JP2007093230A - 標的dna解析方法及び解析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
予め被験サンプルを蛍光標識する必要がなく、また被験サンプルの量が少なくてすむ、高感度で、正確かつ簡便な標的DNAの解析手段を提供する。
【解決手段】
標的DNAを認識する電気泳動媒体を有する電気泳動手段に被験サンプルを導入して電気泳動を行うに際して、該電気泳動手段の陽極側端部にDNAを特異的に染色する蛍光染色液を供給して、電気泳動媒体から順次溶出してくるDNA成分を蛍光染色し、該蛍光染色されたDNA成分を蛍光検出器に送液することにより、蛍光強度及びその検出時間を測定する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、被験サンプル中の特定の塩基配列を持つDNA(標的DNA)を解析するための解析装置及び方法に関するものである。
2004年に信頼性の高いヒトゲノム遺伝子配列が報告されて以来、医療分野におけるゲノム研究がますます盛んになってきた。なかでも、特定の塩基配列を持つDNA(標的DNA)を検出する方法は、疾病遺伝子の解明、疾病の予防や診断、薬に対する感受性の評価等に利用されることが期待され、様々な検出方法や検出装置が開発されている。より高速で高効率の測定方法を提供するため、検出装置のマイクロ化も進んでいる。DNA断片を分離し検出する方法としては、マイクロ流路チップ(例えば、特許文献1〜3、非特許文献1参照)やキャピラリー電気泳動(例えば非特許文献2参照)が広く用いられているが、標的DNAを検出する場合、DNA断片の混合物あるいは分離物より標的DNAを特定して検出する方がより目的にかなっていると思われる。この条件を備えている方法としては、DNAチップ(DNAマイクロアレイ、非特許文献4参照)、プローブDNAを用いたアフィニティー電気泳動(特許文献4参照)、プローブDNAを固定化したナノ粒子(特許文献5、非特許文献5)等が開発されている。
DNAチップは、顕微鏡のスライドグラスよりも小さな基盤上に、1つあるいは複数のプローブDNAをそれぞれ直径1mm未満のスポット状に固定し、配列したものを使用する。被検サンプルは、あらかじめ蛍光物質やアイソトープでラベルした1本鎖DNAあるいはRNAを用い、DNAチップ上のプローブDNAとハイブリダイゼーションを行った後、被検サンプル中のDNAあるいはRNAと相補的に結合したプローブDNAのスポットをフルオロイメージャーやオートラジオグラフィー等で検出する方法である。一度に多くのプローブDNAとのスクリーニングが可能で、結果は、基盤上に配列されたプローブDNAのスポットの蛍光染色パターンにより解析される。あらかじめ標的DNAに相補的な塩基配列を持つプローブDNAをDNAチップ上に固定すれは、標的DNAを検出することが可能である。被検サンプルをあらかじめ変性し、蛍光物質やアイソトープでラベル化するため、被検サンプルの調製に手間がかかるが、高感度の蛍光検出やアイソトープでの検出が利用できる。
プローブDNA を用いたアフィニティー電気泳動は、標的DNAと相補的な塩基配列を持つプローブDNA を結合したポリアクリルアミド溶液を、キャピラリーに充填したものを用いる。蛍光標識した被検サンプルを電気泳動すると、プローブDNAと標的DNAは2本鎖を形成しながらゆっくり泳動するが、標的でないDNAはプローブDNAと相互作用せずに泳動する。その結果、標的DNAは、標的でないDNA より遅れてキャピラリーから溶離することを利用した方法である。DNAチップと同様、被検サンプルの変性、ラベル化を必要とするため、被検サンプルの調製に手間がかかる欠点があるが、その反面、高感度の蛍光検出を利用できるという利点がある。
プローブDNAを固定化したナノ粒子を用いる方法は、ポリマーあるいは金コロイド粒子に標的DNAと相補的な塩基配列を持つプローブDNAを固定あるいは吸着させたDNAナノ粒子を用いる。被検サンプル中の標的DNAとDNAナノ粒子とを適当な溶液中でハイブリダイゼーションした場合、粒子表面の状態(例えば荷電状態)が変化し、DNAナノ粒子同士の凝集が生じる。この凝集をハイブリダイゼーション溶液の濁度や色調の変化で観察する方法である。一方、被検サンプル中の標的でないDNAは、DNAナノ粒子とハイブリダイゼーションを起こさず、粒子表面の状態が変化しないので、DNAナノ粒子同士の凝集は生じず、ハイブリダイゼーション溶液の濁度や色調の変化は起こらない。この方法は、条件が整えば目視で観察可能なので、特別な検出器が必要無く、手軽に標的DNAを検出できる反面、上述のDNAチップやアフィニティー電気泳動で使用している蛍光検出に比べ、検出感度が低いという欠点がある。また、被検サンプルのラベル化が不要であるので、サンプル調製の手間を省くことができるという特徴がある。
一方、近年、装置のマイクロ化とともに、必要な被検サンプルの量も飛躍的に少なくなり、そのため、非常に高い検出感度が求められている。上述のマイクロ流路チップ、キャピラリー電気泳動、DNAマイクロアレイ、プローブDNA を用いたアフィニティー電気泳動は、被検サンプルをあらかじめ蛍光標識し、これを蛍光検出に利用する為、検出感度は非常に高いものの、被検サンプルをあらかじめ1本鎖に変性、蛍光標識を施さなければならない。
この手間を省く為、マイクロ流路チップに関しては、非標識のサンプルを検出することのできる熱レンズ顕微鏡を備えた検出装置が開発されている(非特許文献8参照)。熱レンズ顕微鏡は、検出感度に優れているものの、分子の光吸収によって引き起こされる熱の放出を溶媒の屈折率変化として計測することにより物質量を定量する光熱変換顕微分光分析法であるため、励起光を吸収するような夾雑物質も検出されてしまい、DNAに特異的な検出方法ではない。このほか、プローブDNAを固定化したナノ粒子を使用する方法もあるが、この方法は、目視により濁度や色調の変化を検出するので、検出に特別な装置は必要なく、手軽な方法であるけれども、検出感度は低い。
特開2000-310613号公報 特開2000-310614号公報 特開2000-319615号公報 特開2004-191368号公報 特開2001-252098号公報 島津評論、58、101-109 (2002) Electrophoresis, 25, 2332-2345 (2004) Nature, 405, 827-836 (2000) 日経サイエンス、2002年6月号、20-27 JACS, 126, 10958-10961 (2004) 蛋白質核酸酵素、48、1595-1601 (2003)
このような上記DNA検出技術の現状に鑑み、本発明者等は、先に、2本鎖DNAを鋳型としてインプリントした空孔を有すると共に、該空孔内に2本鎖DNAの塩基対を認識する置換基を配したポリマーゲルを電気泳動媒体とし、この電気泳動媒体を使用して、標的2本鎖DNAを検出する手法を開発している(特願2004 46474号公報)。
この手法は、2本鎖DNAのまま標的DNAを塩基特異的に検出できる点で画期的なものではあるが、被験サンプルの量を比較的多く必要とする点で未だ満足なものではなかった。また、被験サンプルを電気泳動にかける前に予め蛍光色素で標識するという操作を必要としない反面、泳動後に、電気泳動装置から泳動ゲルを取り出し、該泳動ゲル中のDNAを染色、検出する操作を必要とし、検出の自動化ができないという欠点があった。そこで、本発明の課題は、これらのDNA検出技術における従来技術の問題点を解消しうる、新たなDNA検出手段を提供する点にあり、
より、具体的には、
1)検出に必要な被験サンプルの量が少量でも、高感度にDNAを検出できるとともに、2)被験サンプルを予め蛍光標識することなく、そのままの使用でも検出の自動化を可能にし、さらに、3)標的DNAとして1本鎖DNAのみならず2本鎖DNAも、塩基特異的に検出でき、一方、4)上記検出に加え、標的DNAの定量、DNA鎖長の測定及び/または分離も行うことが可能な新規DNA解析装置、方法を提供する点にある。
本発明者等は、上記2本鎖DNAをインプリントしたポリマーゲルを使用する標的2本鎖DNAの検出手法をさらに改良すべく鋭意研究した結果、被験サンプル中の標的DNAを認識する電気泳動媒体を有する電気泳動手段を用いて、被験サンプルの電気泳動を行い、該キャピラリーチューブの陽極側端部にDNAを特異的に染色する蛍光染色液を供給し、電気泳動媒体から順次溶出するDNA成分を蛍光染色し、さらに、該蛍光染色されたDNA成分を蛍光検出器に送液して蛍光及びその検出時間を測定することを含む、新規な標的DNAの解析手段を開発した。そして、この手段は、上記2本鎖DNAをインプリントしたポリマーゲルを使用する場合において、極めて有用であることを実験により確認したが、こればかりでなく、例えば、プローブDNAを使用するアフィニティー電気泳動等の標的DNAの検出等においても有効に適用できることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)被験サンプル中の標的DNAを認識する電気泳動媒体を有する電気泳動手段が設けられた標的DNAの解析装置であって、該電気泳動手段の陽極側端部に、DNAを特異的に染色する蛍光染色液を供給して電気泳動媒体から順次溶出する被験サンプル中のDNA成分を蛍光染色する手段と、該蛍光染色されたDNA成分を蛍光検出器に送液して、蛍光強度及びその検出時間を測定する手段とを有することを特徴とする、標的DNAの解析装置。
(2)被験サンプル中の標的DNAを認識する電気泳動媒体を有する電気泳動手段が、被験サンプル中のDNAを認識しない電気泳動媒体有する電気泳動手段と交換可能に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の標的DNAの解析装置。
(3)標的DNAを認識する電気泳動媒体が、2本鎖DNA分子形状が鋳型としてインプリントされた空孔を有するとともに、該空孔内に2本鎖DNAの塩基対を認識する置換基を有するポリマーゲルであることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の標的DNAの解析装置。
(4)ポリマーゲルが架橋されたポリアクリルアミドゲルであることを特徴とする、上記(3)に記載の標的DNAの解析装置。
(5)上記2本鎖DNAの塩基対を認識する置換基が、以下の化学構造を有することを特徴とする、上記(3)または(4)に記載の標的DNAの解析装置。
Figure 2007093230
(但し、式中、Yは、CH又はNを表す。)
(6)ポリマーゲルがキャピラリーチューブに充填されていることを特徴とする、上記(3)〜(5)のいずれかに記載の標的DNAの解析装置。
(7)上記(6)に記載のキャピラリーチューブと、インプリントされた空孔を有しないほかは上記(6)に記載のポリマーゲルと同一のポリマーゲルが充填されたキャピラリーチューブとが交換可能に設けられることを特徴とする、上記(6)に記載の標的DNAの解析装置。
(8)上記(3)〜(5)のいずれかに記載のポリマーゲルが充填されたキャピラリーチューブ。
(9)上記(8)に記載のキャピラリーチューブと、インプリントされた空孔を有しないほかは上記(8)に記載のポリマーゲルと同一のポリマーゲルが充填されたキャピラリーチューブとからなることを特徴とする、標準DNA解析用の電気泳動媒体キット。
(10) 標的DNAを認識する電気泳動媒体を有する電気泳動手段に被験サンプルを導入して電気泳動を行うに際して、該電気泳動手段の陽極側端部にDNAを特異的に染色する蛍光染色液を供給して、電気泳動媒体から順次溶出してくるDNA成分を蛍光染色し、該蛍光染色されたDNA成分を蛍光検出器に送液することにより、蛍光強度及びその検出時間を測定することを特徴とする、標的DNAの解析方法。
(11) 標的DNAを認識する電気泳動媒体を使用した場合におけるDNA成分の検出時間と、標的DNAを認識しない電気泳動媒体を使用した場合におけるDNA成分の検出時間の比較を行うことを特徴とする、上記(10)に記載の標的DNAの解析方法。
(12)標的DNAを認識する電気泳動媒体が、2本鎖DNA分子形状が鋳型としてインプリントされた空孔を有するとともに、該空孔内に2本鎖DNAの塩基対を認識する置換基を有するポリマーゲルであり、標的DNAを認識しない電気泳動媒体が、インプリントされた空孔を有しないほかは、前記ポリマーゲルと同一のポリマーゲルであることを特徴とする、上記(12)に記載の標的DNAの解析方法。
本発明によれば、高感度に標的DNAを検出できるため、検出に必要な被験サンプルの量が少量でよく、 また、本発明においては、電気泳動後、溶出してくるDNA成分と、DNAを特異的に染色する蛍光染色液とを接触させることで自動的に被験サンプル中のDNA成分が蛍光標識されるので、予め被験サンプルを蛍光標識する必要がなく、操作が簡便であり、さらに、2本鎖DNAをインプリントしたポリマーゲルを電気泳動媒体として使用すれば、2本鎖の標的DNAも、塩基特異的に検出できる。
さらに、本発明によれば、上記のような検出に加え、さらに、標的DNAの定量、分子長の測定、分離も行い得る。このような効果を有する本発明は、SNPsなど特定の塩基配列を持つDNAに起因する病気の予防診断、薬に対する感受性の評価、遺伝子組み換え作物の検出、環境中に存在する微生物の検出等において、広く利用することができる。
本発明による標的DNAの解析について、図2及び3に基づき以下に説明する。
本発明における標的DNA解析装置の例は、標的DNAを認識する電気泳動媒体を充填したキャピラリーチューブ6からなる電気泳動部と、該電気泳動媒体の陽極側末端と陽極側泳動槽5との間に、DNA特異的に反応する蛍光染色液の送液槽3を備える。キャピラリーチューブ6の陽極側端部には、送液層3中の蛍光染色液の流入孔11を有する部材が設けられている。また、該部材には、ペリスタポンプ等のポンプ手段9,蛍光検出器7に接続するチューブ10が取り付けられ、さらに、蛍光検出器7の測定値を記録する記録部8が設けられている。
また、パワーサプライ1の陽極は、陽極側泳動層5、泳動用緩衝液で湿らせたろ紙4及び上記蛍光染色液の送液槽3を介して上記キャピラリーチューブの陽極側端部に、電気的に接続し、一方、パワーサプライ1の陰極は、陰極側泳動槽2を介してキャピラリーチューブの陰極側端部に電気的に接続し、これらにより、キャピラリーチューブ中の電気泳動媒体に通電可能に構成されている。
この標的DNA検出装置による被験サンプル中の標的DNAの解析は、以下のようになされる。
被検サンプルは非標識のままキャピラリーチューブの陰極側に導入される。次いで、パワーサプライ1により上記電気泳動媒体に通電し、これにより被験サンプル中の各DNAは電気泳動により分離されるが、このとき、電気泳動媒体の標的DNAに対する認識能による捕捉効果で、標的DNAの泳動は遅延し、電気泳動媒体からの溶出時間が遅れる。
泳動後、標的DNAを含む 各DNA分離物は、電気泳動媒体より溶離する順に蛍光染色液の送液槽3側に送られ、ポンプ手段9の作動により、流入孔11から供給される蛍光染色液と反応しながら、チューブ10を通過して一定の速度で蛍光検出器7に送られ、蛍光強度と蛍光の検出時間が測定される。この蛍光の検出時間は電気泳動媒体からの各DNA分離物の溶出時間を反映する。次いで、記録計8により標的DNAを含むDNA分離物の蛍光強度と検出時間のクロマトグラムが記録される。
一方、上記標的DNAを認識する電気泳動媒体が充填されたキャピラリーチューブは、標的DNA検出装置に対して着脱可能に設けられており、上記のとおり測定、記録がなされた後、標的DNAを認識しないがその他は同様の電気泳動媒体が充填されたキャピラリーチューブと交換され、上記と同様の操作がなされる。
この後、上記2種の電気泳動媒体を用いた時の各DNAの検出時間とを比較し、電気泳動媒体中の認識部位の捕捉効果により、相対的に検出時間すなわち電気泳動媒体からの溶出時間の遅くなった標的DNAのピークを検出する。
この溶出時間が遅延したピークの検出においては、各長さのDNA分子量マーカについて、上記2種の電気泳動媒体が充填されたキャピラリーチューブを用いて、上記と同様の検出時間(溶出時間)の測定を行って、標的DNAを認識する電気泳動媒体における各分子量マーカーの各検出時間と標的DNAを認識しない電気泳動媒体における各分子量マーカーの各検出時間とから、その相関を求めておくのが望ましい。
被験サンプルを用い上記2種の電気泳動媒体を用いて測定された、各DNA成分の検出時間において、上記相関関係から外れた検出ピークがあれば、それが標的DNAのピークであり、このようにして被験サンプル中の標的DNAを検出できる。
この場合、標的DNAを認識しない電気泳動媒体を使用して得られた検出時間は、各DNAの鎖長を表すから、標的DNAの鎖長も同時に測定できる。
一方、標的DNAの鎖長が予め分かっている場合においては、標的DNAを認識しない電気泳動媒体を使用しなくとも、分子量マーカーを使用するのみで、標的DNAを検出できる。
さらに、上記蛍光検出器により測定される各ピークの蛍光強度は、被験サンプル中の各DNA含量を反映するから、この蛍光強度を測定することにより、被験サンプル中の標的DNAをはじめとする各DNA成分を定量できる。
また、本発明の解析装置におけるペリスタポンプ9の液排出側に、フラクションコレクター(図示せず)を接続すれば、各DNA成分の分取ができ、当然、標的DNAも分離できる。
上記の標的DNAの解析例においては、キャピラリーチューブを交換したが、複数のDNA解析装置を並列し、そのうちの一台を、標的DNAを認識しない電気泳動媒体が充填されたキャピラリーチューブを使用する専用台としてもよい。キャピラリーチューブの内径は1mm以下でよく、好ましくは1.0mm〜100μmである。長さは2cm以上10cm以下が好ましい。
別の例としてキャピラリーチューブの替わりに、ガラスやプラスチックなどの基盤上にミクロンオーダーの微小な流路を形成したマイクロチップの流路を用いても良い。この場合、基板上あるいは基板外に図2、3 と同様のDNA蛍光染色剤の送液槽を設け、DNA蛍光染色剤とゲル媒体の陽極側末端が接し、かつ蛍光検出装置へ送液されるようにシリコンゴムチューブ及びステンレスチューブで接続する。あるいはまた、これらのチューブの替わりに基板上に流路を作製しても良い。
本発明の標的DNAの解析装置あるいは方法は、電気泳動媒体に対する標的DNAの親和力の差を利用して、標的DNAの検出を行うものであれば、いずれであっても適用可能である。 適用可能なものを具体的に挙げると、例えば、以下に詳述する2本鎖の標的DNAを検出するためのインプリントポリマーゲルを使用する手段、あるいは、1本鎖DNAを標的DNAとする上記従来法に係るプローブDNAを用いたアフィニティー電気泳動、マイクロチップ電気泳動等がある。
蛍光染色液に含有させる蛍光染料としては以下のものが挙げられ、これらを解析対象のDNAが1本鎖かあるいは2本鎖かにより適宜使い分ければよい。2本鎖DNAを蛍光染色する蛍光染料としては、サイバーグリーンI,エチジウムブロマイド、PicoGreen, Vistra Green等が、1本鎖DNAを蛍光染色する蛍光染料としては、OliGreen等が、1本鎖及び2本鎖DNAの双方を蛍光染色する蛍光染料としては、 SYBR Gold、 SYBR-GreenII等が主につかわれる。
本発明は、予め被験サンプルを蛍光標識することなく電気泳動し、溶出してくる各DNA成分を順次蛍光標識して蛍光検出器に送り、各DNA成分に由来する蛍光ピークと該ピークの検出時間を測定し、自動記録するものである。したがって、従来法のように、泳動距離を測定する必要がなく、高感度に各DNA成分の溶出時間を検出することができるため、サンプル試料の量は少なくてすみ、また極めて正確かつ簡便である。
以下に、本発明において、電気泳動媒体としてインプリントポリマーゲルを使用して標的DNAを解析する場合を例にとり、さらに詳細に説明する。標的DNA解析装置、及び解析手順の概要については、図2、3及び図4にそれぞれ示される。
本発明における標的DNAの検出は、電気泳動の泳動媒体であるポリマーゲルを作製する工程(第1工程)、第1工程で作製したポリマーゲルを本発明のDNA解析装置に設置して被検サンプルの測定を行う工程(第2工程)、測定結果を解析し標的DNAの有無を判定する工程(第3工程)を経て実施されるが、さらに、検出された標的DNAの定量、鎖長の測定及び/または分離工程を伴ってもよい。
1.電気泳動媒体の作成
電気泳動の泳動媒体であるポリマーゲルを作製する第1工程では、インプリントポリマーゲル媒体を作製する為の標的2本鎖DNA と機能性モノマーの自己集合体を作製し、自己集合体を含んだ親水性ゲル形成用モノマーからなる重合前液を、例えば内径1mm以下の、ガラス製のキャピラリーチューブ中に充填し、インプリントポリマーゲルを重合し、予備通電をして、電気泳動の泳動媒体を作製する操作を行う。
電気泳動媒体の作製方法の概略を図1に示す。
自己集合体の作製は、標的DNAと機能性モノマーを含有する緩衝液中で混合し、冷蔵庫中に一晩放置することにより行われる。
ゲルの母体となるポリマーとしては、例えば、ポリアクリルアミド等の親水性ゲルを形成しうるポリマーが挙げられ、ゲルがポリアクリルアミドからなる場合、上記重合前液にはアクリルアミドがゲル形成モノマーとして含有される。
また、機能性モノマーとしては、下記式で表される化合物が用いられ、

Figure 2007093230

(但し、式中Xは、アクリルアミドと共重合可能な基であり、Yは、CH又はNを表す。)
該化合物の具体例としては、2-ビニル-4,6-ジアミノ-1,3,5-トリアジン(VDAT)が挙げられ、この化合物は、2本鎖DNAのA・T塩基対特異的に水素結合を介して相互作用することが知られている。
冷蔵庫に一晩放置後、自己集合体を含む緩衝液に、例えばアクリルアミド等のポリマーゲル形成用モノマー、N,N’-メチレンビス(アクリルアミド)等の架橋剤、重合開始剤の過硫酸アンモニウム等の重合開始剤、テトラメチルエチレンジアミン等の重合促進剤を混入し、インプリントポリマーゲルの重合前液を作製する。
一方、これとは別に、自己集合体を含まない緩衝液を使用するほかは、全く同様にして、ポリマーゲル重合前液を作製する。
ポリマーゲル形成用モノマーとしてアクリルアミドを用いる場合、該アクリルアミドとN,N’-メチレンビス(アクリルアミド)の重合前液中の総濃度は分析するDNAサンプルの鎖長によって決められる。例えば、分析するDNAサンプルの鎖長が100bp〜1500bpの範囲では、アクリルアミド:N,N’-メチレンビス(アクリルアミド)(重量比19:1)の総重量が10w/v%となるよう重合前液に混入する。分析するDNAサンプルの鎖長が100bpより小さい鎖長範囲を分析するには、12%〜20%とする。1500bpより大きい鎖長範囲を分析するには、8〜4%とする。
インプリントポリマーゲルの重合前溶液と自己集合体を含有しないポリマーゲル重合前液は、作製後、直ちに、ガラス製キャピラリーチューブ(各2本)中にそれぞれ充填し、各重合前液を重合することによりそれぞれのポリマーゲル媒体が作製されて固まるまで窒素ガス雰囲気下で放置する。なお、以下自己集合体を用いずに形成されたポリマーゲルを単に非インプリントポリマーゲルといい。インプリントポリマーゲルと非インプリントポリマーゲルの両者を指すとき単にポリマーゲルという。
ガラス製キャピラリーチューブの長さは、適宜選択されるが、好ましくは2cm以上10cm以下である。2cm より短いとサンプルが充分に分離する前にポリマーゲル媒体による電気泳動が終了するため、サンプルの分離能が悪くなる。また、ガラス製キャピラリーチューブが短い為、取り扱いが困難になる。一方、10cmより長いと分析時間がかかる上、分離されたDNAの各ピークの拡散が大きくなり、ピーク幅が大きくなる為、分離能が悪くなる。 適当な長さのガラス製キャピラリーチューブ中で各ゲル媒体の重合前液を重合後、インプリントポリマーゲル媒体を形成するため、キャピラリーチューブを通常の電気泳動に使われる泳動装置の泳動層にセットし、予備通電を行う。これにより、自己集合体で用いた標的2本鎖DNAを電気的に除き、電気泳動の泳動媒体であるインプリントポリマーゲル媒体を得る(図1(A))。
このとき、自己集合体を用いずに、キャピラリーチューブ中で形成した非インプリントポリマーゲル媒体についても、同様の電気泳動操作を行うことが好ましい。これにより、標的DNAの検出において、上記2種の電気泳動媒体を用いた時の各DNA成分の溶出時間を同一条件で比較することができ、より正確に、インプリントポリマーゲル媒体による捕捉効果により溶出時間の遅くなった標的DNAのピークを検出することが可能となる(図1(B))。
上記予備通電により、標的2本鎖DNAが除去されたインプリントポリマーゲルには、上記自己集合体に由来する空洞が形成されており、該空孔表面には、上記機能性モノマーとポリマーゲル形成用モノマーとの共重合反応に起因して生じた、以下の式で表される置換基が配置されている。
Figure 2007093230

(但し、式中、Yは、CH又はNを表す。)

この置換基は、インプリントポリマーゲルの形成において、標的2本鎖DNA中の塩基対A・Tを認識して配置されたものであるから、この置換基は、標的の2本鎖DNAのA・Tの位置に対応した位置に配置されることになる。
したがって、被験サンプル中に、標的の2本鎖DNAが存在すれば、その2本鎖DNAの塩基対A・Tの位置は、上記インプリントポリマーゲル中の空孔内にあるA・Tを認識する置換基の位置に合致するので、自己集合により標的2本鎖DNAを特異的に捕捉し、これにより、電気泳動による溶出時間は遅延する。この遅延を検出することにより、被験サンプル中の標的2本鎖DNAを検出することができる。
2.被検サンプルの測定
上記第1工程で作製したポリマーゲル媒体を本発明のDNA検出装置に設置して被検サンプルの測定を行う第2の工程に進む。この工程では、第1工程で作製したゲル媒体に被検サンプルを適用し、本発明の解析装置(図2,3)に設置して、蛍光強度及びその検出時間の測定を行う。
重合後のインプリントポリマーゲルと非インプリントポリマーゲル媒体は、それぞれガラス製キャピラリーチューブ中に長さ方向中央の約6〜8割の部分に重合し、ガラス製キャピラリーチューブ両端部分は予備通電で使用した泳動用緩衝液で満たされている状態にある。被検サンプルの適用は、予備通電で陰極の泳動層側に向いていたガラス製キャピラリーチューブ口を上に向けて持ち、被検サンプルをマイクロピペットから0.5μl量り、ゆっくり排出して、ピペットチップの先に液滴をため、泳動用緩衝液で満たされているガラス製キャピラリーチューブ口に近づけることにより行われる。ピペットチップの先の液滴の表面とガラス製キャピラリーチューブ口の緩衝液の液表面が引きつけ合い、サンプルの液滴はガラス製キャピラリーチューブ内に吸い込まれていく。しばらくガラス製キャピラリーチューブ口を上に向けたままにして被検サンプルがガラス製キャピラリーチューブ内部のゲル媒体表面に達するのを確認した後、被検サンプルを適用した側のガラス製キャピラリーチューブ口を本発明の検出装置(図2)の陰極側の泳動槽2に設置する。
本発明の検出装置は、上記したように、電気泳動を行う際に電圧を印加するためのパワーサプライ1、陰極側の電気泳動槽2、DNA蛍光染色剤の送液槽3、陽極側の泳動槽5、蛍光検出器7、記録計8、ペリスタポンプ9とから成り、DNA蛍光染色剤の送液槽、蛍光検出器、ペリスタポンプはシリコンゴムチューブ及びステンレスチューブ10で接続されている。DNA蛍光染色剤の送液槽3と陽極側の電気泳動槽5は、泳動用緩衝液で湿らせたろ紙4で連絡している。陰極側の泳動槽と陽極側の泳動槽を電気泳動緩衝液、例えばトリス-ホウ酸緩衝液(0.045M トリス-ホウ酸、1mM EDTA、pH8.3)、トリス-酢酸緩衝液(0.04M トリス-酢酸、1mM EDTA、pH8.0)、トリス-リン酸緩衝液(0.09M トリス-リン酸、2mM EDTA、pH8.0)等で満たし、さらにDNA蛍光染色剤の送液槽にDNAを特異的に染色する蛍光染色剤、例えばサイバーグリーンIを電気泳動用緩衝液で5万倍〜1万倍に希釈した液、0.5μg/mlエチジウムブロマイドの電気泳動用緩衝液等で満たした後、ペリスタポンブでDNA蛍光染色剤を送液槽3から流入孔11を介して蛍光検出器7方向に送液する(14)。送液の速度は後の分析時の電圧に応じて適宜選択する。
次いで電圧一定で通電を行い、被検サンプルを分析する。電圧は適宜選択されるが、好ましくは、100V 1000Vの範囲である。100Vよりも低いと分析時間が長くかかってしまう。1000Vよりも高いと、泳動中にジュール熱の発生やゲル媒体の収縮が起こり、ゲル媒体の破損やサンプルの分離能の低下を招く。この操作により、被検サンプル中のDNAは、ゲル媒体中で泳動、分離されながら、順次、DNA蛍光染色剤の送液槽3側に送られる(12)。DNA蛍光染色剤は、ペリスタポンプ9で吸引されると、ガラス製キャピラリーチューブ先端に設置したシリコンチューブの孔11を通って、チューブ10内に流れ込み(13)、ここで泳動、分離されたDNAと接触、反応する。DNAと蛍光染色剤の反応液は一定の速度で蛍光検出器を通り、蛍光ピークとその検出時間が測定される(図4(C))。各蛍光ピークの検出時間は、電気泳動媒体から溶出してくる被験サンプル中の各DNA成分の溶出時間を正確に反映する。
シリコンチューブの孔11は、3mm以下が望ましい。3mmより大きいと蛍光染色剤の送液量が多くなり、ゲル媒体より溶離してきたDNA の泳動バンドが拡散してしまう。
同様に操作し、DNA鎖長マーカー、被検サンプルをそれぞれ非インプリントポリマーゲル媒体とインプリントポリマーゲル媒体で分析し、各ピークの検出時間を測定する。図2には、DNA蛍光染色剤の送液槽を1台備えた検出装置を示したが、同時に数チャンネル測定できる蛍光検出装置を用いれば、複数のDNA蛍光染色剤の送液槽をつなぎ、複数のサンプルを同時に測定することも可能である。
3.標的DNAの有無の判定
測定結果を解析し標的DNAを検出する第3の工程では、非インプリントポリマーゲルとインプリントポリマーゲルゲル媒体から得られたDNA鎖長マーカーの検出時間の相関グラフを作製することが好ましい。被検サンプル中の各DNAの検出時間を、この相関グラフ中にプロットし、標的DNAであるかどうかを判定する。
具体的には図5に示されるように、例えば、第2工程で得られた非インプリントポリマーゲル媒体から得られたDNA鎖長マーカーの内部標準品に対する相対検出時間を縦軸に、インプリントポリマーゲル媒体から得られたDNA鎖長マーカーの内部標準品に対する相対検出時間を横軸に取ったグラフを作製し、相関直線を得る。次に非インプリントポリマーゲルとインプリントポリマーゲル媒体から得られた被検サンプルの相対検出時間を相関グラフ上にプロットし、相関直線との比較を行う。被検サンプルのプロットが相関直線上にプロットされた場合、プロットした被検サンプルは、インプリントポリマーゲル媒体と非インプリントポリマーゲル媒体でDNA鎖長マーカーと同様の挙動を示しながら泳動していることがわかる。被検サンプルのプロットが相関直線からはずれ、右下方にプロットされた場合、プロットした被検サンプルは、インプリントポリマーゲル媒体での検出時間が非インプリントポリマーゲル媒体での検出時間より相対的に長くなり、インプリントポリマーゲル中の認識部位による捕捉効果が現れていることがわかる。従って、被検サンプルのプロットが相関直線より右下方に位置する場合、標的DNAであると判断される。
また、非インプリントポリマーゲルを使用した場合におけるDNA成分の検出時間はDNA鎖長を反映しているから(図5の縦軸)、標的DNAの分子長も同時に解析することができる。
4.標的DNAの定量、鎖長の測定、分離分取
上記2において得られた蛍光ピークとその検出時間のクロマトグラム(図4(C))において、各ピークの蛍光強度はDNA濃度を反映しているので、 DNA濃度も同時に解析することが可能である。あらかじめ濃度既知で定量目的DNAとほぼ同じ鎖長の DNAを、異なった3つの濃度で、上記1 2と同様に操作し、得られたクロマトグラムよりDNA濃度と蛍光強度との検量線を作製しておく。上記2で得られたクロマトグラムの蛍光強度を読み取り、先に作製した検量線を用いて、DNA濃度が算出される。
また、上記3の判定において、非インプリントポリマーゲルを使用した場合における各DNA 成分の検出時間(図5の縦軸)はDNA鎖長を反映しているので、非インプリントポリマーゲルより得られた鎖長マーカーの検出時間と鎖長の検量線を作製することにより、標的DNAの鎖長も同時に解析することが可能である。
該解析装置を、検体中のDNA成分の分離目的に使用することも可能である。上記1で述べたように、電気泳動媒体作製時の重合前液中のアクリルアミドとN,N’-メチレンビス(アクリルアミド)総濃度を、分析するDNAサンプルの鎖長によって調節し、非インプリントポリマーゲルを作製して、電気泳動媒体として使用することにより、DNA鎖長約10bp 2500bpの分離が可能である。さらに、ペリスタポンプの下流にフラクションコレクターを接続することにより、目的のDNA成分を分取することも可能である。
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明を限定することを意図するものではない。なお、操作方法の概略は図4に示される。
1. 非インプリントポリマーゲル媒体とインプリントポリマーゲル媒体の作製(図4(A))
鋳型2本鎖 DNA としてλファージDNA由来564bpフラグメント(λDNAフラグメント)を用意した。λDNAフラグメント(0.2A260units )、VDAT (0.77μM)を0.2M NaCl入り50mM HEPES緩衝液(pH7.3)に混合し、一晩冷蔵庫に放置し、自己集合体液を作製した。
アクリルアミド19g、N,N’-メチレンビスアクリルアミド(BIS)1gをMilliQ水に溶解し、全50mlとし、アクリルアミド-BIS混合液を作製した。このアクリルアミド-BIS混合液125μl、トリス-ホウ酸緩衝液(0.225Mトリス-ホウ酸、5mM EDTA、pH8.3) 100μl、自己集合体液100μl、10w/v% 過硫酸アンモニウム水溶液0.75μl、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)0.24μl、MilliQ水175μl混合し、インプリントポリマーゲル媒体用の重合前液を作製した。内径1mm、長さ42mmのガラス製のキャピラリーチューブ2本を用意し、重合前液を充填した。窒素ガスを充満させた容器中にこの毛細管を入れ、室温で放置、重合させて、インプリントポリマーゲル媒体を作製した。
一方、自己集合体液の替わりに0.2M NaCl入り50mM HEPES緩衝液(pH7.3)を入れた他は、同様に操作し、非インプリントポリマーゲル媒体を作製した。これらのゲル媒体は、トリス-ホウ酸緩衝液(0.045Mトリス-ホウ酸、1mM EDTA、pH8.3) を満たした陰極側の泳動槽に毛細管一端を、陽極側の泳動槽に毛細管の別の一端を設置し、200V 一定条件で約1時間予備通電して、自己集合体作製時に混入した鋳型2本鎖DNA(λDNAフラグメント)を取り除き、λDNAフラグメントを認識するインプリントポリマーゲル媒体と非インプリントポリマーゲル媒体を作製した。
2. 被検サンプルの測定(図4(B)、(C))
泳動用標準DNAサンプルとして、DNA鎖長マーカー(100-1000bp、100bpMolecular Ruler、総DNA濃度100μg/ml)1μl、内部標準DNA(2027bpと2322bpの混合物、0.22 A260 units)1μl、サンプルバッファー(50w/v%グリセリン、10m MEDTA、0.05w/v%ブロモフェノールブルー)0.5 μl、トリス-ホウ酸緩衝液(0.045M トリス-ホウ酸、1mM EDTA、pH8.3)2μlの混合溶液を作製した。標的DNAサンプルとして、λDNAフラグメント(0.2A260units )2μl、内部標準DNA(2027bpと2322bpの混合物、0.22 A260 units)1μl、サンプルバッファー(50w/v%グリセリン、10mM EDTA、0.05w/v%ブロモフェノールブルー)0.5 μl、トリス-ホウ酸緩衝液(0.045M トリス-ホウ酸、1mM EDTA、pH8.3)1μlの混合溶液を作製した。標準サンプル0.5μlを予備通電時、陰極槽側に設置した方のインプリントゲル媒体用毛細管口に適用し、検出装置(図2、3)にキャピラリーチューブを設置した。DNA蛍光染色剤の送液槽中にトリス-ホウ酸緩衝液(0.045Mトリス-ホウ酸、1mM EDTA、pH8.3)で2万倍に希釈したサイバーグリーンIを満たし、ペリスタポンプで150μl/min.の流速でサイバーグリーンI溶液を蛍光検出器の方向に送液した。200V一定で通電を行い、標準サンプルの分離、検出を行った。検出器の値を記録計でモニターし、蛍光強度とDNA検出時間のクロマトグラムを作製した。同様にして、泳動用標準サンプルを非インプリントポリマーゲル用泳動媒体で、被検サンプルを非インプリントポリマーゲル用泳動媒体とインプリントポリマーゲル用泳動媒体で測定し、蛍光強度と検出時間のクロマトグラムを作製した。
3. 標的DNAの検出
クロマトグラム上の各ピークの検出時間を、内部標準DNA(2027bp)の検出時間で割り、内部標準DNAを1.00とおいた場合の、相対検出時間に換算した。縦軸に非インプリントポリマーゲル媒体から得られた泳動用標準サンプルの相対検出時間、横軸にインプリントポリマーゲル媒体から得られた泳動用標準サンプルの相対検出時間の相関グラフを作製した。このグラフ上に、各ゲル媒体より得られた標的DNAサンプルの相対検出時間をプロットした。
4. 結果
泳動用標準サンプル(DNA鎖長マーカー)と被検サンプルの相対検出時間をプロットした相関グラフを図5に示した。泳動用標準サンプルでは良好な直線的関係が得られた。一方、標的DNAサンプルのプロット(図5の黒丸)は、相関直線の右下方にずれており、この直線からのずれは、インプリントポリマーゲル媒体の認識部位による捕捉効果に起因している。従って、鋳型2本鎖DNA(標的DNA ) と同じ塩基配列を持つDNAが被検サンプル中に存在した場合、対応するDNAのプロットは、相関直線の右下方にずれ、検出できることがわかった。
インプリントポリマーゲルと非インプリントポリマーゲルの作製手法の概略を示す図である。 本発明の標的DNA解析装置の1例を示す図である。 図2の装置におけるに蛍光染色剤の送液槽部分を示す図である。 本発明の標的DNAの解析手順の概略を示す図である。 インプリントポリマーゲルと非インプリントポリマーゲルを使用して得られた泳動用DNAマーカー(◇)の相対検出時間の相関グラフにおいて、同様にして得られた標的DNA(●)の相対検出時間をブロットした図である。
符号の説明
1 パワーサプライ
2 陰極側の泳動槽
3 DNA蛍光染色剤の送液槽
4 泳動用緩衝液で湿らせたろ紙
5 陽極側の泳動槽
6 ゲル媒体が充填されたガラス製キャピラリーチューブ
7 蛍光検出装置
8 記録計
9 ペリスタポンプ
10 DNA蛍光染色剤の送液槽と蛍光検出装置をつなぐチューブ
11 蛍光染色剤の入る孔
12 溶離したDNAの移動方向
13 蛍光染色剤の移動方向
14 蛍光染色剤と反応したDNA の移動方向

Claims (12)

  1. 被験サンプル中の標的DNAを認識する電気泳動媒体を有する電気泳動手段が設けられた標的DNAの解析装置であって、該電気泳動手段の陽極側端部に、DNAを特異的に染色する蛍光染色液を供給して電気泳動媒体から順次溶出する被験サンプル中のDNA成分を蛍光染色する手段と、該蛍光染色されたDNA成分を蛍光検出器に送液して、蛍光強度及びその検出時間を測定する手段とを有することを特徴とする、標的DNAの解析装置。
  2. 被験サンプル中の標的DNAを認識する電気泳動媒体を有する電気泳動手段が、被験サンプル中のDNAを認識しない電気泳動媒体を有する電気泳動手段と交換可能に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の標的DNAの解析装置。
  3. 標的DNAを認識する電気泳動媒体が、2本鎖DNA分子形状が鋳型としてインプリントされた空孔を有するとともに、該空孔内に2本鎖DNAの塩基対を認識する置換基を有するポリマーゲルであることを特徴とする、請求項1または2に記載の標的DNAの解析装置。
  4. ポリマーゲルが架橋されたポリアクリルアミドゲルであることを特徴とする、請求項3に記載の標的DNAの解析装置。
  5. 上記2本鎖DNAの塩基対を認識する置換基が、以下の化学構造を有することを特徴とする、請求項3または4に記載の標的DNAの解析装置。
    Figure 2007093230

    (但し、式中、Yは、CH又はNを表す。)
  6. ポリマーゲルがキャピラリーチューブに充填されていることを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載の標的DNAの解析装置。
  7. 請求項6に記載のキャピラリーチューブと、インプリントされた空孔を有しないほかは請求項6に記載のポリマーゲルと同一のポリマーゲルが充填されたキャピラリーチューブとが交換可能に設けられることを特徴とする、請求項6に記載の標的DNAの解析装置。
  8. 請求項3〜5のいずれかに記載のポリマーゲルが充填されたキャピラリーチューブ。
  9. 請求項8に記載のキャピラリーチューブと、インプリントされた空孔を有しないほかは請求項8に記載のポリマーゲルと同一のポリマーゲルが充填されたキャピラリーチューブとからなることを特徴とする、標的DNA解析用の電気泳動媒体キット。
  10. 標的DNAを認識する電気泳動媒体を有する電気泳動手段に被験サンプルを導入して電気泳動を行うに際して、該電気泳動手段の陽極側端部にDNAを特異的に染色する蛍光染色液を供給して、電気泳動媒体から順次溶出してくるDNA成分を蛍光染色し、該蛍光染色されたDNA成分を蛍光検出器に送液することにより、蛍光強度及びその検出時間を測定することを特徴とする、標的DNAの解析方法。
  11. 標的DNAを認識する電気泳動媒体を使用した場合におけるDNA成分の検出時間と、標的DNAを認識しない電気泳動媒体を使用した場合におけるDNA成分の検出時間の比較を行うことを特徴とする、請求項10に記載の標的DNAの解析方法。
  12. 標的DNAを認識する電気泳動媒体が、2本鎖DNA分子形状が鋳型としてインプリントされた空孔を有するとともに、該空孔内に2本鎖DNAの塩基対を認識する置換基を有するポリマーゲルであり、標的DNAを認識しない電気泳動媒体が、インプリントされた空孔を有しないほかは、前記ポリマーゲルと同一のポリマーゲルであることを特徴とする、請求項11に記載の標的DNAの解析方法。
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