JP2007117911A - 有機塩素化合物分解用触媒およびこの触媒を用いた有機塩素化合物の除去方法 - Google Patents

有機塩素化合物分解用触媒およびこの触媒を用いた有機塩素化合物の除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、有機塩素化合物を除去するための触媒を提供すること、並びにをこの触媒を用いた、低濃度の有機塩素化合物を含む気体を低温で除去できる方法を提供すること目的とする。
【解決手段】本発明の触媒はコバルト・銅複合酸化物を主体とし、コバルト化合物および銅化合物を含む水溶液からコバルトおよび銅を含む沈殿物を生成させる工程と、前記沈殿物を焼成する工程とを含む方法により得たことを特徴とする。本発明の有機塩素化合物除去方法は、本発明の触媒に有機塩素化合物を含む気体を接触させる工程を含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機塩素化合物を分解するための触媒、特に工場等の排ガスに含有された低濃度の有機塩素化合物を分解するためのものに関する。また、本発明は、この触媒を用いた有機塩素化合物の除去方法に関する。
工場等から排出される揮発性有機化合物(VOC)は、浮遊粒子状物質や光化学オキシダントの原因物質とされている。VOCの中でもジクロロメタンやクロロホルム等の有機塩素化合物は、酸性雨の原因物質としても知られており、排出抑制が強く求められている。しかし、有機塩素化合物は、トルエンやキシレン、酢酸エチルのような炭化水素類と異なり、容易に酸化分解することができない。さらに、有機塩素化合物を分解すると、その分解生成物には塩素が含まれる。この塩素は、触媒毒として働くことが良く知られている。つまり、有機塩素化合物を分解することにより生成する塩素が、触媒成分を塩素化して触媒性能を劣化させてしまうのである。例えば、酸化分解触媒であるマンガン触媒は、塩素成分があると、容易に塩素化されて、触媒表面が塩化マンガンとなり、酸化性能が低下してしまう。この様な例は、酸化鉄触媒等、様々な触媒で認められる。塩素による被毒を防ぐには、触媒表面に生成した金属塩化物の分解温度以上の高温の条件を使用する必要がある。したがって、通常使用されている触媒では、塩素による被毒のため、有機塩素化合物の処理は困難とされている。特に、低濃度の有機塩素化合物を含む排ガスは、処理量に対するコストが高価であり、未だに効果的な処理方法が確立しておらず、早急な対応が必要である。
従来、ジクロロメタン等の有機塩素化合物を除去するためには、活性炭吸着による除去(多孔質体の性質とその応用技術,竹内 雍監修,フジテクノシステム,1999年,P441.(非特許文献1))が行われているが、定期的な活性炭の取り替えや、回収した有機塩素化合物の再処理など、コスト的に安価とはいえない。
また、酸化分解法として、500℃以上の温度で貴金属触媒を使った触媒分解や(特開平7−31879(特許文献1))、800℃以上での直接燃焼が行われている(環境技術・装置大事典,産業調査会,2003年,P.1360.(非特許文献2))。しかし、これらは分解処理温度が高いため、低濃度の有機塩素化合物の処理としてはランニングコストが高く実用的でない。
特開平7−31879 多孔質体の性質とその応用技術,竹内 雍監修,フジテクノシステム,1999年,P441. 環境技術・装置大事典,産業調査会,2003年,P.1360.
そこで、本発明は、工場等の排ガスに含まれているジクロロメタン等の有機塩素化合物を除去するための触媒であって、かつ低濃度の有機塩素化合物の除去にも適した、低温で高活性な触媒を提供することを目的とする。また、本発明は、この触媒を用いて有機塩素化合物を効果的に除去する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の触媒は、コバルト・銅複合酸化物を主体とする。また、本発明の触媒は、コバルト化合物および銅化合物を含む溶液からコバルトおよび銅を含む沈殿物を生成させる工程と、前記沈殿物を焼成する工程とを含む方法により得ることを特徴とする。この触媒を用いれば、低濃度の有機塩素化合物を300℃以下の低温で酸化分解して効果的に除去することができる。
また、本発明の触媒は、コバルト化合物および銅化合物を含む水溶液からコバルトおよび銅を含む沈殿物を生成させる工程において、pHが7〜10で沈殿させることが好ましい。この好ましい例によれば、触媒の比表面積が100m/g以上となり、触媒性能が向上する。
本発明の触媒は、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Ga、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、W、Au、Ru、Pt、Bi,Ir,RhおよびCeからなる群から選ばれる少なくとも一種を助触媒としてさらに含むことが好ましい。ただし、助触媒の含有率は20重量%以下であることが好ましい。
本発明の触媒では、コバルトと銅との合計量に対するコバルトの含有率が10原子%以上90原子%以下であることが好ましい。
本発明の触媒は、Brunauer−Emmett−Teller(BET)法(比表面積測定法)で測定した比表面積が100m/g以上であることが好ましい。有機塩素化合物の分解に対する触媒の性能が向上するからである。
さらに、本発明の触媒を100m/g以上の比表面積を有する担体に担持して使用することもできる。
本発明の有機塩素化合物の除去方法は、本発明の触媒に、有機塩素化合物を含む気体を接触させる工程を含む。本発明の除去方法では、低濃度の有機塩素化合物を除去することができる。
本発明の除去方法では、有機塩素化合物を含む気体を300℃以下で触媒に接触させることが好ましい。従来の触媒では、実用上、500℃を超える高温で気体を接触させる必要があった。しかし、上記除去方法では、従来の触媒に較べて低温での処理が可能である。
さらに、本発明の有機塩素化合物の除去方法では、気体は水蒸気をさらに含んでいてもよい。
本発明の触媒は、工場等の排ガスに含まれているジクロロメタン等の有機塩素化合物を除去するための触媒であり、低濃度の有機塩素化合物の除去が可能である。また、本発明の触媒は、低温で高活性な触媒である。本発明の方法は、低濃度の有機塩素化合物の除去を可能にし、低温で操作することができる。
以下、本発明について説明する。
本発明の触媒は、コバルト・銅複合酸化物を主体とするコバルトと銅の複合化合物である。本発明の触媒では、コバルトと銅との合計量に対するコバルトの含有率が10原子%以上90原子%以下であることが好ましい。本発明の触媒であるコバルト・銅複合酸化物は、比表面積が100m/g以上、好ましくは150m/g以上であることが好ましい。触媒の比表面積が大きくなるほど、有機塩素化合物の分解に高活性を示す。本発明の有機塩素化合物分解用触媒は、助触媒として、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Ga、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、W、Au、Ru、Pt、Bi,Ir,RhおよびCeから選ばれる少なくとも一種の元素を含むことができる。触媒中における助触媒の量は20重量%以下が好ましい。さらに好ましくは、10重量%以下である。本発明の触媒は、比表面積が100m/g以上の担体に担持させることもできる。さらに、本発明の触媒は、後述する製造方法により製造されるものである。
触媒および担体は、上述の比表面積を有することが好ましいが、比表面積は触媒や担体の作成の仕方しだいで、いくらでも大きな比表面積にすることができる。例えば、コバルト・銅複合酸化物触媒の場合、例えば、400m/g程度までの比表面積、担体では、例えば3000m/g程度までの比表面積とすることができる。しかし、本発明ではこれらの上限に限らず、さらに大きな比表面積であってもよい。
触媒の形状は、特に制限されず、粒状、円柱状、クローバー型、ハニカム型、ネット状等、様々な形状とすることができる。圧力損失を少なくするためには、ハニカム型やネット状が好ましい。
また、本発明の触媒は、アモルファスであることが好ましい。
酸化コバルトおよび酸化銅は、酸化触媒として知られているが、それぞれ単独では有機塩素化合物の分解触媒として有効ではない。コバルトと銅の複合酸化物になることで、コバルトの酸化還元力と銅の酸化還元力が効果的に作用して、有機塩素化合物の低温分解を可能としていると考えられる。また、本発明のコバルト・銅複合酸化物触媒は、塩素被毒を受けにくいことが特徴である。酸化マンガン等の通常の酸化触媒は、塩素により触媒表面が塩素化されるために、300℃以下の低温では急激に触媒の分解活性が劣化するか、またはその分解性能が発揮できなくなる。しかし、本発明のコバルト・銅複合酸化物触媒では、300℃以下で有機塩素化合物を効果的に分解できることから、触媒表面が塩素化されにくいと考えられる。触媒表面の塩素化を防ぐ機構は、不明ではあるが、おそらく、触媒表面に生成した塩化物が、300℃以下の低温でも水蒸気と反応して、塩酸ガスとして触媒表面から除去されるためと考えられる。
つぎに、本発明における触媒の製法の一形態について説明する。原料となるコバルト化合物および銅化合物としては、硝酸塩、硫酸塩、塩化物をはじめとする各種の無機金属化合物、酢酸塩、蟻酸塩、アルコキシド金属化合物、アセチルアセテート金属化合物をはじめとする各種の有機金属化合物を使用できる。
コバルト化合物と銅化合物とを含む原料は溶媒に添加される。溶媒としては、水、アルコール系溶媒等を使用できる。得られた溶液には、pHを調整するために、さらに沈殿助剤を添加することが好ましい。沈澱助剤としては、アンモニア水、炭酸ナトリウム等の各種のアルカリ性化合物を使用できる。また、分解することによってアルカリ性となる尿素等を用いてもよい。このようにして、溶液のpHは、沈殿物の生成に好ましい値となるように調整される。このpHの値は、好ましくは7〜10、さらに好ましくは8〜10である。
コバルト化合物と銅化合物とは、最終的に得られる触媒において、コバルト:銅の原子比が1:9〜9:1となるように、溶液に添加することが好ましい。
コバルト:銅の原子比は、さらに好ましくは2:8〜8:2、最も好ましくは5:5〜8:2である。
この様にして製造したコバルト・銅複合酸化物は、比表面積が100m/g以上、好ましくは150m/g以上となり、有機塩素化合物の分解に高活性を示す。
本発明の触媒には、助触媒として、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Ga、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、W、Au、Ru、Pt、Bi,Ir,RhおよびCeから選ばれる少なくとも一種の元素を含むことができる。助触媒を含む有機塩素化合物分解用触媒を製造する場合、助触媒となる元素の化合物をコバルト化合物と銅化合物を含む溶液に添加することが効果的である。これらの助触媒は、上記触媒の酸化力を向上させる作用がある。特に、Mn、Cr、V、Ag、Au、Pd、PtおよびCeは、その酸化物自体が強い酸化作用を有するため、触媒の性能向上に有用である。これらの元素は、通常、イオンまたは酸化物として触媒に含有される。
触媒中における助触媒の量は20重量%以下が好ましい。さらに好ましくは、10重量%以下である。
こうして得られた沈殿物(例えば、コバルト化合物と銅化合物との共沈物)は、さらに洗浄して、余分な金属イオン等を除去することが好ましい。洗浄は、例えばろ過により行うことができる。洗浄は、洗浄液に余分な塩または金属イオンが残存しなくなるまで実施することが好ましい。洗浄の後、沈殿物は、乾燥して水分を十分に除去した後、焼成される。
焼成は250℃〜350℃の大気中で行うことが好ましい。250℃以下の温度で焼成した場合は、沈殿物は水酸化物が主体であり、酸化力に乏しくなる可能性がある。また、350℃以上の温度で焼成した場合は、沈殿物の比表面積が小さくなり、触媒性能が低下する可能性がある。
上記触媒は、比表面積が100m/g以上の担体に担持させることもできる。担体としては、シリカ、アルミナ、ゼオライト、チタニア、メソポーラスシリカ等の材料を使用することができるが、特に限定されない。また、担持方法は、コバルト化合物および銅化合物を含む溶液に担体を添加してから、沈殿助剤で沈殿物を形成する方法、担体にコバルト化合物および銅化合物を含む溶液を含浸させた後に沈殿助剤でコバルト・銅複合化合物を担体上に形成させる方法などがあるが、特に限定されない。これらの担体に担持した後、250℃〜350℃の大気中で焼成することが好ましい。
本発明の有機塩素化合物の除去方法は、上記のようにして製造された触媒と、有機塩素化合物を含有する気体を接触させる工程を含む。本発明の有機塩素化合物の除去方法では、300℃以下の低温において、本発明の触媒を、例えばジクロロメタンのような有機塩素化合物を含む気体(例えば有機塩素化合物を含む空気)と接触させることにより、有機塩素化合物を除去する。
また、気体には、有機塩素化合物と空気以外に、水蒸気を含むことができる。水蒸気はもともと気体に含まれていてもよく、別途気体に添加してもよい。水蒸気は、有機塩素化合物に含まれる塩素と反応して塩酸となる。水蒸気が含まれなければ、酸化反応により塩素ガスが生成し、排ガスのスクラバー洗浄だけでは、容易に塩素ガスを除去できない。しかし、水蒸気を含むことで生成する塩酸ガスは、アルカリ性水溶液と反応性が高く、アルカリ性水溶液を使用したスクラバー洗浄で容易に中和して除去することが可能である。水蒸気の量は、有機塩素化合物に含有される塩素原子のモル数の1倍以上であればよく、好ましくは、2倍以上である。
なお、特に限定されないが、本発明による触媒による有機塩素化合物の除去は、有機塩素化合物を1〜100ppm程度含む気体を対象とするのに適している。
また、特に限定されないが、本発明による触媒による有機塩素化合物の除去方法の対象となる有機塩素化合物として、例えばジクロロメタン、クロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロエタン、クロロエチレン、ジクロロエチレンが適している。
低濃度の有機塩素化合物を含む空気と触媒とを接触させる過程は、通常の気相触媒反応に用いられる方式を採用して実施すればよい。最も簡単なのは、触媒、または触媒が固定された坦体を、加熱装置を備えた管または容器に充填して用いる方法である。具体的には、触媒等からなる充填層を形成し、この充填層を貫通するように有機塩素化合物を含む気体を流す方法がある。
コバルト・銅複合酸化物を主体とする上記触媒は、工場等の排ガス設備に組み込んで用いることが好ましい。
このように上記触媒を使用すれば、長期間にわたって継続的に有害なジクロロメタン等の有機塩素化合物を排ガス中から除去することができる。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例により制限されるものではない。
(実施例1)
硝酸コバルト・6水和物0.15mol、および硝酸銅・3水和物0.05molを1000mlの純水に溶解した。この水溶液に炭酸ナトリウムの10wt%水溶液を添加してpHを9.3に調整し、コバルトと銅との共沈物を生成させた。この共沈物を濾過し、70℃の純水3リットルで洗浄した。さらに、共沈物を120℃で1晩乾燥させた後、300℃で2時間焼成して、コバルト・銅複合酸化物を得た。このコバルト・銅複合酸化物をBET法により比表面積を測定した結果、159m/gであった。また、粉末X線回折で結晶構造を確認した結果、明確なピークはなくアモルファスであった。
(実施例2)
硝酸コバルト・6水和物0.15mol、および硝酸銅・3水和物0.05molを1000mlの純水に溶解した。この水溶液に炭酸ナトリウムの10wt%水溶液を添加してpHを8.0に調整し、コバルトと銅との共沈物を生成させた。この共沈物を濾過し、70℃の純水3リットルで洗浄した。さらに、共沈物を120℃で1晩乾燥させた後、300℃で2時間焼成して、コバルト・銅複合酸化物を得た。このコバルト・銅複合酸化物をBET法により比表面積を測定した結果、133m/gであった。また、粉末X線回折で結晶構造を確認した結果、明確なピークはなくアモルファスであった。
(実施例3)
硝酸コバルト・6水和物0.15mol、および硝酸銅・3水和物0.05molを1000mlの純水に溶解した。この水溶液に炭酸ナトリウムの10wt%水溶液を添加してpHを7.5に調整し、コバルトと銅との共沈物を生成させた。この共沈物を濾過し、70℃の純水3リットルで洗浄した。さらに、共沈物を120℃で1晩乾燥させた後、300℃で2時間焼成して、コバルト・銅複合酸化物を得た。このコバルト・銅複合酸化物をBET法により比表面積を測定した結果、128m/gであった。また、粉末X線回折で結晶構造を確認した結果、CuOおよびCoの弱いピークが認められた。
(比較例1)
硝酸コバルト・6水和物0.15mol、および硝酸銅・3水和物0.05molを1000mlの純水に溶解した。この水溶液に炭酸ナトリウムの10wt%水溶液を添加してpHを6.5に調整し、コバルトと銅との共沈物を生成させた。この共沈物を濾過し、70℃の純水3リットルで洗浄した。さらに、共沈物を120℃で1晩乾燥させた後、300℃で2時間焼成して、コバルト・銅複合酸化物を得た。このコバルト・銅複合酸化物をBET法により比表面積を測定した結果、39m/gであった。また、粉末X線回折で結晶構造を確認した結果、CuOおよびCoの大きなピークが認められた。
(比較例2)
硝酸コバルト・6水和物0.15mol、および硝酸銅・3水和物0.05molを1000mlの純水に溶解した。この水溶液に炭酸ナトリウムの10wt%水溶液を添加してpHを6.1に調整し、コバルトと銅との共沈物を生成させた。この共沈物を濾過し、70℃の純水3リットルで洗浄した。さらに、共沈物を120℃で1晩乾燥させた後、300℃で2時間焼成して、コバルト・銅複合酸化物を得た。このコバルト・銅複合酸化物をBET法により比表面積を測定した結果、11m/gであった。また、粉末X線回折で結晶構造を確認した結果、CuOおよびCoの大きなピークが認められた。
以上の結果より、比表面積が100m/g以上とするには、共沈させるpHを7以上することが必要であることがわかる。
(実施例4)
硝酸コバルト・6水和物0.15mol、硝酸銅・3水和物0.05mol、および硝酸ランタン・6水和物1.4gを1000mlの純水に溶解した。この水溶液に炭酸ナトリウムの10wt%水溶液を添加してpHを9.3に調整し、コバルトと銅との共沈物を生成させた。この共沈物を濾過し、70℃の純水3リットルで洗浄した。さらに、共沈物を120℃で1晩乾燥させた後、300℃で2時間焼成して、ランタン含有コバルト・銅複合酸化物を得た。このコバルト・銅複合酸化物をBET法により比表面積を測定した結果、161m/gであった。
(実施例5)
硝酸コバルト・6水和物0.15mol、硝酸銅・3水和物0.05mol、硝酸ランタン・6水和物1.4g、および塩化白金酸・6水和物0.4gを1000mlの純水に溶解した。この水溶液に炭酸ナトリウムの10wt%水溶液を添加してpHを9.3に調整し、コバルトと銅との共沈物を生成させた。この共沈物を濾過し、70℃の純水1リットルで洗浄し、120℃で1晩乾燥させた後、300℃で2時間焼成して、白金・ランタン含有コバルト・銅複合酸化物とした。このコバルト・銅複合酸化物をBET法により比表面積を測定した結果、149m/gであった。
(比較例3)
塩化金酸・4水和物0.25g、および硝酸鉄・9水和物24.3gを600mlの蒸留水に溶解させてA液を得た。一方、炭酸ナトリウム10.3gを400mlの蒸留水に溶解させてB液を得た。
上記B液中にA液を滴下し、1時間撹拌した後、得られた共沈物を十分に水洗して乾燥し、空気中で400℃で5時間焼成することにより、金微粒子固定化鉄酸化物を得た。
(比較例4)
過マンガン酸カリウム15.0gを1000mlの純水に溶解した。この水溶液にシュウ酸22.5gを純水に溶解した300mlの水溶液を添加し、1晩撹拌した。得られた沈殿物を十分に水洗して乾燥し、空気中で300℃で2時間焼成して酸化マンガン触媒を得た。
(実施例6)
ジクロロメタン濃度10ppm、空気500ml/min、水蒸気RH50%の条件で、実施例4、実施例5、比較例3、比較例4、および市販触媒(N−840:ズードケミー触媒(株)製)の触媒5mlを常圧管状流通反応装置にセットして、50℃から200℃でジクロロメタンの分解率を測定した。ジクロロメタンの分解率は、下記の式で計算した。
ジクロロメタン除去率(%)=(入口濃度−出口濃度)×100/入口濃度
表1に、各温度における各触媒のジクロロメタン除去率を示す。
Figure 2007117911
以上の結果より、本発明の触媒が、他の市販触媒や通常の酸化触媒に較べて、有機塩素化合物の分解性能が非常に高いことがわかる。
なお、用いた常圧管状流通反応装置の概略を図1に示す。図1に示したように、この反応装置では、触媒充填層102をガラス管104の中間に設置し、このガラス管104の上下に通気管106、108が配置されている。上記濃度でジクロロメタンを含んだ気体110は、一方の通気管106からガラス管104へと供給され、触媒充填層102を通過して他方の通気管108から排出される。また、触媒充填層102の温度を調整できるように、ガラス管104の周囲にはヒータ112が設置されている。
実施例における有機塩素除去試験に使用した常圧管状流通反応装置の概略図である。
符号の説明
102 触媒充填層
104 ガラス管
106、108 通気管
110 気体
112 ヒータ

Claims (11)

  1. コバルト・銅複合酸化物を主体とし、コバルト化合物および銅化合物を含む水溶液からコバルトおよび銅を含む沈殿物を生成させる工程と、前記沈殿物を焼成する工程とを含む方法により得たことを特徴とする有機塩素化合物分解用触媒。
  2. コバルト化合物および銅化合物を含む水溶液からコバルトおよび銅を含む沈殿物を生成させる工程において、pHが7〜10であることを特徴とする請求項1に記載の有機塩素化合物分解用触媒。
  3. コバルトと銅との合計量に対するコバルトの含有率が、10原子%以上90原子%以下である請求項1または2に記載の有機塩素化合物分解用触媒。
  4. BET法で測定した比表面積が100m/g以上である請求項1から3のいずれか1項に記載の有機塩素化合物分解用触媒。
  5. V、Cr、Mn、Fe、Ni、Ga、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、W、Au、Ru、Pt、Bi、Ir、RhおよびCeからなる群から選ばれる少なくとも一種を助触媒としてさらに含む請求項1から4のいずれか1項に記載の有機塩素化合物分解用触媒。
  6. 助触媒の含有率が20重量%以下である請求項5に記載の有機塩素化合物分解用触媒。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の触媒を比表面積が100m/g以上の担体に担持させたことを特徴とする有機塩素化合物分解用触媒。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の触媒に、有機塩素化合物を含む気体を接触させる工程を含むことを特徴とする有機塩素化合物の除去方法。
  9. 有機塩素化合物を含む気体を300℃以下で触媒に接触させることを特徴とする請求項8に記載の有機塩素化合物の除去方法。
  10. 有機塩素化合物を含む気体がさらに水蒸気を含む気体であり、この気体を300℃以下で触媒と接触させることを特徴とする請求項8または9に記載の有機塩素化合物の除去方法。
  11. 有機塩素化合物がジクロロメタン、クロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロエタン、クロロエチレンまたはジクロロエチレンである請求項8から10のいずれか1項に記載の有機塩素化合物の除去方法。
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