JP2007032336A - ベーンロータリー型ポンプ - Google Patents

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Tadashi Nagata
忠 永田
Yasushi Aeba
靖 饗場
Yoshiharu Takeuchi
義治 竹内
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Abstract

【課題】ベーンロータリー型ポンプの運転により発生する摩耗粉をポンプ室から効果的に排出させ、ベーン先端部の摺動性の悪化を抑制することで、信頼性の向上を図る。
【解決手段】ポンプハウジング1の内周面に一つもしくは複数の溝13を配設することで、ベーン10の摺動により発生した多量の摩耗粉を溝13の中に効果的に堆積あるいは排気孔2より排出させることができるので、摩耗粉がベーン10の摺動によりポンプハウジング1の内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがなく、ベーン10の先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は送風、気体の排気または気体の供給を目的としたベーンロータリー型ポンプ、特に無給油式のベーンロータリー型ポンプに関するものである。
従来、この種の無給油式ベーンロータリー型ポンプは、ベーン先端部の磨耗量を最小化するため、ポンプハウジング内に円筒状のスリーブを回転自在に収納している(例えば、特許文献1参照)。また、ベーン材料として耐磨耗性の高い材料や、自己潤滑性の高い材料を使用しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
図5は、特許文献1に記載された従来のベーンロータリー型ポンプを示すものである。図5に示すように、ポンプハウジング101と、回転スリーブ102と、ロータ103と、ベーン104とから構成されている。
特公昭64−006354号公報 実開昭62−156180号公報
しかしながら、前記従来の構成では、ポンプハウジングの内周面とスリーブの外周面が接触しないように、潤滑油でスリーブを浮かしているので、油洩れが発生し、処理している気体が油で汚染されるという危険があり、また、ポンプハウジング内周面とスリーブ外周面の間に異物が混入した場合、スリーブの回転にロスが発生するという課題を有していた。特に、スリーブの外周面に種々の溝を形成したり、スリーブの外周面に表面処理を施したりするものもあるが、加工が精密であるために製作が困難であり、コストも高価になっていた。
また、耐磨耗性の高い材料や自己潤滑性の高い材料で製作したベーンを使用しても、摩耗粉の発生は避けられず、またその摩耗粉のポンプ室からの排出については、考慮されていないので、ベーンの摺動によりポンプハウジング内に摩耗粉が押し付けられて堆積或いは凝着することで、ベーンの摺動性を著しく損ない、信頼性を悪化させていた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、スリーブを使わないので、油洩れの危険を回避し、かつ部品点数も少なく、低コストでありながら、信頼性の高いベーンロータリー型ポンプを提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のベーンロータリー型ポンプは、ポンプハウジング内周面に一つもしくは複数個の溝を配設したものである。
これによって、ベーンの摺動により大量の摩耗粉が発生しても、摩耗粉は溝の中に堆積し、また、排気孔と連通するように形成された溝に入った摩耗粉は排気エアーとともに排出されるので、摩耗粉がベーンによってポンプハウジング内周面に押し付けられて堆積することが無く、ベーン先端部の摺動性が損なわれることは無いので、信頼性を向上させることができる。
本発明のベーンロータリー型ポンプは、部品点数を増加させることがなく、ベーンの摺
動により多量に発生した摩耗粉を効果的にポンプ室から排出させるので、信頼性を向上させることができる。
第1の発明は、円筒形状の内壁を有するポンプハウジングと、ポンプハウジングと接しポンプ室を形成すると共に、少なくともポンプ室から気体を排出する排気孔を有するサイドプレートを備え、前記ポンプハウジングの内周面に一つもしくは複数個の溝を配設することにより、ベーンの摺動により大量に発生した摩耗粉を溝の中に堆積させるので、摩耗粉がベーンによってポンプハウジング内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがなく、ベーン先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
第2の発明は、特に、第1の発明のベーンロータリー型ポンプについて、ポンプハウジング内周面に配設した一つもしくは複数の溝を軸方向に長くすることにより、ベーンの摺動により大量に発生した摩耗粉を溝の中に効果的に堆積させ、尚且つ、溝部からの気体の洩れを最少化できるので、ポンプとしての流量特性を維持しつつ、摩耗粉がベーンによってポンプハウジング内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがなく、ベーン先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明のベーンロータリー型ポンプについて、ポンプハウジングの内周面に配設した一つもしくは複数個の溝を、ポンプハウジングの高さ方向に全域に渡るように形成することにより、溝加工を容易にし、ベーンの摺動により大量に発生した摩耗粉を溝の中に効果的に堆積させることができ、摩耗粉がベーンによってポンプハウジング内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがなく、ベーン先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明のベーンロータリー型ポンプについて、ポンプハウジングの内周面に配設した一つもしくは複数個の溝を、軸に対しリード角を付けたことにより、ベーン先端部が同時に溝を通過し、ベーン先端が溝の中に落ち込むことがないので、ベーン先端はスムーズに摺動し、騒音の発生を防止すると共に、ベーンの摺動により大量に発生した摩耗粉を溝の中に効果的に堆積させることができ、摩耗粉がベーンによってポンプハウジング内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがなく、ベーン先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明のベーンロータリー型ポンプについて、ポンプハウジングの内周面に配設した一つもしくは複数個の溝を、排気孔を有しないサイドプレート側から排気孔を有するサイドプレート側へ軸に対しリード角を付けたことにより、ベーン先端部が同時に溝を通過し、ベーン先端が溝の中に落ち込むことが無いので、ベーン先端はスムーズに摺動し、騒音の発生を防止すると共に、ベーンの摺動により大量に発生した摩耗粉を排気エアーの流れに逆らわずに溝の中に効果的に堆積させることができ、摩耗粉がベーンによってポンプハウジング内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがなく、ベーン先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明のベーンロータリー型ポンプについて、ポンプハウジングの内周面に配設した一つもしくは複数個の溝を、排気孔に連通するよう配設したことにより、ベーンの摺動により大量に発生した摩耗粉を排気エアーの流れに逆らわずに溝の中に効果的に堆積あるいは排気孔より排出させることができ、摩耗粉がベーンによってポンプハウジング内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがな
く、ベーン先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
第7の発明は、特に、第4〜6のいずれか1つの発明のベーンロータリー型ポンプについて、ポンプハウジングの内周面に配設した一つもしくは複数個の溝について、溝のリードピッチをL、ポンプハウジングの高さをh、ポンプハウジングの内径をR、ポンプハウジング内周の軸方向に垂直な平面に於ける溝の長さをaとした時、h/Lが0.25よりも小であり、かつa/(2πR)よりも大となるように溝を配設したことにより、ベーン先端部が同時に溝を通過し、ベーン先端が溝の中に落ち込むことが無いので、ベーン先端はスムーズに摺動し、騒音の発生を防止すると共に、ポンプとしての性能低下を最小限にすることができ、溝の最適化を図ることができる。そして、ベーンの摺動により大量に発生した摩耗粉を溝の中に効果的に堆積させることができ、摩耗粉がベーンによってポンプハウジング内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがなく、ベーン先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1及び図2は、本発明の第1または第2のいずれかの実施の形態におけるベーンロータリー型ポンプの断面図を示すものである。
図1及び図2において、ポンプハウジング1は排気孔2を有するサイドプレート3及び電動機4を保持するサイドプレート5にはさまれて固定され、ポンプ室6を形成する。
以上のように構成されたポンプについて、以下その動作、作用を説明する。
まず、ポンプに取り付けられている電動機4の運転により、シャフト7及びシャフト7に取り付けられているロータ8が回転する。ロータ8にはベーン溝9が設けられており、ベーン溝9に沿ってベーン10がその先端をポンプハウジング1の内周面に接しながら摺動する。ポンプハウジング1の内径はシャフト7と偏心しており、シャフト7の回転運動でポンプハウジング1、ロータ8、ベーン10、サイドプレート3及び5とで形成されたポンプ室6の容積が変化し、吸気管11から吸入した気体を、排気管12から排出する。この時、ベーン10の先端はポンプハウジング1の内周面と、また側面はロータ8のベーン溝9の側面と摺動するので、摩耗粉が発生する。
このようにして発生した多量の摩耗粉の一部は、ポンプ室6より排気される気体と一緒に排出されるが、排出されずにポンプ室内に残留する摩耗粉については、ポンプハウジング1の内周面に溝13を配設しているので、この溝13の中に堆積させることができる。従って、摩耗粉がベーン10の摺動によりポンプハウジング1の内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがなく、ベーン10の先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、ポンプハウジング1の内周面に配設する溝13を、軸方向に長くしたことにより、多量に発生した摩耗粉を効果的に溝13に堆積させ、尚且つ、溝13からの気体漏れを最小化できる。従って、ポンプとしての流量特性を維持しつつ、摩耗粉がベーン10の摺動によりポンプハウジング1の内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがなく、ベーン10の先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
(実施の形態3)
図3は、本発明の第3から第6のいずれかの実施の形態におけるベーンロータリー型ポンプの斜視図を示すものである。
図3において、ポンプハウジング1の内周面に配設した溝13を、ポンプハウジング1の高さ方向全域に渡るように形成することにより、溝加工を容易にし、大量に発生した摩耗粉を効果的に溝13に堆積させることができる。従って、摩耗粉がベーン10の摺動によりポンプハウジング1の内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがなく、ベーン10の先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、ポンプハウジング1の内周面に配設する溝13を、軸方向に対しリード角を付けたことにより、ベーン10の先端部が溝13を通過するときに、溝13の中に落ち込むことがないので、ベーン10の先端はスムーズに摺動し、騒音の発生を防止すると共に、大量に発生した摩耗粉を溝13の中に効果的に堆積させることができる。従って、摩耗粉がベーン10の摺動によりポンプハウジング1の内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがなく、ベーン10の先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、ポンプハウジング1の内周面に配設する溝13を、排気孔2を有しないサイドプレート5から排気孔2を有するサイドプレート3へ軸方向に対しリード角を付けたことにより、ベーン10の先端部が溝13を通過するときに、溝13の中に落ち込むことがないので、ベーン10の先端はスムーズに摺動し、騒音の発生を防止すると共に、大量に発生した摩耗粉を排気エアーの流れに逆らわずに溝13の中に効果的に堆積させることができる。従って、摩耗粉がベーン10の摺動によりポンプハウジング1の内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがなく、ベーン10の先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、ポンプハウジング1の内周面に配設する溝13を、排気孔2に連通するよう配設したことにより、多量に発生した摩耗粉を排気エアーの流れに逆らわずに溝13の中に効果的に堆積あるいは排気孔2より排出させることができる。従って、摩耗粉がベーン10の摺動によりポンプハウジング1の内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがなく、ベーン10の先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
(実施の形態7)
図4は、本発明の第7の実施の形態におけるベーンロータリー型ポンプの斜視図を示すものである。
図4において、ポンプハウジング1の内周面に配設した溝13のリードピッチをL、ポンプハウジングの高さをh、ポンプハウジングの内径をR、ポンプハウジング内周の軸方向に垂直な平面に於ける溝の長さをaとした時、h/Lが0.25よりも小であり、かつa/(2πR)よりも大となるように溝13を配設したことにより、ベーン10の先端部が溝13を通過するときに、溝13の中に落ち込むことがないので、ベーン10の先端はスムーズに摺動し、騒音の発生を防止すると共に、大量に発生した摩耗粉を溝13の中に効果的に堆積させることができる。従って、摩耗粉がベーン10の摺動によりポンプハウ
ジング1の内周面に押し付けられて堆積或いは凝着することがなく、ベーン10の先端部の摺動性が損なわれることが無いので、信頼性を向上させることができる。
以上のように、本発明にかかるベーンロータリー型ポンプは、部品点数を増加させることがなく、またポンプ体積を増大させずに、ベーンの摺動により多量に発生した摩耗粉を効果的にポンプ室から排出させ、信頼性を向上させることが可能になるので、送風、気体の排気または気体の供給を目的としたポンプ、特に長時間の運転を要求される用途に適用できる。
本発明の実施の形態1または2におけるベーンロータリー型ポンプの横断面図 図1のX−X’断面図 本発明の実施の形態3から6におけるベーンロータリー型ポンプの斜視図 本発明の実施の形態7におけるベーンロータリー型ポンプの斜視図 従来のベーンロータリー型ポンプの断面図
符号の説明
1 ポンプハウジング
2 排気孔
3 サイドプレート
4 電動機
5 サイドプレート
6 ポンプ室
7 シャフト
8 ロータ
9 ベーン溝
10 ベーン
11 吸気管
12 排気管
13 溝
101 ポンプハウジング
102 回転スリーブ
103 ロータ
104 ベーン

Claims (7)

  1. 円筒形状の内壁を有するポンプハウジングと、ポンプハウジングと接しポンプ室を形成すると共に、少なくともポンプ室から気体を排出する排気孔を有するサイドプレートを備え、前記ポンプハウジングの内周面に一つもしくは複数個の溝を配設したことを特徴としたベーンロータリー型ポンプ。
  2. ポンプハウジングの内周面に配設した一つもしくは複数個の溝を、軸方向に長くしたことを特徴とした請求項1に記載のベーンロータリー型ポンプ。
  3. ポンプハウジングの内周面に配設した一つもしくは複数個の溝を、ポンプハウジングの高さ方向に全域に渡ることを特徴とした請求項1または2に記載のベーンロータリー型ポンプ。
  4. ポンプハウジングの内周面に配設した一つもしくは複数個の溝を、軸方向に対しリード角を付けたことを特徴とした請求項1〜3のいずれか1項に記載のベーンロータリー型ポンプ。
  5. ポンプハウジングの内周面に配設した一つもしくは複数個の溝を、排気孔を有しないサイドプレート側から排気孔を有するサイドプレート側へ軸に対しリード角を付けたことを特徴とした請求項1〜4のいずれか1項に記載のベーンロータリー型ポンプ。
  6. ポンプハウジングの内周面に配設した一つもしくは複数個の溝を、排気孔に連通するよう配設したことを特徴とした請求項1〜5のいずれか1項に記載のベーンロータリー型ポンプ。
  7. ポンプハウジングの内周面に配設した一つもしくは複数個の溝について、溝のリードピッチをL、ポンプハウジングの高さをh、ポンプハウジングの内径をR、ポンプハウジング内周の軸方向に垂直な平面に於ける溝の長さをaとした時、h/Lが0.25よりも小であり、かつa/(2πR)よりも大であることを特徴とした請求項4〜6のいずれか1項に記載のベーンロータリー型ポンプ。
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