JP2007101685A - 感光性樹脂組成物及び物品 - Google Patents
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Abstract
Description
さらには、解像性に優れ、低コストで、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体の構造上適用可能な選択肢の範囲が広い感光性樹脂組成物に関し、特に、電磁波によるパターニング工程を経て形成される製品又は部材の材料(例えば、電子部品、光学製品、光学部品の成形材料、層形成材料又は接着剤など)として好適に利用することが出来るポリイミド又はポリベンゾオキサゾールの前駆体樹脂組成物、及び、当該樹脂組成物を用いて作製した物品に関するものである。
また、近年、ポリイミドの有する課題を解決する為に、類似の加工工程を適用され、低吸水性で低誘電率を示すポリベンゾオキサゾールや、基板との密着性に優れるポリベンゾイミダゾール等も精力的に研究されている。
その一つがポリイミド前駆体の状態で露光と現像によるパターニングを行い、その後、熱処理等によりイミド化を行ってポリイミドのパターンを得る方法である。もう一つは、それ自体は感光性を持たないポリイミド自身の上に有機物や金属等でレジストパターンを形成し、その開口部をヒドラジン、無機アルカリ、有機アルカリ等の溶液や有機極性溶媒、またはそれらの混合物で処理して分解又は溶出させることにより、パターンを得る方法である。
前者は、溶媒溶解性に優れる前駆体を用いることで加工特性に優れ、後者は、高温の熱処理等が必要とされるイミド化のプロセスをパターン形成後に行う必要が無いという利点があり、それぞれの用途に応じて使い分けられている。
前駆体を利用するタイプのポリイミドをパターニングする手段としても、種々の手法が提案されている。その代表的な手法は、以下の2つに大別される。
(1) ポリイミド前駆体自身にはパターニング能力がなく、感光性樹脂層をその表面に形成し、その感光性樹脂のパターンによってポリイミド前駆体がパターニングされる手法。
(2) ポリイミド前駆体自身に感光性部位を結合や配位させて導入し、その作用によりパターン形成する手法、または、ポリイミド前駆体に感光性成分を混合し樹脂組成物とし、その感光性成分の作用でパターン形成する手法。さらには、感光性部位の導入と感光性成分の混合の両方を組み合わせた手法。
(a) ポリイミド前駆体のポリアミック酸に、電磁波の露光前は溶解抑止剤として作用し、露光後は、カルボン酸を生成し溶解促進剤となる、ナフトキノンジアジド誘導体を混合し、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法;
(b) ポリイミド前駆体のポリアミック酸に、電磁波の露光によりイミド化の触媒作用を示す塩基性物質となるジヒドロピリジン誘導体等の化合物を混合し、露光後に、適度な温度で加熱することにより、露光部に発生した塩基性物質の作用で露光部は部分的にイミド化されるため、現像液に対する溶解性が低下し、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、完全にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法;
(d) ポリイミド前駆体のポリアミック酸と塩基性部位を有するラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する骨格を混合することで、両者をイオン結合させ、そこに光ラジカル発生剤を混合することで露光部に架橋構造を形成して現像液に対する溶解性を低下させ、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法;
及び、
(e) ポリイミド前駆体のポリアミック酸に、光酸(または光塩基)発生剤と架橋剤を混合し、露光後、加熱することで露光によって発生した酸(または塩基)の作用によって架橋を進行させ、現像液に対する溶解性を低下させることで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくしてパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法、などの手法が提案されている。
一方、(2)のグループに属する手法では、ポリイミド前駆体(または、ポリイミド前駆体樹脂組成物)自身がパターン形成能を有するため、(1)のグループで用いたようなレジスト層が必要なく、プロセスが大幅に簡便になるという特徴があるが、ポリイミド前駆体自身が露光波長を十分に透過しないと、感光性成分に電磁波が届かず、感度の低下やパターンが形成できない等の問題が発生するため、露光波長に対し透過率の高い骨格を選ぶ必要がある。
露光部と未露光部の間で溶解性のコントラストが大きければ大きいほど現像後の残膜率が大きく、更に形状も良好なパターンを得ることができる為、従来、現像液の濃度や光酸(又は塩基)発生剤の量を調整したり、溶解促進剤の添加が必要であった。
光脱炭酸をするカルボン酸とアミンとの塩は、電磁波を照射すると光脱炭酸によって塩を状態を維持できなくなり、アミン塩基を発生させるので、アミン塩基の作用によって最終生成物に変化する高分子前駆体、例えばポリイミド前駆体等に対して、非常に有効な感光性成分として作用する。
また、高分子前駆体自体は塩基の作用によって最終的に最終生成物に変化するものでなくても、感光性樹脂組成物全体としてみたときに塩基の作用によって目的とする反応が進行する反応系を含む組成物であれば、光脱炭酸をするカルボン酸とアミンとの塩は、感光性成分として有効である。
また、本発明によれば、簡便な手法で、且つ、安価な市販の化合物を用いて光塩基発生剤を調整し用いることができる。特に、前記式(3)で表されるケトプロフェン誘導体に属する化合物は安価に入手できることから、コストパフォーマンスにも優れ、感光性樹脂組成物としての価格も抑えられる。
またさらに、本発明に係る感光性樹脂組成物は、高分子前駆体として、種々の用途へ応用展開されているポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体を適用することで、より幅広い用途に適用可能な感光性ポリイミド樹脂組成物又は感光性ポリベンゾオキサゾール樹脂組成物として利用できる。
本発明によれば、従来、露光部と未露光部の間で溶解性のコントラストを取りにくかったポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体についても、溶解阻害剤、溶解抑制剤の適用なしで良好なパターン形状を得ることができる。
特に、本発明に係る感光性樹脂組成物は、主にパターン形成材料(レジスト)として用いられ、それによって形成されたパターンは、永久膜として耐熱性や絶縁性を付与する成分として機能し、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材、又は建築材料を形成するのに適している。
加えて、上記高分子前駆体樹脂組成物の1形態である感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物、及び感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂組成物は、広範な構造のポリイミド又はポリベンゾオキサゾールの前駆体を選択できる為、それによって得られる硬化物は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等のポリイミド及びポリベンゾオキサゾールが特徴的に有する機能を付与することが可能であることから、ポリイミド及びポリベンゾオキサゾールが適用されている公知の全ての部材用のフィルム、塗膜又は3次元構造物として好適である。
なお、本発明において(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルであることを意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれであっても良いことを意味する。
また、本発明において、カルボン酸とアミンとの塩の脱炭酸反応を引き起こす電磁波とは、脱炭酸反応を引き起こすことが可能なものであればよく、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
ケトプロフェンとアミンの塩と、ポリイミド前駆体とを含有する感光性樹脂組成物を用いてパターンを得るには、パターンを残したい場所に電磁波を照射した後、アミンが存在する場所ではイミド化が進行し、アミンの存在していない場所ではイミド化が進行しない温度で加熱を行う。その結果、アミンが存在する場所、すなわち、電磁波を照射した場所のみイミド化が進行し溶解性が低下する為、所定の現像液(有機溶媒やアルカリ水溶液等)で現像することで、パターンを得ることができる。その後、目的応じて、更に加熱硬化を行って、ポリイミドパターンとすることができる。
従って、この塩は、イミド化の促進だけでなく、さまざまな高分子前駆体又は樹脂組成物に対して、有効な感光性成分として作用する。
本発明は、簡便な手法で、しかも安価な市販の化合物を用いて光塩基発生剤を調製し、用いることで、より簡便に、そして安価に感光性樹脂組成物を調製することができる。また、適用できる高分子前駆体の選択範囲が広く、その感光性高分子前駆体樹脂組成物とその環化物の特性を生かすことが出来る分野において広く応用される。特にその代表例である感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物とそのイミド化物の特性を生かすことが出来る分野において好適に応用される。
置換基R1〜R5として芳香族環上に導入し得る1価の有機基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基等が挙げられる。
また、他の1価の有機基としては、炭化水素骨格を有する基が挙げられ、それらは、ヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。そのような炭化水素骨格を有する基としては、例えば、飽和又は不飽和のアルキルエーテル基、アリールエーテル基、不飽和アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、又は、フェニル、ナフチル等の芳香族基、アリル基、さらには、飽和又は不飽和の炭化水素骨格上にハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基等のヘテロ原子又はヘテロ原子を含有する基が結合してなるさまざまな基が挙げられる。
また、他の1価の有機基としては、炭化水素骨格を有する基が挙げられ、それらは、ヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。そのような炭化水素骨格を有する基としては、例えば、飽和又は不飽和のアルキルエーテル基、アリールエーテル基、不飽和アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、又は、フェニル、ナフチル等の芳香族基、アリル基、さらには、飽和又は不飽和の炭化水素骨格上にハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基等のヘテロ原子又はヘテロ原子を含有する基が結合してなるさまざまな基が挙げられる。
R11〜R15は互いに同一であっても異なっていても良い。R11〜R15のうちの2つ又は3つ以上の基は、互いに結合して環状構造を形成していても良い。
炭化水素骨格を有する基に含まれるヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合など、また置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基、不飽和アルキルエーテル基、アリールエーテル基、不飽和アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基等が挙げられるが特に限定されない。
炭化水素骨格を有する基に含まれるヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合など、また置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基、不飽和アルキルエーテル基、アリールエーテル基、不飽和アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基等が挙げられるが特に限定されない。
アミンとしては、n−ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミンやオクチルアミンなどの第一級アミン類、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミンのような第2級アミン類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンのような脂肪族第3級アミン、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン、およびイソキノリン、ピリジン、コリジン、ベータピコリンなどの複素環第3級アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルキレンジアミン類、ジエチレントリアミンなどのトリアミン、その他テトラミン化合物、ベンジルアミン挙げられる。
本発明は、電磁波の吸収により脱炭酸反応をする芳香族成分含有カルボン酸のカルボキシル基とアミノ基が等モルになるように組み合わせ塩として樹脂組成物に適用することを趣旨としており、これに反しない範囲で、任意の数のカルボキシル基を有する化合物と任意の数のアミノ基を有する化合物を組み合わせて用いることができる。
さらに、それらは単一でなくてもよく、マトリックスへの溶解性などの観点により、複数の塩、更には複数の芳香族成分含有カルボン酸やアミンを組み合わせて用いることができる。
特に、その芳香族環上の置換基R1〜R5は、吸収波長を調整する観点から比較的自由に置換基の種類を選択して導入することが可能である。
Products(A.I.Scott 1964)や、有機化合物のスペクトルによる同定法 第5版(R.M.Silverstein 1993)に記載の表を参考にすることができる。
本発明においては、塩基の作用によって最終的に最終生成物に変化する高分子前駆体が典型的に用いられる。ただし、高分子前駆体は塩基の作用によって最終的に最終生成物に変化するものでなくても使用可能である。例えば、感光性樹脂組成物に含まれる高分子前駆体以外の成分が塩基の作用を受けて機能を発揮する場合などでは、高分子前駆体自体は塩基の作用によって最終的に最終生成物に変化するものでなくても、感光性樹脂組成物全体としてみたときに塩基の作用によって目的とする反応が進行する。
ここで、全芳香族ポリイミド前駆体とは、芳香族酸成分と芳香族アミン成分の共重合、又は、芳香族酸/アミノ成分の重合により得られるポリイミド前駆体及びその誘導体である。また、芳香族酸成分とは、ポリイミド骨格を形成する4つの酸基が全て芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族アミン成分とは、ポリイミド骨格を形成する2つのアミノ基が両方とも芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族酸/アミノ成分とはポリイミド骨格を形成する酸基とアミノ基がいずれも芳香族環上に置換している化合物である。ただし、後述する原料の具体例から明らかなように、全ての酸基又はアミノ基が同じ芳香環上に存在する必要はない。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接又は置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられ、例えば、下記式(5)により表されるものがある。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
また、最終的に得られるポリイミドを光導波路、光回路部品として用いる場合には、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると1μm以上の波長の電磁波に対しての透過率を向上させることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
芳香族成分含有カルボン酸とアミンの塩は、例えば、ケトプロフェンと1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを混合させることにより得ることができる。1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンと2倍モルのケトプロフェンに、40℃〜50℃に温めながら、徐々に脱水されたシクロヘキサンを加え、完全に溶解させる。それを、5℃に冷却すると析出してくる白い析出物を集め、目的物を得る。
このようにして合成されるポリイミド前駆体は、最終的に得られるポリイミドに耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドであることが特に好ましい。
露光波長に対してポリイミド前駆体の透過率が高いということは、それだけ、光のロスが少ないということであり、高感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
また、一般的な露光光源である高圧水銀灯を用いて露光を行う場合には、少なくとも436nm、405nm、365nmの波長の電磁波のうち1つの波長の電磁波に対する透過率が、厚み1μmのフィルムに成膜した時で好ましくは5%以上、さらに好ましくは15%、さらに好ましくは50%以上である。
波長が248nmであるKrFレーザーで露光する場合には、248nmにおける透過率が、厚み1μmのフィルムに成膜した時で好ましくは5%以上、さらに好ましくは15%、さらに好ましくは50%以上である。
ここで用いている分子量とは、ゲルパーミレーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
感光性樹脂組成物を溶解、分散又は希釈する溶剤としては各種の汎用溶剤を用いることが出来る。また、前駆体としてポリアミド酸を用いる場合には、ポリアミド酸の合成反応により得られた溶液をそのまま用い、そこに必要に応じて他の成分を混合しても良い。
光によって酸を発生させる化合物としては、1,2−ベンゾキノンジアジドあるいは1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する感光性ジアゾキノン化合物があり、米国特許明細書第2,772,972号、第2,797,213号、第3,669,658号に提案されている。
また、トリアジンやその誘導体、スルホン酸オキシムエステル化合物、スルホン酸ヨードニウム塩、スルホン酸スルフォニウム塩等、公知の光酸発生剤を用いることができる。
光によって塩基を発生させる化合物としては、例えば2,6−ジメチル−3,5−ジシアノ−4−(2’−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2’−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2’,4’−ジニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジンなどが例示できる。これらは、活性光線に曝されると分子構造が分子内転移を経てピリジン骨格を有する構造に変化して塩基性を呈するようになり、その後の130℃以上での加熱処理によって、ポリイミド前駆体のイミド化が進行し、溶解性が低下し、良好なネガ型パターン形成ができる。
また、その他の任意成分の配合割合は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜95重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、95重量%を超えると、最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。なお、感光性樹脂組成物の固形分とは溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
本発明に係る感光性樹脂組成物を何らかの支持体上に塗布し、電磁波等の光を用いて所定のパターン状に露光すると、露光部においてカルボン酸とアミンの塩の構成成分である光脱炭酸をするカルボン酸が脱炭酸反応を起こしてアミンが生成する。従って、カルボン酸とアミンの塩が光塩基発生剤として機能し、露光部のポリイミド前駆体をイミド化させる。
熱処理温度が60℃より低いと、イミド化の効率が悪く、現実的なプロセス条件で露光部、未露光部のイミド化率の差を創出することが難しくなる。一方、熱処理温度が180℃以上であると、芳香族成分含有カルボン酸とアミンの塩が熱分解したり、アミンが存在していない未露光部でもイミド化が進行したりして、露光部と未露光部の溶解性の差が出にくい。
この熱処理は、公知の方法であればどの方法でもよく、具体的に例示すると、空気、又は窒素雰囲気下の循環オーブン、ホットプレートによる加熱などが挙げられるが、特に限定されない。
例えば、本発明の感光性樹脂組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールの窒素中で測定した5%重量減少温度は、250℃以上が好ましく、300℃以上がさらに好ましい。特に、はんだリフローの工程を通るような電子部品等の用途に用いる場合は、5%重量減少温度が300℃以下であると、はんだリフローの工程で発生した分解ガスにより気泡等の不具合が発生する恐れがある。
ここで、5%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点(換言すればサンプル重量が初期の95%となった時点)の温度である。同様に10%重量減少温度とはサンプル重量が初期重量から10%減少した時点の温度である。
本発明の感光性樹脂組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールの寸法安定性の観点から、線熱膨張係数は60ppm以下が好ましく、40ppm以下がさらに好ましい。半導体素子等の製造プロセスにおいてシリコンウェハ上に膜を形成する場合には、密着性、基板のそりの観点から20ppm以下がさらに好ましい。
また、本発明によれば、簡便な手法で、且つ、安価な市販の化合物を用いて光塩基発生剤を調整し用いることができる。特に、前記式(3)で表されるケトプロフェン誘導体に属する化合物は安価に入手できることから、コストパフォーマンスにも優れ、感光性樹脂組成物としての価格も抑えられる。
ケトプロフェン(東京化成製) 5.09g(20mmol)と1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(関東化学製) 1.12g(10mmol)を500mlのなすフラスコへ入れ、50℃の湯浴で加熱しながら、完全にケトプロフェンと1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンが溶解するまでシクロヘキサンを徐々に投入した。その後、冷却すると析出してくる白色の沈殿を取り出し、下記式(6)で表される目的の感光性物質1を5.98g得た。
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル 1.20g(6mmol)を50mlの3つ口フラスコに投入し、5mlの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつピロメリット酸2無水物 1.31g(6mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で5時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテルによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、白色固体を2.11g(ポリイミド前駆体1)を得た。
上記ポリイミド前駆体1 400mgと、上記感光性物質1を200mgをNMP 3mlに溶解させ、本発明の感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物1)を得た。
上記ポリイミド前駆体1 400mgのみをNMP 3mlに溶解させて、比較例の感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物2)を得た。
(1)熱硬化温度
感光性樹脂組成物1(実施例1)及び感光性樹脂組成物2(比較例1)を、それぞれクロムめっきされたガラス板上に最終膜厚2μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で30分間乾燥させた。そこへ、手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−1200)でh線換算で、10J紫外線照射を行った。この塗膜を、日本分光製IR−610及び、アズワン社製 HOTPLATE EC-1200を用い、室温から5℃/minで加熱を350℃まで行いながら赤外分光スペクトルを測定した。
加熱にしたがって前駆体由来のスペクトルが消失し、加熱によって生成したポリイミド由来のピークが現れた。イミド化の進行状況を確認する為に、測定前の前駆体由来の1663cm−1のピーク面積を1としたときに、加熱過程でのピーク面積の減少量をプロットした。
その結果は図1に示した通りである。感光性樹脂組成物1は、感光性樹脂組成物2に比べて前駆体の減少がより低温で起こっており、両サンプルのイミド化率の差が175℃付近で最大となることがわかった。
感光性樹脂組成物1(実施例1)を、ガラス板上に最終膜厚2μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で30分間乾燥させた。そこへ、手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−1200)でh線換算で、10J紫外線照射を行い、その後、160℃のホットプレート上で30分加熱したのち、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド 2.38%溶液に浸漬した。その結果、露光部が現像液に溶解せず残存したパターンを得ることができた。さらに、それらのサンプルを350℃で1時間加熱しイミド化を行った。
この結果から、本発明の感光性樹脂組成物は、良好なパターンを形成することできることが明らかとなった。
Claims (14)
- 光脱炭酸をするカルボン酸とアミンとの塩と、高分子前駆体を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
- 前記高分子前駆体は、塩基の作用によって最終生成物に変化する請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記の光脱炭酸をするカルボン酸とアミンとの塩が、下記式(1)で表される芳香族成分含有カルボン酸とアミンとの塩である請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記光脱炭酸をするカルボン酸とアミンとの塩に用いられるアミンが3級アミンである請求項1乃至5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記光脱炭酸をするカルボン酸とアミンとの塩に用いられるアミンが脂肪族アミンである請求項1乃至6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記芳香族成分含有カルボン酸とアミンとの塩が、436nm、405nm、365nm、248nmの波長の電磁波のうち少なくとも1つの波長に吸収を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記高分子前駆体がアルカリ溶液に可溶である請求項1乃至8のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記高分子前駆体がポリイミド前駆体である請求項1乃至9のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記ポリイミド前駆体がポリアミック酸である請求項10に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記高分子前駆体がポリベンゾオキサゾール前駆体である請求項1乃至9のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 塗料又は印刷インキ、或いは、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料の形成材料として用いられる請求項1乃至12のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記請求項1〜13のいずれかに記載の感光性樹脂組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料いずれかの物品。
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