JP2007050631A - キャスト法によるプラスチックフィルム製造用支持体フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 溶液キャスト法によりプラスチックフィルムを製造する工程において支持体として用いられるフィルムであって、当該フィルムのキャスト面を構成する層が、主たるポリエステル構成成分以外のポリエステル構成成分を2〜25モル%の範囲で含有し、当該フィルム表面のRaが3.0〜20.0nmの範囲であり、かつRtが20〜500nmの範囲であることを特徴とするキャスト法によるプラスチックフィルム製造用支持体フィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明の支持体ポリエステルフィルムは、溶液キャスト法にて製膜される工程で使用されるが、その製膜フィルムの素材は、かかる工程を採用できるものであれば特に限定されない。例えばポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、トリアセチルセルロース系フィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリイミドフィルムなどが適用できる例として挙げられる。
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。表層部のみの極限粘度の測定については、溶融押出機から共押出する工程で、同吐出量で押出を行ったポリエステルの極限粘度を測定する方法または、表層のみをナイフなど適当な道具を用いて削り取り、測定に供した。
(株)島津製作所社製遠心沈降式粒径分布測定装置SA−CP3型を用いてストークスの抵抗則にもとづく沈降法によって粒子の大きさを測定した。測定された粒子の等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を用いて平均粒径(d50)とした。また同装置で測定された等価球形分布における大粒子側から積算を行い、下記の式から粒径分布値(d25/d75)を求めた。
粒径分布値=(粒子の積算重量が25%のときの粒径)÷(粒子の積算重量が75%のときの粒径)
なお、粒径分布値は、1.0に近いほどシャープな粒径分布を有する。
(株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜きとり、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表したとき、次式で与えられた値を中心線平均粗さ(Ra)とし、〔nm〕で表した。最大高さ(Rt)は、上記で得られたフィルム断面曲線の抜き取り部分の、平均線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだ時、この2直線の間隔を断面曲線の縦倍率の方向に測定した値を最大高さ(Rt)とし、〔nm〕で表した。最大高さ、中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分のそれぞれの値の平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫|f(x)|dx
ティーエイインスツルメント社製のDSC装置「MDSC2920型」を使用し、以下の条件にて測定した。すなわちポリマー約5mgを採取してDSC装置にセットし、窒素気流下20℃/分の速度で室温から300℃まで昇温して、5分間保持した。サンプルを取り出して液体窒素にて急冷した。このサンプルを再度DSC装置にセットし、室温から300℃まで10℃/分の速度で昇温してDSC曲線を得た。この測定において得られたポリマーの結晶化による発熱のピーク温度(Tc1)を読み取った。300℃にて5分間保持後、5℃/分の速度で降温して、結晶化による発熱のピーク温度(Tc2)を読み取った。積層フィルムのA層のポリマーについて測定する場合は、A層原料を同じ溶融押出条件にて押出して得られたポリマーを使用するか、または表面の層から適当なナイフ等を用いて削り取ることによりポリマーを採取した。
溶媒としてジクロロメタンを用いて、ポリカーボネートの20重量%溶液を調合した。
この溶液を支持体フィルム上に塗布し、70℃にて一次乾燥し、さらに100℃にてキャストフィルム中の残存溶媒量が0.5重量%以下になるまで乾燥し、支持体フィルムと共に巻き取った。得られたキャストフィルムの厚みは45μmであった。キャストフィルムの評価は、支持体フィルムを剥離して行った。なお、キャストフィルムの製品を得るためには、粘着剤層を有する保護フィルムを貼り合わせることがあるが、本発明においては、キャストフィルムの評価を、支持体剥離後、直ちに行った。評価の基準は以下とした。
ランクA:高透明なフィルムとして得られ、光学用部材として高品質なもの。
ランクB:透明感があり、光学用部材として使用可能だが、Aよりもやや劣る。
ランクC:透明感に劣り、光学用部材としては使用できない。
・光学的な欠点(2枚の偏光板を用いて、クロスニコル下で目視にて観察した)
ランクA:欠点は1個/m2以下
ランクB:欠点は3個/m2以下
ランクC:欠点は20個/m2以下
ランクA:高透明なフィルムとして得られ、光学用部材として高品質なもの。
ランクB:透明感があり、光学用部材として使用可能だが、Aよりもやや劣る。
ランクC:光学用部材として実用上支障がある。
〈ポリエステルの製造〉
[ポリエステル(a)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.035部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温して、280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.67に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(a)の極限粘度は0.67であった。
ポリエステル(a)の製造方法において、出発原料をテレフタル酸ジメチル80重量部とイソフタル酸ジメチル20重量部とエチレングリコール60重量部としたこと以外は、ポリエステル(a)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(b)を得た。得られたポリエステル(b)は、極限粘度0.68であった。
ポリエステル(a)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒径0.35μm、粒径分布値1.95のスチレン系架橋高分子粒子を0.3部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、極限粘度0.66に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(a)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(c)を得た。得られたポリエステル(c)は、極限粘度0.67であった。
ポリエステル(c)の製造方法において、添加する粒子を平均一次粒径0.02μmのアルミナ粒子とし、添加量を1.0部としたこと以外は、ポリエステル(c)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(d)を得た。得られたポリエステル(d)は、極限粘度0.64であった。
ポリエステル(c)の製造方法において、添加する粒子を平均粒径2.5μmの無定形シリカ粒子とし、添加量を0.3部としたこと以外は、ポリエステル(c)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(e)を得た。得られたポリエステル(e)は、極限粘度0.66であった。
出発原料をテレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール54重量部と1,4−シクロヘキサンジメタノール25重量部とし、触媒としてテトラブトキシチタネート
0.008重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とし、さらに1時間反応を継続した。その後反応物を温度を230℃から徐々に昇温すると共に圧力を常圧より徐々に減じ、最終的に温度を280℃、圧力を0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.70に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(f)の極限粘度は0.70であった。
実施例1において、A層とB層の原料として、ポリエステル(a)50部とポリエステル(c)50部とを混合したこと以外は実施例1と同様にして、合計厚み125μmの(A/C/B)積層ポリエステルフィルムを得た。同条件で押出したA層とB層のポリエステルの極限粘度は0.65であった。
実施例1において、A層とB層の原料として、ポリエステル(b)40部とポリエステル(e)60部とを混合したこと以外は実施例1と同様にして、合計厚み125μmの(A/C/B)積層ポリエステルフィルムを得た。同条件で押出したA層とB層のポリエステルの極限粘度は0.64であった。
実施例1において、A層原料として、ポリエステル(a)70部とポリエステル(b)30部とを混合し,B層原料として、ポリエステル(b)50部とポリエステル(c)50部とを混合した原料を使用したこと以外は実施例1と同様にして、合計厚み125μmの(A/C/B)積層ポリエステルフィルムを得た。同条件で押出したA層とB層のポリエステルの極限粘度は共に0.65であった。
以上、得られた結果をまとめて下記表1に示す。
Claims (3)
- 溶液キャスト法によりプラスチックフィルムを製造する工程において支持体として用いられるフィルムであって、当該フィルムのキャスト面を構成する層が、主たるポリエステル構成成分以外のポリエステル構成成分を2〜25モル%の範囲で含有し、当該フィルム表面のRaが3.0〜20.0nmの範囲であり、かつRtが20〜500nmの範囲であることを特徴とするキャスト法によるプラスチックフィルム製造用支持体フィルム。
- 共押出法による積層構造を有するポリエステルフィルムであり、キャスト面を構成する層の厚みが0.1〜30μmであり、当該層の厚みが全厚みの30%以下であることを特徴とする請求項1に記載のキャスト法によるプラスチックフィルム製造用支持体フィルム。
- キャスト面を構成する層のDSCにて測定したポリマーの昇温時の結晶化発熱ピーク温度(Tc1)と溶融後降温時の結晶化発熱ピーク温度(Tc2)との差(Tc2−Tc1)が、40℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のキャスト法によるプラスチックフィルム製造用支持体フィルム。
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