JP2007098398A - 溶鋼流動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 凝固シェルの表面に一定の流速を確保し鋳片表層の品質を向上させつつ,鋳型内における溶鋼の潤滑を向上させる事が可能な、新規かつ改良された溶鋼流動制御装置を提供する。
【解決手段】 溶鋼の連続鋳造設備における鋳型内の溶鋼流動を制御する溶鋼流動制御装置510であって,上記鋳型の水平面の長辺に沿って配置される鉄心526と,上記鉄心の長手方向を軸にして巻き付けられた移動磁界発生電磁コイル528と,上記移動磁界発生電磁コイルに交流電流を供給する電磁撹拌用交流電源530と,上記鋳型の水平面短辺方向を軸にして鉄心に巻き付けられたソレノイドコイル532と,上記ソレノイドコイルに交流電流を供給する電磁鋳造用交流電源と,を備えることを特徴とする,溶鋼流動制御装置が提供される。
【選択図】 図1A

Description

本発明は,溶鋼流動制御装置にかかり,特に,鋼の連続鋳造における鋳型内の溶鋼流動を制御する溶鋼流動制御装置に関する。
例えば,鋼スラブを連続鋳造する場合に,鋳型内において,所謂,電磁撹拌の技術が利用されている。かかる電磁撹拌は,矩形の鋳造用鋳型の長辺側に沿って移動磁界生成コイルを配置し,該移動磁界生成コイルに交流電流を流し,該移動磁界生成コイルと交流電流によって生じる移動磁界を溶鋼に印加させ,溶鋼の水平面に旋回撹拌流を形成することである。この電磁撹拌によって,溶鋼の偏析や酸化物が凝固シェルへ付着すること等を防止し,欠陥の少ない鋳片を鋳造することが可能となる。
この様な電磁撹拌を利用した連続鋳造用の電磁撹拌装置も既に周知である。また,そのような交流磁場の電磁誘導や電磁撹拌技術による効果等も開示されている(例えば,特許文献1,非特許文献1)。
上記のような鋳型内の電磁攪拌においては,鋳造空間に溶鋼を水平に旋回する流れを形成し,鋳片表層にあたる凝固シェルの表面に一定の流速を付与している。こうして,溶鋼に混在するアルミナやスラグ系の介在物を洗い流し,鋳片の表層の品質を高めることが可能となる。
また,特許文献1に依れば,鋳型を周回するように設置したソレノイドに交流電流を流すと,鋳型内に発生する磁場と誘導電流の相互作用により,鋳型内の溶鋼を鋳型から引き離す力が作用し,電磁鋳造による,所謂,軟接触鋳造が可能となることも知られている。
特開昭52−32824号公報 「(第129・130回西山記念技術講座)電磁力を利用したマテリアルプロセシング」,社団法人日本鉄鋼協会,1989年4月28日発行,P21〜48「電磁流体力学に基づいた溶解金属のハンドリング」
しかし,上述した電磁撹拌や電磁鋳造を鋼の連続鋳造に用いる場合,コイル等の設備をそれぞれ準備する必要があり,コスト増大,および占有空間が大きくなる問題が生じていた。
本発明は,従来の溶鋼流動の制御装置が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,電磁撹拌の構成と電磁鋳造の構成が一体に形成されたコンパクトな構成により,凝固シェルの表面に一定の流速を確保し鋳片表層の品質を向上させつつ,鋳型内における溶鋼の潤滑を向上させることが可能な,新規かつ改良された溶鋼流動制御装置を提供することである。
上記課題を解決するために,本発明によれば,鋼の連続鋳造設備における鋳型内の溶鋼流動を制御する溶鋼流動制御装置であって,上記鋳型の水平面の長辺に沿って配置される鉄心と,上記鉄心の長手方向を軸にして巻き付けられた移動磁界発生電磁コイルと,上記移動磁界発生電磁コイルに交流電流を供給する電磁撹拌用交流電源と,上記鋳型の水平面短辺に沿った方向を軸にして上記鉄心に巻き付けられたソレノイドコイルと,上記ソレノイドコイルに交流電流を供給する電磁鋳造用交流電源と,を備えることを特徴とする,溶鋼流動制御装置が提供される。
かかる一体に形成された溶鋼流動制御装置は,電磁撹拌(移動磁場)と電磁鋳造(固定交流磁場)の両機能を有している。
また,上記課題を解決するために,本発明によれば,鋼の連続鋳造設備における鋳型内の溶鋼流動を制御する溶鋼流動制御装置であって,鉄心とその鉄心に巻かれた移動磁界発生電磁コイルによって,溶鋼を水平旋回運動する電磁力を生成する電磁撹拌部と,上記鉄心とその鉄心に別途巻かれたソレノイドコイルによって,上記鋳型の長辺面から上記溶鋼を引き離す方向への電磁力を生成する電磁鋳造部と,を備えることを特徴とする,溶鋼流動制御装置が提供される。上記長辺面は,鋳型の長辺に当たる側面のことである。
以上説明したように本発明によれば,電磁撹拌(移動磁場)の構成と電磁鋳造(固定交流磁場)の構成を一体に形成することにより,鋳片の製造において表面及び表層共に品質を向上させることが可能となる。従って,中心偏析が低減,凝固シェル厚が均一化され,かつ,表面欠陥や縦割れ欠陥が生じ難い,良質の鋳片を得ることができる。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明の実施形態は,電磁撹拌(EMS:Electromagnetic Stirring)の構成と電磁鋳造(EMC:Electromagnetic Casting)の構成を一体に形成することを特徴とする。上記電磁撹拌を移動磁場,電磁鋳造を固定交流磁場として区別することもできる。理解を容易にするため,先ず,上記2つの構成を分けて説明し,本実施形態の利点は後述する。
(電磁撹拌)
溶鋼の連続鋳造設備においては,浸漬ノズルから鋳型内に溶融金属(溶鋼)が注入され,さらに鋳型から凝固した金属が引き出され,鋳片として得られる。このとき,鋳型の側壁より外側に電磁撹拌装置を設置し,鋳型内の溶鋼に対して電磁的に旋回運動を与えることができる。この旋回による撹拌流動によって,鋳片の中心偏析が低減され,また,凝固シェル厚の均一化が促されるなど,鋳片品質が改善される。
かかる電磁撹拌装置は,発生する移動磁界の形態によって,直線移動磁界式と回転移動磁界式の二つが挙げられる。前者の直線移動磁界式による電磁撹拌装置は,主に,スラブの電磁撹拌を行い,後者の回転磁界式による電磁撹拌装置は,主に,ビレット,ブルーム等の正方形の鋳片を鋳造する場合に用いられる。ここでは,本実施形態で用いられる直線移動磁界式による電磁撹拌装置について簡単に説明する。
図3は,鋳型100と電磁撹拌装置110との位置関係を表した横断面図である。図3を参照すると,電磁撹拌装置110は,スラブ用の鋳型100を挟んで対向配置された一対の鉄心150と,その鉄心150にそれぞれ巻き付けられた複数のコイル152とを含んで構成される。
それぞれのコイル152には,図示しない三相交流電源から120度ずつ位相がずれたU,V,W相電流が供給される。図3における「+」,「−」は,U,V,W相電流の方向を定義している。その結果,各コイルに流れる電流の位相変化に伴い,鋳型100内において矢印で示す方向に移動磁界が発生する。この移動磁界により鋳型100内の溶鋼160に対して,磁界の移動方向,即ち矢印方向の電磁力が生じる。このようにそれぞれのコイル152で発生する磁界により,溶鋼160内において鋳型100の長辺に当たる側面(以下,長辺面と言う。)に沿って互いに逆方向の電磁力が生じ,溶鋼160が撹拌される。
電磁撹拌装置110は,上述したように,磁界を移動させて鋳型断面に溶鋼の流れをつくり,比較的早く固まってしまう表層に介在物が留まらないように作用し,鋼片表面を清浄化する。
(電磁鋳造)
また,鋳型の側壁より外側に電磁鋳造装置を設置し,鋳型内の溶鋼に対して水平面の中心に向かう,即ち,鋳型側壁と溶鋼が離れるような電磁力を与え,溶鋼の表面と鋳型側面との接触を弱める(軟接触とする)ことで,鋳片品質を改善することができる。
図4は,鋳型100と電磁鋳造装置200との位置関係を表した斜視図である。図4を参照すると,電磁鋳造装置200は,スラブ用の鋳型100にコイルを巻いて形成される。ここでは簡単のため数本のコイルを表しているが,コイルの捲き数や太さは任意に選択することができる。
例えば,電磁鋳造装置200のコイルに,交流電流を流し,実線の矢印210の方向に電流が流れているとき,溶鋼中では,波線の矢印212の方向の誘導電流が生じる。また,電磁鋳造装置200のコイルにより,矢印214で表された鋳型上向きの磁場が発生する。かかる誘導電流と磁場とが直交するので,フレミング左手の法則により,矢印220で表されるような水平面内側向きの電磁力が発生する。このような電磁力はピンチ力とも称する。
上記の内側向きの力は,コイルに流れる電流の向きには依存しない。これは,コイルに流れる電流が逆になった場合でも誘導電流と磁場が同時に逆転するので電磁力の方向に影響しないからである。従って,電磁鋳造装置200のコイルには,例えば単相交流電源を適用することが可能である。
このような電磁鋳造装置200を鋳型に設置しなかった場合,極低炭素鋼など,炭素含有量が低く融点が高い鋼の鋳造において,温度が下がりやすい溶鋼表面が早期に固まってしまい,表面に欠陥が生じる原因となる。
図5は,電磁鋳造装置200の作用を説明するための縦断面図である。ここでは,図4同様,電磁鋳造装置200のコイルが鋳型100に溶鋼の移動方向を軸に巻いてある。例えば,上記電磁鋳造装置200のコイルに図に示す方向の電流が流れたとすると,溶鋼では,その電流と逆の方向に誘導電流が生じる。この誘導電流と電磁力250とがつくる溶鋼内側向きのピンチ力252により溶鋼は鋳型100の内壁(内面)から引き離される。
このように溶鋼と鋳型が離れると,そこには潤滑剤としてのパウダー260が流入し易くなり,溶鋼の流れも良くなることから,溶鋼表面の凝固速度が緩やかになり,電磁鋳造装置200を利用しない場合と比べ,鋳型のより深いところから溶鋼が固まり(凝固シェル264)始めるので,表面欠陥や縦割れ欠陥が生じ難くなる。また,鋳型100は縦振動しているとしても良く,かかる縦振動により,よりパウダー260が流入しやすくなる。
図6は,電磁鋳造装置の他の実施形態を示した斜視図である。図6を参照すると,電磁鋳造装置400は,鋳型100の水平面短辺に沿った方向を軸にして巻かれたコイルが,鋳型100の側面に沿って,各長辺面に配置されている。かかる2つのコイルは,互いに対向する方向に電流が流れる。ここでは簡単のため矢印のみによってコイルを表しているが,コイルの太さ,捲き数は任意に選択することができる。
例えば,電磁鋳造装置400のコイルに,交流電流を流し,実線の矢印410の方向の電流が流れているとき,溶鋼中では,波線の矢印412の方向の誘導電流が生じる。また,電磁鋳造装置400の2つのコイルの相互作用により,矢印414で表された鋳型上向きの磁場が発生する。かかる誘導電流と磁場とが直交するので,フレミング左手の法則により,矢印420で表されるような水平面内側向きの電磁力(ピンチ力)が発生する。
上記の内側向きの力は,図4で説明したのと同様に,コイルに流れる電流の向きには依存しない。従って,電磁鋳造装置400のコイルにも,例えば単相交流電源を適用することが可能である。尚,上記2つのコイルの電流方向(位相)は,等しいとしても良いし,一方が遅延しているとしても良い。これは,一般に,周波数の高い電流は,表皮効果を高め,鋼の表面に電磁力を集中させることができるからである。
(溶鋼流動制御装置)
本発明の実施形態における溶鋼流動制御装置は,上述した電磁撹拌の構成と,電磁鋳造の構成とを組み合わせ,一体に形成される。
図1Aは,本実施形態における鋼スラブの連続鋳造鋳型の鋳型500と溶鋼流動制御装置510との構成を示した斜視図であり,図1Bは,図1Aの平面図であり,図1Cは,図1Aの正面図である。
上記鋳型500は,長辺バックプレート520と,短辺バックプレート522と,注入ノズル524とを含んで構成される。上記溶鋼流動制御装置510は,鉄心526と,移動磁界発生電磁コイル528と,電磁撹拌用交流電源530と,ソレノイドコイル532と,電磁鋳造用交流電源534と,を含んで構成される。
上記長辺バックプレート520は,横断面が長方形になる鋳型500の長辺面を覆う。また,長辺バックプレート520は,銅板及びステンレス等の板から形成され,冷却水流路を備えている。
上記短辺バックプレート522は,横断面が長方形になる鋳型500の短辺に当たる側面(以下,短辺面と言う。)を覆う。また,短辺バックプレート522は,長辺バックプレート520同様,銅板及びステンレス等の板から形成され,冷却水流路を備えている。かかる短辺バックプレート522と上述した長辺バックプレート520とにより鋳造空間が形成される。
上記注入ノズル524は,流入口と吐出口とから形成され,横断面が長方形になる鋳型の場合,溶鋼を短辺面に衝突させるように吐出する。このように吐出した溶鋼は,溶鋼プール550内において,メニスカスに向かう流れと,溶鋼プール550下方に向かう流れの2つに分岐し,長辺面から見た場合,4つの大きな渦を形成する。かかる溶鋼プール550下方に向かう溶鋼は,溶鋼プール550を下降するにつれ,表面が冷やされて凝固シェル264となる。
上記鉄心526は,けい素鋼板等の磁性材料で形成され,長辺面に沿って長辺方向に配置される。また,鉄心526の長さは,長辺の長さと実質的に等しくしても良い。
上記移動磁界発生電磁コイル(リニアモーター)528は,鉄心526の長手方向を軸にして巻き付けられ,電磁撹拌用交流電源530からの電力を得て,鋳型の横断面(水平面)に溶鋼を水平旋回運動する電磁力を供給する。詳細な構成は,図3に示した電磁撹拌装置と実質的に等しいので,ここでは説明を省略する。
かかる構成により,溶鋼プール550のメニスカス(界面)部に,溶鋼注入用ノズルを中心として鋳型内溶鋼の上表面付近の溶鋼を矢印552で示した方向(図1B参照)に旋回運動させることができる。ここで,鋳型内の溶鋼のうちメニスカスの溶鋼は,鋳型壁面(長辺面)付近ほど強く水平旋回運動することとなる。このような水平旋回における旋回流速は,概ね磁場の2乗と周波数との積で定義される。
上記ソレノイドコイル532は,鋳型の水平面短辺に沿った方向を軸にして鉄心526に巻き付けられ,電磁鋳造用交流電源534からの電力を得て,鋳型の長辺面から溶鋼を引き離す方向への電磁力を供給する。このようなソレノイドコイル532により発生した磁場は溶鋼中に,図6で示した交流磁場を発生し,溶融金属を鋳型から引き離す電磁力を発生させる。
本実施形態の溶鋼流動制御装置510では,移動磁界発生電磁コイル528と鉄心526とからなる電磁撹拌部と,ソレノイドコイル532と鉄心526とからなる電磁鋳造部とが一体形成される。このような電磁撹拌部と電磁鋳造部とによる2つの電磁力の作用により,撹拌による洗浄効果と鋳型内の潤滑向上とを同時に享受することが可能となる。
また,ソレノイドコイル532による電磁場は,溶鋼を鋳型から引き離す作用を与えるだけに留まらず,ソレノイドコイル532によって発生する誘導電流が鋳型内の溶鋼を加熱するという作用ももたらし,一般的に,過剰に冷却されがちな鋳型内の湯面付近の温度を上昇させ,凝固をより均一にすることができる。
また,移動磁界発生電磁コイル528と共有する鉄心526が,ソレノイドコイル532による交流磁場の増幅に有効に作用し,ソレノイドコイル532のコイル電流を少なくしたとしても,強い磁場を誘起することができるという相乗効果を発揮する。従って,低消費電力での運用が可能となる。
さらに,詳細に述べると,電磁鋳造(固定交流磁場)の作用により,鋳型内の溶湯は内部に押され,鋳型から引き離され潤滑状態が良くなる。それと同時に,所定部分が偏って冷やされることなく凝固が均一化する。また,ジュール加熱により約5℃温度が上昇する。この状態で,電磁撹拌(移動磁場)により溶湯が水平旋回撹拌されると,均一化された凝固シェルの前面を均一に洗い流すこととなり,さらに加熱により凝固シェルの成長が遅くなることから非金属介在物も捕捉され難くなり,相乗作用によって鋳片表層(鋳片表面から10mmまで)の介在物個数が減少する。また,電磁鋳造(固定交流磁場)の作用により潤滑状態が良くなることから鋳片表面の凹凸は減少するが,溶湯をさらに水平に旋回撹拌することにより鋳片周方向の温度分布が均一となり,平均の凹凸が改善される。かかる効果は以下の実施例で示される。
例えば,図1A,B,Cに示した鋳型500を幅1650mm,高さ800mm,キャビティー(鋳造空間)厚み255mmとした。この鋳型に対し,溶鋼流動制御装置510として,鋳造幅と実質的に等しい幅(1650mm),高さ150mm,厚み150mmの鉄芯526に3相交流を流すためのコイル24本のスロットを有する4ポールリニアモーターを配置した。
さらに鉄心526に,鋳型の水平面短辺に沿った方向を軸にして巻き付けられ,鋳型の水平面短辺方向に磁場を発生するソレノイドコイル532を配置した。
上記溶鋼流動制御装置510を用いて,溶鋼の鋳造を行った。このとき,移動磁界発生電磁コイル528とソレノイドコイル532に電力を供給する電源は,それぞれ電磁撹拌用交流電源530と電磁鋳造用交流電源534である。電磁撹拌用交流電源530は,5Hzの3相交流であり,鋳型内において最大5×10N/mの電磁力を供給できる。また,電磁鋳造用交流電源534は,50Hzの単相交流であり,鋳型内において最大1×10N/mの電磁力(ピンチ力)を供給できる。
ここでは,電磁撹拌と電磁鋳造との実施の有無による品質の違いを調査した。かかる電磁撹拌と電磁鋳造との実施の有無は,電磁撹拌用交流電源530と電磁鋳造用交流電源534との電源印加の有無によって実施した。従って,(1)両電源を印加しない,即ち電磁力が無い状態,(2)電磁撹拌用交流電源530のみ印加,即ち,3相交流磁場が単独で存在する状態,(3)電磁鋳造用交流電源534のみ印加,即ち,単相交流磁場が単独で存在する状態,(4)両電源を印可し重畳して磁場が存在する状態の4つの状態における鋳片品質が比較される。
非金属介在物の洗浄効果を評価する上で,鋳片表層の品質は,鋳片からサンプルを切り出し,電解抽出法によって介在物を取り出し,大型介在物個数を評価することによって確認した。かかる大型介在物は,球相当直径が100μm以上である。
図2は,上記サンプル600の採取条件を示した外観図である。上記鋳片のサンプル600は,幅100mm,高さ20mm,厚み250mmの表層サンプル610と,幅100mm,高さ210mm,厚み250mmの表層サンプル610の内部サンプル612とを少なくとも3箇所(鋳片の全幅に対して1/4幅,2/4幅,3/4幅の部分)を対象としている。
また,軟接触による鋳片の表面の凹凸も比較した。本実施例における鋳造では極低炭アルミキルド鋼を用い,鋳造速度は1.5m/分で行った。結果を表1に示す。ここで鋳片表面凹凸指数は,電磁力を印加しない場合の,鋳片表面に対する高さ方向の凹凸差の最大値を基準とした相対指数である。本実施例では,測定精度の向上のため,電磁力を印加していない状態の鋳片における,鋳片の長さ方向に1m,かつ,鋳片の幅方向に5等分したライン部に関して,レーザー変位計によって鋳片表面に対する高さ方向の凹凸の値を測定し,各ラインの最大値と最小値の差について上記5ラインの平均値をとって基準としている。また,鋳片表層介在物個数指数は,電磁流奥を印加しない場合に,鋳片から電解抽出法によって取り出された,球相当直径が100μm以上の介在物の,単位体積当たりの個数を基準とした相対指数である。この結果から重畳による効果により鋳片表層の介在物欠陥個数の減少と鋳片表面の凹凸改善の相乗効果が得られていることが理解される。
Figure 2007098398
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は,鋼の連続鋳造における鋳型内の溶鋼流動を制御する溶鋼流動制御装置に適用可能である。
鋼スラブの連続鋳造鋳型の鋳型と溶鋼流動制御装置との構成を示した斜視図である。 鋼スラブの連続鋳造鋳型の鋳型と溶鋼流動制御装置との構成を示した平面図である。 鋼スラブの連続鋳造鋳型の鋳型と溶鋼流動制御装置との構成を示した正面図である。 鋳片のサンプルの採取条件を示した外観図である。 鋳型と電磁撹拌装置との位置関係を表した横断面図である。 鋳型と電磁鋳造装置との位置関係を表した斜視図である。 電磁鋳造装置の作用を説明するための縦断面図である。 電磁鋳造装置の他の実施形態を示した斜視図である。
符号の説明
100,500 鋳型
150,526 鉄心
510 溶鋼流動制御装置
528 移動磁界発生電磁コイル
530 電磁撹拌用交流電源
532 ソレノイドコイル
534 電磁鋳造用交流電源

Claims (2)

  1. 鋼の連続鋳造設備における鋳型内の溶鋼流動を制御する溶鋼流動制御装置であって,
    前記鋳型の水平面長辺に沿って配置される鉄心と,
    前記鉄心の長手方向を軸にして巻き付けられた移動磁界発生電磁コイルと,
    前記移動磁界発生電磁コイルに交流電流を供給する電磁撹拌用交流電源と,
    前記鋳型の水平面短辺方向を軸にして前記鉄心に巻き付けられたソレノイドコイルと,
    前記ソレノイドコイルに交流電流を供給する電磁鋳造用交流電源と,
    を備えることを特徴とする,溶鋼流動制御装置。
  2. 鋼の連続鋳造設備における鋳型内の溶鋼流動を制御する溶鋼流動制御装置であって,
    鉄心とその鉄心に巻かれた移動磁界発生電磁コイルによって,溶鋼を水平旋回運動する電磁力を生成する電磁撹拌部と,
    前記鉄心とその鉄心に別途巻かれたソレノイドコイルによって,前記鋳型の長辺面から前記溶鋼を引き離す方向への電磁力を生成する電磁鋳造部と,
    を備えることを特徴とする,溶鋼流動制御装置。
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