JP2007115745A - トンネル型磁気抵抗効果素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 特に、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低いRA、及び、低い層間結合磁界(Hin)を得ることが可能なトンネル型磁気抵抗効果素子及びその製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 第2固定磁性層4cの上面4c1はプラズマ処理されて界面改質処理がされており、前記第2固定磁性層4cの直上に形成される絶縁障壁層5が酸化チタンで形成されることで、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低いRA、及び、低い層間結合磁界(Hin)を得ることが可能である。
【選択図】図1
【解決手段】 第2固定磁性層4cの上面4c1はプラズマ処理されて界面改質処理がされており、前記第2固定磁性層4cの直上に形成される絶縁障壁層5が酸化チタンで形成されることで、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低いRA、及び、低い層間結合磁界(Hin)を得ることが可能である。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えばハードディスク装置などの磁気再生装置やその他の磁気検出装置に搭載されるトンネル効果を利用した磁気検出素子に係り、特に、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低いRA、及び、低い層間結合磁界(Hin)を実現できるトンネル型磁気抵抗効果素子及びその製造方法に関する。
トンネル型磁気抵抗効果型素子は、トンネル効果を利用して抵抗変化を生じさせるものであり、固定磁性層の磁化と、フリー磁性層の磁化とが反平行のとき、前記固定磁性層とフリー磁性層との間に設けられた絶縁障壁層(トンネル障壁層)を介してトンネル電流が流れにくくなって、抵抗値は最大になり、一方、前記固定磁性層の磁化とフリー磁性層の磁化が平行のとき、最も前記トンネル電流は流れ易くなり抵抗値は最小になる。
この原理を利用し、外部磁界の影響を受けてフリー磁性層の磁化が変動することにより、変化する電気抵抗を電圧変化としてとらえ、記録媒体からの洩れ磁界が検出されるようになっている。
下記の特許文献1に示すトンネル型磁気抵抗効果素子では、固定磁性層の表面を窒素プラズマ処理し、前記固定磁性層上に形成されるトンネル障壁層をAlの酸化層で形成している。
特開2004―179652号公報
特開2005−38479号公報
特開2003―86866号公報
しかしながら、トンネル障壁層がAlの酸化層(AlOx)で形成され、前記トンネル障壁層下に形成される固定磁性層の上面がプラズマ処理されたものでは、後述する実験によると、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低い層間結合磁界(Hin)を実現できるものの、RA(素子抵抗R×素子面積A)が高くなることがわかった。
前記RAが高くなると高速データ転送を適切に行えなくなる等の問題が生じた。
前記RAが高くなると高速データ転送を適切に行えなくなる等の問題が生じた。
一方、前記固定磁性層の上面をプラズマ処理しないで、前記固定磁性層の上面にAlの酸化層(AlOx)を形成したトンネル型磁気抵抗効果素子では、RAを小さくできるものの、抵抗変化率(ΔR/R)が低下し、さらにフリー磁性層と固定磁性層間に作用する層間結合磁界(Hin)が大きくなることがわかった。前記層間結合磁界(Hin)が大きくなると、アシンメトリー(asymmetry)の増大を招くため、再生特性の向上を図るには前記層間結合磁界(Hin)の低減が不可欠であった。
以上のように、従来では、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低いRA、及び、低い層間結合磁界(Hin)を得ることが出来なかった。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低いRA、及び、低い層間結合磁界(Hin)を得ることが可能なトンネル型磁気抵抗効果素子及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明におけるトンネル型磁気抵抗効果素子は、
下から第1の強磁性層、絶縁障壁層、第2の強磁性層の順に積層され、一方の前記強磁性層は、磁化が固定される固定磁性層で、他方の前記強磁性層は、磁化が外部磁界により変動するフリー磁性層であり、
前記第1の強磁性層の上面は、プラズマ処理されて界面改質処理がされており、
前記絶縁障壁層は酸化チタンで形成されていることを特徴とするものである。
下から第1の強磁性層、絶縁障壁層、第2の強磁性層の順に積層され、一方の前記強磁性層は、磁化が固定される固定磁性層で、他方の前記強磁性層は、磁化が外部磁界により変動するフリー磁性層であり、
前記第1の強磁性層の上面は、プラズマ処理されて界面改質処理がされており、
前記絶縁障壁層は酸化チタンで形成されていることを特徴とするものである。
本発明では、前記第1の強磁性層の上面がプラズマ処理されて界面改質処理されていること、及び絶縁障壁層が酸化チタンで形成されていることで、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低いRA、及び、低い層間結合磁界(Hin)を得ることが可能である。この点は後述する実験により証明されている。従来では、前記絶縁障壁層としてAlの酸化層を用いていたが、かかる場合、前記第1の強磁性層の上面をプラズマ処理すると、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低い層間結合磁界(Hin)を得ることが可能であるが、RAが高くなるといった問題があった。これに対し本発明では、前記絶縁障壁層に酸化チタンを用いることで、上記したように、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低い層間結合磁界(Hin)、及び低いRAを得ることが可能になる。しかも前記酸化チタンの膜厚が所定範囲内であれば、RAはほぼ一定で安定しているから、その膜厚範囲内で抵抗変化率(ΔR/R)が最大値となるときの酸化チタンの膜厚を選択したときに、RAを適切に低い値に設定することが可能である。
本発明では、前記第1の強磁性層が固定強磁性層であり、前記固定磁性層の上面が前記界面改質処理されていることが好ましい。これにより、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低い層間結合磁界(Hin)及び、低いRAをより適切に得ることが可能である。特に、前記層間結合磁界(Hin)をより効果的に低くできる。
また、前記第1の強磁性層は少なくとも一部にCoFe合金層を含み、前記CoFe合金層の上面が前記界面改質処理されていることが好ましい。これにより、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低い層間結合磁界(Hin)及び、低いRAをより適切に得ることが可能である。
本発明は、下から第1の強磁性層、絶縁障壁層、第2の強磁性層の順に積層され、一方の前記強磁性層は、磁化が固定される固定磁性層で、他方の前記強磁性層は、磁化が外部磁界により変動するフリー磁性層であるトンネル型磁気抵抗効果素子の製造方法において、
(a) 前記第1の強磁性層の上面に、不活性ガス雰囲気中でプラズマ処理を行って前記上面を界面改質処理する工程、
(b) 前記第1の強磁性層の上面に、チタン層を所定膜厚で形成し、前記チタン層を酸化処理して酸化チタンから成る絶縁障壁層を形成する工程、
(c) 前記絶縁障壁層上に第2の強磁性層を形成する工程、
を有することを特徴とするものである。
(a) 前記第1の強磁性層の上面に、不活性ガス雰囲気中でプラズマ処理を行って前記上面を界面改質処理する工程、
(b) 前記第1の強磁性層の上面に、チタン層を所定膜厚で形成し、前記チタン層を酸化処理して酸化チタンから成る絶縁障壁層を形成する工程、
(c) 前記絶縁障壁層上に第2の強磁性層を形成する工程、
を有することを特徴とするものである。
上記(a)工程では、不活性ガス雰囲気中でプラズマ処理を行うため、プラズマによる反応生成物が生じず、チャンバー内の雰囲気が安定するとともに、ターゲットやチャンバー内がプラズマ反応生成物で汚染される虞もない。よって、適切に前記第1の強磁性層の上面を界面改質処理できる。
そして上記(a)工程とともに、上記(b)工程で、前記第1の強磁性層の上面にチタン層を成膜した後、前記チタン層を酸化処理して酸化チタンからなる絶縁障壁層を形成することで、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低い層間結合磁界(Hin)及び、低いRAを得ることが可能なトンネル型磁気抵抗効果素子を適切且つ簡単に製造することが出来る。
本発明では、前記(a)工程において、前記第1の強磁性層の少なくとも上面側に、CoFe合金層を形成し、前記CoFe合金層の上面を前記プラズマ処理することが好ましい。
また、前記(b)工程において、チタン層を、4.8Å〜6.0Åの範囲内で形成することが好ましい。後述する実験によれば、これにより、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低い層間結合磁界(Hin)及び、低いRAを得ることが可能なトンネル型磁気抵抗効果素子を簡単且つ適切に製造できる。
また本発明では、前記第1の強磁性層を固定磁性層、第2の強磁性層をフリー磁性層とし、下から固定磁性層、絶縁障壁層、フリー磁性層の順に積層することが好ましい。これにより、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低い層間結合磁界(Hin)及び、低いRAを得ることが可能なトンネル型磁気抵抗効果素子を簡単且つ適切に製造できる。特に、前記層間結合磁界(Hin)をより効果的に低くすることが可能なトンネル型磁気抵抗効果素子を簡単且つ適切に製造できる。
本発明のトンネル型磁気抵抗効果素子は、従来に比べて、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低いRA、及び、低い層間結合磁界(Hin)を得ることが可能である。
図1は本実施形態のトンネル型磁気抵抗効果素子を備えた再生ヘッドを記録媒体との対向面と平行な方向から切断した断面図である。
トンネル型磁気抵抗効果素子は、ハードディスク装置に設けられた浮上式スライダのトレーリング側端部などに設けられて、ハードディスクなどの記録磁界を検出するものである。なお、図中においてX方向は、トラック幅方向、Y方向は、磁気記録媒体からの洩れ磁界の方向(ハイト方向)、Z方向は、ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向及び前記トンネル型磁気抵抗効果素子の各層の積層方向、である。
図1の最も下に形成されているのは、例えばNiFe合金で形成された下部シールド層21である。前記下部シールド層21上に前記積層体T1が形成されている。なお前記トンネル型磁気抵抗効果素子は、前記積層体T1と、前記積層体T1のトラック幅方向(図示X方向)の両側に形成された下側絶縁層22、ハードバイアス層23、上側絶縁層24とで構成される。
前記積層体T1の最下層は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち1種または2種以上の元素などの非磁性材料で形成された下地層1である。この下地層1の上に、シード層2が設けられる。前記シード層2は、NiFeCrまたはCrによって形成される。前記シード層2をNiFeCrによって形成すると、前記シード層2は、面心立方(fcc)構造を有し、膜面と平行な方向に{111}面として表される等価な結晶面が優先配向しているものになる。また、前記シード層2をCrによって形成すると、前記シード層2は、体心立方(bcc)構造を有し、膜面と平行な方向に{110}面として表される等価な結晶面が優先配向しているものになる。なお、前記下地層1は形成されなくともよい。
前記シード層2の上に形成された反強磁性層3は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成されることが好ましい。
これら白金族元素を用いたX−Mn合金は、耐食性に優れ、またブロッキング温度も高く、さらに交換結合磁界(Hex)を大きくできるなど反強磁性材料として優れた特性を有している。
また前記反強磁性層3は、元素Xと元素X′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成されてもよい。
前記反強磁性層3上には固定磁性層(第1の強磁性層)4が形成されている。前記固定磁性層4は、下から第1固定磁性層4a、非磁性中間層4b、第2固定磁性層4cの順で積層された積層フェリ構造である。前記反強磁性層3との界面での交換結合磁界及び非磁性中間層4bを介した反強磁性的交換結合磁界(RKKY的相互作用)により前記第1固定磁性層4aと第2固定磁性層4cの磁化方向は互いに反平行状態にされる。これは、いわゆる積層フェリ構造と呼ばれ、この構成により前記固定磁性層4の磁化を安定した状態にでき、また前記固定磁性層4と反強磁性層3との界面で発生する交換結合磁界を見かけ上大きくすることができる。なお前記第1固定磁性層4a及び第2固定磁性層4cは例えば12〜24Å程度で形成され、非磁性中間層4bは8Å〜10Å程度で形成される。
前記第1固定磁性層4a及び第2固定磁性層4cはCoFe、NiFe,CoFeNiなどの強磁性材料で形成されている。また非磁性中間層4bは、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuなどの非磁性導電材料で形成される。
前記第2固定磁性層4cの上面4c1は、プラズマ処理されて界面改質処理がされている。図1では、前記上面4c1を太く表示しており、これは前記上面4c1に対し前記表面改質処理がなされたことを模式図的に示したものである。
前記固定磁性層4上に形成された絶縁障壁層5は、酸化チタン(TiOx)で形成されている。
前記絶縁障壁層5上には、フリー磁性層(第2の強磁性層)6が形成されている。前記フリー磁性層6は、NiFe合金等の磁性材料で形成される軟磁性層6bと、前記軟磁性層6bと前記絶縁障壁層5との間に例えばCoFe合金からなるエンハンス層6aとで構成される。前記軟磁性層6bは、軟磁気特性に優れた磁性材料で形成されることが好ましく、前記エンハンス層6aは、前記軟磁性層6bよりもスピン分極率の大きい磁性材料で形成されることが好ましい。CoFe合金等のスピン分極率の大きい磁性材料で前記エンハンス層6aを形成することで、抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることができる。
なお前記フリー磁性層6は、複数の磁性層が非磁性中間層を介して積層された積層フェリ構造であってもよい。また前記フリー磁性層6のトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法でトラック幅Twが決められる。
前記フリー磁性層6上にはTa等で形成された保護層10が形成されている。
前記積層体T1のトラック幅方向(図示X方向)における両側端面11,11は、下側から上側に向けて徐々に前記トラック幅方向の幅寸法が小さくなるように傾斜面で形成されている。
前記積層体T1のトラック幅方向(図示X方向)における両側端面11,11は、下側から上側に向けて徐々に前記トラック幅方向の幅寸法が小さくなるように傾斜面で形成されている。
図1に示すように、前記積層体T1の両側に広がる下部シールド層21上から前記積層体T1の両側端面11上にかけて下側絶縁層22が形成され、前記下側絶縁層22上にハードバイアス層23が形成され、さらに前記ハードバイアス層23上に上側絶縁層24が形成されている。
前記下側絶縁層22と前記ハードバイアス層23間にバイアス下地層(図示しない)が形成されていてもよい。前記バイアス下地層は例えばCr、W、Tiで形成される。
前記絶縁層22,24はAl2O3やSiO2等の絶縁材料で形成されたものであり、前記積層体T1内を各層の界面と垂直方向に流れる電流が、前記積層体T1のトラック幅方向の両側に分流するのを抑制すべく前記ハードバイアス層23の上下を絶縁するものである。前記ハードバイアス層23は例えばCo−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)合金などで形成される。
前記積層体T1上及び上側絶縁層24上にはNiFe合金等で形成された上部シールド層26が形成されている。
図1に示す実施形態では、前記下部シールド層21及び上部シールド層26が前記積層体T1に対する電極層として機能し、前記積層体T1の各層の膜面に対し垂直方向(図示Z方向と平行な方向)に電流が流される。
前記フリー磁性層6は、前記ハードバイアス層23からのバイアス磁界を受けてトラック幅方向(図示X方向)と平行な方向に磁化されている。一方、固定磁性層4を構成する第1固定磁性層4a及び第2固定磁性層4cはハイト方向(図示Y方向)と平行な方向に磁化されている。前記固定磁性層4は積層フェリ構造であるため、第1固定磁性層4aと第2固定磁性層4cはそれぞれ反平行に磁化されている。前記固定磁性層4は磁化が固定されている(外部磁界によって磁化変動しない)が、前記フリー磁性層6の磁化は外部磁界により変動する。
前記フリー磁性層6が、外部磁界により磁化変動すると、第2固定磁性層4cとフリー磁性層との磁化が反平行のとき、前記第2固定磁性層4cとフリー磁性層6との間に設けられた絶縁障壁層5を介してトンネル電流が流れにくくなって、抵抗値は最大になり、一方、前記第2固定磁性層4cとフリー磁性層6との磁化が平行のとき、最も前記トンネル電流は流れ易くなり抵抗値は最小になる。
この原理を利用し、外部磁界の影響を受けてフリー磁性層6の磁化が変動することにより、変化する電気抵抗を電圧変化としてとらえ、記録媒体からの洩れ磁界が検出されるようになっている。
図1の実施形態における特徴的部分は、前記第2固定磁性層4cの上面4c1に対する界面改質処理と、前記第2固定磁性層4c上に形成される絶縁障壁層5を酸化チタン(TiOx)で形成する点にある。
前記第2固定磁性層4cの上面4c1はプラズマ処理されて界面改質処理がされており、前記第2固定磁性層4cの直上に形成される絶縁障壁層5が酸化チタンで形成されることで、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低いRA、及び、低い層間結合磁界(Hin)を得ることが可能である。
図1に代えて、下からフリー磁性層6、絶縁障壁層5及び固定磁性層4の順に積層してもよいが、図1の実施形態に示すように、下から前記固定磁性層4、絶縁障壁層5、フリー磁性層6の順に積層し、前記固定磁性層4を構成する第2固定磁性層4cの上面4c1を前記界面改質処理することで、前記第2固定磁性層4cの上面4c1の表面粗さを適切に低減でき、効果的に、層間結合磁界(Hin)を低く出来る。
また、界面改質処理する第2固定磁性層4cをCoFe合金で形成することで、前記非磁性中間層4bを介した反強磁性的交換結合磁界(RKKY的相互作用)を強く出来る。またCoFe合金はNiFe合金等に比べてスピン分極率が大きいため、より適切に、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に設定できる。
また、前記絶縁障壁層5の膜厚は、8.0Å〜20.0Åの範囲内であることが好ましく、これにより、反強磁性層3の材質に係らず、適切に、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低いRA、及び、低い層間結合磁界(Hin)を得ることが可能である。
しかも前記酸化チタンの膜厚が8.0〜20.0Åの範囲内であれば、RAはほぼ一定で安定しているから、その膜厚範囲内で抵抗変化率(ΔR/R)が最大値となるときの酸化チタンの膜厚を選択したときに、RAを適切に低い値に設定することが可能である。
前記酸化チタンより成る絶縁障壁層5の膜厚を14.0〜16.0Åの範囲内にすれば、より確実に、前記抵抗変化率(ΔR/R)を大きい値に維持しつつ、RA及び層間結合磁界(Hin)の双方を適切に小さくできる。
また前記反強磁性層3としてPtMn合金を用いた場合、酸化チタンよりなる絶縁障壁層5の膜厚を8.0〜16.0Åの範囲内にすることが好ましく、より好ましくは10.0〜16.0Åの範囲内である。
また、反強磁性層3としてIrMn合金を用いた場合、酸化チタンよりなる絶縁障壁層5の膜厚を14.0〜20.0Åの範囲内にすることが好ましく、より好ましくは、16.0〜20.0Åの範囲内である。
以上により、前記抵抗変化率(ΔR/R)を大きい値に維持しつつ、RA及び層間結合磁界(Hin)の双方を適切に小さくできる。
図1に示すトンネル型磁気抵抗効果素子の製造方法について説明する。特に、第2固定磁性層4cに対する界面改質処理、及び絶縁障壁層5の形成について説明する。
図2に示すように、下部シールド層21上に、下地層1、シード層2、反強磁性層3、第1固定磁性層4a、非磁性中間層4b、及び第2固定磁性層4cを連続成膜する。前記第2固定磁性層4cを例えばCoFe合金で形成する。前記第2固定磁性層4cを成膜した後、不活性ガス、例えば純Arガスを真空チャンバー内に導入し、スパッタが起こらない程度に低エネルギーのプラズマを前記第2固定磁性層4cの上面4c1に生じさせる。プラズマ粒子は前記第2固定磁性層4cの上面4c1に衝突して前記上面4c1に存在するCo原子及びFe原子を活性化し、前記上面4c1でCo原子及びFe原子の再配列が促進される。これにより前記第2固定磁性層4cの上面4c1の表面粗さが低減される。
上記のプラズマ処理の条件としては、高周波電力が5〜50W、Arガス圧が、20〜200mTorr(約2.67〜約26.66Pa)、処理時間が50〜600秒である。
上記のようにして界面改質処理がされた後、図3に示すように、前記第2固定磁性層4c上にチタン層30をスパッタ法等で成膜する。
次に、真空チャンバー内に酸素を流入する。これにより前記チタン層30は、酸化され、酸化チタン(TiOx)より成る絶縁障壁層5が形成される。このときの酸素ガス圧を、1〜500Torr(約133〜66,500Pa)に設定する。
本実施形態では、前記絶縁障壁層5の形成に自然酸化を用いたが、酸化方法はラジカル酸化、プラズマ強制酸化、あるいはTiOxからなるターゲットを用いた前記TiOxの直接堆積であってもよい。
次に、前記絶縁障壁層5上に、フリー磁性層6、保護層10を成膜し、図1に示す形状に積層体T1を形成した後、前記積層体T1のトラック幅方向(図示X方向)の両側に下から下側絶縁層22、ハードバイアス層23、及び上側絶縁層24の順に積層し、さらに前記積層体T1上及び上側絶縁層24上に上部シールド層26を形成する。
上記のように、第2固定磁性層4cの上面4c1をプラズマ処理にて界面改質処理し、さらに前記第2固定磁性層4cの上面4c1にチタン層30を成膜した後、前記チタン層30を酸化処理して酸化チタンからなる絶縁障壁層5を形成することで、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低い層間結合磁界(Hin)及び、低いRAを得ることが可能なトンネル型磁気抵抗効果素子を適切且つ簡単に製造することが出来る。
本実施形態では、前記チタン層30の膜厚を4.8〜6.0Åの範囲内に設定することで、抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持しつつ、低い層間結合磁界(Hin)及び、低いRAを得ることが可能なトンネル型磁気抵抗効果素子を簡単且つ適切に製造できる。
また前記チタン層30の膜厚を4.8〜6.0Åの範囲内に設定すれば、RAをほぼ一定に出来る。
また前記チタン層30を5.4〜5.6Åの範囲内にすれば、より確実に、前記抵抗変化率(ΔR/R)を大きい値に維持しつつ、低いRA及び、低い層間結合磁界(Hin)を得ることが可能なトンネル型磁気抵抗効果素子を製造できる。
また前記反強磁性層3としてPtMn合金を用いた場合、チタン層30の膜厚を4.8〜5.6Åの範囲内で形成することが好ましく、より好ましくは5.0〜5.6Åの範囲内である。
また、反強磁性層3としてIrMn合金を用いた場合、チタン層30の膜厚を5.4〜6.0Åの範囲内で形成することが好ましく、より好ましくは、5.6〜6.0Åの範囲内である。
以上により、前記抵抗変化率(ΔR/R)を大きい値に維持しつつ、RA及び層間結合磁界(Hin)の双方を適切に小さくできるトンネル型磁気抵抗効果素子を簡単且つ適切に製造できる。
本実施形態では、抵抗変化率(ΔR/R)を、約7〜18(%)の範囲内に設定できる。好ましくは前記抵抗変化率(ΔR/R)を、約12(%)以上に出来る。またこのとき、RAを、約2.0(Ω・μm2)以下に抑えることができ、好ましくは約1.0(Ω・μm2)以下に抑えることができる。また、層間結合磁界(Hin)を、約50Oe(約3950A/m)以下に抑えることが出来、好ましくは、約15Oe(1185A/m)以下に抑えることが出来る。
図1に示すトンネル型磁気抵抗効果素子を形成した。
積層体T1は、下地層1;Ta(70)/反強磁性層3;PtMn(180)/固定磁性層4[第1固定磁性層4a;Co90at%Fe10at%(16)/非磁性中間層4b;Ru(9.1)/第2固定磁性層4c;Co90at%Fe10at%(18)/絶縁障壁層5;Ti(X)を酸化処理したTiOx/フリー磁性層6[Co90at%Fe10at%(10)/Ni81.5at%Fe18.5at%(40)]/保護層10;Ta(200)であった。なお括弧内の数値は膜厚を示し単位はÅである。
積層体T1は、下地層1;Ta(70)/反強磁性層3;PtMn(180)/固定磁性層4[第1固定磁性層4a;Co90at%Fe10at%(16)/非磁性中間層4b;Ru(9.1)/第2固定磁性層4c;Co90at%Fe10at%(18)/絶縁障壁層5;Ti(X)を酸化処理したTiOx/フリー磁性層6[Co90at%Fe10at%(10)/Ni81.5at%Fe18.5at%(40)]/保護層10;Ta(200)であった。なお括弧内の数値は膜厚を示し単位はÅである。
前記第2固定磁性層4cを成膜した後、前記第2固定磁性層4cの上面4c1に、以下の条件からなるプラズマ処理を行った(実施例)。
<プラズマ処理>
高周波電力:16W
Arガス圧:80mTorr(約10.67Pa)
処理時間:300秒
高周波電力:16W
Arガス圧:80mTorr(約10.67Pa)
処理時間:300秒
また、膜厚Xよりなるチタン層を、酸化処理して、酸化チタンより成る絶縁障壁層5を形成した。
実験ではチタン層の膜厚(X)を変化させて、前記膜厚(X)とRAとの関係(図4)、前記膜厚(X)と抵抗変化率(ΔR/R)との関係(図5)、前記膜厚(X)と層間結合磁界(Hin)との関係(図6)を調べた。なお、各実験では、前記プラズマ処理を行っていない比較例に対しても実験しており、その実験結果を各グラフに掲載している。なお、各グラフの横軸には酸化チタン層(実施例)の膜厚も括弧書きにて掲載している。
図4に示すように、実施例のチタン層の膜厚を4.8〜5.6Å(酸化チタンの膜厚を8〜16Å)の範囲内にすると、RAを2.0(Ω・μm2)以下に抑えることが出来ることがわかった。
また図5に示すように、実施例の前記チタン層を4.8〜5.6Å(酸化チタンの膜厚を8〜16Å)の範囲内にすると、抵抗変化率(ΔR/R)を12〜17(%)の範囲内に出来ることがわかった。
さらに図6に示すように、実施例のチタン層の膜厚を4.8〜5.6Å(酸化チタンの膜厚を8〜16Å)の範囲内にすると、層間結合磁界(Hin)を15Oe(約1185A/m)以下に抑えることが出来ることがわかった。
図5に示すように、実施例において抵抗変化率(ΔR/R)を最大限に大きくするには、チタン層の膜厚を5.5Å付近にすることがより好ましい。この抵抗変化率は、比較例の抵抗変化率(ΔR/R)と同等である。そして、実施例では、前記抵抗変化率(ΔR/R)を大きい値に維持しつつ、RA及び層間結合磁界(Hin)の双方を適切に小さくできる。図4,図6に示すように実施例のRA及び層間結合磁界(Hin)は、ともに比較例に比べて小さくなっていることがわかった。
また図4に示すように、チタン層の膜厚が4.8〜5.6Åの(酸化チタンの膜厚を8〜16Å)範囲内において、RAは低い値を保ちながら安定していることがわかった。図4に示すように、チタン層の膜厚が4.8Å付近であるとRAが急激に大きくなる可能性があるので、確実にRAを低減するには前記チタン層の膜厚を5.0Å以上(酸化チタンの膜厚を10Å)にすることが好ましい。これにより、抵抗変化率(ΔR/R)も14(%)以上に大きくできる。
次に、以下の積層体T1を有するトンネル型磁気抵抗効果素子を形成した。
積層体T1は、下地層1;Ta(140)/シード層2;NiFeCr(50)/反強磁性層3;IrMn(70)/固定磁性層4[第1固定磁性層4a;Co90at%Fe10at%(14)/非磁性中間層4b;Ru(9.1)/第2固定磁性層4c;Co90at%Fe10at%(18)/絶縁障壁層5;Ti(X)を酸化処理したTiOx/フリー磁性層6[Co90at%Fe10at%(10)/Ni81.5at%Fe18.5at%(40)]/保護層10;Ta(200)であった。なお括弧内の数値は膜厚を示し単位はÅである。
積層体T1は、下地層1;Ta(140)/シード層2;NiFeCr(50)/反強磁性層3;IrMn(70)/固定磁性層4[第1固定磁性層4a;Co90at%Fe10at%(14)/非磁性中間層4b;Ru(9.1)/第2固定磁性層4c;Co90at%Fe10at%(18)/絶縁障壁層5;Ti(X)を酸化処理したTiOx/フリー磁性層6[Co90at%Fe10at%(10)/Ni81.5at%Fe18.5at%(40)]/保護層10;Ta(200)であった。なお括弧内の数値は膜厚を示し単位はÅである。
上記積層体T1では、図4〜図6で実験した積層体1と異なって、反強磁性層3にIrMn合金を用いている。
前記第2固定磁性層4cを成膜した後、前記第2固定磁性層4cの上面4c1に、以下の条件からなるプラズマ処理を行った(実施例)。
<プラズマ処理>
高周波電力:16W
Arガス圧:80mTorr(約10.67Pa)
処理時間:300秒
高周波電力:16W
Arガス圧:80mTorr(約10.67Pa)
処理時間:300秒
また、膜厚Xよりなるチタン層を、酸化処理して、酸化チタンより成る絶縁障壁層5を形成した。
実験ではチタン層の膜厚(X)を変化させて、前記膜厚(X)とRAとの関係(図7)、前記膜厚(X)と抵抗変化率(ΔR/R)との関係(図8)、前記膜厚(X)と層間結合磁界(Hin)との関係(図9)を調べた。なお、各実験では、前記プラズマ処理を行っていない比較例に対しても実験しており、その実験結果を各グラフに掲載している。なお、各グラフの横軸には酸化チタン層(実施例)の膜厚も括弧書きにて掲載している。
図7に示すように、実施例のチタン層の膜厚を5.0〜6.0Å(酸化チタンの膜厚を10〜20Å)の範囲内にすると、RAを1.0(Ω・μm2)以下に抑えることが出来ることがわかった。
また図8に示すように、実施例の前記チタン層を5.0〜6.0Å(酸化チタンの膜厚を10〜20Å)の範囲内にすると、抵抗変化率(ΔR/R)を7〜12(%)の範囲内に出来ることがわかった。
さらに図9に示すように、実施例のチタン層の膜厚を5.4〜6.0Å(酸化チタンの膜厚を14〜20Å)の範囲内にすると、層間結合磁界(Hin)を50Oe(約3950A/m)以下に抑えることが出来ることがわかった。
図8に示すように、実施例において抵抗変化率(ΔR/R)を最大限に大きくするには、チタン層の膜厚を5.5Å付近にすることがより好ましい。この抵抗変化率は、比較例の抵抗変化率(ΔR/R)の最大値に比べてやや低くなるものの、実施例では、前記抵抗変化率(ΔR/R)を大きい値に維持しつつ、RA及び層間結合磁界(Hin)の双方を適切に小さくできる。図7,図9に示すように実施例のRA及び層間結合磁界(Hin)は、ともに比較例に比べて小さくなっていることがわかった。
また図7に示すように、チタン層の膜厚が5.0〜6.0Å(酸化チタンの膜厚を10〜20Å)の範囲内において、RAは低い値を保ちながら安定していることがわかった。また図9に示すように、チタン層の膜厚が5.4Å付近(酸化チタンの膜厚が14Å付近)であると層間結合磁界(Hin)が比較例と同等になってしまうので、確実に層間結合磁界(Hin)を比較例より低くするには、チタン層の膜厚を5.6Å以上(酸化チタンの膜厚を16Å以上)にすることが好ましい。
図4ないし図9の実験結果から、チタン層の膜厚は4.8〜6.0Å(酸化チタンの膜厚は8〜20Å)の範囲内であることが好ましい。これにより、前記抵抗変化率(ΔR/R)を大きい値に維持しつつ、RA及び層間結合磁界(Hin)の双方を適切に小さくできる。
また反強磁性層3の材質を変更しても抵抗変化率(ΔR/R)、RA及び層間結合磁界(Hin)のチタン層の膜厚に対する増減傾向が同じになることがわかった。特に、反強磁性層3の材質に係らず、チタン層の膜厚を5.5Å付近に設定すると、抵抗変化率(ΔR/R)を最大限に大きくできるとともに、RA及び層間結合磁界(Hin)の双方を比較例(プラズマ処理なし)に比べて適切に小さくできることがわかった。
前記チタン層の膜厚を5.4〜5.6Å(酸化チタンの膜厚を14〜16Å)の範囲内にすれば、より確実に、前記抵抗変化率(ΔR/R)を大きい値に維持しつつ、RA及び層間結合磁界(Hin)の双方を適切に小さくできる。
また前記反強磁性層3としてPtMn合金を用いた場合、チタン層の膜厚を4.8〜5.6Å(酸化チタンの膜厚を8〜16Å)の範囲内にすることが好ましく、より好ましくは5.0〜5.6Å(酸化チタンの膜厚を10〜16Å)の範囲内である。
また、反強磁性層3としてIrMn合金を用いた場合、チタン層の膜厚を5.4〜6.0Å(酸化チタンの膜厚を14〜20Å)の範囲内にすることが好ましく、より好ましくは、5.6〜6.0Å(酸化チタンの膜厚を16〜20Å)の範囲内である。
以上により、前記抵抗変化率(ΔR/R)を大きい値に維持しつつ、RA及び層間結合磁界(Hin)の双方をより適切に小さくできる。
図10〜図12は、反強磁性層をPtMn合金で形成し、絶縁障壁層をAlOxで形成したトンネル型磁気抵抗効果素子(比較例)の実験結果である。
前記トンネル型磁気抵抗効果素子を構成する積層体は、下地層;Ta(70)/シード層;CoFe(10)/反強磁性層;PtMn(180)/固定磁性層[第1固定磁性層;Co90at%Fe10at%(16)/非磁性中間層;Ru(9.1)/第2固定磁性層;Co90at%Fe10at%(14)/絶縁障壁層;Al(X)を酸化処理したAlOx/フリー磁性層[Co90at%Fe10at%(10)/Ni81.5at%Fe18.5at%(40)]/保護層;Ta(200)であった。なお括弧内の数値は膜厚を示し単位はÅである。
前記第2固定磁性層4cを成膜した後、前記第2固定磁性層4cの上面4c1に、以下の条件からなるプラズマ処理を行った。
<プラズマ処理>
高周波電力:16W
Arガス圧:80mTorr(約10.67Pa)
処理時間:300秒
高周波電力:16W
Arガス圧:80mTorr(約10.67Pa)
処理時間:300秒
また、膜厚XよりなるAl層を、酸化処理して、AlOxより成る絶縁障壁層5を形成した。
実験ではAl層の膜厚(X)を変化させて、前記膜厚(X)とRAとの関係(図10)、前記膜厚(X)と抵抗変化率(ΔR/R)との関係(図11)、前記膜厚(X)と層間結合磁界(Hin)との関係(図12)を調べた。なお、各実験では、前記プラズマ処理を行っていない試料に対しても実験しており、その実験結果を各グラフに掲載している。
次に図13〜図15は、反強磁性層をIrMn合金で形成し、絶縁障壁層をAlOxで形成したトンネル型磁気抵抗効果素子(比較例)の実験結果である。
前記トンネル型磁気抵抗効果素子を構成する積層体は、下地層;Ta(140)/シード層;NiFeCr(50)/反強磁性層;IrMn(70)/固定磁性層[第1固定磁性層;Co70at%Fe30at%(14)/非磁性中間層;Ru(9.1)/第2固定磁性層;Co90at%Fe10at%(14)/絶縁障壁層;Al(X)を酸化処理したAlOx/フリー磁性層[Co90at%Fe10at%(10)/Ni81.5at%Fe18.5at%(40)]/保護層10;Ta(200)であった。なお括弧内の数値は膜厚を示し単位はÅである。
前記第2固定磁性層4cを成膜した後、前記第2固定磁性層4cの上面4c1に、以下の条件からなるプラズマ処理を行った。
<プラズマ処理>
高周波電力:16W
Arガス圧:80mTorr(約10.67Pa)
処理時間:300秒
高周波電力:16W
Arガス圧:80mTorr(約10.67Pa)
処理時間:300秒
また、膜厚XよりなるAl層を、酸化処理して、AlOxより成る絶縁障壁層5を形成した。
実験ではAl層の膜厚(X)を変化させて、前記膜厚(X)とRAとの関係(図13)、前記膜厚(X)と抵抗変化率(ΔR/R)との関係(図14)、前記膜厚(X)と層間結合磁界(Hin)との関係(図15)を調べた。なお、各実験では、前記プラズマ処理を行っていない試料に対しても実験しており、その実験結果を各グラフに掲載している。
図10〜図15に示すように、抵抗変化率(ΔR/R)はプラズマ処理を行うことで大きくなり、また層間結合磁界(Hin)は小さくなることがわかったがRAは大きくなってしまうことがわかった。
このように、第2固定磁性層の上面にプラズマ処理するとともに絶縁障壁層としてAlOxを用いると、プラズマ処理しない場合に比べてRAを適切に低減できないことがわかった。
一方、本実施形態では、図4〜図9に示す実験結果により、第2固定磁性層の上面にプラズマ処理するとともに絶縁障壁層としてTiOxを用いると、プラズマ処理をしない場合に比べて前記抵抗変化率(ΔR/R)を大きい値に維持しつつ、RA及び層間結合磁界(Hin)の双方を適切に小さくできることがわかった。
1 下地層
2 シード層
3 反強磁性層
4 固定磁性層
4a 第1固定磁性層
4b 非磁性中間層
4c 第2固定磁性層
4c1 (第2固定磁性層の)上面
5 絶縁障壁層
6 フリー磁性層
10 保護層
30 チタン層
2 シード層
3 反強磁性層
4 固定磁性層
4a 第1固定磁性層
4b 非磁性中間層
4c 第2固定磁性層
4c1 (第2固定磁性層の)上面
5 絶縁障壁層
6 フリー磁性層
10 保護層
30 チタン層
Claims (7)
- 下から第1の強磁性層、絶縁障壁層、第2の強磁性層の順に積層され、一方の前記強磁性層は、磁化が固定される固定磁性層で、他方の前記強磁性層は、磁化が外部磁界により変動するフリー磁性層であり、
前記第1の強磁性層の上面は、プラズマ処理されて界面改質処理がされており、
前記絶縁障壁層は酸化チタンで形成されていることを特徴とするトンネル型磁気抵抗効果素子。 - 前記第1の強磁性層が固定強磁性層であり、前記固定磁性層の上面が前記界面改質処理されている請求項1記載のトンネル型磁気抵抗効果素子。
- 前記第1の強磁性層は少なくとも一部にCoFe合金層を含み、前記CoFe合金層の上面が前記界面改質処理されている請求項1又は2に記載のトンネル型磁気抵抗効果素子。
- 下から第1の強磁性層、絶縁障壁層、第2の強磁性層の順に積層され、一方の前記強磁性層は、磁化が固定される固定磁性層で、他方の前記強磁性層は、磁化が外部磁界により変動するフリー磁性層であるトンネル型磁気抵抗効果素子の製造方法において、
(a) 前記第1の強磁性層の上面に、不活性ガス雰囲気中でプラズマ処理を行って前記上面を界面改質処理する工程、
(b) 前記第1の強磁性層の上面に、チタン層を所定膜厚で形成し、前記チタン層を酸化処理して酸化チタンから成る絶縁障壁層を形成する工程、
(c) 前記絶縁障壁層上に第2の強磁性層を形成する工程、
を有することを特徴とするトンネル型磁気検出素子の製造方法。 - 前記(a)工程において、前記第1の強磁性層の少なくとも上面側に、CoFe合金層を形成し、前記CoFe合金層の上面を前記プラズマ処理する請求項4記載のトンネル型磁気抵抗効果素子の製造方法。
- 前記(b)工程において、チタン層を、4.8Å〜6.0Åの範囲内で形成する請求項4又は5に記載のトンネル型磁気抵抗効果素子の製造方法。
- 前記第1の強磁性層を固定磁性層、第2の強磁性層をフリー磁性層とし、下から固定磁性層、絶縁障壁層、フリー磁性層の順に積層する請求項4ないし6のいずれかに記載のトンネル型磁気抵抗効果素子の製造方法。
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-
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- 2005-10-18 JP JP2005302822A patent/JP2007115745A/ja not_active Withdrawn
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