JP2007088680A - 静電型超音波トランスデューサ及びその製造方法 - Google Patents

静電型超音波トランスデューサ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 表面に導電部が露出することの無い電気的安全性を確保した静電型超音波トランスデューサを提供する。
【解決手段】 複数の貫通穴14が形成された第1の固定電極10Aと、前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通穴14が形成された第2の固定電極10Bと、前記一対の固定電極に挟持され導電層121を有し、該導電層に直流バイアス電源16により直流バイアス電圧が印加される振動膜12と、前記一対の固定電極と前記振動膜を保持する保持部材とを有し、前記一対の固定電極間には信号源16により交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサであって、前記第1、第2の固定電極の母材を非導電体10とし、前記振動膜と対向する対向電極部21となる前記非導電体表面には導電膜20が形成され、かつ前記対向電極部の段部17が絶縁体で形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、広周波数帯域に渡って一定の高音圧を発生する静電型超音波トランスデューサ及びこれを用いた超音波スピーカに関する。
従来の超音波トランスデューサは圧電セラミックを用いた共振型がほとんどである。
ここで、従来の超音波トランスデューサの構成を図6に示す。従来の超音波トランスデューサは、振動素子として圧電セラミックを用いた共振型がほとんどである。図6に示す超音波トランスデューサは、振動素子として圧電セラミックを用いて電気信号から超音波への変換と、超音波から電気信号への変換(超音波の送信と受信)の両方を行う。図6に示すバイモフル型の超音波トランスデューサは、2枚の圧電セラミック61および62と、コーン63と、ケース64と、リード65および66と、スクリーン67とから構成されている。
圧電セラミック61および62は、互いに貼り合わされていて、その貼り合わせ面と反対側の面にそれぞれリード65とリード66が接続されている。
共振型の超音波トランスデューサは、圧電セラミックの共振現象を利用しているので、超音波の送信および受信の特性がその共振周波数周辺の比較的狭い周波数帯域で良好となる。
上述した図6に示す共振型の超音波トランスデューサと異なり、従来より静電方式の超音波トランスデューサは高周波数帯域にわたって高い音圧を発生可能な広帯域発振型超音波トランスデューサとして知られている。この静電型の超音波トランスデューサは、振動膜が固定電極側に引き付けられる方向のみ働くことからPull型と呼ばれている。
図7に広帯域発振型超音波トランスデューサ(Pull型)の具体的構成を示す。
図7に示す静電型の超音波トランスデューサは、振動体として3〜10μm程度の厚さのPET(ポリ・エチレン・テレフタレート樹脂)等の誘電体131(絶縁体)を用いている。誘電体131に対しては、アルミ等の金属箔として形成される上電極132がその上面部に蒸着等の処理によって一体形成されるとともに、真鍮で形成された下電極133が誘電体131の下面部に接触するように設けられている。この下電極133は、リード152が接続されるとともに、ベークライト等からなるベース板135に固定されている。
また、上電極132は、リード153が接続されており、このリード153は直流バイアス電源150に接続されている。この直流バイアス電源150により上電極132には50〜150V程度の上電極吸着用の直流バイアス電圧が常時、印加され上電極132が下電極133側に吸着されるようになっている。151は信号源である。
誘電体131および上電極132ならびにベース板135は、メタルリング136、137、および138、ならびにメッシュ139とともに、ケース130によってかしめられている。
下電極133の誘電体131側の面には不均一な形状を有する数十〜数百μm程度の微小な溝が複数形成されている。この微小な溝は、下電極133と誘電体131との間の空隙となるので、上電極132および下電極133間の静電容量の分布が微小に変化する。
このランダムな微小な溝は、下電極133の表面を手作業でヤスリにより荒らすことで形成されている。静電方式の超音波トランスデューサでは、このようにして空隙の大きさや深さの異なる無数のコンデンサを形成することによって、図7に示す超音波トランスデューサの周波数特性が図8において曲線Q1に示すように広帯域となっている。
上記構成の超音波トランスデューサでは、上電極132に直流バイアス電圧が印加された状態で上電極12と下電極133との間に矩形波信号(50〜150Vp-p)が印加されるようになっている。因みに、図8に曲線Q2で示すように共振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、中心周波数(圧電セラミックの共振周波数)が例えば、40kHzであり、最大音圧となる中心周波数に対して±5kHzの周波数において最大音圧に対して−30dBである。
これに対して、上記構成の広帯域発振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、40kHzから100kHz付近まで平坦で、100kHzで最大音圧に比して±6dB程度である(特許文献1、2参照)。
特開2000−50387号公報 特開2000−50392号公報
上述したように、図6に示す共振型の超音波トランスデューサと違い、図7に示す静電方式の超音波トランスデューサは従来から広周波数帯に渡って比較的高い音圧を発生させることが可能な広帯域超音波トランスデューサ(Pull型)として知られている。
しかしながら、音圧の最大値は図8に示すように、共振型の超音波トランスデューサが130dB以上であるのに比べ、静電型の超音波トランスデューサでは120dB以下と音圧が低く、超音波スピーカとして利用するには若干音圧が不足していた。
ここで、超音波スピーカについて説明しておく。キャリア波と呼ばれる超音波周波数帯域の信号にオーディオ信号(可聴周波数帯の信号)でAM変調をかけ、この変調信号で超音波トランスデューサを駆動することにより、超音波を信号源のオーディオ信号で変調した状態の音波が空中に放射され、空気の非線形により、空中で元のオーディオ信号が自己再生される、というものである。
つまり、音波は空気を媒体として伝播する粗密波であるので、変調された超音波が伝播する過程で、空気の密な部分と疎な部分が顕著に表れ、密な部分は音速が速く、疎な部分は音速が遅くなるので変調波自身に歪が生じ、その結果キャリア波(超音波)と可聴波(元オーディオ信号)に波形分離され、我々人間は20kHz以下の可聴音(元オーディオ信号)のみを聴くことができるという原理であり、一般にはパラメトリックアレイ効果と呼ばれている。
上記のパラメトリック効果が十分現れるためには120dB以上の超音波音圧が必要であるが、静電型の超音波トランスデューサではこの数値を達成することが難しく、もっぱらPZTなどのセラミック圧電素子やPVDFなどの高分子圧電素子が超音波発信体として用いられてきた。
しかし、圧電素子はその材質を問わず鋭い共振点を有しており、その共振周波数で駆動して超音波スピーカとして実用化しているため、高い音圧を確保出来る周波数領域が極めて狭い。すなわち狭帯域であるといえる。
一般に、人間の最大可聴周波数帯域は20Hz〜20kHzと云われており約20kHzの帯域を持つ。すなわち超音波スピーカにおいては、超音波領域で20kHzの周波数帯域に渡って高い音圧を確保しないと、元のオーディオ信号を忠実に復調することは不可能となる。従来の圧電素子を用いた共振型の超音波スピーカでは到底この20kHzという広帯域を忠実に再生(復調)することは困難であることは容易に理解できるであろう。
実際、従来の共振型の超音波トランスデューサを用いた超音波スピーカでは、(1)帯域が狭く再生音質が悪い、(2)AM変調度をあまり大きくすると復調音が歪むため最大でも0.5程度までしか変調度を上げられない、(3)入力電圧を上げると(ボリュームを上げると)圧電素子の振動が不安定となり、音が割れる。 さらに電圧を上げると圧電素子自身が破壊され易い、(4)アレイ化や大型化、小型化が困難であり、それが故にコストが高い、といった問題が有った。
これに対し図8に示した静電型の超音波トランスデューサ(Pull型)を用いた超音波スピーカは、上記従来技術の抱える課題をほぼ解決できるが、帯域を広くカバーできる反面、復調音が十分な音量であるためには絶対的な音圧が不足しているという問題を抱えていた。
また、Pull型の超音波トランスデューサは、静電力は固定電極側へのみ引き付ける方向にしか働かず振動膜(図7における上電極132に相当する。)の振動の対称性が保たれないため、超音波スピーカに用いる場合、振動膜の振動が直接、可聴音を発生させるという問題が有った。
これに対して、我々は、広周波数帯域にわたってパラメトリックアレイ効果を得るのに十分に高い音圧レベルの音響信号を発生することができる超音波トランスデューサを既に提案している。この超音波トランスデューサの構成を図9に示す。図9において、超音波トランスデューサは、導電層121を有する振動膜12を対向する位置に貫通穴14が形成された母材を導電材料とする一対の固定電極10A,10Bにより挟持し、振動膜12に直流電源16により直流バイアス電圧が印加された状態で一対の固定電極に信号源18により交流信号18A,18Bを印加するように構成したものである。なお、120は振動膜12を形成する絶縁フィルムであり、また17は一対の固定電極10A,10Bの一部を成し、振動膜12を挟持する機能と、振動膜13との間で静電力が作用する部分である対向電極部19を形成する機能とを有する対向電極形成体である。
この超音波トランスデューサは、Push−Pull型の超音波トランスデューサと呼ばれており、一対の固定電極により挟持された振動膜が交流信号の極性に応じた方向において静電吸引力と静電斥力を同方向にかつ同時に受けるために、振動膜の振動をパラメトリックアレイ効果を得るのに十分に大きくすることができるだけでなく、振動の対称性が確保されるため、従来のPull型超音波トランスデューサに比して高い音圧を広周波数帯域にわたって発生させることができる。
ところで、このようなPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサでは固定電極の母材が導電材料であり、また構成上導電部が表面に大きく露出するため、電気的に非常に危険な状態となっており、安全ネットを張ったケースなどに収める必要があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、表面に導電部が露出することの無い電気的安全性を確保した静電型超音波トランスデューサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の静電型超音波トランスデューサは、複数の貫通穴が形成された第1の固定電極と、前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通穴が形成された第2の固定電極と、前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、前記一対の固定電極と前記振動膜を保持する保持部材とを有し、前記一対の固定電極間には交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサであって、前記第1、第2の固定電極の母材を非導電体とし、前記振動膜と対向する対向電極部となる前記非導電体表面には導電膜を形成し、かつ前記対向電極部の段部を絶縁体で形成したことを特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサでは、第1の固定電極と、第2の固定電極の対向する位置に複数の貫通穴が形成され、振動膜の導電層に直流バイアス電圧が印加された状態で、第1、第2の固定電極からなる一対の固定電極に駆動信号である交流信号が印加されるために、一対の固定電極に挟持された振動膜は、交流信号の極性に応じた方向において、静電吸引力と静電斥力が同方向に同時に受ける。したがって、振動膜の振動をパラメトリック効果を得るのに十分大きくすることができるだけでなく、振動の対称性が確保されるため、高い音圧を広周波数帯域にわたって発生させることができる。
さらに、前記第1、第2の固定電極の母材を非導電体とし、前記振動膜と対向する対向電極部となる前記非導電体表面には導電膜を形成し、かつ前記対向電極部の段部を絶縁体で形成したので、トランスデューサの表面に導電部が露出することのない電気的安全性を確保した静電型超音波トランスデューサを実現することができる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法は、複数の貫通穴が形成された第1の固定電極と、前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通穴が形成された第2の固定電極と、前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、前記一対の固定電極と前記振動膜を保持する保持部材とを有し、前記一対の固定電極間には交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサの製造方法であって、前記第1、第2の固定電極は、非導電体に前記複数の穴のパターンが形成されたマスク部材を被覆し、サンドブラスト法又はエッチング処理により貫通穴を形成する第1の工程と、前記貫通穴が形成された後に前記マスク部材を剥離する第2の工程と、前記貫通穴が形成された非導電体の片面に所定の膜厚の金属薄膜を形成する第3の工程と、前記金属薄膜が形成された非導電体上に非導電性の感光性レジスト材をラミネートした後、該感光性レジスト上面における前記貫通穴及び該貫通穴近傍の領域に対向する領域をマスクするマスク部材を、前記感光性レジスト上面に載置し、露光させる第4の工程と、露光後、前記マスク部材を除去し、現像し、前記金属薄膜が表面に形成された非導電体上に対向電極形成体を形成する第5の工程とにより作製されることを特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法では、対をなす前記第1、第2の固定電極は、非導電体に前記複数の穴のパターンが形成されたマスク部材を被覆し、サンドブラスト法又はエッチング処理により貫通穴を形成する第1の工程と、前記貫通穴が形成された後に前記マスク部材を剥離する第2の工程と、前記貫通穴が形成された非導電体の片面に所定の膜厚の金属薄膜を形成する第3の工程と、前記金属薄膜が形成された非導電体上に非導電性の感光性レジスト材をラミネートした後、該感光性レジスト上面における前記貫通穴及び該貫通穴近傍の領域に対向する領域をマスクするマスク部材を、前記感光性レジスト上面に載置し、露光させる第4の工程と、露光後、前記マスク部材を除去し、現像し、前記金属薄膜が表面に形成された非導電体上に対向電極形成体を形成する第5の工程とにより作製される。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法によれば、振動膜の振動を、パラメトリック効果を得るのに十分大きくすることができるだけでなく、振動の対称性が確保されるため、高い音圧を広周波数帯域にわたって発生させることができる静電型超音波トランスデューサが得られる。
また、上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法によれば、固定電極の母材を非導電体とし、対向電極部を金属蒸着膜で形成し、対向電極部の段部(対向電極形成体)を絶縁体で形成するようにしたので、固定電極における導電部(電圧印部)が表面に露出することが無く、電気的に非常に安全である。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法は、複数の貫通穴が形成された第1の固定電極と、前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通穴が形成された第2の固定電極と、前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、前記一対の固定電極と前記振動膜を保持する保持部材とを有し、前記一対の固定電極間には交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサの製造方法であって、前記第1、第2の固定電極は、非導電体に前記複数の貫通穴のパターンが形成されたマスク部材を被覆し、サンドブラスト法又はエッチング処理により貫通穴を形成する第1の工程と、前記貫通穴が形成された後に前記マスク部材を剥離する第2の工程と、前記貫通穴が形成された非導電体の片面に所定の膜厚の金属薄膜を形成する第3の工程と、前記金属薄膜が形成された非導電体上の貫通穴及び該貫通穴近傍の領域をマスクするマスク部材を前記非導電体表面上に載置し、かつ該非導電体表面上に前記振動膜と対向する対向電極部の段部である絶縁性の対向電極形成体を形成するための対向電極形成材をセットし、スキージを移動させて前記対向電極形成材を前記非導電体表面におけるマスク部材によりマスクされていない部分に塗布する第4の工程と、前記第4の工程において、前記対向電極形成材の塗布完了後に前記マスク部材を外し、かつ前記非導電体上に形成された対向電極形成体を乾燥させる第5の工程とにより作製されることを特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法では、対をなす前記第1、第2の固定電極は、非導電体に前記複数の貫通穴のパターンが形成されたマスク部材を被覆し、サンドブラスト法又はエッチング処理により貫通穴を形成する第1の工程と、前記貫通穴が形成された後に前記マスク部材を剥離する第2の工程と、前記貫通穴が形成された非導電体の片面に所定の膜厚の金属薄膜を形成する第3の工程と、前記金属薄膜が形成された非導電体上の貫通穴及び該貫通穴近傍の領域をマスクするマスク部材を前記非導電体表面上に載置し、かつ該非導電体表面上に前記振動膜と対向する対向電極部の段部である絶縁性の対向電極形成体を形成するための対向電極形成材をセットし、スキージを移動させて前記対向電極形成材を前記非導電体表面におけるマスク部材によりマスクされていない部分に塗布する第4の工程と、前記第4の工程において、前記対向電極形成材の塗布完了後に前記マスク部材を外し、かつ前記非導電体上に形成された対向電極形成体を乾燥させる第5の工程とにより作製される。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法によれば、振動膜の振動を、パラメトリック効果を得るのに十分大きくすることができるだけでなく、振動の対称性が確保されるため、高い音圧を広周波数帯域にわたって発生させることができる静電型超音波トランスデューサが得られる。
また、上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法によれば、固定電極の母材を非導電体とし、対向電極部を金属蒸着膜で形成し、対向電極部の段部(対向電極形成体)を絶縁体で形成するようにしたので、固定電極における導電部(電圧印部)が表面に露出することが無く、電気的に非常に安全である。
さらに、上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法によれば、固定電極の母材としてガラスを用いる場合にスクリーン印刷法は、ガラスに対して大きなストレスをかけなくて済むため、固定電極を破損する危険性が極めて少なくで斬るという効果がある。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法は、複数の貫通穴が形成された第1の固定電極と、前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通穴が形成された第2の固定電極と、前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、前記一対の固定電極と前記振動膜を保持する保持部材とを有し、前記一対の固定電極間には交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサの製造方法であって、前記第1、第2の固定電極は、非導電材料を基材とし、予め所定の径およびピッチで貫通穴が形成され、その両面全体に導電層が形成されると共に、前記導電層表面全体にレジストで被覆されているプリント基板の一方の面に前記貫通穴の外周部における前記レジストを剥離するための剥離用レジストを塗布する第1の工程と、前記剥離用レジストが塗布されたプリント基板の前記剥離用レジスト上における前記貫通穴の外周部に対向する領域以外の領域をマスクするパターンが形成されたマスク部材を、前記剥離用レジスト上に被覆し、露光及び現像処理を行う第2の工程と、レジスト剥離処理により前記剥離用レジストでマスクされていない部分の前記レジストを剥離する第3の工程と、第3の工程終了後に、残存する剥離用レジストを除去する第4の工程とにより作製されることを特徴とする。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法では、対をなす前記第1、第2の固定電極は、非導電材料を基材とし、予め所定の径およびピッチで貫通穴が形成され、その両面全体に導電層が形成されると共に、前記導電層表面全体にレジストで被覆されているプリント基板の一方の面に前記貫通穴の外周部における前記レジストを剥離するための剥離用レジストを塗布する第1の工程と、前記剥離用レジストが塗布されたプリント基板の前記剥離用レジスト上における前記貫通穴の外周部に対向する領域以外の領域をマスクするパターンが形成されたマスク部材を、前記剥離用レジスト上に被覆し、露光及び現像処理を行う第2の工程と、レジスト剥離処理により前記剥離用レジストでマスクされていない部分の前記レジストを剥離する第3の工程と、第3の工程終了後に、残存する剥離用レジストを除去する第4の工程とにより作製される。
上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法によれば、振動膜の振動を、パラメトリック効果を得るのに十分大きくすることができるだけでなく、振動の対称性が確保されるため、高い音圧を広周波数帯域にわたって発生させることができる静電型超音波トランスデューサが得られる。
また、上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法によれば、固定電極の母材を非導電体とし、対向電極部を金属蒸着膜で形成し、対向電極部の段部(対向電極形成体)を絶縁体で形成するようにしたので、固定電極における導電部(電圧印部)が表面に露出することが無く、電気的に非常に安全である。
さらに、上記構成からなる本発明の静電型超音波トランスデューサの製造方法によれば、予め導電層(銅箔)及びレジスト処理が施されたプリント基板を使用しているので、製造工程が少なくて済み、製造コストの低減が図れる。
また、本発明の超音波スピーカは、請求項1に記載の静電型超音波トランスデューサと、可聴周波数帯の信号波を生成する信号源と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波供給手段と、前記キャリア波を前記信号源から出力される可聴周波数帯の信号波により変調する変調手段とを有し、前記静電型超音波トランスデューサは、前記第1、第2の固定電極と前記振動膜の導電層との間に印加される前記変調手段から出力される変調信号により駆動されることを特徴とする。
上記構成からなる本発明の超音波スピーカでは、信号源により可聴周波数帯の信号波が生成され、キャリア波供給手段により超音波周波数帯のキャリア波が生成され、出力される。さらに、変調手段によりキャリア波が前記信号源から出力される可聴周波数帯の信号波により変調され、この変調手段から出力される変調信号が前記第1、第2固定電極と前記振動膜の電極層との間に印加され、駆動される。
本発明の超音波スピーカでは、上記構成の静電型超音波トランスデューサを用いて構成したので、広周波数帯域にわたってパラメトリックアレイ効果を得るのに十分高い音圧レベルの音響信号を発生することができる超音波スピーカを実現できる。
さらに、上記構成の静電型超音波トランスデューサを用いて構成したので、すなわち、静電型超音波トランスデューサにおいて、対をなす第1、第2の固定電極の母材を非導電体とし、振動膜と対向する対向電極部となる前記非導電体表面には導電膜を形成し、かつ前記対向電極部の段部を絶縁体で形成したので、トランスデューサの表面に導電部が露出することのない電気的安全性を確保した超音波スピーカを実現することができる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサの構成を図1に示す。図1(A)は静電型超音波トランスデューサの構成を示し、同図(B)は静電型超音波トランスデューサの片側の固定電極のみを振動膜側から見た図、同図(C)は静電型超音波トランスデューサの一部を破断した平面図を示している。
図1において、本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサ1は、一対の固定電極10A、10Bと、一対の固定電極に挟持され、導電層121を有する振動膜12と、一対の固定電極10A、10Bと振動膜12を保持する部材(図示せず)とを有している。
また、一対の固定電極10A,10Bは振動膜12を介して対向する位置に同数かつ複数の貫通穴14を有している。一対の固定電極10A、10Bは、母材を非導電体10とし、振動膜12と対向する対向電極部をなす非導電体10の表面には導電膜20が形成されており、かつ対向電極部の段部となる対向電極形成体17が絶縁体(例えば、液状ソルダーレジスト、感光性コーティング材、非導電性塗料、電着材料等のいずれか)で形成されている。
振動膜12は、絶縁フィルム(絶縁体)120で形成され、導電性材料で形成された導電層121を有している。すなわち、振動膜12は固定電極10A,10Bに設けられた導電膜20との絶縁性を確保するために、該中央部に電極部と成る金属蒸着層(導電層)121を有し、その両面を絶縁抵抗性に優れた高分子膜等の絶縁フィルム120で被覆したようなサンドイッチ構造を成している。
振動膜12における導電層121には、直流バイアス電源16により単一極性(正極性でも負極性のいずれでもよい。)の直流バイアス電圧が印加されるようになっており、さらに、この直流バイアス電圧に重畳して固定電極10Aと固定電極10Bの導電膜20には、信号源18から出力される相互に位相反転した交流信号18A,18Bが導電層121との間に印加されるようになっている。
振動膜12の絶縁フィルム(絶縁体)120は、絶縁抵抗性に優れた高分子材料(ポリ・エチレン・テレフタレート(PET)、ポリ・エステル、ポリ・エチレン・ナフタレート(PEN)、アラミド、ポリ・フェニレン・サルファイド(PPS))等で形成されている。
また17は、一対の固定電極10A,10Bの一部を成し、振動膜12を挟持する機能と、振動膜13との間で静電力が作用する部分である対向電極部(導電膜20が露出した部分)21を形成する機能とを有する対向電極形成体であり、固定電極10Aまたは10Bの貫通穴14と対向電極形成体19とで、段付き穴が形成されている。
固定電極10Aの対向電極部21と導電層121、固定電極10Bの対向電極部21と電極層121は、それぞれコンデンサが形成されている。
ここで、固定電極10A,10Bの母材である非導電体10はガラス、ガラスエポキシまたはセラミックスなどであり、これに貫通孔14を設け、絶縁材料を用いて貫通穴径より大きな径で対向電極形成部17を構成することによりドーナツ状の対向電極部21を形成することができる(図1(B))。また、予め貫通孔14が設けられたプリント基板(片面基板でも両面基板でも良い)に対し、所定の領域のレジストを剥離することによりドーナツ状の対向電極部21を形成することも可能である。
上記構成において、超音波トランスデューサ1は、振動膜12の導電層121に、直流バイアス電源16により単一極性の(本実施形態では正極性の)直流バイアス電圧に信号源18から出力される相互に位相反転した交流信号18A,18Bが重畳された状態で印加される。
一方、一対の固定電極10A、10Bには、信号源18より相互に位相反転した交流信号18A,18Bが印加される。
この結果、信号源18から出力される交流信号18Aの正の半サイクルでは、固定電極10Aに正の電圧が印加されるために、振動膜12の固定電極で挟持されていない表面部分には、静電反発力が作用し、該表面部分は、図1上、下方に引っ張られる。
また、このとき、交流信号18Bが負のサイクルとなり、対向する固定電極10Bには負の電圧が印加されるために、振動膜12の裏面部分には、静電吸引力が作用し、該裏面部分は、図1上、さらに下方に引っ張られる。
したがって、振動膜12の一対の固定電極10A、10Bにより挟持されていない膜部分は、同時にかつ同方向に静電反発力と静電斥力を受ける。これは、信号源18から出力される交流信号の負の半サイクルについても同様に、振動膜12の表面部分には図1上、上方に静電吸引力が、また裏面部分には、図1上、上方に静電反発力が作用し、一対の固定電極10A、10Bにより挟持されていない振動膜12における膜部分は、同時にかつ同方向に静電反発力と静電吸引力を受ける。このようにして、交流信号の極性の変化に応じて振動膜12が同時にかつ同方向に静電反発力と静電吸引力を受けながら、交互に静電力が働く方向が変化するので、大きな膜振動、すなわち、パラメトリックアレイ効果を得るのに十分な音圧レベルの音響信号を発生することができる。
本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサによれば、第1、第2の固定電極の母材を非導電体とし、振動膜と対向する対向電極部となる前記非導電体表面には導電膜を形成し、かつ対向電極部の段部を絶縁体で形成したので、トランスデューサの表面に導電部が露出することのない電気的安全性を確保した静電型超音波トランスデューサを実現することができる。
このように本発明の実施形態に係る超音波トランスデューサ1は、振動膜12が一対の固定電極10A,10Bから力を受けて振動することからプッシュプル(Push―Pull)型と呼ばれている。
本発明の実施形態に係る超音波トランスデューサ1は、従来の、振動膜に静電吸引力のみしか作用しない静電型の超音波トランスデューサ(Pull型)に比して、広帯域性と高音圧を同時に満たす能力を持っている。
本発明の実施形態に係る超音波トランスデューサの周波数特性を図8に示す。同図において、曲線Q3が本実施形態に係るスデューサの周波数特性である。同図から明らかなように、従来の広帯域型の静電型超音波トランスデューサの周波数特性に比して、より広い周波数帯にわたって、高い音圧レベルが得られることが分かる。具体的には、20kHz〜120kHzの周波数帯域においてパラメトリック効果が得られる120dB以上の音圧レベルが得られることが分かる。
本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサ1は一対の固定電極10A、10Bに挟持された薄膜の振動膜12が静電吸引力と静電反発力の両方を受けるため、大きな振動が発生するばかりでなく、振動の対称性が確保されるため、高い音圧を広帯域に渡って発生させることができるのである。
次に、本発明の実施形態に係るPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサにおける固定電極の製造工程の一例について図2を参照して説明する。
これまでの静電型超音波トランスデューサにおける固定電極は、導電材料である金属板にマスク材を被せてエッチングにより貫通孔を形成し、これらを拡散接合あるいは熱圧着により積層接合して製作していた。
これに対し、本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサにおける非導電体から成る固定電極の製造工程では、金属板の代わりに非導電体としてガラス板200を用いる(図2(a))。
このガラス板200にサンドブラスト法又はエッチング法を適用して貫通孔を加工する。サンドブラスト法を例として説明する。サンドブラスト用のレジスト材料により貫通穴のパターンが形成されたマスク部材202を非導電体であるガラス板200に被覆し、エアーブラスト法またはショットブラスト法により研磨剤をガラス板200に当てることにより複数の貫通孔204を形成する(第1の工程:図2(b))。
貫通孔204が形成された後、サンドブラスト用のレジスト材料で形成されたマスク部材202を剥離すると、貫通孔204の空いた非導電体200から成る固定電極のベース部材が得られる(第2の工程:図2(c))。
このベース部材の片面に金属(例えばアルミ、ニッケル、銅など)を真空蒸着させて、対向電極となる所定の膜厚の金属薄膜206を形成する(第3の工程:図2(d))。
このようにして貫通孔204と金属薄膜206を形成したガラス板200に対し、次の工程で対向電極部を構成する段差(対向電極形成体)を形成する。この工程では、永久的な構造体を形成可能で、かつ非導電性のレジスト材料またはコーティング材を使用する。有効と考えられるレジスト材料はプリント基板に使用するパッケージ用感光性フィルムや感光性ポリイミドフィルムである。
このようなレジストフィルム208と貫通孔204を空けた金属薄膜206が表面に形成されたガラス板200上にラミネートした後、レジストフィルム208上に対向電極部形成用のマスク材210を被覆し、露光及び現像を行うことにより対向電極面のみが露出し、その他の部分に非導電性の層が形成される(第4、第5の工程:図2(e),(f))。
このようにして作製された固定電極は、電圧印加部が表面に露出する事が無く、電気的に非常に安全である。
また、上記(図2の内容)の説明はレジストフィルムにフォトリソグラフィー法を適用した場合であるが、液体レジストにスクリーン印刷法を適用する方法も有効である。例えば、プリント基板で一般的に使用されるパッケージ用ソルダーレジストやサンドブラスト用レジストとして使用されるマスキング材料を、対向電極部形成用の版を用いてスクリーン印刷にて簡単に均等な厚みで塗布することが可能である。
次に、本発明の実施形態に係るPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサにおける固定電極の製造工程の、他の例について図3を参照して説明する。スクリーン印別法を用いた場合の、非導電体から成る固定電極の製造工程を図3に基づいて説明する。
貫通孔204と金属薄膜206を形成した非導電体(ガラス板)200から成る固定電極の中間体を作製する工程は、図2で示した例と全く同じであるので、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する(第1〜第3工程:図3(a)〜(d))。
金属薄膜206が形成された非導電体としてのガラス板200上の貫通穴及び該貫通穴近傍の領域をマスクするスクリーン版であるマスク部材208を金属薄膜206が形成されたガラス板200の表面上に載置し、かつ該ガラス板200の表面上に振動膜と対向する対向電極部の段部である絶縁性の対向電極形成体を形成するための対向電極形成材210をセットする。
次いで、スキージ212を移動させて対向電極形成材210を金属薄膜206が形成されたガラス板200表面におけるマスク部材208によりマスクされていない部分に塗布する(第4の工程:図3(e))。
有効と考えられる対向電極形成材は、永久的に対向電極形成体として構成でき、かつ非導電性のもので、例えば回路基板で一般的に使用されるパッケージ用の液状ソルダーレジストやサンドブラスト用レジストとして使用されるマスキングインクなどである。特にフレキシブルプリント基板用のソルダーレジストは比較的柔らかい(鉛筆の硬さでHB程度)ため、ガラスをはじめ、様々な金属、樹脂材料との密着強度にも優れ、高分子膜から成る振動膜の挟持性に非常に有効である。
次いで、対向電極形成材210の塗布完了後にマスク部材(スクリーン版)208を外すと、対向電極部を除く他の部分に非導電性の層である対向電極形成体214が残る。次いで、ガラス板200上に形成された対向電極形成体214を乾燥させることにより所望の固定電極が完成する(第5の工程:図3(f))。
以上、上述したこれらの製造方法では、形成できる対向電極形成体214の段差量が5μm〜40μmの範囲で比較的自由に選択でき、平坦度は厚みの10%以下と非常に良好である。
なお、レジストフィルムにフォトリソグラフィー法を適用した場合では、レジストフィルムをラミネートする際にガラス板が破損する危険性があるが、スクリーン印刷法はガラスに対して大きなストレスを掛けなくて済むため、破損する危険性が極めて少なくできる点で有利である。
また、金属板の代わりにガラスエポキシまたはセラミックスを用いる場合には、所定の穴径の貫通孔を有した板として成形するための成形型を用いてベース部材を作製し、このベース部材の片面に金属(例えばアルミ、ニッケル、銅など)を真空蒸着させて、対向電極となる金属薄膜を形成する。以降、図3に基づいて説明したようにスクリーン印刷法を用いて所望の固定電極に仕上げる。
さらに、予め銅箔およびレジスト処理が施こされたユニバーサルプリント基板に対し、所定の箇所のレジスト材を剥離して対向電極部を形成して、固定電極を製造することもできる。
本発明の実施形態に係るPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサにおける固定電極の製造工程の、さらに他の例について図4を参照して説明する。
プリント基板を用いた固定電極の製造工程を図4に基づいて説明する。同図おいて、非導電体300としてベークライトやガラスエポキシ材を基材としたプリント基板30には、予め所定の径およびピッチ(ハニカム配列が望ましい)で貫通穴310が設けられている。プリント基板30の両面全体には銅箔により導電層301が形成され、さらにその導電層301表面全体をレジスト(合成樹脂膜)302で被覆された構成となっている(図4(a))(以上が、一般的なプリント基板の構成)。
ここで、導電層(銅箔)301の厚みは特に指定は無く、電源系で一般的とされている35μmあるいは70μmで良い。
一方、レジスト(合成樹脂膜)302の厚みは、対向電極部の厚みとして有効であり、かつレジスト処理法として一般的に用いられているスクリーン印刷法で実現可能な5〜10μm程度が望ましい。
上記プリント基板30の一方の面に前記貫通穴の外周部における前記レジスト302を剥離するための剥離用レジスト303を塗布する(第1の工程:図4(b))。
次いで、剥離用レジスト303が塗布されたプリント基板30の剥離用レジスト303上における貫通穴310の外周部に対向する領域以外の領域をマスクするパターンが形成されたマスク部材304を、剥離用レジスト303上に被覆し、露光及び現像処理を行うと、剥離したい領域以外の領域に剥離用レジスト303が残る。(第2の工程:図4(b),(c))。
レジスト剥離処理により剥離用レジスト303でマスクされていない部分のレジスト302を剥離する(第3の工程:図4(d))
第3の工程終了後に、残存する剥離用レジスト303を除去する。剥離用レジストを除去すると、剥離されなかったレジスト302が対向電極形成体305として残り、プリント基板を基材とする固定電極が完成する。(第4の工程:図4(e))。
このようにして形成された固定電極は、外部に露出する裏面全面(レジスト剥離処理を施さない面)にはレジスト(合成樹脂膜)302が形成された状態のままであるため、電気的に非常に安全である。
以上のように、本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサの製造方法によれば、固定電極のベース材を非導電体で形成し、必要な箇所のみに導電処理を施すことにより、高電圧が印加される部位が表面にさらされることが無くなり、電気的に非常に安全性の高い静電型超音波トランスデューサが得られる。
次に、本発明の実施形態に係る超音波スピーカの構成を図5に示す。本実施形態に係る超音波スピーカは、上述した本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサ(図1)を超音波トランスデューサ55として用いたものである。
図5において、本実施形態に係る超音波スピーカは、可聴波周波数帯の信号波を生成する可聴周波数波発振源(信号源)51と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波発振源(キャリア波供給手段)52と、変調器(変調手段)53と、パワーアンプ54と、超音波トランスデューサ55とを有している。
変調器53は、キャリア波発振源52から出力されるキャリア波を可聴周波数波発振源51から出力される可聴波周波数帯の信号波により変調し、パワーアンプ54を介して超音波トランスデューサ55に供給する。
上記構成において、可聴周波数波発振源51より出力される信号波によってキャリア波発振源52から出力される超音波周波数帯のキャリア波を変調器53により変調し、パワーアンプ54で増幅した変調信号により超音波トランスデューサ55を駆動する。この結果、上記変調信号が超音波トランスデューサ55により有限振幅レベルの音波に変換され、この音波は媒質中(空気中)に放射されて媒質(空気)の非線形効果によって元の可聴周波数帯の信号音が自己再生される。
すなわち、音波は空気を媒体として伝播する粗密波であるので、変調された超音波が伝播する過程で、空気の密な部分と疎な部分な顕著に表れ、密な部分は音速が速く、疎な部分は音速が遅くなるので変調波自身に歪が生じ、その結果キャリア波(超音波周波数帯)とに波形分離され、可聴波周波数帯の信号波(信号音)が再生される。
以上のように高音圧の広帯域性が確保されると様々な用途にスピーカとして利用することが可能となる。超音波は空中では減衰が激しく、その周波数の二乗に比例して減衰する。したがって、キャリア周波数(超音波)が低いと減衰も少なくビーム状に遠くまで音の届く超音波スピーカを提供することができる。
逆にキャリア周波数が高いと減衰が激しいのでパラメトリックアレイ効果が十分に起きず、音が広がる超音波スピーカを提供することができる。これらは同じ超音波スピーカでも用途に応じて使い分けることが可能なため大変有効な機能である。
また、ペットとして人間と生活をともにすることの多い犬は40kHzまで、猫は100kHzまでの音を聴くことが可能であるため、それ以上のキャリア周波数をもちいれば、ペットに及ぼす影響もなくなるという利点も有する。いずれにせよ色々な周波数で利用できるということは多くのメリットをもたらす。
本発明の実施形態に係る超音波スピーカによれば、広周波数帯域にわたってパラメトリックアレイ効果を得るのに十分に高い音圧レベルの音響信号を発生することができる。
また、上記構成の静電型超音波トランスデューサを用いて超音波スピーカを構成したので、すなわち、対をなす第1、第2の固定電極の母材を非導電体とし、振動膜と対向する対向電極部となる前記非導電体表面には導電膜を形成し、かつ前記対向電極部の段部を絶縁体で形成したので、トランスデューサの表面に導電部が露出することのない電気的安全性を確保した超音波スピーカを実現することができる。
本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサは、各種センサ、例えば、測距センサ等に利用可能であり、また、既述したように、指向性スピーカ用の音源や、理想的なインパルス信号発生源等に利用可能である。
本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサの構成を示す図。 本発明の実施形態に係るPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサにおける固定電極の製造工程の一例を示す工程図。 本発明の実施形態に係るPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサにおける固定電極の製造工程の他の例を示す工程図。 本発明の実施形態に係るPush−Pull型の静電型超音波トランスデューサにおける固定電極の製造工程のさらに他の例を示す工程図。 本発明の実施形態に係る超音波スピーカの構成を示すブロック図。 従来の共振型の超音波トランスデューサの構成を示す図。 従来の静電型の広帯域発振型超音波トランスデューサの具体的構成を示す図。 本発明の実施形態に係る静電型超音波トランスデューサの周波数特性を従来の超音波トランスデューサの周波数特性と共に示した図。 Push−Pull型の静電型超音波トランスデューサの構成を示す図。
符号の説明
1…静電型超音波トランスデューサ、10A,10B…固定電極、12…振動膜、14…貫通穴、16…直流バイアス電源、17…対向電極形成体(段部)18…信号源、51…可聴周波数波発振源、52…キャリア波発振源、53…変調器、54…パワーアンプ、55…超音波トランスデューサ、120…絶縁フィルム、121…導電層。

Claims (5)

  1. 複数の貫通穴が形成された第1の固定電極と、
    前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通穴が形成された第2の固定電極と、
    前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、
    前記一対の固定電極と前記振動膜を保持する保持部材とを有し、
    前記一対の固定電極間には交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサであって、
    前記第1、第2の固定電極の母材を非導電体とし、前記振動膜と対向する対向電極部となる前記非導電体表面に導電膜を形成し、かつ前記対向電極部の段部を絶縁体で形成したことを特徴とする静電型超音波トランスデューサ。
  2. 複数の貫通穴が形成された第1の固定電極と、前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通穴が形成された第2の固定電極と、
    前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、
    前記一対の固定電極と前記振動膜を保持する保持部材とを有し、
    前記一対の固定電極間には交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサの製造方法であって、
    前記第1、第2の固定電極は、
    非導電体に前記複数の穴のパターンが形成されたマスク部材を被覆し、サンドブラスト法又はエッチング処理により貫通穴を形成する第1の工程と、
    前記貫通穴が形成された後に前記マスク部材を剥離する第2の工程と、
    前記貫通穴が形成された非導電体の片面に所定の膜厚の金属薄膜を形成する第3の工程と、
    前記金属薄膜が形成された非導電体上に非導電性の感光性レジスト材をラミネートした後、
    該感光性レジスト上面における前記貫通穴及び該貫通穴近傍の領域に対向する領域をマスクするマスク部材を、前記感光性レジスト上面に載置し、露光させる第4の工程と、
    露光後、前記マスク部材を除去し、現像し、前記金属薄膜が表面に形成された非導電体上に対向電極形成体を形成する第5の工程と、
    により作製されることを特徴とする静電型超音波トランスデューサの製造方法。
  3. 複数の貫通穴が形成された第1の固定電極と、
    前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通穴が形成された第2の固定電極と、
    前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、
    前記一対の固定電極と前記振動膜を保持する保持部材とを有し、
    前記一対の固定電極間には交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサの製造方法であって、
    前記第1、第2の固定電極は、
    非導電体に前記複数の貫通穴のパターンが形成されたマスク部材を被覆し、サンドブラスト法又はエッチング処理により貫通穴を形成する第1の工程と、
    前記貫通穴が形成された後に前記マスク部材を剥離する第2の工程と、
    前記貫通穴が形成された非導電体の片面に所定の膜厚の金属薄膜を形成する第3の工程と、
    前記金属薄膜が形成された非導電体上の貫通穴及び該貫通穴近傍の領域をマスクするマスク部材を前記非導電体表面上に載置し、かつ該非導電体表面上に前記振動膜と対向する対向電極部の段部である絶縁性の対向電極形成体を形成するための対向電極形成材をセットし、スキージを移動させて前記対向電極形成材を前記非導電体表面におけるマスク部材によりマスクされていない部分に塗布する第4の工程と、
    前記第4の工程において、前記対向電極形成材の塗布完了後に前記マスク部材を外し、かつ前記非導電体上に形成された対向電極形成体を乾燥させる第5の工程と、
    により作製されることを特徴とする静電型超音波トランスデューサの製造方法。
  4. 複数の貫通穴が形成された第1の固定電極と、前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通穴が形成された第2の固定電極と、
    前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜と、
    前記一対の固定電極と前記振動膜を保持する保持部材とを有し、
    前記一対の固定電極間には交流信号が印加される静電型超音波トランスデューサの製造方法であって、
    前記第1、第2の固定電極は、
    非導電材料を基材とし、予め所定の径およびピッチで貫通穴が形成され、その両面全体に導電層が形成されると共に、前記導電層表面全体にレジストで被覆されているプリント基板の一方の面に前記貫通穴の外周部における前記レジストを剥離するための剥離用レジストを塗布する第1の工程と、
    前記剥離用レジストが塗布されたプリント基板の前記剥離用レジスト上における前記貫通穴の外周部に対向する領域以外の領域をマスクするパターンが形成されたマスク部材を、前記剥離用レジスト上に被覆し、露光及び現像処理を行う第2の工程と、
    レジスト剥離処理により前記剥離用レジストでマスクされていない部分の前記レジストを剥離する第3の工程と、
    第3の工程終了後に、残存する剥離用レジストを除去する第4の工程と、
    により作製されることを特徴とする静電型超音波トランスデューサの製造方法。
  5. 請求項1に記載の静電型超音波トランスデューサと、
    可聴周波数帯の信号波を生成する信号源と、
    超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波供給手段と、
    前記キャリア波を前記信号源から出力される可聴周波数帯の信号波により変調する変調手段とを有し、
    前記静電型超音波トランスデューサは、前記第1、第2の固定電極と前記振動膜の導電層との間に印加される前記変調手段から出力される変調信号により駆動されることを特徴とする超音波スピーカ。

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