JP2007103054A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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Kazuo Kamiya
一夫 上谷
Kaname Mizogami
要 溝上
Yoshihisa Oe
良尚 大江
Akira Shiokawa
塩川  晃
Hiroyuki Kado
博行 加道
Shunichi Iketa
俊一 井桁
Hideji Kawarasaki
秀司 河原崎
Kazuya Hasegawa
和也 長谷川
Masafumi Okawa
政文 大河
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Abstract

【課題】PDPのパネルの表示画面内において駆動による放電特性の場所依存性を抑え、表示画面内における表示特性の均一性を向上させる。
【解決手段】複数の表示電極および誘電体層が順次形成されて誘電体層が保護膜で被覆された第1の基板と、第1の基板との間に放電空間が形成されるように対向配置され、かつ表示電極と直交する方向に形成されたアドレス電極を有して放電空間を区画する隔壁間に蛍光体層を形成した第2の基板とを備え、放電空間に封入された放電ガスの放電により蛍光体層を励起発光させ、サブフィールド法を用いて階調表示を行い、かつ画像表示のために走査・維持分離型の駆動方式で画像データを順次書き込むプラズマディスプレイパネルにおいて、第1の基板に形成された誘電体層を被覆する保護膜の膜質が、表示領域内で分布を有して形成されている構成とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、大型のテレビジョンや広告、情報等の公衆表示用の表示デバイスとして利用が拡大してきているプラズマディスプレイパネル(以下、PDPともいう)に関し、特に高い表示品質を実現できる保護膜を用いたプラズマディスプレイパネルに関する。
一般的な交流面放電型PDPは、走査電極および維持電極により対をなす表示電極が複数形成された前面板と、その表示電極に直交する方向に複数のアドレス電極(データ電極ともいう)が形成された背面板とからなり、前面板と背面板はその間に放電空間を形成するように対向して配置されており、放電空間にはネオンおよびキセノンなどからなる放電ガスが封入されている。表示電極とアドレス電極とが直交交差する部分には背面板上にアドレス電極に平行して形成された隔壁により放電セルが表示用の画素(ピクセル)を構成している。
このPDPでは、走査・維持分離型と呼ばれる駆動方式を用いている。この駆動方式は、走査電極とアドレス電極との間に書き込みパルスを印加することにより、表示を行うべき放電セルにおいて書き込み放電を行い、続いて、走査電極と維持電極との間に交互に反転する周期的な維持パルスを印加することにより、書き込み放電を行った放電セルにおいて維持放電を行うものである。そして、この維持放電によって、放電セルの背面板上の隔壁間に形成された蛍光体層が発光することにより画像を表示することができる。
表示電極は誘電体層で覆われており、この誘電体層上には厚さ1μm程度の保護膜が形成されている。保護膜はイオン衝撃による耐スパッタリング性の高い物質を用いて形成されており、放電によるスパッタリングから誘電体層を保護している。また、このイオン衝撃により、保護膜それ自体から2次電子を放出し、駆動電圧を低下させる役割も持つ。一般的にこの保護膜は、酸化マグネシウム(MgO)が用いられており、真空成膜技術によって表示画面内において均一に形成されている(例えば、特許文献1参照)。
そして、保護膜の体積抵抗率や屈折率といった保護膜自体に備わる個別の特性とPDPのパネルの駆動方法とを関連づけて、PDPパネルの放電における電子放出の効率を向上させるための各種の提案がなされている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
特開平11−54045号公報 特開2003−317631号公報 特開2002−33053号公報
上述したPDPの駆動方法では、消去動作を行ってから、まず全てのセルにおいて同一タイミングでセットアップして各セル内の状態を均一にしてから、画像データを走査ラインに順次走査して書き込み放電を生じさせ、さらにその後、全てのセルにおいて同一タイミングで維持放電を開始する。そのため、セットアップから書き込み放電まで時間は走査の順が後に向かうのにしたがって長くなり、書き込み放電から維持放電までの時間は逆に短くなる。すなわち、書き込みパルス印加時および維持パルス印加時の放電特性が表示画面内で異なり、駆動電圧のマージンを狭めるという問題があった。
ところで、放電のしやすさは、セル内の励起粒子数に依存し、励起粒子数が多いほど放電が発生しやすい。セル内の励起粒子は、前面板に形成された誘電体層上の保護膜からの電子放出が支配的である。換言すると、放電特性は保護膜の電子放出特性と密接な関係がある。しかしながら、これまで交流面放電型のPDPでは保護膜の電子放出特性まで考慮して、保護膜の構成やPDPのパネルの駆動方法を設計しておらず、放電特性が完全といえるレベルには達していないまま利用されていた。
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであり、PDPのパネルの表示画面内において駆動による放電特性の場所依存性を抑え、表示画面内における表示特性の均一性を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するために本発明のPDPは、維持電極および走査電極からなる複数の表示電極および誘電体層が順次形成されるとともに誘電体層が保護膜で被覆された第1の基板と、第1の基板との間に放電空間が形成されるように対向配置されかつ表示電極と直交する方向に形成されたアドレス電極を有するとともに放電空間を区画する隔壁間に蛍光体層を形成した第2の基板とを備え、放電空間に放電ガスを封入することにより構成され、かつ走査電極とアドレス電極に電圧を印加して画像データを順次書き込む書き込みステップと走査電極と維持電極との間に電圧を印加して維持放電を行う維持放電ステップとにより表示を行うプラズマディスプレイパネルにおいて、保護膜は、表示領域内において膜質に傾斜を持たせて形成したことを特徴とする。
また、保護膜は、書き込みステップにおける書き込み順に対応するように、表示領域内において膜質に傾斜を持たせて形成したことを特徴とする。
また、保護膜の膜質は、保護膜の(111)面の結晶性、保護膜の屈折率、保護膜の結晶粒径、保護膜の充填密度、保護膜の単位重量あたりの表面積、保護膜の体積抵抗率および保護膜の膜厚のうちの少なくとも1種類であることを特徴とし、書き込み順にしたがって、保護膜の(111)面の結晶性が強くなるように傾斜を持って形成する構成、書き込み順にしたがって保護膜の屈折率が高くなるように傾斜を持って形成する構成、書き込み順にしたがって保護膜の結晶粒径が大きくなるように傾斜を持って形成する構成、書き込み順にしたがって保護膜の充填密度が高くなるように傾斜を持って形成する構成、書き込み順にしたがって保護膜の単位重量あたりの表面積が大きくなるように傾斜を持って形成する構成、書き込み順にしたがって保護膜の体積抵抗率が大きくなるように傾斜を持って形成する構成、書き込み順にしたがって保護膜の膜厚が厚くなるように傾斜を持って形成する構成を用いればよい。
さらに、保護膜は酸化マグネシウムを主成分とする金属酸化物により構成したり、保護膜を物理気相法、化学気相法、ゾルゲル法、印刷法、塗布法、含浸法のいずれかを用いた方法により形成すればよい。
これらの構成により、PDPの前面板の保護膜は、書き込みの先頭行から最終行に向かって当該保護膜の膜質に傾斜を持たせて形成することができ、表示画面内の放電特性を均一化することが可能になって、PDPのパネルの面内の放電特性が均一で、表示品質に優れたPDPを提供することができる。
本発明によれば、交流面放電型のPDPの誘電体層を覆う保護膜の膜質について、書き込みの先頭行から最終行に向かって保護膜の膜質に傾斜を持たせて形成しているので、表示画面全体における書き込み放電特性の均一化をはかることができ、このような保護膜を有するPDPのパネルにより、表示画面内の放電特性が均一で、表示品質に優れたPDP表示装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態)
本発明の実施の形態におけるPDPについて、図1、図2、図3、図4、図5を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるPDPの概略構造を示す分解斜視図、図2は本発明の実施の形態におけるPDPを駆動するためのタイミングチャート、図3は本発明の実施の形態におけるPDPの保護膜形成用の真空蒸着装置の模式図、図4は本発明の実施の形態におけるPDPの保護膜の膜厚分布を示すグラフ、図5は本発明の実施の形態におけるPDPの放電遅れ時間分布を示すグラフである。
図1において、交流面放電型PDPは、各電極にパルス状の電圧を印加することで放電を放電空間30内で生じさせ、放電に伴って背面板PA2側で、例えば赤、緑、青色蛍光体を励起発させた各色の可視光を、前面板PA1の主表面から透過させる構成を有している。
前面板PA1は、走査電極12aと維持電極12bとからなる表示電極12がストライプ状に複数対配設(図では便宜上1対を伸ばして記載してある)された前面ガラス基板11上の一方の表面を覆うように低融点ガラスからなる誘電体層13が形成されている。さらに、この誘電体層13を覆うように保護膜14が形成されている。この保護膜14については、後述して詳しく説明する。
背面板PA2には、アドレス電極17が背面ガラス基板16上にあり、走査電極12a、維持電極12bからなる表示電極12と直交するようにストライプ状に複数配されている。また電極保護層18は、アドレス電極17を覆うように形成され、アドレス電極17を保護し、可視光を前面パネル側に反射する作用を担う。この電極保護層18上にアドレス電極17と同じ方向に向けて伸び、アドレス電極17を挟むように隔壁19が立設され、隔壁19間に蛍光体層20が配されている。また、表示のコントラストを向上させるために、ブラックマトリックスとなる遮光層15を前面ガラス基板11の走査電極12aと維持電極12bの間に形成することがある。
前面板PA1と背面板PA2との間に形成される放電ガス空間には、放電ガスとして、所定の圧力および配合量とされたネオン(Ne)、キセノン(Xe)等の希ガスが封入される。そして、走査電極12aと維持電極12bからなる表示電極12、アドレス電極17に所定の駆動電圧が印加されると、放電ガスのプラズマ放電に伴う蛍光体層20等の発光により、前面板PA1より外部に可視光が放射され、各画素による表示が行われる。
次に、交流面放電型PDPの駆動について少し詳しく説明するが、本発明におけるPDPの駆動は、既に背景技術で説明したように、サブフィールド法を用いて階調表示を行い、かつ画像表示のために走査・維持分離型の駆動方式を有し、画像データを順次書き込む方式である。
図2において、セットアップ期間41と書き込みを行う書き込み期間(書き込みステップ)42と表示放電を維持するための維持期間(維持放電ステップ)43と消去動作を行うイレース期間44から構成され、これらの放電周期を繰り返し実行することにより、PDPに所望の映像を表示させることができる。
セットアップ期間41では表示電極12を構成する走査電極12a、維持電極12bの内、走査電極12aにアドレス電極17および維持電極12bに比べて高い電圧を印加し、放電セル内の放電用の希ガスを放電させる。希ガスの放電によって発生した電荷はアドレス電極17、走査電極12aおよび維持電極12b間の電位差を打ち消すようにセルの壁面に蓄積されるので、走査電極12a付近の保護膜14表面には負の電荷が壁電荷として蓄積され、またアドレス電極17付近の蛍光体層20表面および維持電極12b付近の保護膜14表面には正の電荷が壁電荷として蓄積される。この壁電荷により走査電極12aとアドレス電極17間、走査電極12aと維持電極12b間には所定の値の壁電位が生じる。
書き込み期間42ではセルを点灯させる場合には走査電極12aにアドレス電極17および維持電極12bに比べ低い電圧を印加させることにより、つまり走査電極12aとアドレス電極17には壁電位と同方向に電圧を印加させるとともに走査電極12aと維持電極12b間に壁電位と同方向に電圧を印加させることにより書き込み放電を生じさせる。これにより蛍光体層20の表面、保護膜14の表面には負の電荷が蓄積され走査電極12a付近の保護膜14の表面には正の電荷が壁電荷として蓄積され、維持電極12bと走査電極12a間には所定の値の壁電位が生じる。
維持期間43では走査電極12aに維持電極12bに比べ高い電圧を印加することにより、すなわち、維持電極12bと走査電極12a間に壁電位と同方向に電圧を印加することにより維持放電を生じさせる。これによりセル点灯を開始させることができる。そして、維持電極12bと走査電極12aが交互に極性が入れ替わるようにパルスを印加することにより断続的にパルス発光させることができる。
イレース期間44では、幅の狭い消去パルスを維持電極12bに印加することによって不完全な放電が発生して壁電荷を消滅させ、維持放電を終了させる。
以上のシーケンスを繰り返すことで、各セルに所望の画像を表示させることができる。
上述したシーケンスについて、セットアップ期間41および維持期間43は全セルにおいて同一タイミングで行われるが、書き込み期間42においては走査ラインの先頭行から順に走査を行って書き込み放電を生じさせる。そのため、セットアップから書き込み放電まで時間は走査順に長くなり、書き込み放電から維持放電までの時間は短くなる。このために、以下のような現象が生じることになる。
セットアップ期間41から書き込み期間42までの時間が長くなるにしたがって、セットアップ期間41で形成された壁電荷が減少する。また、書き込み期間42から維持期間43までの時間に関しては、保護膜14からの電子放出により壁電荷が消失される。すなわち、書き込み順が後の領域では、より多くの電子が必要になるので、それぞれの領域では保護膜14の電子放出効率を上げるように形成すればよい。
ここで、背景技術で例示した特許文献1、特許文献2と対比して、本発明の実施の形態におけるPDPの保護膜14の膜質と電子放出効率との関係について述べる。セットアップ期間41の書き込み時の放電特性について、走査電極12aとアドレス電極17間に電圧を印加してから書き込み放電が生じるまでの放電遅れ時間に着目すると、放電遅れは誘電体層13上の保護膜14の電子放出性能に強く依存する。保護膜14の電子放出特性は、保護膜14の膜質および膜厚に依存するとされている。例えば、特許文献2によれば、保護膜14の屈折率が高いほど放電遅れ時間が短くなるとする例を示し、また、特許文献3では、体積抵抗率が上昇するにしたがって放電遅れ時間が短くなるとする例を示している。しかしながら、上述した特許文献では、保護膜の特性について厚さ方向で変化することを示唆しているところはあるが、2次元的に特性を積極的に変化させるという概念は見い出せない。
一方、本発明の実施の形態におけるPDPの保護膜14は、当該保護膜を前面板PA1に形成された誘電体層13上に形成するにあたり、書き込み順にしたがって保護膜の特性、膜厚などの膜質に傾斜を持たせることにより、表示のための駆動による影響を相殺することができるとするものである。それ故、保護膜の特性について、駆動のタイミングと関連づけてPDPのパネルの表示領域の面内で保護膜の特性を2次元的に変化させているところに特徴がある。このような保護膜が設けられることにより、駆動のタイミングと関連させて表示画面内の書き込み特性を均一にでき、表示品質の優れたPDPを実現できるところに本発明の意義がある。
本発明の実施の形態におけるPDPのMgOの保護膜14は物理気相法により形成される。物理気相法とは、低圧力下で固体原料を加熱し、蒸発もしくは昇華させることにより、原料の薄膜を対象とする物体上に形成する方法である。物理気相法には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などがある。このうち、図3に示した真空蒸着装置50を用いて、一般的なMgO保護膜形成方法の原理を説明する。
図3において、真空蒸着装置50は真空ポンプ51が接続された密閉容器52内に、主にMgOの蒸発部となるハ−ス54およびと基板保持部となるトレイ57からなる機器が設置されている。MgO等の金属酸化物のペレットからなる保護膜原料53は、水冷されたハース54の蒸発源ポッド53a中に供給され、酸素雰囲気下で電子銃55a、55bから放出された熱電子ビーム56を照射することにより、加熱・蒸発させる。蒸発したMgOは、基板ヒータ58により所定温度まで加熱された基板である前面板PA1上に付着する。ここで、前面板PA1は基板支持のための開口部57aを有するトレイ57に乗せられ、蒸発したMgOが開口部57aを通過し、所望のMgOの保護膜14が形成される。
保護膜14を形成するにあたり、成膜時の酸素ガスの供給が必要である。酸素ガスを真空蒸着装置50の真空成膜室(真空チャンバ)となる密閉容器52内に供給することにより、保護膜14を目標の膜厚となるように制御する。電子ビーム照射により膜原料であるMgO等の金属酸化物を蒸発させると、膜原料から酸素原子が脱離しやすいので、酸素ガスの供給なしで形成した膜は酸素欠損状態になりやすい。そのため、成長表面には常に酸素ガスを供給する必要がある。このように、酸素ガスを供給しつつ成膜を行うことで、結果的に可視光に対する透明性を高めることができる。
また、保護膜14の膜質および膜厚は、基板である前面板PA1の加熱温度、酸素ガス圧力、蒸着速度などの各種成膜パラメータによって任意に制御することができる。PDPにおいて保護膜14として用いるためには、基板温度を200℃以上、酸素ガス圧力を10−2Pa台にすることが好ましい。成膜パラメータを成膜対象となる前面板PA1について傾斜分布を持たせるように制御することにより、保護膜14の膜質に傾斜を持たせて形成することが可能になる。
(実施例)
本発明の実施の形態におけるPDPを構成する前面板PA1の誘電体層13を覆う保護膜14を図3に示す真空蒸着装置50を用いて電子ビーム蒸着法により形成した例を説明する。電子ビーム蒸着を用いる成膜法は上述した物理気相法と呼ばれる方法に属し、密閉容器52内で電子銃55a、55bから放出された電子ビーム56の照射によってMgOペレットからなる保護膜原料53を加熱して蒸発させ、前面板PA1の誘電体層13上に堆積させる。
成膜にあたっては、酸素ガスを真空蒸着装置50の密閉容器52内に4.0×10−2Paの圧力になるまで導入し、前面板PA1は基板ヒータ58により250℃まで加熱している。そして、ここで使用した電子ビームを用いる真空蒸着装置50は、2基の電子銃55a、55bを具備しており、電子銃55a、55bのエミッション電流を個別に制御することにより、前面板PA1の誘電体層13上において、一方向に傾斜した膜厚分布を持つMgOの保護膜14を形成することが可能になっている。
具体的には、一方向走査型で駆動するPDPの前面板PA1を用い、左側の電子銃55aのエミッション電流を1nm/sに、そして右側の電子銃55bのエミッション電流を0.5nm/sに設定することで、MgOの保護膜14の膜厚に分布を持たせている。このとき、書き込み順が左側から右側になるように前面板PA1を配置することが望ましい。
また、上述した実施例と同じ前面板PA1を用い、同じ真空蒸着装置50において、電子銃55a、55bのエミッション電流を2基とも1nm/sに設定するほかは、上述した実施例と同じ条件で前面板PA1の誘電体層13上において、膜厚分布が均一になるように保護膜14を形成し、比較例用試料とした。
上述した実施例および比較例でPDPの前面板PA1に試作、形成したMgOの保護膜14の特性の差を説明する。最初に、保護膜14の膜厚分布について述べる。図4には前面板PA1の中心線上の膜厚分布を測定した結果が示されている。図4(a)は上述した実施例に基づいてPDPの前面板PA1に形成した保護膜14の膜厚分布であるが、図中矢印で書き込み順とした表示画面の上方から下方に行くにしたがって、膜厚が厚くなっている。一方、比較例におけるPDPの前面板PA1に形成した保護膜14の膜厚分布は、図4(b)に示すように、上下の端部を除き表示画面内においてほぼ均一の厚さに形成されている。
次に、実施例および比較例でPDPの前面板PA1に試作、形成したMgOの保護膜14の放電遅れ時間について述べる。上述した実施例および比較例に基づきMgOの保護膜14が形成、試作された前面板PA1を用いて、それぞれPDPのパネルを作成し、個別に放電遅れ時間を測定して、図5に示す結果により比較した。図5(a)および(b)はそれぞれ実施例および比較例に基づいて保護膜14を形成した前面板PA1を用いたPDPのパネルの表示画面の中心線上における放電遅れ時間の分布を示している。ここで、放電遅れ時間は書き込み(アドレス)期間42に走査電極12aとアドレス電極17間に電圧を印加してから放電が起こるまでの時間について、その放電発光の100回分を平均化して求めた。図5によると、実施例に基づき形成試作した膜厚分布に傾斜を持たせた保護膜14は、図中矢印で書き込み順として示した表示画面の上下方向における放電遅れ時間の分布の方が、膜厚分布を均一に形成した比較例で示した保護膜14よりも均一であることが明らかになった。
以上説明した結果から、実施例で述べた方法に基づいて形成した保護膜は、表示画面の上方から下方に行くにしたがって膜厚が厚くなるように傾斜した分布を持たせて保護膜を形成しているが、放電遅れ時間の分布は均一であることが確認できた。すなわち、実施例で述べた方法に基づいて形成した保護膜にあっては、表示画面内において駆動による書き込み特性を相殺するような膜質(膜厚)分布を持たせることにより、表示画面内の書き込み特性を均一にでき、表示品質の優れたPDPが実現できる。
なお、上述した実施例では、保護膜14の膜厚に傾斜を持たせた場合について述べたが、保護膜成膜時の各成膜パラメータを調整することで、ほかの膜質を制御することもできる。その他の膜質の構成としては、書き込み順にしたがって、保護膜の(111)面の結晶性が強くなるように傾斜を持って形成する構成、書き込み順にしたがって保護膜の屈折率が高くなるように傾斜を持って形成する構成、書き込み順にしたがって保護膜の結晶粒径が大きくなるように傾斜を持って形成する構成、書き込み順にしたがって保護膜の充填密度が高くなるように傾斜を持って形成する構成、書き込み順にしたがって保護膜の単位重量あたりの表面積が大きくなるように傾斜を持って形成する構成、書き込み順にしたがって保護膜の体積抵抗率が大きくなるように傾斜を持って形成する構成を用いることができ、これらの構成によっても、放電遅れ時間等の表示画面内の書き込み特性を均一にすることができる。
また、上述した実施例では、一方向走査型で駆動するPDPを例に用いて説明したが、両方向走査型PDPやインターレース表示型PDPにおいても、膜質を均一ではなく傾斜させるなど分布を持たせて保護膜14を形成することにより、PDPの放電特性や表示特性を表示領域内で均一化する効果を容易に得ることができる。
また、上述した実施例では、保護膜の形成にあたって、物理気相法を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、化学気相法、ゾルゲル法、印刷法、塗布法、含浸法といったほかの方法により保護膜を形成することもできる。
以上説明したように、本発明の実施の形態におけるPDPは、その誘電体層を覆う保護膜の膜質および膜厚について、書き込みの先頭行から最終行に向かって保護膜の膜質や膜厚に傾斜を持たせて形成しているので、表示画面全体における書き込み放電特性の均一化をはかることができ、このような保護膜を有するPDPにより、表示画面内の放電特性が均一で、表示品質に優れたPDPを実現することができる。
本発明は、PDPの保護膜の膜質に分布を持たせることによりパネルの表示画面内において駆動による放電特性の場所依存性を抑え、表示画面内における表示特性の均一性を向上させているので、特に大型のPDP表示装置へ適用して効果が大きい。
本発明の実施の形態におけるPDPの概略構造を示す分解斜視図 本発明の実施の形態におけるPDPを駆動するためのタイミングチャート 本発明の実施の形態におけるPDPの保護膜形成用の真空蒸着装置の模式図 本発明の実施の形態におけるPDPの保護膜の膜厚分布を示すグラフ 本発明の実施の形態におけるPDPの放電遅れ時間分布を示すグラフ
符号の説明
PA1 前面板
PA2 背面板
11 前面ガラス基板
12 表示電極
12a 走査電極
12b 維持電極
13 誘電体層
14 保護膜
15 遮光層
16 背面ガラス基板
17 アドレス電極
18 電極保護層
19 隔壁
20 蛍光体層
30 放電空間
41 セットアップ期間
42 書き込み(アドレス)期間
43 維持(サステイン)期間
44 イレース期間
50 真空蒸着装置
51 真空ポンプ
52 密閉容器
53 保護膜原料
53a 蒸発源ポッド
54 ハース
55a,55b 電子銃
56 電子ビーム
57 トレイ
57a 開口部
58 基板ヒータ

Claims (5)

  1. 維持電極および走査電極からなる複数の表示電極および誘電体層が順次形成されるとともに前記誘電体層が保護膜で被覆された第1の基板と、前記第1の基板との間に放電空間が形成されるように対向配置されかつ前記表示電極と直交する方向に形成されたアドレス電極を有するとともに前記放電空間を区画する隔壁間に蛍光体層を形成した第2の基板とを備え、前記放電空間に放電ガスを封入することにより構成され、かつ前記走査電極とアドレス電極に電圧を印加して画像データを順次書き込む書き込みステップと前記走査電極と維持電極との間に電圧を印加して維持放電を行う維持放電ステップとにより表示を行うプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記保護膜は、表示領域内において膜質に傾斜を持たせて形成したことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記保護膜は、書き込みステップにおける書き込み順に対応するように、表示領域内において膜質に傾斜を持たせて形成したことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記保護膜の膜質は、保護膜の(111)面の結晶性、保護膜の屈折率、保護膜の結晶粒径、保護膜の充填密度、保護膜の単位重量あたりの表面積、保護膜の体積抵抗率および保護膜の膜厚のうちの少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 前記保護膜は、酸化マグネシウムを主成分とする金属酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 前記保護膜は、物理気相法、化学気相法、ゾルゲル法、印刷法、塗布法、含浸法のいずれかを用いた方法により形成されたものである請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
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