JP2007113941A - 欠陥検査装置及び欠陥検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的大きな試料であって高さ方向に厳格な公差が課せられる試料の欠陥検査に好適な欠陥検査装置及び欠陥検査方法を提供する。
【解決手段】本発明では、ライン状走査ビームを発生する共焦点顕微鏡を用いて試料表面を走査する。レーザ光源(10)から発生したレーザビームをライン状光ビーム発生装置(15)により非コヒーレントなライン状光ビームに変換する。このライン状光ビームは対物レンズ(25)により一方向に集束したライン状走査ビームに変換され、試料(27)を走査する。試料からの反射ビームはリニァイメージセンサ(29)に入射させる。リニァイメージセンサ(29)からの出力信号を欠陥検出回路(33)に供給して基準画像情報と比較することにより欠陥を検出する。
【選択図】図2
【解決手段】本発明では、ライン状走査ビームを発生する共焦点顕微鏡を用いて試料表面を走査する。レーザ光源(10)から発生したレーザビームをライン状光ビーム発生装置(15)により非コヒーレントなライン状光ビームに変換する。このライン状光ビームは対物レンズ(25)により一方向に集束したライン状走査ビームに変換され、試料(27)を走査する。試料からの反射ビームはリニァイメージセンサ(29)に入射させる。リニァイメージセンサ(29)からの出力信号を欠陥検出回路(33)に供給して基準画像情報と比較することにより欠陥を検出する。
【選択図】図2
Description
本発明は、共焦点光学系を利用した欠陥検査装置、特に高さ方向に高い検出感度を有し、数cm×数cm程度の比較的大きな試料の表面に存在する欠陥を検出するのに好適な欠陥検査装置に関するものである。
また、本発明は、各種シート材料に打抜加工又はハーフカット加工する際に用いられる押切ダイの刃先の欠陥を検査する欠陥検査方法に関するものである。
また、本発明は、各種シート材料に打抜加工又はハーフカット加工する際に用いられる押切ダイの刃先の欠陥を検査する欠陥検査方法に関するものである。
共焦点顕微鏡はZ軸方向に高い検出感度を有し、高分解能の画像を撮像できる顕微鏡である。この共焦点顕微鏡では、レーザ光源から出射したレーザビームを音響光学素子により主走査方向に高速偏向し、ガルバノミラーにより副走査方向に偏向して試料表面を2次元走査している。そして、試料ステージをZ軸方向に移動させながら2次元走査し、最大輝度値をメモリに記憶して試料の2次元画像が撮像されている(例えば、特許文献1参照)。この共焦点顕微鏡は、Z軸方向に高い検出感度を有するため、表面に微小な凹凸が存在する集積回路等の欠陥検査に高い有用性を有している。
一方、所定のカッティングパターンに沿って打抜加工やハーフカット加工がされたラベルやプラスチックシートが広く使用されている。これらの製品は、カッティングパターンに対応するパターン形状の押切刃が形成された押切ダイ(フラットダイ又はロータリダイ)を用い、押切ダイを平板プレス装置やロータリ加工装置に装着して加工処理されている。この押切ダイ(刃板)は以下の製造工程により製造されている。例えば厚さ0.5mm程度の強磁性体で弾性を有する鋼板にフォトレジスト膜を形成し、露光及び現像工程を経て所定のパターンのレジスト膜を形成する。その後、エッチング処理により所定のパターンの突条を形成する。さらに、NC加工機を用い、突条パターンの両側について切削加工を行い、所定の寸法の刃先が形成され、フレキシブルなダイ本体に押切刃が形成されている。
押切ダイは、数cm×数cmの比較的大きな試料である。一方、押切刃の切れ味や切断性能は刃先の寸法精度に強く依存するため、刃先の刃高については数10μmの厳格な公差が課せられており、その欠陥検査は、製品の歩留りを高めるため、極めて重要である。
押切ダイは、数cm×数cm程度の大きな試料である反面、刃先の高さ方向に対して数10μm程度の厳格な公差が規定される特殊性を有している。しかしながら、押切刃の刃先が所定の寸法に仕上がっているか否かの判断は、熟練した作業者が拡大鏡を用いて刃先を観察することにより行われていた。また、刃先欠陥が存在するか否かの検査は、作業者が押切刃の刃先に沿って指先を当ててなぞることにより検査されていた。しかしながら、熟練した作業者の官能判定では、検査に完全を期しがたく、寸法誤差や欠陥を見逃す危険性があった。
一方、共焦点顕微鏡は、Z軸方向に数μm程度の高い分解能を有しているから、押切刃の刃先の欠陥検査に好適である。しかしながら、従来の共焦点顕微鏡では、レーザビームを音響光学素子等のビーム偏向装置を用いて試料表面を走査しているため、押切ダイのような表面積の大きな試料の場合試料全体を走査するのに長時間かかるため、1枚の押切ダイの検査に長時間要する不具合が生じてしまう。
本発明の目的は、高さ方向に高い検出感度を必要とする試料の欠陥検査に好適な欠陥検査装置を実現することにある。
本発明の別の目的は、比較的大きな試料であって高さ方向に厳格な公差が課せられる試料の欠陥検査において、検査時間を短縮できる欠陥検査装置を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、押切ダイにパターン状に形成されている押切刃の刃先の寸法誤差や欠陥を高精度に検出できる欠陥検査方法を実現することにある。
本発明の別の目的は、比較的大きな試料であって高さ方向に厳格な公差が課せられる試料の欠陥検査において、検査時間を短縮できる欠陥検査装置を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、押切ダイにパターン状に形成されている押切刃の刃先の寸法誤差や欠陥を高精度に検出できる欠陥検査方法を実現することにある。
本発明による欠陥検査装置は、レーザビームを発生するレーザ光源と、
レーザ光源から出射したレーザビームを第1の方向に延在する非コヒーレントなライン状光ビームに変換するライン状光ビーム発生装置と、
前記ライン状光ビームを検査すべき試料に向けてライン状の走査ビームとして投射する対物レンズと、
前記試料を支持すると共に、前記第1の方向に対応するX方向及びX方向と直交するY方向に移動する試料ステージと、
前記走査ビームの集束線と試料との間の相対距離を変化させる手段と、
前記第1の方向と対応する方向に沿って配列した複数の受光素子を有し、試料からの反射光を受光するリニァイメージセンサと、
リニァイメージセンサから出力される試料の画像情報と基準画像情報とを比較して欠陥判定を行う欠陥検出手段とを具えることを特徴とする。
レーザ光源から出射したレーザビームを第1の方向に延在する非コヒーレントなライン状光ビームに変換するライン状光ビーム発生装置と、
前記ライン状光ビームを検査すべき試料に向けてライン状の走査ビームとして投射する対物レンズと、
前記試料を支持すると共に、前記第1の方向に対応するX方向及びX方向と直交するY方向に移動する試料ステージと、
前記走査ビームの集束線と試料との間の相対距離を変化させる手段と、
前記第1の方向と対応する方向に沿って配列した複数の受光素子を有し、試料からの反射光を受光するリニァイメージセンサと、
リニァイメージセンサから出力される試料の画像情報と基準画像情報とを比較して欠陥判定を行う欠陥検出手段とを具えることを特徴とする。
本発明では、ライン状の走査ビームを用いる共焦点光学系を利用することにより、高さ方向に高分解能を得ると共に検査時間の短縮を図る。すなわち、集束性を有するライン状の走査ビームにより試料表面を走査し、試料からの反射ビームをリニァイメージセンサで受光することにより、高分解能の共焦点光学系が構成される。また、ライン状の走査ビームを用いて試料表面を走査することにより、音響光学素子やガルバノミラーを用いて走査する装置に比べて大幅に走査時間を短縮することができる。この結果、表面積が大きく且つ高さ方向に高い検出感度を必要とする試料であっても、短時間で高精度な欠陥検査を行うことができる。特に、共焦点光学系においては、高さ方向(Z軸方向)に数μmの検出感度を有するため、数μm程度の微小な寸法誤差や欠陥を検出することができる。この結果、押切ダイのような比較的大きな試料であって高さ方向に高い検出感度を必要とする試料の欠陥検査に好適である。
本発明による欠陥検査装置の好適実施例は、ライン状光ビーム発生装置は、光入射面を有し、当該光入射面内に2次元マトリックス状に配置した複数のマイクロミラー素子を有するマイクロミラー装置を具え、各マイクロミラー素子のミラー面は駆動信号に応じて高速回動又は高速傾動し、各ミラー面の高速回動又は高速傾動により入射したレーザビームを非コヒーレントなライン状光ビームに変換することを特徴とする。ここで重要なことは、ライン状の走査ビームの発生手段として、水銀ランプやレーザ光源とシリンドリカルレンズとの組み合わせを用いていないことである。すなわち、水銀ランプを用いた場合、水銀ランプ自体が大きいため、検査装置が大型化する欠点があるばかりでなく、製造コストも高価になる欠点がある。また、レーザ光源とシリンドリカルレンズとの組み合わせを用いてライン状の走査ビームを形成したのでは、レーザビームがコヒーレントなため、グレァ等が多発してしまい、ノイズの多い乱れた画像となり、高精度の欠陥検査を行うには限界がある。これに対して、本発明では、2次元マトリックス状に配置した複数のマイクロミラー素子を有するマイクロミラー装置を用い、各マイクロミラーの高速回動によりコヒーレントなレーザビームを非コヒーレントな光ビームに変換しているため、小型で安価な欠陥検査装置を実現することができる。すなわち、マイクロミラー装置の各マイクロミラー素子は、±10°程度の角度範囲で往復回動ないし往復傾動するため、各マイクロミラー素子を画像信号に基づき個別に駆動すると、駆動信号に応じて回動するスイッチィング動作を行い、ビデオ信号に応じた画像を表示する。一方、各マイクロミラー素子を個別に駆動するのではなく、マイクロミラー素子を全体として一体的に高速駆動すると、各マイクロミラー素子のミラー面は、入射したレーザビームを一方向に高速振動させることができ、従って、マイクロミラー装置から、発散性のライン状ビームと等価な光ビームが出射することになる。この発散性ライン状光ビームを集束レンズを通すことにより、一方向に拡大された平行なライン状光ビームに変換される。さらに、各マイクロミラー素子は、同一の駆動信号がそれぞれ供給されても、各マイクロミラー素子毎に質量等が相違するため、各マイクロミラーはランダムに回動する。この結果、各マイクロミラーに入射した各ビーム部分がランダムな位相状態となり、マイクロミラー装置から非コヒーレントな光ビームを出射させることができる。さらに重要なことは、マイクロミラー装置を用いてライン状光ビームを発生させる装置では、ライン幅が1cm程度の拡大されたライン状光ビームを容易に形成できる利点がある。この結果、幅の広いライン状走査ビームで走査できるため、試料の欠陥検査に要する時間を大幅に短縮することができる。尚、マイクロミラー装置により、コヒーレントなレーザビームが非コヒーレントな光ビームに変換されることは、本発明者により実証されている。
本発明による欠陥検査方法は、各種シート状部材に打抜加工又はハーフカット加工を行うために用いられ、ダイ本体に所定のパターンの押切刃が形成されている押切ダイの欠陥を検出する欠陥検査方法であって、
共焦点顕微鏡を用意し、当該共焦点顕微鏡の試料ステージに検査すべき押切ダイを装着する工程と、
共焦点顕微鏡から出射する走査ビームの集束点又は集束線を、押切刃の刃先の先端に位置するように設定する工程と、
走査ビームの集束点又は集束線が刃先の先端に一致した状態で、走査ビームにより押切ダイを2次元走査して押切刃の刃先の線状のパターン画像を撮像する工程と、
刃先のパターン画像を基準情報と比較して欠陥判定を行う欠陥判定工程とを有することを特徴とする。
共焦点顕微鏡を用意し、当該共焦点顕微鏡の試料ステージに検査すべき押切ダイを装着する工程と、
共焦点顕微鏡から出射する走査ビームの集束点又は集束線を、押切刃の刃先の先端に位置するように設定する工程と、
走査ビームの集束点又は集束線が刃先の先端に一致した状態で、走査ビームにより押切ダイを2次元走査して押切刃の刃先の線状のパターン画像を撮像する工程と、
刃先のパターン画像を基準情報と比較して欠陥判定を行う欠陥判定工程とを有することを特徴とする。
本発明では、走査ビームの集束点ないし集束線を押切刃の刃先の先端に位置するように設定し、走査ビームにより押切ダイを2次元走査しているので、押切刃の刃先の像が連続するパターン画像として撮像される。従って、撮像されたパターン画像を基準画像情報と比較することにより刃先の欠陥を容易に検出することができる。さらに、同一の高さの刃先の頂点の画像だけが鮮明に撮像され、刃先の先端が規格値よりも低い場合及び刃こぼれしている場合、当該刃先部分は欠落画像として撮像されるので、刃先の画像を基準画像情報と比較することにより、より正確な欠陥検査を行うことができる。特に、共焦点光学系の場合、高さ方向(Z軸方向)に数μm程度の検出感度を有しているため、押切刃の刃先を一層厳格に検査することができる。
本発明では、ライン状の走査ビームにより試料を走査する共焦点光学系を利用しているので、高さ方向に高い検出感度を必要とする大きなサイズの試料であっても短時間で欠陥検査を行うことができる。
当該実施例では、検出すべき試料として押切ダイを用い、押切ダイの刃先の欠陥検査を例にして説明する。図1は本発明により欠陥検査される押切ダイの一例を示す線図であり、図1Aは平面図、図1B及びCは押切刃の断面形状を示す線図である。当該押切ダイを用いてラベル等の各種シート状部材に打抜加工又はハーフカット加工を行う。押切ダイ1は、例えば10cm×6cmの寸法のダイ本体(主ベース)2を有し、ダイ本体2にカッティングパターンに対応したパターンの押切刃3が形成されている。押切刃3の刃高dは、平抜き用の押切ダイの場合例えば0.60〜1.20mmに設定し、ロータリ用の押切ダイの場合0.40〜0.60mmに設定する。刃高dは、押切ダイの切断精度に強く影響するため、その公差は±30μmに設定する。また、刃先4の刃角度αは、例えば40〜80°とする。
押切ダイ1は、弾性を有する鋼板やステンレス板を用い、エッチング処理と研削加工により製造される。すなわち、例えば厚さ0.5mmの鋼板やステンレス板を用意し、その表面にフォトレジスト膜を形成する。次に、所定のパターンが形成されたフォトマスクを用いて露光し、現像処理を行って所定のパターンのフォトレジスト膜を形成する。その後、エッチング処理を行って突状パターンを形成する。その後、レジスト膜を除去した後、NC加工による研削処理により刃先を形成し、ダイ本体上に押切刃3を形成する。このようにして製造された押切ダイについて、本発明では、押切刃の刃先4の形状を共焦点顕微鏡を用いて撮像し、得られた刃先の画像に基づいて欠陥検査を行う。
図2は、本発明による欠陥検査装置の一例を示す線図である。本例の共焦点顕微鏡では、全ての光学素子を同一平面上に配置し、光学系の調整の煩雑性を解消する。照明光源としてレーザ光源10を用いる。レーザ光源10の前面には、エキスパンダ光学系11を配置し、拡大平行光束に変換する。拡大平行光束に変換されたレーザビームは、第1のシリンドリカルレンズ12を経て第1の偏光ビームスプリッタ13に入射する。第1のシリンドリカルレンズ12は、入射した光ビームを第2の方向(後述するライン状光ビームの拡大方向である第1の方向と直交する方向)にだけ収束させるレンズ作用を有する。
レーザビームは、第1の偏光ビームスプリッタ13を透過し、λ/4板14を経てライン状光ビーム発生装置15の光入射面に収束した状態で垂直に入射する。このライン状光ビーム発生装置は、2次元マトリックス状に配置され、例えば14μm×14μmの矩形のアルミニウムの反射面を有する複数のマイクロミラー素子を光入射面に具えるマイクロミラー装置で構成する。各マイクロミラー素子のミラー面は、駆動回路から供給される駆動パルスにより高速で往復回動ないし往復傾動し、入射したレーザビームを第1の方向に高速振動させることになる。従って、レーザビーム全体として見た場合、マイクロミラー装置12から、第1の方向に発散するライン状光ビームして出射する。さらに、マイクロミラー装置の各マイクロミラー素子のミラー面はそれぞれランダムな状態で回動ないし傾動するため、入射したレーザビームの各マイクロミラー素子に入射した微小のビーム部分はそれぞれランダムな状態で反射する。この結果、マイクロミラー装置から出射する光ビームは、ビーム全体として見た場合位相関係がそれぞれランダムな状態になり、もはやコヒーレンス性が維持されず、発散性の非コヒーレントな光ビームに変換される。この結果、グレァ等の発生を防止することができ、鮮明な試料像を撮像することができる。
ライン状光ビーム発生装置15から出射した非コヒーレントな発散性光ビームは、λ/4板14を透過し、第1の偏光ビームスプリッタ13の偏光面で反射し、収束性球面レンズ16に入射し、当該収束性球面レンズにより第1の方向に拡大された平行光ビームに変換される。このライン状の平行光ビームは、第2のシリンドリカルレンズ17により第2の方向に収束され、リレーレンズ18を経て第2の偏光ビームスプリッタ19に入射する。従って、第2のシリンドリカルレンズ17の結像位置には、第1の方向に拡大され第1の方向と直交する第2の方向には集束した平行なライン状の光ビームが形成される。
第2の偏光ビームスプリッタ19に入射した細いライン状の光ビームは、その偏光面で反射し、結像レンズ20を経てガルバノミラー21に入射する。ガルバノミラー21で反射したライン状の光ビームは、リレーレンズ22及び23並びにλ/4板24を経て対物レンズ25に入射する。対物レンズは、入射したライン状光ビームを、第1の方向についてはほぼ平行で第1の方向と直交する第2の方向に集束する集束性走査ビームに変換し、ステージ26上に載置した検査すべき押切ダイ27に向けて投射する。尚、ガルバノミラー21は、試料全体を走査する場合静止させて固定ミラーとして用い、試料の一部を拡大共焦点画像として撮像する場合第1の方向と直交する方向にビームスキャンを行う。
ステージ26は、3軸方向移動型のステージ、すなわちX、Y及びZ軸移動型のステージとする。ここで、X軸方向は、ライン状光ビームの延在方向である第1の方向と対応する方向に設定する。従って、図3に示すように、ステージ26をY方向、X方向、及びY方向の順序でジッグザッグ移動することにより、検査すべき押切ダイ27のほぼ全面が集束性走査ビームにより走査されることになる。走査に当たって、ステージ26をZ軸方向に移動させて、対物レンズ25から投射される走査ビームの集束点ないし集束線が押切ダイ27の押切刃の刃先の頂部の位置と一致するように調整する。勿論、試料ステージ26をZ軸方向に固定し、対物レンズ25をその光軸方向に移動させることにより集束点の位置を調整することも可能である。ステージ26は、ステージ駆動回路28からの駆動信号により駆動制御される。尚、ステージの駆動制御及び後述するリニァイメージセンサの駆動制御等の制御は、コントローラ40からの制御信号に基づいて行う。
押切刃の刃先の頂部で反射した反射ビームは、対物レンズ25により集光され、再びλ/4波長板24、リレーレンズ23及び22、並びにガルバノミラー21及び結像レンズ20を経て第2の偏光ビームスプリッタ19に入射する。この押切刃からの反射ビームはλ/4板24を2回透過しているから、第2の偏光ビームスプリッタ19を透過し、光源から試料に向かう照明ビームから分離され、リニァイメージセンサ29に入射する。このリニァイメージセンサ29は、ライン状光ビームの延在方向である第1の方向と対応する方向に沿って配列された複数の受光素子を有する。従って、押切刃の刃先の画像は、結像レンズ20により複数の受光素子列上に結像される。各受光素子に蓄積された電荷は駆動回路30から供給される駆動信号により順次読み出される。
リニァイメージセンサ29から読み出された出力信号は増幅器31により増幅した後、信号処理回路32に供給する。信号処理回路32は、コントローラ40から供給される制御信号を用いて信号処理し、押切ダイの2次元画像を表す映像信号を出力する。
リニァイメージセンサ29からの出力信号は、欠陥検出回路33にも供給する。この欠陥検出回路33は、基準画像情報とリニァイメージセンサからの映像出力とを比較し、欠陥の存在及びそのアドレス情報を出力する。この欠陥判定に際し、例えばダイ対データベース方式又はダイ対ダイ方式により行うことができる。従って、基準画像情報として、押切刃の刃先のパターンを記憶した基準データを用いることができ、又は前回測定した画像情報をメモリに記憶し、メモリに記憶された画像情報を基準画像情報として用いることができる。
図4は押切刃の刃先を撮像する撮像方法を説明するための線図である。本発明では、対物レンズから出射する集束性走査ビームの集束線を押切刃3の刃先4の位置に設定し、ステージの2次元移動により押切ダイの2次元画像を撮像する。図4A〜Cにおいて、押切刃3は、紙面と直交する方向に延在するものとし、刃先を構成する頂部4a、頂部をはさんで対向する2つの斜面3a及び3bを有する。集束性走査ビームは、紙面と直交する方向に延在、上方から押切刃3に向けて入射する。尚、走査ビームは2本の限界光線で示し、その集束線は黒丸で示す。本例では、ステージ移動によりビーム走査が行われ、図4において走査ビームは固定され、押切刃は図面上右方向に移動する。
図4Aに示すように、初めに走査ビームは押切刃の右側の斜面3bに入射する。この際、走査ビームは斜面3bで下方に向けて反射し、反射光は対物レンズに入射しない。従って、画像は全く形成されない。
次に、図4Bに示すように、走査ビームの集束線は、刃先の頂部のエッジを経て頂部4a上に位置する。この時、走査ビームは刃先の頂部4aで反射し、対物レンズにより集光されてリニァイメージセンサに入射する。従って、刃先の頂部の画像が撮像される。
さらに移動すると、走査ビームの集束線は頂部4aの反対側のエッジを通過し、反対側の斜面3aに入射する。斜面3aからの反射光は下方に進行し、対物レンズには入射しない。
このように、走査ビームの集束線が刃先の頂部に位置する場合だけ、押切刃からの反射光が対物レンズにより集光されてリニァイメージセンサに入射し、それ以外の場合リニァイメージセンサには反射光がほとんど入射しないため、刃先の頂部の画像だけが鮮明に撮像され、刃先の頂部の幅は極めて正確に撮像される。この特性より、押切刃のパターン画像の線幅を基準値と比較することにより、刃先が正規の値に設定されているか否か判定することが可能である。
次に、刃先4に刃こぼれ等の欠陥が存在する場合、或いは刃高が基準値よりも低い場合について説明する。図5Aは、先端に刃こぼれ等の欠陥が存在する刃先を示す。図5Aにおいて、実線は刃先の外観を示し、破線は正規の刃先の寸法を示す。走査ビームが初めの斜面に入射した場合、斜面からの反射光は下方に進行する。次に、集束線が刃先の正規の頂部に位置した場合、刃先の頂部は基準位置よりも下側に位置するため、走査ビームは発散性のビームに変化して頂部に入射する。この際、頂部に入射した走査ビームは発散性であるため、頂部で反射し、左右に広く発散してしまう。この結果、刃先からの反射光は対物レンズに入射しないか、入射してもリニァイメージセンサまで伝搬する間に光路から外れてしまい、リニァイメージセンサの前面に配置されている枠(ピンホールとして機能する)により遮光され、各受光素子にほとんど入射しないか又は僅かな光量の反射光しか入射しない。この結果、走査ビームが刃先の頂部に位置しても、刃先の頂部の画像は形成されない状態となる。このような状態は、刃高が基準値よりも低い場合にも適用され、同様に刃先の頂部の画像が形成されない欠落画像状態となる。従って、刃先のパターン像に不連続な部分が発生した場合、当該部分は欠陥であると判定することができる。
図5Bは、刃高が基準値よりも大きい場合の反射状態を示す。破線は刃高が基準値の場合を示す。刃光が基準値よりも大きい場合、走査ビームが集束する前に刃先の頂部に入射するため、走査ビームは正規の光路を伝搬せず、リニァイメージセンサの前面に配置した枠により遮光され、各受光素子に入射せず、刃先の画像が形成されない状態或いは極めて輝度の低い低輝度画像となる。
図6は、ライン状の走査ビームの延在方向と押切刃のパターンの延在方向とが直交する場合の状態を示す。図6において、紙面と直交する方向に押切刃が延在し、ライン状の走査ビームは紙面内に延在するものとする。本例では、X方向には平行でY方向に集束性を有する走査ビームにより押切刃を走査する。この場合、押切刃の斜面に入射したビーム部分は下方に向けて反射し、刃先の頂部に入射したビーム部分はほぼ垂直に反射する。従って、刃先の頂部に入射したビーム部分の反射光だけがリニァイメージセンサに入射するため、刃先の幅に正確に対応した幅を有する刃先像を鮮明に撮像することができる。
次に、図2に示す本発明による欠陥検査装置を用いて図1に示す押切ダイの画像を実際に撮像して得られた画像について説明する。図7は、図1に示す押切ダイの破線で示す領域の拡大画像であり、図7Aは正常な押切刃のパターン画像を示し、図7Bは切断性能の悪い押切ダイのパターン画像を示す。押切ダイをステージに装着し、走査ビームの集束線を押切刃の刃先の頂部の位置に設定して2次元走査した。図7Aに示すように、欠陥の無い正規の寸法に加工された押切ダイの画像は、押切刃のパターンに一致した連続する線状パターンの刃先の画像が撮像された。得られた画像は、刃先を構成する斜面及び下側のダイ本体の画像は全く撮像されず、刃先の頂部の画像だけが撮像された。モニタに投影された刃先の画像から頂部の画像の寸法を測定したところ、設計値と正確に一致していた。
一方、切断性能ないし切れ味の悪い押切ダイについて同様にして撮像したところ、図7Bに示す画像が得られ、2カ所に欠陥が認められた。正常な刃先の画像は押切刃のパターンに沿った均一な線幅の画像である。これに対して、切断性能の悪い押切ダイの場合、押切刃の角部の研削加工が不十分であり、規定の寸法に仕上がっていないことが判明した。また、部分的な刃こぼれした領域があり、その部分は画像が形成されておらず、モニタ上に欠落画像として表示された。
この実験結果より、欠陥判定方法として、撮像されたパターン画像の線幅を基準値と比較することにより欠陥の有無や製造誤差を測定することができる。また、頂部のパターン画像のうち欠陥画像の有無、すなわち画像形成される部位における画像の有無に基づいて欠陥判定することができる。
欠陥検査の方法として、初めに試料全体を走査し、その後検出された欠陥部分の拡大共焦点画像を撮像することも可能である。すなわち、試料の全体走査時にはガルバノミラー21を静止させてステージ移動により試料全体を走査する。次に、欠陥検出されたアドレス情報を用いてステージを移動し、高倍率に設定し、ガルバノミラー21を駆動して当該欠陥部分の拡大共焦点画像を撮像することも可能である。このように、欠陥の拡大共焦点画像を撮像することにより、欠陥の生成要因を確認することができる。
本発明は上述した実施例だけに限定されず種々の変形や変更が可能である。例えば、上述した実施例では、押切ダイの欠陥検査について説明したが、押切ダイは一例として説明したものであり、半導体ウェハや画像表示用の各種シート材料等の欠陥検査についても適用することができる。
1 押切ダイ
2 ダイ本体
3 押切刃
4 刃先
10 レーザ光源
11 エキスパンダ光学系
12,17 シリンドリカルレンズ
13,19 ビームスプリッタ
14,24 λ/4板
15 ライン状光ビーム発生装置
16 球面レンズ
18,22,23 リレーレンズ
20 結像レンズ
21 ガルバノミラー
24 λ/4板
25 対物レンズ
26 ステージ
27 押切ダイ
28 ステージ駆動回路
29 リニァイメージセンサ
30 駆動回路
31 増幅器
32 信号処理回路
33 欠陥検出回路
2 ダイ本体
3 押切刃
4 刃先
10 レーザ光源
11 エキスパンダ光学系
12,17 シリンドリカルレンズ
13,19 ビームスプリッタ
14,24 λ/4板
15 ライン状光ビーム発生装置
16 球面レンズ
18,22,23 リレーレンズ
20 結像レンズ
21 ガルバノミラー
24 λ/4板
25 対物レンズ
26 ステージ
27 押切ダイ
28 ステージ駆動回路
29 リニァイメージセンサ
30 駆動回路
31 増幅器
32 信号処理回路
33 欠陥検出回路
Claims (11)
- レーザビームを発生するレーザ光源と、
レーザ光源から出射したレーザビームを第1の方向に延在する非コヒーレントなライン状光ビームに変換するライン状光ビーム発生装置と、
前記ライン状光ビームを検査すべき試料に向けてライン状の走査ビームとして投射する対物レンズと、
前記試料を支持すると共に、前記第1の方向に対応するX方向及びX方向と直交するY方向に移動する試料ステージと、
前記走査ビームの集束線と試料との間の相対距離を変化させる手段と、
前記第1の方向と対応する方向に沿って配列した複数の受光素子を有し、試料からの反射光を受光するリニァイメージセンサと、
リニァイメージセンサから出力される試料の画像情報と基準画像情報とを比較して欠陥判定を行う欠陥検出手段とを具えることを特徴とする欠陥検査装置。 - 請求項1に記載の欠陥検査装置において、前記対物レンズから出射するライン状走査ビームは、前記X方向に沿ってほぼ平行でY方向については集束性を有することを特徴とする欠陥検査装置。
- 請求項1又は2に記載の欠陥検査装置において、前記ライン状光ビーム発生装置は、光入射面を有し、当該光入射面内に2次元マトリックス状に配置した複数のマイクロミラー素子を有するマイクロミラー装置を具え、各マイクロミラー素子のミラー面は駆動信号に応じて高速回動又は高速傾動し、各ミラー面の高速回動又は高速傾動により入射したレーザビームを非コヒーレントなライン状光ビームに変換することを特徴とする欠陥検査装置。
- 請求項3に記載の欠陥検査装置において、前記レーザ光源とライン状光ビーム発生装置との間に第1のビームスプリッタを配置し、レーザ光源から出射したレーザビームを前記第1のビームスプリッタを介してマイクロミラー装置の光入射面に垂直に入射させ、レーザ光源からライン状光ビーム発生装置に向かうレーザビームとライン状光ビーム発生装置から出射した非コヒーレントなライン状光ビームとを前記第1のビームスプリッタにより分離することを特徴とする欠陥検査装置。
- 請求項4に記載の欠陥検査装置において、前記第1のビームスプリッタと対物レンズとの間に第2のビームスプリッタを配置し、当該第2のビームスプリッタにより、前記レーザ光源から試料に向かう光ビームと試料からリニァイメージセンサに向かう反射ビームとを分離することを特徴とする欠陥検査装置。
- 前記レーザ光源と第1のビームスプリッタとの間に、レーザ光源から出射したレーザビームを前記第1の方向と直交する第2の方向に集束させるシリンドリカルレンズを配置し、前記マイクロミラー装置の光入射面にライン状のレーザビームを入射させることを特徴とする請求項4又は5に記載の欠陥検査装置。
- 請求項1から6までのいずれか1項に記載の欠陥検査装置において、前記リニァイメージセンサの各受光素子から読み出された出力信号を受け取って試料の映像信号を出力する信号処理回路をさらに具え、欠陥検出情報と共に試料の2次元画像情報を出力することを特徴とする欠陥検査装置。
- 請求項1から7までのいずれか1項に記載の欠陥検査装置において、前記試料を、ダイ本体に所定のパターンの押切刃が形成されている押切ダイとし、Z軸方向欠陥検出手段において押切刃の刃先のパターン画像と基準画像情報とを比較して欠陥判定を行うことを特徴とする欠陥検査装置。
- 各種シート状材料に打抜加工又はハーフカット加工を行う際に用いられ、ダイ本体に所定のパターンの押切刃が形成されている押切ダイの欠陥を検出する欠陥検査方法であって、
共焦点顕微鏡を用意し、当該共焦点顕微鏡の試料ステージに検査すべき押切ダイを装着する工程と、
共焦点顕微鏡から出射する走査ビームの集束点又は集束線を、押切刃の刃先の先端に位置するように設定する工程と、
走査ビームの集束点又は集束線が刃先の先端に一致した状態で、走査ビームにより押切ダイを2次元走査して押切刃の刃先の線状のパターン画像を撮像する工程と、
刃先のパターン画像を基準画像情報と比較して欠陥判定を行う欠陥判定工程とを有することを特徴とする欠陥検査方法。 - 前記共焦点顕微鏡からステージ上の押切ダイに向けて、第1の方向に集束性を有し、第1の方向と直交する第2の方向にはほぼ平行なライン状の走査ビームを投射し、当該集束性のライン状走査ビームを用いて押切ダイを2次元走査することを特徴とする欠陥検査方法。
- 請求項10に記載の欠陥検査方法において、撮像された刃先の線状パターンの線幅又は線状パターンの欠落画像の有無に基づいて欠陥判定を行うことを特徴とする欠陥検査方法。
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