JP2007031491A

JP2007031491A - レーザー溶着用樹脂組成物

Info

Publication number: JP2007031491A
Application number: JP2005213188A
Authority: JP
Inventors: Hisanori Asakawa; 久紀浅川; Yasuhiro Aota; 康宏青田
Original assignee: Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Current assignee: Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Priority date: 2005-07-22
Filing date: 2005-07-22
Publication date: 2007-02-08

Abstract

【課題】透明乃至半透明であり、必要に応じて白色や鮮明な色彩に着色可能なレーザー溶着用樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂中に、酸化チタン、酸化鉄、酸化スズ、酸化スズ／アンチモンなどの金属酸化物の少なくとも１種にて被覆されたマイカを含有することを特徴とするレーザー溶着用樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー溶着用樹脂組成物に関する。

一般的にレーザー溶着は、レーザーを透過する部材とレーザーを吸収する部材とを、両者の接着したい部分を重ね合わせ、レーザーを透過する部材側からレーザー光を当てて吸収側の部材を溶融させて透過側の部材と接着させる手法である。

このレーザー吸収部材には、レーザーマーキング用吸収剤として特許文献１に記載のカーボンブラックやグラファイトを用いるのが有名であり、特許文献２において銅化合物の使用が明記されている。その他、各種の添加剤が公開されているが、カーボンブラックは黒色であり、また、その他の添加剤も、不透明乃至何かしらの色が付いている。
特公昭６１−１１７７１号公報特開平２−３４９３号公報

上記従来技術のレーザー溶着用樹脂組成物は、主として黒色を呈しており、従来の方法では黒色乃至暗色以外のレーザー溶着成形物を得ることができなかった。
従って本発明は、透明乃至半透明であり、必要に応じて白色や鮮明な色彩に着色可能なレーザー溶着用樹脂組成物を提供することである。

上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂中に、酸化チタン、酸化鉄、酸化スズ、酸化スズ／アンチモンなどの金属酸化物の少なくとも１種にて被覆されたマイカを含有することを特徴とするレーザー溶着用樹脂組成物を提供する。

本発明によれば、透明乃至半透明であり、必要に応じて白色や鮮明な色彩に着色可能なレーザー溶着用樹脂組成物が提供される。

次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明で使用する熱可塑性樹脂は、後述の表面被覆マイカを配合し得る樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ＡＳ樹脂、ＡＢＳ樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル樹脂など各種樹脂が挙げられる。特にレーザー吸収能が低いポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリオキシメチレン、アクリル樹脂などが有効である。

本発明において、上記熱可塑性樹脂に添加するマイカは、酸化チタン、酸化鉄、酸化スズ、酸化スズ／アンチモンなどの金属酸化物の少なくとも１種にて被覆されたマイカである。このような表面被覆マイカはメルク社製から商品名「レーザーフレアＬＳ８２０」（被覆金属酸化物：酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アンチモンドープ酸化スズ）、「レーザーフレアＬＳ８２５」（被覆金属酸化物：酸化アンチモンドープ酸化スズ）、「レーザーフレアＬＳ８３０」（被覆金属酸化物：酸化チタン、酸化鉄黒）および「レーザーフレアＬＳ８３５」（被覆金属酸化物：酸化鉄黒）などを入手して本発明で使用できる。

上記表面被覆マイカの熱可塑性樹脂に対する添加量は、熱可塑性樹脂１００質量部あたり約０．０１〜１．０質量部の範囲であることが好ましい。表面被覆マイカの添加量が０．０１質量部未満であるとレーザーの吸収力が弱く、十分な溶着が行なえないなどの不都合を生じる場合があり、一方、表面被覆マイカの添加量が１．０質量部を超えるとレーザーの吸収力が強過ぎ、溶着成形品にヤケおよびスジが起こり外観不良になりやすく、また、表面被覆マイカ自体が表面に現れ、見た目があまり良好とはいえないなどの不都合を生じる場合がある。

本発明の樹脂組成物は、含有している表面被覆マイカに透明性があるため、さらに無機系顔料、有機系顔料、有機染料などの各種着色剤を使用し、種々の色相に着色することも可能である。また、本発明の樹脂組成物には、その他の各種添加剤、例えば、安定剤、酸化防止剤、耐電防止剤、ワックス類、紫外線防止剤などを必要に応じて配合することができ、さらに、難燃剤および各種フィラーを必要に応じて配合することができる。

本発明のレーザー溶着用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂粉末と表面被覆マイカ粉末との単なる混合物でもよいし、両者を溶融混練してペレット状に造粒したものでもよい。

次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の文中における「％」は質量基準である。また、後述する溶着テストを行うに当たり透過樹脂部材としてランダムポリプロピレンのナチュラル樹脂を、平板金型を装着した射出成形機で成形して５０×９０×２ｍｍの成形品を作成し、透過側接着部材とした。

実施例１
ランダムポリプロピレン樹脂に、表面被覆マイカ（メルク社製レーザーフレアＬＳ８２０）を０．１％（実施例１−１）、０．３％（実施例１−２）および０．５％（実施例１−３）の割合でそれぞれ配合し、押出機により溶融混練して樹脂中に表面被覆マイカを十分分散し、３種のペレット状レーザー溶着用樹脂組成物を作成した。さらにこの組成物を平板金型を装着した射出成形機で成形して５０×９０×２ｍｍの成形品を作成し、実施例１−１〜３の評価プレートとした。

実施例２
ランダムポリプロピレン樹脂に、表面被覆マイカ（メルク社製レーザーフレアＬＳ８２５）を０．１％（実施例２−１）、０．３％（実施例２−２）および０．５％実施例２−３）の割合で配合し、押出機により溶融混練して樹脂中に表面被覆マイカを十分分散し、ペレット状レーザー溶着組成物を作成した。さらに、この組成物を平板金型を装着した射出成形機で成形して５０×９０×２ｍｍの成形品を作成し、実施例２−１〜３の評価プレートとした。

比較例１
ランダムポリプロピレンのナチュラル樹脂を平板金型を装着した射出成形機で成形して５０×９０×２ｍｍの成形品を作成し、評価プレートとした。

実施例３
ランダムポリプロピレン樹脂に、表面被覆マイカ（メルク社製レーザーフレアＬＳ８２５）を０．１％（実施例３−１）、０．３％（実施例３−２）および０．５％（実施例３−３）の割合で配合し、さらにそれぞれの配合物に白色顔料（酸化チタン）を１％配合し、それぞれ押出機により溶融混練して樹脂中に表面被覆マイカと白色顔料とを十分分散し、ペレット状レーザー溶着組成物を作成した。さらに、この組成物を平板金型を装着した射出成形機で成形して５０×９０×２ｍｍの成形品を作成し、実施例３−１〜３の評価プレートとした。

実施例４
ランダムポリプロピレン樹脂に表面被覆マイカ（メルク社製レーザーフレアＬＳ８３０）を０．０３％（実施例４−１）、０．０５％（実施例４−２）、および０．０８％（実施例４−３）の割合で配合し、さらにそれぞれの配合物に白色顔料（酸化チタン）を１％配合し、それぞれ押出機により溶融混練して樹脂中に表面被覆マイカと白色顔料とを十分分散し、ペレット状レーザー溶着組成物を作成した。さらに、この組成物を平板金型を装着した射出成形機で成形して５０×９０×２ｍｍの成形品を作成し、実施例４−１〜３の評価プレートとした。

実施例５
ランダムポリプロピレン樹脂に表面被覆マイカ（メルク社製レーザーフレアＬＳ８３５）を０．０３％（実施例５−１）、０．０５％（実施例５−２）および０．０８％（実施例５−３）の割合で配合し、さらにそれぞれの配合物に白色顔料（酸化チタン）を１％配合し、それぞれ押出機により溶融混練して樹脂中に表面被覆マイカと白色顔料とを十分分散し、ペレット状レーザー溶着組成物を作成した。さらに、この組成物を平板金型を装着した射出成形機で成形して５０×９０×２ｍｍの成形品を作成し、実施例５−１〜３の評価プレートとした。

比較例２
ランダムポリプロピレン樹脂に酸化チタンを０．５％（比較例２−１）、１．０％（比較例２−２）および１．５％（比較例２−３）の割合で配合し、押出機により溶融混練して樹脂中に酸化チタンを十分分散し、ペレット状組成物を作成した。さらに、この組成物を平板金型を装着した射出成形機で成形して５０×９０×２ｍｍの成形品を作成し、比較例２−１〜３の評価プレートとした。

評価例
以上で得られた実施例および比較例の評価プレートについて、レーザー溶着後のプレートの可視光領域の透過率（％）、溶着性および色調を評価して下記表１に示す結果が得られた。

＜レーザー溶着方法＞
レーザー透過用ナチュラル樹脂プレートを上に、そして表面被覆マイカ添加プレートを下に重ね合わせ、上からレーザーを当て上のナチュラル層はレーザーを透過し、下の表面被覆マイカ添加プレートにてレーザーが吸収され、熱エネルギーに変換され双方の重ね合わせ部分が溶融し接着される。溶着はレーザー波長８０８ｎｍ、９４０ｎｍにて行なった。

＜可視領域の透過率の測定方法＞
作成した評価プレートを日本分光（株）社製Ｖ−５７０にて４００ｎｍ〜７００ｎｍの透過率を測定し、測定領域範囲平均値を用いた。

＜溶着性の評価方法＞
○：溶着している液状物（水）が溶着部分から漏れない。
△：溶着している様に見えるが、液状物（水）が漏れるか所がある。
×：溶着していない液状物（水）が漏れる。

＜色調の評価方法＞
目視にて判断した。

上記表１から明らかであるように本発明のレーザー溶着用樹脂組成物からなる成形物は、酸化チタンを含有していない場合は、可視光領域における透過率が高く透明であり、溶着性にも優れている。また、成形物は実質的に無色であるので従来は困難であった白色成形物を得ることができ、さらに必要に応じて各種有彩色の着色剤を使用して任意の成形物とすることができる。

上記本発明によれば、透明乃至半透明であり、必要に応じて白色や鮮明な色彩に着色可能なレーザー溶着用樹脂組成物が提供される。

Claims

熱可塑性樹脂中に、酸化チタン、酸化鉄、酸化スズ、酸化スズ／アンチモンなどの金属酸化物の少なくとも１種にて被覆されたマイカを含有することを特徴とするレーザー溶着用樹脂組成物。
被覆マイカの含有量が、熱可塑性樹脂１００質量部あたり０．０１〜１．０質量部である請求項１に記載のレーザー溶着用樹脂組成物。