JP2007041598A - 偏光板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
偏光板の製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明は少なくとも偏光子と樹脂フィルムからなる偏光板の製造方法において、前記偏光子と前記樹脂フィルムを貼合する前に、少なくとも前記偏光子に帯電防止処理を行うことを特徴とする。また、貼合して得られる偏光板に帯電防止処理をさらに行うことを特徴とする。従って、偏光子と樹脂フィルムを貼合する前に、少なくとも偏光子に対して帯電防止処理を行うので、偏光子と樹脂フィルムとの間に異物が混入することを低減させて異物の混入によるドット欠けなどの欠陥のない高品質の偏光板を製造することが可能になって、特に大型TV用LCDなどに使われる偏光板を製造するのに最適である。また、偏光子と樹脂フィルムを貼合して製造された偏光板に帯電防止処理を行うので、偏光板を表示装置などに貼合する時帯電を防止することができる。
【選択図】図2
Description
偏光板10は、例えば図1に示したように、ポリビニルアルコールなどからなるフィルム状の偏光子3の両面にセルロース系の樹脂フィルム2が貼合されたものが一般的に用いられており、通常その一方の面には運送中の表面の傷付き防止などのために保護フィルム1が貼着され、他方の面には粘着剤層5及び剥離フィルム6が積層された多層構造になっている。
従って、LCDに貼り合せる際には、剥離フィルム6を除去し、粘着剤層5にてLCD表面に貼り合せるが、もし各層間に異物が存在すると、LCDの表示においてドット欠けなどの表示不良が発生するため致命的な欠陥となり、剥離フィルム6の除去時発生した静電気によってLCD回路が破壊されるか、液晶の配向に影響を与えて不良を引き起こすようになる。特に、最近の大型TV用LCDの場合は面積が広いため、それほど発生した静電気及び異物の低減は高品質化、コスト削減のもっとも大きな要因の一つである。
異物の混入は帯電による付着がその主な原因なので、従来より偏光板10の帯電防止対策として、保護フィルム1に帯電防止剤を塗布する方法が知られているが、この方法は保護フィルム1を剥離する際に偏光板10が帯電し易いという問題があった。
また、帯電防止対策としてセルロース系樹脂板に帯電防止剤を塗布した帯電防止板が提案されており、該当帯電防止板を偏光子と貼合して作製される偏光板は保護フィルムを剥離する際にも容易には帯電しなく、その他偏光板の表面への帯電防止処理、粘着剤層への帯電防止処理、偏光板の表面処理(ハードコート、アンチグレア)層への帯電防止処理などを提案しており、それらの処理法についてもグラビアコート、ディップコート、スプレーコートなどのコート方法を記載している。
これらの技術は、偏光板10をLCDに貼り合せる際に、保護フィルム1の剥離により発生する偏光板10の帯電による静電気発生及びこれによる異物の混入といった不具合を解決するのに極めて有用である。しかし、偏光板10への異物の混入は偏光板10をLCDに貼り合せる時以外にも偏光子3に樹脂フィルム2を貼り合わせて偏光板10を製造する工程でも生じうる。特に、ロール状に巻かれた偏光子3及び樹脂フィルム2をそれぞれ引き出しながら水洗い、乾燥などの処理を経て、これらを貼り合せるまでの距離が長い場合には、この偏光子3と樹脂フィルム2との間で異物が混入する可能性が極めて高くなる。
従って、偏光子3と樹脂フィルム2の間、すなわち図1のaまたはbで示した箇所に異物が混入することを防止するために、従来は偏光子3と樹脂フィルム2を貼り合せる工程の環境をより高清浄度に保つように努力しているが、その一環として、クリーンルームの空調管理、環境管理に多大な投資をしているのが一般的であるが、それだけでは、ドット欠けなどの結果のない高品質な偏光板10を製造するのに充分ではないのが実情である。
また、偏光子と樹脂フィルムとを貼合して製造された偏光板に帯電防止処理を行って保護フィルム除去時にも帯電が防止できる偏光板を製造する方法を提供するところにある。
また、前記帯電防止処理及び前記偏光子と前記樹脂フィルムとの貼合は連続して行われることを特徴とする偏光板の製造方法を提供する。
そして、ポリビニルアルコール樹脂のフィルムを連続的に延伸して前記偏光子に加工し、得られたこの偏光子の両面または片面に帯電防止剤を塗布した後、該偏光子と前記樹脂フィルムを貼合することを特徴とする偏光板の製造方法を提供する。
本発明によれば、偏光子3と樹脂フィルム2を連続して貼合する前に、少なくとも偏光子3に対して帯電防止処理を行うことにより、偏光子3と樹脂フィルム2との間に異物が混入することを低減させるようになる。前記帯電防止処理と貼合は連続的に行われるのが異物の混入防止のために望ましい。
図2は本発明に係る偏光板を製造する時の偏光子と樹脂フィルムを貼合する工程に対する概略図であり、すなわち偏光子3の両面に樹脂フィルム2を貼合する工程を示す。
偏光子3と樹脂フィルム2は帯電防止処理手段100で帯電防止処理された後接着剤(矢印8で示し)を連続的に塗布してロール圧着装置11により貼り合せるようになり、その後熱風乾燥機などの乾燥機9で乾燥されて偏光板10に製造するようになる。
偏光子3としては、通常ポリビニルアルコール系樹脂のフィルムよりなるヨウ素系の偏光子、二色染料系の偏光子などが用いることができるが、これらに限定されるものではない。偏光子3についてはその異物の除去のために、予め前処理として図示しない水洗及び乾燥処理などを施すことができる。望ましくはポリビニルアルコール系樹脂のフィルムを連続的に延伸して前記偏光子に加工し、得られたこの偏光子の両面または片面に帯電防止剤を塗布した後、この偏光子と前記樹脂フィルムを貼合するのが良い。
樹脂フィルム2は、例えばセルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂などからなるものが用いられ、これらの中でも特に透明性及び耐久性に優れた酢酸セルロース系樹脂のトリアセチルセルロースフィルムや二軸延伸ポリエステルやノルボネン系樹脂がさらに好適に用いることができ、また耐久性及び機械的強度特性に優れたポリカーボネート系フィルムも好適に用いることができる。
かかる樹脂フィルム2の厚さは通常0.04〜0.4mmほどが好ましく、前述した偏光子3の場合と同様に、樹脂フィルム2についてもその異物の除去面から予め前処理として水洗及び乾燥処理などを施すことができる。
さらに、前処理された偏光子3と樹脂フィルム2は帯電防止処理手段100にて連続的に帯電防止処理がなされ、帯電防止処理手段100は、示したように、帯電防止剤7aが注入されたディップコート槽7を備え、その設けられる位置は静電気による異物の付着を防止できるように前処理直後に設けられることが望ましい。 ここで、ディップコート槽7に注入される帯電防止剤7aとしては、例えば水溶性の帯電防止剤、無機化合物系の帯電防止剤などが用いられ、このうち水溶性帯電防止剤としてはカチオンイオン系帯電防止剤、アニオンイオン系帯電防止剤などが用いられ、またこのうちカチオンイオン系帯電防止剤としては、下記の化学式1で表されるアンモニウム塩などを用いることができる。
一方、無機化合物系帯電防止剤としては導電性を有する無機化合物、例えば酸化アンチモン、インジウム錫複合酸化物(ITO)などが用いられる。
帯電防止剤としては前述した形態だけではなく、チオフェン、アニリン、ピロール、ボロンおよびその誘導体の単量体が重合されたポリチオフェン類であるポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアニリン、ポリボロンなどの高分子形態の帯電防止剤も使用することができる。市中で入手可能は帯電防止剤は、例えば(Baytron PH, Bayer社)ポリチオフェン系、ボロン化合物(Biomicelle BN-1300,ボロン研究所)ボロンポリマーなどの高分子形態の帯電防止剤などが用いられる。前述した帯電防止剤の場合、1種類あるいは2つ以上の帯電防止剤を混用することもできる。以上のような帯電防止剤は通常水、低級アルコール、その他溶剤で希釈され使用される。さらに、前述したディップコート法に代えて、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法、ダイコート法などの色々のコーティング法を用いて帯電防止処理が行えることは勿論である。帯電防止剤がバインダ−と混合して常用される場合、前述した通常のコーティング法で帯電防止処理が行われることが望ましい。
帯電防止剤7aの塗布量及び乾燥条件(温度、時間)は、偏光子3及び樹脂フィルム2に対して同じ条件または異なる条件で施しても良く、その条件は、用いられる樹脂フィルム2、帯電防止剤7a、塗布方法などにより適宜変更されうる。
前述した帯電防止処理を施した後、偏光子3の両面及び/または樹脂フィルム2の偏光子3を接する面に対して塗布装置(図示せず)を用いて接着剤8を塗布した後、ロール圧着装置11を用いて貼合するようになる。
接着剤8としては水溶性の接着剤が好ましく用いられ、この際水溶性接着剤としては、例えばポリビニルアルコールなどを主成分にするものが用いられる。
さらに、貼合により得られる偏光板10は以後乾燥機9により乾燥処理されてから、ロール状に巻き取られるか、あるいはそのまま次工程に送られる。
ここで、偏光子3と樹脂フィルム2を連続的に搬送しつつ貼合する場合、その搬送速度は、物理的性質及び加工特性によって調整するのが良いが、搬送速度が速くなると、一般的に静電気量も高くなるため、通常、1〜100m/min範囲、好ましくは1〜50m/min範囲が適当である。
また、本発明は前記樹脂フィルムと帯電防止処理した偏光子を貼合した偏光板に帯電防止剤をさらに塗布して帯電防止性能をさらにアップし、保護フィルムの除去時生じうる帯電を防止できるようになる。
偏光板に帯電防止処理を行う方法は、前述したように偏光子に帯電防止処理を行う方法で説明されたままに行え、前述したのでその説明を省く。
前記帯電防止処理を施した偏光板10の帯電半減期は30秒以下が望ましく、さらに望ましくは20秒以下が剥離フィルム6を除去する際あるいは運搬及び摩擦により瞬間的に発生した電荷を除去するのに効果的である。
以上の過程を通じて作製される偏光板10は、図1に示したように、その一方の面にはポリエチレンテレフタレートフィルムなどの保護フィルム1が接着され、他の面には粘着剤層5及び剥離フィルム6が順次に積層される。
粘着剤層5としては一般的に用いられる粘着剤、例えばアクリル系粘着剤、ポリイソブチル系粘着剤、スチレン-ブタジエンゴム系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤などが用いられ、粘着剤はそれぞれ単独あるいは2種類以上を混合して用いても良く、帯電防止剤を含有していても良いが、この際帯電防止剤の含有量は、粘着剤1重量部当たり0.2〜2重量部、好ましくは0.3〜1.2重量部の範囲である。
ひいては、以上では偏光子3と樹脂フィルム2に対してそれぞれ帯電防止処理を施すこととしたが、偏光子3だけを帯電防止処理しても良く、この場合にも少なくとも貼合前の偏光子3が帯電され異物が付着するのを低減できるため、後述する実施例で説明する、得られる偏光板10の不良率を大幅に低減させることができる。
以下、実施例と比較例を通じて本発明をさらに詳述する。〔実施例〕
偏光板10の表面抵抗値を表面抵抗測定器(Misubishi Chemical Corporationが製造したMCP-HT450)を使用して測定した。
(帯電半減期測定)
偏光板10の試料を減衰度測定器の試片位置に載置した後、コロナ放電量10kVを1分間印加してから3分後に経時的な電荷減衰曲線から半減期を測定した(日本シシド静電気(株)Static Honestmeter, H-0110、試験方法:JIS L1094〜1980)
(測定及び結果)
実施例で得られた偏光板10を14インチのLCD相当の寸法(長辺290mm×短辺220mm)に、ス−パーカッターを用いて裁断し、裁断した偏光板10の全数を目視にて検査を行い、異物の検出された偏光板10を不良にし、その測定結果及び検査結果を下記の表1に示す。
樹脂フィルム2は、トリアセチルセルロースをケン化処理して得られたものを用い、その一方の面に水溶性接着剤8(ポリビニルアルコールを主成分とする市販品)をディップコート法にて塗布して、前述した偏光子3の両面に、ロール圧着装置11を用いて貼り合わせ、熱風で乾燥させた。
こうして得られた偏光板10の一方の面に保護フィルム1(ポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面に粘着剤が塗布された市販品)をロール圧着装置11を用いて連続的に貼り合わせた。さらに他方の面には粘着剤層5(市販のアクリル樹脂系粘着剤)が連続的に塗布された剥離フィルム6(ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面にシリコン樹脂が処理された市販品)をロール圧着装置11を用いて連続的に貼り合わせた。
こうして得られた偏光板10の一方の面に保護フィルム1(ポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面に粘着剤が塗布された市販品)をロール圧着装置11を用いて連続的に貼り合わせた。そして、他方の面には粘着剤層5(市販のアクリル樹脂系粘着剤)が連続的に塗布された剥離フィルム6(ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面にシリコン樹脂が処理された市販品)をロール圧着装置11を用いて連続的に貼り合わせた。
前記表に示すように、実施例での不良率が0.02〜0.07%であるのに対して、比較例では0.52%であることから、本発明の製造方法によって異物の混入による不良品の発生を大きく低減できることが分かる。
以上前述した内容は本発明の望ましい実施例を例示したことに過ぎず、本発明の当業者は本発明の要旨を変更させず本発明に対する修正及び変更を加えることができることは勿論である。
3:偏光子 5:粘着剤層
6:剥離フィルム 7:ディップコート槽
7a : 帯電防止剤 8:接着剤
9:乾燥機 10 : 偏光板
11:ロール圧着装置 100 : 帯電防止処理手段
Claims (5)
- 少なくとも偏光子と樹脂フィルムとからなる偏光板の製造方法において、
前記偏光子と前記樹脂フィルムを貼合する前に、少なくとも前記偏光子に帯電防止処理を行うことを特徴とする偏光板の製造方法。 - 前記帯電防止処理と、前記偏光子と前記樹脂フィルムとの貼合とが連続して行われることを特徴とする請求項1に記載の偏光板の製造方法。
- ポリビニルアルコール系樹脂のフィルムを連続的に延伸して前記偏光子に加工し、得られた該偏光子の両面または片面に帯電防止剤を塗布した後、この偏光子と前記樹脂フィルムを貼合することを特徴とする請求項1に記載の偏光板の製造方法。
- 前記樹脂フィルムの両面または片面に帯電防止剤を塗布した後、該樹脂フィルムと帯電防止処理した偏光子を貼合することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
- 前記樹脂フィルムと帯電防止処理した偏光子を貼合した偏光板に帯電防止剤を塗布することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
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