂肪族アルコールのエーテル等が挙げられる。
なかでも特に好ましいノニオン性の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(EO=20)とポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(EO=40)である。
界面活性剤の使用量は、基剤全量を基準にして、通常、0.01〜10質量%であり、特に好ましくは0.03〜5質量%である。界面活性剤の使用量が0.01質量%未満の場合、薬剤又は化粧料成分の各成分を可溶化及び/又は分散することが困難となり、その使用量が10質量%を超えると、水性ゲル膏体の調製時に著しく気泡を生じて貼付剤を製造し難くなるとか、膏体からの薬剤等の成分の放出性を低下させる場合がある。
(e)水
本発明の貼付剤で使用される基剤は、水性基剤として用いられ、水を必須成分として含有するものである。水としては、通常、精製水等の水が用いられる。
具体的な水の使用量は、貼付剤用基剤に求められる特性に応じて定められる、上記の(a)〜(d)成分の量に依存するものであるが、通常、10〜85質量%である。
(f)水酸基を有する有機酸又はその塩
本発明の貼付剤は上記必須成分(a)〜(e)の他に、目的に応じて、水酸基を有する有機酸又はその塩を配合することができる。
この水酸基を有する有機酸又はその塩は、上記成分(c)多価金属化合物から多価金属イオンを放出しやすいように、分子内に有する水酸基とカルボキシル基によって、難溶性金属化合物の溶解を助長するものである。
かかる水酸基を有する有機酸又はその塩としては、皮膚への刺激性や安全性の観点から、酒石酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、グルコン酸及びそれらのアルカリ金属塩等が挙げられる。特に好ましくは酒石酸、クエン酸、リンゴ酸及びそれらのアルカリ金属塩である。例えば、酒石酸は、上記(c)多価金属化合物である水酸化アルミニウムやアルミニウムグリシネートとの併用によりゲル硬化速度が速くなる点でも好ましい。
また、その使用量は、基剤全量を基準にして、好ましくは0.001〜5質量%であり、特に好ましくは0.003〜2質量%である。
(g)炭素数2〜6の一価アルコール
本発明の貼付剤は上記必須成分(a)〜(e)の他に、目的に応じて、炭素数2〜6の一価アルコールを配合することができる。
この炭素数2〜6の一価アルコールは、清涼化剤や、疎水性の薬剤や添加物を基剤中に均一に溶解させる溶解補助剤として、或いは経皮吸収促進剤として作用する。
炭素数2〜6の一価アルコールとしては、安全性や効果の点から、エタノール、イソプロパノールが好ましく用いられる。特に好ましくはエタノールである。
その使用量は、基剤全量を基準にして、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは1〜15質量%である。使用量が20質量%を越える場合には、皮膚に発疹や炎症を生じ易くしてしまう。
(h)長鎖脂肪酸及び/又はそのエステル
本発明の貼付剤用基剤には、目的に応じて、長鎖脂肪酸及び/又はそのエステルを配合することができる。この長鎖脂肪酸及び/又はそのエステルは、基剤に配合する疎水性の添加物や、薬剤の溶解補助剤として、或いは薬剤の経皮吸収性を向上させるために用いられる。
長鎖脂肪酸又はそのエステルとしては、安全性や効果の点から、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、並びにそれらのエステルが好ましく用いられる。
その使用量は、基剤全量を基準にして、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。使用量が0.1質量%未満の場合には、疎水性の添加物や薬剤の溶解性の向上に寄与することが少なく、添加物や薬剤が基剤中で析出したり、薬剤の経皮吸収性が低下する場合がある。
上記に記述した成分(f)〜(h)は各々単独で添加使用しても、又は各々を併用して上記必須成分(a)〜(e)に添加してもよい。
[1.2]薬剤又は化粧料成分
本発明の貼付剤は、医薬貼付剤又は化粧用貼付剤に用いられるもので、かかる用途に使用するに際して、上記[1.1]貼付剤用基剤に、薬剤又は化粧料成分を配合する。
かかる薬剤又は化粧料成分としては、抗炎症剤、鎮痛剤、気管支拡張剤、抗喘息剤や強心剤などの医薬品、又は美白剤などの化粧料成分などを挙げることができる。
薬剤の具体例としては、例えば、インドメタシン、ケトプロフェン、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、フルルビプロフェン、イブプロフェン、スプロフェン、ロキソプロフェン、フェルビナク、プロキシカム、メロキシカム、ツロブテロール、ジフェンヒドラミン、ジブカイン、プロカイン、リドカイン、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ニコチン、ビタミン類等が挙げられる。
化粧料成分として美白剤の具体例としては、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、L−アスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ステアリル等のアスコルビン酸誘導体及びその塩、コウジ酸及びその誘導体、カンゾウエキス、プラセンタエキス、ハイドロキノン及びその誘導体、アルブチン、イソフラボン誘導体、p−ヒドロキシ桂皮酸誘導体、ゲラニイン、没食子酸、システイン、グルタチオン、コロイド硫黄、テプノレン、2−クロマノン誘導体、スピロエーテル化合物等が挙げられる。
薬剤又は化粧料成分の配合比率は、貼付剤全量を基準にして0.01〜20質量%が好ましい。
[1.3]その他の成分
本発明の貼付剤には、上記成分以外にも、貼付剤に一般に用いられる添加物、すなわち、製造時の適性や使用時の品質を改善するために、酸化防止剤、防腐剤、乳化剤などの各種成分の1種又は2種以上を配合することができる。
かかる、その他の成分としては、L−メントール、カンフル、チモール、ハッカ油、ヒマシ油、ウイキョウ油、ダイウイキョウ油、ケイヒ油、チョウジ油、チアミン油、テレピレン油、ユーカリ油、ラベンダー油、レモン油、オレンジ油、ベルガモット油、ローズ油等の香料・清涼化剤;唐辛子エキス、サンショウエキス等の温感剤;ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等の防腐剤;乳化剤;カオリン、酸化チタン、無水ケイ酸等の無機粉末などを挙げることができる。
香料・清涼化剤、無機添加物などの配合比率の具体例としては、貼付剤全量を基準にして0.1〜20質量%である。
2.水性ゲル膏体の調製方法
本発明の貼付剤を構成する水性ゲル膏体の調製方法は特に制限されない。
一般的には、(a)水溶性重合体、(b)多価アルコール、(c)多価金属化合物、(d)界面活性剤、及び必要に応じてその他の成分と、[1.2]薬剤又は化粧料成分を混合した分散スラリーと、(e)水に(f)水酸基を有する有機酸又はその塩を溶解して必要に応じてその他の成分を配合した水性成分とを混合して、室温で均一になるまで混練し減圧下で脱泡して含水性の膨潤ゲル(水性ゲル膏体)を得ることができる。
好ましくは、(d)界面活性剤で[1.2]薬剤又は化粧料成分を予め可溶化及び/又は分散しておき、上記成分(a)〜(c)及び必要に応じてその他の成分を加えて分散スラリーを作成する。そこに、別途(e)水に(f)水酸基を有する有機酸又はその塩を溶解して必要に応じてその他の成分を配合した水性成分を加えて混合し、上記と同様に室温で均一になるまで混練し減圧下で脱泡して水性ゲル膏体を得ることができる。
3.貼付剤の製造方法
本発明の貼付剤の製造方法は特に制限されない。
一般的には、[1.1]貼付剤用基剤と[1.2]薬剤又は化粧料成分、及び必要に応じて[1.3]その他の成分からなる上記2.水性ゲル膏体を、不織布、編布、織布、紙、プラスチックフィルムなどからなる支持体上の展着などにより層状に施す。
ついで、必要に応じて、その表面を、例えばポリエチレンフィルムなどのような離型性のフィルムやシートなどで覆うことによって貼付剤を製造することができる。使用の際にはこれらの離型性のフィルム等を剥して直接皮膚に貼付して使用することができる。
4.貼付剤の用途
本発明の貼付剤は種々の用途に使用可能である。
例えば、抗炎症剤、気管支拡張剤、喘息治療剤や狭心症治療剤などの医薬品、美白剤やフェイスマスクなどの化粧品及び冷感剤や冷却シート、温感剤や携帯式カイロ等の医療用具や日用品などの領域でも貼付剤として使用できる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
尚、以下の各例において、特に表示されていない場合の「%」は、「質量%」を意味する。
<重合体1の合成>
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの50質量%水溶液1200g(100モル%相当)及び純水1800gを3L容量のセパラブルフラスコに仕込み、混合して単量体水溶液を調製した。セパラブルフラスコの内容物を300rpm(回転/分)の攪拌速度で攪拌しながら、溶存酸素濃度が十分に小さくなるまで4L/分の流量で1時間窒素バブリングを行った。次いで、セパラブルフラスコの内容物の温度を40℃に制御して温度が安定したら、t−ブチルハイドロパーオキサイドの3質量%水溶液1.00g、10質量%過硫酸ナトリウム水溶液3.00g及び5質量%エリソルビン酸ナトリウム水溶液1.20gを添加して重合を開始した。
その後、内容物の温度を40℃から55℃まで30分間、55℃から70℃まで2時間、次いで70℃から85℃まで30分間で段階的に85℃まで昇温し、引き続き85℃のまま3時間維持して重合を終了した。なお、重合反応の途中で内容物の温度が80℃になった時に、10質量%過硫酸ナトリウム水溶液3.60gを添加した。その後、60℃まで冷却して重合体水溶液を取り出した。このようにして固形分濃度20質量%の水溶液状の重合体1を得た。
(合成例2)
<重合体2の合成>
81.2質量%のスチレンスルホン酸ナトリウムを886.7g(100モル%相当)及び純水2113.3gを3L容量のセパラブルフラスコに仕込み、混合して単量体水溶液を調製した。それ以外は合成例1と同様に操作して固形分濃度24質量%の水溶液状の重合体2を得た。
(合成例3)
<重合体3の合成>
81.2質量%のスチレンスルホン酸ナトリウムを20.0g(3モル%相当)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの50質量%水溶液1167.5g(97モル%相当)及び純水1812.5gを3L容量のセパラブルフラスコに仕込み、混合して単量体水溶液を調製した。それ以外は合成例1と同様に操作して固形分濃度20質量%の水溶液状の重合体3を得た。
(合成例4)
<重合体4の合成>
N−ビニルピロリドンを30.7g(10モル%相当)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの50質量%水溶液1138.6g(90モル%相当)及び純水1830.7gを3L容量のセパラブルフラスコに仕込み、混合して単量体水溶液を調製した。それ以外は合成例1と同様に操作して固形分濃度20質量%の水溶液状の重合体4を得た。
(比較合成例1)
<比較重合体1の合成>
アクリル酸ナトリウムの36質量%水溶液566.2g(50モル%相当)、アクリル酸156.2g(50モル%相当)及び純水477.6gを混合して単量体濃度30質量%の単量体水溶液1.2kgを調製した。この単量体水溶液をステンレス製デュアー瓶(反応容器)に仕込み、反応容器内の温度を10℃に温調しながら30分間窒素バブリングを行った。次いで重合開始剤として、t−ブチルハイドロパーオキサイド30ppm(全単量体の合計量に対しての質量基準に換算、以下同様)、過硫酸ナトリウム200ppm及びエリソルビン酸ナトリウム30ppmを添加し、そのまま8時間放置して断熱静置レドックス重合を行った。8時間の反応終了後、生成した含水ゲル状重合体を反応容器から取り出し、チョッパーに投入して挽肉状に細断した。細断された含水ゲルを熱風乾燥機で乾燥し、粉砕機で粉砕した。更に、83meshのステンレス製標準篩(JIS Z 8801、内径200mm、目開き180μm)を用いて180μmよりも大きい粒子を除去した後、仕上げ乾燥して微粉末状の比較重合体1を得た。
(比較合成例2)
<比較重合体2の合成>
アクリル酸ナトリウムの36質量%水溶液449.8g(40モル%相当)、アクリル酸186.1g(60モル%相当)及び純水564.1gを混合して単量体濃度29質量%の単量体水溶液1.2kgを調製した。それ以外は比較合成例1と同様に操作して目的とする粉末状の比較重合体2を調製した。
次に、合成例1〜4で得られた重合体1〜4並び比較合成例1及び2で得られた比較重合体1及び2の物性を以下に示す試験方法に従って行った。その結果を表1に示す。
(試験方法)
◇固形分
合成例1〜4並びに比較合成例1及び2で得られた重合体を各々1.00gアルミカップに計量し、105℃の乾燥機で3時間過熱して加熱減量から固形分を求めた。
◇10質量%水溶液粘度
合成例1〜4で得られた水溶液状の重合体を各々固形分濃度が10質量%となるように純水を加えて3時間攪拌し、十分に溶解して10質量%濃度の重合体水溶液を調製した。この重合体水溶液の粘度をB型粘度計(東京計器(株)製、形式:BM型)により、25℃、6rpmのローター回転数で測定した。
◇0.2質量%水溶液粘度
純水500mlに比較合成例1及び2で得られた粉末状の重合体を各々1.00gずつ加えて3時間攪拌し、十分に溶解して0.2質量%濃度の重合体水溶液を調製した。この重合体水溶液の粘度をB型粘度計(東京計器(株)製、形式:BM型)により、30℃、30rpmのローター回転数で測定した。
◇未反応単量体(残存モノマー)の含有量
80容量%アセトニトリル水溶液20mlに、合成例1〜4並びに比較合成例1及び2で得られた重合体を固形分含量が各々1.00gとなるように添加して1時間攪拌した後、1時間静置して抽出を行った。この上澄み液を採取し、高速液体クロマトグラフィー法により測定して、各々の単量体による検量線法で定量した。使用した分離カラムは、(株)日立製作所製HPLCパックドカラム#3056であり、溶離液は0.1質量%リン酸緩衝液である。未反応単量体の含有量は重合体の固形分全量に対する質量%で算出した。
◇重量平均分子量
合成例1〜4並びに比較合成例1及び2で得られた重合体の分子量は、水系GPC法により測定した。使用した分離カラムは、東ソー(株)製水系GPC用カラムTSKgel−G6000PWXLを2本と東ソー(株)製水系GPC用カラムTSKgel−G3000PWXLを1本であり、これら3本を直列に繋いで使用した。溶離液には溶質として硫酸ナトリウム(1.33g/l)と水酸化ナトリウム(0.33g/l)を含む水溶液を用いた。重量平均分子量は、ポリエチレンオキサイドを基準物質として検量線を作成し算出した。
◇不溶解分
合成例1〜4並びに比較合成例1〜2で得られた重合体について、上記10質量%水溶液粘度及び0.2質量%水溶液粘度の測定と同様に調製した10質量%濃度及び0.2質量%濃度の重合体水溶液400mlを83meshのステンレス製標準篩(JIS Z 8801、内径200mm)で、濾過し、篩上に残った不溶解物の容量を測定した。
Figure 2007126397
表中の略号は以下のものを示す。
ATBS-Na:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム
ANa:アクリル酸ナトリウム
AA:アクリル酸
NaSS:スチレンスルホン酸ナトリウム
NVP:N−ビニルピロリドン
尚、ATBSは東亞合成株式会社の登録商標である。
◎実施例1〜4及び比較例1及び2
[貼付剤の製造方法]
1)貼付剤用基剤の調製
下記の表2に示す各成分を表2に示す割合(質量部)で混合して貼付剤用基剤を調整した。まず、薬剤又は化粧料成分を界面活性剤に加えて適度に加温し可溶化した。これにグリセリンを加えて十分に混合後、水溶性重合体、ポリアクリル酸(塩)、多価金属化合物およびその他の成分を加えて攪拌し、グリセリンスラリーを調製した。別途、精製水に酒石酸を溶解した水溶液(水相)を調整しておき、グリセリンスラリーに水相を加えて攪拌した後、混合装置(ニーダー)を用いて、室温で均一になるまで混練し減圧下で脱泡して水性ゲル膏体である貼付剤用基剤を調製した。
2)貼付剤の製造
上記1)で得られた水性ゲル膏体を、伸縮性不織布(目付が105g/m2のポリエステル製不織布)に12g/140cm2の塗布量で塗布し、剥離フィルムを被せて貼付剤を製造した。
3)包装・成型
上記2)で得られた貼付剤を、ホイルラミネートフィルム2枚を用いて貼付剤の両面方向から挟み込んだ後、フィルムの周囲をヒートシールして気密包装した。これを、25℃、65%RHで720時間保管・成型した。
[貼付剤の評価方法]
成型された貼付剤を、気密包装材から取り出して、以下に示す項目について評価した。
a)接着性:
貼付剤を5名以上の腕に貼り付けて剥がれ落ちるまでの時間を測定し、その平均値か
ら下記の基準で接着性を評価した。
◎: 剥がれ落ちるまでの平均時間が5時間以上。
○: 剥がれ落ちるまでの平均時間が3時間以上5時間未満。
△: 剥がれ落ちるまでの平均時間が3時間未満。
b)耐滲み出し性:
ポリエステル製不織布の裏面を目視により観察して、下記の基準で評価した。
○: 全く滲み出しがない。
△: 一部に滲み出しがある。
×: 全体に滲み出しがある。
c)膏体残り:
貼付剤を腕に貼り付けてさらに掌で軽く圧着した後、すぐに貼付剤を剥がし取り、腕
に残った膏体の有無を目視により観察し、下記の基準で評価した。
○: 膏体が腕に全く残っていない。
△: 膏体の一部が腕に残った。
d)硬度:
約90°に曲げた肘の外側に貼付剤を貼り付けて掌で軽く圧着した後、肘を伸ばして
密着状態を目視により観察した。
◎: 浮いた部分が全くなく、良好に密着している。
○: 一部に浮きが見られたが、全体的に安定して密着している。
△: 肘全体に浮いた部分が見られた。
e)膏体表面の仕上り状態:
剥離フィルムを剥がして貼付剤の膏体表面の仕上り状態を目視により観察して、下記
の基準で評価した。
○: 表面が滑らかな平坦であり、良好な仕上りである。
△: 表面に少し凹凸が見られる。
f)薬物放出性:
貼付剤を直径φ35mmの円形に切り抜き試験片とした。次いで、内径φ20mm、
容積20mlのガラス製フランツ型拡散セルにレシーバー液(リン酸緩衝液/PEG
400=60/40質量%)を満たして液温を32℃に調節し、試験片のゲル面にセル
ロース膜を介してレシーバー液に接触させて密封した。30分、1、2、3、4、5時
間の各時間経過後にレシーバー液を採取し、高速液体クロマトグラフィー法により測定
し、検量線法で定量して各時間経過時の累積薬物濃度を求めた。使用した分離カラムは
(株)資生堂製HPLCカラムUG120であり、溶離液は0.1mol%リン酸緩衝液
/アセトニトリル混合液を使用した。
<インドメタシン>
◎: 5時間後の累積薬物濃度が10ppm以上。
○: 5時間後の累積薬物濃度が5ppm以上、10ppm未満。
△: 5時間後の累積薬物濃度が5ppm未満。
<持続性>
1時間当りに増加した累積薬物濃度の増加量が10%未満となる時間
を持続性(時間)とした。
Figure 2007126397
表中の名称は以下のものを示す。
PEOSM(EO=20モル):ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート
アロンビスAH-105:粉末状ポリアクリル酸部分中和物(日本純薬製)
尚、「アロンビス」は日本純薬株式会社の登録商標である。
表2に示すように、実施例の貼付剤は比較例に比べて良好な結果が得られた。
すなわち、実施例1〜4において、各々の貼付剤において、基剤の基本性能である接着性、硬度は極めて良好であり、薬物の放出性も良好であった。
一方、水溶性重合体として、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、N−ビニルピロリドンの何れも使用せず、従来のポリアクリル酸部分中和物(比較重合体1又は2)のみを用いた比較例1及び2では、接着性、耐滲み出し、硬度において問題があり、薬物の放出性についても実施例と比べて著しく劣るものであった。
本発明の貼付剤は、膏体から薬剤又は化粧料成分の放出性に優れ、基剤の接着性、保型性に優れ、膏体の滲み出しや皮膚への残留が無く、長時間にわたって貼付可能である。しかも基剤を構成する水溶性重合体中の未反応単量体含有量が少なく、赤斑、かぶれ、発疹などの皮膚障害を防止することができることから、広く医薬品・化粧品分野での貼付剤及び医療用具や日用品への応用展開が可能である。
実施例1〜4の薬物放出性を示す図面である(薬物:インドメタシン)。

Claims (6)

  1. 下記(a)〜(e)を必須成分として含有することを特徴とする貼付剤用基剤と経皮吸収性の薬剤又は化粧料成分とを含有する水性ゲル膏体を支持体上に施してなる貼付剤。
    (a)水溶性重合体が、
    2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び/又はその塩、スチレンスルホン酸及び/又はその塩、N−ビニルピロリドンから選択される1種の単量体を単独重合して得られる、或いは前記単量体の1種又は2種以上と共重合可能なその他の単量体とを共重合して得られる1種以上の重合体と、ポリアクリル酸及び/又はその塩を含有する水溶性重合体混合物であり、酸の20〜60モル%が中和され、微粉末で未反応単量体の含有量が0.5質量%以下である水溶性重合体、
    (b)多価アルコール
    (c)多価金属化合物
    (d)界面活性剤
    (e)水
  2. 請求項1記載の貼付剤用基剤において、基剤全量を基準に、各成分の配合割合が下記のとおりであることを特徴とする貼付剤。
    (a)水溶性重合体:1〜30質量%
    (b)多価アルコール:1〜50質量%
    (c)多価金属化合物:0.001〜3質量%
    (d)界面活性剤:0.01〜10質量%
    (e)水:残部
  3. 貼付剤用基剤を構成する(a)水溶性重合体が、基剤全量を基準に、
    2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び/又はその塩、スチレンスルホン酸及び/又はその塩、N−ビニルピロリドンから選択される1種の単量体を単独重合して得られる、或いは前記単量体の1種又は2種以上と共重合可能なその他の単量体とを共重合して得られる1種以上の重合体が0.5〜29.5重量%と、相応してポリアクリル酸及び/又はその塩が29.5〜0.5重量%(合計量は水溶性重合体として1〜30質量%である)を含有する水溶性重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の貼付剤。
  4. 請求項1〜3に記載の貼付剤用基剤が、さらに下記成分の1種以上を含有することを特徴とする貼付剤。
    (f)水酸基を有する有機酸又はその塩
    (g)炭素数が2〜6である一価の低級アルコール
    (h)長鎖脂肪酸及び/又はそれらのエステル
  5. 経皮吸収性の薬剤又は化粧料成分が界面活性剤により可溶化及び/又は分散されている請求項1〜4のいずれかに記載の貼付剤。
  6. 界面活性剤がノニオン性界面活性剤である請求項1〜5のいずれかに記載の貼付剤。

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