JP2007083561A - インフレーションフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
低温で高速成形を安定的に実施可能なエチレン−α−オレフィン共重合体からなるインフレーションフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】
エチレン−α−オレフィン共重合体からなるインフレーションフィルムの製造方法であって、下記関係式(A)を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体を用い、該共重合体を押出機で溶融混練した後、リップギャップ0.4〜2.5mmに設定された環状ダイから押出しインフレーション成形するインフレーションフィルムの製造方法。
MTV(150)/MTV(190)≧0.6 式(A)
MTV(150):150℃において計測される最大引取り速度(m/分)
MTV(190):190℃において計測される最大引取り速度(m/分)
【選択図】 なし
Description
エチレン系重合体のインフレーション成形によるフィルム製造にあたっては、コスト面からは高速の成形が、衛生性等の観点から170℃以下という低い押出温度による成形が求められている。しかしながらこれまでは、高速成形と低温成形の両立は困難であった。
MTV(150)/MTV(190)≧0.6 式(A)
MTV(150):150℃において計測される最大引取り速度(m/分)
MTV(190):190℃において計測される最大引取り速度(m/分)
MTV(150)/MTV(190)≧0.6 式(A)
MTVは後述する溶融張力測定においてストランドが切れた時の巻き取りローラーの周速度(単位:m/分)として計測される。
上記、MTV(150)とMTV(190)の関係は下記式(A’)を満たすとより好ましい。
MTV(150)/MTV(190)≧0.8 式(A’)
上記、MTV(150)とMTV(190)の関係は下記式(A'')を満たすとより好ましい。
MTV(150)/MTV(190)≧1.0 式(A'')
上記、MTV(150)とMTV(190)の関係は下記式(A''')を満たすとより好ましい。
MTV(150)/MTV(190)≧1.2 式(A''')
本発明におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の溶融張力(MT;単位はcNである。)とは、東洋精機製作所等から販売されているメルトテンションテスターを用いて、190℃、直径9.5mmのピストンを5.5mm/分の速度で降下させて、直径2.09mm、長さ8mmのオリフィスから溶融樹脂ストランドを押し出し、前記ストランドを直径50mmのローラーを用いて毎分40rpm/分ずつ回転速度を上昇させながら巻き取ったときに、前記ストランドが切れる直前の張力値である。
(1)ジオメトリー:パラレルプレート、直径25mm、プレート間隔:1.5〜2mm
(2)ストレイン:5%
(3)剪断速度:0.1〜100rad/sec
(4)温度:190、170、150、130℃
また、サンプルには予めイルガノックス1076などの酸化防止剤を、適量(例えば1000ppm以上)配合し、測定はすべて窒素下で実施する。
log(aT)=Ea/R(1/T−1/T0)
(Rは気体定数であり、T0は基準温度(463K)である。)
また、計算ソフトウェアには、Rheometrics社 Rhios V.4.4.4を使用し、アレニウス型プロットlog(aT)−(1/T)において、直線近似をした時に得られる相関係数r2が0.99以上であるときのEa値を、エチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギーとする。
η<1550×MFR-0.25−420 式(1)
このようなエチレン−α−オレフィン共重合体は、インフレーション成形した際に押出機への負荷が小さく、バブル安定性に優れるものである。
η<1500×MFR-0.25−420 式(1’)
η<1450×MFR-0.25−420 式(1'')
η<1350×MFR-0.25−420 式(1''')
(1)装置:Water製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH−HT
(3)測定温度:145℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体は、メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と190℃における溶融張力(MT;単位はcNである。)とが下記式(4)の関係を満たすことが好ましい。
2×MFR-0.59<MT<40×MFR-0.59 式(4)
溶融張力が低すぎると、インフレーション成形におけるバブル安定性が悪化することがあり、溶融張力が高すぎると、高速製膜が困難となることがある。
2.2×MFR-0.59<MT<25×MFR-0.59 式(4’)
2.5×MFR-0.59<MT<15×MFR-0.59 式(4'')
3.30<logA<−0.0815×log(MFR)+4.05 式(5)
3.30<logA<−0.0815×log(MFR)+4.03 式(5’)
3.30<logA<−0.0815×log(MFR)+4.02 式(5'')
初めに、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によって、鎖長Awの対数であるlogAw(x値)に対して重量割合dW/d(logAw)(y値)がプロットされた鎖長分布曲線を実測する。プロットデータ数は、連続的な分布曲線になるよう、通常少なくとも300以上ある。次に、上記のx値に対して、標準偏差0.30を有し、任意の平均値(通常、ピーク位置の鎖長Aに相当する。)を有する4つの対数正規分布曲線(x−y曲線)を任意の割合で足し合わることによって、合成曲線を作成する。さらに、実測された鎖長分布曲線と合成曲線との同一x値に対するy値の偏差平方和が最小値になるように、平均値と割合を求める。偏差平方和の最小値は、各ピークの割合がすべて0の場合の偏差平方和に対して通常0.5%以下になる。そして、偏差平方和の最小値を与える平均値と割合が得られたときに、4つの対数正規分布曲線に分割して得られる対数正規分布曲線のうち、最も高分子量である成分に相当する対数正規分布曲線のピーク位置の鎖長AからlogAが算出される。この最も高分子量である成分に相当する対数正規分布曲線のピークの割合は、通常10%以上である。
2<τ<8.1×MFR-0.746 式(6)
2<τ<7.9×MFR-0.746 式(6’)
2<τ<7.8×MFR-0.746 式(6'')
(1)ジオメトリー:パラレルプレート、直径25mm、プレート間隔:1.5〜2mm
(2)ストレイン:5%
(3)剪断速度:0.1〜100rad/sec
(4)温度:190、170、150、130℃
また、サンプルには予めイルガノックス1076などの酸化防止剤を、適量(例えば1000ppm以上)配合し、測定はすべて窒素下で実施する。
η=η0/[1+(τ×ω)n]
(η0およびnはそれぞれ、特性緩和時間τと同様に、測定に用いるエチレン−α−オレフィン共重合体ごとに求められる定数である。)
また、マスターカーブの作成やクロス式近似のための計算ソフトウェアには、Rheometrics社 Rhios V.4.4.4を使用する。
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられるメタロセン系オレフィン重合用触媒は、助触媒担体(A)、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)、有機アルミニウム化合物(C)および電子供与性化合物(D)を接触させて得られる触媒であり、前記助触媒担体(A)はジエチル亜鉛(a)、2種類のフッ素化フェノール(b)と(c)、水(d)、無機化合物の粒子(e)および(f)トリメチルジシラザン(((CH3)3Si)2NH)を接触させて得られる担体である。
無機化合物の粒子(e)として、好ましくはシリカゲルである。
|2−(x+y)−2z|≦1 式(7)
上記の式(7)における(x+y)として好ましくは0.01〜1.99の数であり、より好ましくは0.10〜1.80の数であり、さらに好ましくは0.20〜1.50の数であり、最も好ましくは0.30〜1.00の数である。
また、有機アルミニウム化合物(C)として、好ましくはトリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムである。
また、電子供与性化合物(D)として、好ましくはトリエチルアミン、トリノルマルオクチルアミンである。
また、電子供与性化合物(D)の使用量は、有機アルミニウム化合物(C)のアルミニウム原子のモル数に対して、0.1〜10mol%である。
気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に攪拌翼が設置されていてもよい。
また、本重合を実施する前に、予備重合を実施し、予備重合された予備重合触媒成分を本重合の触媒成分または触媒として使用することが好ましい。
また、共重合体の溶融流動性を調節する目的で、水素を分子量調節剤として添加してもよい。そして、混合ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合体を溶融混練する押出機における押出温度は、120℃〜170℃であることが好ましい。ここでいう押出温度とは、押出機の先端に取り付けられたいわゆる樹脂温度センサーによって計測される温度であり、流路を流れる溶融状態のエチレン−α−オレフィン共重合体の温度を直接計測したものである。通常、押出機にはこうした温度センサーが装備されている。
押出温度が120℃より低いとエチレン−α−オレフィン共重合体が十分に溶融せず、押出すことができない場合がある。また、押出温度が170℃を超えるとバブルが不安定になる、あるいはバブルが破断する場合がある。
押出機における押出温度は125〜165℃であることがより好ましく、130〜155℃であることがさらに好ましい。
また、押出機でエチレン−α−オレフィン共重合体を溶融混練すると発熱することから、上記の環状ダイの温度は押出機シリンダーの温度よりも低くすることが好ましい。具体的には、環状ダイ温度に対し押出機シリンダー温度を5℃以上高く設定して成形することが好ましい。
上記の押出機シリンダー温度とは押出機シリンダーの温度制御ブロックのうち、最も温度が高い部分をいう。押出機シリンダーの温度制御ブロックのうち、材料の投入口に最も近いブロックの温度は他のブロックの温度よりも低い温度に設定される場合がある。
温度設定の好ましい例として、押出機シリンダー温度を150℃、環状ダイ温度を130℃とする条件が挙げられる。
インフレーションフィルム成形の過程におけるBUR(ブローアップ比:環状ダイの出口直径とブローアップ終了後のバブル直径の比)は1.1〜5の範囲である。BURの好ましい範囲は1.2〜4であり、さらに好ましくは1.5〜3である。
本発明のインフレーションフィルムの製造方法においては、高速成形におけるバブルの冷却能力を確保する観点から、環状ダイ面とバブルを閉じる第一ニップロール間の距離を環状ダイ出口直径の20倍以上とすることが好ましく、30倍以上であればさらに好ましい。本発明のインフレーションフィルムの製造方法においては、バブルの安定性を増すために公知のバブル内部冷却装置を用いることもできる。
本発明でいう高速成形とは、成形するフィルムの厚みや配合される添加剤等によって異なるため絶対的な基準はないが、例えばフィルム厚みが20μmの場合は、概ね100m/min以上を示し、フィルム厚みが30μmの場合は概ね80m/min以上を示す。
[1]評価方法
(1)MFR
JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃において、荷重21.18N(2.16Kg)の条件によって測定した。
[触媒成分の調製]
(1)助触媒担体の調製
特開2003−171415号公報の実施例10(1)および(2)に記載の成分(A)の合成と同様な方法で、固体生成物(以下、固体生成物(a)と称する。)を得た。
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、上記助触媒担体(A)0.7kgと、ブタン100リットル、1−ブテン0.02kg、常温常圧の水素として12リットルを仕込んだ後、オートクレーブを42℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.1MPa分だけ仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム225mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド75mmolを投入して重合を開始した。50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながら、50℃で合計6時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスなどをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、上記助触媒担体(a)1g当り13gのエチレン−1−ブテン共重合体が予備重合された予備重合触媒成分を得た。
連続式流動床気相重合装置を用いて、重合温度は85℃、重合圧力は2MPaとし、上記予備重合触媒成分、トリイソブチルアルミニウム、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび水素を反応器内に連続的に供給して、反応ガス中のエチレンに対する水素のモル比を1.12%、エチレンに対する1−ブテンのモル比を2.4%、エチレンに対する1−ヘキセンのモル比を0.3%、平均重合時間5hrの条件として、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンの共重合を実施した。重合により、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体(以下、PE(1)と称する。)のパウダーを得た。
上記で得たPE(1)のパウダーを、神戸製鋼所社製LCM50押出機を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度50%、サクション圧力0.1MPa、樹脂温度200〜215℃の条件で造粒することにより、PE(1)のペレットを得た。
前記エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体を住友重機械モダン(株)製インフレーション成形機(環状ダイの樹脂吐出口の直径:125mm、押出機スクリュー径:55mm)にてフィルム成形した。
具体的には、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体を押出機に投入し、150℃の温度に設定した押出機中で溶融混練して130℃に温調した環状ダイに導き、環状ダイのリップから押出した。リップギャップは0.8mm、押出量は123kg/h、BURは2.0であり、得られるフィルムの厚みが20μmとなるようにした。エチレン−α−オレフィン共重合体の押出機における押出温度は162℃であった。この条件では、成形速度140m/minで安定的に製膜可能であった。
Claims (2)
- エチレン−α−オレフィン共重合体からなるインフレーションフィルムの製造方法であって、下記関係式(A)を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体を用い、該共重合体を押出機で溶融混練した後、リップギャップ0.4〜2.5mmに設定された環状ダイから押出しインフレーション成形するインフレーションフィルムの製造方法。
MTV(150)/MTV(190)≧0.6 式(A)
MTV(150):150℃において計測される最大引取り速度(m/分)
MTV(190):190℃において計測される最大引取り速度(m/分) - 請求項1に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体からなるインフレーションフィルムの製造方法において、環状ダイ温度よりも、押出機シリンダー温度を5℃以上高く設定してインフレーションフィルムを製造する方法。
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