JP2007040151A - エンジンの始動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 複数の気筒のうちの少なくとも1つの気筒が膨張行程にあるときに残りの気筒の少なくとも1つが吸気行程にあるエンジンの始動装置であって、エンジン停止の際に吸気行程にあった気筒に電動過給機(26)によって過給された吸気を供給すると共に、エンジン停止の際に膨張行程にあった気筒と吸気行程にあった気筒とに燃料噴射弁(2)から燃料を供給し、点火プラグ(4)で供給燃料を点火することによりエンジン(1)を始動する。
【選択図】 図1
Description
この始動装置では、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒を判別し、運転者のスタート操作等に応じてエンジンを始動する際には、この膨張行程気筒に対して燃料を噴射した後に点火を行って噴射燃料を燃焼させ、このときに発生する燃焼圧によりエンジンを始動する。
上記特許文献1の始動装置では、このような問題を回避するため強制的に吸気弁を閉じるようにしているが、このように吸気弁を強制的に閉じるためには、エンジンの動弁系にバルブの開閉時期やバルブリフト量を変更するための可変機構を全気筒に個別に設ける必要がある上、エンジン始動後は直ちに通常のエンジンの運転に適合したバルブ開閉時期やバルブリフト量に戻さなければならず、動弁機構の構造やエンジンの制御が極めて複雑になるという問題がある。
また、好ましくは、前記エンジンをクランキング可能なスタータモータと、前記エンジンの温度を検出する温度検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記温度検出手段によって検出されたエンジン温度が所定温度以下のときには、前記スタータモータを用いて前記エンジンを始動することを特徴とする(請求項3)。
また、好ましくは、前記エンジンをクランキング可能なスタータモータと、前記エンジンの回転速度を検出する回転速度検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記気筒内への燃料供給と前記燃料の点火により前記エンジンの始動を行った後に前記回転速度検出手段によって検出された前記エンジンの回転速度が所定値以上に上昇しないときには、前記スタータモータを用いて前記エンジンを始動することを特徴とする(請求項4)。
更に、過給された吸気の供給により、吸気弁が開いていても気筒内の圧力が逃げにくくなるので、発生した燃焼圧をエンジンの始動に有効に活用することができる。
更に、エンジン温度が低い場合には気筒内の燃料の気化が十分行われず、エンジンの始動に必要な燃焼圧が得られない場合があるが、請求項3のエンジンの始動装置によれば、エンジン温度が所定温度以下のときには、スタータモータを用いてエンジンの始動が行われるようにしたので、エンジン温度が低い場合でも確実にエンジンを始動することが可能となる。
また、請求項4のエンジンの始動装置によれば、気筒内への燃料供給と点火によりエンジンの始動を行った後にエンジンの回転速度が所定値以上に上昇しないときには、スタータモータを用いてエンジンの始動が行われるので、何らかの理由により気筒内への燃料供給と点火ではエンジンの始動ができなかった場合でも、確実にエンジンを始動することができる。
図1の全体構成図に示すように、本実施形態のエンジン1は筒内噴射型直列4気筒エンジンとして構成され、各気筒には燃料噴射弁2及び点火プラグ4が設けられている。各気筒の燃料噴射弁2は気筒内、即ち燃焼室6内に燃料を直接噴射可能に構成され、各燃料噴射弁2には図示しない燃料ポンプから所定圧力で燃料が供給される。
一方、燃焼後の排ガスは排気弁14の開弁に伴って排気ポート16から図示しない触媒や消音器を経て外部に排出される。
また、エンジン1にはエンジン1の冷却水温をエンジン温度として検出する水温センサ(温度検出手段)36、エンジンのクランク軸の回転に同期してクランク角信号を出力するクランク角センサ38、カム軸の回転に同期してTOP信号を出力するカム角センサ40が設けられている。
ECU42の入力側には、各種制御に必要な情報を収集するため、上述した水温センサ36、クランク角センサ38、及びカム角センサ40のほか、車両の走行速度を検出する車速センサ44、運転者によるブレーキ操作を検出するブレーキスイッチ46、及び運転席に設けられたセレクトレバーの操作位置を検出するシフト位置センサ48などの各種センサ類やイグニションスイッチ50が接続されており、出力側には演算した制御量に基づき制御が行われる各気筒の燃料噴射弁2、点火プラグ4、電子スロットル弁22の電動アクチュエータ20、電動過給機26の電動機28、及びスタータモータ30などの各種デバイス類が接続されている。
一方、ECU42は信号待ちや渋滞等による車両の停車中には、エンジン1を一時的に自動停止させるアイドルストップ制御を実行する。本実施形態ではエンジン停止条件として、車速センサ44により検出された車速Vが0km/hであること、ブレーキスイッチ46によりブレーキ操作が検出されていること、及びシフト位置センサ48により検出されたシフト位置がD(ドライブ)レンジ等の走行レンジ又はN(ニュートラル)レンジであることが設定されており、これらの条件が満たされると、ECU42は燃料噴射制御及び点火時期制御を中止してエンジンを停止させる。
図2及び図3は始動制御のフローチャートを示すものであり、ECU42は車両の使用中にこのフローチャートに基づく始動制御ルーチンを所定の制御周期で実行している。この始動制御ルーチンはイグニションスイッチ50のOFF位置以外で常に実行され、運転者のキー操作によりエンジン1が停止・始動された(即ち、一旦アクセサリ位置に切換えられた)場合でも継続するように配慮されている。
ステップS4では、エンジン停止指令が入力されたか否かを判定する。このエンジン停止指令はアイドルストップ制御でエンジン停止条件が成立したとき、或いは運転者によりイグニションスイッチ50がOFF操作されたときに入力されるものであり、エンジン停止指令が入力されない場合には今回の制御周期における始動制御ルーチンを終了し、次の制御周期で再びステップS2から処理を行う。
ステップS8では、クランク角センサ38により検出されたクランク角信号とカム角センサ40により検出されたTOP信号とに基づき、エンジン停止の直前に膨張行程にある気筒(以下、膨張行程気筒と称する)、及び吸気行程にある気筒(以下、吸気行程気筒と称する)を判別すると共に、次のステップS10で、これら膨張行程気筒及び吸気行程気筒のそれぞれのピストン位置を、クランク角センサ38により検出されたクランク角信号に基づき上死点後のクランク角として検出し、これらの判別結果及び検出結果を記憶装置に記憶した後、今回の制御周期における始動制御ルーチンを終了する。
このようにしてエンジン1が停止され、エンジン回転速度Neが停止判別値Nerを下回ると、ステップS2からステップS12へと処理が進む。
ステップS12では、エンジン始動指令が入力されたか否かを判定する。このエンジン停止指令は、エンジン1が停止状態にあり、アイドルストップ制御でエンジン始動条件が成立したとき、或いは運転者によりイグニションスイッチ50がスタート操作されたときに入力されるものであり、エンジン始動指令の入力がない場合には、今回の制御周期における始動制御ルーチンを終了し、次の制御周期で再びステップS2からステップS12に進んでエンジン始動指令の有無を判定する。
ステップS14で冷却水温Twが判定温度Tws以下であると判定した場合には、気筒内の燃料の気化が不十分であるために十分な爆発力が得られず、エンジン1を始動するために必要な燃焼圧を得ることができないものとしてステップS34に進み、スタータモータ30を所定時間作動させることによりエンジン1をクランキングしてエンジン1の始動を行う。
ステップS16では、エンジン1の停止の際にステップS10で検出して記憶した膨張行程気筒のピストン12の位置を示す上死点後のクランク角を読み出し、このクランク角が所定クランク角以上であるか否かを判定する。この所定クランク角は、これ以上クランク角が大きくなるような位置にピストン12がある場合には、気筒内の容積が大きすぎるために燃気筒内の燃料と空気が十分混合できず、膨張行程気筒の燃焼圧のみではエンジン1の始動が困難になる可能性のあるピストン位置に相当するものである。
次のステップS22では、ステップS20での燃料噴射から予め設定された所定時間が経過した後、点火プラグ4により膨張行程気筒及び吸気行程気筒の燃料を点火する。そして、燃料の点火により生じた燃焼圧により、それぞれの気筒のピストン12が押し下げられ、エンジン1が始動する。このとき、吸気行程気筒の吸気弁8は開弁状態にあるが、電動過給機26からの圧力の上昇した吸気の供給により、吸気行程気筒内で生じた爆発風の吸気通路24に向けての吹き返しを抑制することができる。また、電子スロットル弁22もアイドル開度に保持されているため、電子スロットル弁22によってもこの吹き返しが抑制される。
なお、図2及び図3のフローチャートには示されていないが、ECU42はステップS24でエンジン回転速度Neが始動判定値Nes以上となるか、スタータモータ30によりエンジン1をクランキングした後は、別のエンジン運転制御ルーチンにより、後続の各気筒に対して順次エンジン1の運転に必要な燃料噴射及び点火を実行する。
ステップS30では、膨張行程気筒に対して燃料噴射弁2から燃料を噴射する。このときの燃料噴射もステップS8及びステップS10で記憶されている情報に基づいて実行され、膨張行程気筒のピストン位置から算出した気筒内空気量に基づいて燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に基づいて膨張行程気筒に対して燃料噴射を行う。
このとき、膨張行程気筒の吸気弁8及び排気弁14は閉弁しており、気筒内は密封状態にある上、燃料と空気との混合も十分行われているため、膨張行程気筒のみの燃料噴射と点火でエンジン1の始動に必要な燃焼圧が確保される。従って、この場合には吸気行程気筒への燃料噴射と点火は行われない。
以上のように、膨張行程気筒のピストン位置を示す上死点後のクランク角が所定クランク角より小さい場合には、膨張行程気筒への燃料噴射と点火のみでエンジン1の始動が可能であることから、吸気行程気筒への燃料噴射及び点火を行わず、また電動過給機26も作動させないため、燃料消費量を抑制すると共にバッテリ使用量も低減することが可能となる。
以上で本発明の一実施形態に係るエンジンの始動装置についての説明を終えるが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。
このようにすることによりスタータモータ30で消費する電力を低減することが可能となる。一方、前記実施形態のようにスタータモータ30のみで始動するようにした場合には、電動過給機による電力消費や燃料消費量を低減することができる。
更にまた、前記実施形態は直列4気筒エンジンに本発明を適用したものであったが、エンジン1はこれに限定されるものではなく、6気筒エンジンや8気筒エンジンなど少なくとも1つの気筒が膨張行程にあるときに、残りの気筒の少なくとも1つが吸気行程にあるようなエンジンであれば本発明を適用可能である。
2 燃料噴射弁
4 点火プラグ
26 電動過給機
30 スタータモータ
36 水温センサ(温度検出手段)
38 クランク角センサ(ピストン位置検出手段、回転速度検出手段)
42 ECU(制御手段、気筒判別手段)
Claims (4)
- 複数の気筒のうちの少なくとも1つの気筒が膨張行程にあるときに残りの気筒の少なくとも1つが吸気行程にあるエンジンの始動装置において、
前記複数の気筒のそれぞれに設けられ、気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、
前記複数の気筒のそれぞれに設けられ、前記気筒内に噴射された燃料を点火する点火プラグと、
前記エンジンの吸気通路に設けられ、電動機により駆動されて前記エンジンの吸入空気を過給する電動過給機と、
前記エンジンの停止時に膨張行程にある気筒と吸気行程にある気筒とをそれぞれ判別する気筒判別手段と、
エンジン停止の際に吸気行程にあった気筒に前記電動過給機によって過給された吸気を供給すると共に、前記エンジン停止の際に膨張行程にあった気筒と吸気行程にあった気筒とに前記燃料噴射弁から燃料を供給し、前記点火プラグで前記供給燃料を点火することにより前記エンジンを始動する制御手段と
を備えたことを特徴とするエンジンの始動装置。 - 前記複数の気筒の各ピストンの位置を検出するピストン位置検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記エンジンの停止の際に膨張行程にあった気筒のピストンの位置が上死点後の所定クランク角未満のクランク角に相当する位置であるときには、前記エンジン停止の際に膨張行程にあった気筒にのみ燃料を供給して点火することにより前記エンジンを始動することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの始動装置。 - 前記エンジンをクランキング可能なスタータモータと、
前記エンジンの温度を検出する温度検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段によって検出されたエンジン温度が所定温度以下のときには、前記スタータモータを用いて前記エンジンを始動することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの始動装置。 - 前記エンジンをクランキング可能なスタータモータと、
前記エンジンの回転速度を検出する回転速度検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記気筒内への燃料供給と前記燃料の点火により前記エンジンの始動を行った後に前記回転速度検出手段によって検出された前記エンジンの回転速度が所定値以上に上昇しないときには、前記スタータモータを用いて前記エンジンを始動することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの始動装置。
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