JP2007094208A - 位相差フイルム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、配向層を用いることなく、AプレートまたはBプレートとしての性質と、負のCプレートとしての性質とを有する位相差フイルムを提供することを主目的とするものである。
【解決手段】本発明は、AプレートまたはBプレートとしての性質および負のCプレートとしての性質を有する基材と、棒状化合物を含む位相差層とを有する位相差フイルムであって、上記位相差層が、上記基材上に直接形成されており、かつ、上記位相差層において上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成していることを特徴とする位相差フイルムを提供することにより、上記目的を達成するものである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、AプレートまたはBプレートとしての性質および負のCプレートとしての性質を有する基材と、棒状化合物を含む位相差層とを有する位相差フイルムであって、上記位相差層が、上記基材上に直接形成されており、かつ、上記位相差層において上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成していることを特徴とする位相差フイルムを提供することにより、上記目的を達成するものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、液晶表示装置等に用いられる位相差フイルムに関するものであり、より詳しくは、配向層を用いることなくAプレートまたはBプレートとしての性質と、負のCプレートとしての性質と備える位相差フイルムに関するものである。
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のC
RTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、図5に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル104とを有するものを挙げることができる。偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光(図中、矢印で模式的に図示)のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル104は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
RTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、図5に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル104とを有するものを挙げることができる。偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光(図中、矢印で模式的に図示)のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル104は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
液晶表示装置は、液晶セルを構成する液晶分子の配列形態により種々の方式のものが実用化されているが、近年ではVA(Vertical Alignment)方式が主流となっている。このようなVA方式の液晶表示装置は、主として液晶テレビ用途に広く用いられるに至っている。
上記VA方式の液晶表示装置に用いられる液晶セルにおいては、液晶分子が垂直配向していることから、液晶セル全体としては正のCプレートとして作用する光学特性を備えることになる。例えば、図5に示す液晶表示装置100の液晶セル104がこのような光学特性を備えるとすると、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光は、液晶セル104のうち非駆動状態のセル部分を透過する際に、位相シフトされずに透過し、出射側の偏光板102Bで遮断される。これに対し、液晶セル104のうち駆動状態のセル部分を透過する際には、直線偏光が位相シフトされ、この位相シフト量に応じた量の光が出射側の偏光板102Bを透過して出射される。これにより、液晶セル104の駆動電圧をセル毎に適宜制御することにより、出射側の偏光板102B側に所望の画像を表示することができる。なお、液晶表示装置100としては、上述したような光の透過および遮断の態様をとるものに限らず、液晶セル104のうち非駆動状態のセルの部分から出射された光が出射側の偏光板102Bを透過して出射される一方で、駆動状態のセルの部分から出射された光が出射側の偏光板102Bで遮断されるように構成された液晶表示装置も考案されている。
ところで、上述したようなVA方式の液晶セル104のうち非駆動状態のセルの部分を直線偏光が透過する場合を考えると、液晶セル104は上述したような正のCプレートとして作用する光学特性を有しているので、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光のうち液晶セル104の法線に沿って入射した光は位相シフトされずに透過するものの、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光のうち液晶セル104の法線から傾斜した方向に入射した光は液晶セル104を透過する際に位相差が生じて楕円偏光となる。なお、液晶セル104を透過する光(透過光)に対して生じる位相差の大きさは、液晶セル104内に封入された液晶分子の複屈折値や、液晶セル104の厚さ、透過光の波長等にも影響される。
以上の現象により、液晶セル104内のあるセルが非駆動状態であり、本来的には直線偏光がそのまま透過され、出射側の偏光板102Bで遮断されるべき場合であっても、液晶セル104の法線から傾斜した方向に出射された光の一部が出射側の偏光板102Bから洩れてしまうことになる。このため、上述したような従来の液晶表示装置100においては、正面から観察される画像に比べて、液晶セル104の法線から傾斜した方向から観察される画像の表示品位が低下することが原因で悪化するという問題(視野角依存性の問題)があった。
このような液晶表示装置における視野角依存性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されており、その代表的な方法として位相差フイルムを用いる方法がある。上記VA方式を採用した液晶表示装置の視野角依存性を、位相差フイルムを用いて改善する方法としては、通常、負のCプレートとしての機能を有する位相差フイルムと、AプレートまたはBプレートとしての機能を有する位相差フイルムとの2枚の位相差フイルムを用いる方法が用いられる。このような2枚の位相差フイルムを用いる方法としては、例えば、図6(a)に示すような液晶セル104を、負のCプレートとしての機能を有する位相差フイルム41と、Aプレートとしての機能を有する位相差フイルム42とで挟持する方法や、図6(b)に示すように入射側の偏光板102A上に負のCプレートとしての機能を有する位相差フイルム41と、Aプレートとしての機能を有する位相差フイルム42とを積層する方法が用いられてきた。
このような2枚の位相差フイルムを用いて視野角依存性の問題を改善する方法は、位相差フイルムの組合せを変更することにより、様々の光学特性を有する液晶セルを用いた液晶表示装置の視野角依存性の問題を改善できる点において有用である。しかしながら、2枚の位相差フイルムを用いるため、液晶表示装置の厚みが大きくなってしまったり、製造方法が複雑化する問題点があった。
また、上記位相差フイルムとしては、図7に示すように任意の基材21上に配向層22を設け、さらに当該配向層22上に液晶分子を有する位相差層23を形成し、上記配向層の配向規制力により上記液晶分子を配向させて所望の屈折率異方性を発現させる構成を有するもの一般的である。このような位相差フイルムとしては、例えば特許文献1または特許文献2に開示されているように、コレステリック規則性の分子構造を有する位相差層(複屈折性を示す位相差層)を配向層を有する基材上に形成した位相差フイルムが開示されている。また、特許文献3には、円盤状化合物からなる位相差層(複屈折性を示す位相差層)を配向層を有する基材上に形成した位相差フイルムが開示されている。このような構成を有する位相差フイルムは、配向層を用いることにより液晶分子を配列し易くなる点においては有用であるが、上記配向層と位相差との密着性に問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、配向層を用いることなく、AプレートまたはBプレートとしての性質と、負のCプレートとしての性質とを有する位相差フイルムを提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明はAプレートまたはBプレートとしての性質、および、負のCプレートとしての性質を有する基材と、棒状化合物を含む位相差層とを有する位相差フイルムであって、上記位相差層が上記基材上に直接形成されており、かつ、上記位相差層において上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成していることを特徴とする位相差フイルムを提供する。
本発明によれば、AプレートまたはBプレートとしての性質と負のCプレートとしての性質とを有する基材上に、上記位相差層を直接形成することにより、基材と位相差層との密着力を強固にできるため、従来の配向層を有する位相差フイルムと比して、密着性に優れた位相差フイルムを得ることができる。
また本発明においては、上記位相差層において棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成していることにより、上記位相差層を負のCプレートとして作用する光学特性の発現性に優れたものにできる。このような位相差層がAプレートまたはBプレート、および、負のCプレートとして性質を有する基材上に積層されることにより、全体としてAプレートまたはBプレートとして作用する光学特性と、負のCプレートとして作用する光学特性とを発現することができる。したがって、本発明によれば液晶表示装置の薄型化に寄与する位相差フイルムを得ることができる。
また本発明においては、上記位相差層において棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成していることにより、上記位相差層を負のCプレートとして作用する光学特性の発現性に優れたものにできる。このような位相差層がAプレートまたはBプレート、および、負のCプレートとして性質を有する基材上に積層されることにより、全体としてAプレートまたはBプレートとして作用する光学特性と、負のCプレートとして作用する光学特性とを発現することができる。したがって、本発明によれば液晶表示装置の薄型化に寄与する位相差フイルムを得ることができる。
本発明においては、上記基材の面内レターデーション(Re)が、30nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。本発明に用いられる基材の面内レターデーション(Re)が上記範囲内であることにより、本発明の位相差フイルムをAプレートとしての性質に優れたものにできるからである。
本発明においては、上記基材の厚み方向レターデーション(Rth)が、10nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。本発明に用いられる基材のRthが上記範囲内であることにより、上記位相差層に含まれる棒状化合物について、より均質なランダムホモジニアス配向を形成することができるからである。
本発明においては、上記基材がシクロオレフィンポリマー(COP)からなることが好ましい。シクロオレフィンポリマーは、水分の吸収性および透過性が低いため、本発明に用いられる基材がシクロオレフィンポリマー(COP)から構成されることにより、本発明の位相差フイルムを光学特性の経時安定性に優れたものにできるからである。
本発明においては、上記棒状化合物が重合性官能基を有するものであることが好ましい。上記棒状化合物が重合性官能基を有することにより、上記棒状化合物を重合して固定化することが可能になるため、上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成している状態で固定化することにより、配列安定性に優れ、光学特性の変化が生じにくい位相差フイルムを得ることができるからである。
本発明においては、上記棒状化合物が液晶性材料であることが好ましい。上記棒状化合物が液晶性材料であることにより、上記位相差層を、単位厚み当たりの光学特性の発現性に優れたものにできるからである。
本発明においては、上記液晶性材料が、ネマチック相を示す材料であることが好ましい。上記液晶性材料が、ネマチック相を示す材料であることにより、より効果的にランダムホモジニアス配向を形成することができるからである。
本発明においては、上記位相差層の厚みが0.3μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。上記位相差層の厚みが上記範囲よりも厚いと、上記棒状化合物の種類によっては、ランダムホモジニアス配向を形成することが困難となる場合があるからである。また、上記位相差層の厚みが上記範囲よりも薄いと、位相差層において必要な光学特性を発現することができない可能性があるからである。
本発明の位相差フイルムは面内レターデーション(Re)が、30nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。面内レターデーション(Rth)が上記範囲内であることにより、例えば、VA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置の視野角特性を改善するのに好適な位相差フイルムを得ることができるからである。
本発明の位相差フイルムは、厚み方向レターデーション(Rth)が、50nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。厚み方向のレターデーション(Rth)が上記範囲内であることにより、例えば、VA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置の視野角特性を改善するのに好適な位相差フイルムを得ることができるからである。
本発明は、配向層を用いることなく、単一のフイルムでAプレートまたはBプレート、および、負のCプレートとして作用する光学特性を発現でき、かつ、位相差層と基材との密着性に優れた位相差フイルムを得ることができるといった効果を奏する。
以下、本発明の位相差フイルムについて詳細に説明する。
本発明の位相差フイルムは、AプレートまたはBプレートとしての性質、および、負のCプレートとしての性質を有する基材と、棒状化合物を含む位相差層とを有する位相差フイルムであって、上記位相差層が、上記基材上に直接形成されており、かつ、上記位相差層において上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成していることを特徴とするものである。
次に、本発明の位相差フイルムについて図を参照しながら説明する。図1は本発明の位相差フイルムの一例を示す概略斜視図である。図1に示すように本発明の位相差フイルム10は、基材1と、上記基材1上に直接形成された位相差層2を有するものである。本発明の位相差フイルム10において、基材1はAプレートまたはBプレートとしての性質と、負のCプレートとしての性質を有するものである。また、上記位相差層2はランダムホモジニアス配向を形成する棒状化合物3を含むものである。
図1に示すように本発明の位相差フイルム10は、基材1上に位相差層2が直接形成されており、図3に示すような、従来の位相差フイルムにおいては必須の構成要件であった配向層を有さない構成からなるものである。
図1に示すように本発明の位相差フイルム10は、基材1上に位相差層2が直接形成されており、図3に示すような、従来の位相差フイルムにおいては必須の構成要件であった配向層を有さない構成からなるものである。
図1に例示するように本発明の位相差フイルムは、上記基材上に位相差層が直接形成されることにより、基材と位相差層とを強固に密着させることができるため、密着安定性に優れるという利点を有する。また、このような密着性の向上に伴って耐アルカリ性や、リワーク性が向上する等の利点も有する。
ここで、上記「直接形成されている」とは、基材と、位相差層との間に、例えば配向層等の他の層を介することなく、基材と、位相差層とが直接接触するように形成されていることを意味するものである。
ここで、上記「直接形成されている」とは、基材と、位相差層との間に、例えば配向層等の他の層を介することなく、基材と、位相差層とが直接接触するように形成されていることを意味するものである。
基材上に位相差層が直接形成されることにより両者の密着力が向上するのは次のような機構によるものと解される。すなわち、基材上に位相差層が直接形成されることにより、位相差層に含まれる棒状分子が基材の表面から基材中へ浸透することができるため、基材と位相差層との接着部においては明確な界面が存在せず、両者が「混合」された形態となると考えられる。このため、従来の界面相互作用による接着と比較して、著しく密着性が改善されるものと考えられる。
また、従来の配向層を有する構成の位相差フイルムにおいては、配向層と位相差層との界面や、配向層と基材との界面において光が多重反射し、干渉ムラが生じるという問題点もあった。しかしながら、本発明の位相差フイルムは、配向層を有さず、また、上記基材と上記位相差層との接着部は「混合」状態となっているため明確な界面が存在しない。したがって、本発明の位相差フイルムは上記多重反射を生じることが無く、干渉ムラによる品質の低下が生じることが無いという利点を有する。
また、従来の配向層を有する構成の位相差フイルムにおいては、配向層と位相差層との界面や、配向層と基材との界面において光が多重反射し、干渉ムラが生じるという問題点もあった。しかしながら、本発明の位相差フイルムは、配向層を有さず、また、上記基材と上記位相差層との接着部は「混合」状態となっているため明確な界面が存在しない。したがって、本発明の位相差フイルムは上記多重反射を生じることが無く、干渉ムラによる品質の低下が生じることが無いという利点を有する。
本発明に用いられる基材は、AプレートまたはBプレートとしての性質を有するという特徴を有するが、本発明におけるAプレートとしての性質とは、具体的には基材の面内レターデーション(Re)が30nm以上であることを意味するものである。ここで、上記面内レターデーション(Re)は、本発明に用いられる基材の面内における進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率Nx、および、遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率Nyと、位相差層の厚みd(nm)とにより、Re=(Nx−Ny)×dの式で表される値である。本発明における面内レターデーション(Re)の値は、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−21ADH)により測定した値を用いる。
また、本発明におけるBプレートとしての性質とは、上記Nx、Ny、および、Nzについて、Nx>Ny>Nzの関係が成立することをいうものである。
さらにまた、本発明に用いられる基材は、負のCプレートとしての性質を有するという特徴を有するが、本発明における「負のCプレートとしての性質」とは、具体的には基材の厚み方向のレターデーション(Rth)が10nm以上であることを意味するものである。ここで、上記厚み方向のレターデーション(Rth)は、本発明に用いられる基材の面内における進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率Nx、および、遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率Nyと、厚み方向の屈折率Nzと、位相差層の厚みd(nm)とにより、Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×dの式で表される値である。本発明における厚み方向のレターデーション(Rth)の値は、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−21ADH)により測定した値を用いる。
次に、本発明におけるランダムホモジニアス配向について説明する。本発明におけるランダムホモジニアス配向は、上記位相差層中に含まれる棒状化合物が形成する配向状態であり、このような配向状態を有することにより本発明の位相差フイルムを負のCプレートとして作用する光学特性の発現性に優れたものにできるものである。
本発明における棒状化合物のランダムホモジニアス配向は、少なくとも、次の3つの特徴を有するものである。すなわち、本発明における上記ランダムホモジニアス配向は、
第1に、位相差層における棒状化合物の配列方向がランダムであること(以下、単に「不規則性」と称する場合がある。)、
第2に、位相差層において棒状化合物が形成するドメインの大きさが可視光領域の波長よりも小さいこと(以下、単に「分散性」と称する場合がある。)、
第3に、位相差層において棒状化合物が面内配向していること(以下、単に「面内配向性」と称する場合がある。)、
を少なくとも備えるものである。
第1に、位相差層における棒状化合物の配列方向がランダムであること(以下、単に「不規則性」と称する場合がある。)、
第2に、位相差層において棒状化合物が形成するドメインの大きさが可視光領域の波長よりも小さいこと(以下、単に「分散性」と称する場合がある。)、
第3に、位相差層において棒状化合物が面内配向していること(以下、単に「面内配向性」と称する場合がある。)、
を少なくとも備えるものである。
次に、本発明におけるランダムホモジニアス配向について図を参照しながら説明する。図2(a)は上述した図1中のAで表す位相差層の法線方向から本発明の位相差フイルムを正視した場合の概略図である。また、図2(b)、(c)は、図2(a)におけるB−B’線矢視断面図である。
まず、本発明におけるランダムホモジニアス配向が具備する「不規則性」について図2(a)を参照しながら説明する。上記「不規則性」は、図2(a)に示すように、位相差層2において棒状化合物3がランダムに配列していることを示すものである。
ここで、本発明においては上記棒状化合物3の配列方向を説明するのに、図2(a)中のaで表す分子長軸方向(以下、分子軸と称する。)を基準として考えるものとする。したがって、上記棒状化合物の配列方向がランダムであることは、上記位相差層に含まれる棒状化合物3の分子軸aがランダムに向いていることを意味する。
ここで、本発明においては上記棒状化合物3の配列方向を説明するのに、図2(a)中のaで表す分子長軸方向(以下、分子軸と称する。)を基準として考えるものとする。したがって、上記棒状化合物の配列方向がランダムであることは、上記位相差層に含まれる棒状化合物3の分子軸aがランダムに向いていることを意味する。
図2(a)に例示するような配列状態の他に、棒状化合物がコレステリック構造を有する場合であっても、上記分子軸aの方向が全体としてランダムになるため、形式的には上記「不規則性」に該当するが、本発明における上記「不規則性」には、コレステリック構造に起因する形態は含まないものとする。
次に、本発明におけるランダムホモジニアス配向が具備する「分散性」について図2(a)を参照しながら説明する。上記「分散性」は、図2(a)に示すように、位相差層2において棒状化合物3がドメインbを形成している場合に、ドメインbの大きさが可視光領域の波長よりも小さいことを示すものである。本発明においては、上記ドメインbの大きさが小さい程好ましいものであり、棒状化合物がドメインを形成せずに単分子で分散している状態が最も好ましいものである。
次に、本発明におけるランダムホモジニアス配向が具備する「面内配向性」について図2(b)を参照しながら説明する。上記「面内配向性」は、図2(b)に示すように、位相差層2において棒状化合物3が、分子軸aを位相差層3の法線方向Aに対して略垂直になるように配向していることを意味する。本発明における上記「面内配向性」としては、図2(b)に示すように、上記位相差層2におけるすべての棒状化合物3の分子軸aが上記法線方向Aに対して略垂直になっている場合のみを意味するものではなく、例えば図2(c)に示すように、上記位相差層2に分子軸a’が上記法線方向Aと垂直でない棒状化合物3が存在していたとしても、位相差層3中に存在する棒状化合物3の分子軸aの平均的な方向が上記法線方向Aに対して略垂直である場合を含むものである。
本発明の位相差フイルムは、上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成していることにより、図1に示すx方向の屈折率nxと、y方向の屈折率nyと、z方向の屈折率nzに、nx=ny>nzの関係が成立することから、本発明の位相差フイルムを負のCプレートとして作用する光学特性の発現性に優れたものにできる。
以上説明したように、本発明におけるランダムホモジニアス配向は、少なくとも「不規則性」、「分散性」および「面内配向性」を示すことを特徴とするが、本発明の位相差フイルムが、これらの特徴を有することについては、以下の方法により確認することができる。
まず、本発明におけるランダムホモジニアス配向が具備する「不規則性」の確認方法について説明する。上記「不規則性」は、本発明の位相差フイルムを構成する位相差層の面内レターデーション(Re)評価、および、コレステリック構造に起因する選択反射波長の有無を評価することにより確認することができる。
すなわち、本発明の位相差フイルムを構成する位相差層の面内レターデーション(Re)評価により棒状化合物がランダムに配向をしていることを確認でき、選択反射波長の有無により棒状化合物がコレステリック構造を形成していないことを確認することができる。
すなわち、本発明の位相差フイルムを構成する位相差層の面内レターデーション(Re)評価により棒状化合物がランダムに配向をしていることを確認でき、選択反射波長の有無により棒状化合物がコレステリック構造を形成していないことを確認することができる。
上記棒状化合物がランダムに配向していることは、面内レターデーション(Re)の値が、上記棒状化合物の配向状態がランダムであることを示す範囲内であることにより、確認することができる。なかでも、本発明においては位相差層の面内レターデーション(Re)が0nm〜5nmであることが好ましい。ここで、上記面内レターデーション(Re)は、本発明の位相差フイルムを構成する位相差層の面内における進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率Nx、および、遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率Nyと、位相差層の厚みd(nm)とにより、Re=(Nx−Ny)×dの式で表される値である。
ここで、面内レターデーション(Re)により上記棒状化合物がランダムに配列していることを確認できるのは、次の理由に基づくものである。すなわち、面内レターデーション(Re)は上記定義式からも明らかなように、面内方向での屈折率差を示すパラメーターである。位相差層において上記棒状化合物が一方向に規則性を有して配列している場合には、特定方向の屈折率が大きくなるため、上記屈折率差が大きくなる傾向を有する。一方、上記棒状化合物がランダムに配列している場合は、上記位相差層の面内において特定方向の屈折率が大きくなるということが生じないため、上記屈折率差は小さくなる傾向を有する。したがって、このような屈折率差を示す面内レターデーション(Re)を評価することにより、上記「不規則性」を評価できるのである。
上記位相差層のReは、例えば、位相差フイルムのReから位相差層以外の層が示すReを差し引くことにより求めることができる。すなわち、位相差フイルム全体、および、位相差フイルムから位相差層を切除したものについてRe測定し、前者のReから後者のReを差し引くことにより位相差層のReを求めることができる。Reは、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。
上記棒状化合物がコレステリック構造を有しないことは、例えば、株式会社島津製作所製紫外可視金赤外分光光度計(UV−3100等)を用い、本発明における位相差層が、選択反射波長を有していないことを確認することにより評価できる。コレステリック構造を有する場合は、その特徴としてコレステリック構造の螺旋ピッチに依存する選択反射波長を有するからである。
次に、本発明におけるランダムホモジニアス配向が具備する「分散性」の確認方法について説明する。上記「分散性」は、本発明の位相差フイルムを構成する位相差層のヘイズ値が、上記棒状化合物のドメインの大きさが可視光領域の波長以下であることを示す範囲内であることにより確認することができる。なかでも本発明においては、位相差層のヘイズ値が0.1%〜1%の範囲内であることが好ましい。ここで、上記ヘイズ値は、JIS K7105に準拠して測定した値を用いるものとする。
ここで、位相差層のヘイズ値は、例えば、位相差フイルムのヘイズ値から位相差層以外の層のヘイズ値を差し引くことにより求めることができる。すなわち、位相差フイルム全体、および、位相差フイルムから位相差層を切除したものについてヘイズ値を測定し、前者のヘイズ値から後者のヘイズ値を差し引くことにより位相差層のヘイズ値を求めることができる。上記ヘイズ値は、JIS K7105に準拠して測定した値を用いるものとする。
ここで、ヘイズにより上記「分散性」を有していること、すなわち、上記棒状化合物が形成するドメインの大きさが可視光領域の波長よりも小さいことを確認できるのは、次の理由に基づくものである。すなわち、上記棒状化合物がドメインを形成している場合に、そのドメインの大きさが可視光の波長よりも大きい場合には、上記位相差層において可視光が散乱されるため、位相差層が白濁する傾向にある。したがって、可視光領域における上記位相差層のヘイズを測定することにより上記「分散性」を評価できるのである。
次に、本発明におけるランダムホモジニアス配向が具備する「面内配向性」の確認方法について説明する。上記「面内配向性」は、本発明の位相差フイルムを構成する位相差層の面内レターデーション(Re)の値が上述した範囲にあること、および、本発明における位相差層が負のCプレートとしての性質を示す厚み方向のレターデーション(Rth)値を有することにより確認することができる。なかでも本発明における位相差層の厚み方向レターデーション(Rth)は、50nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。ここで、上記厚み方向のレターデーション(Rth)は、本発明の位相差フイルムを構成する位相差層の面内における進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率Nx、および、遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率Nyと、厚み方向の屈折率Nzと、位相差層の厚みd(nm)とにより、Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×dの式で表される値である。
ここで、本発明におけるRth値は、上記式で表される値の絶対値を指すものとする。
ここで、本発明におけるRth値は、上記式で表される値の絶対値を指すものとする。
ここで、面内レターデーション(Re)および厚み方向のレターデーション(Rth)により、本発明における位相差層が、上記「面内配向性」を有していることを確認できるのは次に理由に基づくものである。すなわち、厚み方向のレターデーション(Rth)は上記定義式からも明らかなように、面内方向の屈折率の平均値と、厚み方向の屈折率との差に起因するパラメーターである。上述したように位相差層の面内レターデーション(Re)の値は上記「不規則性」から一定の範囲内の値を示すものであるため、上記厚み方向のレターデーション(Rth)の値は、厚み方向の屈折率(Nz)に依存することになる。ここで、厚み方向の屈折率(Nz)は上記棒状化合物が面内配向していることにより大きくなる傾向があり、この場合、厚み方向のレターデーション(Rth)の値は小さくなる傾向になる。したがって、位相差層の厚み方向のレターデーション(Rth)の値が上記範囲内であることにより、上記「面内配向性」を評価できるのである。
上記位相差層のRthは、例えば、位相差フイルムのRthから位相差層以外の層が示すRthを差し引くことにより求めることができる。すなわち、位相差フイルム全体、および、位相差フイルムから位相差層を切除したものについてRth測定し、前者のRthから後者のRthを差し引くことにより位相差層のRthを求めることができる。Rthは、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。
本発明の位相差フイルムは、上記AプレートまたはBプレートとしての性質、および、負のCプレートとしての性質を有する基材と、上記ランダムホモジニアス配向を形成した棒状化合物を含む位相差層とからなるものである。上記位相差層はランダムホモジニアス配向を形成した棒状化合物により負のCプレートとして作用する光学特性の発現性に優れたものになるため、本発明の位相差フイルムは、全体としてAプレートまたはBプレートとしての性質と負のCプレートとしての性質とを有するものになる。本発明の位相差フイルムはこのような光学特性を有することから、従来AプレートまたはBプレートと、負のCプレートとの2枚の位相差フイルムを用いて液晶表示装置の視野角依存性を改善する方法においては、本発明の位相差フイルム1枚のみでその目的を達成できるようになる。
図3(a),(b)は、従来のAプレートおよび負のCプレートが用いられた液晶表示装置の一例を示す概略断面図であり、図3(c)は本発明の位相差フイルムが用いられた液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。図3(a)〜(c)に示すように本発明の位相差フイルムによれば、例えば、図3(a),(b)において用いられているAプレート41と負のCプレート42の機能を、本発明の位相差フイルム10(図3(c))により1枚で果たすことができるため、液晶表示装置を薄型化できるという利点を有する。
本発明の位相差フイルムは、基材と、基材上に直接形成された位相差層とを有するものである。以下、このような各構成について詳細に説明する。
1.位相差層
まず、本発明の位相差フイルムを構成する位相差層について説明する。本発明における位相差層は、後述する基材上に直接形成されるものである。このように基材上に直接形成されることにより、本発明における位相差層は基材と強固に密着することができる。また、本発明における位相差層は、棒状化合物を含み、上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成しているものである。このように棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成することにより、本発明の位相差フイルムを負のCプレートとして作用する光学特性の発現性に優れたものにできるものである。
以下、このような位相差層について詳細に説明する。
まず、本発明の位相差フイルムを構成する位相差層について説明する。本発明における位相差層は、後述する基材上に直接形成されるものである。このように基材上に直接形成されることにより、本発明における位相差層は基材と強固に密着することができる。また、本発明における位相差層は、棒状化合物を含み、上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成しているものである。このように棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成することにより、本発明の位相差フイルムを負のCプレートとして作用する光学特性の発現性に優れたものにできるものである。
以下、このような位相差層について詳細に説明する。
(1)棒状化合物
本発明に用いられる棒状化合物について説明する。本発明に用いられる棒状化合物は、位相差層においてランダムホモジニアス配向を形成できるものであれば特に限定されない。
ここで、本発明における「棒状化合物」とは、分子構造の主骨格が棒状となってものを指し、このような棒状の主骨格を有する化合物としては、例えば、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類をあげることができる。また、以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
本発明に用いられる棒状化合物について説明する。本発明に用いられる棒状化合物は、位相差層においてランダムホモジニアス配向を形成できるものであれば特に限定されない。
ここで、本発明における「棒状化合物」とは、分子構造の主骨格が棒状となってものを指し、このような棒状の主骨格を有する化合物としては、例えば、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類をあげることができる。また、以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
本発明に用いられる棒状化合物は、分子量が比較的小さい化合物が好適に用いられる。具体的には、分子量が200〜1200の範囲内、特に400〜800の範囲内の化合物が好適に用いられる。分子量が上記範囲内であることにより、棒状化合物が後述する基材へ浸透しやすくなるため、基材と位相差層との接着部位における「混合」状態を形成し易くなり、基材と位相差層との密着性を向上することができるからである。
なお、後述する重合性官能基を有する材料であって、位相差層において重合される棒状化合物に関する上記分子量については、重合前の分子量を示すものとする。
なお、後述する重合性官能基を有する材料であって、位相差層において重合される棒状化合物に関する上記分子量については、重合前の分子量を示すものとする。
また、本発明に用いられる棒状化合物としては、液晶性を示す液晶性材料であることが好ましい。棒状化合物が液晶性材料であることにより、上記位相差層を、単位厚み当たりの光学特性の発現性に優れたものにできるからである。また、本発明における棒状化合物は、上記液晶性材料の中でもネマチック相を示す液晶性材料であることが好ましい。ネマチック相を示す液晶性材料は、ランダムホモジニアス配向を形成することが比較的容易だからである。
さらに、上記ネマチック相を示す液晶性材料は、メソゲン両端にスペーサを有する分子であることが好ましい。メソゲン両端にスペーサを有する液晶性材料は、柔軟性に優れるため、本発明における位相差層が白濁することを効果的に防止することができるからである。
本発明に用いられる棒状化合物は、分子内に重合性官能基を有するものが好適に用いられ、なかでも3次元架橋可能な重合性官能基を有するものが好ましい。上記棒状化合物が重合性官能基を有することにより、上記棒状化合物を重合して固定することが可能になるため、上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成している状態で固定化することにより、配列安定性に優れ、光学特性の変化が生じにくい位相差フイルムを得ることができるからである。また、本発明においては上記重合性官能基を有する棒状化合物と、上記重合性官能基を有さない棒状化合物とを混合して用いても良い。
なお、「3次元架橋」とは、液晶性分子を互いに3次元に重合して、網目(ネットワー
ク)構造の状態にすることを意味する。
ク)構造の状態にすることを意味する。
このような重合性官能基としては、特に限定されるものではなく、紫外線、電子線等の電離放射線、或いは熱の作用によって重合する各種重合性官能基が用いられる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、或いはカチオン重合性官能基等が挙げられる。さらにラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。又、カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。その他、重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。これらの中でもプロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
本発明における棒状化合物は、液晶性を示す液晶性材料であって、末端に上記重合性官能基を有するものが特に好ましい。例えば両末端に重合性官能基を有するネマチック液晶性材料を用いれば、互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができ、配列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差層を得ることができる。また、片末端に重合性官能基を有するものであっても、他の分子と架橋して配列安定化することができる。このような棒状化合物として、下記式(1)〜(6)で表される化合物を例示することができる。
ここで、化学式(1)、(2)、(5)および(6)で示される液晶性材料は、D.J.Broerら、Makromol.Chem.190,3201−3215(1989)、またはD.J.Broerら、Makromol.Chem.190,2250(1989)に開示された方法に従い、あるいはそれに類似して調製することができる。また、化学式(3)および(4)で示される液晶性材料の調製は、DE195,04,224に開示されている。
また、末端にアクリレート基を有するネマチック液晶性材料の具体例としては、下記化
学式(7)〜(17)に示すものも挙げられる。
学式(7)〜(17)に示すものも挙げられる。
なお、本発明において上記棒状化合物は、1種類のみを用いてもよく、または、2種以上を混合して用いても良い。
例えば、上記棒状化合物として、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料と、片末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料とを混合して用いると、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び光学特性を任意に調整できる点から好ましい。
例えば、上記棒状化合物として、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料と、片末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料とを混合して用いると、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び光学特性を任意に調整できる点から好ましい。
(2)他の化合物
本発明における位相差層には、上記棒状化合物以外に他の化合物を含んでも良い。このような他の化合物としては、上記棒状化合物のランダムホモジニアス配向を乱すものでなければ特に限定されない。このような他の化合物としては、光重合開始剤、重合禁止剤、レベリング剤、カイラル剤、シランカップリング剤等がある。
本発明における位相差層には、上記棒状化合物以外に他の化合物を含んでも良い。このような他の化合物としては、上記棒状化合物のランダムホモジニアス配向を乱すものでなければ特に限定されない。このような他の化合物としては、光重合開始剤、重合禁止剤、レベリング剤、カイラル剤、シランカップリング剤等がある。
(3)位相差層
本発明における位相差層の厚みは、上記棒状化合物の種類に応じて、位相差層に所望の光学特性を付与できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明においては位相差層の厚みが0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.5μm〜8μmの範囲内であることが好ましく、特に0.5μm〜6μmの範囲内であることが好ましい。位相差層の厚みが上記範囲よりも厚いと、ランダムホモジニアス配向の特徴の一つである「面内配向性」が損なわれる結果、所望の光学特性が得られない可能性があるからである。また、上記範囲よりも薄いと、上記棒状化合物の種類によっては、目標の光学特性が得られない可能性があるからである。
ここで、本発明の位相差フイルムにおいて、位相差層と後述する基材との接着部に両者が「混合」した混合領域を有する場合、上記位相差層に厚みに、上記混合領域の厚みは含まないものとする。
本発明における位相差層の厚みは、上記棒状化合物の種類に応じて、位相差層に所望の光学特性を付与できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明においては位相差層の厚みが0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.5μm〜8μmの範囲内であることが好ましく、特に0.5μm〜6μmの範囲内であることが好ましい。位相差層の厚みが上記範囲よりも厚いと、ランダムホモジニアス配向の特徴の一つである「面内配向性」が損なわれる結果、所望の光学特性が得られない可能性があるからである。また、上記範囲よりも薄いと、上記棒状化合物の種類によっては、目標の光学特性が得られない可能性があるからである。
ここで、本発明の位相差フイルムにおいて、位相差層と後述する基材との接着部に両者が「混合」した混合領域を有する場合、上記位相差層に厚みに、上記混合領域の厚みは含まないものとする。
本発明における位相差層の面内レターデーション(Re)は、上記ランダムホモジニアス配向が具備する「不規則性」および「面内配向性」の観点から、上述した通り0nm〜5nmの範囲内が好ましく、なかでも0nm〜3nmの範囲内が好ましく、特に0nm〜1nmの範囲内が好ましい。ここで、Re値の定義および測定方法については上述した通りであるため、ここでの説明は省略する。
また、本発明における位相差層の厚み方向のレターデーション(Rth)は、上記ランダムホモジニアス配向が具備する「面内配向性」の観点から、上述した通り、50nm〜400nmの範囲内が好ましく、なかでも100nm〜300nmの範囲内が好ましく、特に100nm〜200nmの範囲内が好ましい。ここで、Rth値の定義および測定方法については上述した通りであるため、ここでの説明は省略する。
また、本発明における位相差層のヘイズは、上記ランダムホモジニアス配向が具備する「分散性」の観点から、上述した通り1%以下の範囲内が好ましい。ここで、ヘイズの定義および測定方法については上述した通りであるため、ここでの説明は省略する。
本発明における位相差層の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されても良い。なお、位相差層が複数層から構成される場合は、少なくとも基材上に直接積層された位相差層が、ランダムホモジニアス配向を形成した棒状化合物を有すれば良い。
2.基材
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材はAプレートまたはBプレートとしての性質、と負のCプレートとしての性質を有するものである。後述するように本発明においては、上記位相差層が基材上に直接形成されることにより、上記位相差層に含まれる棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成するものであるため、本発明に用いられる基材は、上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成するための、いわゆる配向膜としての機能も有するものである。
以下、このような本発明に用いられる基材について説明する。
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材はAプレートまたはBプレートとしての性質、と負のCプレートとしての性質を有するものである。後述するように本発明においては、上記位相差層が基材上に直接形成されることにより、上記位相差層に含まれる棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成するものであるため、本発明に用いられる基材は、上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成するための、いわゆる配向膜としての機能も有するものである。
以下、このような本発明に用いられる基材について説明する。
本発明に用いられる基材としてAプレートまたはBプレートとしての性質を有するものを用いる理由は、本発明の位相差フイルムにAプレートまたはBプレートとしての機能を付与するためである。一方、本発明に用いられる基材として負のCプレートとしての性質を有するものを用いる理由は、本発明の位相差フイルムに負のCプレートとしての機能を付与すること、および、上記位相差層において棒状化合物をランダムホモジニアス配向させるためである。
上述したように本発明における基材は、上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成するための、いわゆる配向膜として機能するものであるが、基材が負のCプレートとしての性質を有さなければ上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成することができないため、上記負のCプレートとしての性質を有するものを用いる理由としては、特に後者の理由によるものである。
上述したように本発明における基材は、上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成するための、いわゆる配向膜として機能するものであるが、基材が負のCプレートとしての性質を有さなければ上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成することができないため、上記負のCプレートとしての性質を有するものを用いる理由としては、特に後者の理由によるものである。
本発明において、負のCプレートとしての性質を有する基材上に、上記棒状化合物を含む位相差層を形成することにより、上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成する機構については明らかではないが、次のような機構に基づくものと考えられる。
すなわち、例えば基材が高分子材料から形成される場合について考えると、基材が負のCプレートとしての性質を有する場合、基材を構成する高分子材料は、面内方向において特定の規則性を有さずランダムに配列していると考えられる。このような面内方向にランダムに配列した高分子材料を表面に有する基材上に上記棒状化合物を付与すると、上記棒状化合物は、基材中に一部浸透し、分子軸がランダムに配列した高分子材料の分子軸に沿うように配列すると考えられる。このような機構により、負のCプレートを有する基材は、ランダムホモジニアス配向を形成する配向膜としての機能を示すものと考えられる。
すなわち、例えば基材が高分子材料から形成される場合について考えると、基材が負のCプレートとしての性質を有する場合、基材を構成する高分子材料は、面内方向において特定の規則性を有さずランダムに配列していると考えられる。このような面内方向にランダムに配列した高分子材料を表面に有する基材上に上記棒状化合物を付与すると、上記棒状化合物は、基材中に一部浸透し、分子軸がランダムに配列した高分子材料の分子軸に沿うように配列すると考えられる。このような機構により、負のCプレートを有する基材は、ランダムホモジニアス配向を形成する配向膜としての機能を示すものと考えられる。
上述したような機構により、上記基材は棒状化合物のランダムホモジニアス配向を形成する配向膜としての機能を有すると考えられるため、本発明に用いられる基材は、棒状化合物に対して配向規制力を有し、かつ、負のCプレートとしての性質を発現する基材の構成材料が基材表面に存在する構成を有するものでなければならない。したがって、負のCプレートとしての性質を有する基材であったとしても、基材上に位相差層を形成した場合に、上記棒状化合物が、上記棒状化合物に対して配向規制力を有する基材の構成材料と接することができない構成を有するものは、本発明における基材として用いることができない。
このような本発明に用いることができない基材としては、例えば高分子材料のみからなり、負のCプレートとしての機能を有する支持体と、上記支持体上に屈折率異方性を有する光学異方性材料を含む位相差層が積層された構成を有する基材を挙げることができる。このような構成を有する基材においては、上記支持体を構成する高分子材料が上記棒状化合物に対する配向規制力を有する基材の構成材料となるが、基材上に上記位相差層を形成した場合、上記位相差層の存在により、上記棒状化合物が上記高分子材料と接することができない。したがって、このような構成を有する基材は、負のCプレートとしての性質を有していたとしても本発明における基材には含まれない。
このような本発明に用いることができない基材としては、例えば高分子材料のみからなり、負のCプレートとしての機能を有する支持体と、上記支持体上に屈折率異方性を有する光学異方性材料を含む位相差層が積層された構成を有する基材を挙げることができる。このような構成を有する基材においては、上記支持体を構成する高分子材料が上記棒状化合物に対する配向規制力を有する基材の構成材料となるが、基材上に上記位相差層を形成した場合、上記位相差層の存在により、上記棒状化合物が上記高分子材料と接することができない。したがって、このような構成を有する基材は、負のCプレートとしての性質を有していたとしても本発明における基材には含まれない。
本発明に用いられる基材は、AプレートまたはBプレートとしての性質と、負のCプレートとしての性質を有するものであれば特に限定されない。上記基材のAプレートとしての性質は、上述したように面内レターデーション(Re)が30nm以上であれば特に限定されるものではないが、本発明においては30nm〜250nmの範囲内であることが好ましく、なかでも30nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、特に30nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。本発明に用いられる基材のReが上記範囲内であることにより、本発明の位相差フイルムをAプレートとしての性質に優れたものにできるからである。なお、上記面内レターデーションの定義、および測定方法については、上述した内容と同様であるためここでの説明は省略する。
本発明に用いられる基材のBプレートとしての性質は、基材の上記Nx、Ny、および、NzについてNx>Ny>Nzの関係がするものであれば特に限定されないが、基材の厚み方向のレターデーション(Rth)が、30nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、なかでも30nm〜170nmの範囲内が好ましく、特に30nm〜140nmの範囲内であることが好ましい。さらには、基材の面内レターデーション(Re)が、10nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、なかでも10nm〜150nmの範囲内であることが好ましく、特に10nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
ここで、上記厚み方向のレターデーション(Rth)および面内レターデーション(Re)の定義、測定方法について上述した内容と同様であるためここでの説明は省略する。
ここで、上記厚み方向のレターデーション(Rth)および面内レターデーション(Re)の定義、測定方法について上述した内容と同様であるためここでの説明は省略する。
本発明に用いられる基材の負のCプレートとしての性質は、上述したように厚み方向のレターデーション(Rth)が10nm以上であれば特に限定されるものではないが、本発明においては、10nm〜250nmの範囲内であることが好ましく、なかでも25nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、特に40nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。本発明に用いられる基材のRthが上記範囲内であることにより、上記位相差層に含まれる棒状化合物について、より均質なランダムホモジニアス配向を形成することができるからである。なお、上記厚み方向のレターデーション(Rth)の定義、および測定方法については、上述した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明に用いられる基材の透明度は、本発明の位相差フイルムに求める透明性等に応じて任意に決定すればよいが、通常、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が低いと、上記棒状化合物等の選択幅が狭くなってしまう場合があるからである。ここで、基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明に用いられる基材の厚みは、本発明の位相差フイルムの用途等に応じて、必要な自己支持性を有するものであれば特に限定されない。なかでも本発明においては、10μm〜188μmの範囲内が好ましく、特に20μm〜125μmの範囲内が好ましく、特に30μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。基材の厚みが上記の範囲よりも薄いと、本発明の位相差フイルムに必要な自己支持性が得られない場合があるからである。また、厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、本発明の位相差フイルムを裁断加工する際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
ここで、本発明の位相差フイルムにおいて、位相差層と後述する基材との接着部に両者が「混合」した混合領域を有する場合、上記位相差層に厚みは、上記混合領域の厚みを含むものとする。
ここで、本発明の位相差フイルムにおいて、位相差層と後述する基材との接着部に両者が「混合」した混合領域を有する場合、上記位相差層に厚みは、上記混合領域の厚みを含むものとする。
また、本発明に用いられる基材は、上記光学特性を具備するものであれば、可撓性を有するフレキシブル材でも、可撓性のないリジッド材を用いることもできるが、フレキシブル材を用いることが好ましい。フレキシブル材を用いることにより、本発明の位相差フイルムの製造工程をロールトゥロールプロセスとすることができ、生産性に優れた位相差フイルムを得ることができるからである。
上記フレキシブル材を構成する材料としては、セルロース誘導体、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類などを例示することができるが、本発明においてはセルロース誘導体およびノルボルネン系ポリマーを好適に用いることができる。
上記ノルボルネン系ポリマーとしては、シクロオレフィンポリマー(COP)またはシクロオレフィンコポリマー(COC)を挙げることができるが、本発明においては、シクロオレフィンポリマーを用いることが好ましい。シクロオレフィンポリマーは、水分の吸収性および透過性が低いため、本発明に用いられる基材がシクロオレフィンポリマーから構成されることにより、本発明の位相差フイルムを光学特性の経時安定性に優れたものにできるからである。
本発明に用いられる上記シクロオレフィンポリマーの具体例としては、例えば、JSR株式会社製 商品名:ARTON;日本ゼオン株式会社製 商品名:ゼオノア;積水化学工業株式会社製 商品名:エスシーナ等を挙げることができる。
上記セルロース誘導体は、セルロースエステルを用いることが好ましく、さらに、セルロースエステル類の中では、セルロースアシレート類を用いることが好ましい。セルロースアシレート類は工業的に広く用いられていることから、入手容易性の点において有利だからである。
上記セルロースアシレート類としては、炭素数2〜4の低級脂肪酸エステルが好ましい。低級脂肪酸エステルとしては、例えばセルロースアセテートのように、単一の低級脂肪酸エステルのみを含むものでもよく、また、例えばセルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオネートのような複数の脂肪酸エステルを含むものであっても良い。
本発明においては、上記低級脂肪酸エステルの中でもセルロースアセテートを特に好適に用いることができる。セルロースアセテートとしては、平均酢化度が57.5〜62.5%(置換度:2.6〜3.0)のトリアセチルセルロースを用いることが最も好ましい。トリアセチルセルロースは、比較的嵩高い側鎖を有する分子構造を有することから、トリアセチルセルロースから基材を構成することにより、上記位相差層を形成する棒状化合物が基材に浸透し易いため、基材と位相差層との密着性をより向上することできるからである。また、トリアセチルセルロースは、負のCプレートとしての性質を発現しやすいことから、上記棒状化合物のランダムホモジニアス配向を形成することが容易になるからである。ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算により求めることができる。
本発明に用いられる基材は、延伸処理が施されていることが好ましい。延伸処理が施されていることにより、上記棒状化合物が基材中に浸透し易くなるため、より基材と位相差層との密着性に優れ、かつ、棒状化合物がより均質なランダムホモジニアス配向を形成することができるからである。
上記延伸処理としては、特に限定されるものではなく、基材を構成する材料等に応じて任意に決定すればよい。このような延伸処理としては、1軸延伸処理と、2軸延伸処理とを例示することができる。
上記延伸処理の延伸条件としては、基材に所望のAプレートまたはBプレートとしての性質、および、負のCプレートとしての性質を付与できる条件であれば、特に限定されるものではない。
本発明における基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されても良い。
異なった組成を有する複数の層が積層された基材の構成としては、例えば、トリアセチルセルロースのような上記棒状化合物をランダムホモジニアス配向させる材料からなるフイルムと、透水性に優れるシクロオレフィンポリマーからなる支持体と積層する態様を例示することができる。
異なった組成を有する複数の層が積層された基材の構成としては、例えば、トリアセチルセルロースのような上記棒状化合物をランダムホモジニアス配向させる材料からなるフイルムと、透水性に優れるシクロオレフィンポリマーからなる支持体と積層する態様を例示することができる。
3.位相差フイルム
本発明の位相差フイルムは、上記基材および位相差層以外に他の層を有していてもよい。このような他の層としては、例えば、反射防止層、紫外線吸収層、および、赤外線吸収層帯電防止層等を挙げることができる。
本発明に用いられる反射防止層としては、特に限定されないが、例えば、透明基材フィルム上に、該透明基材よりも低屈折率の物質からなる低屈折率層を形成したもの、或いは透明基材フィルム上に、該透明基材よりも高屈折率の物質からなる高屈折率層、及び該透明基材よりも低屈折率の物質からなる低屈折率層とを、この順に、交互に、各1層ずつ以上積層したものなどが挙げられる。これら高屈折率層、及び低屈折率層は、層の幾何学的厚と屈折率との積で表される光学厚みが反射防止すべき光の波長の1/4となるように、真空蒸着、塗工等により形成される。高屈折率層の構成材料としては、酸化チタン、硫化亜鉛等が、低屈折率層の構成材料としては、弗化マグネシウム、氷晶石等が用いられる。
また、本発明に用いられる紫外線吸収層としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等のフィルム中に、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物等から成る紫外線吸収剤を添加して成膜したものが挙げられる。
また、本発明に用いられる赤外線吸収層としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル樹脂等のフィルム基材上に赤外線吸収層を塗工等により形成したものが挙げられる。赤外線吸収層としては、例えば、ジインモニウム系化合物、フタロシアニン系化合物等から成る赤外線吸収剤を、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等から成るバインダー樹脂中に添加して成膜したものが用いられる。
本発明の位相差フイルムの厚みは、所望の光学特性を発現できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、通常、20μm〜150μmの範囲内が好ましく、特に25μm〜130μmの範囲内が好ましく、なかでも30μm〜110μmの範囲内であることが好ましい。
また本発明の位相差フイルムは、JIS K7105に準拠して測定したヘイズ値が0%〜2%の範囲内であることが好ましく、特に0%〜1.5%の範囲内であることが好ましく、なかでも0%〜1%の範囲内であることが好ましい。
本発明の位相差フイルムの厚み方向のレターデーションは、本発明の用途等に応じて適宜選択すれば良く、特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、厚み方向のレターデーション(Rth)が、60nm〜450nmの範囲内が好ましく、なかでも70nm〜400nmの範囲内が好ましく、特に80nm〜350nmの範囲内が好ましい。厚み方向のレターデーション(Rth)が上記範囲内であることにより、本発明の位相差フイルムをVA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置の視野角特性を改善するのに好適なものにできるからである。
また、本発明の位相差フイルムの面内レターデーション(Re)は、本発明の位相差フイルムの用途等に応じて適宜選択すれば良く、特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、面内レターデーション(Re)が、20nm〜150nmの範囲内が好ましく、なかでも30nm〜130nmの範囲内が好ましく、特に40nm〜110nmの範囲内が好ましい。面内レターデーション(Re)が上記範囲内であることにより、本発明の位相差フイルムを、VA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置の視野角特性を改善するのに好適な位相差フイルムとして用いることができるからである。
上記面内レターデーション(Re)値は、波長依存性を有していても良い。例えば、長波長側の方が短波長側よりも値が大きい態様でもよく、また、短波長側の方が、長波長側よりも値が大きい態様でも良い。このような面内レターデーション(Re)値の波長依存性を有することにより、可視光域の全域において液晶表示装置の視野角特性を改善できるからである。
本発明の位相差フイルムの用途としては、特に限定されるものではなく、例えば、液晶表示装置に用いられる光学補償板(例えば、視角補償板)、楕円偏光板、輝度向上板等を挙げることができる。なかでも本発明の位相差フイルムは、液晶表示装置の視野角依存性改善のための光学補償板として好適に用いることができる。さらに、本発明の位相差フイルムはAプレートまたはBプレートとしての性質と、負のCプレートとしての性質を備えることから、VA方式の液晶表示装置用の光学補償板として最も好適に用いることができる。
本発明の位相差フイルムをVA方式の液晶表示装置の光学補償板として用いる態様としては、所望の視野角特性が得られる態様であれば特に限定されない。本発明の位相差フイルムをVA方式の液晶表示装置の光学補償板として用いる態様について図を参照しながら具体的に説明する。図4は、本発明の位相差フイルムをVA方式の液晶表示装置の光学補償板として用いる態様を説明する概略図である。図4(a)は、本発明の位相差フイルムを使用していない、一般的なVA方式の液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。図4(a)に示すように、一般的な液晶表示装置は、液晶セル104が2枚の偏光板30で挟持された構成を有する。上記偏光板30は、偏光子52の両面に偏光板保護フイルム51が積層された形成を有するものである。
図4(b)は、本発明の位相差フイルムを用いた液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。図4(b)に示すように、本発明の位相差フイルムを光学補償板として用いる態様としては、液晶セル104とバックライト側の偏光板30との間に、本発明の位相差フイルム10を積層する態様を挙げることができる。このような態様によれば、従来の液晶表示装置に用いられてきた部材をそのまま用いることができるという利点を有する。
図4(c)は、本発明の位相差フイルムを用いた液晶表示装置の他の例を示す概略断面図である。図4(c)に示すように、本発明の位相差フイルムを光学補償板として用いる態様としては、本発明の位相差フイルム10をバックライト側の偏光板31を構成する偏光板保護フイルムに代替して用いる態様を挙げることができる。このような態様によれば、本発明の位相差フイルムが、視野角依存性改善のための光学補償板としての機能と、偏光板保護フイルムとしての機能とを担うことができるため、液晶表示装置をさらに薄型化することができる。
図4(b)は、本発明の位相差フイルムを用いた液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。図4(b)に示すように、本発明の位相差フイルムを光学補償板として用いる態様としては、液晶セル104とバックライト側の偏光板30との間に、本発明の位相差フイルム10を積層する態様を挙げることができる。このような態様によれば、従来の液晶表示装置に用いられてきた部材をそのまま用いることができるという利点を有する。
図4(c)は、本発明の位相差フイルムを用いた液晶表示装置の他の例を示す概略断面図である。図4(c)に示すように、本発明の位相差フイルムを光学補償板として用いる態様としては、本発明の位相差フイルム10をバックライト側の偏光板31を構成する偏光板保護フイルムに代替して用いる態様を挙げることができる。このような態様によれば、本発明の位相差フイルムが、視野角依存性改善のための光学補償板としての機能と、偏光板保護フイルムとしての機能とを担うことができるため、液晶表示装置をさらに薄型化することができる。
また本発明の位相差フイルムは、偏光層と貼り合わせることにより、偏光フイルムとしての用途にも用いることができる。偏光フィルムは、通常偏光層とその両表面に保護層が形成されてなるものであるが、本発明においては、例えばその一方側の保護層を上述した位相差フイルムとすることにより、例えば液晶表示装置の視野角特性を改善する光学補償機能を有する偏光フィルムとすることができる。
上記偏光層としては、特に限定されないが、例えばヨウ素系偏光層、二色性染料を用いる染料系偏光層やポリエン系偏光層などを用いることができる。ヨウ素系偏光層や染料系偏光層は、一般にポリビニルアルコールを用いて製造される。
4.位相差フイルムの製造方法
次に、本発明の位相差フイルムの製造方法について説明する。本発明の位相差フイルムの製造方法は、上記基材上に、ランダムホモジニアス配向を有する位相差層を形成できる方法であれば特に限定されないが、通常、上記基材上に、上記棒状化合物を溶媒に溶解して調製した位相差層形成用組成物を塗工する方法が用いられる。このような方法によれば、上記棒状化合物を溶媒と共に上記基材中へ染み込ませることが可能となるため、上記棒状化合物と、上記基材を構成する材料との相互作用を強めることができる結果、上記棒状化合物のランダムホモジニアス配向を形成し易くなるからである。以下、このような位相差フイルムの製造方法について説明する。
次に、本発明の位相差フイルムの製造方法について説明する。本発明の位相差フイルムの製造方法は、上記基材上に、ランダムホモジニアス配向を有する位相差層を形成できる方法であれば特に限定されないが、通常、上記基材上に、上記棒状化合物を溶媒に溶解して調製した位相差層形成用組成物を塗工する方法が用いられる。このような方法によれば、上記棒状化合物を溶媒と共に上記基材中へ染み込ませることが可能となるため、上記棒状化合物と、上記基材を構成する材料との相互作用を強めることができる結果、上記棒状化合物のランダムホモジニアス配向を形成し易くなるからである。以下、このような位相差フイルムの製造方法について説明する。
上記位相差層形成用組成物は、通常、棒状化合物と、溶媒とからなり、必要に応じて他の化合物を含んでも良い。なお、上記位相差層形成用組成物に用いられる棒状化合物、および基材については、上記「1.位相差層」および「2.基材」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記位相差層形成用組成物に用いられる溶媒としては、上記棒状化合物を所望の濃度に溶解できるものであり、かつ、基材を侵蝕しないものであれば特に限定されない。本発明に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、本発明に用いられる溶媒は、1種類でもよく、2種類以上の溶媒の混合溶媒でもよい。
本発明においては上記の溶媒の中でも、ケトン系溶媒を用いることが好ましく、なかでもシクロヘキサンが好適に用いられる。
上記位相差層形成用組成物中における上記棒状化合物の含有量は、上記位相差層形成を基材上に塗布する塗工方式等に応じて、上記位相差層形成用組成物の粘度を所望の値にできる範囲内であれば得に限定されない。なかでも本発明においては、上記棒状化合物の含有量が、上記位相差層形成用組成物中、10質量%〜30質量%の範囲内が好ましく、特に10質量%〜25質量%の範囲内が好ましく、なかでも10質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
上記位相差層形成用組成物中には、必要に応じて光重合開始剤を含んでも良い。特に紫外線照射により位相差層を硬化させる処理を実施する場合には、光重合開始剤を含むことが好ましい。本発明に用いられる光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。本発明では、これらの光重合開始剤を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、上記光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始助剤を併用することができる。このような光重合開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の3級アミン類や、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミド安息香酸エチル等の安息香酸誘導体を例示することができるが、これらに限られるものではない。
上記位相差層形成用組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、下記に示すような化合物を添加することができる。添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミノ基エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物;アクリル基やメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。上記位相差層形成用組成物に対するこれら化合物の添加量は、本発明の目的が損なわれない範囲で決定することができる。上記のような化合物を添加することにより位相差層の機械強度が向上し、安定性が改善される場合がある。
上記位相差層形成用組成物には、必要に応じて上記以外の他の化合物を含んでもよい。他の化合物としては、本発明の位相差フイルムの用途等に応じて、位相差層の光学的性質を害さないものであれば特に限定されるものではない。
上記位相差層形成用組成物を配向層上に塗工する塗布方式としては、所望の平面性を達成できる方法であれば、特に限定されるものではない。具体的には、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などを例示することができるが、これに限られるものではない。
上記位相差層形成用組成物の塗膜の厚みについても、所望の平面性を達成できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、通常、0.1μm〜50μmの範囲内が好ましく、特に0.5μm〜30μmの範囲内が好ましく、中でも0.5μm〜10μmの範囲内が好ましい。位相差層形成用組成物の塗膜の厚みが上記範囲より薄いと位相差層の平面性を損なってしまう場合があり、また厚みが上記範囲より厚いと、溶媒の乾燥負荷が増大し、生産性が低下してしまう可能性があるからである。
上記位相差層形成用組成物の塗膜の乾燥方法は、加熱乾燥方法、減圧乾燥方法、ギャップ乾燥方法等、一般的に用いられる乾燥方法を用いることができる。また、本発明における乾燥方法は、単一の方法に限られず、例えば残留する溶媒量に応じて順次乾燥方式を変化させる等の態様により、複数の乾燥方式を採用してもよい。
上記棒状化合物として重合性材料を用いる場合、上記重合性材料を重合する方法は、特に限定されるものではなく、上記重合性材料が有する重合性官能基の種類に応じて任意に決定すればよい。なかでも本発明においては、活性放射線の照射により硬化させる方法が好ましい。活性放射線としては、重合性材料を重合することが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光または可視光を使用することが好ましく、中でも、波長が150〜500nm、好ましくは250〜450nm、さらに好ましくは300〜400nmの照射光を用いることが好ましい。
この照射光の光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などが例示できる。中でも、メタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等の使用が推奨される。また、照射強度は、光重合開始剤の含有量等によって適宜調整して照射することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
棒状化合物として下記式(I)で表される光重合性液晶化合物をシクロヘキサノンに20質量%溶解させ、一軸延伸COP(シクロオレフィンポリマー)フィルム(JSR株式会社製、商品名:ARTON)にバーコーティングにより塗工した。次いで、50℃で2分間加熱して溶剤を除去した。さらに、塗工面に紫外線を照射することにより、上記光重合性液晶化合物を固定化し、さらに90℃で2分間加熱して残留溶媒を除去して位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムをサンプルとして、以下の項目で評価した。
1.ランダムホモジニアス配向
作製した位相差フイルムの位相差層についてReおよび選択反射波長の有無、Rth,および、ヘイズを評価した。測定はそれぞれ位相差フイルム全体と、上記一軸延伸COP(シクロオレフィンポリマー)フィルム(JSR株式会社製、商品名:ARTON)とについて行い、測定値から後者の測定値を差し引くことにより行った。ここで、上記、Re、Rthの測定には、王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−21ADHを用いた。また、上記ヘイズの測定には日本電色工業株式会社製、商品名:NDH2000を用いた。さらに、上記選択反射波長の有無の確認には、株式会社島津製作所製 商品名:UV−3100PCを用いた。その結果、作製した位相差フイルムの位相差層は、Re=2.9nm、Rth=106.6nm、ヘイズ=0.04%であり、かつ、選択反射波長を有していなかった。これにより、作製した位相差フイルムの位相差層においては、上記光重合性液晶化合物がランダムホモジニアス配向しているとを確認した。
作製した位相差フイルムの位相差層についてReおよび選択反射波長の有無、Rth,および、ヘイズを評価した。測定はそれぞれ位相差フイルム全体と、上記一軸延伸COP(シクロオレフィンポリマー)フィルム(JSR株式会社製、商品名:ARTON)とについて行い、測定値から後者の測定値を差し引くことにより行った。ここで、上記、Re、Rthの測定には、王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−21ADHを用いた。また、上記ヘイズの測定には日本電色工業株式会社製、商品名:NDH2000を用いた。さらに、上記選択反射波長の有無の確認には、株式会社島津製作所製 商品名:UV−3100PCを用いた。その結果、作製した位相差フイルムの位相差層は、Re=2.9nm、Rth=106.6nm、ヘイズ=0.04%であり、かつ、選択反射波長を有していなかった。これにより、作製した位相差フイルムの位相差層においては、上記光重合性液晶化合物がランダムホモジニアス配向しているとを確認した。
2.光学特性
サンプルの位相差を自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−21ADH)により測定した。測定光をサンプル表面に対して垂直あるいは斜めから入射して、その光学位相差と測定光の入射角度のチャートから基材フィルムの位相差を増加させる異方性を確認した。また、同測定装置により、3次元屈折率を測定した。その結果が下記表1である。
サンプルの位相差を自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−21ADH)により測定した。測定光をサンプル表面に対して垂直あるいは斜めから入射して、その光学位相差と測定光の入射角度のチャートから基材フィルムの位相差を増加させる異方性を確認した。また、同測定装置により、3次元屈折率を測定した。その結果が下記表1である。
3.ヘイズ
サンプルの透明性を調べるため、濁度計(日本電色工業株式会社製、商品名:NDH2000)によりヘイズ値を測定した。その結果、塗工量3g/m2で0.3%以下と良好であった。
サンプルの透明性を調べるため、濁度計(日本電色工業株式会社製、商品名:NDH2000)によりヘイズ値を測定した。その結果、塗工量3g/m2で0.3%以下と良好であった。
4.密着性試験
密着性を調べるために、剥離試験を行った。剥離試験としては、得られたサンプルに1mm角の切れ目碁盤目状に入れ、接着テープ(ニチバン株式会社製、セロテープ(登録商標))を液晶面に貼り付け、その後テープを引き剥がし、目視により観察した。その結果、密着度は100%であった。
密着度(%)=(剥がれなかった部分/テープを貼り付けた領域)×100
密着性を調べるために、剥離試験を行った。剥離試験としては、得られたサンプルに1mm角の切れ目碁盤目状に入れ、接着テープ(ニチバン株式会社製、セロテープ(登録商標))を液晶面に貼り付け、その後テープを引き剥がし、目視により観察した。その結果、密着度は100%であった。
密着度(%)=(剥がれなかった部分/テープを貼り付けた領域)×100
5.耐湿熱試験
サンプルを90℃の熱水に60分間浸し、上述した方法により光学特性及び密着性を測定した。その結果、試験前後で光学特性及び密着性の変動は見られなかった。
サンプルを90℃の熱水に60分間浸し、上述した方法により光学特性及び密着性を測定した。その結果、試験前後で光学特性及び密着性の変動は見られなかった。
6.耐水試験
サンプルを室温(23.5℃)下で純水に1日浸し、上述した方法により光学特性及び密着性を測定した。その結果、試験前後で光学特性及び密着性の変動は見られなかった。
サンプルを室温(23.5℃)下で純水に1日浸し、上述した方法により光学特性及び密着性を測定した。その結果、試験前後で光学特性及び密着性の変動は見られなかった。
1 … 基材
2 … 位相差層
3 … 棒状化合物
10 … 位相差フイルム
21 … 基材
22 … 配向層
23 … 位相差層
30、31 … 偏光板
41、42 … 位相差フイルム
51 … 偏光板保護フイルム
52 … 偏光子
100 … 液晶表示装置
102A、102B … 偏光板
104 … 液晶セル
2 … 位相差層
3 … 棒状化合物
10 … 位相差フイルム
21 … 基材
22 … 配向層
23 … 位相差層
30、31 … 偏光板
41、42 … 位相差フイルム
51 … 偏光板保護フイルム
52 … 偏光子
100 … 液晶表示装置
102A、102B … 偏光板
104 … 液晶セル
Claims (10)
- AプレートまたはBプレートとしての性質、および、負のCプレートとしての性質を有する基材と、棒状化合物を含む位相差層とを有する位相差フイルムであって、
前記位相差層が、前記基材上に直接形成されており、かつ、前記位相差層において前記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成していることを特徴とする、位相差フイルム。 - 前記基材の面内レターデーション(Re)が、40nm〜200nmの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の位相差フイルム。
- 前記基材の厚み方向レターデーション(Rth)が、10nm〜150nmの範囲内であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の位相差フイルム。
- 前記基材がシクロオレフィンポリマー(COP)からなることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の位相差フイルム。
- 前記棒状化合物が重合性官能基を有するものであることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の位相差フイルム。
- 前記棒状化合物が液晶性材料であることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の位相差フイルム。
- 前記液晶性材料がネマチック相を示す材料であることを特徴とする、請求項6に記載の位相差フイルム。
- 前記位相差層の厚みが0.3μm〜10μmの範囲内であることを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の位相差フイルム。
- 面内レターデーション(Re)が、40nm〜200nmの範囲内であることを特徴とする、請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の位相差フイルム。
- 厚み方向レターデーション(Rth)が、50nm〜300nmの範囲内であることを特徴とする、請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の位相差フイルム。
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Cited By (2)
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JP2008191250A (ja) * | 2007-02-01 | 2008-08-21 | Dainippon Printing Co Ltd | 位相差フィルム、および、位相差フィルムの製造方法 |
WO2014156981A1 (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-02 | 富士フイルム株式会社 | 位相差フィルムの製造方法 |
-
2005
- 2005-09-29 JP JP2005285680A patent/JP2007094208A/ja not_active Withdrawn
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