JP2007077498A - 表面調整用組成物及び表面調整方法 - Google Patents

表面調整用組成物及び表面調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた表面調整機能を有するため化成処理能力を向上させることができる。例えば、任意の金属材料表面に緻密なリン酸塩皮膜が形成され、複数種の金属材料を同時に化成処理する際の異種金属の接触部や、難化成性の金属材料である高張力鋼板に適用した場合においても、充分な皮膜量の化成皮膜を形成し、また化成性の向上により化成処理時間の短時間化もでき、かつ、分散安定性に優れた表面調整用組成物及び上記表面調整用組成物による表面調整方法を提供する。
【解決手段】2価又は3価の金属のリン酸塩粒子を含有する、pH3〜12の表面調整用組成物であって、上記2価又は3価の金属のリン酸塩粒子は、D50が3μm以下であり、上記表面調整用組成物は、陽イオン交換容量が60meq/100g以上であり、かつ、水分散状態にある平均粒径が0.1μm以下の層状粘土鉱物を含有する表面調整用組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面調整用組成物及び表面調整方法に関する。
自動車車体、家電製品等は、鋼板、亜鉛メッキ板、アルミニウム合金等の金属材料からなり、通常、前処理としての化成処理工程を経た後で塗装等の処理が行われる。このような化成処理として、リン酸塩を含む化成処理剤による化成処理が一般に行われている。リン酸塩を含む化成処理剤による化成処理においては、微細で緻密な金属のリン酸塩の結晶を金属材料表面に析出させるために、前工程として表面調整処理を行うのが一般的である。
このような表面調整処理において使用する表面調整用組成物としては、ジャーンステッド塩と呼ばれるリン酸チタン粒子や2価又は3価の金属のリン酸塩粒子を含有した表面調整用組成物が知られている。
特許文献1には、リン酸亜鉛溶液によるリン酸塩処理に先立って、微細に分散させたリン酸チタン又は微細に分散させた第三級リン酸亜鉛とモンモリロナイトとを含む予洗浴より金属材料表面を前処理することを特徴とする金属材料表面の前処理方法が開示されている。
特許文献2には、粒径が5μm以下の少なくとも1種以上の2価もしくは3価の金属のリン酸塩粒子とアルカリ金属塩若しくはアンモニウム塩又はこれらの混合物を含有し、かつ、pHを4〜13に調整した金属のリン酸塩化成処理前の表面調整用前処理液が開示されている。
更に、特許文献3には、2価及び/又は3価の金属の1種以上を含有するリン酸塩から選ばれる1種以上のリン酸塩粒子と、各種促進剤として単糖類、多糖類及びその誘導体から選ばれる1種以上を含有する金属のリン酸塩化成処理前の表面調整用処理液が開示されている。
しかしながら、近年の新たな金属材料開発や処理工程の簡略化によって、これらの表面調整用処理液では完全に対応しきれない場合も現れてきたため、更に表面調整用処理液の性能を改善し、これによってその後の化成処理によって得られる化成処理皮膜の物性を向上させることが要求されている。
例えば、従来の表面調整用組成物は、表面調整用処理液としての分散安定性や濃厚分散液での分散安定性に劣るものであった。また、高張力鋼板は難化成性金属材料として知られており、従来の方法による化成処理によって良好な性質を有する皮膜を得ることが困難であった。また、アルミニウム系金属材料等と鉄系金属材料等との複数種の異種金属材料を同時に化成処理した場合には、その接触部近傍においては化成処理能力が不充分となってしまう問題があった。更に近年耐食性の要求レベルが上がり、より緻密なリン酸塩結晶皮膜の形成が求められている。従って、これまで以上に優れた性質を有する表面調整剤が要求されていた。
特開昭59−226181号公報 特開平10−245685号公報 特開2000−96256号公報
本発明は、上記現状に鑑み、表面調整機能が改善されているためその後の化成処理における化成処理能力を向上させることができ、例えば、化成処理によって緻密な化成皮膜が形成され、複数種の異種金属材料を同時に化成処理する際の異種金属の接触部や高張力鋼板等の難化成性金属材料に適用した場合においても充分な皮膜量の化成皮膜を形成し、また化成性の向上により化成処理時間の短時間化もすることができ、かつ、分散安定性に優れた表面調整用組成物及びこの表面調整用組成物による表面調整方法を提供することを目的とするものである。
本発明の表面調整用組成物は、2価又は3価の金属のリン酸塩粒子を含有する、pH3〜12の表面調整用組成物であって、上記2価又は3価の金属のリン酸塩粒子は、D50が3μm以下であり、陽イオン交換容量が60meq/100g以上であり、かつ、水分散状態にある平均粒径が0.1μm以下である層状粘土鉱物を含有することを特徴としている。
上記表面調整用組成物において、上記2価又は3価の金属のリン酸塩粒子は、リン酸亜鉛であることが好ましい。
上記表面調整用組成物において、上記層状粘土鉱物は、スメクタイト系層状粘土鉱物であることが好ましい。
上記層状粘土鉱物は、サポナイトであることが好ましい。
本発明はまた、上述の表面調整用組成物を金属材料表面に接触させる工程からなることを特徴とする表面調整方法でもある。
本明細書においては、「表面調整用組成物」とは、表面調製処理において、金属材料と実際に接触させるための処理液である「表面調製用処理液」と、希釈して表面調製用処理液を製造するために用いられる金属のリン酸塩粒子の分散液である「濃厚分散液」とを含むものであるとする。表面調製用処理液は、濃厚分散液を水などの溶媒によって所定の濃度に希釈し、必要な添加剤を添加した後、pHを調製することにより得られるものである。
また、本発明の表面調整用組成物を用いる場合、金属材料に必要な前処理を行った後、表面調整処理を行い、次いで化成処理を行う。すなわち、本明細書において、「表面調整処理」とは、第一のリン酸塩処理であって、金属材料表面に金属のリン酸塩粒子を付着させる工程を意味する。また、「化成処理」とは、表面調整処理に続く第二のリン酸塩処理であって、表面調整処理により金属材料表面に付着させたリン酸塩粒子を結晶成長させる処理を意味するものとする。さらに、本明細書においては、表面調整処理により形成される金属のリン酸塩からなる皮膜を「リン酸塩皮膜」と、化成処理により形成される金属のリン酸塩粒子からなる皮膜を「化成皮膜」と示すものとする。
以下、本発明を詳細に説明する。
<表面調整用組成物>
本発明は、2価又は3価の金属のリン酸塩粒子を含有する、pH3〜12の表面調整用組成物であって、上記2価又は3価の金属のリン酸塩粒子は、D50が3μm以下であり、上記表面調整用組成物は、陽イオン交換容量が60meq/100g以上であり、かつ、水分散状態にある平均粒径が0.1μm以下である層状粘土鉱物を含有することを特徴とするものである。このため、本発明の表面調整用組成物は、分散安定性に優れ、化成処理時に高張力鋼板等の難化成性金属材料を処理する際、及び複数種の異種金属材料を同時に処理する際の異種金属の接触部に対しても、充分な皮膜量の化成皮膜を好適に形成することができるものである。なお、本発明の表面調整用組成物は、表面調整用処理液である場合と濃厚分散液である場合とがある。
このような表面調整用組成物は、リン酸塩粒子表面にスメクタイト系層状粘土鉱物が吸着し粉砕時の二次凝集を防ぐため容易に細かいリン酸塩粒子が製造できるものと推測される。
しかも層状粘土鉱物に特有のガードハウス構造が形成されることにより高いチキソトロピー効果が発揮され、濃厚分散液においても金属のリン酸塩粒子が凝集したり、沈降したりすることを抑制するものである。また、希釈して数日放置しても凝集、沈降せず、経時安定性にも優れるものである。
化成処理時において緻密で充分な皮膜量の化成皮膜を形成するためには、表面調整用組成物に含まれ、化成処理工程において結晶の核となる金属のリン酸塩粒子は、粒径が小さくかつ多量に含まれていることが好ましいとされるが、粒子が小さい場合は通常、凝集、沈降しやすい。本発明の表面調整用組成物は、凝集、沈降などの問題の発生が抑制され、かつ優れた化成皮膜を形成することができるものである。
さらに、本発明の表面調整用組成物は、水素結合力等によって金属材料表面に付着等されやすいために、その後の化成処理時において、高張力鋼板等の難化成性金属材料や複数種の異種金属材料の接触部に対しても優れた化成性能を有し、緻密で充分な皮膜量の化成皮膜を形成することができるものである。
[金属のリン酸塩粒子]
本発明の表面調整用組成物は、2価又は3価の金属のリン酸塩粒子を含有する。上記金属のリン酸塩粒子は、表面調整機能を得るための結晶核となるものであり、これらの粒子が被処理物表面に付着することによって、その後の化成処理において化成処理反応が促進されるものと推測されている。
上記2価又は3価の金属のリン酸塩粒子としては、特に限定されず、例えば、Zn(PO、ZnFe(PO、ZnNi(PO、Ni(PO、ZnMn(PO、Mn(PO、MnFe(PO、Ca(PO、ZnCa(PO、FePO、AlPO、CoPO、Co(PO等の粒子を挙げることができる。なかでも、化成処理のリン酸処理、特にリン酸亜鉛処理の皮膜結晶との類似性がある点で、リン酸亜鉛粒子であることが好ましい。
上記2価又は3価の金属のリン酸塩粒子のD50は、3μm以下である。D50を上記範囲内とすることによって、緻密で充分な皮膜量の化成皮膜を形成することができる。更に、リン酸塩粒子の粒子径が大きいものであると、表面調整用処理液中での粒子の分散安定性が不充分となるおそれが生じる。このため、金属のリン酸塩粒子が沈降し易いという問題が生じやすい。これに対して、本発明の表面調整用組成物は、D50で示される平均粒径が3μm以下の金属のリン酸塩粒子を含むものであるため、表面調整用処理液中での金属のリン酸塩粒子の安定性に優れ、表面調整用処理液中での金属のリン酸塩粒子の沈降を抑制することができ、かつ、その後の化成処理において緻密で充分な皮膜量の化成皮膜を形成することができる。
上記金属のリン酸塩粒子のD50は、下限0.01μm、上限3μmであることが好ましい。0.01μm未満では化成皮膜形成にかかる生産効率が悪く不経済である。3μmを超えると、表面調整の機能が充分得られずに、化成処理反応が進行しにくくなるおそれがある。より好ましくは、下限0.1μm、上限1μmである。
上記表面調整用組成物は、D90(体積90%径)が4μm以下である金属のリン酸塩粒子を含有するものであることが好ましい。この場合、上記リン酸塩粒子は、D50が3μm以下であるだけでなく、D90が4μm以下であるため、粗大なリン酸塩粒子の存在割合が比較的少ないものである。上述のように、平均粒径(D50)が3μm以下である上記リン酸塩粒子を用いることによって、短時間の表面調整処理で充分な量の微細なリン酸塩結晶を金属材料表面に析出させることができるが、3μm以下に分散するために粉砕等の手段を用いる場合、過度に粉砕を行うと、比表面積の増大に伴い分散剤が相対的に不足し、再凝集を起こし、かえって粗大粒子を形成して分散安定性を損なうおそれがある。また、表面調整用組成物の配合成分や調製条件によっては上記リン酸塩粒子の分散性にバラツキが生じ、微細粒子同士の再凝集や増粘等の問題を引き起こしてしまうおそれがある。しかし、上記リン酸塩粒子がD90(体積90%径)が4μm以下である場合には、上述のような不都合が生じることを抑制可能である。
上記リン酸塩粒子のD90は、下限が0.01μm、上限4μmであることが好ましい。0.01μm未満であると、過分散の現象により粒子が再凝集するおそれがある。4μmを超えると、微細なリン酸塩粒子の割合が少なくなるため、不適当である。上記下限は、0.05μmであることがより好ましく、上記上限は、2μmであることがより好ましい。
上記D50(体積50%径)及びD90(体積90%径)は、分散液中での粒度分布に基づき、粒子の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブがそれぞれ50%、90%となる点の粒径である。上記D50及びD90は、例えば、光回折式粒度測定装置(「LA−500」、商品名、堀場製作所社製)等の粒度測定装置を用いて測定することができる。なお、本明細書において、平均粒径と記載した場合には、D50を示すものである。
(金属のリン酸塩粒子の含有量)
本発明の表面調整用処理液において、上記金属のリン酸塩粒子の含有量は、50ppm以上20000ppm以下であることが好ましい。50ppm未満であると、結晶核となる上記リン酸塩粒子が不足し、充分な表面調整効果が得られないおそれがある。20000ppmを超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく経済的でない。上記含有量は、150ppm以上10000ppm以下であることがより好ましく、250ppm以上2500ppm以下であることが更に好ましく、500ppm以上2000ppm以下であることが特に好ましい。
表面調整用処理液は、濃厚分散液を5倍以上10000倍以下の希釈倍率で希釈することにより製造される。上記濃厚分散液における金属のリン酸塩粒子の含有量は、0.5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。濃厚分散液における金属のリン酸塩粒子の含有量が0.5質量%未満である場合、不効率となって経済的に不利であるため、好ましくない。また、濃厚分散液における金属のリン酸塩粒子の含有量が50質量%を超える場合には、濃厚分散液の分散安定性が十分に得られない可能性がある。
[層状粘土鉱物]
本発明の表面調整用組成物は、陽イオン交換容量が60meq/100g以上であり、かつ、水分散状態にあるときの平均粒径が0.1μm以下である層状粘土鉱物を含有するものである。
上記層状粘土鉱物を含有すると、表面調整用処理液中の金属のリン酸塩粒子の沈降を抑制できるだけでなく、濃厚分散液中の金属のリン酸塩粒子の沈降も抑制でき、濃厚分散液の長期間の分散安定性を維持することができるものである。表面調整用組成物に層状粘土鉱物を添加することによってカードハウス構造に起因するといわれる、優れた増粘効果による分散安定化を期待でき、更に、金属のリン酸塩粒子表面に吸着した層状粘土鉱物のイオン的な反発作用による一層の分散安定化を期待することもできる。従って、濃厚分散液中においてリン酸塩粒子の沈降が抑制される理由は明らかではないが、上記増粘効果と金属のリン酸塩粒子の上記反発作用との相乗作用によって、優れた金属のリン酸塩粒子の沈降防止効果が発揮され、その結果として、濃厚分散液であっても金属のリン酸塩粒子の沈降がより抑制され、長期間の分散安定性が維持されるものと推測される。
また、上記層状粘土鉱物は、それ自体が有する電荷等による反発作用を金属のリン酸塩粒子に与えるものである。このため、上記層状粘土鉱物が金属のリン酸塩粒子の周りに吸着すると、当該反発作用によって、濃厚分散液中での金属のリン酸塩粒子を安定化させることができるものと推測される。従って、濃厚分散液の調製において、液中の金属のリン酸塩粒子等の成分を分散する際に、金属のリン酸塩粒子をより微細化することができ、また、分散効率をより向上させることもできる。
このように、層状粘土鉱物の添加が、本発明の表面調整用組成物の分散安定性及び金属材料への吸着性等を高めると推測され、これによって、その後の化成処理において高張力鋼板を化成処理する際の化成性や、複数種の異種金属材料を同時に化成処理する際の異種金属の接触部における化成性を更に向上させることができるものと思われる。
(層状粘土鉱物の陽イオン交換容量及び平均粒径)
本発明の表面調整用組成物における層状粘土鉱物は、陽イオン交換容量(CEC)が60meq/100g以上である。上記イオン交換容量は、陽イオン交換に寄与する層状粘土鉱物の負電荷の電荷量の総量を表すものである。陽イオン交換反応とは、層状粘土鉱物が表面に負電荷を有するために吸着している陽イオンと、溶液中の異種陽イオンとの間に生じる交換反応により陽イオンが放出される反応であり、陽イオン交換容量は、放出される陽イオンを測定することにより測定することができる。上記値の陽イオン交換容量を有する層状粘土鉱物を含有することにより、金属のリン酸塩粒子は、微細な層状粘土鉱物が吸着して複合化構造を形成し、分散性、金属材料表面への付着性が増し、優れた表面調整効果が発揮されるものと推測される。上記陽イオン交換容量は、100meq/100g以上であることが、より好ましい。
上記陽イオン交換容量は、陽イオン交換容量測定装置などで測定される値である。
上記層状粘土鉱物は、更に水分散状態にある平均粒径が0.1μm以下である。下限値は特に限定されない。
水分散状態にある平均粒径が0.1μmを超える層状粘土鉱物を適用すると、分散安定性が低下するおそれがある。また、上記層状粘土鉱物の平均アスペクト比(=最大寸法/最小寸法の平均値)は、10以上がより好ましく、更に好ましくは20以上である。10未満であると、分散安定性が低下するおそれがある。平均粒径は0.05μm以上であることがより好ましく、0.02μm以上であることがさらに好ましい。
上記水分散状態にある平均粒径は、公知の粒度分布測定装置を用いることにより、又は、水分散溶液を凍結乾燥させ透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)等で観察することにより間接的に測定することができる。なお、本明細書における、水分散状態とは、脱イオン水に分散させた状態を意味する。
上記陽イオン交換容量が60meq/100g以上である層状粘土鉱物としては、サポナイト、ヘクトライト、スティーブンサイト、ソーコナイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等の層状粘土鉱物が挙げられるが、これらのうち、水分散状態にある平均粒径水分散状態にあるときの平均粒径が0.1μm以下であるものとしては、サポナイト、ヘクトライトを挙げることができる。なかでも、水分散状態にある平均粒径水分散状態にあるときの平均粒径が小さいという点で、サポナイトが好ましい。また、これらは、2種以上を同時に使用するものであってもよい。これらの層状粘土鉱物を含有することにより、より優れた分散安定性を付与することができ、また、分散効率を向上させることもできる。更に、表面調整処理に次ぐ化成処理において高張力鋼板等の難化成性金属材料や異種金属の接触部においても充分な皮膜量の化成皮膜を形成させることができる。
さらに、上記陽イオン交換容量が60meq/100gに満たない層状粘土鉱物としては、パイロフィライト、タルク、ミネソタアイト等のパイロフィライトタルク族、白雲母、パラゴナイト、フロゴパイト等の雲母族、ドンバサイト、ペンニナイト、シャモサイト等の緑泥石族、及びカオリナイト、ハロイサイト、クリソタイル、アメサイト等のカオリン鉱物族を挙げることができる。なお、これらの層状粘土鉱物は、本発明の表面調整用組成物に用いるのに適さないものである。
これらの層状粘土鉱物は、天然鉱物であってもよく、水熱合成、溶融法、固相法等による合成鉱物であってもよい。
また、上記層状粘土鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等の表面処理を施したものも必要に応じて使用することができる。これらの層状粘土鉱物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記サポナイトは、下記式(I)で表されるスメクタイト族に属するトリオクタヘドラル型の層状粘土鉱物である;
Figure 2007077498
[式中、Mは、交換性イオン:Ca、Na、Kであり、0<a<8、0<b<6、a−b>0を満たす。]
上記サポナイトは、変性したものであってもよく、変性したものとしては、例えば、亜鉛変性サポナイト、アミン変性サポナイト等を挙げることができる。
上記サポナイトの市販品としては、例えば、合成サポナイト(「スメクトンSA」、商品名、クニミネ工業社製)等を挙げることができる。
(層状粘土鉱物の含有量)
濃厚分散液において、上記層状粘土鉱物の含有量は、上記金属のリン酸塩粒子(固形分)100質量部に対して、下限0.01質量部、上限1000質量部であることが好ましい。0.01質量部未満であると、沈降抑制効果を充分に得られないおそれがある。1000質量部を超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく経済的でない。上記含有量は、下限0.1質量部、上限100質量部であることがより好ましく、下限1質量部、上限10質量部であることが更に好ましい。
表面調整用処理液中の上記層状粘土鉱物の含有量は、下限1ppm、上限10000ppmであることが好ましい。1ppm未満であると、沈降防止効果を充分に得られないおそれがある。10000ppmを超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく経済的でない。上記含有量は、下限10ppm、上限は1000ppmであることがより好ましいく、下限100ppm、上限500ppmであることが更に好ましい。特に好ましい上限は、300ppmである。
[表面調整用組成物のpH]
上記表面調整用組成物は、pHが下限3、上限12である。pHが3未満であると、金属のリン酸塩粒子が溶解しやすくなり、不安定となり、次工程に影響を与えるおそれがある。pHが12を超えると、次工程の化成処理浴のpH上昇を招き、化成皮膜形成不良が生じるおそれがある。上記下限は、6であることが好ましく、上記上限は、11であることが好ましい。
[その他の成分]
上記表面調整用組成物は、上記金属のリン酸塩粒子及び上記層状粘土鉱物の他に、必要に応じて、表面調整剤において使用される種々の成分を添加することができる。これにより、上述したような層状粘土鉱物の添加による効果と、各種添加剤の添加による効果との相乗効果によって、より優れた性質を有する表面調整用組成物を得ることができる。各種添加剤としては、例えば、アミン化合物、金属アルコキシド、フェノール系化合物、キレート剤等を挙げることができる。
(アミン化合物)
本発明の表面調整用組成物は、更にアミン化合物を含有していてもよい。上記アミン化合物は、分散時における金属のリン酸塩粒子の分散を良好なものとする性質を有し、容易に0.5μm以下の微細な金属のリン酸塩粒子を調製することができる点で好ましい。また、その後の化成処理において化成皮膜を形成した後、塗膜を形成したときの密着性、防食性が良好となる点でも好ましい。更に、高張力鋼板や複数種の異種金属材料に同時に適用した場合、好適に化成皮膜を形成することができる点でも好ましい。
上記アミン化合物としては、分子量が1000以下であれは、特に限定されないが、分子量が小さすぎると取り扱いが困難になったり毒性が高かったりする恐れがあるため、上記アミン化合物の分子量の下限は59であることが好ましい。
上記アミン化合物は、脂肪族アミン化合物であることが好ましく、例えば、第1級脂肪族アミン、第2級脂肪族アミン又は第3級脂肪族アミンを用いることができる。このような脂肪族アミン化合物には、脂環式アミンや1分子中に少なくとも1の水酸基を有するヒドロキシアミン化合物が含まれる。また、脂肪族以外のヒドロキシアミン化合物、複素環式アミン、リシン等の塩基性アミノ酸類、アニリン等の芳香族アミン化合物、アミンスルホン酸化合物が挙げられる。また、上記アミン化合物はモノアミンでも、分子内に2以上のアミノ基を有するジアミン、トリアミン、テトラアミン等のポリアミンでもよい。更に、これらのアミン化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。なかでも、金属のリン酸塩粒子、金属材料表面への吸着、水への溶解・分散性、電荷反発効果の点で、ヒドロキシアミン化合物であることが好ましい。
上記ヒドロキシアミン化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等の脂肪族ヒドロキシアミン化合物、アミン変性レゾール、アミン変性ノボラック等の脂肪族以外のヒドロキシアミン化合物等を挙げることができる。なかでも、金属のリン酸塩粒子への吸着性に優れ、二次凝集しにくいため粉砕効果が非常に高い点で、脂肪族ヒドロキシアミン化合物が好ましく、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンが特に好ましい。
(アミン化合物の含有量)
濃厚分散液中の上記アミン化合物の濃度としては、上記金属のリン酸塩粒子(固形分)100質量部に対して、0.01質量部以上1000質量部以下であることが好ましい。0.01質量部未満であると、金属のリン酸塩粒子への吸着量が不充分であるため、分散時の粉砕効果や金属のリン酸塩粒子の金属材料表面への付着効果が充分発揮されず、表面調整効果が不充分となるおそれがある。1000質量部を超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく経済的でない。上記濃度は、0.1質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上5質量部以下であることが更に好ましい。
上記表面調整用処理液においては、上記アミン化合物の濃度が、下限1ppm、上限10000ppmであることが好ましい。1ppm未満であると、金属リン酸塩粒子の金属材料表面への付着効果が期待できず、表面調整効果が不充分となるおそれがある。10000ppmを超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく経済的でない。上記濃度は、下限5ppm、上限1000ppmであることがより好ましい。更に好ましい上限は100ppm、特に好ましい上限は30ppmである。
(金属アルコキシド)
本発明の表面調整用組成物はまた、シランアルコキシド、チタンアルコキシド及びアルミニウムアルコキシドからなる群から選択される少なくとも1の金属アルコキシドを含有していてもよい。
上記金属アルコキシドは、分散時における金属のリン酸塩粒子の分散を良好なものとする性質及び金属ポリカチオンをキレートする性質を有し、0.5μm以下の微細な金属のリン酸塩粒子を調製しやすくなる点で好ましい。また、化成皮膜を形成した後、塗膜を形成したときの密着性や防食性が良好となる点でも好ましい。
上記金属アルコキシドは、M−OR結合を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、下記一般式(II)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2007077498
[式中、Mは、ケイ素、チタン又はアルミニウムを表す。Rは、有機基で置換された又は置換されていない炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜11のエポキシアルキル基、アリール基、炭素数1〜11のアルケニル基、炭素数1〜5のアミノアルキル基、炭素数1〜5のメルカプトアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲノアルキル基を表す。Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表す。nは、0、1又は2である。]
上記(1)金属アルコキシドは、少なくとも1つのメルカプト基又は(メタ)アクリロキシ基を有するアルコキシシラン化合物であることが好ましい。
上記アルコキシシラン化合物としては、水系で使用できるものであれば特に限定されず、例えば、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,N’−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、電荷反発等に起因する分散安定性を阻害しない点から、上記金属アルコキシド1分子中に少なくとも1つのメルカプト基又は(メタ)アクリロキシ基を有するものが好ましく、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルトリメトキシシラン、又は3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルトリエトキシシランが特に好ましい。
(金属アルコキシドの含有量)
濃厚分散液における上記金属アルコキシドの含有量は、上記金属のリン酸塩粒子(固形分)100質量部に対して、0.01質量部以上1000質量部以下であることが好ましい。0.01質量部未満であると、金属のリン酸塩粒子への吸着量が不充分であるため分散時の粉砕効果、金属のリン酸塩粒子の金属材料表面への付着効果が充分でなく、表面調整効果が期待できないおそれがある。1000質量部を超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく経済的でない。上記含有量は、0.1質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上10質量部以下であることが更に好ましい。上記含有量の上限は、5質量部であることが特に好ましい。
上記金属アルコキシドの含有量は、表面調整用処理液中で、1ppm以上1000ppm以下であることが好ましい。1ppm未満であると、金属のリン酸塩粒子への吸着が不充分であるため分散促進効果、金属のリン酸塩粒子の金属材料への吸着効果がでず、表面調整効果が充分期待できないおそれがある。1000ppmを超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく経済的でない。上記含有量は、10ppm以上500ppm以下であることがより好ましく、50ppm以上200ppm以下であることが更に好ましい。
(フェノール系化合物)
本発明の表面調整用組成物は、フェノール系化合物を含有していてもよい。上記フェノール系化合物は、例えば、カテコール、没食子酸、ピロガロール、タンニン酸等の2以上のフェノール系水酸基を有する化合物又はこれらを基本骨格とするフェノール系化合物(例えば、フラボノイド、タンニン、カテキン等を包含するポリフェノール系化合物、ポリビニルフェノールや水溶性レゾール、ノボラック樹脂等)、リグニン等を挙げることができる。中でも、タンニン、没食子酸、カテキン及びピロガロールが特に好ましい。
上記フラボノイドは、特に限定されず、例えばフラボン、イソフラボン、フラボノール、フラバノン、フラバノール、アントシアニジン、オーロン、カルコン、エピガロカテキンガレード、ガロカテキン、テアフラビン、ダイズイン、ゲニスチン、ルチン、ミリシトリン等が挙げられる。
上記タンニンは、広く植物界に分布する多数のフェノール性水酸基を有する複雑な構造の芳香族化合物の総称である。上記タンニンは、加水分解型タンニンでも縮合型タンニンでもよい。
上記タンニンとしては、ハマメリタンニン、カキタンニン、チャタンニン、五倍子タンニン、没食子タンニン、ミロバランタンニン、ジビジビタンニン、アルガロビラタンニン、バロニアタンニン、カテキンタンニン等を挙げることができる。上記タンニンは、植物中に存在するタンニンを加水分解等の方法によって分解した加水分解型タンニンであってもよい。
上記タンニンとしては、市販のもの、例えば「タンニン酸エキスA」、「Bタンニン酸」、「Nタンニン酸」、「工業用タンニン酸」、「精製タンニン酸」、「Hiタンニン酸」、「Fタンニン酸」、「局タンニン酸」(いずれも商品名、大日本製薬社製)、「タンニン酸:AL」(商品名、富士化学工業製)等を使用することもできる。また、上記タンニンの2種類以上を同時に使用するものであってもよい。上記リグニンは、プロピル基の結合したフェノール誘導体を基本単位とする網状高分子化合物である。
上記フェノール系化合物を上記表面調整用組成物に併用することによって、金属材料への金属のリン酸塩粒子の付着性が改善され、特に難化成性のアルミニウム系金属材料において、その後の化成処理におけるの化成処理性が向上することに加えて、上記表面調整用組成物の安定性を向上させる。すなわち、上記フェノール系化合物を添加すると、濃厚分散液の状態で長期間保存した場合の貯蔵安定性や表面調整用処理液の安定性に優れるものである。更には、水道水に由来するカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の硬度部分が液中に混入した場合であっても、金属のリン酸塩粒子の凝集が抑制された表面調整用組成物とすることができる。
(フェノール系化合物の含有量)
濃厚分散液における上記フェノール系化合物の含有量は、上記金属のリン酸塩粒子(固形分)100質量部に対して0.01質量部以上1000質量部以下であることが好ましい。0.01質量部未満であると、上記金属のリン酸塩粒子への吸着量が不充分であるため上記粒子の金属材料への付着効果が充分でなく、本発明の効果が得られないおそれがある。1000質量部を超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく経済的でない。上記濃度は、0.1質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上20質量部以下であることが更に好ましい。上記濃度の更に好ましい上限は100ppmである。
表面調整用処理液中の上記フェノール系化合物の含有量は、下限1ppm、上限1000ppmであることが好ましい。1ppm未満であると、金属のリン酸塩粒子への吸着量が不充分であるため、金属のリン酸塩粒子の金属材料表面への付着が促進されないおそれがある。1000ppmを超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく経済的でない。上記下限は、10ppmであることがより好ましく、上記上限は、500ppmであることがより好ましい。
(キレート剤)
本発明の表面調整用組成物は、キレート剤を更に含有していてもよい。キレート剤を含有することにより、より優れた分散安定性を付与することができる。すなわち、水道水中のマグネシウムイオンやカルシウムイオン等の硬度成分が本発明の表面調整用組成物中に混入した場合でも、金属のリン酸塩粒子の凝集が抑制され、表面調整用処理液の安定性の向上が期待できる。
上記キレート剤としては、マグネシウムイオンやカルシウムイオン等の硬度成分とキレートを形成できるものであれば、特に限定されず、例えば、EDTA類、ポリアクリル酸類、クエン酸等の有機酸類、縮合リン酸類、ホスホン酸類、CMCカルボキシメチルセルロースなどキレート性樹脂、ゼオライト、シリケート、縮合リン酸アルミなどのキレート効果があるフィラー類等を挙げることができる。
(キレート剤の含有量)
上記キレート剤の含有量は、表面調整用処理液中において、1ppm以上10000ppm以下であることが好ましい。1ppm未満であると、硬度成分を充分キレートできず金属のリン酸塩粒子が容易に再凝集するおそれがある。10000ppmを超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく、また、その後の化成処理において化成処理液の有効成分と反応し、化成性を阻害するおそれがある。上記含有量は、10ppm以上1000ppmであることがより好ましい。上記含有量の更に好ましい上限は、200ppmである。
(その他添加剤)
本発明の表面調整用組成物は、上述した以外に添加剤として、必要に応じて、単糖類、キサンタンガム等の増粘多糖類等を含有していても良い。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記各種添加剤に関しては、種類、添加量等を適宜選択すればよい。
本発明の表面調整用組成物は、上述した成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で更に界面活性剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤等を配合していてもよい。
(界面活性剤)
上記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤を挙げることができる。
上記ノニオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノードアミド、ノニルフェノール、アルキルノニルフェノール、ポリオキシアルキレングリコール、アルキルアミンオキサイド、アセチレンジオール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル変性シリコーン等のシリコン系界面活性剤、炭化水素系界面活性剤の疎水基にある水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されたフッ素系界面活性剤等から選ばれるノニオン界面活性剤で親水性親油性バランス(HLB)が6以上のものを挙げることができる。なかでも、本発明の効果をより得られる点から、HLBが6以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
上記アニオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリビスフェノールスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチルアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチルアルキルアリル硫酸エステル塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、メチルタウリン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、エーテルカルボン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩等を挙げることができる。なかでも、本発明の効果をより得られる点から、アルキルエーテルリン酸エステル塩が好ましい。
上記アニオン性界面活性剤は、アンモニア又はアミン系中和剤で中和させて用いることができる。上記アミン系中和剤としては、例えば、ジエチルアミン(DEA)、トリエチルアミン(TEA)、モノエタノールアミン(META)、ジエタノールアミン(DETA)、トリエタノールアミン(TETA)、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、ジエチルエタノールアミン(DEEA)、イソプロピルエタノールアミン(IPEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、2−アミノ−2−メチルプロパノール(AMP)、2−(ジメチルアミノ)−2−メチルプロパノール(DMAMP)、モルホリン(MOR)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−エチルモルホリン(NEM)等を挙げることができる。なかでも、2−アミノ−2−メチルプロパノール(AMP)を使用することが好ましい。
(界面活性剤の含有量)
上記表面調整用処理液においては、上記アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤の含有量が、下限3ppm、上限500ppmであることが好ましい。上記範囲内であると、本発明の効果を良好に得ることができる。上記含有量は、下限5ppm、上限300ppmであることがより好ましい。上記界面活性剤は2種以上を併用してもよい。
(金属亜硝酸化合物)
上記表面調整用組成物は、錆の発生をより抑制するために、必要に応じて2価又は3価の金属亜硝酸化合物を添加することができる。
(分散媒)
上記表面調整用組成物は、上記2価又は3価の金属のリン酸塩粒子を分散させる分散媒を含有させることができる。
上記分散媒としては、水を80質量%以上含む水性媒体が挙げられる他、水以外の媒体としては各種水溶性の有機溶剤を用いることができるが、上記有機溶剤の含有量は低く抑えるのが良く、好ましくは水性媒体の10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。水のみからなる分散媒とすることもできる。
上記水溶性の有機溶剤は特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノプロピルエーテル、ブチルグリコール、1−メトキシ−2−プロパノール等のエーテル系溶剤;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶剤;ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン等のアミド系溶剤;エチルカルビトールアセテート等のエステル系溶剤等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(アルカリ塩)
上記表面調整用組成物には、更に金属のリン酸塩粒子を安定させ、次に行われる化成処理工程において微細な化成皮膜を形成する目的でソーダ灰等のアルカリ塩が添加されてもよい。
<表面調整用組成物の製造方法>
本発明の表面調整用組成物は、例えば、以下の方法により製造することができる。上記2価又は3価の金属のリン酸塩としてリン酸亜鉛を使用する場合、リン酸亜鉛粒子は、例えば、原料として使用するリン酸亜鉛を用いて得ることができる。原料のリン酸亜鉛はZn(PO・4HOで表されるものであり、一般に無色、結晶性の固体であるが、白色の粉末状態の市販品を入手可能である。
上記原料のリン酸亜鉛の製造方法としては、例えば、硫酸亜鉛とリン酸水素二ナトリウムの希釈液をモル比3:2で混合加温すると、リン酸亜鉛の四水和物が結晶性沈殿物として生成する。また、希リン酸水溶液と酸化亜鉛又は炭酸亜鉛とを反応させてもリン酸亜鉛の四水和物を得ることができる。四水和物の結晶は斜方晶系で、3種の変態がある。加熱すると、100℃で二水和物、190℃で一水和物、250℃で無水和物となる。本発明におけるリン酸亜鉛は、これら四水和物、二水和物、一水和物、無水和物のいずれも利用可能であるが、一般に入手容易な四水和物をそのまま用いれば足りる。
上記原料の2価又は3価の金属のリン酸塩の形状としては特に限定されず、任意の形状のものを使用することができる。市販品は白色の粉末状が一般的であるが、粉末の形状は、微粒子状、板状、鱗片状等、いずれの形状でも構わない。上記2価又は3価の金属のリン酸塩の粒径も特に限定されないが、通常、平均粒径が数μm程度の粉末である。特に塩基性付与の処理をすることにより緩衝作用を高めた製品等、防錆顔料として市販されているものが好適に使用される。後述するように、本発明に従うと、原料の2価又は3価の金属のリン酸塩としての一次粒径や形状にかかわらず、微細に均一分散した安定な2価又は3価の金属のリン酸塩粒子分散液を調製することができる。
上記表面調整用組成物は、上記原料の2価又は3価の金属のリン酸塩粒子をあらかじめ微細に分散させて用いることが好ましい。上記2価又は3価の金属のリン酸塩粒子の濃厚分散液を調製する方法は限定されないが、好ましくは、水又は水溶性の有機溶媒等の上述した分散媒中に原料の2価又は3価の金属のリン酸塩を配合し、上述した層状粘土鉱物及び添加剤の存在下で湿式粉砕を行うことにより達成できる。また、上述した層状粘土鉱物は、必要に応じて、上記濃厚分散液の調製後に添加しても良い。
なお、上記2価又は3価の金属のリン酸塩粒子の濃厚分散液を得るにあたっては、濃厚分散液の調製時に原料の2価又は3価の金属のリン酸塩を水性媒体に配合して湿式粉砕を行うのが工程上好都合であるが、湿式粉砕を水性媒体以外の分散媒中で行ってから溶媒置換により調製してもよい。
上記濃厚分散液の調製において、上記原料の2価又は3価の金属のリン酸塩の配合量は、濃厚分散液中、通常、下限0.5質量%、上限50質量%であることが好ましい。0.5質量%未満であると、2価又は3価の金属のリン酸塩の含有量が少なすぎるため濃厚分散液を用いて得られる表面調整用組成物の効果が充分に得られないおそれがある。50質量%を超えると、湿式粉砕により均一で微細な粒度分布を得ることが困難となり、また、微細に分散するのが困難となるおそれがある。上記配合量は、下限1質量%、上限40質量%であることがより好ましく、下限10質量%、上限30質量%であることが特に好ましい。
また、上記層状粘土鉱物及び添加剤の添加量は、濃厚分散液中、それぞれ下限0.1質量%、上限50質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、充分に分散性できないおそれがある。50質量%を超えると、過剰な上記層状粘土鉱物及び/又は上記添加剤同士の相互作用により分散性が悪くなるおそれがあり、また、分散が充分であったとしても、経済的には有利ではない。上記下限は、0.5質量%であることがより好ましく、上記上限は、20質量%であることがより好ましい。
上記2価又は3価の金属のリン酸塩粒子がD50を3μm以下に微細に分散した濃厚分散液を得る方法は限定されないが、好ましくは、分散媒に原料の2価又は3価の金属のリン酸塩を下限0.5質量%、上限50質量%となるように、上記層状粘土鉱物並びに上記添加剤を下限0.1質量%、上限50質量%となるように存在させて、湿式粉砕する。上記湿式粉砕の方法は特に限定されず、一般的な湿式粉砕の手段を用いれば良く、例えば、ディスク型、ピン型等に代表されるビーズミル、高圧ホモジェナイザー、超音波分散機等に代表されるメディアレス分散機等を用いることができる。
上記湿式粉砕において、2価又は3価の金属のリン酸塩粒子のD90をモニターすることによって、過分散を防止し、凝集や増粘、微細粒子同士の再凝集等を抑制することができる。本発明では、D90を4μm以下となるようにすることが好ましい。また、過分散を生じない程度の配合及び分散条件を選択することが望ましい。
上述した濃厚分散液の調製方法により、水性媒体中での2価又は3価の金属のリン酸塩粒子のD50を3μm以下に調節することができ、安定性に優れ、表面調整用組成物として優れた性能を有する濃厚分散液を得ることができる。D50は通常、下限0.01μm、上限3μmの範囲で所望の程度に調節できる。
上述した濃厚分散液の調製方法によって濃厚分散液を調製することにより、3μmを超える2価又は3価の金属のリン酸塩であってもD50が3μm以下の状態で水性媒体中に分散することができる。数十μmの一次粒子径を有する2価又は3価の金属のリン酸塩であっても同様である。これは、もともと一次粒子径の小さな2価又は3価の金属のリン酸塩を用いなくとも、上述した方法に従って湿式粉砕することにより2価又は3価の金属のリン酸塩粒子の一次粒子径を小さくすることができることも意味している。上述の方法によれば、濃厚分散液中の2価又は3価の金属のリン酸塩粒子のD50を3μm以下、更には1μm以下、更には0.2μm以下とすることもできるのである。
上述のようにして得られた濃厚分散液は、化成処理液中の2価又は3価の金属のリン酸塩粒子のD50を3μm以下で用途に合せて調節することができ、分散安定性に優れた濃厚分散液である。
上記湿式粉砕法により、D90を超える粒径の粒子として示される粗大粒子の割合を低減できるため、特に、分散径の分布としてD90が4μm以下、更には2.6μm以下、更には0.3μm以下の、大分散径のものの抑えられた分散径の分布のシャープな濃厚分散液とすることができる。このため、微細な分散径で2価又は3価の金属のリン酸塩粒子が分散し、かつ分散状態が極めて安定しているものと推測される。また、粗大粒子の割合が低いことから液中の2価又は3価の金属のリン酸塩粒子が効率的に結晶核の生成に寄与すること、また分散径の分布がシャープで粒径が比較的均一であることから、表面調整処理工程においては、より均一な結晶核が形成され、引き続く化成処理により均一な2価又は3価の化成皮膜の形成をもたらし、得られる化成処理鋼板の表面性状が均一で優れたものとなること、更に、このことが複雑な構造を有する金属素材の袋部や黒皮鋼板のような難化成鋼板に対する処理性を向上していることが推測される。
なお、濃厚分散液中の2価又は3価の金属のリン酸塩粒子のD50及びD90については、先に述べたように光回折式粒度測定装置を用いて粒度分布測定を行い求めることができる。
上記濃厚分散液は、特に、2価又は3価の金属のリン酸塩粒子を10質量%以上、更には20質量%以上、更には30質量%以上まで配合した高濃度の濃厚分散液を得ることもできる。このため、優れた表面調整能を有する表面調整用組成物を調製することができる。
上述のようにして得られた濃厚分散液に、必要に応じて、他の成分(2価又は3価の金属亜硝酸化合物、分散媒、増粘剤等)を混合することもできる。上記濃厚分散液と上記他の成分との混合方法は特に限定されず、例えば、濃厚分散液に他の成分を添加して混合してもよいし、濃厚分散液の調製中に他の成分が配合されてもよい。
本発明の表面調整用組成物は、例えば、上記濃厚分散液を水で希釈して調製されるものである。上記層状粘土鉱物は、必要に応じて、2価又は3価の金属のリン酸塩の添加と同時に水性媒体に添加されるのが好ましいが、2価又は3価の金属のリン酸塩粒子を分散させた濃厚分散液に後添加されても良い。上記表面調整用組成物は、分散安定性に優れ、金属材料に良好な表面調整を施すことが出来る。
<表面調整方法>
[表面調整処理工程]
本発明の表面調整方法は、上記表面調整用組成物を金属材料表面に接触させる工程(第一のリン酸塩処理工程)からなるものである。これにより、鉄系及び亜鉛系の金属材料に加え、アルミニウム系金属材料及び高張力鋼板等の難化成性金属材料表面に2価又は3価の金属のリン酸塩の微細粒子を充分な量付着させることができ、化成処理工程(第二のリン酸塩処理工程)で良好な化成皮膜を形成させることができる。また、例えば、鉄系又は亜鉛系金属材料とアルミニウム系金属材料等との異種金属接触部を有する複数種の異種金属材料を同時に処理することができ、充分な皮膜量の化成皮膜を金属材料表面に形成させることができる。
上記表面調整方法における表面調整用処理液と金属材料表面とを接触させる方法は特に限定されず、浸漬やスプレー等の従来公知の方法を適宜採用することができる。
上記表面調整が行われる金属材料としては特に限定されず、一般にリン酸塩を含有する化成処理剤により化成処理を行う種々の金属、例えば亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料、マグネシウム合金、或いは冷延鋼板、高張力鋼板等の鉄系金属材料に適用可能である。また、例えば、鉄鋼又は亜鉛メッキ鋼板とアルミニウム系金属材料等の複数種の異種金属材料を同時に処理する用途にも好適に適用することができる。
また、本発明の表面調整用処理液を用いて、脱脂兼表面調整工程に使用することができる。これにより、脱脂処理後の水洗工程を省略することができる。上記脱脂兼表面調整工程では、洗浄力を高めるために公知の無機アルカリビルダー及び有機ビルダー等を添加しても構わない。また、公知の縮合リン酸塩等を添加しても構わない。上記表面調整において、表面調整用処理液と金属材料表面との接触時間や表面調整用処理液の温度は特に限定されず、従来公知の条件で行うことができる。
[化成処理工程]
上記表面調整を行い、次いでリン酸塩を含有する化成処理剤により化成処理を行って化成処理金属板を製造することができる。
上記化成処理方法は特に限定されず、浸漬(ディップ)処理、スプレー処理、電解処理等の種々の公知の方法を適用することができる。これらを複数組み合わせてもよい。金属材料表面上に析出させる化成皮膜に関しても、金属のリン酸塩であれば特に限定されず、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸亜鉛カルシウム等、何ら制限されるものではないが、リン酸亜鉛が好ましい。上記化成処理において、化成処理剤と金属材料表面との接触時間、化成処理剤の温度は特に限定されず、従来公知の条件で行うことができる。
[塗装工程]
上記表面調整処理及び上記化成処理を行った後、更に塗装を行うことにより塗装鋼板を製造することができる。上記塗装方法は電着塗装が一般的である。塗装に用いられる塗料は特に限定されず、一般に化成処理金属板の塗装に用いられる種々のもの、例えばエポキシメラミン塗料、カチオン電着塗料とポリエステル系中塗り塗料とポリエステル系上塗り塗料等を挙げることができる。なお、化成処理後、塗装に先だっては洗浄工程を行うといった公知の方法が採用される。
本発明の表面調整用組成物は、2価又は3価の金属のリン酸塩粒子を含有するpH3〜12の表面調整用組成物であって、上記2価又は3価の金属のリン酸塩粒子は、平均粒径が3μm以下であり、上記表面調整用組成物は、陽イオン交換容量が60meq/100g以上であり、かつ、水分散状態にある平均粒径が0.1μm以下の層状粘土鉱物を含有するものである。このため、濃厚分散液や表面調整用処理液においても金属のリン酸塩粒子の凝集や沈降が抑制され、分散安定性及び経時安定性に優れ、その後の化成処理において充分な皮膜量の化成皮膜を形成することができる。またそのような性能を有する表面調整用組成物を安価で製造することができるものである。
本発明の表面調整用組成物は、上記構成からなるものであるため、分散安定性に優れ、かつ各種金属材料に適用しても充分な皮膜量の化成皮膜を形成することができるものである。従って、本発明の表面調整用組成物は、自動車車体、家電製品等に使用されている各種材料に対して、好適に使用することができるものである。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、以下の実施例において、「部」又は「%」はそれぞれ「質量部」、「質量%」を意味する。また、表面調整処理において、金属材料と実際に接触させるための処理液を「表面調整用処理液」と、希釈して表面調整用処理液を製造するために用いられる金属のリン酸塩粒子の分散液を「濃厚分散液」と示す。表面調整用処理液は、濃厚分散液を水などの溶媒によって所定の濃度に希釈し、必要な添加剤を添加した後、pHを調整することにより得られるものである。
<実施例1>
純水73質量部に、20%ポリアクリル酸ナトリウム(分子量10000)5質量部とサポナイト(「スメクトンSA」、商品名、クニミネ工業社製、陽イオン交換容量100meq/100g、水分散状態にある平均粒径0.02μm)2質量部を添加してディスパー3000rpmで予備分散し、その後リン酸亜鉛粒子20質量部とを添加し、ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルにより180分間分散した。得られた濃厚分散液を、水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%に希釈し、NaOHでpH9に調整した。
<実施例2>
純水77.8質量部に、Zn変性サポナイト(陽イオン交換容量100meq/100g、水分散状態にある平均粒径0.02μm)2質量部を添加してディスパー3000rpmで予備分散し、その後トリエタノールアミン0.2質量部とリン酸亜鉛粒子20質量部とを添加し、ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルにより180分間分散した。得られた濃厚分散液を、水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%に希釈し、トリエタノールアミンでpH9に調整した。
<実施例3>
純水76.8質量部に、サポナイト(前出)2質量部及び3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン1質量部を添加して、ディスパー3000rpmで予備分散し、その後ジメチルエタノールアミン0.2質量部とリン酸亜鉛粒子20質量部とを添加し、ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルにより180分間分散した。得られた濃厚分散液を、水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%に希釈し、アンモニア水でpH9に調整した。
<実施例4>
純水77.8質量部に、サポナイト(前出)2質量部を添加して、ディスパー3000rpmで予備分散し、その後リン酸亜鉛粒子20質量部とNaOH0.2質量部を添加し、ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルにより180分間分散した。得られた濃厚分散液を、水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%に希釈し、NaOHでpH9に調整した。
<比較例1>
純水78質量部にカオリナイト(「KAOLIN ASP−200」、商品名、ENGELHARD社製、陽イオン交換容量10meq/100g、水分散状態にある平均粒径0.4μm)1質量部をディスパー3000rpmで予備分散し、その後、リン酸亜鉛粒子20質量部を添加し、ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルにより360分間分散した。得られた濃厚分散液を水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%に希釈し、NaOHでpH9に調整した。
<比較例2>
純水79質量部に、リン酸亜鉛粒子20質量部及びCMCカルボキシメチルセルロース(「サンローズAPP84」、商品名、日本製紙社製)1質量部を添加し、ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルにより360分間分散した。得られた濃厚分散液を、水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%に希釈し、NaOHでpH9に調整した。
<比較例3>
純水75質量部に、リン酸亜鉛粒子20質量部及び20%ポリアクリル酸ナトリウム5質量部を添加し、ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルにより360分間分散した。得られた濃厚分散液を、水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%に希釈し、アンモニア水でpH9に調整した。
<比較例4>
純水77.8質量部にハロイサイト(「球状加水ハロイサイトI−17」、商品名、大春化学工業所製、陽イオン交換容量20meq/100g、水分散状態にある平均粒径水分散状態にあるときの平均粒径1μm)2質量部をディスパー3000rpmで予備分散し、その後トリエタノールアミン0.2質量部とリン酸亜鉛粒子20質量部を添加し、ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルにより360分間分散した。得られた濃厚分散液を水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%に希釈し、トリエタノールアミンでpH9に調整した。
<比較例5>
リン酸チタン系粉体表面調整剤(「5N10」、商品名、日本ペイント社製)を0.1%に建浴し、NaOHでpH9に調整した。
<実施例1〜4及び比較例1〜5>
[試験板の作成1]
冷延鋼板(SPC)(70mm×150mm×0.8mm)、アルミニウム板(Al)(♯6000系、70mm×150mm×0.8mm)、亜鉛メッキ板(GA)(70mm×150mm×0.8mm)、高張力鋼板(70mm×150mm×1.0mm)のそれぞれに、脱臭脱脂剤(「サーフクリーナーEC92」、商品名、2%、日本ペイント社製)を使用して、40℃で2分間脱脂処理し、次いで、上記で得られた実施例1〜4及び比較例1〜5の表面調整用処理液を用いて、室温で30秒間表面調整処理した。上記で得られた表面調整用処理液の組成を表1に示す。
続いて、それぞれの鋼板に、化成処理液としてリン酸亜鉛処理液(「サーフダインSD6350」、商品名、日本ペイント社製)を用いて浸漬法で35℃、2分間化成処理し、水洗、純水洗、乾燥して試験板を得た。
[試験板の作成2]
上述した試験板の作成1と同様に、脱脂処理したアルミニウム板3及び亜鉛メッキ板2を作成し、脱脂処理後のアルミニウム板3と亜鉛メッキ板2とを、図1に示すようにクリップ5にて接続した。次いで、接続した鋼板に対して、試験板の作成1と同様に表面調整処理、化成処理、水洗、純水洗、乾燥して試験板を得た。
[評価試験]
下記の方法により、得られた表面調整用組成物のリン酸亜鉛粒子の粒径及び安定性、並びに、得られた試験板の各種評価を行い、結果を表2に示した。試験板の作成2で作成した鋼板については、アルミニウム板3の電食部1の部分について評価を行った。なお、表2において、試験板の作製1で作製したものは、「SPC」、「GA」、「Al」、「高張力鋼板」と、試験板の作成2で作成したものは、表2において「Al(電食部)」と記す。
(リン酸亜鉛粒子の粒径の測定)
実施例又は比較例で得られた表面調整用処理液に含まれるリン酸亜鉛粒子の粒径について、光回折式粒度測定装置(「LA−500」、商品名、堀場製作所社製)を用いて、粒度分布測定を行い、D50(分散体の平均径)及びD90をモニターし、D50及びD90を測定した。
(皮膜外観)
形成された化成皮膜の外観を、目視にて、下記の基準で評価した。また、錆が発生した場合は、程度に応じて「一部錆」、「錆発生」と記載した。
◎:全面に均一に細かく被覆されている
〇:全面に粗く被覆されている
△:一部被覆されていない
×:化成皮膜がほとんど形成されていない
また、形成された化成皮膜の結晶の大きさを電子顕微鏡により測定した。
(付着量)
試験板を表面調整処理後、1分間静置して乾燥後、蛍光X線測定装置(「XRF−1700」、商品名、島津製作所社製)を使用して表面調整処理によるリン酸塩皮膜の皮膜量を測定した。
(化成皮膜量)
試験板を化成処理後、蛍光X線測定装置(「XRF−1700」、商品名、島津製作所社製)を使用して化成皮膜量を測定した。
なお、SPCやGAのように比較的化成処理されやすい金属材料を使用した場合は、できるだけ緻密な結晶が形成されることが望ましいため、粒子径が小さく、皮膜量が少ないほうが、化成性能が高いと判断される。一方、アルミニウム系金属材料や高張力鋼板の場合は、化成処理されにくい、難化成性金属材料であるため、皮膜量を増加させることが必要とされる。このため、皮膜量は多いほうが、化成性能が高いと判断される。
(安定性)
実施例で得られた表面調整用組成物の安定性について、処理液について、室温30日経過後のSPCの化成性を、初期と比較して、目視により、下記の基準で評価した。
〇;初期と同等の皮膜外観
△;初期より劣るが皮膜が形成される
×;化成皮膜がほとんど形成されていない
(耐食性)
化成処理後の試験板を、カチオン電着塗料(「パワーニックス110」、商品名、日本ペイント社製)乾燥膜厚20μmし、水洗後170℃20分間加熱して焼付け試験板を作成した。素地まで達するよう縦平行カットを2本入れた後、ソルトディップ試験(5%塩水、35℃、480h浸漬)に供した後、カット部をテープ剥離し、剥離幅を評価した。
Figure 2007077498
Figure 2007077498
表2より、実施例の表面調整用処理液を使用した場合には、分散安定性が良好であった。また、冷延鋼板、アルミニウム板、亜鉛メッキ板、高張力鋼板のすべての種類の金属材料に対して、充分な皮膜量の化成皮膜が形成され、更に、アルミニウム板と亜鉛メッキ板との異種金属接触部におけるアルミニウム板の部分にも充分な皮膜量の化成皮膜が形成されていた。
本発明の表面調整用組成物は、自動車車体、家電製品等に使用されている各種材料に対して、好適に使用することができるものである。
実施例で使用した電食アルミニウム試験板の概略図である。
符号の説明
1 電食部
2 亜鉛メッキ板
3 アルミニウム板
4 一般部
5 クリップ

Claims (5)

  1. 2価又は3価の金属のリン酸塩粒子を含有する、pH3〜12の表面調整用組成物であって、
    前記2価又は3価の金属のリン酸塩粒子は、D50が3μm以下であり、
    前記表面調整用組成物は、陽イオン交換容量が60meq/100g以上であり、かつ、水分散状態にある平均粒径が0.1μm以下である層状粘土鉱物を含有することを特徴とする表面調整用組成物。
  2. 2価又は3価の金属のリン酸塩粒子は、リン酸亜鉛である請求項1記載の表面調整用組成物。
  3. 層状粘土鉱物は、スメクタイト系層状粘土鉱物である請求項1又は2記載の表面調整用組成物。
  4. 層状粘土鉱物は、サポナイトである請求項1又は2記載の表面調整用組成物。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の表面調整用組成物を金属材料表面に接触させる工程からなることを特徴とする表面調整方法。
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