JP2007030410A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

光学フィルムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007030410A
JP2007030410A JP2005219088A JP2005219088A JP2007030410A JP 2007030410 A JP2007030410 A JP 2007030410A JP 2005219088 A JP2005219088 A JP 2005219088A JP 2005219088 A JP2005219088 A JP 2005219088A JP 2007030410 A JP2007030410 A JP 2007030410A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
thermoplastic resin
stretching
temperature
amorphous thermoplastic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005219088A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumi Nishimura
克巳 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2005219088A priority Critical patent/JP2007030410A/ja
Publication of JP2007030410A publication Critical patent/JP2007030410A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

【課題】溶融押出法によってフィルムを製造する場合において、フィルム表面に発生する凹凸欠陥を解消することが可能で、このフィルムを延伸して得られる位相差ムラ欠陥の少ない光学フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】Tダイから押し出された非晶性熱可塑性樹脂フィルムを冷却ロールに接触させた後、延伸することにより光学フィルムを製造する方法において、Tダイから押し出された非晶性熱可塑性樹脂フィルムが最初に接触する冷却ロールの温度をT1(℃)、フィルムの延伸前の予熱温度をT2(℃)、フィルムの延伸時の温度をT3(℃)、非晶性熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度をTg(℃)とするとき、T2が、T1よりも少なくとも10℃以上高く、かつ、Tgよりも少なくとも10℃以上高く、さらにT3よりも高い温度に設定されている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学用途やディスプレイ分野などに用いられる光学フィルムの製造方法に関し、詳しくは、押出成形により得られるフィルムを延伸することによって製造される位相差ムラ欠陥の少ない光学フィルムの製造方法に関する。
近年、光学用途やディスプレイ分野においては、位相差ムラ欠陥の少ない光学フィルムが要求されている。
この光学フィルムにおける位相差ムラ欠陥とは、光学フィルムを光学用途やディスプレイ分野などに用いたときに、点状の位相差ムラ欠陥の部分が光が抜けたように視認されたり、色合いが異なるように視認されてしまう欠陥のことをいう。
この位相差ムラ欠陥は、樹脂内の架橋体、いわゆるゲルと呼ばれるものや、発泡、異物のほか、樹脂の溶融押出時に冷却ロール上に付着している異物または冷却ロール上に存在するピンホール等の欠陥がフィルムに転写されることによって形成される凹状または凸状の欠陥などに起因して発生する。
ところで、光学フィルムを製造する方法としては、従来から溶液キャスティング法が使用されているが、近年はコスト面と生産性の面から溶融押出法が盛んに研究されている。
しかし、この溶融押出法により光学フィルムを製造する場合、前述したように、冷却ロール上に付着している異物または冷却ロール上に存在するピンホール等を転写することによって形成される凹状または凸状の欠陥が発生してしまう、といった問題が生じる。
このように冷却ロール上に異物が付着していたりピンホール等が存在していると、数十ミクロン超える程度のサイズの異物やピンホール等により、フィルムを溶融押出法で成形した場合にはフィルムの凹凸欠陥となってしまい、これを延伸して製造される位相差フィルムの位相差ムラの原因にもなる。このため、光学フィルムの位相差ムラ欠陥を低減するには、冷却ロール上に異物が付着しないように、あるいは冷却ロール上にピンホール等が存在しないように管理することが重要である。
ところが、環境からの異物や溶融樹脂からのブリード物等によって冷却ロールに異物が付着しやすいため、冷却ロールに異物が全く付着しないように管理するのは極めて困難である。また、冷却ロール表面にピンホール等を完全に無くすことも困難である。
以上のような状況のなかで、樹脂の未溶融物によってフィルムに形成される突起を解消するための方法が提案されている(たとえば特許文献1参照。)。
この方法は、バックアップロールで冷却した表面性の優れた弾性タッチロールと金属ロールとで樹脂を挟圧することにより樹脂の未溶融物によってフィルムに形成される突起を解消するというものである。
特開平4−82725号公報
しかしながら、上記従来例では、フィルムに発生するゲル欠陥のような凸状の欠陥を解消するには適しているが、異物が付着したロールで挟圧されることによりフィルム表面に転写されて発生する凹状欠陥、およびロール表面のピンホール等が転写されることによりフィルム表面に発生する凸状欠陥については解消することができない。
このように、従来例では、フィルム表面に発生する凹凸欠陥をすべて解消することは困難であった。
本発明は、このような事情に鑑み創案されたもので、溶融押出法によってフィルムを製造する場合において、フィルム表面に発生する凹凸欠陥を解消することが可能で、このフィルムを延伸して得られる位相差ムラ欠陥の少ない光学フィルムの製造方法を提供するものである。
上記の目的を達成するため、本発明は、Tダイから押し出された非晶性熱可塑性樹脂フィルムを冷却ロールに接触させた後、延伸することにより光学フィルムを製造する方法において、前記Tダイから押し出された非晶性熱可塑性樹脂フィルムが最初に接触する冷却ロールの温度をT1(℃)、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの延伸前の予熱温度をT2(℃)、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの延伸時の温度をT3(℃)、非晶性熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度をTg(℃)とするとき、T2が、T1よりも少なくとも10℃以上高く、かつ、Tgよりも少なくとも10℃以上高く、さらにT3よりも高い温度に設定されていることを特徴とする。
この発明によれば、上記温度範囲で予熱および延伸することによって、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの表面に発生する凹凸欠陥を解消することができ、光学フィルムの位相差ムラ欠陥を緩和することができる。これは、溶融押出法において冷却ロールで非晶性熱可塑性樹脂フィルム表面に転写される凹凸状の欠陥は、冷却ロールの温度によって、変形時の温度が決定され、上記温度範囲で予熱、延伸することによって残留応力が緩和されることに基づいている。
T2の温度範囲としては、T1よりも15℃以上高く、かつTgよりも15℃以上高い温度に設定されていることが好ましく、より好ましくは、T1よりも20℃以上高く、かつTgよりも20℃以上高い範囲である。
なお、延伸温度T3を上げた場合でも同様の効果を得ることができるが、延伸部分で温度を上げすぎると、光学フィルムの位相差が発現せず、十分な位相差を得ることができなくなってしまう。ところが、本発明では、予熱部分で温度を高くすることにより、延伸部分での温度を予熱温度よりも低い範囲で自由に設定することができるので、十分な位相差を得ることが可能である。
また、延伸方法としては、ロールの長手方向に延伸する「縦一軸延伸」、テンタークリップ等を用いてロールの幅方向に延伸する「横延伸」、これらの延伸方法を逐次組み合わせる「逐次二軸延伸」、これらの延伸方法を同時に行う「同時二軸延伸」が知られているが、本発明の製造方法によれば、いずれの延伸方法においても、本発明の効果を奏することができる。
上記構成の光学フィルムの製造方法において、延伸前の非晶性熱可塑性樹脂フィルムの厚みを200μm以下に設定すると、延伸することによって厚みが薄くなることを考慮しても、必要な厚みを確保することができる。また、ディスプレイの小型化に対しても、有効である。
ここで、非晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリサルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ノルボルネン系樹脂等が挙げられ、これらの中でもノルボルネン系樹脂が好適に用いられる。これらの非晶性熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
上記構成の光学フィルムの製造方法において、前記非晶性熱可塑性樹脂がノルボルネン系樹脂からなる場合は、耐熱性および透明性に優れており、固有複屈折率が低く、かつ光弾性係数が低いので、光学フィルムとして好適なフィルムを製造することができる。また、ノルボルネン系樹脂は、温度低下によって急激に固化される特性を有するので、上記製造方法では、特に高い効果を奏する。
上記ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物、ノルボルネン系モノマーとオレフィンとの付加型重合体、ノルボルネン系モノマー同士の付加重合体、およびこれらの誘導体等が挙げられる。これらのノルボルネン系樹脂は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)や、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−イソブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エンなどのノルボルネン系誘導体等が挙げられる。
上記ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物としては、上記ノルボルネン系モノマーを公知の方法で開環重合させた後、残留している二重結合が水素添加されているものが広く用いられる。これは、ノルボルネンの単独重合体であってもよく、ノルボルネンと他の環状オレフィン系モノマーとの共重合体であってもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとオレフィンとの付加型重合体としては、ノルボルネン系モノマーとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。このα−オレフィンとしては、炭素数2〜20、好ましくは2〜10のα−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン等が挙げられる。これらの中でも、共重合性が高いことから、エチレンが好ましく、他のα−オレフィンをノルボルネン系モノマーと共重合させる場合にも、エチレンが存在しているほうが共重合性が高められるので好ましい。
本発明は、上記した製造方法において、前記非晶性熱可塑性樹脂フィルムを冷却ロールに密着させる際に、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg+5℃〜Tg−40℃に温調された、JISB0601−1994で規定される表面粗さがRyで0.5μm以下の弾性変形可能なタッチロールと、冷却ロールで挟圧されることを特徴とする。
この発明によれば、非晶性熱可塑性樹脂フィルムをタッチロールと冷却ロールとで挟圧するので、溶融状態で発生したゲルに起因する非晶性熱可塑性樹脂フィルムの凹凸欠陥を解消することができる。したがって、上記製造方法と組み合わせることにより、非晶性熱可塑性樹脂フィルム表面に発生する凹凸欠陥をさらに効果的に解消することが可能になる。
またタッチロールの温度は、Tg+5℃〜Tg−40℃が望ましく、樹脂によって最適温度は異なるが、基本的にはロール温度が高い方が非晶性熱可塑性樹脂フィルムに発生する凹凸欠陥を解消しやすい。
なお、タッチロール、冷却ロールの少なくともいずれか一方の温度がTg−40℃以下になったときは、挟圧しても非晶性熱可塑性樹脂が瞬時に固まるため、フィルム表面の凸状欠陥を解消することはほとんどできない。一方、タッチロール、冷却ロールの温度がTg+5℃以上のときは、樹脂の冷却不足により、ロール出口での樹脂の剥離ムラによって外観欠陥が発生するおそれがある。
また、タッチロールと冷却ロールのJIS B0601−1994で規定される表面粗さがRyで0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下に設定されていると、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの平滑性を保つことができ、透明性を確保することができる。一方、ロールの表面粗さがRyで0.5μm以上の場合は、ロールで挟圧した際に非晶性熱可塑性樹脂フィルムの表面を損傷するので、この表面の転写により非晶性熱可塑性樹脂フィルムに凸状のスジが発生し、欠陥となってしまう。
なお、タッチロールの表面粗さを上げる方法としては、特に限定されず、表面を研磨したり、あるいは表面にメッキを施したり、金属や研磨した硬化樹脂のチューブ等を装着することによってもよい。
なお、本発明において用いられているRyとは、JIS B0601−1994に定義される最大高さであって、基準長さ毎の山の最大高さと谷の最大深さとの差をいう。
また、本発明において用いられている非晶性熱可塑性樹脂とは、ほとんど結晶構造をとることができない無定形状態を保つ高分子であり、そのガラス転移温度Tgは、樹脂によって異なるため、特に限定されないが、総じて100℃以上のものである。
本発明は、上記構成の光学フィルムの製造方法において、前記弾性変形可能なタッチロールの表面が、金属チューブで被覆されていることを特徴とする。
この発明によれば、タッチロール表面が金属チューブで被覆されているので、内部に柔軟な材料を用いて、非晶性熱可塑性樹脂フィルムとロールの密着性を高めることができるとともに、ロールの表面を平滑にすることができる。したがって、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを好適に挟圧し、フィルム表面を平滑にして凹凸欠陥の発生を防止することができる。
タッチロールの材質は、特に限定されないが、表面が平滑で柔軟な材料であればよい。例えば、シリコーン樹脂、フッ素系炭化水素樹脂等が挙げられる。また、複数の材質のものが多層されているものであってもよい。さらに、多層の場合はその中の一つでも柔軟なものが含まれていればよく、例えば表面に金属製のチューブなどを装着してもよい。
金属チューブの材質は特に限定されず、炭素鋼やステンレス鋼、電鋳法で製造されたニッケル等が挙げられる。また、その表面にクロム等でメッキするなど、多層構造でもよい。
この金属チューブの厚みは特に限定されず、所定の圧力を加えたとき冷却ロールと非晶性熱可塑性樹脂フィルムとが密着するのに十分な柔軟性があればよい。例えば電鋳ニッケルを用いた場合には100μm〜1mm程度であればよい。
挟圧に供する2本のロールがいずれも剛性の金属ロールの場合は、樹脂の微少な厚みムラを吸収できずにロールと非晶性熱可塑性樹脂フィルムとの密着が十分でなくなり、厚み精度が必要とされる部位での光学フィルムの製造には不向きである。
通常、シートの型押し成形時には2本の対を成すロール間に溶融樹脂をフィルム状にして通過させ挟圧するため、ロールは圧力に耐える材質からなる堅牢な構造を有するものであることを要する。よって、ロールの軸芯部としては、鋼、ステンレス、アルミニウム等の金属製のものが好適に用いられる。
また、一般的にロール温度は転写性に大きく影響を与えるため、ロールを適当な温度に調節できる構造の軸芯部が好ましい。この場合、好適に用いられる温度調節手段としては、シーズヒーターを軸芯部に組み込んでロールを加熱する電気加熱方式、誘導発熱式コイルによる電磁誘導作用によってロールを加熱する誘導発熱方式、軸芯部内に設けられた流路に温度制御用の熱媒体を循環させてロールを間接加熱する熱媒体循環加熱方式等が挙げられる。これらの中で特に好ましいのは熱媒体循環加熱方式であり、この熱媒体は気体でもよいが、水、油等の液体の方が好ましい。熱媒体流路の好適な例としては、内部に二条スパイラルまたは四条スパイラル等の構造を有するものが挙げられる。
タッチロールの形状は通常は円筒状であるが、中央部が若干太いクラウン形状でも問題はない。タッチロールの幅は特に限定されず、必要な製品幅以上であればよい。また、タッチロールと冷却ロールの外径は特に限定されるものではなく、いずれか一方が他方より大きくてもよく、いずれも同じ大きさでもよい。タッチロールの圧力は冷却ロールとフィルムが完全に密着する圧力以上であればよく、適正な圧力は樹脂の粘度などによって決まる。
タッチロールの硬度は特に限定されず、所定の圧力を加えたとき冷却ロールとフィルムが密着するのに十分な柔軟性があればよい。例えば、シリコーンゴムの場合、ショアーAで30°〜90°程度であればよい。
冷却ロールの材質は特に限定されず、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼などが挙げられる。
本発明によれば、溶融押出法によってフィルムを製造する場合において、フィルム表面に発生する凹凸欠陥を解消することが可能で、このフィルムを延伸して得られる位相差ムラ欠陥の少ない光学フィルムの製造方法を提供することが可能になる。
本発明に係る製造方法により光学フィルムを製造する例について、本発明の特定事項を適用した実施例1、2、3と、本発明の特定事項から外した比較例1,2とを製造しているので、表1に示して説明する。
Figure 2007030410

まず、実施例1,2、3および比較例1、2の光学フィルムの原材料とする非晶性熱可塑性樹脂には、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ZEONOR1600」、Tg=168℃)を用い、110℃の温度で3時間予備乾燥した。
押出機は、口径100mm、リップクリアランス800μm、L/D=32の単軸押出機を用い、押出温度は270℃〜320℃で調整した。
ポリマーフィルターとして、日本精線社製の濾過精度10μmのリーフディスクフィルターを用いた。
Tダイは、幅1800mmのコートハンガータイプで、樹脂流路表面にはH−Crメッキが施されたものを用いた。
冷却ロールは、外径が350mm、幅が2000mm、表面粗さがRyで0.3μmの温度調節機構(オイルを熱媒体として用いる)が備えられたものである。
タッチロールは、外径が350mm、幅が1600mm、シリコーンゴム層の厚みが5mm、ゴム硬度が90°のものであって、ニッケルからなる厚みが200μmの金属チューブで被覆され、表面粗さがRyで0.4μmのものである。
このような仕様の製造装置を用い、以下の実施例および比較例では、幅1600mmのフィルムを製造して、端部を除く幅1m、MD方向(フィルム流れ方向)1mの1m2
評価した。
ここで、延伸前のフィルム(非晶性熱可塑性樹脂フィルム)の欠陥は、キーエンス製レーザー顕微鏡にて凹凸を判別するとともに、キーエンス製マイクロスコープを用いて斜め10°から光を当て、輝点となった部分のTD方向(幅方向)の長さ、MD方向の長さの平均値を転写性凹凸欠陥のサイズとし、このサイズが50μm以上となるものをカウントすることにより評価した。凹状欠陥、並びに凸状欠陥のうちで冷却ロール部分で発生したと思われる欠陥を延伸前転写性凹凸欠陥、冷却ロールに接触する以前に発生したと思われる凸状欠陥を延伸前ゲル欠陥とする。
さらに、各延伸前フィルムを各実施例1〜3、比較例1、2の延伸方法、予熱温度(T2)、延伸温度(T3)にて延伸を行い、延伸後のフィルム(光学フィルム)を端部を除く幅1m、MD方向1mの1m2で評価した。
そして、延伸後のフィルム欠陥を、キーエンス製レーザー顕微鏡にて凹凸を判別するとともに、キーエンス製マイクロスコープを用いて斜め10°から光を当て、輝点となった部分のTD方向の長さ、MD方向の長さの平均値を転写性凹凸欠陥のサイズとし、このサイズが50μm以上となるものをカウントすることにより評価した。凹状欠陥、並びに凸状欠陥のうち、溶融押出時点で冷却ロール部分で発生したと思われる欠陥を延伸後転写性凹凸欠陥、冷却ロールに接触する以前に発生したと思われる凸状欠陥を延伸後ゲル欠陥とする。
実施例1〜3、および比較例1、2の製造条件、評価については、表1に示しているが、以下で簡単に説明する。
(実施例1)
タッチロールは使用せず、150℃(T1)とした冷却ロールを用いて光学フィルムを製造した。延伸前のフィルムの厚みは70μmで、延伸前の凹凸欠陥を評価すると以下のとおりであった。
延伸前ゲル欠陥:7個
延伸前転写性凹凸欠陥:3個
さらに、予熱温度(T2)を190℃、延伸温度(T3)を172℃として延伸を行い延伸後の凹凸欠陥を評価すると以下のとおりであった。
延伸後ゲル欠陥:6個
延伸後転写性凹凸欠陥:0個
(実施例2)
150℃(T1)とした冷却ロール、および150℃(T1)としたタッチロールを用いて光学フィルムを製造した。延伸前フィルムの厚みは70μmで、延伸前の凹凸欠陥を評価すると以下のとおりであった。
延伸前ゲル欠陥:1個
延伸前転写性凹凸欠陥:15個
さらに、予熱温度(T2)を195℃、延伸温度(T3)を172℃として延伸を行い延伸後の凹凸欠陥を評価すると以下のとおりであった。
延伸後ゲル欠陥:2個
延伸後転写性凹凸欠陥:0個
(実施例3)
165℃(T1)とした冷却ロール、および165℃(T1)としたタッチロールを用いて光学フィルムを製造した。延伸前のフィルムの厚みは70μmで、延伸前の凹凸欠陥を評価すると以下のとおりであった。
延伸前ゲル欠陥:0個
延伸前転写性凹凸欠陥:22個
さらに、予熱温度(T2)を195℃、延伸温度(T3)を172℃として延伸を行い延伸後の凹凸欠陥を評価すると以下のとおりであった。
延伸後ゲル欠陥:0個
延伸後転写性凹凸欠陥:0個
(比較例1)
タッチロールは使用せず、150℃(T1)とした冷却ロールを用いて光学フィルムを製造した。延伸前のフィルムの厚みは70μmで、延伸前の凹凸欠陥を評価すると以下のとおりであった。
延伸前ゲル欠陥:6個
延伸前転写性凹凸欠陥:5個
さらに、予熱温度(T2)を172℃、延伸温度(T3)を172℃として延伸を行い延伸後の凹凸欠陥を評価すると以下のとおりであった。
延伸後ゲル欠陥:8個
延伸後転写性凹凸欠陥:4個
(比較例2)
150℃(T1)とした冷却ロール、および150℃(T1)としたタッチロールを用いて光学フィルムを製造した。延伸前のフィルムの厚みは70μmで、延伸前の凹凸欠陥を評価すると以下のとおりであった。
延伸前ゲル欠陥:2個
延伸前転写性凹凸欠陥:18個
さらに、予熱温度(T2)を172℃、延伸温度(T3)を172℃として延伸を行い延伸後の凹凸欠陥を評価すると以下のとおりであった。
延伸後ゲル欠陥:1個
延伸後転写性凹凸欠陥:16個
このような評価に基づき、実施例1〜3は製品基準を満たしているが、比較例1、2は製品基準を満たしていないと考える。
以上、本発明の実施の形態について、製造条件の一例としての実施例について説明したが、上述した実施例に限られるものではない。
本発明は、溶溶融押出法によってフィルムを製造する場合において、フィルム表面に発生する凹凸欠陥を解消することが可能で、このフィルムを延伸して得られる位相差ムラ欠陥の少ない光学フィルムの製造方法に適用できる。

Claims (5)

  1. Tダイから押し出された非晶性熱可塑性樹脂フィルムを冷却ロールに接触させた後、延伸することにより光学フィルムを製造する方法において、
    前記Tダイから押し出された非晶性熱可塑性樹脂フィルムが最初に接触する冷却ロールの温度をT1(℃)、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの延伸前の予熱温度をT2(℃)、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの延伸時の温度をT3(℃)、非晶性熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度をTg(℃)とするとき、T2が、T1よりも少なくとも10℃以上高く、かつ、Tgよりも少なくとも10℃以上高く、さらにT3よりも高い温度に設定されていることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記非晶性熱可塑性樹脂フィルムの厚みが200μm以下であることを特徴とする請求項1記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記非晶性熱可塑性樹脂がノルボルネン系樹脂からなることを特徴とする請求項1または2記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記非晶性熱可塑性樹脂フィルムを冷却ロールに密着させる際に、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg+5℃〜Tg−40℃に温調された、JIS B0601−1994で規定される表面粗さがRyで0.5μm以下の弾性変形可能なタッチロールと、冷却ロールで挟圧されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記弾性変形可能なタッチロールの表面が、金属チューブで被覆されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の光学フィルムの製造方法。
JP2005219088A 2005-07-28 2005-07-28 光学フィルムの製造方法 Pending JP2007030410A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005219088A JP2007030410A (ja) 2005-07-28 2005-07-28 光学フィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005219088A JP2007030410A (ja) 2005-07-28 2005-07-28 光学フィルムの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007030410A true JP2007030410A (ja) 2007-02-08

Family

ID=37790235

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005219088A Pending JP2007030410A (ja) 2005-07-28 2005-07-28 光学フィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007030410A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009090653A (ja) * 2007-09-21 2009-04-30 Sumitomo Chemical Co Ltd 熱可塑性樹脂製光学フィルムの製造方法
JP2009126150A (ja) * 2007-11-27 2009-06-11 Sumitomo Chemical Co Ltd 押出樹脂フィルムおよびその製造方法
JP2009126149A (ja) * 2007-11-27 2009-06-11 Sumitomo Chemical Co Ltd 押出樹脂板およびその製造方法、並びに表面塗工板
JP2010058495A (ja) * 2008-08-04 2010-03-18 Fujifilm Corp 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルムおよび液晶表示装置
JP2014186355A (ja) * 2008-08-04 2014-10-02 Fujifilm Corp 光学フィルム、偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルムおよび液晶表示装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1016034A (ja) * 1996-07-01 1998-01-20 Sekisui Chem Co Ltd 光学フィルムの製造方法
JPH10264237A (ja) * 1997-03-27 1998-10-06 Sekisui Chem Co Ltd 光学フィルム製造用原反及びその製造方法
JP2000056130A (ja) * 1998-08-06 2000-02-25 Sekisui Chem Co Ltd 位相差フィルムの製造装置
JP2000280315A (ja) * 1999-04-01 2000-10-10 Nippon Zeon Co Ltd 環状オレフィン樹脂製押出成形物及びその製造方法
JP2004107371A (ja) * 2002-09-13 2004-04-08 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 樹脂組成物及び光学用フィルム
JP2004330651A (ja) * 2003-05-08 2004-11-25 Sekisui Chem Co Ltd 光学フィルムの製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1016034A (ja) * 1996-07-01 1998-01-20 Sekisui Chem Co Ltd 光学フィルムの製造方法
JPH10264237A (ja) * 1997-03-27 1998-10-06 Sekisui Chem Co Ltd 光学フィルム製造用原反及びその製造方法
JP2000056130A (ja) * 1998-08-06 2000-02-25 Sekisui Chem Co Ltd 位相差フィルムの製造装置
JP2000280315A (ja) * 1999-04-01 2000-10-10 Nippon Zeon Co Ltd 環状オレフィン樹脂製押出成形物及びその製造方法
JP2004107371A (ja) * 2002-09-13 2004-04-08 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 樹脂組成物及び光学用フィルム
JP2004330651A (ja) * 2003-05-08 2004-11-25 Sekisui Chem Co Ltd 光学フィルムの製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009090653A (ja) * 2007-09-21 2009-04-30 Sumitomo Chemical Co Ltd 熱可塑性樹脂製光学フィルムの製造方法
JP2009126150A (ja) * 2007-11-27 2009-06-11 Sumitomo Chemical Co Ltd 押出樹脂フィルムおよびその製造方法
JP2009126149A (ja) * 2007-11-27 2009-06-11 Sumitomo Chemical Co Ltd 押出樹脂板およびその製造方法、並びに表面塗工板
US9498912B2 (en) 2007-11-27 2016-11-22 Sumitomo Chemical Company, Limited Extruded resin film and method for producing the same
JP2010058495A (ja) * 2008-08-04 2010-03-18 Fujifilm Corp 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルムおよび液晶表示装置
JP2014186355A (ja) * 2008-08-04 2014-10-02 Fujifilm Corp 光学フィルム、偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルムおよび液晶表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100858207B1 (ko) 광학 필름, 이의 제조방법 및 시트 편광판
JP6225898B2 (ja) 成型用フィルム
JP2007030410A (ja) 光学フィルムの製造方法
JP4373834B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP2005099097A (ja) 光学フィルム及びその製造方法並びに該光学フィルムを用いた偏光板
JPWO2012102178A1 (ja) 樹脂フィルムの製造方法及び製造装置
JP2003131006A (ja) 光学フィルム及びその製造方法
JP2003131036A (ja) 光学フィルム、その製造方法及び偏光板
JP2011143717A (ja) ポリプロピレン系樹脂製シートの製造方法
JP2011127013A (ja) ポリプロピレンフィルム、ならびにそれを用いた偏光板、液晶パネルおよび液晶表示装置
CN112771423A (zh) 液晶化合物取向层转印用薄膜
JP4088135B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP2003053834A (ja) 樹脂シートの製造方法
JP2004330651A (ja) 光学フィルムの製造方法
JP4292912B2 (ja) 光学用フィルム
JPH11227043A (ja) 押出熱可塑性フィルム用仕上ロールスリーブ
JP3846567B2 (ja) 熱可塑性樹脂シートの製造方法
JP4492116B2 (ja) 光学用フィルムの製造方法
JP2005280218A (ja) 光学フィルムの製造方法
JP2007044924A (ja) 熱可塑性樹脂シートの製造方法
JP4214797B2 (ja) 光学用フィルム及びその製造方法
JP2006001250A (ja) 光学フィルムの製造方法
JP2006327110A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び位相差フィルム
JP2005172940A (ja) 光学フィルム及びその製造方法
JP2012123182A (ja) 光学フィルム及びこれを備えた偏光板並びに液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080417

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100803

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101130