JP2007119112A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の制御方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 単純な制御で高品位な画像を記録可能なインクジェット記録装置の提供を目的とする。
【解決手段】 記録媒体の搬送手段は、記録手段の上流側に配置された上流側搬送手段と、記録手段の下流側に配置された下流側搬送手段40,41,42,43とにより構成される。上流側搬送手段は、記録媒体を挟持、解放可能に相対向して配置された一対のローラ36,37と、この一対のローラ36,37の少なくとも一方を、記録媒体を挟持する挟持位置から記録媒体を解放する解放位置へと移動させるローラ移動手段とを有する。ローラ移動手段は、上流側搬送手段の一対のローラ間に記録媒体の後端が到達する前に、一対のローラによる挟持状態を解放するよう制御される。
【選択図】 図5

Description

本発明は、記録手段へと記録媒体を搬送しつつ記録動作を行うインクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の制御方法に関する。
従来、プリンタ等の記録装置においては、写真画像の印刷用途が多くなってきている。特に、インクジェット記録装置ではインク滴の小液滴化、および画像処理技術の向上によって、銀塩写真と同等以上の品質で画像を形成し得るようになっている。このインクジェット記録装置では、搬送手段によって搬送されてくる記録媒体に対して非接触な状態に保たれた記録ヘッドからインク滴を吐出し、そのインク滴を記録媒体上に着弾させることによって画像を形成するようになっているため、画像の品質は記録媒体の搬送精度に大きく影響される。このインクジェット記録装置には、一般に、記録手段である記録ヘッドの上流側と下流側とにそれぞれ記録媒体を搬送するための搬送手段が設けられている。上流側の搬送手段は、間欠的に回転する駆動ローラとしての搬送ローラとこれに対向して設けられた従動ローラとしてのピンチローラとを備え、給紙部から給送された記録媒体を、両ローラで挟持しつつ回転することによって、下流側へと送り出すようになっている。従って、両ローラの間を記録媒体の後端が通過するまで、この上流側搬送手段によって搬送力が加えられる。
この上流側搬送手段によって下流側に送り出されてきた記録媒体は、記録ヘッドによって記録された後、下流側の搬送手段によってさらに下流へと間欠的に搬送されて行き、最終的に排紙部へと排出されるようになっている。
この記録媒体の間欠搬送動作において、記録媒体の後端が、搬送ローラとピンチローラとで形成されるニップから抜ける直前で搬送ローラが間欠停止した場合、すなわち、記録媒体の後端部分が前記ニップに残った状態で搬送ローラが停止すると、搬送ローラに向けて付勢されているピンチローラがその付勢力によって回転するなどして、記録媒体を両ローラの間から下流側へと押し出してしまうことがあった。この場合、予め設定されている搬送ピッチより大きな搬送量で記録媒体が搬送されることとなり、画像にムラが発生するという不都合が生じる。
このような不都合を解消すべく、特許文献1には、後端の搬送を制御し、記録ヘッドの使用ノズルシフトと合わせて記録ずれを抑える技術が開示されている。
この特許文献には、主として以下のような内容が開示されている。
(イ)記録媒体の後端が上流側の搬送手段におけるニップ部に残らないように、記録媒体の後端位置をセンサで検知する。
(ロ)記録媒体がニップ部に残らない位置で記録媒体の搬送を止めるまでに、記録媒体搬送方向下流側のノズルを絞り、上流側のノズルのみを用いて画像を形成する。
(ハ)記録媒体の後端部分が、ニップ部に残らないように、前記ニップより下流位置まで搬送する。
(ニ)使用ノズルを記録媒体搬送方向の下流側にシフトし画像を形成する。
特開2002−254736号公報
しかしながら、上記特許文献1に示す技術にあっては、未だ、以下に示すような課題が解決されていない。
(1)上記(ハ)のように記録媒体を搬送するためには、その搬送量を、予め設定した搬送ピッチよりも長くする必要があり、その結果、搬送手段などの搬送誤差がより多く累積されることとなり、搬送精度が低下するという問題が生じる。
このため、特許文献1に開示の技術を実施する場合には、上流側の搬送手段を通過した後の搬送動作を司る下流側の搬送手段の構成部品などの精度を上げることで、搬送精度を確保する必要があり、製造コストが上昇する。
(2)記録媒体の後端が上流側搬送手段のニップを通過する際の記録媒体の搬送量を制御する処理と、記録ヘッドの使用ノズルをシフトさせる処理とが必要となるため、通常の記録動作に比べて、記録時間が増大する。特に、記録媒体の端部に余白を設けず、記録媒体全面に画像の記録を行う、いわゆる全面印刷(縁無し印刷とも言う)を行う場合には、記録時間の増大はより顕著なものとなる。
本発明は上記課題に着目してなされたものであり、記録手段の使用ノズルをシフトさせたり、記録媒体の搬送量を変化させるといった複雑な制御や、搬送手段の高精度化などを必要とせず、単純な制御で高品位な画像を記録することができる記録装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を有するものとなっている。
すなわち、本発明の第1の形態は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された記録媒体上にインクを吐出して画像を記録する記録手段と、前記両手段を制御する制御手段と、を備えたインクジェット記録装置であって、前記搬送手段を、前記録手段の上流側に配置された上流側搬送手段と、前記記録手段の下流側に配置された下流側搬送手段とにより構成し、前記上流側搬送手段は、記録媒体を挟持、解放可能に相対向して配置された一対のローラと、前記一対のローラの少なくとも一方を、記録媒体を挟持する挟持位置から記録媒体を解放する解放位置へと移動させる移動手段と、を有し、前記制御手段は、前記上流側搬送手段の一対のローラ間に記録媒体の後端が到達する前に前記一対のローラによる挟持状態を解放するよう前記移動手段を制御することを特徴とする。
また、本発明の第2の形態は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された記録媒体上にインクを吐出して画像を記録する記録手段と、を備えたインクジェット記録装置の制御方法であって、前記搬送手段を、前記記録手段の上流側に配置された上流側搬送手段と、前記記録手段の下流側に配置された下流側搬送手段とにより構成すると共に、前記上流側搬送手段を、記録媒体を挟持、解放可能に相対向して配置された一対のローラと、前記一対のローラの少なくとも一方を、記録媒体を挟持する挟持位置から記録媒体を解放する解放位置へと移動させる移動手段とにより構成し、前記上流側搬送手段の一対のローラ間に記録媒体の後端が到達する前に前記一対のローラによる挟持状態を解放するよう前記移動手段を制御することを特徴とする。
以上の構成によれば、記録ヘッドのノズルシフトなどの複雑な制御を必要とせず、搬送手段の従動ローラを駆動ローラから離間するという単純な制御によって、良好な記録品質を得ることが可能になる。従って、スループットの低下も抑えることができる。また、搬送手段に対して特に高精度の部品を用いる必要がないため、低コストに構成することができる。
本発明を実施するための最良の形態について、以下に図面を参照して説明する。
本発明の第1の実施形態を図に沿って説明する。図1は本発明の各実施形態における記録装置の斜視図、図2は本発明の各実施形態における記録装置の機構部の斜視図、図3は本発明の各実施形態における縦断側面図、図4は本発明の各実施形態におけるピンチローラ昇降機構を示す斜視図、図5は本発明の第1の実施形態における記録媒体の後端部に対する記録動作状態を示す説明縦断側面図である。
本発明の記録装置は、記録装置1、給紙装置2、送紙部3、キャリッジ部5、排紙部4、Uターン・自動両面搬送部8、記録ヘッド7を備えている。そこで、これらを項目に分けて概略を順次述べていく。
(A)給紙部
図1ないし図3において、給紙部2は記録媒体Pを積載する圧板21、記録媒体Pを給紙する給紙ローラ28、記録媒体Pを分離する分離ローラ24、記録媒体Pを積載位置に戻すための戻しレバー22、等がベース20に取り付けられる構成となっている。
積載された記録媒体Pを保持するための給紙トレイ26が、ベース20または外装に取り付けられている。給紙トレイ26は多段式で使用時は引出して用いる。
給紙ローラ28は断面円弧の棒状をしている。用紙基準よりに1つの給紙ローラゴムが設けられており、これによって記録媒体を給紙する。給紙ローラ28への駆動は、給紙部2に設けられた不図示のクリーニング部と共用のモータから伝達される。
前記圧板21には可動サイドガイド23が移動可能に設けられて、記録媒体Pの積載位置を規制している。圧板21はベース20に結合された回転軸を中心に回転可能で、圧板バネ212により給紙ローラ28に付勢される。給紙ローラ28と対向する圧板21の部位には、積載最終近くのの記録媒体Pの重送を防止する人工皮革等の摩擦係数の大きい材質からなる不図示の分離シートが設けられている。圧板21は給紙ローラ28に当接、離間できるように構成されている。
さらに、記録媒体Pを一枚ずつ分離するための分離ローラ24が不図示の分離ローラホルダに取り付けられ、ベース20に設けられており、バネ等で給紙ローラ28に付勢される。分離ローラ24は、クラッチバネが取り付けられ、所定以上の負荷がかかると、分離ローラ24が取り付けられた部分が、回転できる構成になっている。分離ローラ24は給紙ローラ28に、当接、離間できるように構成されている。これらの圧板21、戻しレバー22、分離ローラ24の位置はASFセンサによって検知されている。
また、記録媒体Pを積載位置に戻すための戻しレバー22は、回転可能にベース20に取り付けられ、解除方向に戻しレバーバネで付勢されている。記録媒体Pを戻す時は、不図示のコントロールカムによって回転するように構成されている。
通常の待機状態では、圧板28はリリースされ、分離ローラ24はコントロールカムでリリースされ、戻しレバー22は記録媒体Pを戻し、積載時に記録媒体Pが奥に入らないように、積載口を塞ぐような積載位置に設けられている。この状態から、給紙が始まると、モータ駆動によって、まず、分離ローラローラ24が給紙ローラ28に当接する。そして、戻しレバー22がリリースされ、圧板21が給紙ローラ28に当接する。この状態で、記録媒体Pの給紙が開始される。記録媒体Pはベース20に設けられた前段分離部で制限され、記録媒体Pの所定枚数のみが給紙ローラ28と分離ローラ24から構成されるニップ部に送られる。送られた記録媒体Pはこのニップ部で分離され、最上位の記録媒体Pのみが搬送される。
記録媒体Pが、後述の搬送ローラ36、ピンチローラ37まで到達すると、圧板21は圧板カムによって、分離ローラ28はコントロールカムによって、リリースされる。戻しレバー22はコントロールカムによって、積載位置に戻る。この時、給紙ローラ28と分離ローラ24から構成されるニップ部に到達していた記録媒体Pを積載位置まで、戻すことができる。
(B)送紙部
曲げ起こした板金からなるシャーシ11に送紙部3が取り付けられている。送紙部3は記録媒体Pを搬送する搬送ローラ36とPEセンサ213を有している。搬送ローラ36は金属軸の表面にセラミックの微小粒をコーティングした構成であり、両軸の金属部分を軸受け38で受け、シャーシ11に取り付けられている。軸受け38と搬送ローラ36の間に搬送ローラテンションバネ381が設けられて、搬送ローラ36をスラスト方向に付勢することで搬送ローラ36のスラスト方向の位置ずれを防止している。
搬送ローラ36には従動する複数のピンチローラ37が当接して設けられている。ピンチローラ37は図4に示すピンチローラホルダ30に保持され、図4に示すピンチローラバネ31で付勢することで、ピンチローラ37が搬送ローラ36に押圧し、記録媒体Pの搬送力を生み出している。この時、ピンチローラホルダ30の回動支点軸30aがシャーシ11の軸受けに取り付けられ、そこを中心に回転する。さらに、記録媒体Pが搬送されてくる送紙部3の入口には記録媒体Pをガイドするペーパーガイドフラッパ33及びプラテン(支持部材)34が配設されている。また、ピンチローラホルダ30にはシートPの先端、後端検出をPEセンサ213に伝えるPEセンサレバー32が設けられている。プラテン34はシャーシ11に取り付けられ、位置決めされる。ペーパーガイドフラッパ33は、搬送ローラ36と嵌合し、摺動する軸受け部331を中心に回転可能で、シャーシ11に当接することで位置決めされる。
上記構成において、送紙部3に送られた記録媒体Pはピンチローラホルダ30及びペーパーガイドフラッパ33に案内されて、搬送ローラ36とピンチローラ37とのローラ対に送られる。この時、PEセンサレバー32に搬送されてきた記録媒体Pの先端を検知して、これにより記録媒体Pの記録位置を求めている。また、記録媒体Pは不図示の搬送モータによりローラ対36、37が回転することでプラテン34上を搬送される。プラテン34上には、搬送基準面になるリブが形成されており、記録ヘッド7とのギャップを管理しているのと、後述の排紙部と合わせて、記録媒体Pの波打ちを制御することで、波打ちが大きくならないように構成されている。
搬送ローラ36への駆動は、DCモータからなる搬送モータ35の回転力をタイミングベル等で搬送ローラ36の軸上に設けたプーリ361に伝達している。また、搬送ローラ36の軸上には、搬送ローラ36による搬送量を検出するための150lpi〜300lpiのピッチでマーキングを形成したコードホイール362が設けられており、それを読み取るエンコーダセンサ363がコードホイール362の隣接する位置のシャーシ11に取り付けられている。
また、搬送ローラ36の記録媒体搬送方向における下流側には、画像情報に基づいて画像を形成する記録ヘッド7が設けられている。記録ヘッド7は各色別体の交換可能なインクタンク71が搭載されたインクジェット記録ヘッドが用いられている。この記録ヘッド7は、ヒータ等によりインクに熱を与えることが可能となっている。そして、この熱によりインクは膜沸騰し、この膜沸騰による気泡の成長または収縮によって生じる圧力変化によって記録ヘッド7のノズルからインクが吐出されて記録媒体P上に画像が形成される。
(C)キャリッジ部
キャリッジ部5は、記録ヘッド7(図5参照)を取り付けるキャリッジ50を有している。そしてキャリッジ50は、記録媒体Pの搬送方向に対して交差する方向に往復走査させるためのガイドシャフト52及びキャリッジ50の後端を保持して記録ヘッド7と記録媒体Pとの隙間を維持するガイドレール111によって支持されている。なお、このガイドシャフト52はシャーシ11に取り付けられている。ガイドレール111はシャーシ11に一体に形成されている。
また、キャリッジ50はシャーシ11に取り付けられたキャリッジモータ54によりタイミングベルト541を介して駆動される。このタイミングベルト541は、アイドルプーリ542によって張設、支持されている。タイミングベルト541はキャリッジ50とゴム等からなるダンパ55を介して結合されており、キャリッジモータ54等の振動を減衰することで、画像ムラ等を低減している。そして、キャリッジ50の位置を検出するための150lpi〜300lpiのピッチでマーキングを形成したコードストリップ561がタイミングベルト541と平行に設けられている。さらに、それを読み取るエンコーダセンサがキャリッジ50に搭載したキャリッジ基板に設けられている。このキャリッジ基板には、記録ヘッド7と電気的な接続を行うためのコンタクトも設けられている。また、キャリッジ50には、電気基板9から記録ヘッド7ヘッド信号を伝えるためのフレキシブル基板57を備えている。
記録ヘッド7をキャリッジ50に固定するために、キャリッジ50には、位置決め手段、押圧手段が設けられている。押圧手段はヘッドセットレバー51に搭載され、ヘッドセットレバー51を回転支点中心に回して、セットする際に、記録ヘッド7に作用する構成になっている。
また、ガイドシャフト52の両端には偏心カムが設けられており、記録ヘッドのクリーニング処理を行うクリーニング部6のメインカム63により、ギア列581を介し、偏心カムまで駆動を伝達することによってガイドシャフト52を上下に昇降させることができる。このことによって、キャリッジ50を昇降させ、厚みの異なる記録媒体Pに対しても最適なギャップを構成することができる。なお、このメインカム63の駆動力は、前述のクリーニング部と共用のモータから伝達される。
さらに、キャリッジ50には、記録ヘッド7からの吐出インクの記録媒体P上での着弾ずれを自動的に補正するための自動レジ調整センサ59が取り付けられている。センサ59は反射型の光センサであり、発光素子より発光し、記録媒体P上の所定の記録パターンへの反射光を受光することで、最適なレジストレーション調整値を求めることができる。
上記構成において、記録媒体Pに画像形成する時は、画像形成する行位置(記録媒体Pの搬送方向の位置)にローラ対36,37が記録媒体Pを搬送すると共にキャリッジモータ54によりキャリッジ50を画像形成する列位置(記録媒体Pの搬送方向と垂直な位置)に移動させて、記録ヘッド7を画像形成位置に対向させる。その後、前述のように、電気基板9からの信号により記録ヘッド7が記録媒体Pに向けてインクを吐出して画像が形成される。
(D)排紙部
排紙部4は、2本の排紙ローラ40,41、排紙ローラ40,41に所定圧で当設、従動して回転可能な如く構成された拍車42,43、搬送ローラの駆動を排紙ローラ40,41に伝達するためのギア列、等から構成されている。
排紙ローラ40,41はプラテン34に取り付けられている。記録媒体P搬送方向で下流側の排紙ローラ40は金属軸に、複数のゴム部を設けている。搬送ローラ36からの駆動がアイドラギアを介し、排紙ローラ40に伝達されることによって駆動される。また、排紙ローラ40の上流側に設けた排紙ローラ41は樹脂の軸にエラストマーの弾性体を複数取り付けた構成になっている。排紙ローラ41への駆動は、排紙ローラ40からアイドラギアを介して伝達される。
拍車42はステンレスの薄板で、周囲に凸形状を複数設けたものを樹脂部と一体成型され、拍車ホルダー43に取り付けられている。コイルバネを棒状に設けた拍車バネ44によって、拍車42は拍車ホルダー43への取り付けと、排紙ローラ40,41等への押圧を行っている。拍車は前記排紙ローラ40,41のゴム部、弾性体部に対応する位置に設けられ、主に記録媒体Pの搬送力を生み出す役割のものと、その間の前記排紙ローラ40,41のゴム部401、弾性体部が無い位置に設け、主に記録媒体Pが記録される時の浮き上がりを抑える役割のものがある。
前記排紙ローラ40、41の間には、記録媒体Pの両端を持ち上げ、前記排紙ローラ40,41の先で記録媒体Pを保持し、先出の記録媒体P上の記録を擦ることでダメージを与えないための紙端サポートが設けられている。先端にコロが設けられた樹脂部材が紙端サポートバネによって付勢され、コロを所定圧で、記録媒体Pに押し付けることで、記録媒体Pの両端を持ち上げ、こしを作ることで、保持できるように構成されている。
以上の構成によって、キャリッジ部5で画像形成された記録媒体Pは、前記排紙ローラ41と拍車42とのニップに挟まれ、搬送されて排紙トレイ46に排出される。排紙トレイ46は、フロントカバー95に収納できる構成になっている。使用時は、引出して使用する。排紙トレイ46は先端に向けて高さが上がり、更にその両端は高さが高く構成され、排出された記録媒体Pの積載性向上、記録面の擦れ防止を可能としている。
(E)Uターン・自動両面部
装置前面に設けられたカセット81に記録媒体Pが収納される。この記録媒体Pを分離給紙するために、記録媒体Pを積載し、給紙ローラ821に当接させる圧板822がカセット81に設けられている。記録媒体Pを給紙する給紙ローラ821、記録媒体Pを分離する分離ローラ831、記録媒体Pを積載位置に戻すための戻しレバー824、圧板822への加圧・制御手段、等が本体のUTベース84に取り付けられる構成となっている。
カセット81は、2段の収縮構成になっており、記録媒体Pのサイズにより使い分けることができる。小サイズ紙あるいはカセット非使用時には、カセット81は収縮し、本体外装部9の内部に収納が可能である。
給紙ローラ821は断面円弧の棒状をしている。用紙基準よりに1つの給紙ローラゴムが設けられており、これによって記録媒体を給紙する。給紙ローラ821への駆動は、Uターン・自動両面部5に設けられた不図示のUターン・自動両面用モータから伝達される。
前記圧板822には可動サイドガイド827が移動可能に設けられて、記録媒体Pの積載位置を規制している。圧板822はカセット81に結合された回転軸を中心に回転可能で、UTベース84に設けられた、圧板バネ828などからなる加圧・制御手段により給紙ローラ821に付勢される。給紙ローラ821と対向する圧板822の部位には、積載最終近くのの記録媒体Pの重送を防止する人工皮革等の摩擦係数の大きい材質からなる不図示の分離シートが設けられている。圧板822は不図示の圧板カムによって、給紙ローラ821に、当接、離間できるように構成されている。
さらに、記録媒体Pを一枚ずつ分離するための不図示の分離ローラが不図示の分離ローラホルダに取り付けられUTベース84に取り付けられ、給紙ローラ821に付勢される。分離ローラは、クラッチバネ取り付けられ、所定以上の負荷がかかると、分離ローラが取り付けられた部分が回転できる構成になっている。分離ローラは給紙ローラ821に、当接、離間できるように構成されている。これらの圧板822、戻しレバー824、分離ローラの位置はUTセンサによって検知されている。
また、記録媒体Pを積載位置に戻すための戻しレバー824は、回転可能にUTベース83に取り付けられ、解除方向に戻しレバーバネで付勢されている。記録媒体Pを戻す時は、コントロールカムによって回転するように構成されている。
通常の待機状態では、圧板822はリリースされ、分離ローラ831もリリースされ、戻しレバー824は記録媒体Pを戻し、積載時に記録媒体Pが奥に入らないように、積載口を塞ぐような積載位置に設けられている。この状態から、給紙が始まると、モータ駆動によって、まず、分離ローラ831が給紙ローラ821に当接する。そして、戻しレバー824がリリースされ、圧板822が給紙ローラ821に当接する。この状態で、記録媒体Pの給紙が開始される。記録媒体PはUTベース84に設けられた前段規制手段で制限され、記録媒体Pの所定枚数のみが給紙ローラ821と分離ローラ831とから構成されるニップ部に送られる。送られた記録媒体Pはこのニップ部で分離され、最上位の記録媒体Pのみが搬送される。
給紙部分より下流側には、給紙された記録媒体を搬送するための、第1のUターン中間ローラ86、第2のUターン中間ローラ87の2本の搬送ローラが構成されている。これらは、金属軸の芯金の4〜6箇所にゴム硬度40°〜80°のEPDMを取り付けたものである。このゴム部に対応した位置に、記録媒体Pを挟持するための、Uターンピンチローラ861,871がばね軸に取り付けられ、第1のUターン中間ローラ86、第2のUターン中間ローラ87に付勢されている。また、搬送パスを形成するために、内側を形成するインナーガイド881、外側を形成する不図示のアウターガイドが構成されている。
分離・搬送された記録媒体Pが後述の第1のUターン中間ローラ86、Uターンピンチローラ861まで到達すると、圧板822と分離ローラ831はコントロールカムによって、リリースされる。戻しレバー824はコントロールカムよって、積載位置に戻る。この時、給紙ローラ821と分離ローラ831とから構成されるニップ部に到達していた記録媒体Pを積載位置まで戻すことができる。
前述の給紙部2との紙パスの合流点はフラッパー883で構成され、お互いのパスの合流がスムーズに行くように構成されている。記録媒体Pの先端が、前述の搬送ローラ36とピンチローラ37とに送られる際に、停止したローラ対のニップに当接され、レジ取り作業が実施される。
前述の搬送ローラ36とピンチローラ37で搬送されながら、記録を施された記録媒体Pは、搬送ローラ36とピンチローラ37との間を抜ける。自動両面記録の際は、記録媒体Pの後端が再度搬送ローラ36とピンチローラ37とに挟み込まれ、搬送される。この時、ピンチローラ37は、昇降機構により、上昇している部分に、記録媒体Pが送り込まれるので、スムーズに搬送することができる。
再度送り込まれた記録媒体Pは、両面ローラ891とピンチローラ892に挟持され、搬送される。そして、記録媒体Pは、ガイド893にガイドされ、搬送される。両面用の紙搬送パスは、所定量を過ぎると、前述のUターン搬送時の紙パスに合流する構成になっている。従って、その後の、紙パスの構成、作用は、上記内容と同一である。
制御系の概略構成
図6は本発明の実施形態における制御系の要部構成を示すブロック図である。
図6において、101は記録装置1にインターフェース114を介して接続されたホストコンピュータである。このホストコンピュータ101には、記録装置1によって記録動作を実行させるための画像情報や制御情報などの生成を行うプリンタドライバが所定の記憶媒体から入力されて格納されており、このプリンタドライバとホストコンピュータのハードウェア資源とにより、画像情報が生成される。
一方、201は記録装置1の全体的動作を制御する制御手段としての制御部であり、この制御部は、マイクロプロセッサなどのCPU210と、このCPU210により実行される制御プログラムや各種データを記憶しているROM211と、CPU210による各種処理の実行時にワークエリアとして使用され、各種データを一時的に保持するRAM212などを有する。RAM212には、前述した受信バッファ115やY,M,C,Bk,CLなどの各色のインクで記録する記録ヘッド7Y,7M,7C,7Bk,7CL(本明細書中、これら記録ヘッドをまとめて記録ヘッド7と表記することもある)に対応して、記録データを記憶するY,M,C,Bk,CLの記録バッファ(画像情報格納手段)が設けられている。
202はヘッドドライバで、制御部201から出力される各色の記録データに応じて、イエロー用記録ヘッド45Y,マゼンタ用記録ヘッド45M,シアン用記録ヘッド45C、ブラック用記録ヘッド45Bkおよび淡シアン用記録ヘッド45CLを駆動する。203,204,206および207のそれぞれはモータドライバで、対応するキャリッジモータ6、紙送り用モータ205、APモータ70および後述のピンチローラリリースギア303を回転させる昇降駆動モータを駆動するようになっている。
また、媒体端部検出センサ213は、インクジェット記録装置の給紙部からの搬送経路(第1の搬送経路)とカセットからの搬送経路(第2の搬送経路)との合流点から記録ヘッドに至る搬送経路内の所定の基準位置に設けられたセンサである。この媒体端部検出センサ213は、第1の経路または第2の経路から搬送されて来た記録媒体の端部が前記基準位置に達した時点で出力がオンからオフへと切り換わるようになっており、その出力結果に基づき、CPU210は記録媒体の端部が基準位置に達したか否かを判断する。
また、CPU210には、前記エンコーダセンサ363からのパルス信号が入力されており、これによってCPU210はキャリッジの移動位置を検出することができる。
記録媒体後端部の記録動作時における搬送制御
図5は、本発明の第1の実施形態における後端部記録時の搬送動作状態を示す図である。
記録開始指令を受けると、前述のように、給紙部2あるいは前面カセット81より記録媒体Pが給紙される。給紙された記録媒体Pは、搬送ローラ36で所定量送られ、キャリッジ50に搭載された記録ヘッド7により所定の記録が行われる。全面印刷(縁無し記録)を行った場合には、記録媒体Pの端部からはみ出したインクは、プラテン34に設けられたプラテン吸収体344に着弾し、ここに吸収される。すなわち、記録媒体Pの4辺端部からはみ出した全てのインクがここに吸収される。
また、図7は、記録媒体Pの搬送動作とマルチパス記録の状態を示す説明図である。図示のように、この第1の実施形態においては、形成すべき画像の各行に対し、記録ヘッドが4回走査することで各行の画像を完成させる4パス記録を行っている。また、搬送ローラ36とピンチローラ37の中心は、若干ピンチローラ37の方が記録媒体Pの搬送方向にオフセットされており、搬送ローラ36とピンチローラ37のニップはやや下向きに向かっている。これにより、搬送ローラ36とピンチローラ37との間に送り込まれた記録媒体Pは、プラテン34に向けて送り出される。このため、記録媒体は、普通紙等の薄手の記録媒体であったとしても、常にプラテン34に接触させながら搬送することができ、記録媒体がプラテン上での撓みや浮きが発生するのを防止することができる。その結果、記録ヘッド7と記録媒体との接触を回避することができると共に、記録ヘッドと記録媒体との間隔(紙間とも言う)を一定に保ち得るようになっている。
記録動作が進むと、記録媒体Pの後端がPEセンサ213による検出位置を通過する。すると、PEセンサ213からは後端検出信号が出力され、その検出信号を受けてCPUが記録媒体の後端の位置を認識する(図5(a)参照)。後端検出信号を受けたCPUは、記録媒体Pを所定量搬送し、搬送ローラ36とピンチローラ37のニップに記録媒体Pの後端が近づいた時点で、搬送モータを停止させ、搬送ローラ36とピンチローラ37とによる搬送動作を停止させる(図5(b)参照)。なお、この時点で、記録媒体Pの先端部は、記録ヘッド7を通過して下流側搬送手段としての、排出ローラ40とピンチローラ42、および排紙ローラ41とピンチローラ43のそれぞれのニップに挟持された状態となっている。
図5(b)の状態で、記録媒体Pの搬送動作を停止させると、次に、CPU210は、ピンチローラ37を記録媒体P、搬送ローラ36から所定量離間させる(図5(c)参照)。これは、CPU210がピンチローラ昇降機構の駆動源である昇降駆動モータ80を制御することによって行う。
図4にこのピンチローラ昇降機構300の主要構成を示す。
前述のように、ピンチローラ37は、ピンチローラホルダ30の先端部に支持されており、このピンチローラホルダ30の後端部は、回動支点軸30aによってシャーシ11に回動可能に取り付けられている。また、ピンチローラホルダ30は、ピンチローラバネ31によって搬送ローラ36に押圧するよう付勢されている。また、板金をコ字状に曲げて形成したピンチローラリリースシャフト302が、シャーシ11に取り付けられている。このピンチローラリリースシャフト302には、ピンチローラホルダ30の後端部を押圧、解放するピンチローラリリースカム301が複数個取り付けられている。
さらに、ピンチローラリリースシャフト302の端部には、図外の昇降駆動モータ80の駆動力をピンチローラリリースシャフト302に伝えるピンチローラリリースギア303が固定されている。
このように構成されたピンチローラ昇降機構300において、昇降駆動モータ80の回転によって、ピンチローラリリースギア303が回転すると、ピンチローラリリースシャフト302およびピンチローラリリースカム301が共に回転し、ピンチローラリリースカム301がピンチローラホルダ30の後端部を押圧する。これにより、ピンチローラホルダ30が支点軸30aを中心にピンチローラバネ31の付勢力に抗して矢印aに示す方向に回転し、ピンチローラ37が搬送ローラ36から離間する。また、昇降駆動モータ80がさらに所定位置まで回転すると、ピンチローラリリースカム301はピンチローラホルダ30に対する押圧を解除し、ピンチローラホルダ30はピンチローラバネ31の付勢力によって矢印b方向へと回転し、ピンチローラ37は再び搬送ローラ36に押圧する。
ピンチローラ昇降機構300によってピンチローラ37を搬送ローラ36から離間させると、次に、CPU210は、記録媒体に対する記録動作を再開させる。この時、記録媒体Pは、それまでと同様に、間欠的に搬送されて行くが、その搬送は、排紙ローラ40,41の回転力によって行われる。そして、搬送される記録媒体Pは、搬送ローラ36上で停止する可能性があるが、ピンチローラ37は上昇位置にあるため、従来のように、ピンチローラ37と搬送ローラ36とのニップによって押し出されることはなく、予め設定した搬送ピッチで正確に搬送されて行く。
従って、この第1の実施形態では、図7に示すように、ピンチローラ37を離間させた後も、離間させる前と同様に4パスの記録を行っており、従来のように、記録媒体の後端部が搬送ローラとピンチローラ37とによるニップを通過する際に、搬送距離を長くしたり、記録ヘッド7のノズルをシフトさせるような制御は必要としない。そして、記録媒体Pの後端部が、搬送ローラ36とピンチローラ37のニップ位置を越えた所まで、進んだ時点で、CPU210は、昇降駆動モータを回転させ、ピンチローラ37の離間を解除し、再び、記録媒体Pと搬送ローラ36に押圧させる(図5(d)参照)。その後、記録媒体P後端の最下端部の印刷が終了した時点で、排紙動作に入り、記録媒体Pは、排紙トレイ46上に排出される。
このように、この第1の実施形態においては、記録媒体の後端部がピンチローラ37上を通過する際にピンチローラ37を上昇させるだけの極めて単純な制御を行うことによって、記録媒体を予め設定した搬送ピッチで正確に搬送することができ、記録ヘッドの各走査において記録媒体に対し適正な位置に記録を行うことができる。このため、各記録走査によって形成される画像間に記録ムラが発生するのを防止することができる。また、縁無し記録を行う場合にも、記録媒体が正確に搬送されることにより、確実に記録媒体の後端部への記録を行うことができ、良好な品質の画像を形成することができる。
但し、この第1の実施形態においては、このピンチローラ昇降機構300によって、ピンチローラ37を記録媒体Pから離間させた際に、記録媒体Pの後端が僅かに浮き上がる可能性もあり、この浮き上がりによって記録ヘッドからのインク滴の着弾位置が紙送り方向およびキャリッジ走査方向において僅かにずれる可能性もある。このため、この第1の実施形態では、記録媒体の浮き上がりに伴う着弾誤差を考慮して、記録媒体の搬送量を補正することも行っている。
図8は、ピンチローラ31を上昇させた際に記録媒体Pが浮き上がった状態およびその浮き上がりによってインク滴の着弾ずれが発生した状態を示す図であり、(a)は浮き上がった記録媒体を記録媒体の搬送方向と直交する方向(キャリッジの移動方向)から見た図であり、(b)は浮き上がった記録媒体をキャリッジの移動方向と直交する方向から見た図である。
記録媒体Pが浮き上がった場合、記録媒体Pは図8(a)に示すように、搬送方向において斜めに傾いた状態となるため、インク滴の着弾位置に僅かなずれαが生じる。また、図8(b)に示すように、キャリッジ50走査方向においては、記録ヘッド7から吐出されたインク滴にキャリッジ50の走査スピードが加わるため、図示のように、記録ヘッド7と記録媒体との間の距離(紙間距離)が変わると、キャリッジの着弾位置にずれβが生じる。
そこで、記録媒体搬送方向については、着弾位置のずれα分だけ、予め設定した搬送量を補正し、最適化を図っている。この場合、搬送ローラ36に直結されたコードホイール362とエンコーダセンサ363に基づいて搬送モータを制御することにより、紙面上の着弾位置を6000dpi(4.2μm)単位で補正することが可能である。また、キャリッジ50走査方向の着弾位置のずれβについてはコードストリップ561とキャリッジ50に搭載したエンコーダセンサ56に基づいて記録ヘッド7からのインク吐出タイミングを制御することで、紙面上の着弾位置を9600dpi(2.6μm)単位で補正することが可能である。これらの補正値は、予め設定され、制御部201のROM211に格納されている。この搬送補正、インク吐出タイミングの補正により、ピンチローラ37を離間した際の、記録媒体Pの浮き上がりに伴う紙間の変化に対しても補正することができ、より良好な画像を確保することができる。
以上、この第1の実施形態によれば、記録ヘッドのノズル群の中の使用領域を選択したり、使用ノズルをシフトさせたりするような特殊な制御を行う必要はなく、搬送手段の従動ローラ(ピンチローラ37)の上昇、記録ヘッドのインク吐出タイミングの遅延、および記録媒体の搬送ピッチの短縮などの単純な制御を行うだけで、良好な品質の画像を得ることができる。
また、記録媒体Pの後端が搬送ローラ36とピンチローラ37とにより形成されるニップに近づいたときに、従来のように記録媒体の搬送距離を増大させることはないため、特に、搬送手段の機械的精度を高める必要もなく、低コストに構成することができる。
前述した実施形態では、記録媒体Pの搬送はピンチローラ37を上昇させるか否かに拘わりなく、全て4パスのマルチパス記録を行うようにしたが、図9に示すように、ピンチローラ37の上昇後には、搬送量をそれまでの搬送量の半分にし、8パスのマルチパス記録を行うようにしても良い。
このように、ピンチローラ37の上昇後のマルチパス記録のパス数を2倍にすることで、マルチパスによる画像の品質向上効果は高まり、記録ヘッドの着弾の乱れ、記録媒体P搬送精度の低下などを目立ち難くすることができ、さらなる画像品質の向上を図ることができる。なお、この場合、スループットは低下するが、ノズルを半分に絞り、4パスのマルチパス記録を行うことも、記録精度は向上することになる。
さらに、前述の第1および第2の実施形態では、記録媒体Pの後端が搬送ローラ36とピンチローラ37のニップ部を通過した後、記録動作中にピンチローラ37を搬送ローラ36との押圧位置へと復帰させるようにしたが、記録媒体Pへの記録が完全に終了してからピンチローラ37を復帰させても良い。この場合、前述の各実施形態では、ピンチローラ37の戻しの時間が記録中に加算されるので、スループットの低下を招くこととなるが、記録後にピンチローラ37を復帰させる場合には、他の記録動作に付随する他の動作期間を用いて行うことができるため、スループットを向上させることが可能となる。なお、その他の構成、作用については前述した第1の実施形態と同様である。
前述の各実施形態では、搬送ローラ36中心位置に対し、若干ピンチローラ37の中心位置が記録媒体P搬送方向にオフセットされて構成されていたが、図10(c)、(d)のようにオフセットしていない構成でも良い。
すなわち、図10(a)は前述の各実施形態のように、ピンチローラ37と搬送ローラ36とが接触した状態で、ピンチローラの中心位置が搬送ローラの中心位置から搬送方向へとオフセットされている状態(以下、この状態をピンチローラ37がオフセットされている状態と称す)を示している。また、図10(b)は同図(a)に示す状態からピンチローラ37が搬送ローラ36から離間した状態を示している。
図10(a)に示すように、ピンチローラ37の下降時には、ピンチローラ37の押圧力によって記録媒体がプラテン34上に接触した状態にあるが、図10(b)に示すように、ピンチローラ37が上昇すると、記録媒体がその腰によって搬送ローラ36の頂部に接触し、プラテン34より上方へと若干浮き上がった状態となる。
これに対し、この第3の実施形態では、図10(c)に示すように、搬送ローラ36がプラテン34の上面の高さと同一位置にあり、かつピンチローラ37の中心位置と搬送ローラ36の中心位置とが、記録媒体の搬送方向において一致している。
図10(c)に示すようにピンチローラ37が下降した状態において、記録媒体Pは、搬送ローラ36の最上位位置とピンチローラの最下位位置とで挟持されており、その挟持位置はプラテン34の上面位置と高さ方向において一致している。このため、ピンチローラ37を挟持上昇させた場合にも、記録媒体Pは上昇する前(図10(c))と同様に、搬送ローラの最上位位置とプラテン34の上面とに保持された状態となっている。つまり、ピンチローラ37が上昇する前後で、記録媒体Pの位置は変化せず、紙間は一定に保たれることとなる。従って、ピンチローラ37を上昇させても上記各実施形態のように着弾ずれが発生することはなくなり、インク吐出タイングの調整、搬送量の補正などの処理も不要となる。これにより、より単純な制御で良好な品質の画像を得ることができる。
本発明の第4の実施形態は、ピンチローラ37が上昇するか否かに応じて、ピンチローラ37の中心位置を搬送ローラ36の中心位置に対して、図11(a)に示すように搬送方向にオフセットされる状態(以下、この状態をピンチローラ37がオフセットされる状態と称す)と、図11(b)に示すようにオフセットされない状態とに選択的に切換え得るように構成したものである。
すなわち、この第3の実施形態では、ピンチローラ37をオフセットさせる状態とオフセットさせる状態とに切換えるピンチローラ移動機構と、キャリッジ50と記録ヘッド7とを昇降させる記録部昇降機構とを有するものとなっている。
ここで、ローラ位置選択機構は、サイドプレート304を搬送ローラ36を中心に回転移動させ、サイドプレート304に保持されたピンチローラホルダ30と共に、ピンチローラ37を搬送ローラ36の外周に沿って移動させることにより、オフセット無しの位置と、オフセット位置とに設定可能になっている。
また、記録部昇降機構において、プラテン34の昇降は、サイドプレート304に設けられたプラテンストッパー305を、前述のようにピンチローラを移動させるべく回転させることによって昇降させ得るようになっている。また、キャリッジ50及び記録ヘッド7の昇降は、メインカム63を回転させ、ガイドシャフト52を昇降させることで行うことができる。ここで、メインカム63によるキャリッジ50および記録ヘッド7の昇降は、ピンチローラホルダ30の移動、すなわちピンチローラ36およびプラテン34の移動に応じて行われる。また、キャリッジ50および記録ヘッド7の移動量とプラテン34の移動量は、同一に設定されている。
上記のように構成された第3の実施形態において、使用する記録媒体が、普通紙などのように記録後に変形し易いものは、ピンチローラ37をオフセットさせた状態で使用する。この場合、前述のように記録媒体をプラテンに接触させることができ、しかも記録された記録媒体は若干撓みながら排紙ローラへとスムーズに送り込まれる。
これに対して、記録媒体が厚手のもので、記録後の変形が少ない腰の強い写真用メディア等の場合には、ピンチローラ37をオフセットさせた状態で使用すると、記録媒体が傾いたり、皺が発生したりし、さらに記録媒体が排出ローラとピンチローラとの間に送り込まれにくい状況が発生する可能性がある。このため、記録媒体が厚く、腰の強いものであった場合には、サイドプレート304を回転させてピンチローラ37をオフセットさせない位置へと移動させると共にプラテンストッパー305を上昇させてプラテン34をピンチローラ37と略同一の高さまで移動させる。また、これと同時にメインカム63が回転し、キャリッジ50および記録ヘッド7がプラテン34と同一量だけ上昇する。これにより、搬送ローラ36とピンチローラ37とによリ形成されるニップと、プラテン上面と、排紙ローラ41とピンチローラ42とにより形成されるニップとが、それぞれ同一平面上に位置することとなり、記録媒体は撓むことなく搬送ローラ36からプラテン34上を経て排紙ローラ40へとスムーズに導かれる。また、記録媒体Pの後端が搬送ローラ36とピンチローラ37とに形成されるニップの近傍に達した際には、上記各実施形態と同様にピンチローラ37を上昇させるため、記録媒体Pの搬送ピッチが不用意に変化することがなく、しかも一定の紙間を維持することができるため、厚く腰の強い記録媒体に対しても良好な品質の画像を形成することができる。また、紙間が一定に保たれることにより、記録媒体と記録ヘッドとが接触することもなくなる。
なお、この第3の実施形態において、普通紙などの撓み易い記録媒体を用いる場合にも、ピンチローラ37を上昇させると同時に、上記機構によってプラテンと記録ヘッドとを、図11(b)に示すように上昇させれば、図9(a)に示すように紙間が変化することもなくなり、図9(d)に示すように搬送ローラ36と排紙ローラ41の頂点およびプラテン34の上面で記録媒体Pを支持することが可能となり、ピンチローラ37の昇降前後で、一定の紙間を保持しつつ記録動作を行うことが可能となり、より高品質な画像を得ることができる。
本発明の第5の実施形態は、ピンチローラ37の昇降動作時及び上昇状態の記録媒体搬送り精度を向上させる構成である。
図12に示すように、押圧コロ1201が押圧ホルダ1202の先端に回動可能に保持され、この押圧ホルダ1202の後端部は回転支軸1202aによってシャーシ11に回動可能に取り付けられている。また、押圧バネ1203で押圧ホルダ1202を介して押圧コロ1201が搬送ローラ36に押圧される。ここで、押圧バネ1203の一端はシャーシ11に掛けられ、常に押圧力を発生している。
これにより、ピンチローラ37の上昇動作に伴ってピンチローラバネ31による搬送ローラ36への押圧力が失われるにもかかわらず、押圧コロ1201の押圧力により搬送ローラ36が軸受け38に確実に接地され、搬送ローラ36の位置ずれを防止できる。
ここで、搬送ローラ36の位置ずれは、排紙ローラ40での搬送に大きく関与している。なぜなら、搬送ローラ36及び排紙ローラ40の位置は搬送ローラ36に取り付けられたコードホイール362の回転量をエンコーダセンサ363で読み取ることで決定されるため、搬送ローラ36の位置ずれが発生すると、搬送ローラ36はもちろん駆動伝達下流に位置する排紙ローラ40の位置もずれてしまうからである。
図13〜15に示すように、記録媒体Pの搬送時には搬送ローラ36にはさまざまな力が作用している。図13には記録媒体Pの後端部以前の搬送で、ピンチローラ37と押圧コロ1201が搬送ローラ36に押圧し、主に搬送ローラ36(排紙ローラ40(不図示でも搬送しているが)で記録媒体Pを搬送している状態での搬送ローラ36の回転動作時(図13-a)と停止時(図13-b)を示している。図14は本実施例での記録媒体Pの後端部の搬送で、ピンチローラ37が搬送ローラ36から離間し、押圧コロ1201が搬送ローラ36に押圧して、排紙ローラ40で記録媒体40を搬送している状態での搬送ローラ36の回転動作時(図14-a)と停止時(図14-b)を示している。図15は本実施例を採用しない記録媒体Pの後端部の搬送で、ピンチローラ37が搬送ローラ36から離間し、排紙ローラ40で記録媒体40を搬送している状態での搬送ローラ回転動作時(図15-a)と停止時(図15-b)を示している。
図13-aにおいて、Fgは搬送ローラ36の重力、1301は搬送モータ35から搬送ローラ36の軸上に設けたプーリ361へ駆動力を伝達するタイミングベルト、1302はプーリ361に設けられたギア部361−aから排紙ローラ40(不図示)へ駆動力を伝達するアイドラギアである。Fmは搬送モータ35の回転によりタイミングベルト1301がプーリを回転させる駆動力、Tは搬送ローラ36に発生するトルクである。Ffは排紙ローラ40側の抵抗力、Fpはピンチローラ37の押圧力、Fkは押圧コロ1201の押圧力、Fbは記録媒体Pの搬送抵抗(バックテンション)、N1とN2は2平面接地形状の軸受け38の垂直抗力、μN1とμN2は軸受け38と搬送ローラ36との間に発生する摩擦力である。ここで、搬送ローラ36はピンチローラ37と押圧コロ1201の押圧力Fp+Fkにより軸受け38に押さえつけられており、抵抗力Ffや摩擦力μN2等の力の発生によっても搬送ローラ36が位置ずれを起こすことはない(N1及びN2が0にならない)。
図13-bにおいて、Ft1,Ft2はタイミングベルト1301による静的ベルトテンションである。ここでも、ピンチローラ37と押圧コロ1201の押圧力Fp+Fkにより軸受け38に押さえつけられており、搬送ローラ36が位置ずれを起こすことはない(N1及びN2が0にならない)。
一方、ピンチローラ37を上昇させ、押圧コロ1201を有しない構成では、図15-aの搬送ローラ36回転動作中には、搬送ローラ36を重力方向に押さえつける力が不足しているがために、駆動力Fmをかけることで発生する抵抗力Ffが大きい場合や、搬送ローラ36と軸受け38の間のスティックスリップ等の発生により、N1もしくはN2が一時的に0になってしまう(搬送ローラ36が浮き上がる)場合がある。
図15-bにおいては、ベルトテンションFt1,Ft2の向きや大きさによってはN2が0になってしまう。また、本説明図は、駆動列を有する側(記録装置正面から見て左側)の搬送ローラ36と軸受け38の関係を示したものであるが、この反対側(記録装置正面から見て右側)では、駆動力Fm、抵抗力Ff,ベルトテンションFt1,Ft2によって、駆動列を有する側の軸受け38を支点としたモーメント力が作用するため、反対側でのN1,N2は更に0になりやすい状態(搬送ローラ36が浮き上がる状態)にある。
これに対し、本実施例の説明図である図14-a及び図14-bにおいては、図13-a及び図13-b同様に搬送ローラ36を抑える力Fk(押圧コロ1201の押圧力)によって搬送ローラ36は軸受け38に押さえつけられており、搬送ローラ36が位置ずれを起こすことはない(N1及びN2が0にならない)。すなわち、図13に示した記録媒体Pの後端部以前の搬送状態と、図14に示したピンチローラ37が上昇した記録媒体Pの後端部の搬送状態がほぼ等しく、ピンチローラ37の上昇による精度劣化を防止することが出きる。
ここで、Fkの押圧力は、搬送ローラ36がいかなる場合でも軸受け38から浮き上がらない(位置ずれしない)大きさに設定することは言うまでもない。
図13〜15は説明の簡略化のため、ピンチローラ37にオフセットを設けていないが、オフセットを設けた場合もなんら変わるものでもない。また、軸受け38は搬送ローラ36に対して位置ずれを極力抑えた2平面接地形状として説明したが、一般的な丸穴形状の軸受けでは、搬送ローラ36への作用力の方向の変化に起因する搬送ローラ36の位置ずれが一層顕著となる。
さらに、図13、14にも示してあるように、搬送断面において、押圧コロ1201の押圧位置はピンチローラ37の押圧位置と等しくしている。これにより、ピンチローラ37の押圧力の有無に寄らず搬送ローラ36の押圧方向に変化なく押圧力を作用することができ、ピンチローラ37の押圧状態の変化による搬送ローラ36の位置安定性の変化を最小限に抑えている。上述の一般的な丸穴形状の軸受けでは、さらに効果的である。
以上述べたように、押圧コロ1201を搬送ローラ36に押圧することにより、ピンチローラ37の昇降にかかわらず搬送ローラ36の位置が安定し排紙ローラ40の回転精度が維持されるため、搬送精度の劣化なく記録動作を行うことが可能となり、より高品質な画像を得ることができる。
(第6の実施形態)
本実施例では、図16に示すように、第5の実施例に対して、ピンチローラリリースシャフト302に押圧ホルダ1202の後端部を押圧、解放する押圧カム1601が取り付けられ、押圧バネ1203の一端が押圧カム1601に掛けられている。この構成により押圧コロ1201がピンチローラ37の昇降動作に応じて押圧、離間動作する。同図では、ピンチローラ37が搬送ローラ36を押圧し、押圧コロ1201が上昇した状態を図示している。
押圧コロ1201の昇降動作は、図17に示すように、ピンチローラ37の押圧時には押圧コロ1201が離間し(図17-a)、ピンチローラ37の離間時には、押圧コロ1201が押圧する(図17-c)構成となっている。ここで、ピンチローラ37と押圧コロ1201の離間、押圧タイミングは、搬送ローラ36からピンチローラ37と押圧コロ1201の両方が同時に離間することの無いよう両者の押圧オーバーラップ動作領域を有している(図17-b)。これは、いかなる場合にも搬送ローラ36を軸受け38に押さえつけるためである。つまり、ピンチローラ37の上昇動作は、図17-a→図17-b→図17-cと動作し、逆にピンチローラ37下降動作は、図17-c→図17-b→図17-aと動作する。
ここで、押圧コロ1201による搬送ローラ36に与える押圧と(F3)、ピンチローラ37による搬送ローラ36に与える押圧力(F1)の総圧が一定になるよう押圧バネ1203の力が決定される。(ここで、ピンチローラ37と押圧コロ1201の押圧オーバーラップ動作領域における押圧力F2はF1やF3と等しいことが理想であるが、この状態で搬送ローラ36を搬送動作させなければ搬送ローラ36が位置ずれしない程度の押圧力でも構わない)。搬送ローラ36の回動動作は図17-aもしくは図17-cで行い、図17-bでは行わない。ただし、図17-bやそれ以外の状態でも搬送ローラ36に与える押圧力が押圧力(F1)及び押圧(F3)と等しく維持できる場合は、搬送ローラ36の回動動作を行っても構わない。また、第5の実施例同様ピンチローラ37による押圧方向と押圧コロ1201による押圧方向を等しくしてある。つまり、ピンチローラ37と押圧コロ1201により搬送ローラ36は常に同じ方向に同じ押圧力を受け、作用力状態が等しくなるためメカ負荷の安定化が図れる。ここでの説明図では簡略化のためにピンチローラ37及び押圧コロ1201の押圧方向にオフセットが設けられていないが、オフセットを設けた場合もなんら変わるものでもない。
本件では、DCモータ35を搬送ローラ36の駆動源とし、搬送ローラ36の回転量(位置)をエンコーダセンサ363により検知しこの位置及び速度情報をフィードバック制御して搬送ローラ36の動作制御を行なっている。停止直前には制御可能なぎりぎりの遅い速度で動作させ、目標位置(エンコーダスリット)で電源を切ってメカの摩擦力で停止させている。
ここで、搬送停止精度を確保する上での重要なポイントは停止直前の速度の安定性とメカの摩擦力の安定性の2点である。
1点目の停止直前の速度の安定性に対しては、サーボ制御を安定化させるため、制御対象の状態が一定であることが必要になる。停止寸前の動作時にはコードホイール362の回転量が少なくなるためエンコーダセンサ363からの出力信号数が減少するために制御の安定性が劣化している。このような状態においては、制御対象の安定性が重要となってくるためである。
制御の安定性が劣化する等により停止前速度が変化した場合の停止精度に与える影響を図18に示す。同図において、縦軸に速度、横軸に位置を取り、P0を目標停止位置とし、矢印は停止までの動作を示す。停止前速度が遅い場合(1801)のVs0から速い場合(1802)のVs1に変化した時、これらの状態で目標停止位置P0にたどりついた瞬間に電源を切りメカ負荷(主に搬送ローラ36と軸受け38の摩擦力)で停止する位置はそれぞれ目標位置P0を基準とすると、ΔPs0、ΔPs1となりΔPs1-ΔPs0の差が生じてしまう。もし、搬送毎の停止前速度が同一であれば、P0を基準とするずれ量が搬送毎に等しくなり搬送ピッチが保たれるため搬送精度が保たれる。上記の様に停止前速度が変化してしまい、ずれ量が変化してしまうと搬送ピッチが搬送毎に変化してしまうため、搬送精度劣化してしまう。
本実施例では、上述のように、ピンチローラ37の押圧、離間にかかわらず、制御対象となる搬送ローラ36への負荷(トルク)と負荷方向を一定にすることで、制御対象の状態を等しくし、制御の安定性を達成し停止前速度の安定を実現している(同じ制御、同じゲインで同じ結果を得られる)。
2点目のメカの摩擦力の安定性に関しては、電源を切った瞬間から停止するまでの搬送ローラ36の空走回転量が常に一定に保つことである。この空走回転量は上述の電源を切る瞬間の速度(加速度も含む)以外にも搬送ローラ38が受けるブレーキ力に大きく左右される。
図19に示すように、例えば、制御により電源を切る瞬間の速度vが一定に保たれたとしても、搬送ローラ36の回転負荷が小さいと(1901)、ブレーキ力が足りずオーバーランしてしまい目標位置から搬送方向に位置ずれして停止してしまう(ΔPf1の位置)。更にはブレーキ力が足りないため、電源を切る瞬間の速度のずれに敏感になり停止位置にばらつきが大きくなってしまう。逆に、搬送ローラ36の回転負荷が大きいと(1902)、ブレーキ力が大きいため、目標停止位置で電源を切って停止する位置が手前になってしまう(ΔPf0の位置)。逆に、電源を切る瞬間の速度vとブレーキ力を一定に保てば、停止位置の安定化が図れる。(同図においては、図18同様に、縦軸に速度、横軸に位置を取り、P0を目標停止位置とし、矢印は停止までの動作を示す。)
すなわち、ピンチローラ37の押圧、離間にかかわらず、制御対象となる搬送ローラ36へのブレーキ力(負荷)を一定にすることが重要であり、これにより搬送ローラ36の電源を切った後の空走距離を安定化でき、停止精度を向上することができる。
(図18、19では説明の明快化のため、目標停止位置で電源を切ると、目標停止位置より先に停止する場合を例にしている。実際には十分に遅い速度で電源を切るとメカ弾性等により目標停止位置より搬送方向手前に停止する。)
以上述べたように、ピンチローラ37の昇降動作に合わせて押圧コロ1201の降昇動作を行ない、搬送ローラ36が受けるブレーキ力を一定にすることで、搬送ローラ36ならびに排紙ローラ40の停止精度を向上することができ、後端部領域においてもより高品位な画像が得られる。
更には、搬送ローラ36の位置ずれを防止するだけでなく、押圧コロ1201の押圧機能を追加したにもかかわらず、搬送ローラ36の回転負荷が増大することがないため搬送用モータの負荷の増大をも回避し搬送モータ35のパフォーマンスを最大限に活用できるといったメリットも得られる。
本発明の実施形態における記録装置の斜視図である。 本発明の実施形態における記録装置の機構部の斜視図である。 本発明の実施形態における縦断側面図である。 本発明の実施形態におけるピンチローラ昇降機構を示す斜視図である。 本発明の実施形態における記録媒体の後端部に対する記録動作状態を示す説明縦断側面図である。 本発明の実施形態における制御系の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態における記録媒体の搬送動作と4パスのマルチパス記録の状態を示す説明図である。 ピンチローラ31を上昇させた際に記録媒体Pが浮き上がった状態およびその浮き上がりによってインク滴の着弾ずれが発生した状態を示す図であり、(a)は浮き上がった記録媒体を記録媒体の搬送方向と直交する方向(キャリッジの移動方向)から見た図であり、(b)は浮き上がった記録媒体をキャリッジの移動方向と直交する方向から見た図である。 本発明の第2の実施形態における記録媒体の搬送動作とマルチパス記録のパス数を切換えた状態を示す説明図である。 本発明の第3の実施形態における搬送部、記録部の説明縦断側面図である。 本発明の第4の実施形態における搬送部、記録部の状態を示す説明縦断側面図である。 本発明の第5の実施形態における押圧コロ機構を示す斜視図である。 本発明の第5の実施形態における搬送ローラ部の説明断側面図である。 本発明の第5の実施形態における搬送ローラ部の説明断側面図である。 本発明の第5の実施形態における搬送ローラ部の説明断側面図である。 本発明の第6の実施形態における押圧コロ昇降機構を示す斜視図である。 本発明の第6の実施形態における押圧コロ昇降機構動作を示すの説明断側面図である。 本発明の第6の実施形態における搬送停止近傍動作の説明図である。 本発明の第6の実施形態における搬送停止近傍動作の説明図である。
符号の説明
3 送紙部
4 排紙部
7 記録ヘッド
31 ピンチローラバネ
32 PEセンサレバー
34 プラテン
36 搬送ローラ
37 ピンチローラ
30 ピンチローラホルダ
301 ピンチローラリリースカム
302 ピンチローラリリースシャフト
303 ピンチローラリリースギア
304 サイドプレート
305 プラテンストッパー
381 ローラテンションバネ
40 排紙ローラ1
41 排紙ローラ2
42 拍車
50 キャリッジ
1201 押圧コロ

Claims (16)

  1. 記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された記録媒体上にインクを吐出して画像を記録する記録手段と、前記両手段を制御する制御手段と、を備えたインクジェット記録装置であって、
    前記搬送手段を、前記記録手段の上流側に配置された上流側搬送手段と、前記記録手段の下流側に配置された下流側搬送手段とにより構成し、
    前記上流側搬送手段は、記録媒体を挟持、解放可能に相対向して配置された一対のローラと、
    前記一対のローラの少なくとも一方を、記録媒体を挟持する挟持位置から記録媒体を解放する解放位置へと移動させる移動手段と、を有し、
    前記制御手段は、前記上流側搬送手段の一対のローラ間に記録媒体の後端が到達する前に前記一対のローラによる挟持状態を解放するよう前記移動手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記上流側搬送手段は、所定の駆動源の駆動力によって回転する駆動ローラと、この駆動ローラに対向して設けられた従動ローラとを有し、前記従動ローラは、駆動ローラとの間で記録媒体を挟持する挟持位置と、この記録媒体から離間する解放位置へと移動可能であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記搬送手段は、記録媒体を間欠的に搬送させると共に、前記記録手段は、前記記録媒体の間欠的な搬送動作に応じて前記搬送方向と交差する方向へと走査しつつインクを吐出して記録を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記制御手段は、前記上流側搬送手段の前記従動ローラを、前記記録媒体から離間させる前、離間させる時、離間させた後とで、前記各搬送手段による間欠的搬送動作の1回分の搬送量を変化させることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の記録装置。
  5. 前記記録手段は、前記記録媒体の搬送方向と交差する方向に沿って配列された複数のノズルからなるノズル群を有し、
    前記制御手段は、前記記録媒体の同一の記録領域に対して異なるノズルを用いて複数回の走査を実行させることによって画像を完成させると共に、前記上流側搬送手段の従動ローラを駆動ローラから離間させた後、前記各記録領域における画像を完成させるために要する走査回数を増加させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の記録装置。
  6. 前記制御手段は、前記上流側の搬送手段の従動ローラを、前記駆動ローラから離間させる前後で、前記記録手段の走査方向におけるインク吐出タイミングを変更することを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記制御手段は、前記上流側の搬送手段の従動ローラを、前記記録媒体から離間する前後で、前記搬送手段による間欠搬送動作における1回分の搬送量を変化させることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記上流側搬送手段の従動ローラは、記録媒体から離間した後、記録媒体全体に対する記録動作が終了した後に、前記駆動ローラに当接することを特徴とする請求項2ないし7に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記上流側搬送手段の従動ローラと駆動ローラとのニップ位置が、駆動ローラの頂点位置に設定され、前記ニップ位置は記録媒体の搬送経路と同一平面上に位置することを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記上流側搬送手段は、従動ローラと駆動ローラとのニップ位置が、前記駆動ローラ上で移動可能に構成されると共に、前記ニップ位置の位置に応じて、記録手段およびこれに対向する位置に設けられた記録媒体の支持部材の位置が移動可能に構成されることを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記上流側搬送手段は、前記従動ローラ以外に、前記上流搬送手段の駆動ローラを該駆動ローラを支持する軸受けに対して押圧する押圧手段を有することを特徴とする請求項2ないし10のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記記録媒体搬送時において、前記従動ローラが前記駆動ローラを押圧している状態では前記押圧手段が前記駆動ローラを押圧せず、前記従動ローラが前記駆動ローラから離間している状態では前記押圧手段が前記駆動ローラを押圧することを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記従動ローラが駆動ローラに与える総押圧力と、前記押圧手段が前記駆動ローラに与える総押圧力が等しいことを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録装置。
  14. 前記従動ローラが駆動ローラに与える押圧方向と、前記押圧手段が前記駆動ローラに与える押圧方向が等しいことを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  15. 前記両搬送手段を駆動する駆動手段としてDCモータと、前記上流搬送手段の駆動ローラの回転位置検知手段を有し、該位置検知手段からの情報に基づいて前記DCモータをフィードバック制御して前記駆動ローラの位置決めを行うことを特徴とする請求項1ないし14に記載のインクジェット記録装置。
  16. 記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された記録媒体上にインクを吐出して画像を記録する記録手段と、を備えたインクジェット記録装置の制御方法であって、
    前記搬送手段を、前記記録手段の上流側に配置された上流側搬送手段と、前記記録手段の下流側に配置された下流側搬送手段とにより構成すると共に、
    前記上流側搬送手段を、記録媒体を挟持、解放可能に相対向して配置された一対のローラと、前記一対のローラの少なくとも一方を、記録媒体を挟持する挟持位置から記録媒体を解放する解放位置へと移動させる移動手段とにより構成し、
    前記上流側搬送手段の一対のローラ間に記録媒体の後端が到達する前に前記一対のローラによる挟持状態を解放するよう前記移動手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置の制御方法。
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