JP2007100008A - ε型フタロシアニン顔料の製造方法 - Google Patents

ε型フタロシアニン顔料の製造方法 Download PDF

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卓也 小谷
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Abstract

【解決課題】従来のニーダーにおいて課題として挙げられる多大なエネルギーの消費、光沢、着色力等品位および微細化レベルの限界、ロット間の夾雑物混入等を解決する顔料の製造方法を提供することを目的としている。さらに、本発明は、従来のニーダーに比較して少量のエネルギーでより微細なε型フタロシアニン顔料粒子を得ることができる顔料の製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】α型フタロシアニンと、ε型フタロシアニンと、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含有する混練混合物を、複数のブレードが遊星運動するプラネタリー型ミキサーにて混練することを特徴とするε型フタロシアニン顔料の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、発色用の粉体の粒子が微細でかつ均一な粒子径に整粒され、ビヒクルに対して分散性が極めて良好なε型フタロシアニン顔料の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、水性フレキソインキ、着色材、水性分散体等のビヒクル中に発色用の粉体の粒子が分散した場合、良好な光沢、高着色力、透明性等を与え、更にはインクジェット用インキやカラーフィルター等のより微細な顔料粒子を求められる用途においても、優れた適性を与えるε型フタロシアニン顔料の製造方法に関する。
フタロシアニン顔料は色調が美しいこと、着色力が大きいこと、耐候性、耐熱性等の諸性能が良好であることから、色材工業の分野において多量に、しかも広範に使用されている。
フタロシアニン顔料には、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、アルミニウム等の種々の中心金属を持つものが知られている。中でも、銅フタロシアニンは最も鮮明であり、広く用いられているが、メタルフリーフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、コバルトフタロシアニン等の異種金属フタロシアニンも実用化されている。
また、フタロシアニン顔料は、α型、β型、δ型、ε型等の異なる結晶型を持ち、中でもε型フタロシアニン顔料は、α型フタロシアニンより更に赤味の色調を有し、鮮明で着色力も高い上、結晶転移に対してもより安定という優れた性質を持っており、色材、電子材料等に利用価値が高い。
合成により得られるフタロシアニンは通常、β型の結晶型を持ち、粗製フタロシアニンと呼ばれる10〜200μm程度の粗大で針状化した粒子で、インキ・塗料・プラスチックス等の着色用顔料としてはその価値は非常に低い。
ε型フタロシアニン顔料を得るには、結晶型をε型へと転移させると共に、色彩上利用価値の高い0.01〜0.5μm程度の粒子まで微細化する、顔料化と呼ばれる処理が必要となる。
ε型フタロシアニン顔料の製造方法としては、以下の様な方法がある。ソルベント処理によるものとして、特許文献1の様にボールミルで長時間乾式摩砕した後、溶剤処理する方法や、特許文献2の様にα型フタロシアニンを含むε型フタロシアニンセミクルードを有機溶剤中で加熱処理する方法がある。
一方、ソルベントソルトミリング処理によるものとしては、ε型フタロシアニンクルードをニーダーで摩砕助剤、粘結剤とともに混錬する方法(特許文献3)や、α型フタロシアニンとε型フタロシアニンの混合物を顔料誘導体の存在下で、ニーダー等で同様に混練する方法がある。この他、α型フタロシアニンを含むε型フタロシアニンセミクルードを、ソルベントソルトミリング法で微細ε型フタロシアニンとする技術が、特許文献4に開示されている。
また、乾式粉砕によるものとして、乾式粉砕による磨砕と有機溶剤との接触による結晶成長を均衡させて、製造する方法がある(特許文献5)。
この中でバッチ式ニーダーを用いたソルベントソルトミリング法が工業的に最も有利で、最も多く用いられている。
英国特許第1411880号明細書(特開昭48−101419号公報) 特開平4−252273号公報 特開昭57−149358号公報の参考例 特開2002−121420号公報 特開2004−244563号公報
ソルベントソルトミリング法は工業的に有利であるものの、従来よく用いられているニーダーではε型フタロシアニン顔料の微細化に対して多大なエネルギーを使用することや微細化レベルにも限界があった。さらに得られたε型フタロシアニン顔料を水性フレキソインキ、着色材、水性分散体、等のビヒクル中に分散して使用する場合においても展色物への光沢、着色力、透明性等の向上は常に要求される課題であった。更には、インクジェット用インキやカラーフィルター等の用途においては、より微細な顔料粒子が求められるが、前述の方法でこれを得るのは困難であり、多大なエネルギーと時間を要していた。また、ニーダーでは回転軸部に混練物が浸入することまた間隙部等の洗浄性が低いことから、次ロット運転時に前ロットの混練物が混入し、夾雑物の発生等が起こりやすいという問題点があり、多種多様な製品の生産に不向きであった。
本発明は、かかる状況に鑑みなされたものであって、従来のニーダーにおいて課題として挙げられる多大なエネルギーの消費、光沢、着色力等品位および微細化レベルの限界、ロット間の夾雑物混入等を解決する顔料の製造方法を提供することを目的としている。さらに、本発明は、従来のニーダーに比較して少量のエネルギーでより微細なε型フタロシアニン顔料粒子を得ることができ、水性フレキソインキ、着色材、水性分散体等のビヒクル中に分散して使用した場合、展色物に良好な光沢と着色力、透明性の向上等を与え、更にはインクジェット用インキやカラーフィルター等のより微細な顔料粒子を求められる用途においても、優れた適性を与える顔料の製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、α型フタロシアニンと、ε型フタロシアニンと、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含有する混練混合物を、複数のブレードが遊星運動するプラネタリー型ミキサーにて混練することを特徴とするε型フタロシアニン顔料の製造方法に関する。
更に本発明は、ブレード数が3である上記ε型フタロシアニン顔料の製造方法に関する。
更に本発明は混練混合物がフタロシアニン誘導体を含有する上記ε型フタロシアニン顔料の製造方法に関する。更に本発明のε型フタロシアニン顔料の製造方法により、銅、亜鉛、ニッケル、またはコバルトを中心金属とするε型金属フタロシアニン顔料、もしくはメタルフリーのε型フタロシアニン顔料を製造することができる。
請求項1記載の発明によれば、従来のニーダーを用いたソルトミリング製法に比べ回転軸部への混練物の浸入がなく、タンクとブレードとの分離が可能であることから洗浄が容易なため、次ロットへの異物混入が少なく適時適種適量生産が可能である。さらに少量のエネルギーで微細で整粒されたε型フタロシアニン顔料を容易に得ることができる。得られたε型フタロシアニン顔料を水性フレキソインキ、着色材、水性分散体、等のビヒクル中に分散して使用した場合、展色物に良好な光沢と着色力、透明性の向上等を図ることができる。更にはインクジェット用インキやカラーフィルター等のより微細な顔料粒子を求められる用途においても、優れた適性を与える。
請求項2記載の発明によれば、ブレードが3本あることにより混練能力が高まり、2本のときと比較して少量の生産エネルギーおよび短時間にて微細で整粒したε型フタロシアニン顔料を容易に得ることができる。
請求項3記載の発明によれば、フタロシアニン誘導体の作用により、生成させたε型フタロシアニン顔料の結晶を安定化させβ型結晶やα型結晶への転移を防ぐと共に、粒子の成長を抑制し効率的に微細化する。更には、得られたε型フタロシアニン顔料の各種用途の適性を高める効果を有する。
請求項4記載の発明によれば、種々のε型フタロシアニン顔料のうち、とくに高鮮明で、色材としての利用価値の高い、銅、亜鉛、ニッケル、またはコバルトを中心金属とするε型金属フタロシアニン顔料、もしくはメタルフリーのε型フタロシアニン顔料が得られる。
本発明で使用するプラネタリー型ミキサーを図面に基づいて説明する。プラネタリー型ミキサー本体(1)は、モータ等の駆動源(図示略)により適宜の伝達機構を介して遊星運動する複数本の駆動軸(2)(図面内での例は2本)を有し、該駆動軸(2)にはタンク(3)内に挿入されるようそれぞれブレード(4)が取り付けられている。タンク内に処理材料を投入し、ブレードを降下させて図1に示すような状態にセットし、タンク内で複数本のブレードを遊星運動させると、ブレードとタンクの内壁、底壁間および複数本のブレード間でそれぞれ剪断力を処理材料に与える。
本発明のプラネタリー型ミキサーの具体例としては、例えば、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、トリミックス(井上製作所製)があり、トリミックスは大きな剪断力を与えることが可能なことから本発明の目的を達成するのに望ましい。
以下、このような混練機によって混練分散処理が施される混練組成物について詳細に説明する。
混練組成物に用いられるα型フタロシアニンとε型フタロシアニンは、中心金属を有する金属フタロシアニンまたはメタルフリーのフタロシアニンであり、公知の方法で製造することができる。銅、亜鉛、ニッケル、またはコバルトを中心金属とするフタロシアニン、もしくはメタルフリーのフタロシアニンを用いると、とくに高鮮明で、色材としての利用価値の高い、銅、亜鉛、ニッケル、またはコバルトを中心金属とするε型金属フタロシアニン顔料、もしくはメタルフリーのε型フタロシアニン顔料が得られる。
α型フタロシアニンは、例えば、粗製フタロシアニンをアシドペースティングすることにより製造することができ、ε型フタロシアニンはα型フタロシアニンをソルベントソルトミリングすることにより製造することができる。また、ε型フタロシアニンクルードを粉砕媒体の存在下で乾式摩砕することによりα型フタロシアニンとε型フタロシアニンの混合物を製造することができる。
α型フタロシアニンとε型フタロシアニンは、α型フタロシアニンとε型フタロシアニンの合計100重量部に対して、ε型フタロシアニンが2重量部以上となる比率で混練組成物中に含有されることが好ましく、5重量部以上となる比率で含有されることがより好ましい。前記ε型フタロシアニンの含有量が2重量部未満の場合には、α型フタロシアニンのε型フタロシアニンへの結晶転移の速度が遅くなり工業的に不利となる。
また、混練組成物に用いられる水溶性無機塩は特に限定されないが、例えば、食塩(塩化ナトリウム)、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛、塩化カルシウムまたはこれらの混合物等を挙げることができる。
混練組成物中の水溶性無機塩の量は、特に限定されるものではないが、α型フタロシアニンとε型フタロシアニンの合計重量に対し、水溶性無機塩が1〜30重量倍の範囲が好ましく、3〜20重量倍となることがより好ましく、目的とする粒度に応じて選択できる。1重量倍以下ではε型フタロシアニン顔料への結晶転移や微細化及び整粒が進み難く、30重量倍以上では顔料の処理量が少なくなるため、生産性が低下して工業的には不利となる。
また、混練組成物に用いられる水溶性有機溶剤としては、α型フタロシアニンとε型フタロシアニンの種結晶の混合物と水溶性無機塩とが均一な固まりとなるように加えるもので、水と自由に混和するもの、または自由に混ざらないが工業的に水洗により除去できる溶解度をもつものであり、顔料粒子が成長するものであれば特に限定されないが、混練時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。
混練組成物中の水溶性有機溶剤の量は、特に限定されるものではないが、少なすぎると混練組成物が硬くなり過ぎて安定運転し難く、多すぎると混練組成物が軟らかくなり過ぎて微細化や整粒のレベルが低下する。このため、α型フタロシアニンとε型フタロシアニンの合計重量に対し、水溶性有機溶剤が0.3〜5重量倍の範囲が好ましく、水溶性無機塩の量と混練組成物の硬さに応じて選択できる。
水溶性有機溶剤としては、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール、アニリン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。また必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して使用してもよい。
混練組成物には、生成させたε型フタロシアニン顔料の結晶を安定化させ、β型結晶やα型結晶への転移を防ぐと共に、粒子の成長を抑制し、効率的に微細なε型フタロシアニン顔料を製造するために、フタロシアニン誘導体を含有させることが好ましい。フタロシアニン誘導体は、下記一般式(1)で示される置換基を少なくとも1つ有する無金属または金属フタロシアニン誘導体である。
一般式(1) −X−Y
(式中Xは直接結合、または水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる2〜50個の原子で構成される化学的に合理的な組み合わせからなる2価の結合基を表す。Yはニトロ基またはハロゲン原子で置換されていてもよいフタルイミドメチル基、−NR、−SO・M/mまたは−COO・M/mを表し、RとRはそれぞれ独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはRとRとで一体となって更なる窒素、酸素または硫黄原子を含み形成されていてもよい複素環を表し、Mは水素イオン、1〜3価の金属イオンまたは少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表し、mはMの価数を表す。)
一般式(1)で示される置換基の具体例として、フタルイミドメチル基、4−ニトロフタルイミドメチル基、4−クロロフタルイミドメチル基、テトラクロロフタルイミドメチル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブチルアミノメチル基、ピペリジノメチル基、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジエチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジブチルアミノプロピルアミノスルホニル基、モルホリノエチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノプロピルアミノカルボニル基、4−(ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル)フェニルアミノカルボニル基、ジメチルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジエチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジブチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、スルホン酸基、ナトリウムスルホナト基、カルシウムスルホナト基、アルミニウムスルホナト基、ドデシルアンモニオスルホナト基、オクタデシルアンモニオスルホナト基、トリメチルオクタデシルアンモニオスルホナト基、ジメチルジデシルアンモニオスルホナト基、カルボン酸基、2−アルミニウムカルボキシラト−5−ニトロベンズアミドメチル基、などがある。
これらの置換基を有するフタロシアニン誘導体は、例えば、特公昭39−28884号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭58−28303号公報、特公昭64−5070号公報に記載の方法で製造できる。
本発明における連続混練機の運転条件については特に制限はないが、α型フタロシアニンとε型フタロシアニンの磨砕と、α型フタロシアニンのε型フタロシアニンへの結晶転移、及び、水溶性有機溶剤との接触による粒子成長を、いずれも効果的に進行させるため、混練温度は、0〜150℃、特には40〜130℃が好ましい。温度を上げることにより、顔料粒子の結晶転移及び成長速度を促進させることが可能となる。処理量や顔料の品質をコントロールするためには、混練組成物の配合比、混練温度、機械的エネルギー投入量、回転数、原料の供給量、主軸動力負荷等を調整することにより可能となる。150℃より高温では、β型フタロシアニンへ結晶転移することと、粒子成長が大となることから、品質上好ましくない。
必要に応じて混練機を時間と共に2段階以上に温度を調整し、初期段階を高温で、後段階を低温で混錬して、より効率的に結晶転移と微細化及び整粒を行ってもよい。また当該混練機にて混練させる前後に他種の混練機で予備混練もしくは追加混練を実施してその都度温度を変えて処理し、より効果的に結晶転移、微細化及び整粒を行っても良い。
混練組成物は初期に全量投入する必要はなく、混練組成物の硬さの状況もしくは混練開始後に混練組成物の微細化および整粒度に応じて、水溶性有機溶剤および水溶性無機塩を適宜投入しても良い。
混練後の混練組成物は常法により処理される。すなわち、混練組成物を水または鉱酸水溶液で処理し、濾過、水洗により水溶性無機塩および水溶性有機溶剤を除去しε型フタロシアニン顔料を単離する。ε型フタロシアニン顔料はこのまま湿潤状態で使用することも、乾燥・粉砕により粉末状態で使用することも可能である。必要に応じて樹脂、界面活性剤、その他の添加剤を混練後に加えてもよい。
本発明による方法で製造されたε型フタロシアニン顔料の用途は特に限定されないが、一般に用いられる色材用途に加えて、高い光沢や着色力、透明性等を要求される用途にも使うことができ、インクジェット用インキやカラーフィルター等の用途にも適用できる。銅、亜鉛、ニッケル、またはコバルトを中心金属とするε型金属フタロシアニン顔料、もしくはメタルフリーのε型フタロシアニン顔料は、とくに高鮮明で、色材としての利用価値が高い。
以下、実施例および従来法による比較例を挙げて本発明を詳しく説明する。但し、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」とは重量部を表し、「%」は重量%を表す。
実施例および比較例の中で、結晶型の測定は、X線回折測定(CuKα1線)により行った。また粒子径の測定は、透過型顕微鏡による粒子観察とその画像解析により行った。
(実施例1)
α型銅フタロシアニン390部とε型銅フタロシアニン210部、塩化ナトリウム6000部、ジエチレングリコール1080部を15000容量部のトリミックス(井上製作所製)に投入し、混合物を磨砕してε型銅フタロシアニン顔料を製造した。運転条件としては、公転36rpm、自転108rpmで摩砕温度は110℃で稠密な塊状(ドウ)に保持しながら11時間混練した。ここで得られた混練組成物を70℃の1%硫酸水溶液30000部に取り出し、1時間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥した。得られた顔料は、X線回折測定(CuKα1線)によりブラッグ角2θ(許容範囲±0.2度)=9.2度に最も強いピークを有するε型銅フタロシアニン顔料であった。得られたε型銅フタロシアニン顔料のBET法による比表面積は82m/gであり、TEM(電子顕微鏡)で観察し写真を画像解析して粒子径を測定したところ、個数平均径43nmであった。さらに、以下に示す比較例1の製法で得られたε型銅フタロシアニン顔料に比較して、より微細化していた。また、顔料1kg当りの実効電力エネルギー投入量は4.1kWH/kgで比較例1の63%となった。
(比較例1)
α型銅フタロシアニン500部とε型銅フタロシアニン270部、塩化ナトリウム7700部、ジエチレングリコール1400部を15000容量部の双腕型ニーダーに仕込み、110℃で稠密な塊状(ドウ)に保持しながら11時間混練した。磨砕後70℃の1%硫酸水溶液30000部に取り出し、1時間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥し顔料を得た。得られた顔料は、X線回折測定(CuKα1線)によりブラッグ角2θ(許容範囲±0.2度)=9.2度に最も強いピークを有するε型銅フタロシアニン顔料であった。得られたε型銅フタロシアニン顔料のBET法による比表面積は75m/gであり、TEMで観察し写真を画像解析して粒子径を測定したところ、個数平均径48nmであった。また、顔料1kg当りの実効電力エネルギー投入量は6.5kWH/kgであった。
(実施例2)
α型銅フタロシアニン450部とε型銅フタロシアニン102部、フタルイミドメチル銅フタロシアニン48部、塩化ナトリウム4800部、ジエチレングリコール800部を15000容量部のトリミックス(井上製作所製)に投入し、混合物を磨砕してε型銅フタロシアニン顔料を製造した。運転条件としては、公転36rpm、自転108rpmで摩砕温度は120℃で稠密な塊状(ドウ)に保持しながら8時間混練した。ここで得られた混練組成物を70℃の1%硫酸水溶液30000部に取り出し、1時間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥した。得られた顔料は、X線回折測定(CuKα1線)によりブラッグ角2θ(許容範囲±0.2度)=9.2度に最も強いピークを有するε型銅フタロシアニン顔料であった。得られたε型銅フタロシアニン顔料のBET法による比表面積は92m/gであり、TEM(電子顕微鏡)で観察し写真を画像解析して粒子径を測定したところ、個数平均径38nmであった。さらに、以下に示す比較例2の製法で得られたε型銅フタロシアニン顔料に比較して、より微細化していた。また、顔料1kg当りの実効電力エネルギー投入量は2.6kWH/kgで比較例2の54%となった。
(比較例2)
α型銅フタロシアニン450部とε型銅フタロシアニン102部、フタルイミドメチル銅フタロシアニン48部、塩化ナトリウム4800部、ジエチレングリコール800部を15000容量部の双腕型ニーダーに仕込み、120℃で稠密な塊状(ドウ)に保持しながら8時間混練した。磨砕後70℃の1%硫酸水溶液30000部に取り出し、1時間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥し顔料を得た。得られた顔料は、X線回折測定(CuKα1線)によりブラッグ角2θ(許容範囲±0.2度)=9.2度に最も強いピークを有するε型銅フタロシアニン顔料であった。得られたε型銅フタロシアニン顔料のBET法による比表面積は86m/gであり、TEMで観察し写真を画像解析して粒子径を測定したところ、個数平均径41nmであった。また、顔料1kg当りの実効電力エネルギー投入量は4.8kWH/kgであった。
(実施例3)
α型銅フタロシアニンを3〜6%含むε型銅フタロシアニン500部、塩化ナトリウム5000部、ジエチレングリコール1250部を15000容量部のトリミックス(井上製作所製)に投入し、混合物を磨砕して微細化したε型銅フタロシアニン顔料を製造した。運転条件としては、公転20rpm、自転60rpmで摩砕温度は70℃で稠密な塊状(ドウ)に保持しながら18時間混練した。ここで得られた混練組成物を70℃の1%硫酸水溶液30000部に取り出し、1時間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥した。得られた顔料は、X線回折測定(CuKα1線)によりブラッグ角2θ(許容範囲±0.2度)=9.2度に最も強いピークを有するε型銅フタロシアニン顔料であった。得られたε型銅フタロシアニン顔料のBET法による比表面積は110m/gであり、TEM(電子顕微鏡)で観察し写真を画像解析して粒子径を測定したところ、個数平均径24nmであった。さらに、以下に示す比較例3の製法で得られたε型銅フタロシアニン顔料に比較して、より微細化していた。また、顔料1kg当りの実効電力エネルギー投入量は12.1kWH/kgで比較例3の60%となった。
(比較例3)
α型銅フタロシアニンを3〜6%含むε型銅フタロシアニン600部、塩化ナトリウム6000部、ジエチレングリコール1500部を15000容量部の双腕型ニーダーに仕込み、70℃で稠密な塊状(ドウ)に保持しながら18時間混練した。磨砕後70℃の1%硫酸水溶液30000部に取り出し、1時間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥し顔料を得た。得られた顔料は、X線回折測定(CuKα1線)によりブラッグ角2θ(許容範囲±0.2度)=9.2度に最も強いピークを有するε型銅フタロシアニン顔料であった。得られたε型銅フタロシアニン顔料のBET法による比表面積は101m/gであり、TEMで観察し写真を画像解析して粒子径を測定したところ、個数平均径25nmであった。また、顔料1kg当りの実効電力エネルギー投入量は20.2kWH/kgであった。
プラネタリー型ミキサーの正面図
符号の説明
1.プラネタリー型ミキサー本体
2.駆動軸
3.タンク
4.ブレード

Claims (4)

  1. α型フタロシアニンと、ε型フタロシアニンと、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含有する混練混合物を、複数のブレードが遊星運動するプラネタリー型ミキサーにて混練することを特徴とするε型フタロシアニン顔料の製造方法。
  2. ブレード数が3である請求項1に記載のε型フタロシアニン顔料の製造方法。
  3. 更に、混練 混合物にフタロシアニン誘導体を含有する請求項1又は2に記載のε型フタロシアニン顔料の製造方法。
  4. ε型フタロシアニン顔料が、銅、亜鉛、ニッケル、またはコバルトを中心金属とするε型金属フタロシアニン顔料、もしくはメタルフリーのε型フタロシアニン顔料である請求項1〜3に記載のε型フタロシアニン顔料の製造方法。
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