JP2007071832A - 修飾金粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 目的物質の精度の高い検出が可能である金粒子を提供する。
【解決手段】 金粒子表面に、重量平均分子量/数平均分子量で規定される分子量多分散度が1〜1.2であるポリマーをメルカプト末端基により固定化させ、該ポリマーの他末端に、目的物質に対して特異的親和性を有するリガンドを固定化させたことを特徴とする修飾金粒子。
ポリマーは刺激応答性ポリマーであることが好ましい。
前記修飾金粒子と、測定対象試料とを溶液中で混合し、リガンドが目的物質と特異的に結合した時にのみ形成される凝集体の有無により目的物質を検出する方法。
前記修飾金粒子と、測定対象試料とを溶液中で混合後、刺激を与えることにより修飾金粒子を凝集させ、金粒子及び/又は目的物質を分離回収する方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は修飾金粒子、その製造方法、及び修飾金粒子の特異的親和性を利用した分析方法に関する。
金粒子は、分散状態の変化によって、表面プラズモン吸収由来の吸収極大波長がシフトし、色調が変化することが知られている。そこで、金粒子の表面に目的物質に対して特異的親和性を有するリガンドを固定化すると、特異的反応による凝集に由来する色調変化の有無により目的物質を検出することが可能である。
例えば、特許文献1においては、試料中のウィルス等の抗原を視覚的に検出するため、抗体が結合した金コロイド粒子が利用されている。また特許文献2においては、1本鎖DNAが表面に固定した金コロイド粒子と、ターゲットDNAとを溶液中でアニール後、凝集体形成の有無により、ターゲットDNAの配列を検知する方法が記載されている。
現在、金コロイド溶液は、医薬品、化粧品、食品及び塗料等の広範な分野において利用されている。金コロイド溶液は、塩化金酸溶液に還元剤としてクエン酸塩溶液を加えて加熱し、金イオンを還元させてコロイドとする溶液内還元反応を用いて製造できる。(非特許文献1)。
しかし、一般に金コロイド粒子は水溶液中での分散安定性が悪く、わずかな塩の添加で凝集し、沈殿してしまうことが問題になっていた。
そこで、金粒子表面を水溶性のポリマー鎖で修飾し、金粒子の分散安定性を向上させ、該ポリマーの反対末端にリガンド分子を導入することが試みられている。例えば非特許文献2には、金粒子表面に、アニオン重合により合成されたポリマー(ポリエチレングリコール誘導体)を付着させ、該ポリマーの反対末端に糖を結合させた修飾金ナノ粒子が開示されており、これを用いて目的物質であるレクチンを捕捉する方法が記載されている。
特開平06−213891号公報 特開2004−275187号公報 化学工業 1998年4月 p.269−277 J. AM. Chem. Soc., 123, 8226-8230 (2001)
しかしながら、アニオン重合を効率よく、且つ十分に制御しながら進行させるには、反応系から水分を十分に除去する必要がある。そのため上記技術においては、金粒子に付着しているポリマーの分子量が不均一であり、目的物質の検出の精度が低いという問題があった。また目的物質の回収・解析が困難であると同時に、金粒子自体を回収して再利用することも困難であった。
本発明の目的は、目的物質の精度の高い検出が可能である金粒子を提供することにある。
上記事情を鑑み、本発明者等が鋭意検討を行った結果、金粒子表面に結合させるポリマーとして、可逆的付加開裂連鎖移動重合法(RAFT法)により合成した分子量分布の狭いポリマーを用いることにより、均一かつ分散性が高い金粒子を得ることができ、目的物質のより精度の高い検出が可能であることを見出した。
そして、上記ポリマーとして、刺激応答性ポリマーを用いることによって、目的物質との混合後に刺激を与えることにより金粒子を凝集させ、目的物質の回収・解析、及び金粒子の再利用が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の主題は、金粒子表面に、重量平均分子量/数平均分子量で規定される分子量多分散度が1〜1.2であるポリマーをメルカプト末端基により固定化させ、該ポリマーの他末端に、目的物質に対して特異的親和性を有するリガンドを固定化させたことを特徴とする修飾金粒子である。
前記修飾金粒子において、ポリマーは刺激応答性ポリマーであることが好ましい。
本発明の第二の主題は、下記(A)〜(C)工程を含むことを特徴とする修飾金粒子の製造方法である。
(A)ラジカル重合性モノマーを、チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤の存在下で、可逆的付加開裂連鎖移動重合させて、チオカルボニルチオ基を有するポリマーを得、
該ポリマーのチオカルボニルチオ基を、メルカプト基に変換し、メルカプト末端基を有するポリマーを得る工程。
(B)(A)工程で得られたメルカプト末端基を有するポリマーと、金粒子とを溶媒中で混合し、金粒子表面にメルカプト末端基によりポリマーを固定化する工程。
(C)前記ポリマーの他末端に、目的物質に対して特異的親和性を有するリガンドを結合させる工程。
本発明の第三の主題は、前記修飾金粒子と、測定対象試料とを溶液中で混合し、リガンドが目的物質と特異的に結合した時にのみ形成される凝集体の有無により目的物質を検出する方法である。
また、前記修飾金粒子と、測定対象試料とを溶液中で混合後、刺激を与えることにより修飾金粒子を凝集させ、金粒子及び/又は目的物質を分離回収する方法である。
本発明の修飾金粒子は、表面に分子量多分散度が1〜1.2であるポリマーを固定化し、該ポリマーの他末端に、目的物質に対して特異的親和性を有するリガンドを固定化したものであるため分散安定性が非常に高く、これを利用して目的物質の精度の高い検出が可能である。
また本発明の修飾金粒子は、目的物質と結合後、遠心操作等により回収することができるが、特にポリマーとして刺激応答性ポリマーを使用した場合には、目的物質と結合後に刺激を与えることにより凝集が生じるため、容易に目的物質あるいは金粒子を回収することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
本発明にかかる修飾金粒子は、金粒子表面に、重量平均分子量/数平均分子量で規定される分子量多分散度が1〜1.2であるポリマーが結合しており、該ポリマーの他末端に、目的物質に対して特異的親和性を有する物質が結合していることを特徴とする。
本発明に用いられる金粒子は、通常市販のものを用いればよいが、常法、例えば塩化金酸をクエン酸ナトリウムで還元する方法により調製したものを用いることもできる。
本発明において金粒子は、金を含む合金又は金化合物であっても良い。金を含む合金としては、金合金を形成し得る金属(例えば、Pt、Cu、Ag、Pd等の遷移金属等)を含む合金であって、金含有量が90質量%以上、好ましくは95質量%以上のものが例示される。金化合物としては、例えば、臭化金、塩化金、シアン化金、水酸化金、酸化金、シアン化金カリウム、塩化金ナトリウム、テトラクロロ金酸等が挙げられる。
本発明において、金粒子の粒径は特に限定されないが、1〜1000nm程度、特に10〜100nmであることが好ましい。
本発明において、金粒子表面に固定化するポリマーは、重量平均分子量/数平均分子量で規定される分子量多分散度が1〜1.2であることを特徴とする。分子量多分散度が大きいと、目的物質の検出の精度が低くなる。
また、Mw及びMnは特に限定されないが、Mwは5000以上、Mnは5000以上であることが好ましい。
なお本発明において、Mw、Mn及び多分散度はGPCという方法で測定したものである。カラムはショーデックスのKF−803Lカラムを用い、展開溶媒にTHF、流速1mL/min、40℃という条件で行った。
分子量多分散度が1〜1.2であるポリマーは、例えば可逆的付加開裂連鎖移動重合法(RAFT法)を利用した以下のような方法により、調製することができる。すなわち、ラジカル重合性モノマーを、チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤の存在下で、可逆的付加開裂連鎖移動重合させて、チオカルボニルチオ基を有するポリマーを得、該ポリマーのチオカルボニルチオ基を、メルカプト基に変換し、メルカプト末端基を有するポリマーを得る方法である。
ラジカル重合性モノマーとしては、次の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、2−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、2−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸ペンタフルオロエチル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸3−ジメチルアミノエチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ラウリル、アルキル変性ジペンタエリスリトールのアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、アクリル酸カルビトール、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アクリル酸テトラエチレングリコール、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート、アクリル酸1,9−ノナンジオール、アクリル酸1,4−ブタンジオール、2−プロペノイックアシッド〔2−〔1,1−ジメチル−2−〔(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ〕エチル〕−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル〕メチルエステル、アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジェンフタレート、3−メトキシアクリル酸メチル、アクリル酸アリル等のアクリル酸エステル;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチル、メタクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸トリエチレングリコール、2−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、メタクリル酸トリフルオロメチル、メタクリル酸ペンタフルオロエチル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル等のメタクリル酸エステル;
スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、p−ヒドロキシスチレン、p−カルボキシスチレン、p−メトキシスチレン、ジエチルアミノスチレン、ジエチルアミノα−メチルスチレン、p−ビニルベンゼンスルホン酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、m,m−ジメチルスチレン等のスチレン系化合物;
エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等の脂肪族末端オレフィン化合物;
フッ化ビニル、臭化ビニル、クロロプレン、塩化ビニリデン等のハロゲン含有オレフィン化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチロールアクリルアミド、N−エチロールメタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、N−ブチルマレイミド、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等の窒素含有オレフィン化合物;
p−ビニル安息香酸、安息香酸ビニル、イタコン酸、無水イタコン酸、α−メチルビニル安息香酸、酢酸ビニル、ブタン酸ビニル、無水マレイン酸、酢酸アリル、安息香酸アリル等のカルボキシ基含有不飽和化合物;
ジアリルアンモニウムクロライド、1,6−ヘプタジエン、2,6−ジシアノ−1,6−ヘプタジエン、及び2,4,4,6−テトラキス(エトキシカルボニル)−1,6−ヘプタジエンのような1,6−ヘプタジエン構造を有する化合物等の環化重合可能な化合物;
ジメチルビニルシラン、トリメチルビニルシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシフェニルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、ペンタメチルビニルジシロキサン、トリメチルアリルシラン、トリメトキシアリルシラン、ジメトキシメチルアリルシラン、ヘプタメチルビニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジビニルジシロキサン等のケイ素含有不飽和化合物;
アリル末端ポリエチレンオキサイド、アリル末端ポリプロピレンオキサイド、アリル末端ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、ビニル末端ポリエチレンオキサイド、ビニル末端ポリプロピレンオキサイド、ビニル末端ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、メタリル末端ポリプロピレンオキサイド、ビニル末端ポリテトラメチレンオキサイド、アクリロイル末端ポリアクリル酸、メタクリロイル末端ポリメタクリル酸、アクリロイル末端ポリアクリル酸エステル、アクリロイル末端ポリメタクリル酸エステル、メタクリロイル末端アクリル酸エステル、メタクリロイル末端メタクリル酸エステル、ビニル末端ポリシロキサン、ビニル末端ポリカーボネート、アリル末端ポリカーボネート、ビニル末端ポリエチレンテレフタレート、ビニル末端ポリブチレンテレフタレート、ビニル末端カプロラクタム、ビニル末端ポリアミド、ビニル末端ポリウレタン等の不飽和基含有マクロモノマー等。
これらは、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
これらのモノマーのうち、特にスチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、及び酢酸ビニルを用いることが好ましい。
本発明におけるチオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤は、下記の一般式(1)または(2)で示される化合物からなる群より選択される1種又は2種以上である。
(化1)
Figure 2007071832
(式中、Rは炭素数1以上のp価の有機基であり、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、及び金属原子のうちの1種又は2種以上を含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Zは水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、及びリン原子のうちの1種又は2種以上を含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Zが複数個存在する場合には、互いに同一でも異なっていてもよく;pは1以上の整数である)
(化2)
Figure 2007071832
(式中、Rは互いに独立して炭素数1以上の1価の有機基であり、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、及び金属原子のうちの1種又は2種以上を含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Zは酸素原子(q=2の場合)、硫黄原子(q=2の場合)、窒素原子(q=3の場合)、又は炭素数1以上のq価の有機基であり、該q価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、及びリン原子のうちの1種又は2種以上を含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;qは2以上の整数である)
具体的には、トリチオ炭酸エステル、ジチオ脂肪酸エステル若しくはその誘導体、ジチオ安息香酸エステル若しくはその誘導体、ジチオナフトエ酸エステル、テトラチオテレフタル酸エステル又はチオベンゾイルチオアルキルベンゼン等を使用することができる。
トリチオ炭酸エステルとしては、トリチオ炭酸ジベンジル等を挙げることができる。
ジチオ脂肪酸エステル又はその誘導体としては、ジエトキシホスフィニルジチオギ酸ベンジル、ジチオ酢酸エトキシカルボニルメチル、ジチオ酢酸ベンジル等を挙げることができる。
ジチオ安息香酸エステル又はその誘導体としては、ジチオ安息香酸t−ブチル、ジチオ安息香酸1,1,3,3−テトラメチルブチル、ジチオ安息香酸カルボキシメチル、ジチオ安息香酸1−アセトキシエチル、ジチオ安息香酸1−シアノ−1−メチルエチル、ジチオ安息香酸1−エトキシカルボニル−1−メチルエチル、ジチオ安息香酸1−シアノ−1−メチル−3−カルボキシプロピル、ジチオ安息香酸ベンジル、ジチオ安息香酸m−ビニルベンジル、ジチオ安息香酸p−ビニルベンジル、ジチオ安息香酸1−フェニルエチル、ジチオ安息香酸1−メチル−1−フェニルエチル、ジチオ安息香酸1−(p−メトキシフェニル)エチル、ジチオ安息香酸1−(p−クロロフェニル)−1−メチル、p−クロロジチオ安息香酸1−メチル−1−フェニルエチル、トリチオ過安息香酸t−ブチル等を挙げることができる。
ジチオナフトエ酸エステルとしては、ジチオ−1−ナフトエ酸1−メチル−1−フェニルエチル等を挙げることができる。
テトラチオテレフタル酸エステルとしては、テトラチオテレフタル酸ジベンジル等を挙げることができる。
チオベンゾイルチオアルキルベンゼンとしては、1,4−ビス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、ヘキサキス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス[(1−メチル−1−チオベンゾイルチオ)エチル]ベンゼン等を挙げることができる。
上記の連鎖移動剤は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、可逆的付加開裂連鎖移動重合の際に、アゾ系重合開始剤を用いることが好ましい。本発明で使用されるアゾ系重合開始剤としては、特に制限はないが、例えば一般式(3)で示される化合物を例示することができる。
(化3)
Figure 2007071832
(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜4のカルボキシ置換アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基を示し、同じ炭素原子に結合しているRとRとで脂肪族環を形成していても良く、Rはシアノ基、アセトキシ基、カルバモイル基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基を示す。)
本発明で用いられる一般式(3)のアゾ系重合開始剤において、R、Rの炭素数1〜10のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が例示できる。また炭素数1〜4のカルボキシ置換アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が例示できる。同じ炭素原子に結合しているRとRとで形成される脂肪族環としては例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が例示できる。なお、フェニル基には、例えば水酸基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、アミノ基、アセチル基、アセチルアミノ基等の置換基が置換されていてもよい。Rの(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基としては例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が例示できる。
一般式(3)のアゾ系重合開始剤は、具体的には、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボン酸メチル)等が挙げられる。
重合の際に使用される溶剤としては、ヘプタン、オクタン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;テトラヒドロフラン、n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族石油系溶剤等の溶剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。使用する溶剤の種類及び量については、使用するモノマーの溶解度や濃度、連鎖移動剤や重合開始剤濃度等を考慮して決定される。
ラジカル重合においては、重合開始剤の分解により開始剤ラジカルが発生し、開始剤ラジカルにモノマーが付加することにより、生長ラジカルが生成して重合が開始される。
一般のラジカル重合においては、2個の生長ラジカルが、再結合又は不均化することにより反応して生長が停止し、安定な重合体が生成する。また連鎖移動剤が存在すると、生長ラジカルから連鎖移動剤への連鎖移動が起こり、生長ラジカルは安定なポリマーとなり、発生した連鎖移動剤ラジカルがあらたな重合を開始する。
このように一般のラジカル重合においては、停止反応と移動反応が起こるために、分子量が小さいポリマーが生成し、ポリマーの分子量分布が広くなる。
これに対し、本発明のRAFT法に用いる連鎖移動剤(チオカルボニルチオ化合物)は、再結合又は不均化による停止反応が起こらない連鎖移動剤である。
(化4)
Figure 2007071832
したがってRAFT法によれば、ポリマーの分子量の制御が可能であり、分子量多分散度が狭いポリマーを調製することができる。
RAFT法にて得られたポリマーのチオカルボニルチオ基を、メルカプト基(−SH)に変換し、メルカプト末端基を有するポリマーを得る反応は、塩基、酸、及び水素−窒素結合含有化合物よりなる群から選択される1種又は2種以上である処理剤を使用することにより行われる。上記処理剤はアンモニア、沸点100℃以下の1級アミン化合物及び2級アミン化合物であることが好ましい。
金粒子の分散安定性を良くするために、本発明においてポリマーは、水溶性あるいは水に対する親和性が高いポリマーであることが好ましい。
また上記ポリマーは、刺激応答性ポリマーであることが好ましい。
刺激応答性ポリマーとは、温度変化、pH変化、光照射、電場印加、化学物質の添加等の、刺激の付与(環境変化)に応じて、形状や物性を著しく変える物質である。刺激としては、温度変化及び/又はpH変化を含むことが好ましい。
温度応答性ポリマー鎖を誘導するモノマーとしては、N−イソプロピルアクリルアミド等のN−アルキル置換アクリルアミド類;(メタ)アクリロイルオキシエチルピロリドン、ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類等が挙げられるが、温度応答能に影響を及ぼさない範囲で、他のビニルモノマーと共重合しても構わない。具体的な例としてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、塩化ビニル、N−ビニルピロリドン等のビニル化合物;(メタ)アクリルアミド類等が利用できる。
pH応答性ポリマー鎖を誘導するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びこれらの塩等が挙げられるが、pH応答能に影響を及ぼさない範囲で、上述のような他のビニルモノマーと共重合可能である。
〔金粒子表面へのポリマーの固定化〕
上記RAFT法で得られたポリマーは、SH末端基を有するので金粒子に付着しやすい。
液相系又は気相系において無秩序に互いに相関なく分布していた分子が、ある特定の物質表面を系に共存させるだけで、その表面上に担持され、二次元状に集合して分子一層に成長し、その集合した中で分子全てが同じ配向で表面に沿って広く規則的に並ぶことがある。このように、ある特定の担体表面上で起こるこのような分子の吸着及び分子一層の秩序構造形成の自発的な過程を経て、分子一個分の大きさに相当する厚さで形成される単分子層状の秩序構造体および境界相を自己組織化単分子膜という。本発明においてSH末端基を有するポリマーは、金粒子表面に自己組織化単分子膜を構築する。
〔ポリマーの他末端へのリガンドの固定化〕
上記SH末端基を有するポリマーの他末端へのリガンドの固定化方法としては、具体的には以下の方法が挙げられるが、これに限定されない。
ポリマーの末端がアミノ基の場合、アミノ基にグルタルアルデヒドの片方のアルデヒド基を反応させ、もう一方のアルデヒド基にリガンドのアミノ基を反応させ、リガンドを結合させる。
ポリマーの末端が水酸基の場合、水酸基を臭化シアンを用いて活性化する。ここにリガンドのアミノ基を反応させ、リガンドを結合させる。
ポリマーの末端がカルボキシル基の場合、カルボキシル基にN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドの溶液に浸し、粒子の表面を活性エステル化する。ここにリガンドのアミノ基を反応させ、リガンドを結合させる。
ポリマーの末端がエポキシ基の場合、エポキシ基にリガンドのアミノ基、チオール基、ヒドロキシル基のどれか一つを反応させ、リガンドを結合させる。
ポリマーの末端がチオール基の場合、チオール基にリガンドのチオール基を反応させ、リガンドを結合させる。
なお、ポリマー末端の反応基に、任意の官能基を有する化合物を反応させて、その官能基にリガンドを結合させても良い。またポリマー末端とリガンドの間に任意のスペーサーを使用しても良い。
リガンド及び目的物質は、生体成分、薬剤、ウィルス等である。
目的物質と、目的物質に対して特異的親和性を有するリガンドとして具体的には、例えば抗体−抗原が挙げられる。
本発明に於いて使用される抗体としては、例えば「免疫実験学入門、第2刷、松橋直ら、(株)学会出版センター、1981」等に記載の方法に準じて、馬、牛、羊、兎、山羊、ラット、マウス等の動物に測定対象を免疫して作製されるポリクローナル性抗体でも、或はまた常法、即ちケラーとミルスタイン(Nature,256巻,495頁,1975)により確立された細胞融合法に従い、マウスの腫瘍ラインからの細胞と測定対象物で予め免疫されたマウスの脾細胞とを融合させて得られるハイブリドーマが産生する単クローン性抗体でも何れにてもよく、これらを単独で或はこれらを適宜組み合わせて用いる等ができる。また、これら抗体は、要すればペプシン,パパイン等の酵素を用いて消化してF(ab')2、Fab'、或はFabとして使用しても良い。
具体的に抗体としては、抗インフルエンザウイルス抗体、抗アデノウイルス抗体、抗RSウイルス抗体、抗HAV抗体、抗HBc抗体、HCV抗体、抗HIV抗体、抗EBV抗体、抗NLVノーウォーク様ウィルス抗体等のウィルス抗体、抗クラミジア・トラコマティス抗体、抗溶連菌抗体、抗百日咳菌抗体、抗ヘリコバクター・ピロリ抗体、抗レプトスピラ抗体、抗トレポネーマ・パリダム抗体、抗トキソプラズマ・ゴンディ抗体、抗ボレリア抗体、抗炭疽菌抗体、抗MRSA抗原等の細菌抗体、抗マイコプラズマ脂質抗体、抗大腸菌抗体、抗サルモネラ抗体、抗ブドウ球菌抗体、抗カンピロバクター抗体、抗ウェルシュ菌抗体、抗腸炎ビブリオ菌抗体、抗ベロトキシン抗体、抗ヒトトランスフェリン抗体、抗ヒトアルブミン抗体、抗ヒト免疫グロブリン抗体、抗マイクログロブリン抗体、抗CRP抗体、抗トロポニン抗体、抗HCG抗体、抗クラミジア・トラコマティス抗体、抗ストレプトリジンO抗体、抗ヘリコバクター・ピロリ抗体、抗β−グルカン抗体、抗HBe抗体、抗HBs抗体、抗アデノウイルス抗体、抗HIV抗体、抗ロタウイルス抗体、抗パルボウイルス抗体、抗RSウイルス抗体、抗RF抗体、あるいは、ヒト繊毛製ゴナドトロピン等のペプチドホルモン、ステロイドホルモン等のステロイド、エピネフリンやモルヒネ等の生理活性アミン類、ビタミンB類等のビタミン類、プロスタングランジン類、テトラサイクリン等の抗生物質、細菌等が産生する毒素、各種腫瘍マーカー、農薬などに対する抗体、または、病原微生物に由来する核酸成分に相補的なヌクレオチド等を挙げることができるが、これらに限定されない。
図1に本発明の修飾金粒子10の一例を示す。これは金粒子12表面に、温度応答性ポリマー14をメルカプト末端基により固定化させ、該ポリマーの他末端にリガンド16を固定化させているものである。温度応答性ポリマーは、水素結合性部分を有し,水分子がポリマー鎖のまわりに強く付着し、その結果室温において水に溶解している。しかし、温度を上げると水素結合が切断され、水と相分離し縮んでしまう。このような現象を下限臨界溶解現象といい、相分離を起こす温度を下限臨界溶解温度(Lower Critical Solution Temperature :LCST)と言う。
例えば、側鎖としてアミド基とイソプロピル基を有するポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)のLCSTは32℃付近である。32℃以下ではアミド結合部分がより多くの水を抱え込もうとするので溶解(水和)する。一方32℃以上では、イソプロピル基による結合の方が強くなり、水を弾き出すので凝集(脱水和)する。よって、水中において32℃以下で溶解、32℃以上で凝集する特徴を持っている。
本発明における目的物質の検出方法は、上記修飾金粒子と、測定対象試料とを溶液中で混合し、リガンドが目的物質と特異的に結合した時にのみ形成される凝集体の有無により検出する方法である。
具体的には、上記修飾金粒子と、測定対象試料(例えば血液、血漿、血清、髄液、尿、糞便等の生体由来の試料やこれらを適宜緩衝液等で希釈したもの等)とを混合し、その結果生ずる特異的反応に起因する金コロイド粒子の吸光度変化を測定し、その結果を、予め作成しておいた金コロイド粒子の吸光度変化と測定対象物質量との関係を表わす検量線に当てはめる等することにより、容易に実施し得る。
特にポリマーとして刺激応答性ポリマーを使用した場合には、目的物質と結合後に刺激を与えることにより凝集が生じるため、容易に目的物質あるいは金粒子を回収することができる。
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。
I.金コロイドの調製
塩化金酸(61.74mg、0.15mmol)を283mLの水に溶解し、110℃で15分間還流した(三口フラスコ使用)。その後、クエン酸三ナトリウム(177.27mg、0.6mmol)を溶解した水溶液15mLを加え、約10分間加熱した。反応後、室温で放冷した。
II.メルカプト末端基(−SH)を有するポリマーの合成
(1)RAFT法によるpNIPAM-COONaの合成
末端にカルボン酸ナトリウムを持つポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)は、連鎖移動剤に1-フェニルジチオアセテートp-エチルベンゾイックアッシドのナトリウム塩(PDPEBNa)、開始剤に2、2'-アゾビス(4-メトキシ-2、4-ジメチルバレロニトリル)(V-70)を用いて、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)をRAFT重合することで得られる。
まず、以下の表1のように試薬を計量した。
(表1)
M.W Weight mmol mol ratio
NIPAM 113.16 2.502(g) 0.0221 149.2
PDPEBNa 338.44 50.17(mg) 0.1482 1.000
V-70 308.42 9.66(mg) 0.0313 0.211
メタノール 36.07 15.459(g) ---- ----
計量したNIPAM、PDPEBNa及びV-70をメタノールに溶解し、ナスフラスコに入れた(表1)。アルゴン置換を30分間行った後、50℃のオイルバス上で12時間反応させた。反応後、メタノールをエバポレートして適度に除き、良溶媒にメタノール、貧溶媒にエーテルを用いた再沈殿法にて未反応のモノマーを除去した。この操作は2回行った。収量は0.6567g、収量から求めた転換率は26.2%であった。
(化5)
Figure 2007071832
得られたポリマーの分子量と展開溶媒をTHFとしたGPCの結果を表2及び図2に示す。
(表2)
数平均分子量 重量平均分子量 多分散度
Mn Mw Mw/Mn
11066 11955 1.08
(2)pNIPAM-COONaの末端チオール化
pNIPAM-COONaのジチオエステルをエタノールアミンで分解してチオール化し、HS-PNIPAM-COONaを得る。
pNIPAM-COONa(559.0mg)を水/THF=1/9(v/v)の混合溶媒に溶解し、濃度を50mg/Lとした。アルゴン置換を30分間行った後、エタノールアミンを加えた。撹拌しながら1時間反応させた。反応後、溶媒をエバポレートして適度に除き、貧溶媒にエーエルを用いた再沈殿法によりポリマーを回収した(収量450.2mg)。
(化6)
Figure 2007071832
得られたポリマーの分子量と展開溶媒をTHFとしたGPCの結果を表3及び図3に示す。
(表3)
数平均分子量 重量平均分子量 多分散度
ピークNo. Mn Mw Mw/Mn
1 20144 20327 1.009
2 10577 11633 1.1
ALL 12160 14017 1.153
高分子量側(ピークNo.1)にHS-pNIPAM-COONaがジスルフィド結合により二量体((-S-pNIPAM-COONa))を形成したと考えられるピークが見られた。
(3)ジスルフィド結合の切断
上述のようにして得られたHS-pNIPAM-COONaには、二量体(-S-pNIPAM-COONa)が含まれていたので、DL-ジチオトレイトール(DTT)を用いてジスルフィド結合を切断することにした。まず、以下の表4のように試薬を計量した。
(表4)
M.W. 質量(mg) mmol mol ratio
(-S-pNIPAM-COONa) 20144 436.1 0.022 1
DTT 154.25 268.7 1.742 80.46
DMF 72.11 3437.5 ---- ----
計量した(-S-pNIPAM-COONa)、DTTをDMFに溶解しナスフラスコに入れた((-S-pNIPAM-COONa):100mg/L)。アルゴン置換を1時間行った後、60℃のオイルバス上で48時間反応させた。反応後、200mLのエーテルで再沈殿法により回収した。回収したポリマーをメタノールに溶解し、200mLのエーテルで再沈殿法により回収した。収量は270mgであった。
(化5)
Figure 2007071832
得られたHS-PNIPAM-COONaのGPC測定と1H-NMR測定(solvent:DO)を行った。結果を表5と図4に示す。
(表5)
数平均分子量 重量平均分子量 多分散度
Mn Mw Mw/Mn
10977 11724 1.068
二量体のジスルフィド結合が切断されたことが確認された。
(4)HS-pNIPAM-COOH水溶液の調製
(3)で得られたHS-pNIPAM-COONa(1.12mg)をイオン交換水に溶解して0.97838g/Lのポリマー水溶液を調製した。この水溶液に1M HClを加えてpHを4に調製した。
III.金粒子表面へのHS-pNIPAM-COOHの固定化
Iで得られた金コロイド溶液6g、IIで得られたポリマー水溶液15.0g、イオン交換水9.0gをスクリュー管で混合した。混合後のpHは5.0であった。得られた金コロイド溶液中の金濃度は0.1mM、ポリマー濃度は500mg/L、クエン酸三ナトリウム濃度は0.4mMであった。
IV.ウシアルブミン抗体の固定化
未反応のHS-pNIPAM-COOHを取り除くため、作製した金コロイド溶液1mLを遠心力加速度400,000g、1時間遠心した後上清を取り除いた。さらにイオン交換水1mLを加えて超音波処理を行った後、遠心力加速度400,000g、1時間遠心した後上清を取り除き、この操作を3回行った。次にカルボキシル基の活性化試薬であるNHS(N-hydroxysuccinimide:イオン交換水で11.5mg/mLに希釈)を100μlとEDC(1-Ethyl-3-(3-dimethylamino propyl)-carbodiimide hydrochloride:イオン交換水で75.0mg/mLに希釈)を100μl加えて、1時間反応させた。未反応のNHS、EDCを取り除くため、金コロイド溶液1mLを遠心力加速度400,000g、1時間遠心した後上清を取り除いた。さらにイオン交換水1mLを加えて超音波処理を行った後、遠心力加速度400,000g、1時間遠心した後上清を取り除き、この操作を3回行った。 次に抗ウシアルブミン抗体(PBSで1mg/mLに希釈)を100μl加えて、1時間反応させた。未反応の抗ウシアルブミン抗体を取り除くため、金コロイド溶液1mLを遠心力加速度400,000g、1時間遠心した後上清を取り除いた。さらにイオン交換水1mLを加えて超音波処理を行った後、遠心力加速度400,000g、1時間遠心した後上清を取り除き、この操作を3回行った。 最後にイオン交換水を加えて1mLの抗体感作金コロイド溶液とした。
各濃度に調製されたウシアルブミンを10μlと抗体感作金コロイド溶液100μlを96ウェルプレート上で混合し、8時間後の各濃度におけるΔA(=A0-A)/Aの値をプロットしたグラフを図5に示す。Aはλ=523nmでの吸光度、A0はウシアルブミンの濃度が0μg/mlの時のλ=523nmでの吸光度である。
※他のポリマー(多分散度1.2を超えるもの)を使用した場合との比較。
抗体感作金コロイド溶液1mLを40℃、10分加熱すると青色の凝集物が得られた。この凝集物を取り出し、イオン交換水1mLに入れて超音波処理を行い、凝集物を溶解させた。この金コロイド溶液を遠心力加速度400,000g、1時間遠心した後上清を取り除いた。さらにグリシン−塩酸緩衝液(0.2M、pH2.0)1mLを加えて超音波処理を行った後、遠心力加速度400,000g、1時間遠心した後上清を取り除いた。さらにイオン交換水1mLを加えて超音波処理を行った後、遠心力加速度400,000g、1時間遠心した後上清を取り除き、この操作を3回行った。最後にMQ水1mLを加えて超音波処理を行い、再生金コロイド溶液が得られた。
各濃度に調製されたウシアルブミンを10μlと再生抗体感作金コロイド溶液100μlを96ウェルプレート上で混合し、8時間後の各濃度におけるΔA(=A0-A)/Aの値をプロットしたグラフを図6に示す。Aはλ=523nmでの吸光度、A0はウシアルブミンの濃度が0μg/mlの時の吸光度である。
以上のように、ポリマーとして、重量平均分子量/数平均分子量で規定される分子量多分散度が1〜1.2であるポリマーを用いることにより、本発明の修飾金粒子は、目的物質の精度の高い検出が可能であることが確認された。
本発明の修飾金粒子の一例を示した図である。 実施例工程AにおけるGPCチャートを示した図である。 実施例工程BにおけるGPCチャートを示した図である。 実施例工程CにおけるGPCチャート及び1H-NMRを示した図である。 各濃度のウシアルブミン液と抗体感作金コロイド液との混合液のΔA/A[ΔA=A0-A、Aは523nm吸光度、A0はウシアルブミン濃度0μg/mlの時の523nm吸光度]の値をプロットした図である。 各濃度のウシアルブミン液と再生抗体感作金コロイド液との混合液のΔA/A[ΔA=A0-A、Aは523nm吸光度、A0はウシアルブミン濃度0μg/mlの時の523nm吸光度]の値をプロットした図である。
符号の説明
10 修飾金粒子
12 金粒子
14 温度応答性ポリマー
16 リガンド

Claims (5)

  1. 金粒子表面に、重量平均分子量/数平均分子量で規定される分子量多分散度が1〜1.2であるポリマーをメルカプト末端基により固定化させ、該ポリマーの他末端に、目的物質に対して特異的親和性を有するリガンドを固定化させたことを特徴とする修飾金粒子。
  2. ポリマーが刺激応答性ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の修飾金粒子。
  3. 下記(A)〜(C)工程を含むことを特徴とする修飾金粒子の製造方法。
    (A)ラジカル重合性モノマーを、チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤の存在下で、可逆的付加開裂連鎖移動重合させて、チオカルボニルチオ基を有するポリマーを得、
    該ポリマーのチオカルボニルチオ基を、メルカプト基に変換し、メルカプト末端基を有するポリマーを得る工程。
    (B)(A)工程で得られたメルカプト末端基を有するポリマーと、金粒子とを溶媒中で混合し、金粒子表面にメルカプト末端基によりポリマーを固定化する工程。
    (C)前記ポリマーの他末端に、目的物質に対して特異的親和性を有するリガンドを結合させる工程。
  4. 請求項1又は2に記載の修飾金粒子と、測定対象試料とを溶液中で混合し、リガンドが目的物質と特異的に結合した時にのみ形成される凝集体の有無により目的物質を検出する方法。
  5. 請求項2に記載の修飾金粒子と、測定対象試料とを溶液中で混合後、刺激を与えることにより修飾金粒子を凝集させ、金粒子及び/又は目的物質を分離回収する方法。
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