JP2007104777A - 電気車駆動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】運行の様々な条件に対応して精度の高い速度予測値を算出することで、トルク不足や脱調といった不具合を回避し信頼性の高い電気車駆動制御装置を提供することである。
【解決手段】電気車を駆動する電動機7を駆動するインバータの制御部28と、電動機7の印加電圧や電流に基づき電動機7の回転数を推定する速度推定部14と、トルク指令に基づき電動機7の回転数を予測する速度予測部15とを有し、速度予測部15は、少なくとも、乗車率、勾配、駆動電動機の数の一つに基づき、速度を予測し、制御部28は、電動機7の回転数が零速度の近傍では速度予測値を用いてベクトル制御を行い、それ以外の領域では速度推定値を用いてベクトル制御を行う。
【選択図】図1
【解決手段】電気車を駆動する電動機7を駆動するインバータの制御部28と、電動機7の印加電圧や電流に基づき電動機7の回転数を推定する速度推定部14と、トルク指令に基づき電動機7の回転数を予測する速度予測部15とを有し、速度予測部15は、少なくとも、乗車率、勾配、駆動電動機の数の一つに基づき、速度を予測し、制御部28は、電動機7の回転数が零速度の近傍では速度予測値を用いてベクトル制御を行い、それ以外の領域では速度推定値を用いてベクトル制御を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、電動機の回転数あるいは速度を検出することなく速度センサレスベクトル制御を行う電気車駆動制御装置に関する。
誘導電動機(IM)の速度センサレスベクトル制御は、インバータによって駆動される誘導電動機の印加電圧や電流情報に基づき、速度(回転数)を推定しトルク制御を行うものであり、そのような速度センサレスベクトル制御装置は、電動機の速度(回転数)を推定する速度推定部を有し、速度推定部の出力に応じてトルク制御を行う。このような速度センサレスベクトル制御装置は、速度センサを用いないというメリットから、広く産業用に適用されているが、近年になって、電車や電気自動車など電気車への適用が進んでいる。
この場合、誘起電圧が微小となる極低速での性能維持が困難であり、電車や電気自動車などの電気車への適用においては、勾配区間あるいは坂道などから発進する後退起動(車両が下がりながら始動する)では、インバータ周波数が零速度を横切り、そのような問題が顕在化する。
これらの問題への対処法として、電流などフィードバック情報を用いて速度を推定するのではなく、トルク指令に基づきフィードバック情報を用いずに速度を予測する速度予測部を有したものがある(例えば特許文献1参照)。すなわち、通常の速度域では速度推定値を用いてベクトル制御を行い、零速度の近傍に限り速度予測値を用いてベクトル制御を行う。
特許第3316118号公報
しかしながら、電車や電気自動車などの電気車を運行する場合、乗車率や勾配、電動機の駆動する数などが変化する。例えば、電動機が故障した場合に、その故障した電動機をカットアウトして運行する場合には駆動電動機の数が変化することになる。従って、条件によっては速度予測値が一致しなくなることがあり、速度予測値が一致しなくなるとトルク不足や脱調となる。結果的に、加速不良、起動失敗といったシステムの信頼性が低下する。
本発明の目的は、信頼性の高い電気車駆動制御装置を提供することである。
本発明の電気車駆動制御装置は、インバータで駆動される電動機の印加電圧や電流に基づき前記電動機の回転数を推定し速度推定値を求める速度推定部と、前記電動機のトルク指令に加え、少なくとも、乗車率、勾配、駆動電動機の数の一つに基づき前記電動機の速度を予測し速度推定値を求める速度予測部と、前記電動機の回転数が零速度の近傍では前記速度予測値を用いてベクトル制御を行い、それ以外の領域では前記速度推定値を用いてベクトル制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、信頼性の高い電気車駆動制御装置を提供することができる。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係わる電気車駆動制御装置の構成図である。図1では、電気車として電車を想定した場合を示している。パンダグラフ1と車輪2は、直流架線に接続される。フィルタリアクトル3とフィルタコンデンサ4を介してインバータ5に直流が給電される。インバータ5によって、誘導電動機7を駆動する。インバータ5を制御する制御方式として、電流検出器6によって電動機の相電流Iu、Iwを検出し、誘導電動機7の回転数を検出しない速度センサレスベクトル制御系で構成されている。
図1は本発明の第1の実施の形態に係わる電気車駆動制御装置の構成図である。図1では、電気車として電車を想定した場合を示している。パンダグラフ1と車輪2は、直流架線に接続される。フィルタリアクトル3とフィルタコンデンサ4を介してインバータ5に直流が給電される。インバータ5によって、誘導電動機7を駆動する。インバータ5を制御する制御方式として、電流検出器6によって電動機の相電流Iu、Iwを検出し、誘導電動機7の回転数を検出しない速度センサレスベクトル制御系で構成されている。
図1において、制御部28は、周知の技術であるDQ回転座標系上のベクトル制御法によって構成されている。入力として、磁束指令とトルク指令が与えられる。電流指令演算部8において、励磁電流指令Id*とトルク電流指令Iq*とを演算出力する。また、電流検出器6によって電動機の相電流Iu、Iwが検出され、座標変換部12によって、DQ軸座標系上のDQ軸電流Id、Iqとが変換される。
電圧指令演算部9では、同電流指令値Id*、Iq*と実電流値Id、Iqとが一致するように、D軸電圧指令Vd*とQ軸電圧指令Vq*とを演算出力する。DQ軸電圧指令Vd*、 Vq* は、座標変換部10にて3相電圧指令Vu*、 Vv*. Vw*に変換されてPWM回路11に入力される。PWM回路11では、同3相電圧指令に一致した電圧が出力されるように、インバータ5のゲートを例えば、周知の技術である三角波比較PWM制御によって、制御するものである。
速度推定部14は、前記DQ軸電圧指令Vd*、 Vq*と、実DQ軸電流Id、 Iqとを入力として、誘導電動機7の速度、すなわち電動機の回転数を推定し出力するものである。速度予測部15は、トルク指令と車両重量を表す応荷重とを入力として、速度、すなわち、電動機の回転数を予測する。この速度予測部15の詳細な実現については後述する。
第1の速度演算手段である速度推定部14の出力と、第2の速度演算手段の出力である速度予測部15の出力とは切替器17へと入力される。切替器17は、速度領域判定部20の出力Flg_ZeroSpeedが1である場合には、速度予測部15の出力である速度予測値を最終的な速度推定値ωrhとして出力する。さらに、出力Flg_ZeroSpeedが0である場合には、速度推定部14の出力である速度推定値を最終的な速度推定値ωrhとして出力する。
すべり周波数基準演算部16では、DQ軸電流指令値Id*、 Iq*に基づき、すべり周波数基準ωs*を例えば、次の(1)式のように、演算出力する。
ωs* = R2/L2×Iq* / Id* …(1)
ここに、R2:2次抵抗、L2:2次インダクタンスである。加算器19では、最終的な速度推定値ωrhとすべり周波数基準ωs*とを加算し、インバータ周波数ω1として出力する。インバータ周波数ω1は、積分器13へと入力される。積分器13は入力を積分し、回転座標系D軸の静止座標系A軸からの位相角θを演算するもので、座標変換器10、12において使用する。
ここに、R2:2次抵抗、L2:2次インダクタンスである。加算器19では、最終的な速度推定値ωrhとすべり周波数基準ωs*とを加算し、インバータ周波数ω1として出力する。インバータ周波数ω1は、積分器13へと入力される。積分器13は入力を積分し、回転座標系D軸の静止座標系A軸からの位相角θを演算するもので、座標変換器10、12において使用する。
速度領域判定部20は、最終的な速度推定値ωrhに基づき、零速度近傍か否かを判定し、零速度フラグFlg_ZeroSpeedを出力するものである。例えば、その判定は、次の(2)式のように実現できる。
if ((ωrh>= α)and (ωrh<β))
Flg_ZeroSpeed = 1
else
Flg_ZeroSpeed = 0 …(2)
ここに、αは零速度領域の下限値であって通常マイナス値に設定される。また、βは零速度領域の上限値であって、通常プラス値に設定される。すなわち、零速度近傍において、Flg_ZeroSpeed=1になり、それ以外の領域ではFlg_ZeroSpeed=0になる。以上の説明では、最終的な速度推定値ωrhに基づき零速度の判定を実施しているが、速度推定値に代えインバータ周波数ω1に基づいて同様に構成してもよい。
Flg_ZeroSpeed = 1
else
Flg_ZeroSpeed = 0 …(2)
ここに、αは零速度領域の下限値であって通常マイナス値に設定される。また、βは零速度領域の上限値であって、通常プラス値に設定される。すなわち、零速度近傍において、Flg_ZeroSpeed=1になり、それ以外の領域ではFlg_ZeroSpeed=0になる。以上の説明では、最終的な速度推定値ωrhに基づき零速度の判定を実施しているが、速度推定値に代えインバータ周波数ω1に基づいて同様に構成してもよい。
図2は第1の実施の形態における速度予測部15の構成図である。減算器21によって、トルク指令から車両の走行抵抗が減算され加速トルクが算出され加速度予測演算部22に出力される。ここで、走行抵抗には、例えば、勾配力や走行風による抵抗力、ギア比等の機械的な摩擦力などを模擬すればよい。なお、走行抵抗は、車輪径やギア比を用いて、電動機の回転トルクの次元へと変換されていると仮定している。一方、応荷重イナーシャ変換部24は、応荷重信号、すなわち車両の総重量を電動機の回転軸まわりの等価イナーシャJへと換算し加速度予測演算部22に出力する。
加速度予測演算部22では、加速トルクの予測値を入力として、電動機7のロータの等価イナーシャJで除し加速度予測値を出力する。加速度予測値は積分器23に入力され、それを積分することで速度予測値が算出される。ここで、等価イナーシャJとは、電動機自身のイナーシャ、ギアや車輪のイナーシャ、さらに、車両の重量をギアや車輪径を介して電動機軸の回転イナーシャに変換したものを合わせたものと考えられる。
以上のように構成された電気車駆動制御装置によれば、勾配などの走行抵抗や乗車率と等価イナーシャが変件が変化しても、実速度に一致した速度予測値を演算することができる。また、走行抵抗としては勾配力や支配的な要因であり、勾配力は電気車の電動機の発生するトルクの30%以上になることもある。これを運行条件に応じて、予測演算部モデルに組み込むことで、速度予測値の精度を格段に向上することができる。
図3は、勾配等の走行抵抗を考慮しない場合の起動特性の特性図である。時点t1でインバータが始動し、推定制御(時点t1〜t2)を経て予測制御(時点t2〜t3)となる。勾配等の走行抵抗を考慮しないため、時点t2〜t3において、速度予測部15で算出する速度予測値の加速度は、本来、与えるべき加速度より高い。このため、誘導電動機7のすべり周波数が低く出力トルクの低下、すなわち、脱調状態に近くなる。図3では、その後(時点t3以降)、引き込みに成功し安定に加速していく様子を描いているが、さらに、加速度が不一致であると起動失敗などシステムトラブルになる。
図4は、勾配等の走行抵抗を考慮した場合の起動特性の特性図である。時点t1でインバータが始動し、推定制御(時点t1〜t2)を経て予測制御(時点t2〜t3)となり、勾配等の走行抵抗を考慮しているので、時点t2〜t3において、本来、与えるべき加速度が予測された結果、安定かつ所定の加速度にて加速することが可能である。
速度予測値にクリティカルな影響をおよぼす勾配力は、運行条件によって様々に変化する。つまり、電気車は、様々な勾配の区間から起動する可能性がある。よって、勾配力を一定値あるいは零と見なしては、最適な加速度が得られず、前述のような起動失敗となる可能性がある。そこで、第1の実施の形態のように、これらの情報に基づき精度の高い速度予測を行うことで起動失敗を回避し、システムの信頼性を向上させる。
勾配の情報については、電車の場合には、自動列車制御装置(ATO)や自動列車停止装置(TASC)、ナビゲーション装置など、走行する路線のデータを有した装置を編成内に持つ場合には、同機器から勾配情報を取得して設定することができる。自動車の場合にも、ナビゲーションシステムを利用することで、走行区間の勾配を取得することは実現可能である。
また、電車の場合、客の乗車率によって、その重量は約2倍程度まで変動する。また、電気自動車でも数10%の重量が変動する。図2に示した速度予測部15によれば、乗車人員数による重量変動を検出できる応荷重信号(重量センサ)を用いることで、車両の総重量を算出すればよい。応荷重イナーシャ変換部24では、応荷重信号、すなわち、車両の総重量を、電動機の回転軸まわりの等価イナーシャJへと換算出力する。この変換は、単純に直線系に作用する力を車輪径やギア比を使って回転径のトルクに変換するものである。
第1の実施の形態によれば、乗車率の変動した場合でも、正確な速度予測が可能になる。従って、電気車を運用する上で想定される様々な運行条件下において、これらの走行条件を取り込み、予測に考慮することで正確な速度予測が可能になる。この結果、すべり周波数が適正に維持されて、トルク不足や脱調が生じることを抑制することができ、システムの信頼性を向上することが可能になる。
なお、速度センサレスベクトル制御は、様々な方式が提案されており、第1の実施の形態に示した方式のものに限定するものではない。また、電動機として誘導電動機を示したが、永久磁石同期電動機であっても同様な作用効果を得ることができる。
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態に係わる電気車駆動制御装置における速度予測部の構成図である。この第2の実施の形態は、図2に示した第1の実施の形態に対し、勾配などの走行抵抗や乗車率を表す応荷重といった外部からの入力を省略し、想定し得る最大の走行抵抗および最大の乗車率に相応する等価イナーシャJmaxを設定するようにしたものである。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係わる電気車駆動制御装置における速度予測部の構成図である。この第2の実施の形態は、図2に示した第1の実施の形態に対し、勾配などの走行抵抗や乗車率を表す応荷重といった外部からの入力を省略し、想定し得る最大の走行抵抗および最大の乗車率に相応する等価イナーシャJmaxを設定するようにしたものである。
図5において、減算器21ではトルク指令と最大走行抵抗との差分が演算され、加速度予測演算部22に入力される。加速度予測演算部22では最大の乗車率に相応する等価イナーシャが設定されており、加速度予測演算部22で得られた加速度予測値は積分器23に入力され、積分器23で積分されて速度予測値として出力される。
このように、第2の実施の形態における速度予測部15には、勾配などの走行抵抗や乗車率を表す応荷重といった外部からの入力がなく、減算器21において、想定し得る最大の走行抵抗を減算し、加速度予測演算部22では、最大の乗車率に相応する等価イナーシャを設定する。このように構成することで、想定し得る運転条件の中の最も小さい加速度に基づいた速度予測を行うことになる。
図6は、本発明の第2の実施の形態における走行抵抗がない状態での起動特性の特性図である。時点t1でインバータが始動し、推定制御(時点t1〜t2)を経て予測制御(時点t2〜t3)となる。速度予測部15では、最大勾配と仮定して速度予測を行っているため、零速度を通過するとき、一旦、加速度が低下する。しかしながら、起動失敗となるのは、加速度が本来与えるべきものより高い場合であって、逆に小さい場合には、加速度は落ちるものの安定かつ確実に起動できる。
第2の実施の形態によれば、最大の悪条件を仮定した速度予測を行っているため、運行上のいかなる条件においても安定かつ確実に起動でき、システムの信頼性が向上する。もちろん、図6に示すような加速度の低下も好ましくはないが、起動失敗となるようなシステムの致命的な障害ではないので、勾配や車両重量などが把握できる場合、第1の実施の形態の構成の方が加速度を低下せず、正確な速度予測を可能にするため、適していることは言うまでもない。しかしながら、勾配などの走行抵抗は、情報が得られない場合が多く、第2の実施の形態は、そのような場合に適している。
(第3の実施の形態)
図7は、本発明の第3の実施の形態に係わる電気車駆動制御装置における速度予測部の構成図である。この第3の実施の形態は、図5に示した第2の実施の形態に対し、最大走行抵抗をトルク指令から減算する処理を省略し、等価イナーシャJmax2を最小の加速度となるように設定したものである。
図7は、本発明の第3の実施の形態に係わる電気車駆動制御装置における速度予測部の構成図である。この第3の実施の形態は、図5に示した第2の実施の形態に対し、最大走行抵抗をトルク指令から減算する処理を省略し、等価イナーシャJmax2を最小の加速度となるように設定したものである。
図7において、トルク指令は加速度予測演算部22に入力され、加速度予測演算部22では最小の加速度となる等価イナーシャJmax2が設定されており、加速度予測演算部22で得られた加速度予測値は積分器23に入力され、積分器23で積分されて速度予測値として出力される。
第3の実施の形態では、図5に示した第2の実施の形態のように、最大走行抵抗をトルク指令から減算する処理がなく、等価イナーシャを最小の加速度となるように設定するものである。すなわち、速度予測値の加速度が最小加速度となるように等価イナーシャをその最大値Jmax2に設定する。
第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様な作用効果を、より簡易なブロックによって実現できるため計算負荷を軽減できる利点がある。
(第4の実施の形態)
図8は、本発明の第4の実施の形態に係わる電気車駆動制御装置における速度予測部の構成図である。この第4の実施の形態は、図2に示した第1の実施の形態に対し、イナーシャ補正部25を設け、電動機の駆動ユニット数に応じて等価イナーシャJを設定するようにしたものである。
図8は、本発明の第4の実施の形態に係わる電気車駆動制御装置における速度予測部の構成図である。この第4の実施の形態は、図2に示した第1の実施の形態に対し、イナーシャ補正部25を設け、電動機の駆動ユニット数に応じて等価イナーシャJを設定するようにしたものである。
図8において、減算器21にはトルク指令と車両の走行抵抗とが入力され減算されて、加速トルクが算出され加速度予測演算部22に出力される。一方、応荷重イナーシャ変換部24は、応荷重信号、すなわち車両の総重量を電動機の回転軸まわりの等価イナーシャへと換算し、イナーシャ補正部25は、駆動ユニット数に応じて等価イナーシャJを設定する。
例えば、編成の全体の質量をM、駆動電動機数をN、車輪半径をR、ギア比をGとすれば、次の(3)式で電動機7の回転軸回りの等価イナーシャJが演算できる。ただし、ここでは、簡単化のため、電動機・ギア・車輪のイナーシャなどは無視している。
J=(R/G)2 ×M/N …(3)
第4の実施の形態によれば、車両の一部の電動機7を故障等によって、切り離す場合にも、残りの健全な電動機7が負担すべき荷重に相応した等価イナーシャを適正に算出し所定の加速度が得られる。また、電動機7をカットアウトした場合、これに応じて加速度が低下するが、これを考慮しない場合には、トルク不足や脱調が生じる可能性があるが、電動機7のカットアウトを考慮して、適正に加速度を演算することで、このような問題を回避して信頼性の高いシステムを提供できる。
第4の実施の形態によれば、車両の一部の電動機7を故障等によって、切り離す場合にも、残りの健全な電動機7が負担すべき荷重に相応した等価イナーシャを適正に算出し所定の加速度が得られる。また、電動機7をカットアウトした場合、これに応じて加速度が低下するが、これを考慮しない場合には、トルク不足や脱調が生じる可能性があるが、電動機7のカットアウトを考慮して、適正に加速度を演算することで、このような問題を回避して信頼性の高いシステムを提供できる。
(第5の実施の形態)
図9は、本発明の第5の実施の形態に係わる電気車駆動制御装置における速度予測部の構成図である。この第5の実施の形態における速度予測部15は、加速度演算部27、加速度記憶部26、積分器23から構成されている。
図9は、本発明の第5の実施の形態に係わる電気車駆動制御装置における速度予測部の構成図である。この第5の実施の形態における速度予測部15は、加速度演算部27、加速度記憶部26、積分器23から構成されている。
速度推定部14と速度予測部15との出力を選択して出力する切替器17の出力、すなわち、速度推定値ωrhは、加速度演算部27に入力される。加速度演算部27では、速度推定値に基づき加速度を算出する。加速度記憶部26では、同加速度を入力し、速度領域判定部20が零速度近傍領域ではない判定している(Flg_ZeroSpeed=0)の場合に限り、入力を記憶し、それ以外では、値を更新しない処理を行う。積分器23では、加速度記憶部26の出力に従い、それを積分して、速度予測値を計算し出力する。
後退速度が大きい領域から零速度を通過して前進することを仮定すると、後退速度の大きい領域では、速度領域判定部20の出力Flg_ZeroSpeedは0、すなわち、速度推定部14の出力が有効になっている。この間、速度があるため精度のよい速度推定が可能となっている。この速度に基づき加速度を算出し、加速度記憶部26で記憶しておく。零速度を通過する際には、この加速度記憶部26の値の更新が停止する。すなわち、零速度近傍域への侵入したときの加速度を記憶するものである。零速度近傍域では、この記憶された加速度に基づいて、速度を予測していく。
第5の実施の形態によれば、勾配などの情報を得られないシステムが多く、また、最悪の条件を仮定した場合には、零速度を通過する加速度が常時低下してしまうが、第5の実施の形態では、零速度近傍域の加速度に基づき、速度を予測するため、勾配などの走行抵抗が考慮された適正な加速度を維持することが可能となる。
(第6の実施の形態)
図10は、本発明の第6の実施の形態に係わる電気車駆動制御装置の構成図である。例えば電車のように、一つの編成に複数の電気車駆動制御装置が搭載されたシステムがある。いまこのようなシステムを考える。電気自動車の場合にも、各輪を個別に駆動するシステムにおいては、複数の電気車駆動制御装置が搭載される。
図10は、本発明の第6の実施の形態に係わる電気車駆動制御装置の構成図である。例えば電車のように、一つの編成に複数の電気車駆動制御装置が搭載されたシステムがある。いまこのようなシステムを考える。電気自動車の場合にも、各輪を個別に駆動するシステムにおいては、複数の電気車駆動制御装置が搭載される。
複数の電気車駆動制御装置は、それぞれの電動機を駆動する各々のインバータを制御することになるが、その場合、それらのインバータのインバータ周波数を等しくなるようにする。その一例として、電動機を駆動制御する各々の制御部の速度予測値を等しくして、各々のインバータのインバータ周波数を等しくする。
図10において、電気車駆動制御装置の各制御部28に対して、唯一の速度予測部15が備わっている。情報については、速度予測部15と制御部28の間、情報伝送部29によって、情報が伝達されるものである。
このように構成されることによって、各制御部28での速度予測値を同一の値とすることができる。編成の速度は唯一のものであるのに、各制御部28の速度予測値に差異がある場合、それは、各制御部28が制御する電動機のトルクに差異が生じることになる。この結果、編成内でのトルク発生がアンバランスとなって、編成内の車両間の振動などを誘発し、乗り心地等を大きく損なう要因になる。第6の実施の形態のように、速度予測値をそろえて、各電動機で発生するトルクを均一にすることで、このような車両間の振動を抑制することが可能である。
第6の実施の形態の特徴は、各制御部28で用いる速度予測値をそろえることにある。第6の実施の形態では、編成内に唯一の速度予測部15を備え、各制御部28がその値を用いることで、各制御部28で用いる速度予測値をそろえることを実現した。単純には、各制御部28に独立した速度予測部15を備えた構成であっても、速度予測部15の構成やパラメータを同一に設定することで、ほぼ等価な設定を実現することが可能で、同様に車両間での発生トルクのアンバランスを抑制し、車両間の振動を抑制することが可能となる。
1…パンタグラフ、2…車輪、3…フィルタリアクトル、4…フィルタコンデンサ、5…インバータ、6…電流検出器、7…誘導電動機、8…電流指令演算部、9…電圧指令演算部、10…座標変換部、11…PWM回路、12…座標変換部、13…積分器、14…速度推定部、15…速度予測部、16…すべり周波数基準演算部、17…切替器、19…加算器、20…速度領域判定部、21…減算器、22…加速度予測演算部、23…積分器、24…応荷重イナーシャ変換部、25…イナーシャ補正部、26…加速度記憶部、27…加速度演算部、28…制御部、29…情報伝送部
Claims (7)
- インバータで駆動される電動機の印加電圧や電流に基づき前記電動機の回転数を推定し速度推定値を求める速度推定部と、前記電動機のトルク指令に加え、少なくとも、乗車率、勾配、駆動電動機の数の一つに基づき前記電動機の速度を予測し速度推定値を求める速度予測部と、前記電動機の回転数が零速度の近傍では前記速度予測値を用いてベクトル制御を行い、それ以外の領域では前記速度推定値を用いてベクトル制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする電気車駆動制御装置。
- 前記電気車は鉄道車両であり、前記勾配の情報を、自動列車制御装置、自動列車停止装置、ナビゲーション装置から取得することを特徴とする請求項1記載の電気車駆動制御装置。
- 前記電気車は電気自動車であり、前記勾配の情報を、カーナビゲーション装置から取得することを特徴とする請求項1記載の電気車駆動制御装置。
- インバータで駆動される電動機の印加電圧や電流に基づき前記電動機の回転数を推定し速度推定値を求める速度推定部と、前記電動機のトルク指令に加え、車両の運用上、想定し得る最小の加速度に基づいて前記電動機の速度を予測し速度予測値を求める速度予測部と、前記電動機の回転数が零速度の近傍では前記速度予測値を用いてベクトル制御を行い、それ以外の領域では前記速度推定値を用いてベクトル制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする電気車駆動制御装置。
- インバータで駆動される電動機の回転数の加速度を演算する加速度演算部と、前記電動機の回転数が零速度近傍でない領域から零速度近傍の領域へと移行した直後に前記加速度演算部で演算した加速度演算値を記憶する加速度記憶部と、前記電動機の印加電圧や電流に基づき前記電動機の回転数を推定する速度推定部と、トルク指令または前記加速度記憶部に記憶した加速度に基づいて速度予測値を算出する速度予測部と、前記電動機の回転数が零速度の近傍では前記速度予測値を用いてベクトル制御を行い、それ以外の領域では前記速度推定値を用いてベクトル制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする電気車駆動制御装置。
- 同一の車両ないしは編成にインバータで駆動される複数の電動機が備わり前記電動機の印加電圧や電流に基づき前記電動機の回転数を推定し速度推定値を求める速度推定部と、前記電動機のトルク指令に加え、車両の運用上、想定し得る最小の加速度に基づいて前記電動機の速度を予測し速度予測値を求める速度予測部と、前記電動機の回転数が零速度の近傍では前記速度予測値を用いてベクトル制御を行い、それ以外の領域では前記速度推定値を用いてベクトル制御を行い、その際に前記電動機を駆動する各々のインバータのインバータ周波数を等しくする制御部とを備えたことを特徴とする電気車駆動制御装置。
- 前記電動機を駆動制御する各々の制御部の速度予測値を等しくして、各々のインバータのインバータ周波数を等しくすることを特徴とする請求項6記載の電気車駆動制御装置。
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